霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第十章 大正維新に就て

インフォメーション
題名:第十章 皇道維新に就て 著者:
ページ:349 目次メモ:
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :B121801c43
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]『神霊界』大正6年3月号
   (一)
 皇道大本の根本大目的は、世界大家族制度の実施実行である。畏くも天下統治の天職を惟神に具有し給ふ、天津日嗣天皇の御稜威(みいづ)に依り(まつ)るのである。先づ我国に其国家家族制度を実施し、以て其好成績を世界万国に示して其範を垂れ、治国安民の経綸を普及して地球を統一し、万世一系の国体の精華と皇基を発揚し、世界各国威其徳を一にするが皇道大本の根本目的であつて、大正維新、神政復古の方針である。
 先年世界平和会議とかいふものが成立して、未だ幾年ならざるに、東欧半島に争乱が勃発し延いて世界的大戦乱となり、日に月に数万の生命を消殺し、幾千億の財力を費消しつつ、未だ平和の曙光を見る事の見当さへ附かないのは、古往今来大誤謬的国家経綸(けいりん)の根本を、変革せしめ玉ふ天下窮通の神律であつて、要は神聖なる大日本天皇の御稜威と、日本皇道大本の宣揚に因つて、世界を救済し統治し玉ふ天運循環の神力に外ならぬ次第である。開祖刀自の神諭に、「七王も八王も王があれば世界の苦舌(くぜつ)が絶えぬから、神が表面(おもて)に現はれて戦いで世を()へして、神の血筋の一つで王を治めるぞよ」云々とあるを見ても、万世一系の天皇の享有し給ふ世界的主、師、親の三大権を発揮し給ふべき時機の到来せる事は火を睹るよりも明らかな事実である。
   (二)
 人生の和楽、世界平和の基礎と成るべき国家家族制度を実施するに当つて、先づいの、一番に財政経済を根本より革正するを似て古今の弊政を革除する第一義であると言ふ事は、御筆先に依って伺ひ得るのである。元来金銀を以て本と為すの国家経済は、物質交換の不便に優る事は万々なりと雖も古今国家経綸(けいりん)の根本義の不明瞭なりし為に、国家存立の基礎を確固ならしめむとして、其財力の強大ならむを目的と為し、富国強兵以て財政経済界に角逐するを以て国家経綸(けいりん)の本能と為して居るのは、全く一大誤謬であつて、到底平和を招来する事の出来ない無法の経綸(けいりん)であると言はねばならぬのである。人生の根本義も亦古今不明瞭なりしが故に富貴功名のみを以て人生の理想と為し、人は神の分霊にして、衣食住の外に、最も高遠なる天職を有する事を知らない。故に只営々(えいえい)こつこつとして、猛獣の如く生存競争のみに熱中する結果、終に今日の如く斯に貴賤の人為的区別が生じて来たのである。金銭の多少に因りて人間に貴賤の区別を附するといふは、全く人間を動物扱ひにした不合理の極である。怜悧や弁才を以て登庸せられ、錦衣故郷に誇るを以て人生の目的と為すに至つては、実に人生の天職と本義を没却したるものである。
 過去二千年来、世界の国家経綸(けいりん)と人生々活の状態は、下等動物の生活状態と毫差なくして、人生の使命を没却し無視せる憐れ至極なる社会の状勢である。之を要するに金銀為本(きんぎんゐほん)の国家経済が、国家の存立的競争と、人生の不安不平を醸成する禍因となり居る事は、動かすべからざるものである。古今治乱興廃の深因と、現代生活難の醸因は、全く金銀為本の財政経済と、社会経綸(けいりん)の不備欠陥に基因するの証拠は、今や歴然として西欧の大戦乱に因りて明白である。然るに今日に於て、尚ほ金銀為本の財政現状を維持せむが為に、姑息極まれる財政救済策を施し、ヤレ産業の奨励だの、ヤレ済世救済だの、ヤレ労働保護だのと、一時的の弥縫(びほう)を施さむとする如きは、実に利己主義に心酔累惑して、真の忠君愛国の至誠なき(やから)にして、畏くも神聖なる皇祖皇宗の御遺訓を蔑視し、国運の発展を妨害するものといふべきである。
   (三)
 国を(はか)り、世を(すく)ふべき、所謂経理救済の運用を円滑ならしむべきは、即ち国家経済の本義であつて、利己的欲望を満足せしむるが如きは、経済の本義から脱線したものである。天地の経綸(けいりん)根本義と人生の本義を解せないものにして、何うして能く経理救済其目的を達し得られようか。
 神聖なる皇祖皇宗の御遺訓を奉体せざるものが、何うして能く国家家族制度の経済的経綸(けいりん)を施行する事が出来得られようか。
