霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 十六花(じふろくくわ)〔五七〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻 篇:第1篇 正邪奮戦 よみ:せいじゃふんせん
章:第3章 第15巻 よみ:じゅうろくか 通し章番号:570
口述日: 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年12月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
太玉命が路傍の岩に腰掛けて天津祝詞を奏上するおりしも、夜は明けてきた。そこへ、岩彦、梅彦、音彦、亀彦、駒彦、鷹彦らの宣伝使が、駒に乗ってやってきた。六人は、フサの都より、太玉命の加勢にやってきたのであった。
悪神らは巨人と谷川の幻影を見せて一行の進入を阻もうとするが、太玉命らは見破る。一行七人は荘厳な城壁にまでついにたどり着いた。そして、顕恩郷の婆羅門の大将・鬼雲彦に合わせるよう門番を厳しく問い詰める。
門番はあわてて、宣伝使たちを城に迎え入れた。婆羅門教の将卒たちが左右に整列して居並ぶ中を、宣伝使たちは奥へと進んで行った。
十数人の美人が現れ、一行を奥殿に招き入れる。そこにはご馳走が並べられていた。鷹彦は美人たちに毒味を所望し、安全だとわかると岩彦は盃をぐっと飲み干した。しかし音彦と駒彦は食事に手をつけなかった。
鬼雲彦夫婦が現れ、婆羅門教は霊主体従であり、三五教とは姉妹教にあたる、ぜひ提携したい、と腰を低くして挨拶した。そして美人の中の愛子姫、幾代姫に舞を舞わせ、酒食を勧めた。顕恩郷の婆羅門の上役たちも、宴に参加して飲み、かつ食らった。
宣伝使らは酒を飲んで酔った振りをしつつ、警戒を解かないでいた。しばらくすると、顕恩郷の上役たちは黒血を吐いて苦しみ始めた。宣伝使たちも、苦悶の態を装って倒れた振りをした。
鬼雲彦夫婦は、毒の入った酒を自分の部下に飲ませて宣伝使たちを油断させ、諸共に葬ってしまおうという計略だった。
しかし鬼雲彦に仕えていた十六人の美人たちは、婆羅門教の将卒たちが毒に倒れて警備が薄くなったのを見ると、懐剣を抜いて鬼雲彦夫婦に迫った。美人たちは、実は神素盞嗚尊の密使たちであると明かした。
鬼雲彦夫婦は形勢不利と見ると、大蛇となり邪神の本性を現して、遠く東方の天を目指して逃げてしまった。
十六美人のうち愛子姫を始めとする八人は、神素盞嗚尊の実の娘たちで、婆羅門教に囚われた振りをして顕恩郷に入り込んでいた。残りの八人は婆羅門教の侍女たちであったが、愛子姫らが三五教の教えを感化し、今は三五教徒となっていたのであった。
太玉命は、あらかじめ自分自身の娘たちを敵地に忍ばせて、顕恩郷奪回の準備をされていた神素盞嗚尊の深いご神慮を悟り、ありがたさに涙に暮れて神言を奏上した。
すると、そこへ妙音菩薩が女神の姿で現れ、顕恩郷には太玉命と愛子姫、浅子姫が残って守備につき、残りの宣伝使・女人たちはエデン河を渡ってイヅ河へ向かうように、と託宣した。妙音菩薩は、先にエデン河に落ちて帰幽した安彦、国彦、道彦、田加彦、百舌彦の五人は蘇生して、イヅ河のほとりで一行と合流するであろう、と告げて姿を隠した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm1503
愛善世界社版:28頁 八幡書店版:第3輯 290頁 修補版: 校定版:27頁 普及版:12頁 初版: ページ備考:
001 太玉命(ふとたまのみこと)路傍(ろばう)(いは)腰打掛(こしうちか)け、002天津祝詞(あまつのりと)声低(こゑびく)奏上(そうじやう)しつつあつた。003百鳥(ももどり)(こゑ)遠近(ゑんきん)(はやし)(きこ)(はじ)めた。004(ひがし)(そら)はほんのりとして(あかつき)(いろ)刻々(こくこく)さえて()た。005数多(あまた)魔神(まがみ)(こゑ)(もり)彼方(あなた)にザワザワと(きこ)(きた)る。006油断(ゆだん)ならじとキツト身構(みがまへ)する(をり)しもあれ、007(うま)(ひづめ)(おと)いと(たか)く、008岩彦(いはひこ)009梅彦(うめひこ)010音彦(おとひこ)011亀彦(かめひこ)012駒彦(こまひこ)013鷹彦(たかひこ)()()(ごと)(この)()馳来(はせきた)り、014太玉命(ふとたまのみこと)(むか)つて、
015岩彦(いはひこ)『ヤア貴下(きか)太玉命(ふとたまのみこと)宣伝使(せんでんし)016私等(わたくしら)はフサの(みやこ)(おい)て、017()出別神(でわけのかみ)(めい)()り、018貴下(きか)(とも)顕恩郷(けんおんきやう)言向和(ことむけやは)さむと、019エデン(がは)濁流(だくりう)(わた)り、020(やうや)此処(ここ)()(さん)じたり、021一行(いつかう)人々(ひとびと)如何(いかが)なりしか』
