霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 黄金(わうごん)(ころも)〔六一二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第17巻 如意宝珠 辰の巻 篇:第1篇 雪山幽谷 よみ:せつざんゆうこく
章:第1章 第17巻 よみ:おうごんのころも 通し章番号:612
口述日:1922(大正11)年04月21日(旧03月25日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年1月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
鬼雲彦によって岩窟に一年押し込められていたお節は、悦子姫によって救い出され、平助・お楢の祖父母の元に帰ってきた。
そして三五教の宣伝使、岩公、勘公、櫟公と共に、雪の中を真名井ヶ原へとお礼参りに出かけた。爺・婆は足元に難があるため、岩公、勘公、櫟公三人は先に雪の中を発って行った。
話は戻って、鬼虎、鬼彦の両人は心の鬼に責められながらとぼとぼと雪道を行くうちに、路傍の糞壷に落ちてしまった。
厳寒の中、二人は命からがら進んで行くと、一軒のあばら家があった。着物を洗濯し、古ごもや古ござを巻いて、ようやく命をつないだ。
部屋の隅に加米彦がいて、二人に豊国姫命の命で悦子姫より衣を授かってきた、という。鬼虎と鬼彦は喜ぶが、その着物は、真名井ヶ原に着いて体を清めてから出ないと渡せない、という。
そこへ岩公、勘公、櫟公が追いついてきた。
加米彦は、家の中からぼろぼろの着物を探し出して、当面の用にと鬼虎と鬼彦に着せた。
しばらく行くと、道端にこざっぱりとした家があり、女が招く。一同が中へ入ると、おコンと名乗る女は、鬼虎と鬼彦に禊をさせ、悦子姫からの立派な着物を授ける。
その着物には、鬼彦は彦安命、鬼虎は虎彦命という宣伝使名が書いてあった。おコンはもうすぐ真名井ヶ原なので、ここで天津祝詞と天の数歌を唱えるように、と導師の役をする。
一同が一生懸命祝詞を唱えていると、平助、お楢、お節の三人が追いついて来て声をかけた。気づくと、おコンも加米彦もおらず、岩公、勘公、櫟公、鬼彦、鬼虎の五人は、真っ裸で雪の中に座っていたのであった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm1701
愛善世界社版:9頁 八幡書店版:第3輯 527頁 修補版: 校定版:11頁 普及版:3頁 初版: ページ備考:
001見渡(みわた)(かぎ)()(やま)
002(たひら)一面(いちめん)銀世界(ぎんせかい)
003(ひと)(こころ)(ひや)やかに
004わかやる(むね)()()ろし
005(ゆき)(はだへ)愛娘(まなむすめ)
006魔神(まがみ)(ふか)計略(けいりやく)
007押籠(おしこ)められて岩窟(いはやど)
008(なか)にて(しぼ)(なみだ)(あめ)
009何時(いつ)しか比沼(ひぬ)真名井ケ原(まなゐがはら)
010一陽来復(いちやうらいふく)(はる)()()ねて
011皇神(すめかみ)(めぐみ)(つゆ)(ほころ)びし
012(こころ)(せつ)なき節子姫(せつこひめ)
013(この)岩窟(いはやど)(とら)はれて
014(かな)しき月日(つきひ)(おく)(うち)
015春夏秋(はるなつあき)十二節(じふにせつ)
016()えて(やうや)東雲(しののめ)
017(そら)()(わた)(おも)ひなり。
018 悦子姫(よしこひめ)(おく)られ、019祖父母(そふぼ)(いへ)(かへ)(きた)れる節子姫(せつこひめ)は、020(うれ)(なみだ)一夜(ひとや)()かし、021あくれば正月(しやうぐわつ)二十八日(にじふはちにち)022平助(へいすけ)023(なら)祖父母(そふぼ)(とも)に、024(ゆき)()野路(のぢ)辿(たど)りつつ、025(こころ)(ふか)(れい)(まゐ)り、026岩公(いはこう)027勘公(かんこう)028櫟公(いちこう)諸共(もろとも)に、029真名井ケ嶽(まなゐがだけ)(ふもと)()して(すす)()く。
