霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 (やみ)谷底(たにぞこ)〔四〇七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻 篇:第3篇 天涯万里 よみ:てんがいばんり
章:第14章 第9巻 よみ:やみのたにぞこ 通し章番号:407
口述日:1922(大正11)年02月14日(旧01月18日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一行は照山峠を東に向かって下っていった。智利の国の里近くまで降りてきたところで、不思議にも一行の足は一歩も進むことができなくなってしまった。
かたわらの鬱蒼たる森林の中からは、淤藤山津見、駒山彦、照彦を呼ぶ破れ鐘のような声が響いてきた。三人はその声に、ひきつけられるようにして森の中へ入ってしまった。
後には、珍山彦と三姉妹が残された。珍山彦は、これから四人でハラの港からアタルの都に入り、常世の国へ渡って黄泉島の宣伝をするのだ、と伝えた。そして、宣伝使の実地教育を珍山彦自ら行うのだ、と諭した。
珍山彦は三姉妹に、九死に一生の困難を克服しなければ誠の道は開けない、その後は各自宣伝使となってばらばらになり、神業に奉仕するのだ、師匠兄弟を杖に付くようなことでは神界の奉仕はできない、と心構えを伝えた。
四人はハラの港に向かって進んで行く。
一方、淤藤山津見、駒山彦、照彦は怪しい声にひきつけられて谷川をさかのぼり、数里山奥に分け入っていた。高山と高山の深い谷間には月影もささず、夜はおいおいと更けていくばかりであった。
三人の身体はまたもや強直して動くことができなくなった。照彦は神懸りし、月照彦命である、と口を切った。そして淤藤山津見と駒山彦の心構えの甘さを厳しく問い詰め始めた。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0914
愛善世界社版:110頁 八幡書店版:第2輯 314頁 修補版: 校定版:117頁 普及版:43頁 初版: ページ備考:
001 淤縢山津見(おどやまづみ)一行(いつかう)は、002照山峠(てるやまたうげ)(ひがし)(むか)つて(くだ)つて()く。003智利(てる)(くに)(さと)(ちか)くなつた(とき)004一行(いつかう)(あし)ぴたり()まり、005どうしても一歩(いつぽ)(すす)(こと)出来(でき)ない。
006珍山彦(うづやまひこ)『ヤア、007(あし)(ある)けないやうになつちまつた。008どうだ、009(みな)さまは』
010一同(いちどう)『イヤ、011吾々(われわれ)(おな)(こと)だ。012合点(がてん)()かぬ(こと)もあるものだ』
013駒山彦(こまやまひこ)(なん)でもこれは(むか)ふに(わる)(やつ)沢山(たくさん)()て、014吾々(われわれ)()()ちしようとして()るのに(ちが)ひないワ。015そこで神様(かみさま)吾々(われわれ)(あし)(しば)つて、016軽々(かるがる)しく(すす)むでない。017(むね)()をあて、018よく後前(あとさき)(かんが)へて()よ、019との暗示(あんじ)(あた)へられたのだらう』
020 一行(いつかう)七人(しちにん)途上(とじやう)()つたまま、021石地蔵(いしぢざう)のやうに(かた)まつて仕舞(しま)つた。022(かたはら)老樹(らうじゆ)鬱蒼(うつさう)たる森林(しんりん)(なか)より、
023淤縢山津見(おどやまづみ)024駒山彦(こまやまひこ)025照彦(てるひこ)
026破鐘(われがね)のやうな(こゑ)(ひび)いて()る。027その(こゑ)(とも)三人(さんにん)身体(からだ)は、028何物(なにもの)にか()きつけらるるが(ごと)心地(ここち)して、029(おも)はず()らず(こゑ)する(はう)(むか)つて、030自然(しぜん)(あし)(すす)み、031(つひ)三人(さんにん)姿(すがた)()えなくなりたり。
032 (あと)珍山彦(うづやまひこ)033(まつ)034(たけ)035(うめ)四人(よにん)は、036何時(いつ)()にか(あし)自由(じいう)になり、037路傍(ろばう)(きよ)芝生(しばふ)(うへ)端坐(たんざ)して、