022太玉命(ふとたまのみこと)『ヤア(おも)ひも()らぬ貴下等(きから)御入来(ごじふらい)023いよいよこれより(てき)牙城(がじやう)唯一人(ただひとり)進撃(しんげき)せむとする場合(ばあひ)御座(ござ)る。024(かく)(ごと)曲神(まがかみ)(とりで)言向(ことむ)(やは)すは(われ)一人(ひとり)にて充分(じゆうぶん)なり。025折角(せつかく)御出馬(ごしゆつば)なれど、026貴下(きか)(すみや)かにフサの(みやこ)引返(ひきかへ)し、027夫々(それぞれ)神業(しんげふ)()かせられたし』
028岩彦(いはひこ)『それはあまり無謀(むぼう)(きはみ)(まを)すもの、029吾々(われわれ)折角(せつかく)山川(さんせん)(わた)(やうや)此処(ここ)立向(たちむか)ひ、030目前(もくぜん)(てき)()ながら(むな)しく(こま)(かしら)()(なほ)すは、031男子(だんし)本分(ほんぶん)にあらず。032(ねが)はくは吾等(われら)(この)神戦(しんせん)参加(さんか)させ(たま)へ』
033 梅彦(うめひこ)以下(いか)五人(ごにん)宣伝使(せんでんし)は、034(くち)(そろ)へて従軍(じゆうぐん)せむことを強要(きやうえう)した。
035太玉命(ふとたまのみこと)(しか)らば是非(ぜひ)(およ)ばぬ、036御苦労(ごくらう)(なが)御加勢(ごかせい)(ねが)ふ』
037早速(さつそく)御承知(ごしようち)038有難(ありがた)(かたじけ)なし』
039一行(いつかう)六人(ろくにん)は、040太玉命(ふとたまのみこと)(あと)()いて、041(やま)(ふか)(すす)()る。042この()光景(くわうけい)絵巻物(ゑまきもの)()(ごと)くであつた。
043 (すす)むこと一里(いちり)(はん)(ばか)り、044此処(ここ)には(ふか)谷川(たにがは)(よこ)たはつて()る。045その(はば)(ほとん)十間(じつけん)(ばか)り、046ピタツと行詰(ゆきつま)つた。047七人(しちにん)宣伝使(せんでんし)(しばら)此処(ここ)(こま)(つな)ぎ、048少憩(せうけい)し、049如何(いか)にして(この)渓谷(たに)対岸(むかふ)(わた)らむかと協議(けふぎ)()らしつつありき。050(たに)向側(むかふがは)には、051オベリスクの()うな帽子(ばうし)(かぶ)つた半鐘泥棒的(はんしようどろぼうてき)ジヤイアントが七八人(しちはちにん)052巨眼(きよがん)(ひら)き、053大口(おほぐち)()けてカラカラと打笑(うちわら)ひ、
054『ワハヽヽヽハア、055どうぢや、056何程(なにほど)(きも)太玉(ふとたま)(みこと)でも、057この谷川(たにがは)(わた)ることは出来(でき)まい(この)川底(かはぞこ)熟視(じゆくし)せよ』
058(ゆびさ)す。059()れば川底(かはぞこ)には、060空地(あきち)なき(ほど)061二尺(にしやく)(ばか)りの鋭利(えいり)なる(やり)穂先(ほさき)が、062幾百千(いくひやくせん)ともなく、063土筆(つくし)()えてる(やう)直立(ちよくりつ)して()る。064(この)(かは)()ちるが最後(さいご)065如何(いか)なる肉体(にくたい)芋刺(いもざし)となつて(ほろ)びねばならぬシーンを(あら)はして()る。066太玉命(ふとたまのみこと)はカラカラとうち(わら)ひ、
067『これしきの谷川(たにがは)(おそ)れて、068三五教(あななひけう)宣伝(せんでん)出来(でき)ようか、069美事(みごと)(わた)つて()せうぞ』
070()ふより(はや)一同(いちどう)目配(めくば)せした。071一同(いちどう)心得(こころえ)たりと(うま)(またが)り、072太玉命(ふとたまのみこと)岩彦(いはひこ)背後(はいご)飛乗(とびの)り、073(たちま)四五丁(しごちやう)(ばか)(もと)(きた)りし(みち)引返(ひきかへ)し、074(また)もや馬首(ばしゆ)(てん)(むち)をうちつつ、075(はば)三間(さんげん)(ばか)りの谷合(たにあひ)(いきほひ)(まか)せて一足飛(いつそくとび)()()えた。076巨大(きよだい)(をとこ)(おどろ)(あは)て、077(くも)(かすみ)逃帰(にげかへ)る。078(また)もや(つづ)いて梅彦(うめひこ)079鷹彦(たかひこ)080亀彦(かめひこ)081その()一同(いちどう)矢庭(やには)(こま)(むちう)つて、082(なん)なく(この)谷川(たにがは)打渡(うちわた)り、083(あと)振返(ふりかへ)()れば(あに)(はか)らむや、084谷川(たにがは)らしきものは(ひと)つもなく、085(くさ)茫々(ばうばう)()(しげ)平野(へいや)であつた。
086太玉命(ふとたまのみこと)『アハヽヽヽ、087(また)(だま)しをつた、088各方(おのおのがた)()()()けねばなりませぬぞ、089(この)前途(さき)仮令(たとへ)如何(いか)なる渓谷(けいこく)ありとも平気(へいき)(わた)ることに(いた)しませうかい。090神変(しんぺん)不可思議(ふかしぎ)妖術(えうじゆつ)使(つか)悪魔(あくま)巣窟(そうくつ)ですから、091最前(さいぜん)(わが)(つま)松代姫(まつよひめ)092(およ)(むすめ)照妙姫(てるたへひめ)(へん)じ、093(わが)精神(せいしん)(にぶ)らさむと(いた)せし魔神(まがみ)計略(けいりやく)094()(まで)(たば)かられない(やう)()()けて(まゐ)りませう』