030(せつ)『お(きやく)さま、031御存(ごぞん)じの(とほ)り、032(とし)()つたる老爺(ぢい)サン()アサン、033それに繊弱(かよわ)(をんな)(わたし)034(おも)(やう)足許(あしもと)(はかど)りませぬ。035あなた(がた)神様(かみさま)にお(つか)(あそ)ばす()(うへ)036悦子姫(よしこひめ)(さま)(さぞ)待兼(まちかね)御座(ござ)いませう。037(いづ)真名井ケ原(まなゐがはら)神様(かみさま)御前(おんまへ)にて、038()(かか)りませうから、039どうぞ妾等(わたしら)にお(かま)ひなく、040一足先(ひとあしさき)()つて(くだ)さいませ』
041岩公(いはこう)左様(さやう)なれば、042(さき)道開(みちあ)けの(ため)(まゐ)りませう。043一切万事(いつさいばんじ)用意(ようい)(ととの)へ、044待受(まちうけ)(いた)して()ります、045どうか緩々(ゆるゆる)()(くだ)さいませ。046老爺(ぢい)サン、047()アサン、048(せつ)さま、049左様(さやう)なれば吾々(われわれ)三人(さんにん)一足先(ひとあしさき)御免(ごめん)(かうむ)りませう。050何卒(どうぞ)ゆるりとお()(くだ)さいませ』
051平助(へいすけ)『アヽそれが(よろ)しい。052此方(こちら)年老(としと)つた老爺(ぢぢい)(ばば)ア、053繊弱(かよわ)(むすめ)054到底(たうてい)あなた(がた)(やう)屈強(くつきやう)(わか)いお(かた)と、055同道(どうだう)するのは(くる)しう御座(ござ)ります。056(また)あなた(がた)もマドロしく(おも)はれませう。057それよりも(はや)悦子姫(よしこひめ)(さま)のお(そば)()つて、058すべての御用(ごよう)をお()(くだ)さいませ。059吾々(われわれ)三人(さんにん)はボツボツ(あと)から(まゐ)ります』
060岩公(いはこう)『ソンナラお老爺(ぢい)さま、061()アさま、062(せつ)さま、063一足先(ひとあしさき)失礼(しつれい)(いた)しませう。064……サア勘公(かんこう)065櫟公(いちこう)066雪中(せつちゆう)強行軍(きやうかうぐん)だ。067前進々々(ぜんしんぜんしん)068(いち)069()070(さん)
071掛声(かけごゑ)諸共(もろとも)072バラバラと駆出(かけだ)しける。
073(なら)『アノ、074夜前(やぜん)のお(きやく)さまの元気(げんき)()(こと)075……アーア、076(とし)()りたくないものだ。077これ(ほど)(ゆき)(つも)つた(みち)を、078(しし)かナンゾの(やう)に、079驀地(まつしぐら)駆出(かけだ)して、080(はや)モウ姿(すがた)()えなくなつて(しま)つた。081サアサアボツボツ()きませう』
082三人(さんにん)(つゑ)()(なが)ら、083岩公(いはこう)(たち)(とほ)つた足跡(あしあと)()んでボツボツと(すす)()く。
084 (はなし)(あと)(もど)る…………………………
085 (こころ)(おに)(せめ)られて(とま)りも()せず、086(ゆき)()夜路(よみち)をトボトボと、087(ゆき)しばきに(むか)(なが)ら、088(たがひ)(かた)()(あは)せ、089西(にし)西(にし)へと(すす)()つた鬼彦(おにひこ)090鬼虎(おにとら)両人(りやうにん)は、091(みち)()(まよ)ひ、092路傍(ろばう)糞壺(くそつぼ)(なか)へ、093(かた)()んだまま、094ドボンと転落(てんらく)し、095(あたま)(さき)から(あし)爪先(つまさき)まで、096(たちま)黄金仏(わうごんぶつ)早替(はやがは)り、097二人(ふたり)(やうや)生命(いのち)からがら()(あが)り、098()()(ごと)寒風(かんぷう)のピユウピユウと()いて()(なか)を、099(ふる)(ごゑ)(しぼ)(なが)ら、
100鬼彦(おにひこ)(ばち)()(まへ)だ、101コンナ(こと)なら、102(あたま)(ひと)つや(ふた)つ、103平助(へいすけ)老爺(ぢい)(たた)かれても、104素直(すなほ)謝罪(あやま)つて、105()めて(もら)つたが得策(まし)だつた。106貴様(きさま)が、107テレ(くさ)いとか、108(なん)とか()つて、109痩我慢(やせがまん)()すものだから、110コンナ()()つたのだよ。111(じつ)糞慨(ふんがい)(いた)りだ』