 アゝ済世救民の時機は切々に迫り来れり。皇運発展の経綸(けいりん)を進展すべき時機は已に来れり。我国現今の状態を見るに、外は世界を統一経綸(けいりん)すべき方策を知らず、(うち)国運発展の基本たるべき経綸(けいりん)を知らざるは、実に歎かはしき事である。現代朋党利害の競争に熱中して、徒らに野蛮文明国の後塵を拝し、其糟粕を()め、夫れに伍する事を以て世界統治の天職を具有せる日本皇国の根本国是と誤解し苦心惨憺せる状態は、真に浩歎(こうたん)の至りに堪へない次第である。
国運発展の本近く斯に在り、と明治天皇の遺訓し給へる神聖なる祖宗の皇憲は、已に世に顕彰し給ひたり。済世救民の天業は大正維新の皇謨(くわうぼ)として経綸(けいりん)せらるべきは、大本開祖の神訓に因って明白なる事実である。今や大正大維新、神政復古の成就を、世界一般に渇望しつ丶あること、恰も大旱に雲霓(うんげい)を望むが如く必要を感じつ瓦あるのは事実である。
古事記中巻に曰く
於是大后帰神(ことにおほきさきかむがかりして)
皇祖天照大神。言教覚詔者(ことをしへさとしたまひつらくは)
西方有国(にしのかたにくにあり)金銀為本(こがねしろがねをはじめて)
目之炎燿(めのかがやく)種々珍宝(くさぐさのたから)
多二在其国(そのくににさはなるを)吾今帰二賜其国(あれいまそのくにをよせたまはむとのりたまひき)
 皇祖の御遺訓は、明かに現代経綸(けいりん)の根本変革を促し給ふと雖も、古往今来黄金万能の弊政を此上無き最上の経綸策(けいりんさく)として心酔し且つ中毒せる日本臣民が、神聖なる祖宗の御遺訓の大精神を、了得感通せざる聾盲の輩のみなるは、実に恐懼の至りである。
   (四)
 今や天運茲に循り来つて皇道発展の時代と成れるが故に、神聖なる皇訓を宣揚し、万世一系の天職日嗣天皇の神権を発揚し給ふに当つては、必ずや回天回地の大威力を発揚し、一躍して天下統治の皇謨を大成し給ふは、国常立大神の顕現に伴ひ、(まこと)に易々たる(わざ)たるを確信する次第である。
 されど現代の制度と其政治の方針は、二千有余年来輸入したる世界野蛮劣等国の弊政の模倣にして、皇祖の御遺訓に示し給へる国体の根本義と、絶対的に矛盾して居るのである。故に国体の精華を発揚すべき神聖なる大日本皇国を経綸(けいりん)するには、必ず祖宗の御遺訓を奉体して、適材を適所に用ゐ、以て皇国天賦の経綸(けいりん)を施行せしめて、天賦の天恵を開発するに努力する時は、回天回地の偉業は、天佑と御稜威に因つて忽ち奏功すべきは、開祖の神諭明かに之を示し給ふ。
 畏くも大正維新、神政復古の皇謨は、必ず祖宗の遺訓に則り給ひて、大日本皇道を宣揚し、祖宗の御威徳を顕揚し給ふべき御事と、確く信じ(たてまつ)るのである。
抑も世界の争乱と人生不安の禍因を根絶するには、第一着に現代の金銀為本の国家経綸策(けいりんさく)を根本より変革せなければならぬ。
   (五)
 財政経済を根本より変革するには、是に代謝する国家経済制度を具体的に説明すべき筈であるが、以下順次号を重ねて家族制度の国家経済策、租税制度、天産自給論を説明するに当り、自然に財政経済の不必要なる理由をも諒解し得べければ、こゝには其重複を厭ひて殊更に其説明を省略省略したのである。
 吾人が国家々族制度を主唱し、財政経済の根本的革正を以て、大正維新の皇猷(くわういう)の第一義であるといふを誤解して、世に所謂財産平均論の迷夢を懐き富の分配を理想とするものゝ如く、或は共産主義とか社会主義とかの理想より起りたるが如く、懐疑の念を生ずる人もあるであらうと信ずるが、現代の社会制度を是認し満足し謳歌する人々が斯く信ずるのは至当なのである。
 神聖なる皇祖皇宗の御遺訓を解し得ず、言霊の妙用を知らず、世界統治の天権を具備せる日本国体の根本義を知らない世界の学者連中の常識を以て判断する時は、最も適当の解釈であろう。併しながら吾人の主張する所は国常立大神の神諭に基き、一言半句も私見を挿まない真正なる皇典古事記の精神を諒解して、国体の精華を発揚すべき根本要義を披陳するに過ぎないのである。
 皇道大本の主張を真解し得るものは、神聖なる祖宗の御遺訓と開祖神諭の大要を体得せる人士のみである。斯かる神聖なる祖宗の御遺訓と神諭を、未知半解の人の敢て誤認せざらむ事を希望する次第である。
   (六)
 天産物自給の国家経済に就て少しく述べむに、天産物とは天賦の産物である。自給とは自ら支給し自ら生活する事である。この文字は頗る簡単であるけれども、是世界の人類に取つては生活上の大問題であらねばならぬ。皇道経綸(けいりん)の本旨に於ては、頗る高遠なる意義の存する事であつて、衣食住の根本革新問題である。