095(さき)()つて(すす)()く。096一同(いちどう)(うま)(かたはら)樹木(じゆもく)(つな)ぎ、097(やま)(やま)との渓道(たにみち)を、098宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)(やま)(ふか)(すす)むのであつた。099()(こと)数里(すうり)にして、100荘厳(さうごん)なる城壁(じやうへき)(まへ)にピタリと突当(つきあた)つた。101朱欄碧瓦(しゆらんへきぐわ)宏壮(くわうさう)なる大門(おほもん)()てられ、102方尖塔(はうせんたふ)(ごと)(かむり)(かぶ)りたる四五(しご)のジヤイアント(もん)(かた)(まも)つて()る。103太玉命(ふとたまのみこと)一行(いつかう)(たちま)門前(もんぜん)立現(たちあら)はれ、
104()れこそは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)105当国(たうごく)には八岐大蛇(やまたをろち)106金狐(きんこ)107悪鬼(あくき)邪霊(じやれい)憑依(ひようい)されたる鬼雲彦(おにくもひこ)夫妻(ふさい)立籠(たてこも)り、108不公平(ふこうへい)(きは)まる神政(しんせい)()き、109この顕恩郷(けんおんきやう)をして(ほとん)地獄(ぢごく)境地(きやうち)(へん)ぜしめたるは、110天恵(てんけい)無視(むし)する大罪(だいざい)なれば、111(われ)(これ)より鬼雲彦(おにくもひこ)善道(ぜんだう)帰順(きじゆん)せしめむため、112大神(おほかみ)(めい)(ほう)じて宣伝(せんでん)(むか)うたり。113(すみや)かに(この)門扉(もんぴ)(ひら)けよ』
114言葉(ことば)(きび)しく(なじ)()る。115門番(もんばん)面喰(めんくら)ひながら、
116(しばら)くお()(くだ)さいませ、117あなた(がた)のエデン(がは)御渡(おわた)りありしより城内(じやうない)(うへ)(した)への大混雑(だいこんざつ)118如何(いか)にして貴下等(きから)満足(まんぞく)せしめむやと、119鬼雲彦(おにくもひこ)大将(たいしやう)()かせられても千辛万苦(せんしんばんく)御有様(おんありさま)120やがて開門(かいもん)のシグナルの(かね)(ひび)(わた)りますれば、121それ(まで)ゆるゆる此処(ここ)御休息(ごきうそく)(ねが)ひたし。122(かなら)(かなら)敵対(てきたい)(まを)(もの)一柱(ひとはしら)()りませぬ。123御安心(ごあんしん)(くだ)さいませ』
124音彦(おとひこ)『ヤア(その)(はう)(なん)ぢや()ぢやと(ひま)()らせ、125(その)(あひだ)戦闘(せんとう)準備(じゆんび)(ととの)へ、126吾々(われわれ)鏖殺(おうさつ)せむとするの計略(けいりやく)ならむ。127ソンナ ヨタリスクは()(みみ)()たぬ、128(すみやか)(この)(もん)(ひら)けよ』
129門番(もんばん)『これ(ほど)申上(まをしあ)げてもお(うたがひ)()れずば、130御自由(ごじいう)御這入(おはい)(くだ)さいませ』
131()ふより(はや)く、132(くぐ)(もん)(ひら)いて、133門内(もんない)姿(すがた)(かく)して(しま)つた。
134鷹彦(たかひこ)(ひと)吾々(われわれ)還元(くわんげん)芸当(げいたう)をやつて、135城内(じやうない)(くま)なく偵察(ていさつ)をやつて()ませう』
136(たちま)霊鷹(れいよう)(へん)じ、137中空(ちうくう)舞上(まひあが)り、138顕恩城(けんおんじやう)内外(ないぐわい)(くま)なく偵察(ていさつ)し、139もとの大門(おほもん)(あら)はれ(きた)り、140(なか)より(かんぬき)(はづ)し、141門扉(もんぴ)左右(さいう)(ひら)いた。
142鷹彦(たかひこ)『サアサア(これ)から吾々(われわれ)一同(いちどう)活動(くわつどう)のステージだ。143(くつわ)(なら)べて七人(しちにん)がスパークを()らして、144奮戦(ふんせん)するの(とき)(せま)つた、145ヤア面白(おもしろ)面白(おもしろ)し、146太玉命(ふとたまのみこと)(つづ)かせ(たま)へ』
147(さき)()つて(すす)()く。148数多(あまた)(てき)左右(さいう)に、149(あり)(つど)ふが(ごと)整列(せいれつ)して、150七人(しちにん)通行(つうかう)敵対(てきたい)もせず、151歓迎(くわんげい)もせぬと()態度(たいど)にて()まもつて()る。
152岩彦(いはひこ)『ヤア各方(おのおのがた)153あれ(だけ)沢山(たくさん)(てき)吾々(われわれ)抵抗(ていかう)(いた)さず、154各自(めいめい)手槍(てやり)(たづさ)(なが)目送(もくそう)しつつあるは、155合点(がてん)()かぬ次第(しだい)御座(ござ)る。156(あま)軽々(かるがる)しく(すす)()ぎて、157四方(しはう)八方(はつぱう)より取囲(とりかこ)まれなば、158如何(いかん)とも出来(でき)ない(やう)破目(はめ)(おちい)るかも()れませぬぞ、159これは(ひと)(かんが)へねばなりますまい』
