霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 (しこ)(いはや)〔四八七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻 篇:第4篇 満目荒寥 よみ:まんもくこうりょう
章:第20章 第11巻 よみ:しこのいわや 通し章番号:487
口述日:1922(大正11)年03月03日(旧02月05日) 口述場所: 筆録者:岩田久太郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
梅ヶ香姫は、コーカス山に進んで大気津姫を言向け和す決意を宣伝歌に歌った。
船中では、コーカス山側だった大工の馬公、牛公、鹿公、虎公が、宣伝使たちの共になって一緒にコーカス山に進んで行くことになった。
雪深い山道の途中で日が暮れたため、牛公の提案で、近くの岩窟に宿を取ることになった。
牛公の話によると、竹野姫の前にも於縢山津見という宣伝使がやってきたが、やはり大気津姫の部下に捕まって、岩窟の中に閉じ込められてすでに百日以上になる、とのことであった。
牛公は自分がウラル教の目付けであることを口走ってしまう。一同が休んでいる岩窟の外には、ウラル教の捕り手の足音が聞こえてきた。時公はとっさに牛公に当身をくわせて気絶させた。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm1120
愛善世界社版:192頁 八幡書店版:第2輯 583頁 修補版: 校定版:195頁 普及版:84頁 初版: ページ備考:
001 梅ケ香姫(うめがかひめ)立上(たちあが)り、
002四方(よも)山野(さんや)見渡(みわた)せば
003(ゆき)(ころも)(つつ)まれて
004()るも(きよ)けき銀世界(ぎんせかい)
005世界(せかい)(まが)(ちり)(あくた)
006(おほ)ひかくしてしらじらと
007表面(うはべ)(ひか)(いま)()
008何処(どこ)彼処(かしこ)ゆき(つま)
009(あを)きは(うみ)(なみ)ばかり
010青木ケ原(あをきがはら)()れませる
011神伊邪諾(かむいざなぎ)大神(おほかみ)
012木花姫(このはなひめ)御教(みをしへ)
013(てら)()くなる宣伝使(せんでんし)
014()りの友船(ともぶね)(ひと)(おほ)
015(みな)口々(くちぐち)(ささや)きの
016(こと)()(かぜ)(あふ)られて
017(こころ)(くも)(むね)(やみ)
018闇夜(やみよ)(てら)朝日子(あさひこ)
019()出神(でのかみ)(みこと)もて
020曲津(まがつ)(たけ)ぶコーカスの
021大気津姫(おほげつひめ)のあれませる
022(ゆき)()(やま)(むか)ひたる
023竹野(たけの)(ひめ)如何(いか)にして
024岩窟(いはや)(なか)(とら)はれし
025嗚呼(ああ)我々(われわれ)千早振(ちはやふる)
026(かみ)(ひかり)()()けて
027黒白(あやめ)(わか)岩窟(がんくつ)
028(うれひ)(くも)(あね)(きみ)
029(すく)ひまつらで()くべきか
030コーカス(ざん)山颪(やまおろし)
031(なに)かあらむや(かみ)(みち)
032()()(すす)(わが)一行(いつかう)
033(とき)(きた)れり(とき)(いま)
034(あま)窟戸(いはやど)()()けて
035コーカス(ざん)(あつ)まれる
036(もも)魔神(まがみ)言向(ことむ)けむ
037言向(ことむけ)(やは)皇神(すめかみ)
038(ひろ)(こころ)神直日(かむなほひ)
039(めぐみ)(つゆ)大直日(おほなほひ)
040(まが)身魂(みたま)をスクスクに
041直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
042()(なほ)させん宣伝使(せんでんし)
043千変万化(せんぺんばんくわ)神界(しんかい)
044(かみ)御業(みわざ)(かしこ)みて
045言霊(ことたま)(きよ)琵琶(びは)(うみ)
046(わた)りて(すす)五人連(ごにんづれ)
047(こころ)竹野(たけの)(ひめ)(かみ)
048(かみ)(ちから)神嘉言(かむよごと)
049讃美(たた)へて()てよ(いま)(しば)
050(しば)(かく)るる星影(ほしかげ)
051(くも)たち退()けば(はな)(そら)
052(つき)()つとも()くるとも
053()けてはならぬ姉妹(おとどひ)