038珍山彦(うづやまひこ)『サア(みな)さま、039繊弱(かよわ)(をんな)()で、040まだ三五教(あななひけう)教理(けうり)()らずに、041宣伝使(せんでんし)となつて、042悪魔(あくま)(はびこ)()()(なか)教導(けうだう)すると()(こと)は、043一通(ひととほ)りの苦労(くらう)では()くものではない、044さうして、045()どやどやと七人(しちにん)(なら)んで宣伝(せんでん)(ある)くと()ふことは、046一寸(ちよつと)()れば華々(はなばな)しく立派(りつぱ)()えるが、047それは(みな)仇花(あだばな)だ。048(まこと)(みち)宣伝(せんでん)一人々々(ひとりひとり)(かぎ)る。049これから姉妹(きやうだい)三人(さんにん)は、050この珍山彦(うづやまひこ)(およ)ばずながら実地(じつち)教訓(けうくん)(ほどこ)して()げますから、051(いま)(うち)吾々(われわれ)四人(よにん)は、052三人(さんにん)宣伝使(せんでんし)(はな)れてハラの(みなと)からアタルへ()き、053それから常世(とこよ)(くに)(まは)つて、054実物(じつぶつ)教育(けういく)()け、055黄泉島(よもつじま)宣伝(せんでん)(いた)しませう。056サアサアお()でなさいませ』
057(さき)()つて()く。058三人(さんにん)()かるるやうに珍山彦(うづやまひこ)(あと)()ふ。059珍山彦(うづやまひこ)(ことば)しづかに、
060(みな)さま、061淤縢山津見(おどやまづみ)駒山彦(こまやまひこ)照彦(てるひこ)のことはすつかり(わす)れて仕舞(しま)ふのだ。062人間(にんげん)背水(はいすゐ)(ぢん)()つて、063九死(きうし)一生(いつしやう)困難(こんなん)()はねば、064真実(ほんと)(まこと)(みち)(ひら)けるものではない。065苦労(くらう)(はな)()いたのは(さか)りが(なが)い、066これから吾々(われわれ)(とも)概略(あらかた)仕事(しごと)出来(でき)たら、067姉妹(きやうだい)三人(さんにん)手分(てわ)けして、068ちりちりばらばらになつて神業(しんげふ)奉仕(ほうし)するのだ。069仮令(たとへ)一人(ひとり)になつても神様(かみさま)(まも)つて(くだ)さるから、070師匠(ししやう)兄弟(きやうだい)(ちから)にしたり、071(つゑ)につくやうな(こと)では、072到底(たうてい)神界(しんかい)奉仕(ほうし)完全(くわんぜん)出来(でき)るものでない。073サア()きませう』
074ハラ()して(すす)()く。
075 淤縢山津見(おどやまづみ)ほか二人(ふたり)は、076(あや)しき(こゑ)()きつけられ、077不知不識(しらずしらず)(あひだ)谷川(たにがは)(さかのぼ)つて、078数里(すうり)山奥(やまおく)(まよ)()る。
079 (をり)しも十五夜(じふごや)(つき)東天(とうてん)(かがや)(わた)れども、080峨々(がが)たる高山(かうざん)高山(かうざん)との(ふか)谷間(たにま)は、081月影(つきかげ)もささず、082()追々(おひおひ)()()くばかり、083(さび)しさ刻々(こくこく)(せま)り、084三人(さんにん)此処(ここ)()(あは)したる(ごと)一度(いちど)(こし)(おろ)し、085谷川(たにがは)(かたはら)端坐(たんざ)しぬ。086三人(さんにん)身体(しんたい)(また)もや強直(きやうちよく)して、087びくとも出来(でき)なくなり、088自由(じいう)()くは(くび)のみ、089鬱蒼(こんもり)とした(かし)()(うへ)から(にはか)
090『ウヽ』
091(だい)なる(うな)(ごゑ)(きこ)(きた)る。
092淤縢山津見(おどやまづみ)『ヤア二人(ふたり)(かた)093(わたし)身体(からだ)一寸(ちよつと)(うご)かない、094貴方(あなた)如何(どう)ですか』
095駒山彦(こまやまひこ)『へヽヽ(へん)だ。096こんな変梃(へんてこ)(こと)はないワ』
097 照彦(てるひこ)(らい)のやうな(こゑ)()して、
098(この)(はう)月照彦(つきてるひこ)(みこと)であるぞよ』