 現今我国の服装に就ても、甚だ錯雑なもので、其不便と不経済なる事は、巳に識者間の問題にも上つて居るやうな次第である。()れど世人の論ずる所のものは枝葉の議論にして、未だ天理人道の根本義たる天産物自給の法則に因つて、其根本的解決を考へたものはないのである。吾人が発表する所の根本起源は、即ち祖宗の遺訓し給へる天理人道に因る人生経綸(けいりん)の根本義であつて、天下の公道である。天地自然の経済的本義である。古往今来天理人道未だ明かならずして、野生的欲望の窮極するところ、終に弱肉強食の暴状をも敢て憚らざるに至つたのである。殊に最も甚だしきは西洋強国の暴状である。彼等は人生の本義を全く知らない。動植物が天賦自然の使命を有する事も知らない。弱肉強食的野獣性を発揮して、無暗に鳥獣を屠殺して其肉に舌鼓を打ち、其毛羽や皮革を服用して文明社会の常事として毫も怪しまないのは、野蛮因習の然らしむる所であつて、其残忍、酷薄なる習慣は益々増長して、終には他人の国家を侵蝕し、併呑し、飽食暖衣を誇るを以て、世界的文明強国なりと信じて居るのである。仏者の所謂畜生道、餓鬼道、修羅は、最も適切な現代の評語であらう。
 今や服装の改良は最も急務中の急務である。古諺に『良薬は口に苦く、諌言は耳に逆ふ』と、実に尤もである。現在世界的文明の服装として、国民が競つて使用せる洋帽に洋服に洋傘に、洋靴の如きは、実にく非文明的野蛮を標榜したる獣的蛮装である。而してその材料として貴重され居るもの程残忍無道を敢行せる産物である。
 畏くも万世一系の皇運を享有し給ひ、済世安民を以て天職と為し給ふ御国体の根本義としては、これ等の蛮的獣装を禁止する事が、国家経済と人心革正の必要と天産物自給の法則上に於ける最大急務である。
 唐制遺風の衣冠束帯や、不便極まる衣袂的服装(いけつてきふくさう)も亦不可である。日本国体の精華を発揚し、世界を経綸(けいりん)すべき皇国の天賦を発揮せしむる服装を制定せむと欲せば、先づ国体の本義を自覚せねばならぬ。御遺訓に示し給へる世界各国天恵の状態と、其天賦的経綸(けいりん)の本質を闡明せば、実に易々たる業である。この神聖なる神洲神民の服装は、根本覚醒の暁に於て忽ち発表すべきである。
   (七)
 人類生活の根本原料なる食料品は、各自天賦的に発生する土地の生産物を以て、需要供給の原則とする事は世界的通義である。然るに古来金銀為本的国家経済の流行するに及んで遂に其本末を顛倒して怪しまないのは、現代の通弊である。これ全く天理人道の不明に帰するのであるが、天運循環国祖顕現の今日に於ては、根本革正の時機が到着したのである。古今国家の治乱興廃の原因は、必ず政権及び土地を獲得し、以て衣食住の欲望と虚栄とに満足し、且つ之を我の子孫に享受せしめむが為である。要するに食料問題がその最要件なのである。
 人生の根本義は、生活せむが為に世に生れ出たるものでない事は、敢て疑ふ可き余地は無い。けれども其欲望を満たさむが為に、世界の人類が相競ひ相争ひつ瓦ある事は、疑ひなき事実である。冠履顛倒本末矛盾せるは、世界的国家の経綸(けいりん)である。食料問題も亦之に準じて居るのである。即ち大にしては天賦所生(てんぶしよせい)の土地を遊猟場と化せしめ、或は工業地と為し、一は以て残忍酷薄なる遊戯に耽溺し、一は以て金銀財力の収穫を目的とするものである。而して野獣的欲望の窮極は、利害相衝突する所、国家の存亡を賭して戦争するに立到つたのである。これ世界の平和を破り、人生の不安を醸す原因である。日本皇国の天職は、是を根本より革正して、世界永遠の平和を確実ならしめ、人生の本義を明かにするにあるのである。
 西洋野蛮人種の真似をして、猥に動物を屠殺して食料に供給するのは、神聖なる皇典に垂示し玉へる天理人道に違反する悪魔の行為である。即ち皇典に示し、開祖の神諭に示させ給ふ所に因れば、動物中人生経綸(けいりん)の労力を補助すべき種類のものと、肉体を食用に供すべきものとの二つの種類があつて、前者は多くは陸上動物である。後者は多く水産動物である。古来屠殺的弱肉強食を為す事を敢て憚らなかつたのは、天理と人道の不明なりしに起因したのである。第一に食料の根本問題から解決せなければ、世界の平和を期する事も、救世安民の経綸(けいりん)を実現する事も出来ないのであるが一度神聖なる祖宗の御遺訓と神訓を拝すれば、忽ち解決が付くのである。
   (八)