112鬼虎(おにとら)過去(すぎさ)つた(こと)を、113(いま)になつて()つた(とこ)で、114(なん)になるか。115過去(すぎこ)苦労(くらう)大禁物(だいきんもつ)だと()(こと)(わす)れたか。116刹那心(せつなしん)だよ。117(しか)(なが)ら、118()うして()れば、119着物(きもの)(からだ)氷結(ひようけつ)して(しま)ふ。120零度(れいど)以下(いか)二十度(にじふど)()(この)寒空(さむぞら)に、121糞汁(くそしる)着物(きもの)()(ある)いて()るのも()加減(かげん)ナものだ。122()して神様(かみさま)神聖(しんせい)な……清浄(せいじやう)潔白(けつぱく)をお(よろこ)(あそ)ばす。123コンナ着物(きもの)()て、124どうして参拝(さんぱい)出来(でき)ようか。125……貴様(きさま)(たち)はまだ(あく)()えないから、126参拝(さんぱい)資格(しかく)がないと()つて、127神様(かみさま)糞壺(くそつぼ)()()んだのかも()れぬ。128……アヽ(さむ)(さむ)い……(さむ)さが(とほ)()して、129体中(からだぢう)(いた)くなつて()た。130そこら(ぢう)(きり)()まるるやうだ。131……(つめ)たい、132(いた)い。133……アーア()くに()かれぬ。134どうしたら()からうなア』
135鬼彦(おにひこ)平助(へいすけ)やお(なら)()()まされ、136馬鹿(ばか)(くさ)い、137テレ(くさ)い、138阿呆(あはう)(くさ)い……と(くさ)()()うて、139(その)(うへ)(また)糞壺(くそつぼ)()()まれ、140……アーアぢぢ(くさ)い、141ババ(くさ)い……此処(ここ)にも平助(へいすけ)142(なら)()よつた(やう)なものだ。143おセツない(おも)ひをして、144真名井ケ原(まなゐがはら)(すす)むにも(すす)まれず………エー(くそ)いまいましい。145どつか此処(ここ)らに(うち)でもあつたら、146今度(こんど)(なん)()つても(かま)はぬ、147無理(むり)押入(おしい)つて、148焚物(たきもの)でも()いて、149(からだ)(あたたか)め、150ゆつくり()でも(わか)して(きよ)めなくては、151どうする(こと)出来(でき)ぬぢやないか。152グヅグヅして()ると、153身体(しんたい)強直(きやうちよく)154石地蔵(いしぢざう)(やう)になつて(しま)うワ、155サア()かう()かう』
156 二人(ふたり)生命(いのち)からがら、157二三丁(にさんちやう)ばかり前進(ぜんしん)すると、158バタツと行当(ゆきあた)つた(また)もや一軒(いつけん)茅屋(あばらや)
159『ヨー天道(てんだう)(ひと)(ころ)さずだ。160此処(ここ)一軒屋(いつけんや)()るワイ。161……ハテ()れは物置(ものおき)小屋(ごや)()える。162……マア()(かく)163這入(はい)つて(からだ)処置(しよち)()けようかい』
164 二人(ふたり)()()()け、165怖々(こわごわ)這入(はい)つて()ると、166(くら)がりに(あか)(もの)()える。
167鬼彦(おにひこ)『ハハア、168(たれ)()()いて()きやがつたなア。169大方(おほかた)音彦(おとひこ)170加米彦(かめひこ)仕事(しごと)だらう』
171附近(あたり)(わら)引摺(ひきず)()し、172()()()け、173真裸(まつぱだか)となり、
174一寸(ちよつと)(これ)(らく)だ。175(しか)(なが)ら、176着物(きもの)(かわ)かさねばなるまい。177……それにしても一度(いちど)洗濯(せんたく)をして、178(その)(うへ)にせなくては、179(かわ)いた(ところ)で、180(くさ)くて、181どうにも()うにも仕方(しかた)があるまい、182のう鬼虎(おにとら)
183『ウン(この)茅屋(あばらや)も、184(もと)(たれ)()んで()つたのだらう。185井戸(ゐど)がある(はず)ぢや。186(ひと)(さが)して、187井戸(ゐど)でも()つたら、188俺達(おれたち)着物(きもの)突込(つつこ)み、189バサバサとやつて、190充分(じゆうぶん)圧搾(あつさく)(くは)へ、191水気(みづけ)()り、192大火(おほび)()いて(あぶ)(こと)にしやうかい。193……オー()()る、194グヅグヅして()ると、195()()むかも()れぬぞ。196どうやら水溜(みづたま)りが()るらしい。197……オイ貴様(きさま)()()(やく)だ、198(おれ)(しばら)洗濯鬼(せんたくおに)になつてやらう。199人鬼(ひとおに)だ。200(ばば)()()(おに)洗濯(せんたく)……アハヽヽヽ』