099駒山彦(こまやまひこ)(なに)100月照彦(つきてるひこ)だ。101馬鹿(ばか)()へ、102そんな狂言(きやうげん)をすな。103貴様(きさま)三人(さんにん)(むすめ)さまにつきてる(ひこ)だが、104(いま)薩張(さつぱり)(はな)れてる(ひこ)ぢやないか。105こんな(くら)山奥(やまおく)()(まよ)うて、106馬鹿(ばか)真似(まね)をすると、107駒山(こまやま)承知(しようち)をしないぞ。108そんな気楽(きらく)(こと)かい』
109照彦(てるひこ)ハヽヽヽ、110阿呆(はう)らしいワイ。111三五教(ななひけふ)宣伝使(せんでんし)(えら)さうに()つて、112そこら(たり)(おほ)きな(こゑ)()げて(ある)(まは)馬鹿(ばか)宣伝使(せんでんし)113どうぢや、114一寸先(いつすんさき)(しん)(やみ)の、115(この)谷底(たにぞこ)()てられて、116フンと(いた)したか。117()(はづ)れたか。118まり()れてものが()はれぬ。119()いた(くち)がすぼまらぬぞよ。120ハヽヽ()れなものぢや、121身魂(みたま)性来(しやうらい)()はれに(たま)()へよ、122(しり)()へよ、123()()へよ、124(きら)かな(かみ)(をしへ)りながら、125()(かた)(ちが)ひはせぬか』
126ヽ、127此奴(こいつ)悪魔(くま)神憑(かむがか)りになりよつた。128られもない(こと)口走(くちばし)りよつて、129ほんにほんに()れな(もの)だな。130これこれ淤縢山(おどやま)さま、131貴方(なた)もぢつとして()ずに、132(この)場合(ばあひ)つぱれ審神(さには)をして照彦(てるひこ)憑依(ひようい)して()悪魔(くま)()はしてやつて(くだ)さいな』
133『イヤ、134吾々(われわれ)も、135(にはか)足腰(しこし)たたぬ不自由(ふじゆう)()136まりのことであふん(いた)して、137荒膽(らぎも)をとられて(しま)つた。138()づかしい(こと)だワイ』
139照彦(てるひこ)ヒヽヽヽ、140可愍(ぢら)しいものだ。141異国(こく)(はて)威張()つた(むく)いで、142まはの(きは)ろと(くや)んだところで、143如何(かん)ともする(こと)出来(でき)まい。144かやうな(ところ)数多(あまた)国人(くにびと)()られたならば、145宣伝使(せんでんし)威厳(げん)(まつた)()()ちるぞ。146(かみ)意見(けん)(いた)さうと(おも)つて、147ろいろ雑多(ざつた)苦労(くらう)()し、148湯津石村(ゆつはむら)(この)谷底(たにぞこ)(ざな)(きた)りしは(かみ)慈悲(じひ)149宣伝使(せんでんし)(ただ)一人(ひとり)天下(てんか)布教(ふけう)宣伝(せんでん)すべきものだ。150それに(なん)ぞや、151物見遊山(ものみゆさん)のやうに、152ぞろぞろと幾人(いくにん)もつらつて宣伝(せんでん)(ある)屁古垂者(へこたれもの)153以後()(かなら)(つつ)しめよ。154(かみ)言葉(ことば)違背(はい)するな。155いか、156返答(へんたふ)如何()に』
157駒山彦(こまやまひこ)かにも、158(たこ)にも、159(かに)にも、160(あし)四人前(よにんまへ)161もう加減(かげん)(さが)つて(くだ)さい、162(しづ)まりを(ねが)ひます。163天狗(てんぐ)(なん)だか()らないが、164こんな谷底(たにぞこ)()()まれて意見(けん)(なに)()かれるものか、165こら照彦(てるひこ)副守護神(ふくしゆごじん)よ、166何時()までも愚図々々(ぐづぐづ)()して()ると、167霊縛(れいばく)をかけてやらうか』
168フヽヽヽ、169しろを()()いてよく(かんが)へて()よ。170ろうろと(この)山奥(やまおく)()(まよ)(きた)りしは、171(まつた)(なんぢ)身魂(みたま)(くら)きがため、172()きの()れぬ(なんぢ)(からだ)173かうか(いた)すと足許(あしもと)から()()えて()るぞよ。174(しとら)金神(こんじん)(をしへ)(なん)心得(こころえ)()る。175(うし)(くそ)のやうな身魂(みたま)(いた)して、176天下(てんか)宣伝使(せんでんし)とは片腹(かたはら)(いた)い、177有為転変(ゐてんぺん)()(なら)ひ、178(うし)(くそ)でも天下(てんか)()る、179煎豆(いりまめ)にも(はな)()くと、180万一(まんいち)僥倖(げうかう)(ゆめ)みて迂路()つき(まは)宣伝使(せんでんし)181後指(しろゆび)()されて()るのも()がつかず、182得意(とくい)になつて(にご)つた言霊(ことたま)宣伝歌(せんでんか)()狼狽(ろた)へもの、183(この)()もなき迂濶(くわつ)184迂愚()185迂散(さん)(やつ)ども』