160太玉命(ふとたまのみこと)『ナニ躊躇(ちうちよ)逡巡(しゆんじゆん)三五教(あななひけう)大禁物(だいきんもつ)161生死(せいし)も、162勝敗(しようはい)も、163(みな)(かみ)()(にぎ)られあれば、164(うん)(てん)(まか)せ、165()(ところ)(まで)()つて()ませう』
166太玉命(ふとたまのみこと)(さき)()つて(すす)()く。167鬼雲彦(おにくもひこ)御殿(ごてん)(まへ)近付(ちかづ)(をり)しも、168瀟洒(せうしや)たる白木(しらき)(もん)をサラリと(ひら)いて悠々(いういう)(あら)はれ(きた)十数人(じふすうにん)窈窕嬋研(ようてうせんけん)たる美人(びじん)169スノーの(ごと)繊手(せんしゆ)()(なが)ら、
170『これはこれは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(さま)御一行様(ごいつかうさま)171()うマア遥々(はるばる)()(くだ)さいました。172鬼雲彦(おにくもひこ)御大将(おんたいしやう)御命令(ごめいれい)()りて、173(わらは)一同(いちどう)はお(むか)へに(まゐ)りました。174(わけ)(わか)らぬ者共(ものども)種々(いろいろ)御無礼(ごぶれい)(はたら)きましたでせう、175何事(なにごと)()らはぬスレーブの()(わざ)と、176(ひろ)(あつ)大御心(おほみこころ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)(くだ)さいまして、177ゆるゆると奥殿(おくでん)にて御休息(ごきうそく)(うへ)178(たふと)御話(おはなし)をお()かせ(くだ)さいませ、179御大将(おんたいしやう)(さだ)めて御満足(ごまんぞく)(こと)(ぞん)じます』
180言葉(ことば)スガスガしく、181満面(まんめん)(ゑみ)(たた)へて慇懃(いんぎん)挨拶(あいさつ)する。182太玉命(ふとたまのみこと)以下(いか)宣伝使(せんでんし)は、183張合(はりあひ)()けたる(ごと)心地(ここち)(なが)ら、184美人(びじん)一行(いつかう)(あと)()いて、185奥殿(おくでん)悠々(いういう)(すす)()るのであつた。
186 宣伝使(せんでんし)一行(いつかう)は、187顕恩城(けんおんじやう)奥殿(おくでん)(ふか)(すす)()つた。188山海(さんかい)珍味(ちんみ)整然(せいぜん)として(なら)べられてあつた。189美人(びじん)(うち)最年長者(さいねんちやうしや)()ゆる、190(まなこ)(すず)しく、191()(たか)愛子姫(あいこひめ)(あふ)るる(ばか)りの愛嬌(あいけう)(たた)へ、
192『これはこれは宣伝使(せんでんし)(さま)193()うこそ遠路(ゑんろ)(ところ)()らせられました。194顕恩郷(けんおんきやう)名産(めいさん)195(もも)果実(このみ)(はじ)め、196種々(いろいろ)(めづ)らしき(もの)(もつ)馳走(ちそう)(こしら)へました、197(なか)()いたで御座(ござ)いませう、198どうぞ御遠慮(ごゑんりよ)なくお(めし)あがり(くだ)さいませ。199果実(このみ)(さけ)沢山(たくさん)御座(ござ)いますれば御遠慮(ごゑんりよ)なく……サアお(しやく)をさして(いただ)きませう』
200()ふより(はや)く、201(さかづき)太玉命(ふとたまのみこと)()した。
202『ヤア(おも)ひがけなき山野河海(さんやかかい)珍味(ちんみ)203御芳志(ごはうし)(だん)(おそ)()りました。204それに()いても当城(たうじやう)御大将(おんたいしやう)鬼雲彦(おにくもひこ)面会(めんくわい)(うへ)205(いただ)きませう』
206愛子姫(あいこひめ)御大将(おんたいしやう)只今(ただいま)御出席(ごしゆつせき)になります、207それまでに御寛(ごゆる)りと御酒(おさけ)(あが)つてお()(くだ)さいませ』
208 岩彦(いはひこ)209大口(おほぐち)()けて、
210『アハヽヽヽ、211どこ(まで)()かりのない悪神(あくがみ)計略(けいりやく)212太玉命(ふとたまのみこと)御大将(おんたいしやう)213迂濶(うつか)(さけ)でも(くち)()れるものなら、214それこそ大変(たいへん)だ。215七転八倒(しちてんばつたう)216苦悶(くもん)結果(けつくわ)217(あへ)なき最期(さいご)()げにけりだ。218ナア梅彦(うめひこ)サン、219あなたはどう(おも)ひますか』
220梅彦(うめひこ)吾々(われわれ)五里霧中(ごりむちう)彷徨(はうくわう)為体(ていたらく)だ、221(ゆめ)牡丹餅(ぼたもち)222()つた牡丹餅(ぼたもち)はダイナマイトの御馳走(ごちそう)か、223(なに)()んだか、224サツパリ不得要領(ふとくえうりやう)だ。225ナア鷹彦(たかひこ)サン、226あなたはどう(おも)ふか』
