霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 (かみ)()か〔六三五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第18巻 如意宝珠 巳の巻 篇:第3篇 反間苦肉 よみ:はんかんくにく
章:第7章 第18巻 よみ:かみかまか 通し章番号:635
口述日:1922(大正11)年04月25日(旧03月29日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年2月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
七八人のウラナイ教の手下たちが、普甲峠の麓で雑談にふけっている。ウラナイ教は三五教に教勢を奪われ、最近は高姫、黒姫の機嫌がすこぶる悪いという。
手下たちはそこで、一計を案じて策略で信者をこしらえることにした。
丑公、寅公、辰公、鷹公、鳶公の五人がバラモン教の兇徒に扮して、三五教の夫婦の参詣者を襲った。そこへ、梅公、浅公、幾公の三人がウラナイ教の宣伝使として登場し、言霊の神力で兇徒を蹴散らす芝居を行った。
夫婦は、綾彦とお民と言った。すっかりウラナイ教の神力と慈悲を信じてしまった。ウラナイ教の男たちは、宿も提供すると言って、二人を魔窟ヶ原へと連れて来た。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm1807
愛善世界社版:111頁 八幡書店版:第3輯 678頁 修補版: 校定版:115頁 普及版:50頁 初版: ページ備考:
001四方(よも)山々(やまやま)紅葉(もみぢ)して
002(にしき)(おり)なす佐保姫(さほひめ)
003(ころも)(かざ)(あき)(そら)
004日脚(ひあし)(みじか)山坂(やまさか)
005(くだ)つて(きた)るウラナイの
006(みち)(をしへ)のヘボ(つかさ)
007 七八人(しちはちにん)荒男(あらをとこ)008普甲峠(ふかふたうげ)(ふもと)木蔭(こかげ)(やす)らひ(なが)ら、009雑談(ざつだん)(ふけ)()る。
010(かふ)(この)(ごろ)比沼真名井(ひぬまなゐ)参詣者(さんけいしや)は、011随分(ずゐぶん)沢山(たくさん)にあるではないか。012三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)到頭(たうとう)あの聖地(せいち)占領(せんりやう)して(しま)ひよつて、013(しまひ)にはウラナイ(けう)高姫(たかひめ)さまの懐刀(ふところがたな)とまで()(はや)された青彦(あをひこ)までが、014たうとう三五教(あななひけう)陥落(かんらく)して(しま)ひよつた。015音彦(おとひこ)016加米彦(かめひこ)両人(りやうにん)(へん)(やつ)だが、017何時(いつ)陥落(かんらく)するか(わか)りやしないぞ。018(この)(ごろ)高姫(たかひめ)さまや、019黒姫(くろひめ)さまの御機嫌(ごきげん)(わる)(こと)()つたらないぢやないか。020なぜあの(やう)(なん)でもない(こと)にツンケンと()(かど)()てるのだらう』
021(おつ)『きまつた(こと)よ。022俺達(おれたち)毎日(まいにち)日日(ひにち)023路傍(ろばう)宣伝(せんでん)をやつて()つても、024(ひと)つも土産(みやげ)がないものだから、025(たれ)だつて吾々(われわれ)(やう)(くら)(つぶ)しを、026沢山(たくさん)(やしな)うて()くのは(つま)らぬから、027自然(しぜん)黒姫(くろひめ)さまだつて御機嫌(ごきげん)(わる)くなるのは当然(あたりまへ)だ。028何時(いつ)仰有(おつしや)るだらう。029前達(まへたち)一人(ひとり)一人(ひとり)づつ信者(しんじや)(こしら)へて()れば、030十人(じふにん)十人(じふにん)信者(しんじや)出来(でき)る。031その信者(しんじや)(また)一人(ひとり)づつ()やして()けば、032(べつ)宣伝使(せんでんし)がなくても、033自然(しぜん)教線(けうせん)(ひろ)まると仰有(おつしや)つただらう。034それに毎日(まいにち)日日(ひにち)035()うして往来(ゆきき)(ひと)(つか)まへて宣伝(せんでん)にかかつて()つても、036誰一人(たれひとり)帰順(きじゆん)する(もの)がないぢやないか。037比沼(ひぬ)真名井(まなゐ)さまは、038三月(みつき)一遍(いつぺん)(くらゐ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)()()(だけ)だ。039それに自然(ひとりで)信者(しんじや)()えて()る。040それだから、041(えう)するに吾々(われわれ)はモ(ひと)つどつかに徹底(てつてい)せない(ところ)があるのだらう。042今日(けふ)(なん)とかして、043一人(ひとり)でも入信者(にふしんじや)(こしら)へて()ななくては、044()はす(かほ)がないぢやないか』
