第二六章 体五霊五〔二七六〕
001 天帝大六合治立命は一霊四魂三元八力を以て万物を造り、002自ら直接に之を保護し給ふことなく、003各自にその守り神を定めて、004之を管掌せしめ給ふは、005この物語に依りて考ふるも最早明かに判明する事と思ふ。
006 大神は太陽を造つて、007これに霊魂、008霊力、009霊体を賦与し給ひ、010大地を造りて又これに霊魂、011霊力、012霊体を賦与し、013太陰を造り、014列星を造りその他万物各自に霊魂、015霊力、016霊体を賦与し給ひしなり。017今は唯其の一霊四魂について、018大略を述べむとするなり。
019 大宇宙には、020一霊四魂が原動力となりて、021活機凛々乎として活動しつつあり。022先づ小宇宙の一霊四魂に就て述ぶるならば、023大空の中心に懸れる太陽は直霊にして、024これを一霊ともいひ、025大直日神ともいふなり。
026 而して太陽には、027荒魂、028和魂、029幸魂、030奇魂の四魂が完全に備はり、031その四魂はまた一々直霊を具有し、032また分れ、033また四魂を為して居る。034さうして是らの直霊を神直日神といふ。035その四魂また分派して四魂をなし、036各々直霊を備ふ。037大空の諸星は、038皆一霊四魂を各自に具有し居るものなり。
039 而して太陽の一霊四魂を厳の身魂と総称し、040かつ霊主体従の身魂ともいふなり。041故に大空は霊を主とし、042体を従とす。043大空中に懸れる太陽、044太陰および列星は、045皆幽体を以て形成られあるなり。046ゆゑに太陽、047列星の中に鉱物ありと雖も、048大地のごとく堅からず、049重からず、050その重量に非常の差あるを知るべし。
051 大空中における一霊四魂の分布状態を、052仮に図を以て示せば左図の如し。
[#図 一霊四魂の分布状態]
053 大地は体を主とし、054霊を従として形成られあり。055故に木火土金水が凝結して生成化育を営みつつあるなり。056太陽の霊魂を厳の身魂と称するに対し、057地の霊を瑞の身魂といひ、058体主霊従の身魂といふ。059また大地球の直霊を大曲津日の神といひ、060荒魂、061和魂、062幸魂、063奇魂の四魂を備へ、064その四魂は太陽のごとく分離してまた直霊を備ふ。065その直霊を八十曲津日の神といふ。066この四魂はまた更に分れ、067際限無く大地一面に一霊四魂を分布されつつあるなり。
068 天地開闢の初めに当り、069清く、070軽き物は天となり、071重く、072濁れるものは地となりぬ。073故に地上は幾万億年を経ると雖も、074天空のごとく清明無垢なることは、075到底できざるは自然の道理なり。076故に、077地上に棲息する限りは、078体主霊従の身魂に制御さるるものなり。079ここに於いてか体主霊従を調和し、080霊体一致の美はしき身魂を造らざるべからざるなり。081体主霊従とは、082体六霊四の意に非ず、083霊主体従とは霊六体四の意に非ず、084体主霊従なるものは体五霊五の意味なり。
085 然るに動もすれば、086地上の人類は体六或は体七、087体八となり、088霊四、089霊三、090霊二、091霊一となり易きものなり。092故に体主霊従と雖も、093体五霊五は、094即ち天の命ずる所にして、095これに体超過すれば、096いはゆる罪となるなり。097体五霊五の天則を破りたる吾人の身魂を、098大曲津神と云ひ、099また吾人をして外面より悪に導く身魂を八十曲津神といふなり。
100 ゆゑに大曲津日の神、101八十曲津日の神は、102曲津の名ありと雖も、103決して悪神に非ず、104悪を制御する一種の直日神である。105曲津日と曲津といふ神の区別を混同せざる様注意すべし。
106 大地の一霊四魂の分布は、107即ち前記太陽の図に準じて知るべきなり。108而て厳の身魂は、109荒魂、110和魂最も重きを占め、111瑞の身魂は、112奇魂、113幸魂最も重きを占め居るなり。
114 つぎに伊都能売の身魂に就て略述すれば、115この身魂は、116一に月の霊魂ともいひ、117五六七の身魂と称せらる。118五六七の身魂は、119厳の身魂に偏せず、120瑞の身魂にも偏せず、121厳、122瑞の身魂を相調和したる完全無欠のものなり。
123 而して伊都能売の身魂は、124最も反省力の強き活動を備へて、125太陽のごとく常に同じ円形を保つことなく、126地球のごとく常に同形を保ちて同所に固着すること無く、127日夜天地の間を公行して、128明となり、129暗となり或は上弦の月となり、130また下弦の月となり、131半円となり、132満月となり、133時々刻々に省みるの実証を示しゐるなり。
134 斯くのごとく吾人の身魂の活用し得るを、135伊都能売の身魂といふ。136伊都能売の身魂の活動は、137時として瑞の身魂と同一視され、138或は変性女子の身魂と誤解さるる事あり。
139 伊都能売の身魂は、140変性男子の身魂にも非ず、141また変性女子の身魂にもあらず。142完全無欠にして明暗、143遠近、144大小、145賢愚、146肖不肖、147善悪等の自由自在の活動をなし得る至粋至純の神霊の活用なり。
148 かくのごとく自由自在の神人たることを得ば、149初めて、150五六七の活動をなし得べきなり。151月にもまた一霊四魂あり、152その四魂の各々にもまた一霊四魂の備はれることは、153太陽地球と同一なり。154而てこの月球を保持するは、155前巻に述べたるごとく、156北斗星、157北極星、158オレオン星および三角星の四大星体である。159この四大星体は、160月球の直接保護に任じ、161瑞の身魂の活用を主としつつ大空、162大地の中間を調理按配する重要なる職務を有するものなり。
164霊五体五(霊主体従)をひのもとの身魂といひ、165体五霊五(体主霊従)を又ひのもとの身魂といふ。166併し行動上の体主霊従は、167之を悪の身魂または智慧の身魂といふなり。168また霊主体従とは霊五体五の意味で、169体主霊従とは体五霊五の意味なりといふ説明は、170組織的の説明にして、171行動上の説明にあらず。172読者よくよく注意すべし。
173(大正一一・一・二一 旧大正一〇・一二・二四 外山豊二録)
174(第二六章 昭和一〇・二・一三 於勝浦支部 王仁校正)