201 両人(りやうにん)(くそ)まぶれの着物(きもの)を、202水溜(みづたま)りに()けて、203手早(てばや)()ぎ、204()()み、
205『サアこれで洗濯(せんたく)用意(ようい)出来(でき)た。206(しか)(なが)()(もの)がない。207どつか此処(ここ)らに(こも)でもないかナア』
208二人(ふたり)はガサガサと、209小屋(こや)(すみ)クラを、210手探(てさぐ)り、211古薦(ふるごも)や、212古蓆(ふるござ)(さが)(もと)めて、213やうやう()(まと)ひ、
214『アヽこれで生命(いのち)(だけ)(たす)かつた』
215大火(おほび)()いて、216両人(りやうにん)あたつて()る。
217『オイ、218鬼虎(おにとら)大将(たいしやう)219(まへ)洗濯(せんたく)にかかるのだよ。220(おれ)()(やく)(つと)めるから』
221自分(じぶん)着物(きもの)自分(じぶん)洗濯(せんたく)し、222他人(ひと)世話(せわ)になると()ふやうな(こと)天則違反(てんそくゐはん)だぞ。223……ヨシ、224自分(じぶん)(だけ)洗濯(せんたく)して、225(のぞ)みとあらば、226()(やく)もして(もら)はうかい。227……ヤア井戸(ゐど)かと(おも)へば、228(また)糞壺(くそつぼ)だ。229(いへ)(なか)雪隠(せつちん)(こしら)へて()きやがるものだから、230間違(まちが)うのも無理(むり)はない。231(しか)しマア(はま)らなンだ(だけ)結構(けつこう)だ』
232『オイ鬼虎(おにとら)233(おれ)(はう)は、234どうやら本物(ほんもの)らしいぞ、235かやく()いて()らぬワイ』
236『アハヽヽヽ、237鬼彦(おにひこ)238貴様(きさま)のは小便桶(せうべんたご)だ。239(なん)とかせなくてはなるまいぞ』
240『アツヽヽ、241()()きやがつた。242オイ鬼虎(おにとら)どうしやうどうしやう』
243(ゆき)(なか)(ころ)()め』
244『よし()た』
245鬼彦(おにひこ)は、246矢庭(やには)(そと)()()し、247(ゆき)(うへ)(ころ)げて()る。248(また)もや鬼虎(おにとら)のお(こめ)()着物(きもの)()()(うつ)鬼虎(おにとら)は、
249此奴(こいつ)()まらぬ』
250とザブリと水溜(みづたま)りへ()()めば、251何処(いづく)よりともなく(あや)しき(わら)(ごゑ)
252『アツハヽヽヽ、253オホヽヽヽ』
254『オイ鬼虎(おにとら)255ナア貴様(きさま)気楽(きらく)(やつ)だ。256糞責(くそぜ)め、257火責(ひぜ)め、258水責(みづぜ)めに()うて(くる)しみて()るのに、259(なに)可笑(をか)しいのだ。260怪体(けたい)(こゑ)()しやがつて……』
261鬼虎(おにとら)(わら)つたのぢやない、262(もの)(わら)つたのぢやない。263……ソレ、264(もの)物言(ものい)うとるぢやないか』
265『ヤイヤイどこの(やつ)ぢや。266(なに)可笑(をか)しいのだ。267(おれ)鬼彦(おにひこ)さまだぞ』
268 (また)もや(すみ)(はう)より、
269鬼彦(おにひこ)270鬼虎(おにとら)271随分(ずゐぶん)苦労(くらう)をしたネー。272(せつ)宿(やど)半殺(はんごろ)しに()ひ、273(いま)(また)此処(ここ)半殺(はんごろ)しの(やう)()()つて、274牡丹餅(ぼたもち)(やう)に、275黄金(わうごん)(あん)や、276(ゆき)(あん)()けて、277中々(なかなか)うまい(こと)をやるのウ。278サアこれから、279(おれ)招待(よば)れてやらう。280(おに)共喰(ともぐひ)だ、281アハヽヽヽ』
282『さう()(こゑ)岩公(いはこう)ぢやないか、283奴跛(どちんば)(くせ)しやがつて、284巫山戯(ふざけ)(ざま)をさらすと、285鬼彦(おにひこ)承知(しようち)をせぬぞ』