227鷹彦(たかひこ)()十六人(じふろくにん)別嬪(べつぴん)さまから、228毒味(どくみ)をして(いただ)きませう。229(その)(うへ)でなくば到底(たうてい)安心(あんしん)出来(でき)ない、230ナア愛子姫(あいこひめ)さまとやら、231さう(ねが)ひませうか』
232愛子姫(あいこひめ)『オホヽヽヽ、233御心配(ごしんぱい)(くだ)さいますな、234(しか)らば(わたし)がお(さき)失礼(しつれい)(いた)します』
235(さかづき)(さけ)()いで、236グツト()んだ。
237岩彦(いはひこ)妙々(めうめう)238これや心配(しんぱい)()らぬらしいぞ、239ナア(おと)サン、240(こま)サン………百味(ひやくみ)飲食(おんじき)心持(こころもち)よく(いただ)きませうか』
241 音彦(おとひこ)242駒彦(こまひこ)(かうべ)左右(さいう)打振(うちふ)り、243黙然(もくねん)として(うつ)むくのみであつた。244(おく)(ふすま)引開(ひきあ)けて悠々(いういう)として(あら)はれ(きた)鬼雲彦(おにくもひこ)夫婦(ふうふ)245目鼻(めはな)()かつたら、246万金丹計量(まんきんたんばかり)か、247(すな)(ぱら)夕立(ゆふだち)か、248山葵卸(わさびおろし)(やう)不景気(ふけいき)面付(つらつき)に、249所々(ところどころ)(いろ)(かは)つたアドラスの(やう)な、250(ふく)(づら)をニユツと()しドス(ごゑ)になつて、
251『これはこれは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(さま)252当城(たうじやう)御聞及(おききおよび)(とほり)253霊主体従(れいしゆたいじゆう)本義(ほんぎ)(いた)すバラモン(けう)(をしへ)()つる屈強(くつきやう)場所(ばしよ)254三五教(あななひけう)(かね)()霊主体従(れいしゆたいじゆう)正教(せいけう)にして、255ウラル(けう)(ごと)体主霊従(たいしゆれいじう)邪教(じやけう)にあらず、256バラモン(けう)(ここ)(かんがみ)(ところ)あり、257ウラル(けう)改造(かいざう)して、258真正(しんせい)霊主体従教(れいしゆたいじゆうけう)樹立(じゆりつ)せしもの、259()(まつた)(てん)時節(じせつ)到来(たうらい)せるもの、260()はば三五教(あななひけう)とバラモン(けう)()つても()れぬ、261教理(けうり)(おい)て、262(しん)のシスター(けう)であります。263どうぞ以後(いご)(たがひ)胸襟(きようきん)(ひら)いて、264(あひ)提携(ていけい)されむ(こと)懇願(こんぐわん)(いた)します』
265御面相(ごめんさう)にも似合(にあ)はぬ、266御叮嚀(ごていねい)挨拶(あいさつ)をするのであつた。267太玉命(ふとたまのみこと)はこれに(こた)へて、
268何分(なにぶん)(よろ)しく、269今後(こんご)はシスター(けう)として提携(ていけい)(いた)したい。270()れに()いては(たがひ)(ちやう)()(たん)(おぎな)ひ、271(せい)()()(けづ)り、272神聖(しんせい)なる大神(おほかみ)御心(みこころ)(かな)ふべき教理(けうり)()てたきもので御座(ござ)います。273吾々(われわれ)一行(いつかう)274当城(たうじやう)(まゐ)途中(とちう)(おい)て、275妖怪(えうくわい)変化(へんげ)数多(あまた)出没(しゆつぼつ)するは何故(なにゆゑ)ぞ。276バラモン(けう)(かく)(ごと)妖術(えうじゆつ)(もつ)世人(せじん)誑惑(けうわく)し、277信仰(しんかう)(みち)()()れむとするや、278(その)()()(ところ)(うけたま)はりたし』
279(やや)語気(ごき)(つよ)めて詰問的(きつもんてき)()た。280鬼雲彦(おにくもひこ)281(こと)もなげに打笑(うちわら)ひ、
282『アハヽヽヽ、283左様(さやう)御座(ござ)いましたか、284(ことわざ)にも()ふ、285正法(しやうはふ)不思議(ふしぎ)()し、286不思議(ふしぎ)()るは正法(しやうはふ)にあらず。287(この)メソポタミヤは世界(せかい)天国(てんごく)楽土(らくど)(きこ)えたれば、288甘味(かんみ)(おほ)果物(くだもの)悪虫(あくちう)簇生(ぞくせい)するが(ごと)く、289天下(てんか)悪神(あくがみ)(この)()蝟集(ゐしふ)して、290妖邪(えうじや)(おこな)ふならむ、291(けつ)して(けつ)して霊主体従(れいしゆたいじゆう)のバラモン(けう)主意(しゆい)にあらず。292正邪(せいじや)混淆(こんかう)し、293善悪(ぜんあく)一視(いつし)されては、294(いささ)迷惑(めいわく)(いた)りで御座(ござ)います。295(また)(なか)には教理(けうり)()体得(たいとく)せざる(もの)(おほ)く、296(ある)パートに()りては羊頭(やうとう)(かか)げて狗肉(くにく)()宣伝使(せんでんし)絶無(ぜつむ)保証(ほしよう)(がた)し。297何教(なにけう)(いへど)も、298創立(さうりつ)(さい)(すべ)て、299ハーモニーを()くもの、300何卒(なにとぞ)時節(じせつ)(ちから)()つてバラモン(けう)真価(しんか)御覧(ごらん)(くだ)さい。301創立(さうりつ)()もなき(わが)(をしへ)302到底(たうてい)ノーマルに(はま)つた教理(けうり)は、303容易(ようい)完成(くわんせい)(がた)いのは三五教(あななひけう)創立(さうりつ)当初(たうしよ)()けると同様(どうやう)でありませう、304アハヽヽヽ』
