霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第三章 生死(せいし)不明(ふめい)〔六一四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第17巻 如意宝珠 辰の巻 篇:第1篇 雪山幽谷 よみ(新仮名遣い):せつざんゆうこく
章:第3章 生死不明 よみ(新仮名遣い):せいしふめい 通し章番号:614
口述日:1922(大正11)年04月21日(旧03月25日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年1月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
本物のお節は、まだ岩窟に閉じ込められたままであった。お節は日の出神の夢のお告げに勇気をつけられて、三五教の宣伝歌を歌いながら岩窟の中で忍んでいた。
鬼虎と鬼彦がやってくると、お節は怒って傍らの岩石を取って打ちかかってきた。また、岩室の戸をあけると、日ごろから岩石で作ってあった石槍で、二人に突きかかる。
鬼虎と鬼彦は岩窟を元来た道へ逃げていく。お節はつまづいて気を失うが、鬼虎は懸命に祈願して息を吹き返す。お節は鬼虎が自分を介抱してくれたことを不思議に思うが、また突いてかかる。
そこへ平助とお楢が現れて、再会を果たす。平助とお楢の話を聞いて、お節は鬼彦と鬼虎が改心したことを知り、一行は真名井ケ原に進んで行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-02-13 21:18:43 OBC :rm1703
愛善世界社版:39頁 八幡書店版:第3輯 538頁 修補版: 校定版:41頁 普及版:17頁 初版: ページ備考:
001 真名井(まなゐ)(だけ)山奥(やまおく)の、002(くら)岩窟(いはや)()()められし、003丹波村(たんばむら)平助(へいすけ)孫娘(まごむすめ)(せつ)は、004(いろ)青褪(あをざ)痩衰(やせおとろ)へて、005手足(てあし)針金(はりがね)(ごと)()呼吸(いき)(ほそ)()ち、006(なみだ)片手(かたて)口説(くど)(ごと)007他所(よそ)()()(あは)れなり。008人里(ひとざと)はなれ月日(つきひ)(ひかり)さへも(かよ)はぬ()岩窟(がんくつ)奥深(おくふか)く、009()じこめられしお(せつ)は、010初冬(しよとう)(しも)()(かこ)つ、011秋野(あきの)(むし)断末魔(だんまつま)012(かな)しき(こゑ)()()げて、013(おも)ひを(うた)(まか)せつつ、014悶々(もんもん)(じやう)(なぐさ)めつつありける。
015お節(おも)へば去年(こぞ)(ゆき)(そら)
016(はる)とは()へど()(さむ)
017四方(よも)山々(やまやま)(ゆき)()みて
018野分(のわき)(はげ)しき夕暗(ゆふやみ)
019(わが)()(たづ)()(きた)
020(あや)しの(をとこ)二人(ふたり)(づれ)
021数多(あまた)枉人(まがびと)門口(かどぐち)
022(しの)ばせ()きて年老(としおい)
023(ぢい)サン(ばあ)サンや(わらは)まで
024言葉(ことば)(たくみ)(たばか)りつ
025一間(ひとま)(うち)鬼彦(おにひこ)
026(こころ)(たけ)鬼虎(おにとら)
027(われ)()(はか)空寝入(そらねい)
028(みづ)(ねむ)れる丑満(うしみつ)
029(かね)合図(あひづ)()()でて
030(なん)容赦(ようしや)荒縄(あらなは)
031(おも)ひも()らぬ強盗(がうたう)
032(あは)れや(ぢい)さま()アさまを
033(つみ)()いのに無残(むざん)にも
034(いへ)(はしら)(しば)()
035(なが)刃物(はもの)()(はな)
036(たから)(わた)(かね)()せと
037退引(のつぴき)ならぬ強談判(こわだんぱん)
038(ぢい)やも()アやも(おどろ)いて
039生命(いのち)ばかりはお(たす)けと
040(こゑ)(あは)れに(たの)()
041(わか)(とき)から苦労(くらう)して
042()めた(たから)(うば)()