 輪換(りんくわん)の美を極め、宏壮雄大を極めた邸宅を有するもので、永久に子孫の繁栄を極めたものはない。所謂三代長者無しの諺は、古今歴史の証明する所である。これ人生の本義を無視し、天理に矛盾して居るからである。由来野獣的人欲の窮極的標準たる富貴や功名は、忽ち大厦高楼に起臥するを以て、その附帯的条件たるの観あらしむるは、畢竟国家経綸(けいりん)の本義に違反したる金銀為本的財政経綸(けいりん)の弊風的結果である。宏大なる邸宅は、土毛を妨害し、珍奇贅沢なる結構は以て亡国の素因を醸成するものである。これ皆天産自給の天則に違反するのみならず、国家経済の原則に矛盾するものである。次に国民住宅の根本義は、
 各人其家族の多寡に応じて造る事
 気候風土に適す可き事
 其職務に適す可き事
 天産自給に於ける国民住宅の根本義は、全国民一人の徒食遊民の絶無なるをもつて基礎となすべきものである。是れ即ち国家的大家族制度の実現せらるべき所以である。統一的国民の住宅は、天産自給の国家経済を充実円満ならしむるのが大主眼である。
   (九)
 我皇国は世界の中心であつて、大倭(おほやまと)豊秋津根別の国と謂つて天恵の宝庫は随所に存在して居るのであるが、現代の科学や文明では未だ以て完全の域に達して居ないのである。如何となれば、現代の科学者には、宇宙に充実存在する所の大宝庫の無尽蔵を開発する事に着手する能力が絶無なのである。この天産を開発して、天恵無尽の利沢を人生に均霑(きんてん)せしむることは、日本国民の天職的責任である。蓋し天理を知らず、宇宙の組織を了知せざる西洋の科学者流や西洋偽文明に心酔誑惑せる日本学者輩の企て及ぶ可からざる事である。祖宗の御遺訓と開祖の神諭には、能くこの宇宙無尽の宝庫を開拓すべき宝鍵を示し授け給ふのである。日本国民の大責任は、皇国をして真文明の霊域たらしめ、以て祖先の遺風を顕彰する事が大正国民の大任務である。
   (十)
 抑も国体経綸(けいりん)の根本義は其淵源する処最も高遠なものであつて、古事記の真義大精神を奉拝せないものは、其経綸(けいりん)の真相を窺知(きち)する事は出来ないのである。掛巻(かけまく)も畏き宇宙の統主天之御中主神より世界修理経綸(けいりん)の大命を享けさせ給へる伊邪那岐神は、御子天照大神に天下統治の大権を授け賜ひ、皇孫邇邇岐命は世界経綸(けいりん)の本能を保有する草那芸神剣即ち大日本神国日向高千穂峰に鎮座し給ひ、世界の人文を開発して天下統治の神権を行使すべき時運の到来を待たせ給ひし事、大正の今日に至るまで実に一百八十万年である。実に世界統治の神権は、万世一系天壌無窮に享有し給ふのである。故に世界平和の皇道、治国安民の経綸(けいりん)は祖宗の御遺訓として万世一系に伝承し給ふ。これ即ち皇典古事記である。皇宗天武天皇が古事記を以て『斯乃邦家之経緯、王化之鴻基焉』と詔り賜ひし所以である。
   (十一)
 租税制度を根本より廃絶せしむ可き理由を略陳すれば、謹み惶しみて神聖なる皇祖御遺訓皇典古事記に示させ給へる租税制度を、我国に布き給ひし由来を尋ねれば『皇典古事記』の中巻に、御真木入日子印恵命(みまきいれひこいにえのみこと)の段(崇神天皇)
(一)於是(ここに)。初令男弓端之調、女手末之調。(はじめてをとこのゆはずのみっぎをんなのたなすゑのみつぎをたてまつらしめたまひき)
(二)故称其御世。謂初国之御真木天皇也。(かれそのみよをたたへまつりてはつくにしらししみまきのすめらみこととまうす)
 以上の御遺訓に因つて、明瞭なる事実を伺ふ事が出来るのである。
 茲に掲げまつる御本文を、言霊学に因りて説明し(まつ)れば、
みまきいれひこいにえ命()うすは、
一、国体の精華を隠伏して、和光同塵の政策を始め給ふと謂うす意義である。
一、是に因りて此御代に八咫(やあた)の神鏡を別殿に祭らせられたのである。
 斯の如く、神聖なる皇国経綸(けいりん)の精華を隠伏し賜へる事実は祖宗より継承し給へる八咫鏡(やあたのかがみ)豊銀入日売命(とよすきいりひめのみこと)に伊勢大神宮として別殿に(いつ)き祀らしめ給ひたるに因りて明瞭である。
 畏くも崇神天皇が、和光同塵の政策を施し給ひたる御神慮は、実にく高遠甚深なる御理想に由らせられたのである。抑もこの時代には人文未だ幼稚なりしゆゑに、生欲の発達のみ最も隆盛を極め、弱肉強食の蛮風を以て人生自然の常事となし、所謂日本書紀の、
『遂に(いふ)に君有り、村に(をさ)あらしめ、各自ら(さかひ)を分ち相凌轢す』
 実に生存競争の激烈を極めた世態であつた。