054(つき)(ゆき)(はな)(もも)()
055意富加牟豆美(おほかむづみ)(あら)はれて
056黄泉戦(よもついくさ)(いさをし)
057()てたる(ごと)今一度(いまいちど)
058天照神(あまてるかみ)御前(おんまへ)
059岩戸(いはと)(びら)きの神業(かむわざ)
060つかへまつらむそれ(まで)
061(とら)(おほかみ)獅子(しし)(くま)
062(しこ)(やいば)をかい(くぐ)
063(きよ)(いのち)(たも)つべく
064(まも)らせ(たま)(かね)(かみ)
065神須佐之男大御神(かむすさのをのおほみかみ)
066国治立(くにはるたち)大御神(おほみかみ)
067三五教(あななひけう)(まも)ります
068(もも)(かみ)(たち)八十(やそ)(かみ)
069松竹梅(まつたけうめ)行末(ゆくすゑ)
070(あつ)(まも)れよ()(まも)
071(しも)国民(くにたみ)()(しぼ)
072(あぶら)()きて(ただ)一人(ひとり)
073(おご)りを(つく)大気津姫(おほげつひめ)
074(かみ)(みこと)(あら)はれし
075ウラルの(ひめ)()(まと)
076八岐大蛇(やまたをろち)醜狐(しこぎつね)
077(しこ)鬼神(おにがみ)八十曲津(やそまがつ)
078(かみ)御息(みいき)(ことごと)
079(まつ)ろへまつる(いま)(とき)
080アヽ(とき)さまよ(やつ)さまよ
081(うし)(うま)鹿(しか)(とら)(かも)さまよ
082(いさ)(すす)んでコーカスの
083(やま)()きまくる(しこ)(かぜ)
084(みな)一息(ひといき)()(はら)
085(はら)(きよ)むる(かみ)(くに)
086(かみ)(くに)との御為(おんため)
087(ちから)(あは)()(つく)
088(のみ)(かんな)をふり()てて
089(かみ)(みち)のみ(あゆ)みつつ
090(かみ)御魂(みたま)惟神(かむながら)
091(たま)(ちはひ)()けよかし
092(すす)めよ(すす)めいざ(すす)
093(すす)めよ(すす)めいざ(すす)め』
094(うた)(をは)りぬ。
095時公(ときこう)(やつ)さま(かも)さまどうだ。096最前(さいぜん)から随分(ずゐぶん)(はしや)いで()大工(だいく)さまの(うし)097(うま)098鹿(しか)099(とら)()(あし)100オツトドツコイ四人(よにん)さまは、101どうやら(とき)さまの宣伝歌(せんでんか)帰順(きじゆん)したらしいぞ。102これも(とき)(ちから)()ふものだ。103貴様(きさま)はいつも(おれ)を、104時々(ときどき)脱線(だつせん)する(をとこ)だから(とき)さまだナンテ、105(ひや)かしよつたがどうだ、106時々(ときどき)功名(こうみやう)(あら)はすたふとき(たつ)とき(とき)さまだぞ』
107八公(やつこう)(なに)(えら)さうに(とき)めきやがる。108たふとき(たつ)とき(おんな)(こつ)ちやないか。109貴様(きさま)クス野ケ原(のがはら)梅ケ香姫(うめがかひめ)のお洒落(しやれ)にかかつた(とき)と、110(ひと)()小僧(こぞう)出逢(であ)つた(とき)状態(ざま)(なん)だい。111()らぬかと(おも)つて法螺(ほら)()いても、112チヤンと(この)(やつ)さんは天眼通力(てんがんつうりき)調(しら)べてあるのだ。113八耳(やつみみ)(やつ)さまと()へば(おれ)(こと)だ。114この(やつ)さまにはどんな(やつ)でも()()くのだぞ』
115時公(ときこう)(やつ)やつだが、116負惜(まけをし)みの(つよ)(やつ)117(わる)(やつ)118法螺(ほら)()(やつ)119(こま)つた(やつ)
120八公(やつこう)『コラコラ(とき)さま、121そらまだ(やつ)だない()つだ、122(やつ)()ツより()いぢやないか』
123時公(ときこう)(やつ)()つと貴様(きさま)身魂(みたま)()(あし)だからそれで(あは)して(やつ)ツになるのだ。124(わか)らぬ(やつ)だなア』
125鴨公(かもこう)『アハヽヽヽ、126コイツ気味(きみ)()い。127(むね)がスツとした。128(なん)でもかでも、129(やつ)かましうする(やつ)だから、130(むら)(もの)愛想(あいさう)()かして、131厄介者(やつかいもの)(あつか)ひにしとる(くらゐ)だから、132コイツ余程(よつぽど)(ひど)(やつ)だ』
133牛公(うしこう)『オイ、134(やつ)さま、135ギユウ(ぎう)()はされて()るな』