043(なほ)()()らぬ(おに)(ども)
044(なん)容赦(ようしや)(なさけ)なや
045二人(ふたり)()はする()(まへ)
046(おも)ひも()らぬ横恋慕(よこれんぼ)
047(いや)(まを)さば老人(らうじん)夫婦(ふうふ)
048(かたな)(さび)にして()れむ
049(せつ)如何(いか)にと()めかくる
050(わらは)繊弱(かよわ)乙女子(おとめご)
051(なん)応答(いらへ)もなくばかり
052(おに)悪魔(あくま)瀰漫(はびこ)りて
053威猛(ゐたけ)(くる)()(なか)
054(きよ)(たす)くる神々(かみがみ)
055(この)()(なか)()きものか
056(ぜん)(おとろ)(あく)(さか)
057()烏羽玉(うばたま)(しん)(やみ)
058やみやみ魔神(まがみ)(とら)へられ
059()(おそ)ろしき大江山(おほえやま)
060鬼雲彦(おにくもひこ)面前(めんぜん)
061荒々(あらあら)しくも()()され
062()()(ばか)りの(おも)ひして
063網代(あじろ)駕籠(かご)()()まれ
064()()(ばか)りゆらゆらと
065()られて(きた)比治山(ひぢやま)
066(きた)(そび)ゆる真名井(まなゐ)(だけ)
067(ゆき)()(やま)(たに)(そこ)
068(いは)(ひら)いて()しこまれ
069黒白(あやめ)()かぬ(くら)がりの
070(この)巌窟(がんくつ)(ただ)一人(ひとり)
071()しこめられて()(おく)
072(さて)(さて)()(なか)
073(わし)(ほど)因果(いんぐわ)があるものか
074如何(いか)なる宿世(すぐせ)罪業(ざいごう)
075(めぐ)りて(ここ)父母(ちちはは)
076(かほ)()らず慈悲(じひ)(ぶか)
077(ぢい)やと(ばあ)やに(たす)けられ
078(はな)(つぼみ)最中(さいちう)
079(しも)にはうたれ荒風(あらかぜ)
080(なや)まされつつ味気(あぢき)なき
081岩窟(いはや)(なか)()住居(ずまゐ)
082昼夜(ひるよる)()かぬ()宿世(すぐせ)
083(すく)(たま)へと天地(あめつち)
084(かみ)(ねがひ)掛巻(かけま)くも
085(かしこ)(かみ)(ゆめ)(つげ)
086()出神(でのかみ)()れまして
087(こゑ)(おごそ)かに()らす(やう)
088アヽ(あい)らしきお(せつ)(ぢやう)
089(いま)(なんぢ)(この)()()
090()らし(あた)へむ()(した)
091(ぢぢ)(ばば)さまに()はさむと
092()らせ(たま)うと()(うち)
093(たちま)(ゆめ)(やぶ)られて
094(わが)()(かな)しき岩窟(いはやど)
095(なか)にくよくよ(もの)(あん)
096(この)()(かみ)()しまさば
097一日(ひとひ)(はや)片時(かたとき)
098()(すむや)けく(おや)()
099(せつ)なき(おも)ひを(あは)れみて
100(すく)はせ(たま)天津(あまつ)(かみ)
101国津(くにつ)(かみ)(たち)八百万(やほよろづ)
102(よろづ)(かみ)()守護(まも)りに
103(あま)岩戸(いはと)(ひら)(ごと)
104これの魔窟(まくつ)のすくすくに
105(ひら)いて(わらは)(あか)るみに
106(すく)はせたまへ惟神(かむながら)
107御霊(みたま)幸倍(さちはへ)()しませよ
108朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
109(つき)()つとも()くるとも
110仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
111曲津(まがつ)(かみ)(すさ)ぶとも
112(まこと)(かみ)()(すく)
113(この)神言(かみごと)(ちから)とし
114(あさな)(ゆふな)(わが)()りし
115(いづ)言霊(ことたま)何時(いつ)しかに
116一度(いちど)(ひら)(うめ)(はな)
117(はる)(きた)れど(はな)()かぬ
118(この)岩窟(いはやど)(わび)住居(ずまゐ)
119(あは)れみ(たま)(もも)(かみ)
120(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