 然るに御国体の天職として、この世界を平和ならしめむとするには、是非とも彼等外人に相接触して以て其人文の開発を移入せしめ、其窮極せる時機に於て根本より変革し、神聖なる皇国経綸(けいりん)の精華を発揚せしめ給はむとの宏遠なる御神策に因れる事は、畏くも天皇の御名の意義に因りて、明かな事実である。然り而うして其政策として、第一に世界の人文的大勢に応ずべき用意として、此の御代から調貢の制を布かせ給うた。
 是ぞ我国に於ける租税制度の初めである。要するに和光同塵の政策は、二千年来終始一貫の大偉業であつて、万世一系の御国体なればこそ、遂行し得らるゝ事柄であつて、屡々革命のある短命的な世界各国君主の到底企及すべからざる事である。
   (十二)
 崇神天皇が御代を初国所知之(はつくにしらしし)御真木天皇(みまきのすめらみこと)と称へ(まつ)つた理由は、世界的経綸(けいりん)の端緒を初め給ひし天皇と謂す意義である。畏くも歴代の天皇は、この和光同塵の政策を奉体し給ひて、内治外交を経綸(けいりん)し給うたゆゑに、垂仁天皇の朝には三宅連等(むらじら)の祖なる多遅麻毛理(たぢまもり)をして常世国(とこよのくに)なる海外諸邦所謂世界一周を為さしめ給ひ、次で景行天皇の御宇には、日本武尊をして内国経綸(けいりん)を実行せしめ給ひて専ら外国の来享を期待し給うたのである。
 仲哀天皇の経綸(けいりん)的精神は大正維新の皇謨を垂示し給ふ所にして、拙著『世界の経綸(けいりん)』に其大要を述べてあるから就いて見られたい。応神天皇の御宇に百済国より、王仁(わに)博士来朝して論語及び千字文を献上し、其他衣食の産物を調貢せしめられた。また天之日矛は国津宝と称する河図洛書の原本を輸入して来たのである。而して輸入されたる儒教的の虚礼虚偽の弊風は忽ち大雀命(おほさぜきのみこと)宇遅能和紀郎子(うぢのわきいらつこ)の謙譲的過失を生じて遂に海人(あま)をして歎声を発せしむるに至り、租税の弊は仁徳天皇の御宇に及んで、
『於国中烟不発。国皆貧窮。故自今至三年。悉除人民之課役』(くぬちにけむりたゝず。くにみなまづしかれ。いまよりさんねんといふまではことみゝにおほみたからのみつぎをのぞく)
との聖勅を渙発し給ふの止む無きに立到つたのである。斯の如く国家窮乏の時代に於ては、世界の人心は既に人生悲観の情を起して、盛んに宗教的信仰を以て個人的安心立命を求めむとするものが、漸次続出したのである。故に和光同塵の吸収力は、忽ち欽明天皇の御宇に至り仏教を輸入するに至つた。
 以来我歴代の天皇が和光同塵の政策を承継されて、治乱興廃の波浪を凌ぎ、艱難を甞め隠忍し給うた事は、歴史の証明する所であつて、真に万世一系の天職を遂行し給ふ過渡期とは謂しながら、実に実に恐懼至極の次第である。
   (十三)
 大正の今日にては、古往今来(こわうこんらい)の国家経綸(けいりん)的足跡を追究して利害得失を論議すべき時代ではない。既に已に明治維新の皇猷の目的も達したのである。この故に明治天皇は戊申詔書に遺訓し給ひて、
抑々我力神聖ナル祖宗ノ遺訓ト我力光輝アル国史ノ成跡トハ炳トシテ日星ノ如シ
寔二(マコト)克ク恪守シ淬励ノ誠ヲ(イタ)サハ国運発展ノ(モト)近ク斯二在リ
朕ハ方今ノ世局二処シ我力忠良ナル臣民ノ協翼二倚藉(イシヤ)シテ維新ノ皇猷ヲ恢弘シ祖宗ノ威徳ヲ対揚セムコトヲ庶幾(コヒネガ)
爾臣民其レ克ク朕力旨ヲ体セヨ
と、国運発展の基本を垂示し給うたる事に因つて、皇輝発揚の基が皇祖皇宗の御遺訓に存し給ふ事は明瞭なる事実である。
 大正維新の要点は皇道経済の実施であり、租税制度の廃絶である。元来この制度の御国体の経綸(けいりん)的本義で無い事は、御遺訓の明白に的確に証明し給ふところである。租税徴収は実に弱肉強食野蛮制度の遺風であつて、多数民衆の膏血を絞り、人民を奴僕視して、教民の官を設け、鞭打奨励以て血肉を啖ふを経綸の要訣と為し、又金銀為本を以て富国の要目と為し、生存競争を似て人生の根本義と解し、弱肉強食的世界併合を以て最終の目的と為す大個人主義、詐欺甘言を弄して国際的儀礼と為すは、人面獣心的文明強国の経綸的制度である。然るに皇国の経綸(けいりん)制度なるものは、実に世界万民の幸福を目的とし給へる国家和楽の国家家族制度である。故に大正の御代は、古今の汚らはしき租税徴収の悪制を根本より廃絶する事が神聖なる大日本天皇の御天職に坐します所の、済世安民の経綸(けいりん)を始めさせ給ひ、皇道経済を始めさせ給ふ第一歩たるべきものである。
   (十四)
 古事記に曰ふ、