286 (つく)(ごゑ)にて、
287(この)(はう)岩公(いはこう)でも()い、288(おに)でも()い、289(もの)ぢや、290(もの)ぢや』
291鬼彦(おにひこ)(もの)とは(なん)だ、292化物(ばけもの)()(こと)か。293()がホンノリと()けかかつて()るのに、294化物(ばけもの)()るナンテ、295チツト時季(しゆん)()ぎとるぞ。296()(ぞこな)ひの大馬鹿者(おほばかもの)()が』
297加米彦(かめひこ)『アハヽヽヽ、298(じつ)(ところ)加米彦(かめひこ)さまだ。299悦子姫(よしこひめ)さまが豊国姫(とよくにひめ)神様(かみさま)から命令(めいれい)()けて、300(いま)鬼彦(おにひこ)301鬼虎(おにとら)両人(りやうにん)改心(かいしん)(ため)302糞壺(くそつぼ)()めてあるから、303グヅグヅして()ると()()いて(しま)ふ。304(からだ)(くそ)まぶれだ。305(はや)()つて真名井(まなゐ)(みづ)(からだ)(きよ)め、306(この)着物(きもの)()せてやれ…と仰有(おつしや)つて、307(うま)れてから()(こと)もない(やう)立派(りつぱ)着物(きもの)(あづか)つて()たのだよ』
308 両人(りやうにん)一度(いちど)に、
309『ヤアそれは有難(ありがた)い』
310鬼虎(おにとら)流石(さすが)悦子姫(よしこひめ)さまだ。311(うで)()()ふも多生(たしやう)(えん)312(ゆめ)にも文珠堂(もんじゆだう)(この)鬼虎(おにとら)が、313悦子姫(よしこひめ)さまを、314間違(まちが)つて(たた)いたお(かげ)で、315()()結構(けつこう)着物(きもの)頂戴(ちやうだい)するのだ。
316 (たた)かれて、317(まる)(をさ)まる、318(をけ)(そこ)
319だ……オイ鬼彦(おにひこ)320(おれ)のお(かげ)だぞ』
321鬼彦(おにひこ)加米彦(かめひこ)さま、322あなたは(えら)いものだ。323サア(はや)着物(きもの)()せて(くだ)さいナ』
324加米彦(かめひこ)()()て、325これから半里(はんみち)(ばか)り、326(その)(まま)(ある)いて、327真名井ケ原(まなゐがはら)(しほ)(たま)りで(からだ)(きよ)め、328それから(きよ)井戸(ゐど)でマ一遍(いつぺん)(きよ)め、329三遍目(さんべんめ)大清(おほきよ)井戸(ゐど)(きよ)めた(うへ)で、330着物(きもの)()せて(くだ)さるのだ。331(いま)持合(もちあは)せがないのだよ』
332鬼彦(おにひこ)『ナーンだ。333それまで(からだ)(つづ)くだらうか、334(こま)つた(こと)だワイ』
335 ()かる(ところ)へ、336岩公(いはこう)337勘公(かんこう)338櫟公(いちこう)三人(さんにん)339息急(いきせ)()つて(あら)はれ(きた)り、
340『オイオイ鬼彦(おにひこ)341鬼虎(おにとら)両人(りやうにん)342まだコンナ(とこ)()つたのか。343大変(たいへん)だぞ。344夜前(やぜん)俺達(おれたち)半殺(はんごろ)しに()うて()たのだ。345貴様(きさま)夜前(やぜん)(とま)つた(くらゐ)なら、346鏖殺(みなごろ)しになる(ところ)だつたよ、347マアマア生命(いのち)()つてお芽出度(めでた)う。348……ナンダナンダ、349(はだか)ぢやないか。350一体(いつたい)着物(きもの)はどうしたのだ』
351鬼彦(おにひこ)着物(きもの)かい、352着物(きもの)神様(かみさま)寄附(きふ)して(しま)つたワイ』
353岩公(いはこう)『どこの神様(かみさま)寄附(きふ)したのだ』
354鬼彦(おにひこ)雪隠(せんち)神様(かみさま)に………。355これから(はだか)356跣足(はだし)(まゐ)るより仕方(しかた)()い。357貴様(きさま)(ひと)つ、358摩利支天(まりしてん)さまに、359一枚(いちまい)()いで寄附(きふ)(いた)さぬかい』
360岩公(いはこう)『ヤア本当(ほんたう)に、361両人(りやうにん)とも赤裸(まつぱだか)だなア。362元気(げんき)(こと)だ。363俺達(おれたち)着物(きもの)寄附(きふ)してやりたいが、364此方(こちら)()()()(まま)ぢや。365山椒(さんせう)()飯粒(めしつぶ)ぢや、366仕方(しかた)()い。367マア()(ところ)まで()かうか』