121(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
122(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
123直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)
124()(あやまち)()(なほ)
125委曲(うまら)詳細(つばら)(をし)へたる
126三五教(あななひけう)(かみ)(のり)
127アヽ有難(ありがた)(たふと)しや
128(こころ)岩戸(いはと)はさやさやに
129(はちす)(はな)(にほ)(ごと)
130(ひら)いて(そら)(うる)はしき
131真如(しんによ)(つき)(かがや)けど
132(また)もや(くも)(むね)(そら)
133()岩窟(いはやど)(とら)はれて
134(そら)(かがや)日月(じつげつ)
135(ひかり)()らず()りしきる
136(なみだ)(あめ)何時迄(いつまで)
137比沼(ひぬ)真名井(まなゐ)(この)岩窟(いはや)
138何時(いつ)かは(のが)厳霊(いづみたま)
139(もも)(くる)しみ瑞霊(みづみたま)
140三五(さんご)(つき)(かがや)きて
141(おも)ひも(ふか)(おや)()
142(たがひ)()()()()はし
143(いだ)きて()かむ(とき)何時(いつ)
144アヽ惟神(かむながら)々々(かむながら)
145(みたま)幸倍(さちはへ)()しませよ
146アヽ惟神(かむながら)々々(かむながら)
147(みたま)幸倍(さちはへ)()しませよ』
148(かす)かに(をんな)(うた)(こゑ)きこへ()たりぬ。
149鬼彦(おにひこ)『ヤア此処(ここ)此処(ここ)だ、150(ひさ)()りでお(せつ)さまのお(こゑ)(きこ)えて()る。151マア(これ)生命(いのち)だけは(たす)かつたと()ふものだ、152ナア鬼虎(おにとら)153()安心(あんしん)したが()からうぜ』
154鬼虎(おにとら)(なん)(ほそ)(いや)らしい(こゑ)ぢやないか、155実際(じつさい)(せつ)さまの(こゑ)だらうか、156()()()岩窟(いはや)157(なに)()けて()るか(わか)つたものぢや()い、158とつくりと調(しら)べた(うへ)(こと)だよ』
159 鬼彦(おにひこ)は、
160鬼彦『もしもし』
161岩穴(いはあな)(のぞ)き、
162鬼彦(わたくし)御座(ござ)います』
163 お(せつ)164フツと(この)(こゑ)(おどろ)窓口(まどぐち)()れば(まが)(かた)なき鬼彦(おにひこ)(かほ)165(せつ)()るより、
166お節『ヤア(なんぢ)大江山(おほえやま)鬼雲彦(おにくもひこ)家来(けらい)鬼彦(おにひこ)ではないか、167年老(としよ)夫婦(ふうふ)(あせ)(あぶら)(しぼ)つた(たから)(うば)()り、168(あまつさ)(わらは)誘拐(かどはか)し、169かかる巌窟(がんくつ)(なが)らくの(あひだ)()ぢこめ()いた(なんぢ)悪神(あくがみ)眷属(けんぞく)170此処(ここ)()たのは日頃(ひごろ)(ねん)ずる(かみ)(さま)のお()(あは)せ、171さア覚悟(かくご)(いた)せ』
172()ふより(はや)()りあふ岩石(がんせき)右手(めて)(にぎ)り、173鬼彦(おにひこ)面部(めんぶ)目蒐(めが)けて()ちつけたるに、174(ねら)(はづ)れて岩壁(がんぺき)(あた)り、175かたかたと(おと)して巌窟内(がんくつない)()ちた。176(せつ)(また)もや(ひろ)()鬼彦(おにひこ)面部(めんぶ)目蒐(めが)けて()たむとするにぞ、177鬼彦(おにひこ)(おどろ)いて(のぞ)いた(かほ)(すく)(なが)ら、
178鬼彦『モシモシお(せつ)さま、179(その)腹立(はらだ)ちは御尤(ごもつと)もだが、180(わたくし)去年(きよねん)鬼彦(おにひこ)とは雲泥(うんでい)相違(さうゐ)だ。181(いま)前非(ぜんぴ)()い、182(まへ)(たす)けに()たのだ、183平助(へいすけ)さまもお(なら)さまも岩窟(いはと)入口(いりぐち)()つて御座(ござ)る。184サアサア()けてあげようから()(くだ)さい』