045(へい)『さうだと()つて、046()(もの)無理(むり)()()つて()ンだ(ところ)仕方(しかた)がない。047(こころ)(そこ)から……アヽ、048ウラナイ(けう)有難(ありがた)神様(かみさま)だと()(かん)じを(あた)へてやらねば、049本当(ほんたう)信仰(しんかう)(みちび)(こと)出来(でき)ぬぢやないか』
050(かふ)『それもさうだが、051(なん)()方法(はうはふ)()るまいかなア。052俺達(おれたち)一生懸命(いつしやうけんめい)言葉(ことば)(つく)教理(けうり)研究(けんきう)して()()てるのだが、053どうしたものか、054(たれ)(かれ)九分九厘(くぶくりん)になるとみな()げて(しま)ふ。055(たまたま)信者(しんじや)出来(でき)たと(おも)へば、056青彦(あをひこ)やお(せつ)(やう)に、057(すぐ)三五教(あななひけう)(はし)つて(しま)ふ。058本当(ほんたう)(めう)だなア』
059(てい)目的(もくてき)手段(しゆだん)(えら)ばずと()(こと)がある。060(ひと)つ、061()(だけ)チヨイチヨイ(まゐ)る、062比沼(ひぬ)真名井(まなゐ)参詣者(さんけいしや)計略(けいりやく)(もつ)入信(にふしん)させたらどうだ』
063(おつ)(なん)()妙案(めうあん)奇策(きさく)があるのか』
064(てい)『あるともあるとも、065(しか)しお前達(まへたち)(やう)馬鹿正直者(ばかしやうぢきもの)では、066到底(たうてい)出来(でき)ない芸当(げいたう)だから、067()発表(はつぺう)見合(みあ)はす(こと)にしようかい』
068(へい)『さうだと()つて、069今日(けふ)(また)獲物(えもの)なしに(かへ)(わけ)にも()かず、070()はズツプリ()れて(しま)つたなり、071(うち)(かへ)つて(おほ)きな(かほ)して、072麦飯(むぎめし)(いただ)けぬぢやないか。073ドンナ手段(しゆだん)でも(かま)はぬ、074()方法(はうはふ)があるなら(をし)へて()れ』
075(てい)(なん)でも(おれ)()(やう)にするか、076(おれ)妙案(めうあん)奇策(きさく)(もち)ゐたら成功(せいこう)(うたが)ひなしだ。077(てん)(くち)あり(かべ)(みみ)078(おほ)きな(こゑ)では()はれぬが、079(じつ)()()()ういふ手段(しゆだん)だ』
080一同(いちどう)耳元(みみもと)(くち)()何事(なにごと)(ささや)いた。081一同(いちどう)は、
082合点(がつてん)合点(がつてん)だ』
083(うなづ)き、084大道(だいだう)中央(まんなか)五人(ごにん)(をとこ)085(よこ)になつて(みち)(ふさ)ぎ、086(さけ)()うた気分(きぶん)寝転(ねころ)ンだ。087(かふ)(おつ)(へい)三人(さんにん)依然(いぜん)として(かたはら)森林(しんりん)()(ひそ)めて()る。088()はズツプリと()れ、089誰彼(たれかれ)(かほ)()えなくなつて(しま)つた。090(むか)ふの(はう)より男女(だんぢよ)二人(ふたり)091ひそひそと(ささや)(なが)ら、092()かる計略(たくみ)のありとは、093(かみ)ならぬ()()(よし)もなく、094(そら)(ほし)(やま)(かたち)095()(えだ)などを目標(めあて)に、096覚束(おぼつか)なげに(あゆ)(きた)り、097一人(ひとり)横腹(よこはら)をグツと()み、098『キヤツ』と(おどろ)()げむとする途端(とたん)に、099二人(ふたり)二三人(にさんにん)(はら)100(あし)(あた)りを()み、101(すべ)つてバツタリと(たふ)れたり。
102丑公(うしこう)『タヽヽ(たれ)ぢやい、103(おれ)睾丸(きんたま)()みよつて……馬鹿(ばか)にしやがる』
104寅公(とらこう)(おれ)何処(どこ)(やつ)か、105(こし)()みよつた』