305(あご)をしやくり、306(やや)(そら)()いて嘲笑的(てうせうてき)(わら)ふのであつた。307鬼雲姫(おにくもひめ)言葉(ことば)(やさ)しく、
308『これはこれは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(さま)309()くこそ御訪問(ごはうもん)(くだ)さいました。310(をしへ)(はなし)になりますと自然(しぜん)堅苦(かたぐる)しくなつて、311()(しら)けます、312(はなし)はゆつくりと(あと)(うけたま)はることに(いた)しませう。313心許(こころばか)りの馳走(ちそう)314何卒(なにとぞ)御遠慮(ごゑんりよ)なくお(あが)(くだ)さいませ、315(けつ)して(どく)などは(はい)つては()りませぬから…………』
316岩彦(いはひこ)『これはこれは(おも)ひがけなき御饗応(ごきやうおう)317吾々(われわれ)(ごと)乞食(こじき)宣伝使(せんでんし)は、318()(こと)御座(ござ)らぬ山野河海(さんやかかい)珍味(ちんみ)319有難(ありがた)頂戴(ちやうだい)(いた)しませう』
320 鬼雲彦(おにくもひこ)は、321愛子姫(あいこひめ)322幾代姫(いくよひめ)(むか)ひ、
323『ヤア愛子姫(あいこひめ)324幾代姫(いくよひめ)両人(りやうにん)325遠来(ゑんらい)珍客(ちんきやく)(ねぎら)(ため)326汝等(なんぢら)二人(ふたり)はアルマの(やく)(つと)め、327舞曲(ぶきよく)(えん)じて御目(おんめ)()けよ』
328『アイ』
329(こた)へて、330両女(りやうぢよ)白扇(はくせん)(ひら)き、331春野(はるの)(はな)(てふ)(くる)ふが(ごと)く、332()軽々(かるがる)しく長袖(ちやうしう)(ひるがへ)して、333前後左右(ぜんごさいう)(をど)(くる)ふた。334顕恩城(けんおんじやう)上役(うはやく)335数十人(すうじふにん)(この)()(あら)はれ、336(さけ)()ひて、337(あるひ)()ひ、338(あるひ)(うた)ひ、339(つひ)には無礼講(ぶれいかう)(へん)じ、340赤裸(まつぱだか)になつて(をど)(くる)ふ。341七人(しちにん)宣伝使(せんでんし)心許(こころゆる)さず、342表面(へうめん)(さけ)()(つぶ)れたる(てい)(よそほ)ひ、343他愛(たあい)もなく(あご)(ひも)()いて、344(あるひ)(わら)ひ、345(あるひ)(うた)ひ、346余念(よねん)なき(てい)(よそほ)うて()た。347不思議(ふしぎ)数十人(すうじふにん)顕恩城(けんおんじやう)上役(うはやく)面々(めんめん)は、348(たちま)黒血(くろち)()き、349()()き、350鼻水(はなみづ)()らし、351さしもに(ひろ)殿内(でんない)を、352呻吟(うめき)(こゑ)諸共(もろとも)に、353のたうち(まは)り、354顔色(がんしよく)(あるひ)(あを)く、355(あるひ)(くろ)く、356(あか)く、357苦悶(くもん)(いき)(あらし)(ごと)()()てた。358十六人(じふろくにん)美人(びじん)は、359てんで(たすき)十文字(じふもんじ)にあやどりて、360人々(ひとびと)介抱(かいほう)従事(じゆうじ)した。361七人(しちにん)宣伝使(せんでんし)もお附合(つきあひ)に、362苦悶(くもん)(てい)(よそほ)ひ、363縦横無尽(じうわうむじん)に、
364(くる)しい(くる)しい』
365()(なが)ら、366跳廻(はねまは)るのであつた。367(この)(てい)()鬼雲彦(おにくもひこ)夫妻(ふさい)高笑(たかわら)ひ、
368『アハヽヽヽ、369(なんぢ)太玉命(ふとたまのみこと)370(わが)計略(けいりやく)にかかり、371()くも(へた)ばつたな、372口汚(くちぎたな)宣伝使(せんでんし)373(どく)()らずに調子(てうし)()つて、374(いのち)()つる(おろか)さよ。375(ああ)376さり(なが)味方(みかた)強者(つはもの)数多(あまた)(ころ)すは残念(ざんねん)なれど、377(かく)(ごと)豪傑(がうけつ)(たふ)すには、378多少(たせう)犠牲(ぎせい)(まぬが)れざる(ところ)379……ヤアヤア数多(あまた)家来(けらい)(ども)380汝等(なんぢら)毒酒(どくしゆ)()(いま)生命(いのち)()つると(いへど)も、381バラモン(けう)神力(しんりき)()つて、382栄光(さかえ)歓喜(よろこび)とに()てる天国(てんごく)(すく)はれ、383永遠(えいゑん)にバラモンの(まも)(がみ)となるべきステーヂなれば心残(こころのこ)さず帰幽(きいう)(いた)せ、384……ヤア三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)385()身変(しんぺん)不思議(ふしぎ)神術(かむわざ)には(おそ)()つたか、386最早(もはや)(かな)はぬ全身(ぜんしん)(まは)つた毒酒(どくしゆ)(いきほひ)387ワツハヽヽヽヽ(いぢら)しい(もの)だなア』