185(せつ)()くベラベラと(さへづ)(なんぢ)侫弁(ねいべん)186(その)手段(しゆだん)にのるものか、187(はや)(この)()()()れ』
188鬼彦(おにひこ)(その)()立腹(りつぷく)一応(いちおう)御尤(ごもつと)もで御座(ござ)います、189(しか)(なが)何時(いつ)までも此処(ここ)御座(ござ)つても(せん)なき(こと)190(なに)はともあれ(いま)岩戸(いはと)()けますから何卒(どうぞ)()まし(くだ)さい。191アーア一旦(いつたん)(わる)(こと)をすれば何時(いつ)までも(わる)(こと)をする(やう)()はれる(わい)192人間(にんげん)()ふものは(つね)大切(たいせつ)だと()ふのは此処(ここ)(こと)かなア、193これこれ鬼虎(おにとら)194吾々(われわれ)(ばか)りにものを()はして貴方(あなた)沈黙(ちんもく)して()るのか、195ヤア(をとこ)らしくも()いメソメソ()いて()るのだな、196エーじれつたい、197()くのなら(また)(ゆつ)くり(あと)()け、198千騎(せんき)一騎(いつき)場合(ばあひ)だ、199(まへ)(ひと)事情(じじやう)をお(せつ)さまの得心(とくしん)()(ところ)まで打明(うちあ)けて()れ、200(この)岩戸(いはと)()けるのは(やす)(こと)だが、201(せつ)さまの諒解(りやうかい)()てからで()いと、202()けるが最後(さいご)()かけに如何(どん)()()はされるか(わか)つたものぢや()い、203第一(だいいち)交渉(かうせふ)肝腎(かんじん)だよ』
204鬼虎(おにとら)『アーア、205仕方(しかた)()いな、206(この)鬼虎(おにとら)(やう)(おに)(やう)(とら)(やう)()()いた悪党(あくたう)(おれ)でも、207今迄(いままで)悪業(あくごふ)記憶(きおく)から()かんで()て、208(こころ)(おに)五臓(ござう)六腑(ろつぷ)(えぐ)られる(やう)だ、209アーア、210()けねばならず、211()けてはならず、212()けて(くや)しい玉手箱(たまてばこ)213(せつ)さまに()はす(かほ)如何(どう)してあらうか』
214(こゑ)(はな)つて()()したり。
215鬼彦(おにひこ)『おい、216岩公(いはこう)217貴様(きさま)無疵(むきず)だ、218(おれ)(かは)つて(ひと)(この)(あな)から(かほ)()()談判(だんぱん)をして(くれ)ないか、219特別(とくべつ)弁理(べんり)公使(こうし)だ、220(これ)(うま)()つたら貴様(きさま)勲一等(くんいつとう)にしてやるから』
221岩公(いはこう)勲一等(くんいつとう)でも(なん)でも御免(ごめん)だ、222迂濶(うつかり)(くび)でも()して(かさ)(だい)でも()()かれて()よ、223よい(つら)(かは)だ、224聖人(せいじん)君子(くんし)(あやふ)きに近寄(ちかよ)らずだ、225マアやめとこかい』
226鬼彦(おにひこ)『エー、227何奴(どいつ)此奴(こいつ)鬼味噌(おにみそ)(ばか)りだ、228(つよ)(さう)(かほ)して()よつて胆玉(きもだま)ちよろこい腰抜(こしぬ)けだなア、229オイ勘公(かんこう)230櫟公(いちこう)231貴様(きさま)交渉(かうせふ)委員(ゐゐん)任命(にんめい)する』
232勘公(かんこう)(なに)(ぬか)すのだい、233(この)談判(だんぱん)鬼彦(おにひこ)234鬼虎(おにとら)()くべからざる義務(ぎむ)があるのだ、235(たれ)(これ)だけ(から)時節(じせつ)(ひと)責任(せきにん)までも引受(ひきう)けて(あやふ)(こと)をする(やつ)があるものか、236ナア櫟公(いちこう)
237櫟公(いちこう)『オヽさうだ、238マアマア今日(けふ)日和(ひより)(わる)いから()めとこうかい』
239鬼彦(おにひこ)『エー、240仕方(しかた)がない、241()けてやらう』