368鬼虎(おにとら)『それだつて、369(はだか)道中(だうちう)がなるものかイ』
370岩公(いはこう)『なつてもならないでも仕方(しかた)()いワ。371グヅグヅして()ると、372夜前(やぜん)のお(せつ)さまが、373おつつけ此処(ここ)()()るぞ。374コンナ姿(すがた)()つけられたら(みつと)もない。375サア()かう()かう』
376 鬼彦(おにひこ)377鬼虎(おにとら)378(いは)379(かん)380(いち)五人(ごにん)は、381()()けた雪路(ゆきみち)を、382トボトボと(すす)()く。383(いへ)(うち)より加米彦(かめひこ)(こゑ)
384『オイオイ鬼虎(おにとら)385鬼彦(おにひこ)386着物(きもの)着物(きもの)だ』
387とボロボロの()()ぎだらけの着物(きもの)()(かか)加米彦(かめひこ)がやつて()て、
388『サア()(かく)389当座(たうざ)(しの)ぎに、390これなと()()け』
391鬼虎(おにとら)『ヤア、392全然(まるで)東海道(とうかいだう)以上(いじやう)だ、393(ひやく)ツギも二百(にひやく)ツギもやつた着物(きもの)だ。394…………エヽ仕方(しかた)()い。395鬼彦(おにひこ)396これでも()いより()しだ。397拝借(はいしやく)しようかい』
398『さうださうだ、399(さむ)(とき)(きたな)(もの)なし』
400手早(てばや)加米彦(かめひこ)()よりひつたくり、401クルクルと()(まと)ひ、
402『アヽなんだか、403ウヂウヂするぢやないか』
404加米彦(かめひこ)(きま)つた(こと)ぢや。405(しらみ)本宅(ほんたく)だ。406サアサア(すす)もう(すす)もう』
407雪路(ゆきみち)西(にし)西(にし)へと(はし)りゆく。408道端(みちばた)小瀟洒(こざつぱり)とした綺麗(きれい)(いへ)左側(ひだりがは)()つて()る。409一人(ひとり)綺麗(きれい)(むすめ)410戸口(とぐち)()け、
411『もうしもうし、412あなた(がた)は、413真名井ケ嶽(まなゐがだけ)御参詣(ごさんけい)(かた)()えますが、414(この)雪路(ゆきみち)(さぞ)(こま)りでせう。415()()いて()ります。416どうぞ一服(いつぷく)して()つて(くだ)さいませ。417(べつ)にお茶代(ちやだい)請求(せいきう)(いた)しませぬ。418今日(けふ)(おや)命日(めいにち)で、419(ちや)御飯(ごはん)のお接待(せつたい)(いた)して()ります。420サアサアどうぞ這入(はい)つて()(くだ)さいませ』
421鬼彦(おにひこ)『ヤア()てる(かみ)もあれば(ひろ)(かみ)()るとは()()つた(こと)だ。422(みな)さま一服(いつぷく)さして(もら)ひませうかな』
423鬼彦(おにひこ)(はや)くも(さき)()ち、424屋内(をくない)()()みたり。
425『サアサア(みな)さま、426這入(はい)りなさいませ』
427 加米彦(かめひこ)は、
428『アイ御免(ごめん)よ』
429(しり)()(なが)這入(はい)り、
430『ヨー、431此処(ここ)(うち)は、432(そと)から()(わり)とは(ひろ)(うち)だ。433……さうしてお(むすめ)434コンナ小広(こびろ)(うち)にお(まへ)一人(ひとり)()るのかい、435随分(ずゐぶん)険呑(けんのん)なものだなア。436大江山(おほえやま)鬼雲彦(おにくもひこ)乾分(こぶん)437鬼虎(おにとら)438鬼彦(おにひこ)がやつて()て、439(せつ)女郎(めらう)(やう)掻攫(かつさら)へて()ぬかも()れませぬぞ。440()()けなさいませや』
441『ホヽヽヽ、442鬼虎(おにとら)も、443鬼彦(おにひこ)も、444今日(こんにち)(やう)に、445(ぜん)(みち)堕落(だらく)して仕舞(しま)へば、446モウ駄目(だめ)ですよ。447(せつ)(うち)では(ことわ)られ、448糞壺(くそつぼ)へは()()み、449(こも)()ては()()められ、450(しらみ)だらけの着物(きもの)()て、451ウンバラ、452(さん)バラ若布(わかめ)行列(ぎやうれつ)453褞褸(しめし)親分(おやぶん)454雑巾屋(ざふきんや)看板(かんばん)跣足(はだし)()げると()(やう)な、455立派(りつぱ)着物(きもの)をお()しになつて、456真名井ケ嶽(まなゐがだけ)参拝(さんぱい)する(やう)になつては、457モウ駄目(だめ)ですワ、458ホヽヽヽ』