388 (この)(とき)愛子姫(あいこひめ)389幾代姫(いくよひめ)390五十子姫(いそこひめ)391梅子姫(うめこひめ)は、392鬼雲彦(おにくもひこ)(むか)ひ、393柳眉(りうび)逆立(さかだ)て、394懐剣(くわいけん)()(はな)ち、395四方(しはう)より()めかけながら、
396『ヤア(なんぢ)こそは悪逆無道(あくぎやくぶだう)鬼雲彦(おにくもひこ)397前生(ぜんせい)(おい)ては竜宮城(りうぐうじやう)(つか)へ、398神国別(かみくにわけ)部下(ぶか)とならむとして、399花森彦命(はなもりひこのみこと)(さまた)げられ、400是非(ぜひ)なく鬼城山(きじやうざん)棒振彦(ぼうふりひこ)(とりで)参加(さんか)し、401神罰(しんばつ)(かうむ)つて帰幽(きいう)したる悪魔(あくま)再来(さいらい)402(ふたた)鬼雲彦(おにくもひこ)(あら)はれて、403この顕恩郷(けんおんきやう)城砦(じやうさい)(かま)へ、404天下(てんか)(みだ)さむとする悪魔(あくま)帳本(ちやうほん)405(おも)()つたか、406(わらは)十六人(じふろくにん)手弱女(たよわめ)は、407神素盞嗚(かむすさのを)大神(おほかみ)密使(みつし)として、408(なんぢ)身辺(しんぺん)(つか)へ、409時機(じき)()ちつつありしを(さと)らざりしか、410城内(じやうない)(がう)(もの)(のこ)らず、411(なんぢ)計略(けいりやく)毒酒(どくしゆ)()ひて、412最早(もはや)(めい)旦夕(たんせき)(せま)る。413七人(しちにん)宣伝使(せんでんし)には、414清酒(せいしゆ)(あた)へ、415元気(げんき)益々(ますます)旺盛(わうせい)となり、416一騎当千(いつきたうせん)のヒーロー豪傑(がうけつ)417最早(もはや)()くなる(うへ)(のが)るるに(よし)なし、418(なんぢ)(すみやか)前非(ぜんぴ)()いて三五教(あななひけう)(したが)へよ……返答(へんたふ)如何(いか)に』
419前後左右(ぜんごさいう)より、420鬼雲彦(おにくもひこ)夫婦(ふうふ)(むか)つて()めかけた。421(のこ)十二人(じふににん)美人(びじん)は、422(また)もや()()懐剣(くわいけん)スラリと引抜(ひきぬ)き、
423『サアサアサア鬼雲彦(おにくもひこ)夫婦(ふうふ)424返答(へんたふ)如何(いか)に』
425()めかくる。426鬼雲彦(おにくもひこ)()(かな)はじと、427夫婦(ふうふ)()()()り、428高殿(たかどの)より眼下(がんか)(ほり)()がけて、429ザンブと(ばか)飛込(とびこ)んだ。430パツと()(あが)水煙(みづけぶり)431()るも(おそ)ろしき二匹(にひき)大蛇(をろち)となつて(くも)(おこ)し、432(あめ)()び、433(かぜ)(じやう)じ、434東方(とうはう)波斯(ペルシヤ)(てん)()がけて、435蜒々(えんえん)として空中(くうちう)(およ)ぐが(ごと)姿(すがた)(かく)した。
436 太玉命(ふとたまのみこと)一行(いつかう)は、437十六人(じふろくにん)女神(めがみ)(むか)ひ、
438『ハテ心得(こころえ)貴下等(きから)振舞(ふるまひ)439これには(ふか)様子(やうす)のある(こと)ならむ、440逐一(ちくいち)物語(ものがた)られたし』
441叮嚀(ていねい)(かしら)()げ、442両手(りやうて)をついて挨拶(あいさつ)するを、443愛子姫(あいこひめ)言葉(ことば)(しと)やかに、
444(わらは)はコーカス(ざん)()れませる、445神素盞嗚尊(かむすさのをのみこと)(むすめ)446愛子姫(あいこひめ)447幾代姫(いくよひめ)448五十子姫(いそこひめ)449梅子姫(うめこひめ)450英子姫(ひでこひめ)451菊子姫(きくこひめ)452君子姫(きみこひめ)453末子姫(すゑこひめ)八人(はちにん)姉妹(けうだい)にて(さふらふ)454これなる八人(はちにん)乙女(をとめ)(わらは)侍女(じじよ)にして、455浅子姫(あさこひめ)456岩子姫(いはこひめ)457今子姫(いまこひめ)458宇豆姫(うづひめ)459悦子姫(よしこひめ)460岸子姫(きしこひめ)461清子姫(きよこひめ)462捨子姫(すてこひめ)(まを)(もの)463バラモン(けう)勢力(せいりよく)旺盛(わうせい)にして、464天下(てんか)人民(じんみん)(くる)しめ、465邪教(じやけう)(ひら)生成化育(せいせいくわいく)惟神(かむながら)大道(だいだう)毀損(きそん)