242合図(あひづ)岩壁(がんぺき)をグツと()(ひら)けば、243(せつ)日頃(ひごろ)(きた)えて()いた岩壁(がんぺき)(つく)つた鋭利(えいり)石槍(いしやり)逆手(さかて)()ち、244鬼彦(おにひこ)目蒐(めが)けて()きかかる。245鬼彦(おにひこ)(もと)()隧道(すゐだう)生命(いのち)からがら()()す、246岩公(いはこう)はお(せつ)(うしろ)より、247無手(むづ)(ばか)(いだ)きとめ、
248岩公(いはこう)『モシモシお(せつ)どの、249マアマアお()(くだ)され、250(これ)には(ふか)仔細(しさい)御座(ござ)います』
251お節(この)()(およ)んで(なん)言訳(いひわけ)252(なんぢ)鬼雲彦(おにくもひこ)一派(いつぱ)悪魔(あくま)(ども)253大神(おほかみ)神力(しんりき)()()びたる丹波村(たんばむら)のお(せつ)武者(むしや)()り、254(おも)()れよ』
255()(かへ)()いてかかる。256岩公(いはこう)(また)もやトントンと(もと)()隧道(すゐだう)(あたま)()(ひぢ)岩壁(がんぺき)()ちつけ(なが)ら、257()けつ(まろ)びつ出口(でぐち)(はう)(はし)()く。258(せつ)四辺(あたり)をキヨロキヨロ見廻(みまは)しつつ、
259お節『ヤア其方(そなた)(まが)(かた)なき鬼虎(おにとら)では()いか、260()くも(わらは)(くる)しめよつたな、261サアもう()うなる(うへ)百年目(ひやくねんめ)262(せつ)怨恨(うらみ)(やいば)263()つて()よ』
264真向(まつかう)()(かざ)()びかからむとする(その)形相(ぎやうさう)(すさま)じさ。
265鬼虎(おにとら)『モシモシお(せつ)さま、266(わる)かつた(わる)かつた、267何卒(なにとぞ)(ゆる)して(くだ)さいませ、268(これ)には(ふか)い、269仔細(しさい)がある』
270(せつ)(その)言訳(いひわけ)()(みみ)()たぬ』
271()いてかかる。272鬼虎(おにとら)前後(ぜんご)左右(さいう)巌窟内(がんくつない)(たい)(かは)鋭鋒(えいほう)()けつつあつた。273如何(いかが)はしけむ、274(せつ)(いはほ)(つまづ)(その)()()(たふ)悶絶(もんぜつ)したりけり。
275鬼虎(おにとら)『アヽ失敗(しま)つた、276これや大変(たいへん)だ、277おいおい勘公(かんこう)278櫟公(いちこう)279貴様(きさま)(はや)出口(でぐち)()つて鬼彦(おにひこ)280岩公(いはこう)(この)次第(しだい)急報(きふはう)(いた)せ。281(おれ)はお(せつ)さまが()()(やう)介抱(かいほう)して()るから何卒(どうぞ)(はや)()つて()れ、282おい崎嶇(きく)たる隧道(すゐだう)(なか)283(あは)てて(つまづ)怪我(けが)するな、284(はや)()つて()い』
285勘公、櫟公『よし合点(がつてん)だ』
286勘公(かんこう)櫟公(いちこう)一生(いつしやう)懸命(けんめい)出口(でぐち)(むか)つて駆出(かけだ)したり。287鬼虎(おにとら)(かな)はぬ(とき)神頼(かみだの)み、288天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)(あま)数歌(かずうた)(こゑ)(たか)らかに奏上(そうじやう)()る。
289 一方口(いつぱうぐち)岩窟(いはや)(こゑ)出入口(でいりぐち)()ねたる岩窟(いはや)(まへ)老夫婦(らうふうふ)(はじ)鬼彦(おにひこ)290岩公(いはこう)()(みみ)()(とほ)(ごと)(きこ)()たりぬ。291勘公(かんこう)292櫟公(いちこう)岩窟(いはや)(なか)より(この)()(あら)はれ、
293勘公、櫟公『モシモシ鬼彦(おにひこ)294岩公(いはこう)大将(たいしやう)295タヽヽヽヽ大変(たいへん)だ、296シヽヽヽヽ()んだ、297()んだ、298()んだ、299()んだ(わい)
300平助(へいすけ)『エ、301(なん)仰有(おつしや)る、302それは(たれ)()んだのだい、303判然(はつきり)()はないのか』
304勘公(かんこう)『これが如何(どう)して判然(はつきり)()はれやうかい、305シヽヽヽ()んだのぢや()んだのぢや、306アーン、307アンアンアン』
308岩公(いはこう)鬼虎(おにとら)()んだのか』