 其大国主神(世界各国の君主)に問ふ、(なれ)の子等、事代主神(国の天賦を発揚する事)建御名方富神(人の天性発揮)二神は、天神(あまつかみ)の御子の命の(まにま)(たが)はじと(まを)しぬ。(なれ)の心奈何(いかに)ぞ。(こゝ)に答白、(あが)子等、二神の(まを)せる(まにま)(あれ)も違はじ、此葦原中国は命の(まにま)に既に(たてまつ)る也。唯(あれ)住所(すみか)をば、天神御子(あまつかみのみこ)の天津日嗣知ろしめす登陀流天之御巣(とだるあまのみす)の如くして、底津石根に宮柱布斗斯理(ふとしり)高天原(たかあまはら)氷木多迦斯理而治(ひぎたかしりてをさ)め賜はば、()百足(ももたら)八十隈手(やそくまで)に隠れて侍ふ。亦僕子(あこ)百八十神(ももやそかみ)は、即ち八重事代主神、神の御尾前と為りて仕へ奉らば、違ふ神は非ざる也。此の如く白して乃ち隠也(かくりましき)
 以上の御垂示は、大本開祖の神諭と比べて、一毫の差なきを感知せざるを得ない。大国主神即ち世界的各国の君主が国家経綸(けいりん)の根本基礎を確立し、国家生存の本義を宣揚して、治国安民の経綸(けいりん)を定むる根本憲章を、天下統治の天職を具備し給ふ大日本天津日嗣天皇より奉戴して、永遠の平和を保全する事を教へ覚し給へる御神文である。
   (十五)
 開祖の神訓に曰く、
『今迄の世は何も彼も全然暗黒(さつばりくらがり)の世、さかさまの世、大の字さかさまのむちやくちやの世でありたぞよ。神が表に現れて、世を立替へて元の昔にかへすぞよ。この極悪の世のやりかたつよいものがちの世の政事を根本から立直す世が参りたぞよ。大の字を(ほん)さまへかへして世界の人民を安心させるぞよ』
云々と、本末、主客顛倒せる日本国、対世界各国の関係的現象を描写して余蘊(ようん)なしである。抑も天下統治の天職を帯び給へる万世一系の天皇を奉戴せる日本臣民は、即ち世界経綸(けいりん)統治の分担的責任を先天的に享有して居るのである。故に畏くも明治天皇は戊申の年に当つて御詔書を降下在らせられた。
 畏くも明治天皇は、明治維新の皇猷を大成し給ひ、将に来る可き皇輝発揚の時機を洞察あらせられて、神聖なる国運発展の基本は唯一無二なる祖宗の御遺訓に基因する事を臣民に警告し賜へるが即ち戊申の詔書の御精神なる事は実に明白にして、一点疑義の存すべき余地は無いのである。
 嗚呼違勘的経綸(ゐかんてきけいりん)を遂行せむとする現代の臣民は、神聖なる祖宗の御遺訓を奉体するものなき故に大正維新の根本国是を確立する事が出来ない。依然として西洋諸邦の悖徳的経綸を模倣するに汲々たる愚昧者のみである。
 現代の臣民は、祖宗の御威徳を称揚し奉らむとする忠良の至誠に乏しきが故に、現時の弊政を根本変革するの勇断無く、祖先の遺風を顕彰すべき忠孝の本義を忘却して居るが故に、亡国的弊政たる租税制度の輸入的旧套を脱挽して世界生民の苦痛を救済し、以て咸其徳を一に成し御勅語に奉答し得べき義勇奉公の至誠がないのである。米搗バッタ的官吏や蓄音機的教育家や、商業的宗教改革が、偽善の仮面を被って、口を開けば忠君愛国だの、敬神尊王だの、博愛慈善だの、教育勅語の御精神が何うの斯うだのと殊勝らしく吹き立て、只々自己保護の道具に使ひながら面従腹背、思惑腐敗の極に達して居るもの而已(のみ)で実に国家は危機一髪に迫つて来たのである。アゝ忠良なる臣民の猛然自省し、以て皇典古事記と開祖の神諭を研究し、御国体の本義を自覚し、以て国運発展の基本を確立すべき時機なる事を感得されたきことを至嘱するのである。
   (十六)
 国運発展の本は、国家家族制度に基因するのである。之を固持する時は必ず栄え、これに違反する時は必ず亡ぶのである。皇典垂示の国家家族制度の経綸(けいりん)は、実に国運発展の基本にして、世界万国之を仰ぎて亦与に真文明の恵沢に浴し、世界生民の福利を弘通(ぐづう)するに至るのである。現代我国の経綸(けいりん)は、全然欧米模倣の制度である。現在の世界的大戦争は、彼等半獣人種に経済的根本革命の斧鉞(ふえつ)を加へ給へる我皇祖御稜威の顕現であることは、開祖の二十五ケ年間の御筆先に因って証明する事が出来るのである。
 国家家族制度の実施に先だちて、吾人は非常の犠牲的覚悟を為さねばならない。その動産と不動産とを問はず、一切之を至尊に奉還すること、明治の初年に諸大名の競うて藩籍領地を奉還せし時と同様の覚悟を為さなければならない。元来総ての財産は上御一人の御物であって、一箇人の私有するを許されない事は、これ祖宗の御遺訓と、開祖帰神の神諭に炳々として垂示し給ふ所である。