する(こと)466()(つき)(はなはだ)しきを(もつ)て、467(あが)(ちち)素盞嗚大神(すさのをのおほかみ)は、468(わらは)八人(はちにん)姉妹(けうだい)(めい)じ、469(おのおの)()(やつ)し、470(あるひ)(かれ)部下(ぶか)(とら)へられ、471(あるひ)顕恩郷(けんおんきやう)踏迷(ふみまよ)ひたる(ごと)(よそほ)ひをなして(この)城内(じやうない)(はこ)()れられ、472悪魔(あくま)退治(たいぢ)時機(じき)()ちつつありしに、473(てん)(とき)(いた)りて太玉命(ふとたまのみこと)は、474(ちち)(めい)(ほう)当城(たうじやう)(あら)はれ(たま)ひしも、475(まつた)吾父(わがちち)(みづ)()らさぬ御経綸(おしぐみ)476(また)八人(はちにん)侍女(じじよ)は、477今迄(いままで)鬼雲彦(おにくもひこ)(そば)(ちか)(つか)へたるバラモン(けう)信徒(しんと)なりしが、478妾達(わらはたち)昼夜(ちうや)感化(かんくわ)()りて、479衷心(ちうしん)より三五教(あななひけう)(をしへ)(ほう)ずるに(いた)りし(もの)480最早(もはや)変心(へんしん)するの(おそれ)なし。481太玉命(ふとたまのみこと)宣伝使(せんでんし)よ、482彼等(かれら)八人(はちにん)侍女(じじよ)(わらは)(ごと)(あい)(たま)ひて、483神業(しんげふ)参加(さんか)せしめられよ』
484(よど)みなく()()つる。485太玉命(ふとたまのみこと)(かうべ)(かたむ)け、486感歎(かんたん)(こゑ)をもらし、
487(ああ)488宏遠(くわうゑん)なるかな、489大神(おほかみ)御経綸(おしぐみ)490吾等(われら)人心小智(じんしんせうち)窺知(きち)すべき(ところ)にあらず。491大神(おほかみ)最愛(さいあい)御娘子(おむすめご)顕恩郷(けんおんきやう)乗込(のりこ)ましめ()(なが)ら、492()れに(むか)つて一言(ひとこと)()らし(たま)はず、493顕恩郷(けんおんきやう)(すす)めと()御託宣(ごたくせん)494(いま)(およ)んで大神(おほかみ)御神慮(ごしんりよ)釈然(しやくぜん)として()けたり。495(ああ)496何事(なにごと)人智(じんち)()て、497(かみ)(めい)のまにまに(したが)ふべしとは(この)(こと)なるか、498アヽ有難(ありがた)し、499(かたじけ)なし』
500とコーカス(ざん)(はう)(むか)つて、501落涙(らくるい)(なが)()(あは)神言(かみごと)奏上(そうじやう)しける。502六人(ろくにん)宣伝使(せんでんし)(はじ)め、503十六人(じふろくにん)女性(ぢよせい)は、504コーカス(ざん)(むか)つて両手(りやうて)(あは)し、505太玉命(ふとたまのみこと)(とも)天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)した。506(たちま)何処(いづく)ともなく、507馥郁(ふくいく)たる芳香(はうかう)四辺(しへん)(つつ)み、508百千(ひやくせん)音楽(おんがく)嚠喨(りうりやう)として(ひび)(わた)り、509(むらさき)(くも)天空(てんくう)より(この)()(くだ)(きた)り、510容色(ようしよく)端麗(たんれい)なる女神(めがみ)姿(すがた)511中空(ちうくう)忽然(こつぜん)として(あら)はれ、
512『われは妙音(めうおん)菩薩(ぼさつ)なり、513(なんぢ)行手(ゆくて)(まも)らむ、514益々(ますます)勇気(ゆうき)(はげ)まし神業(しんげふ)参加(さんか)せよ。515また、516安彦(やすひこ)517国彦(くにひこ)518道彦(みちひこ)(はじ)め、519田加彦(たかひこ)520百舌彦(もずひこ)五人(ごにん)は、521一旦(いつたん)エデン(がは)濁流(だくりう)(おぼ)れて帰幽(きいう)せりと(いへど)も、522()宿世(しゆくせ)因縁(いんねん)()きず、523イヅの河辺(かはべ)(おい)て、524汝等(なんぢら)邂逅(かいこう)せば(かれ)(また)(ふたた)神業(しんげふ)参加(さんか)するを()む。525一時(いちじ)(はや)く、526太玉命(ふとたまのみこと)本城(ほんじやう)(とど)まり、527愛子姫(あいこひめ)浅子姫(あさこひめ)太玉命(ふとたまのみこと)身辺(しんぺん)保護(ほご)し、528(その)()宣伝使(せんでんし)女人(めがみ)はエデン(がは)(わた)りて、529イヅ(がは)(むか)へ、530ゆめゆめ(うたが)(こと)(なか)れ』
531()ふかと()れば、532姿(すがた)()()(ごと)く、533百千(ひやくせん)音楽(おんがく)(てん)(むか)つて追々(おひおひ)()えて()く。534一同(いちどう)(こゑ)する(はう)(むか)つて恭敬(きようけい)礼拝(れいはい)し、535感謝(かんしや)()(へう)したりける。
536大正一一・四・一 旧三・五 松村真澄録)
   
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