186駒山彦(こまやまひこ)つかりしとると、187どんな()()はされるか(わか)つたものぢやない。188これこれ淤縢山(おどやま)189(つむ)いてばかり()らずに、190貴方(あなた)天下(てんか)宣伝使(せんでんし)ぢやないか、191(なん)とかして照彦(てるひこ)憑霊(ひようれい)(しば)つて(くだ)さいな』
192(るさ)くても仕方(しかた)がない。193これも神様(かみさま)(こころ)みだ。194()()()けて()いて()れば(おほい)()るところがある。195(わたし)(かへ)つてこれが()しい』
196照彦(てるひこ)ヘヽヽヽヽ』
197駒山彦(こまやまひこ)『ヤア、198(また)ヘヽヽヽだ。199()(こと)になつて()た。200もう()加減(かげん)にお(しづ)まりを(ねが)ひませうか、201遠慮会釈(んりよしやく)もなしに、202吾々(われわれ)小言(こごと)ばかり()つて、203得体(たい)()れぬ神憑(かむがか)りぢやなあ』
204照彦(てるひこ)ヘヽヽヽ閻魔様(んまさま)とは(この)(はう)(こと)ぢやぞ、205これから()と、206()()()はしてやらう。207遠近(んきん)(また)にかけて、208遠慮会釈(んりよしやく)もなしに(さへづ)()駒山彦(こまやまひこ)宣伝使(せんでんし)209(ひと)つや(ふた)つの山坂(やまさか)()えて、210らいの、211(くる)しいのと、212(はぢ)()らずに、213よくもほざいたなあ、214(くち)ばかり()さうに(まを)宣伝使(せんでんし)
215駒山彦(こまやまひこ)ヘヽヽヽぐい(こと)ばかり()得体(たい)(わか)らぬ副守護神(ふくしゆごじん)だ。216もう結構(けつこう)です、217これで御遠慮(んりよ)(まを)しませう。218()加減(かげん)にやめて(くだ)さい。219縁起(んぎ)(わる)い、220(この)(やみ)(ばん)谷底(たにぞこ)(すわ)らせられて、221()まつたものぢやありやしない、222馬鹿々々(ばかばか)しい、223照彦(てるひこ)(やつ)224もう()加減(かげん)(しづ)まつたらどうぢや』
225照彦(てるひこ)『オホヽヽヽ、226臆病者(くびやうもの)二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)227淤縢山津見(どやまづみ)228(なに)ドと()れて()るのか。229奥山(くやま)(たに)より(ふか)い、230(みち)()()三五教(あななひけふ)宣伝使(せんでんし)231()うた()()へられ、232浅瀬(あさせ)(わた)ろか(もの)の、233狼心(ほかみごころ)()悪魔(あくま)容物(いれもの)となつた(ばけ)宣伝使(せんでんし)234()(どく)でも、235蠅毒(はひどく)でも、236(ねこ)()らずでも、237(なんぢ)(こころ)()容易(ようい)往生(うじやう)(いた)さぬぞよ。238()るべきは(ひと)(こころ)持方(もちかた)(ひと)つ、239往生際(うじやうぎわ)(わる)守護神(しゆごじん)は、240(かみ)(つな)()つて仕舞(しま)はうか』
241駒山彦(こまやまひこ)『モヽヽヽいて()れ、242()きな(こゑ)俺達(れたち)(びや)かしよつて、243そんな(こと)()ぢつく()ぢやないワイ。244かしな(こゑ)()しよつて、245(ひと)欠点(あら)ばかりほじくる(やつ)は、246()大蛇(ろち)(ほかみ)守護神(しゆごじん)だ。247()神力(しんりき)()せてやらうか、248魂消(たまげ)()()きよるな。249()()()()して()せたら、250(さすが)()守護神(しゆごじん)()をまいて()ちるだらう』
251照彦(てるひこ)ホヽヽヽ面白(もしろ)面白(もしろ)い』
252大正一一・二・一四 旧一・一八 加藤明子録)
   
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