 古往今来、世は治乱興廃を反覆して極まりなき所以は、人文蒙昧にして弱肉強食を以て人生の本能と誤信せる俗物に因りて、遂に経済的専有割拠の蛮制を定め、以て国家の経綸(けいりん)は租税制度を以て唯一の政治的基礎と信じたるが故である。又現代に行はれつ』ある曖昧模糊の政治、教育、宗教などは、古来天地造化の本源不明にして、人生の根本義に暗かつた為に、国家社会の平和を保全するの能力を欠いて居るのである。神聖なる皇祖の御遺訓は、天下統治の大憲法を皇孫に垂示あらせられ、世界大家族制度を実現して、永遠無窮の平和を確保すべき天職を、大日本皇国の双肩に荷はしめられたのである。この皇国本来の天職を実現すべき要素は、世界各国の天賦的国家経綸(けいりん)を、国家家族制度の経済組織たらしめたる結果に於て、初めて成就的階梯に達したものである。
 然れば我皇国臣民たるもの、この空前絶後の好機なる大正維新に際して、皇祖の聖訓を奉体し開祖の神諭を恪守(かくしゆ)して、祖先の遺風を顕彰すべく犠牲的精神を発揮して、挙国一致私有財産の制度を根本的に撤去して、世界の絶対的主師親の三大天権を享有し給ふ万世一系の天皇に奉還し、以て国家財産の統一整理を敢行し、神聖なる祖宗の御遺訓を実践躬行し、先帝の遺詔に奉答すべき献身的覚悟を持たねばならぬのである。
 抑も人生の根本義は、生活せむが為のみに生れ来りしものではない。人は天地経綸(けいりん)の司宰者として神の使命を享けて生れ出でたもので、国土を経営せむが為に人類に限つて経綸(けいりん)所用の二本の手と、独立歩行し得る二本の足と、加ふるに国土経綸(けいりん)に必要なる天賦的共通の言語とを具有せしめ、以て意志疏通の天恵恩頼を賦与されて居るのである。故に国家の生存的経済は、必ず其全国民の共通的経済を以て根本天則と為し賜ふ御神慮たるは明かなのである
   (十七)
 皇祖御遺訓に因る経済的家族制度の大要を左に掲載して、聊か参考に供したいと思ふ。
国家経綸の大本
(一)大国主神の本義は、
世界各国の主宰者は、天下統治の天権と主師親の三徳を享有し給ふ日本国天皇に、克く忠を尽し、亦各自の祖先に対して克く孝を尽すべき事である。
(二)大穴牟遅神(おほなむちのかみ)(業)の本義は、
世界生民は、子孫其業を司り、各自の天職を発揮する事である。
(三)葦原色許男神(あしはらしこをのかみ)(教育)の本義は、
国家経綸(けいりん)的天賦の天恵を開発すべき教育を施す事である。
(四)八千矛神(国家経済)の本義は、
全国民は国家の経済的経綸(けいりん)を分掌して国土の修理経営を分担すべき事である。
(五)宇都志国玉神(宗教)の本義は
精神教育は、人生の本義に因り、生死往来する天地経綸(けいりん)の大道を明ならしむる事である。
以上の五柱の神名は、世界的国家経綸(けいりん)の憲章である、神律である。
   (十八)
 とこしへに民安かれと祈るなる我世を守れ伊勢の大神
 明治天皇の御製は、畏くも万世一系の大御心である。此故に治国安民の大業は、神聖なる皇訓に依因(えいん)しなければ断じて不可能である。現今の世界的大戦乱の由来する所に徴し、将又国民大多数の生活的困苦の状態を目撃する時は、一日(ひとひ)片時も猶予する事を許さないのは経済制度の根本革新であつて、この革新こそは御国体の精華を発揮し(たてまつ)る第一機関となるのである。
 日本の臣民中には、畏くも皇祖御遺訓の存在を信じない輩があつて、吾人が絶叫する御国体の根本義を無視するのみならず、却て半狂人と罵り、自惚心の強き奴と(げな)し、中には誇大妄想狂と断じ、或は迷信者と冷評するの(やから)さへあるのである。此う謂ふ連中は、所謂上流社会及び学者階級に最も多い。殊に皇室の藩屏たる爵位を有する輩に此徒のあるは、実に憤慨に堪へないところである。彼等は族籍と肉体とは日本人であるが、其の精神なるものは外国魂性から出て居るのは勿論である。要するに種々原因はあれども、金銀為本的生存競争に成功したものか又は東西学術の捕虜と成つた俗輩で、神州の神民たるべき天性を根本より累惑忘失せるに因るものである。累惑宗の大開祖たる福沢諭吉は曰く『帝室は政治以外の物なり。帝室は学芸等の奨励を以て任ずべし、曰く名誉の代表なり』と。彼は政争の累を皇室に及ぼさむ事を(おもんぱか)りて説を為したる事は勿論であるが、又一面より観る時は其神聖なる祖宗の御遺訓と、御国体の根本義を解し得ないのに原因して居るのである。併し彼は所謂過渡時代の産物で在ったと思へば、敢て咎むるにも及ばない。皇運発展的時代の推移は、戊申詔書に明確に其遵守淬励の誠を(いた)すべき事を教訓し給ふ。然るに何ぞや、現日本臣民中、殊に世俗より敬意を表せらるべき(はい)にして、神聖なる祖宗の御遺訓を無視し、御国体の根本義を無視して、違勘的暴言を流布する者あるに至つては、実に獅子身中の虫よりも尚ほ憎むべき鼠輩(そばい)である。必ず近く天誅を蒙る可きは自然の道理なるも、尚ほ一層大声叱呼して其不忠不義を責め、社会的に葬り、此の種の道事の進行を防止する累惑者輩の根本排除に努力するのが最も急務であると思ふ。