136馬公(うまこう)馬鹿野郎(ばかやらう)137状態(ざま)()やがれ』
138鹿公(しかこう)シカられ(とほ)しにして()やがる』
139虎公(とらこう)トラれてばつかり()やがる、140()(あし)(あぶら)を』
141時公(ときこう)(とき)にとつての御愛嬌(ごあいけう)だ』
142 かく雑談(ざつだん)(ふけ)(をり)しも(ふね)(きし)()いた。143船客(せんきやく)一同(いちどう)(ふね)見捨(みす)てて(おも)(おも)ひに(ゆき)(みち)(すす)()く。144松代姫(まつよひめ)一行(いつかう)五人(ごにん)(うし)145(うま)146鹿(しか)147(とら)(くは)へて九人(くにん)()れ、148宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)らコーカス(ざん)目蒐(めが)け、149(ひと)往来(ゆきき)足跡(あしあと)をたよりに、150谷間(たにま)()して(すす)()くのであつた。
151 満山(まんざん)一面(いちめん)大雪(おほゆき)にて、152彼方(あちら)(たに)にも此方(こちら)(たに)にも(ゆき)(おも)さにポンポンと樹木(じゆもく)()れる(おと)頻々(ひんぴん)(きこ)えて()る。
153鴨公(かもこう)『ヤア、154モーそろそろ()(くれ)時分(じぶん)だ。155そこら一面(いちめん)(ゆき)(あか)くなりやがつて、156(ひる)だと(おも)つて()(うち)に、157(よる)になつて仕舞(しま)ふのは(ゆき)(みち)だ。158何処(どこ)ぞこの(へん)猪小屋(ししごや)でもあつたら一服(いつぷく)して、159都合(つがふ)がよければ一泊(いつぱく)やらうかい』
160八公(やつこう)『さうだ、161(おれ)最前(さいぜん)から宿屋(やどや)(さが)して()るのだが、162(これ)から一里(いちり)(ばか)(おく)()けば、163何百軒(なんびやくけん)とも()れぬ、164立派(りつぱ)(いへ)()つて()るのだから、165そこ(まで)無理(むり)()(こと)にしよう』
166時公(ときこう)『ヤア、167()()て、168其処(そこ)まで()つたら最早(もはや)(てき)縄張(なはば)りだ。169それ(まで)一夜(いちや)(あか)し、170草臥(くたびれ)(やす)めて、171明日(あす)元気(げんき)(やしな)ふのだ』
172牛公(うしこう)(わたし)何時(いつ)もこの(へん)往来(わうらい)する(もの)です。173(やま)勝手(かつて)()()つて()ますが、174(この)(たに)(すこ)しく(みぎ)()りると岩窟(いはあな)がある。175其処(そこ)一夜(いちや)(あか)(こと)にしませうか』
176時公(ときこう)『どうです松代姫(まつよひめ)さま』
177松代姫(まつよひめ)『ハイ、178宜敷(よろし)からう、179今晩(こんばん)(ひさ)(ぶり)岩窟(いはあな)逗留(とうりう)さして(もら)ひませうか』
180衆議(しうぎ)一決(いつけつ)して、181牛公(うしこう)案内(あんない)につれ、182(ちひ)さい(たに)()あてに(すす)()く。183牛公(うしこう)()つた(とほ)二三十人(にさんじふにん)気楽(きらく)()られる、184立派(りつぱ)岩窟(がんくつ)があつた。185ここに一行(いつかう)(みの)()き、186(たづさ)()てる無花果(いちじゆく)()つて、187逗留(とうりう)する(こと)になつた。
188梅ケ香姫(うめがかひめ)『アヽ都合(つがふ)のよい岩窟(いはや)ですなア。189(この)岩窟(いはや)()るにつけ、190(おも)()すのは姉様(ねえさん)(こと)191姉様(ねえさん)()()められて()岩窟(いはや)()つたら、192こンなものでせうか』
193牛公(うしこう)滅相(めつさう)もない。194コンナ結構(けつこう)(とこ)ですか、195この山奥(やまおく)には七穴(しちあな)()つて、196(なな)ツの岩穴(いはあな)がある。197さうしてその(あな)(なか)は、198こンな平坦(へいたん)座敷(ざしき)(やう)(とこ)ぢやない。199(わし)(いつ)ぺん這入(はい)つて()(こと)があるが、200(あな)(なか)真暗(まつくら)がりで、201(そこ)(ふか)くて、202なんでも竜宮(りうぐう)(まで)(つづ)いて()ると()(こと)で、203あんな(とこ)()れられようものなら、204ゆつくり(こし)(かけ)(こと)出来(でき)やしない。205両方(りやうはう)岩壁(いはかべ)になつて()る。206そこへ(いは)(とんがり)(あし)()けて、207(ほそ)(あな)(また)(ひろ)げて()()るのだ。208一寸(ちよつと)居眠(ゐねむ)りでもしたが最後(さいご)209(そこ)なき(あな)落込(おちこ)んで仕舞(しま)ふのだ』