459勘公(かんこう)『ヤア此奴(こいつ)(めう)だ。460(やさ)しい(かほ)をして居乍(ゐなが)ら、461(くち)達者(たつしや)(をんな)だ』
462(むすめ)『マアマア(みな)さま、463ゆつくりなさいませ。464(しか)しプンプンと(にほ)ふぢやありませぬか、465(うら)溜池(ためいけ)()ります。466あの(いけ)(そと)で、467(あたま)から(みづ)をかぶり、468鬼彦(おにひこ)469鬼虎(おにとら)さまは、470洗濯(せんたく)をして()なさい。471モシモシ(いは)さまとやら、472あなた、473此処(ここ)横槌(よこづち)御座(ござ)います。474二人(ふたり)(たぶさ)(つか)んで、475溜池(ためいけ)突込(つつこ)み、476(いし)(うへ)でキユウキユウと()(つぶ)し、477(この)横槌(よこづち)でコンコンとこづいて充分(じゆうぶん)圧搾(あつさく)をかけ、478()(あぶ)つて、479綺麗(きれい)サツパリと洗濯(せんたく)をしてあげて(くだ)さいナ』
480馬鹿(ばか)にしやがる。481着物(きもの)人間(にんげん)(からだ)(ひと)つにしられて(ひこ)(とら)()まるものかい』
482(むすめ)『キモノ(よわ)(ひと)は、483キモノ(よわ)いのも、484おなじことぢや。485一遍(いつぺん)洗濯(せんたく)して、486(のり)でも()けねば(こし)()つまい。487よつぽどよい腰抜(こしぬけ)野郎(やらう)だからなア』
488鬼彦(おにひこ)馬鹿(ばか)にしやがるない。489貴様(きさま)一体(いつたい)何者(なにもの)だ』
490 (をんな)(しろ)(きば)をニユツと()し、491()をクルリと()き、492(あご)をしやくり(なが)ら、
493『あてかいな、494あてい……あの……おコンと()(もの)ですよ』
495鬼彦(おにひこ)『エイ、496(きつね)みたいな()(やつ)だ、497大方(おほかた)……(きつね)(だま)しとるのぢやないかナ』
498おコン『(ゆき)(とざ)され、499(まこと)にコン窮千万(きうせんばん)500どうぞコン()(だけ)()(くだ)されと、501コン(ぐわん)したが、502平助爺(へいすけぢい)に、503コンと肱鉄砲(ひぢてつぱう)()はされ、504コンな(こと)なら、505(わる)(こと)するぢやなかつたのに、506エーエ仕方(しかた)がない、507コン()(ゆき)(みち)を、508コンパスの(つづ)(かぎ)(ある)かうかと、509二人(ふたり)はコン(かぎ)(ちから)(かぎ)(はし)つた揚句(あげく)糞壺(くそつぼ)(なか)へコン(たふ)し、510コンな因果(いんぐわ)()コンを(たづ)ねても、511(また)一人(ひとり)あるものか………とコン(わく)(てい)512茅屋(あばらや)(なか)()()み、513(こも)(かぶ)つて()(あぶ)り、514やつと安心(あんしん)する()もなく(からだ)()()えつき、515(ゆき)(うへ)(ころ)げるやら小便桶(せうべんたご)(はま)るやら、516コン(なん)最中(さいちう)加米公(かめこう)御親切(ごしんせつ)御志(おこころざし)517(しらみ)宿(やど)(やう)襤褸(つづれ)(にしき)(めぐ)まれて、518此処(ここ)までやつて()たお(まへ)ぢやないか。519()れから(この)オコンさまが、520アンナ失敗(しつぱい)今後(こんご)繰返(くりかへ)さぬ(やう)に、521コンコンと説諭(せつゆ)してあげよう。522(はや)(からだ)(あら)つて()()なさい。523炬燵(こたつ)へでも(くぐ)()んで、524ゆつくりと、525おコンの(はなし)()かつしやいツ』
526岩公(いはこう)()(かく)も、527(この)(えん)(はし)()して(もら)ひませう。528二人(ふたり)(からだ)処置(しよち)をつけなくては、529どうする(こと)出来(でき)ませぬワイ』
