霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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一四、高熊山の修行

インフォメーション
題名:14 高熊山の修行 著者:大本教学院・編
ページ: 目次メモ:
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :B100800c14
001 高熊山(たかくまやま)は丹波穴太の山奥にある高台で、002上古には開化(かいか)天皇9代天皇を祭った延喜式内小幡(おばた)神社のあったところであります。
003 この高熊山における修行は、004旧二月九日から一週間にわたって行われたもので、005この修行中に喜三郎さんは天眼通(てんがんつう)006天耳通(てんじつう)007自他心通(じたしんつう)008天言通(てんげんつう)009宿命通(しゅくめいつう)の大要を心得し、010過去現在未来に透徹し、011神界の秘奥を窺知し得るとともに、012現界の出来事などは数百年、013数千年の後までことごとく知ることが出来たのであります。
014 喜三郎さんの破天荒な修行中の状況は、015聖師の著、016「霊界物語」に詳しく示されていますが、017いま第一巻の中の「現界の苦行」および「現実的苦行」と題する一説を次に抜粋いたします。
018「高熊山の修行は一時間神界の修行をさせられると、019現界は二時間の比例で修行をさせられた。020しかし二時間の現界の修行より、021一時間の神界の修行の方が数十倍も苦しかった。022現界の修行といっては、023寒天(さむぞら)襦袢(じゅばん)着物の下に着る下着一枚となって、024前後一週間水一ぱい飲まず、025一食もせず、026岩の上に静坐して無言でおったことである。
027 その間には降雨もあり、028寒風も吹き来たり、029夜中になっても狐狸(こり)の声もきかず、030虫の音もなく、031時々山もくずれんばかりの怪音や、032何とも言えぬ、033いやらしい身の毛の震慄する怪声が耳朶(じだ)を打つ。034さびしいとも、035恐ろしいとも、036何とも形容のできぬ光景であった。037……たとえ狐でも、038狸でも、039(とら)(おおかみ)でもかまわぬ、040生ある動物が出てきて生きた声をきかしてほしい、041その姿なりと、042生物(いきもの)であったら、043一眼見たいものだと、044あこがれるようになった。045アヽ生物くらい人の力になるものはない……と思っていると、046かたわらの小篠の中からガサガサと足音をさして、047黒い影の動物が、048自分の静坐する一尺ほど前までやってきた。049夜眼には確かにそれとわかりかねるが、050非常に大きな熊のようであった。
051 この山の主は巨大な熊であるということを、052常に古老から聞かされておった。053そして夜中に人を見つけたが最後、054その大熊が八つざきにして、055松の枝にかけて行くということを聞いていた。056自分は今夜こそこの大熊に引きさかれて死ぬのかも知れないと、057その瞬間に心臓の血をおどらした。
058 ままよ何事も惟神に一任するにしかず……と、059心を臍下(さいか)丹田(たんでん)に落ちつけた。060サアそうなると恐ろしいと思った大熊の姿が大変な力となり、061そのうなり声が恋しくなつかしくなった。062世界一さいの生物に、063仁慈の神の生魂(いくみたま)が宿りたもうということが、064適切に感じられたのである。
065 かかる猛獣でさえも寂しいときには力になるものを、066いわんや万物の霊長たる人においておやだ。067アヽ世界の人々を憎んだり、068おこらしたり、069あなどったり、070苦しめたり、071人を何とも思わず、072日々を暮してきた自分は、073何としたもったいない罰あたりであったのか、074たとえ仇敵悪人といえども、075みな神様の霊が宿っている。076人は神である。077いな人ばかりではない、078一さいの動物も植物も、079みな我々のためには、080必要な力であり、081たのみの杖であり、082神の断片である。
083 人はどうしても一人で世に立つことは出来ぬものだ。084四恩(しおん)ということを忘れては人の道が立たぬ。085人はもちつもたれつ相互に助け合って行くべきものである。086人と名がつけば、087たとえその心は鬼でも(じゃ)でもかまわぬ、088大切にしなくてはならぬ。089それに人は少しの感情や、090利害の打算上から、091たがいに憎みねたみ争うとは、092何たる矛盾であろう。093不真面目であろう。094人間は神様である。095人間をおいて力になってくれる神様がどこにあるであろうか。
096 神界では神様が第一の力であり、097たよりであるが、098現界では人間こそ、099我らを助くる誠の生きたる尊い神様であると、100こう心の底から考えてくると、101人間が尊くありがたくなって、102粗末に取り扱りあつかうことは、103天地の神明に対し(たてまつ)り、104恐れありということを強く悟了したのである。
105 これが自分の万有に対する、106慈悲心の発芽であって、107有難き大神業に奉仕するの基礎的実習であった。
108 次に自分の第一にありがたく感じたのは水である。109一週間というものは水一滴口に入れることも出来ず、110咽喉(のど)は時々刻々にかわき出し、111何ともいえぬ苦痛であった。112たとえ泥水でもよい、113水気のあるものがほしい。114木の葉でもかんでみたら、115少々くらい水は含んでおるであろうが、116それも一週間は神界から飲食一さいを禁止されておるので、117手近にある木の葉一枚さえも、118口に入れるというわけにはゆかない。119そのうえ時々刻々に空腹を感じ、120気力は次第におとろえてくる。121されど神のおゆるしがないので、122お土の一片も口にすることは出来ぬ。123膝は崎嶇(きく)たる崖上に静坐せることとて、124これくらい痛くて苦しいことはない。125寒風は肌身をきるようであった。
126 自分がフト空をあおぐ途端に、127松の露がポトポトと雨後の風にゆられて、128自分の唇辺に落ちかかった。129何心(なにごころ)なくこれをなめた。130ただ一滴の松葉の露のその味は、131甘露とも何ともたとえられぬおいしさであった。
132 これを考えてみても、133結構な水を火にかけ湯にわかして、134ぬるいの熱いのと、135小言をいって居るくらい勿体ないことはない。
136 草木の葉一枚でも、137神様のおゆるしがなければ、138戴くことは出来ず、139衣服は何ほど持っておっても、140神様のおゆるしなき以上は着ることも出来ず、141あたかも餓鬼道の修行であった。142その御陰によって水の恩を知り、143衣食住の大恩をさとり、144ぜいたくなどは夢にも思わず、145どんな苦難にあうもおどろかず、146悲しまず、147いかなる反対や熱罵嘲笑も、148ただ勿体ない、149有難い有難いで、150平気で社会に泰然自若、151感謝のみの生活を楽しむことが出来るようになったのも、152全く修行のおかげである。
153 それについて今一つ、154衣食住よりも人間にとって尊く、155有難いものは空気である。156飲食物は十日や二十日くらい廃したところで、157死ぬようなことは滅多にないが、158空気はただの二三分間でも呼吸せなかったならば、159ただちに死んで了うよりみちはない。160自分がこの修行中にも空気を呼吸することだけは許されたのは、161神様の無限の仁慈であると思った。
162 人は衣食住の大恩を知ると同時に、163空気の御恩を感謝せなくてはならない。164しかし以上延べたるところは、165自分が高熊山における修行の、166現界的すなわち肉体上における神示の修行である。167霊界における神示の修行は、168とうてい前述のごとき軽い容易なものではなかった。169幾十倍とも幾百倍とも知れぬ大苦難的修練であった」
   
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