210時公(ときこう)『そんな(あな)(なな)つもあるのか』
211牛公(うしこう)『さうです。212(この)(あひだ)()ンでも淤縢山津見(おどやまづみ)とか()(つよ)(やつ)()()て、213大気津姫(おほげつひめ)帰順(きじゆん)さすとか()つて(のぼ)つて()たところ、214大勢(おほぜい)(もの)()つてたかつて()めかけたら、215(やつこ)さま(その)(あな)(なか)(かく)れよつた。216そこで大勢(おほぜい)(もの)()つてたかつて岩蓋(いはぶた)をピシヤーンとしめて、217(そと)から(かぎ)()けた。218それつきり百日(ひやくにち)(ばか)りになるのに(なん)音沙汰(おとさた)()い。219大方(おほかた)(あな)(そこ)()つこつて()んで仕舞(しま)つたやらうとの(うはさ)だ。220それから(しばら)くすると、221()のスラリと(たか)竹野姫(たけのひめ)とか()(せう)便使(べんしい)が、222(せう)便歌(べんか)(うた)つてやつて()た。223そいつは()(くれ)(とま)るところがないものだから、224自分(じぶん)から(あな)(なか)へコソコソとはいつて()きよつた。225馬鹿(ばか)(やつ)もありや()るもんだなア』
226馬公(うまこう)『オイオイ、227さう口穢(くちぎたな)()ふな。228御姉妹(ごきやうだい)()られるぞ』
229牛公(うしこう)『アヽさうだつたなア。230その竹野姫(たけのひめ)()(せう)便使様(べんしさま)が、231(ゆき)()つてお(こま)りと()えて、232(あな)(なか)へコツソリとお這入(はいり)(あそ)ばした。233さうすると大気津姫(おほげつひめ)(さま)手下(てした)悪神様(あくがみさま)が、234「サア御出(おいで)なさつた」と()(かま)へて()らつしやつて、235(そと)からピシヤリと()()しめ(あそ)ばした。236竹野姫(たけのひめ)さまは(なか)から金切声(かなきりごゑ)()ててキヤーキヤー()ぬかし(あそ)ばした。237(そと)からは悪神様(わるがみさま)が「サア()うなつたら百年目(ひやくねんめ)だ、238(そこ)()(あな)()つこちて、239クタバリ(あそ)ばすか、240(かつ)ゑて御死(おし)(あそ)ばすか、241(ふた)つに(ひと)つだ。242(これ)吾々(われわれ)御心配(ごしんぱい)もとれて、243マアマア御安心(ごあんしん)だ」と仰有(おつしや)つて………』
244馬公(うまこう)『コラコラ、245叮嚀(ていねい)()ふもよいが、246(あんま)叮嚀(ていねい)()ぎるぢやないか。247竹野姫(たけのひめ)(さま)(こと)御叮嚀(ごていねい)御話(おはな)してもよいが、248悪神(あくがみ)(はう)()加減(かげん)区別(くべつ)せぬかい』
249牛公(うしこう)『そンな融通(ゆうづう)()(くらゐ)ならカチ()大工(だいく)をやつたり、250ウラル(けう)目付役(めつけやく)をしとるものかい』
251時公(ときこう)(うし)さん随分(ずゐぶん)現金(げんきん)(をとこ)だなア』
252牛公(うしこう)(なが)(もの)には()かれ、253(つよ)いものには(したが)ひ、254(あま)(しる)()へ、255(にが)(しる)()かせと()()(なか)256人間(にんげん)時世時節(ときよじせつ)(したが)ふのが(とく)だからなア』
257時公(ときこう)『お前等(まへら)(いま)(はじ)めて()いたが、258ウラル(けう)目付役(めつけやく)だと()つたね』
259牛公(うしこう)『イーエ、260ソラ(ちが)ひます。261ホンの一寸(ちよつと)(くち)(すべ)つたのでモー牛上(うしあげ)ました』
262時公(ときこう)『イヤ、263さうだなからう』
264牛公(うしこう)左様々々(さやうさやう)265さうだなからう』
266松代姫(まつよひめ)(みな)さま、267モウ()ませうか、268サア、269(これ)から神言(かみごと)奏上(そうじやう)して、270宣伝歌(せんでんか)一同(いちどう)(そろ)つて()げませう』