   (十九)
 現代人生々活の状態を目撃する時は、実に神聖なる祖宗の御遺訓に悖戻(はいれい)して居る事は最も明らかな事実である。安逸飽食して巨万の財を収め、且つ之を増殖して、益々蛮的欲望を逞うする。一方には僅々少額の資財を得むとして得られず、艱苦辛労其生を終るに至るものもあり。他方には日夜孜々として勤労し、猶妻子を養ふに困難せるものもある。貧富の懸隔激甚なる事斯の如く、其(さま)の惨然たるは何故ぞ。全くこれ人生悖理上(はいりじやう)より湧起せる国家経済矛盾の因果的現象と謂はねばならぬ。然るに古今東西の学者や為政者輩は、之を以て人生不可離の必然的結果なるが如く信じたるは、即ち人文未開の証拠である。
 天運循環、茲に世運の進展は国祖国常立尊の世界の中心に顕現せられて、開祖の手を通し言を通じて、神聖なる皇祖の御遺訓を顕彰し給ひ、済世安民の鴻業(こうげふ)を大日本皇国に因つて大成せしめ給ふ千載一遇の時機と成つたのである。現代世界の惨状を根本消滅せしめ、松の世、神国の世に復古せしむる天地神明の大経綸(けいりん)を、経済的国家家族制度と為すは、畏くも皇祖の御遺訓と、開祖の神諭に垂示し給へる人本主義的社会経済の根本要義と為すのである。
   (二十)
 次に世界大家族制度の根本義に就て述べる。日本天皇は先天的に世界の大元首に坐しまして世界の国土及び財産の所有権を有したまひ、国土財産の行使権及び人類の統治権を絶対に享有し給ふが故に、大日本国に天壌無窮の皇統を垂れたまひ、神聖なる皇祖御遺詔(ごゐせう)宏謨(くわうぼ)(したが)ひ、皇国に於て統治の洪範を経綸(けいりん)し、治国安民の政体を世界に宣揚し、以て範を天下に垂れ、世界を総攬統治し給ふ御事の由来は、皇典古事記に垂示し給へる天理の大憲章である。然れば今後の経済的社会の制度においては、
 絶対的に土地や財産の私有を許さざる事
 国民の一般的男女の職業を制定する事
 産業は国家経綸の目的に因つて国民共同的に従事する事
 産業的国民の収入は全部挙げて国庫の収入たるべき事
 貿易は国家事業として国際的に行はるべぎ事
 国民の生活に関する一切の物資は、経済者(商人)によりて円満に供給せらるゝ事
 国民住宅の全部は職業、家族、及び家庭に応じ、幸福の実現を目的とし供給せらるべき事
 全国の交通機関は、必要に応じ全国民無料にて使用或は乗用に供せらるべき事。
以上は神聖なる皇祖御遺訓の大精神に因る国民的経済に関する国家経綸(けいりん)の大要である。
 現代の議員制度に於ても、根本的改良を必要とし、第一神政後の議会は面目を一新して神聖なる神廷会議となすのである。而して貨幣制度、租税制度を根本廃絶する事は、前既に述べた通りである。
 古今の弊政を根本変革して、神聖なる祖宗御遺訓を奉体し、以て国民発展の基本を確立し皇運を扶翼し奉るの最大要件は、日本臣民の挙国一致的犠牲の精神に因って、一切の私有財産を上御一人に奉還する事である。然し時機は既に既に到来して居る居るので在るから、案外に易々たるべき業たる事を確信する。斯く論ずる時は、社会の智者学者輩又は其筋の人々より色眼鏡を掛けて見らる瓦時は、社会主義者、共産主義者と誤解さるゝ事もあらうと思ふが、日本建国の精神である以上は如何ともする事は出来ない。誰が何と言つても皇運発展の為に現代世界的国家の経綸(けいりん)を根本変革して、祖先の遺風を顕彰すべき大正日本臣民が焦眉の急務なのである。
 明治二年正月廿三日、毛利、島津、鍋島、山内の諸侯が上表して、土地人民を奉還せむ事を乞ひ(たてまつ)つた時の奏上文を見れば、実に大正維新の見当が付いて来るのである。
 臣某等頓首百拝。謹而案ズルニ、朝廷一目モ失フ可ラザル者ハ大体ナリ。天祖(はじめ)テ国ヲ開キ基ヲ建玉ヒシヨリ、皇統一系万世無窮普天率土其有ニアラザルハナク、其臣二非ザルハ無シ。是大体トス。且ツ与へ且ツ奪ヒ、爵禄以テ下ヲ維持シ、尺土モ私ニ有スルコト能ハズ、一民モ私ニ(やぶら)ムコト能ハズ。是大権トス。在昔朝廷海内(かいだい)ヲ統御スル一ニ是ニヨリ。聖躬(せいきう)之ヲ()ラス。故ニ名実並立テ、天下無事ナリ。(以下略)
 時代の推移は、弥茲(いよいよ)に大正維新、神政復古の機運を醸成し、大国主神なる世界的国土奉還の已むを得ざる時運に達したのである。而して其第一着手としては、日本臣民の私有財産全部の奉還に始まるのである。
(完)
   
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