309勘公(かんこう)『シヽヽヽ、310()んだのは()んだのぢやが、311しつかりは()らぬ(わい)312()つて()れや(わか)る、313もう(この)(うへ)()ふのは勘弁(こら)へて()れ』
314鬼彦(おにひこ)『お(せつ)どのが()んだのぢや()いか』
315勘公(かんこう)『シヽヽヽ()らぬ()らぬ、316マアマア()(かく)二人(ふたり)(うち)一人(ひとり)()んだのぢや』
317平助(へいすけ)『これこれお(まへ)(たち)318(この)年寄(としより)(なぶ)るのか、319()しお(せつ)()んででも()つたら(とし)()つてもまだ何処(どこ)かに元気(げんき)がある、320(まへ)(たち)(さん)(にん)()(にん)321(ひね)(つぶ)してやるから、322さう覚悟(かくご)(いた)せ』
323勘公(かんこう)『それでも(わたくし)()けは除外例(ぢよがいれい)でせうなア』
324平助(へいすけ)(なに)325何奴(どいつ)此奴(こいつ)皆殺(みなごろ)しだ』
326櫟公(いちこう)皆殺(みなごろ)しなら何程(なんぼ)でも頂戴(ちやうだい)(いた)します』
327岩公(いはこう)『エー、328ソンナ(どころ)かい、329サアサア(はや)()かうぢやないか、330愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して()ると折角(せつかく)(たす)けたお(せつ)さまの生命(いのち)(あやふ)いぞ、331モシモシ(ぢい)さま、332(なに)()もあれ、333(おく)()つて調(しら)べませう、334サア()い、335(きた)れ』
336(さき)()つて(はし)()く。337平助(へいすけ)338(なら)はブツブツ(つぶや)(なが)()(にん)(あと)()いて()く。339鬼虎(おにとら)一生(いつしやう)懸命(けんめい)神言(かみごと)奏上(そうじやう)しウンウンと神霊(しんれい)注射(ちうしや)(おこな)つて()る、340(せつ)(やうや)(いき)()(かへ)(かほ)ふり()げ、341()れば日頃(ひごろ)怨恨(うらみ)(かさ)なる鬼虎(おにとら)真裸(まつぱだか)(まま)両手(もろて)()一生(いつしやう)懸命(けんめい)祈願(きぐわん)して()る。
342(せつ)『ヤア、343(いぶ)かしき(なんぢ)行動(かうどう)344極悪(ごくあく)無道(ぶだう)()(もつ)殊勝(しゆしよう)らしく(かみ)(ねん)じ、345(わらは)(いつは)らむとするか、346(おも)()れや』
347(また)もや()いてかかる。
348鬼虎(おにとら)『マアマアマア、349()つて(くだ)さい、350(せつ)さま、351(これ)には(ふか)理由(わけ)がある、352()つた()つた』
353(せつ)(なに)354()つたもあるものか』
355()きかかるを、356鬼虎(おにとら)(みぎ)(ひだり)(たい)(かは)し、
357鬼虎『お(しづ)まりお(しづ)まり』
358()ひつつ()(まは)る。359此処(ここ)(ころ)げる(やう)這入(はい)つて()平助(へいすけ)(なら)は、
360平助、お楢『ヤアお(まへ)はお(せつ)じやないか』
361(せつ)『ヤア、362(ぢい)さまか、363(ばあ)さまか、364如何(どう)して此処(ここ)へお()でになりましたえ』
365平助『ヤ、366(せつ)367()()かつたわいなア』
368お楢『ヤ、369()う、370マア無事(ぶじ)()()れた』
371(さん)(にん)(たがひ)(いだ)()前後(ぜんご)(わす)れて(うれ)(なみだ)にかき()れる。372暫時(しばらく)あつて平助(へいすけ)夫婦(ふうふ)証言(しようげん)によりお(せつ)はやつと安心(あんしん)(うへ)373(あらた)めて祝詞(のりと)奏上(そうじやう)一行(いつかう)(はち)(にん)(この)岩窟(いはやど)()()で、374()(にん)裸男(はだかをとこ)(とも)(みち)(ひだり)にとり真名井(まなゐ)(だけ)豊国姫(とよくにひめ)出現場(しゆつげんば)()して(のぼ)()く。
375大正一一・四・二一 旧三・二五 北村隆光録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→