271時公(ときこう)『それは宜敷(よろし)からう。272(しか)今日(けふ)(わたし)(かんが)へがありますから、273籤引(くじびき)をして(いち)(あた)つた(もの)から、274発声(はつせい)する(こと)にさして(くだ)さい』
275松代姫(まつよひめ)(とき)さまの御随意(ごずゐい)に……』
276時公(ときこう)『サアサア、277これから籤引(くじびき)だ。278御婦人方(ごふじんがた)免除(めんぢよ)だ。279(をとこ)七人(しちにん)籤引(くじびき)だ。280一番(いちばん)(なが)(やつ)()いた(もの)発声(はつせい)するのだ』
281()ひながら草蓑(くさみの)(はし)千切(ちぎ)つて長短(ちやうたん)をこしらへ、
282時公(ときこう)『サア、283()いたり()いたり』
284六人(ろくにん)(まへ)()()した。285六人(ろくにん)(あらそ)つて(これ)()いた。
286時公(ときこう)『ヤア、287牛公(うしこう)一番(いちばん)(なが)いのを()いたぞ。288サア牛公(うしこう)289(まへ)から宣伝歌(せんでんか)発声(はつせい)だ。290アレ()(ふね)(なか)でも(をし)へてあるなり、291途々(みちみち)()かしてあるから()へるだらう』
292牛公(うしこう)『ハイハイ、293(たしか)()へます。294一遍(いつぺん)()いたら(わす)れぬと()地獄耳(ぢごくみみ)だから、295(なん)でもかでも(みな)(おぼ)えて()る。296ソンナラ皆様(みなさま)今日(けふ)(わたくし)導師(だうし)だ。297(あと)から()いて()るのだよ』
298()(なが)牛公(うしこう)宣伝歌(せんでんか)(うた)(はじ)めた。
299牛公(うしこう)(かみ)(おもて)(あら)はれて
300(ぜん)茶碗(ちやわん)()()ける
301この()(うま)いは燗酒(かんざけ)ぢや
302心持(こころもち)よき大御酒(おほみき)ぢや
303(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
304(さけ)(をんな)()ツちよい
305()めよ(さわ)げや一寸先(いつすんさき)(やみ)
306(やみ)(あと)には(つき)()る』
307一同(いちどう)『アハヽヽヽヽ』
308鴨公(かもこう)『コラ牛公(うしこう)309貴様(きさま)矢張(やつぱり)ウラル(けう)だ。310一寸先(いつすんさき)(やみ)だなんて(ほざ)きやがつて、311()(なほ)せ。312(ぜん)(わん)とを()()けるとは(なん)だ。313法螺事(ほらごと)ばつかり()ひやがつて』
314牛公(うしこう)(きま)つた(こと)よ、315大気津姫(おほげつひめ)家来(けらい)だもの、316()(こと)と、317()(こと)と、318()(こと)より(ほか)には(なに)もないのだ。319その(くせ)()つたり()んだりする(くち)から()るのだもの、320()(こと)()(こと)()ふのは(あた)(まへ)だ。321サア、322(かも)とやら、323もう一口(ひとくち)()ふなら()つて()い。324徳利(とくり)(くち)ぢや、325一口(ひとくち)にやられるぞ。326土瓶(どびん)(くち)ぢや、327二口(ふたくち)()ふなら()つて()い』
328時公(ときこう)『エー、329仕様(しやう)のない(やつ)だ。330こんな(ところ)洒落(しやれ)どころか、331仕様(しやう)がない、332発起人(ほつきにん)(おれ)導師(だうし)になつて、333宣伝歌(せんでんか)(とな)へるから、334前達(まへたち)()いて()るのだ』
335()ひつつ宣伝歌(せんでんか)(うた)(はじ)めた。336一同(いちどう)(その)あとに()いて(うた)つて()る。337この(とき)幾百人(いくひやくにん)とも()れぬ足音(あしおと)岩窟(いはや)(そと)(きこ)えて()た。338牛公(うしこう)岩戸(いはと)隙間(すきま)より一寸(ちよつと)(のぞ)いて、
339牛公(うしこう)『ヤア、340御出(おいで)た、341御出(おいで)た、342()(だけ)味方(みかた)があれば何程(なにほど)時公(ときこう)(つよ)うても大丈夫(だいぢやうぶ)だ』
343口走(くちばし)つた。344時公(ときこう)は、
345時公(ときこう)『これは大変(たいへん)
346牛公(うしこう)()()(くら)はした。347(うし)はウンとその()(たふ)れた。348足音(あしおと)次第々々(しだいしだい)(とほ)ざかり()くのであつた。
349大正一一・三・三 旧二・五 岩田久太郎録)