106辰公(たつこう)『アイタヽヽ、107(はら)をグサと()みよつて………ヤイヤイ何処(どこ)(やつ)だ、108(ひと)(からだ)土足(どそく)にかけて……一体(いつたい)(なに)をするのだ。109……オイ(みな)(やつ)110()きぬかい、111此奴(こいつ)(なん)でも夫婦連(めをとづれ)()える。112モウ量見(りやうけん)ならぬ、113(みな)()つて(たか)つて(たた)()ばし、114フン(じば)つて、115宮津(みやづ)(うみ)()()ンだろうかい』
116賛成(さんせい)々々(さんせい)
117(いづ)れも(つく)(ごゑ)118滅多(めつた)矢鱈(やたら)四方(しはう)八方(はつぱう)より(たた)きつける。
119(をとこ)『コレハコレハ(まこと)()まぬ(こと)(いた)しました。120あまり(くら)いものですから、121足許(あしもと)()えず……どうぞ御勘弁(ごかんべん)(あそ)ばして(くだ)さいませ』
122寅公(とらこう)『ナーニ勘弁(かんべん)(くそ)もあるものか。123(おれ)(たれ)だと(おも)つて()やがる。124大江山(おほえやま)鬼雲彦(おにくもひこ)(いち)乾児(こぶん)125鬼虎(おにとら)だぞ。126モウ()うなる以上(いじやう)(なん)()つたつて、127(たた)()ばし、128大江山(おほえやま)本城(ほんじやう)()(かへ)り、129手足(てあし)をもぎ()り、130(さけ)(さかな)にしてやるか、131さもなくば(うみ)へぶち()むか、132(ふた)つに(ひと)つだ、133……オイ兄弟(きやうだい)134俺達(おれたち)無礼(ぶれい)(くは)へた代物(しろもの)だ、135此奴(こいつ)二人(ふたり)(とも)()つて(しま)へ』
136『ヨーシ』
137(また)もや無性(むしやう)矢鱈(やたら)(たた)く、138()む、139()る、140()らむ(かぎ)りの打擲(ちやうちやく)をやつて()る。141(をんな)悲鳴(ひめい)()げ、
142人殺(ひとごろ)しイ 人殺(ひとごろ)しイ』
143丑公(うしこう)『ナーニ、144人殺(ひとごろ)しとは貴様(きさま)(こと)だ、145スツテの(こと)(おれ)()(ころ)さうとしやがつたぢやないか。146まかり(ちが)へば俺達(おれたち)(ころ)される(ところ)だ。147(ころ)すか、148(ころ)されるか、149どちらかが()ぬのだ、150モウ()うなる以上(いじやう)(なん)()つても、151(おも)存分(ぞんぶん)制敗(せいばい)をしてやらう』
152(をとこ)『お(はら)()ちませうが、153()らず()らずの不調法(ぶてうはふ)154どうぞ今度(こんど)ばかりはお見逃(みのが)(くだ)さいませ』
155寅公(とらこう)『ヤア(なん)()つても一度(いちど)量見(りやうけん)ならぬと()つたら、156金輪奈落(こんりんならく)(そこ)(まで)量見(りやうけん)ならぬのだ。157オイ(みな)(やつ)158(やり)だ、159(かたな)だ、160(はや)()つて()い。161………コラ夫婦(ふうふ)(やつ)162貴様(きさま)()ると(おも)つて最前(さいぜん)から、163数十人(すうじふにん)手下(てした)四辺(あたり)森林(しんりん)(しの)ばせ、164()つて()た』
165二人(ふたり)男女(だんぢよ)(むか)つて殻竿勝(からざをがち)(やう)(たた)きつける。166夫婦(ふうふ)悲鳴(ひめい)をあげ、
167(たす)けて()れイ (たす)けて()れイ』
168(こゑ)(かぎ)りに()(さけ)ぶ。169(たちま)(この)()(あら)はれた二三人(にさんにん)大男(おほをとこ)
170『ヤアヤア(われ)こそはウラナイ(けう)宣伝使(せんでんし)だ。171大江山(おほえやま)鬼雲彦(おにくもひこ)家来(けらい)奴輩(やつばら)172仮令(たとへ)何百人(なんびやくにん)一度(いちど)()(きた)(とも)173ウラナイ(けう)(かみ)神力(しんりき)(もつ)て、174(なんじ)悪魔(あくま)一群(ひとむれ)175(かた)(ぱし)から(ほろぼ)()れむ、176覚悟(かくご)(いた)せ』
177寅公(とらこう)(なに)猪口才(ちよこざい)な、178何程(なにほど)神力(しんりき)があると()つても、179多寡(たくわ)()れた二人(ふたり)三人(さんにん)木端武者(こつぱむしや)180味方(みかた)(ほとん)百人(ひやくにん)181グヅグヅ(ぬか)さず、182一時(いつとき)(はや)(この)()立去(たちさ)れツ。183吾々(われわれ)無礼(ぶれい)(はたら)いた二人(ふたり)男女(だんぢよ)184()れより制敗(せいばい)する(ところ)だ。185俺達(おれたち)行動(かうどう)(さまた)ぐると、186汝等(なんぢら)(もろ)(とも)手足(てあし)(しば)大江山(おほえやま)本城(ほんじやう)()(かへ)り、187五体(ごたい)をグタグタに()つて()つて()(はふ)り、188(さけ)(さかな)にして()れむ、189覚悟(かくご)(いた)せ』