530 鬼彦(おにひこ)531鬼虎(おにとら)は、532裏口(うらぐち)溜池(ためいけ)にて、533薄氷(うすこほり)()つた池水(いけみづ)(すく)(なが)ら、534ザブザブと御禊(みそぎ)をやつて()る。535二人(ふたり)(からだ)(きよ)め、536ビリビリ(ふる)(なが)ら、
537『アヽ(みな)さま、538()たせしました。539これで気分(きぶん)がサラリとした。540(しか)(こま)つた(こと)にはお召物(めしもの)心配(しんぱい)だ。541どうしたら()からうかなア』
542おコン『ホヽヽヽ、543心配(しんぱい)なされますなお二人様(ふたりさま)544召物(めしもの)はチヤンと此処(ここ)用意(ようい)(いた)して御座(ござ)います。545悦子姫(よしこひめ)さまが(まへ)(もつ)てお(あづ)けになりました。546サアサア御遠慮(ごゑんりよ)なしにお()(あそ)ばせ。547……これが鬼彦(おにひこ)(さま)のお召物(めしもの)……此方(こちら)鬼虎(おにとら)さまのお召物(めしもの)ですよ』
548 鬼彦(おにひこ)549矢庭(やには)にグルグルと()(まと)ひ、
550鬼彦(おにひこ)『ヤア立派(りつぱ)(もの)だ。551これは(まさ)しく宣伝使(せんでんし)装束(しやうぞく)だ……ヤアナンダ、552(めう)(もの)()つてあるぞ。553……エ……鬼彦(おにひこ)改名(かいめい)して、554只今(ただいま)より彦安命(ひこやすのみこと)()(あた)ふ……ヤア有難(ありがた)有難(ありがた)い、555(なん)だか(おに)()(しやく)(さは)つて仕方(しかた)がなかつた。556サア()れから彦安命(ひこやすのみこと)宣伝使(せんでんし)だ。557……オイ鬼虎(おにとら)558今日(けふ)から(おれ)弟子(でし)にしてやらう。559オツホン』
560鬼虎(おにとら)『アハヽヽヽ、561彦安命(ひこやすのみこと)さま、562(まこと)()みませぬが、563拙者(せつしや)虎彦命(とらひこのみこと)()(あた)ふ……としてあるのだ。564五分(ごぶ)五分(ごぶ)だよ。565サア(かん)566(いち)567(いは)568只今(ただいま)より天下(てんか)()れての三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)だ。569左様(さやう)心得(こころえ)たが()からうぞ』
570岩公(いはこう)『ヘン馬鹿(ばか)にしやがるワイ、571糞宣伝使(くそせんでんし)()が。572雪隠虫(せんちむし)()が。573平助(へいすけ)()()がされて、574(なら)()()され、575宣伝使(せんでんし)もあつたものかい、576アハヽヽヽ』
577おコン『サア(みな)さま(これ)からが正念場(しやうねんば)だ。578十四五丁(じふしごちやう)(すす)めば、579(いよいよ)真奈井ケ原(まなゐがはら)聖地(せいち)()く、580此処(ここ)天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、581(あま)数歌(かずうた)をあげてお(いで)なさい。582(わたし)導師(だうし)(いた)しませう』
583と、584(こゑ)(すず)しくおコンは祝詞(のりと)奏上(そうじやう)する。585一同(いちどう)その(あと)()いて、586一心不乱(いつしんふらん)合唱(がつしやう)する。587平助(へいすけ)588(なら)589(せつ)三人(さんにん)590(つゑ)()(なが)ら、591ヒヨコヒヨコと此処(ここ)(あら)はれ、
592平助(へいすけ)『お(まへ)昨夜(ゆうべ)御客(おきやく)ぢやないか。593大勢(おほぜい)(かた)が、594コンナ(ゆき)(なか)赤裸(まつぱだか)になつて、595(なに)をして御座(ござ)るのだ。596(みな)さま、597サアサア()きませう。598着物(きもの)はどうしなさつた』
599 『ハツ』と一同(いちどう)()がつけば、600野雪隠(のぜんち)中央(まんなか)に、601一同(いちどう)()(あは)せ、602一生懸命(いつしやうけんめい)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)して()た。603(うしろ)(やま)より(きつね)()(ごゑ)二声(ふたこゑ)604三声(みこゑ)
605『コンコン、606カイカイ』
607大正一一・四・二一 旧三・二五 松村真澄録)