190大男(おほをとこ)『ハヽヽヽ、191(なに)(ぬか)しやがる、192(なに)ほど鬼雲彦(おにくもひこ)家来(けらい)193仮令(たとへ)百万(ひやくまん)千万(せんまん)一度(いちど)()()(きた)(とも)194ウラナイ(けう)神力(しんりき)195(ただ)一本(いつぽん)指先(ゆびさき)にて、196汝等(なんぢら)縦横無尽(じうわうむじん)()()薙立(なぎた)て、197(うみ)藻屑(もくづ)(いた)()れむ、198覚悟(かくご)(いた)せ』
199辰公(たつこう)『ヤアヤア家来(けらい)奴輩(やつばら)200(この)両人(りやうにん)(まを)すに(およ)ばず、201邪魔(じやま)ひろぐウラナイ(けう)三人(さんにん)奴輩(やつばら)202四方(しはう)より取囲(とりかこ)み、203(やり)(もつ)(ただ)一突(ひとつ)き、204大江山(おほえやま)本城(ほんじやう)一時(いちじ)(はや)()(かへ)れ』
205 一人(ひとり)(をとこ)206(くら)がりより、
207(をとこ)『ヤア(おに)奴輩(やつばら)208ウラナイ(けう)言霊(ことたま)(くら)つて()よ、209()(あし)もビクとも(いた)さぬ(やう)に、210霊縛(れいばく)(くは)へて()れむ。211(ひと)(ふた)()()(いつ)(むゆ)(なな)()(ここの)(たり)(もも)()(よろづ)
212 (うし)213(とら)(はじ)五人(ごにん)(をとこ)
214『アイタヽヽ。215(いた)いワ(いた)いワ、216()(あし)石地蔵(いしぢざう)(やう)になつて(うご)きよらぬ………オイもしウラナイ(けう)大先生(だいせんせい)(たち)217如何(いか)なる(おに)乾児(こぶん)吾々(われわれ)()れには閉口(へいこう)(いた)します。218(えら)御神力(ごしんりき)だ。219どうぞ霊縛(れいばく)()いて(くだ)さい。220(けつ)して(けつ)してモウ貴方等(あなたがた)には相手(あひて)にはなりませぬ、221(しか)(なが)(この)二人(ふたり)男女(だんぢよ)吾々(われわれ)土足(どそく)にかけた無礼者(ぶれいもの)222これ(だけ)はどうしても(もら)うて(かへ)ります』
223 暗中(あんちう)より、
224『まださう()(こと)(ぬか)すと、225今度(こんど)言霊(ことたま)神力(しんりき)()つて、226(なんぢ)五体(ごたい)をグタグタに解体(かいたい)しよか。227サアどうぢや、228(ひと)(ふた)()()…………』
229『アイタヽヽ、230ヤア(かな)はぬ(かな)はぬ、231どうぞ勘忍(かんにん)して(くだ)さいませ』
232 (くら)がりより、
233『ソンナラ(なんぢ)(ゆる)して(つか)はす。234二人(ふたり)此処(ここ)(のこ)して一時(いつとき)(はや)(この)()立去(たちさ)れ…………ヤイヤイ(もり)(なか)数百人(すうひやくにん)(おに)眷族(けんぞく)(ども)235手足(てあし)(うご)かなくなつて(もの)()へず、236(あは)れな(もの)だ。237(この)(はう)今日(けふ)特別(とくべつ)(もつ)(ゆる)してやらう。238(だま)つてサツサと大江山(おほえやま)(かへ)つて()け…………ヤイそこな腰抜(こしぬけ)(ども)239貴様(きさま)(はや)立去(たちさ)らぬか』
240 (とら)241(うし)242(たか)243(たつ)244(とび)245一時(いちじ)()(ごゑ)()して、
246()げと仰有(おつしや)つても、247()(あし)も、248チツトも(うご)きませぬ。249どうぞ霊縛(れいばく)()いて(くだ)さいませ』
250 (くら)がりより、
251『オヽさうだつたな、252貴様(きさま)(だけ)(わす)れて()つた。253サア霊縛(れいばく)()いてやる、254(ひと)(ふた)()()………これで結構(けつこう)だ、255サア(はや)()(かへ)らう』
256 五人(ごにん)一度(いちど)に、
257有難(ありがた)御座(ござ)います、258モウ()()(わる)(こと)(いた)しませぬ。259なンとウラナイ(けう)(えら)御神力(ごしんりき)御座(ござ)います、260(おそ)()りました』
261 (くら)がりより、
262『エー()()(ぬか)さず、263トツトと(かへ)れ』
264 (たちま)五人(ごにん)(かげ)足音(あしおと)()てて一生懸命(いつしやうけんめい)265西方(せいはう)()して(はし)つて()く。266(くら)がりより三人(さんにん)一度(いちど)に、
267『ハヽヽヽ(ひと)(おそ)れる悪逆無道(あくぎやくぶだう)鬼神(おにがみ)(ども)268(もろ)いものだ。269とうと御神力(ごしんりき)にくたばりよつたワイ。270モシモシ(たび)のお(かた)271(えら)(あぶ)ない(こと)御座(ござ)いました。272怪我(けが)はありませぬか』
273(をとこ)『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います。274(わたくし)弥仙山(みせんざん)(ふもと)住居(すまゐ)(いた)す、275綾彦(あやひこ)(まを)(もの)276一人(ひとり)(わたくし)女房(にようばう)のお(たみ)(まを)します。277比沼(ひぬ)真名井ケ原(まなゐがはら)参詣(さんけい)(いた)し、278途中(とちう)()()らし、279由良(ゆら)(みなと)まで()つて宿(やど)をとらうと(おも)ひ、280此処(ここ)までやつて()ました(ところ)281大江山(おほえやま)(おに)(ども)取囲(とりかこ)まれ、282生命(いのち)夫婦(ふうふ)(とも)()られようとする、283危急(ききふ)存亡(そんばう)場合(ばあひ)284(たす)(くだ)さいましてコンナ有難(ありがた)(こと)が、285(てん)にも()にも御座(ござ)いませうか。286(この)御恩(ごおん)如何(どう)して(かへ)したら(よろ)しう御座(ござ)いませうか』
287(たみ)(まこと)(まこと)に、288(あやふ)(ところ)289生命(いのち)(ひろ)うて(くだ)さいまして……貴方(あなた)(さま)は、290吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)生命(いのち)(おや)御座(ござ)います。291御恩(ごおん)(がへ)しには、292如何(いか)なる(こと)でも(あふ)()(くだ)さいませ。293夫婦(ふうふ)(もの)(ちから)(つく)せる(かぎ)御用(ごよう)(いた)します』
294 (くら)がりより、
295(わたくし)はウラナイ(けう)(もの)御座(ござ)います。296(あさ)297(いく)298(うめ)(まを)三人(さんにん)(もの)299あなたも()れから神様(かみさま)御恩報(ごおんはう)じに、300()生命(いのち)だと(おも)つて、301ウラナイ(けう)(みち)()り、302神様(かみさま)(ため)にお(はたら)きなさい。303それが一番(いちばん)304吾々(われわれ)(たい)する恩返(おんがへ)し……また神様(かみさま)(たい)する孝行(かうかう)(まを)すもの、305………』
306 綾彦(あやひこ)307(たみ)一時(いちじ)涙声(なみだごゑ)
308『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います。309モウ()うなる以上(いじやう)()生命(いのち)(ひろ)つて(もら)うたので御座(ござ)いますから、310(あふ)せに(したが)ひます、311如何様(いかやう)(こと)なつと(あふ)せつけ(くだ)さいませ』
312浅公(あさこう)『ヤアよしよし、313承知(しようち)(いた)した。314サア()れから吾々(われわれ)(やかた)へお()しなさい。315()()(ところ)にグヅグヅして()ると、316(また)剣呑(けんのん)です。317私達(わたしたち)(いそ)いで(かへ)らねばなりませぬから、318あなたも一緒(いつしよ)にお()(くだ)さい、319何時(なんどき)()(かへ)しに()るかも()れませぬよ』
320夫婦(ふうふ)『それはそれは有難(ありがた)御座(ござ)います。321生命(いのち)(たす)けて(いただ)いた(うへ)に、322(また)今晩(こんばん)御世話(おせわ)になるので御座(ござ)いますか』
323浅公(あさこう)(なに)324ソンナ御心配(ごしんぱい)はチツトも()らない。325世界(せかい)(ひと)(あまね)(すく)ふのが、326ウラナイ(けう)神様(かみさま)御趣旨(ごしゆし)だ。327サアサア(かへ)りませう』
328夫婦(ふうふ)有難(ありがた)御座(ござ)います。329(しか)らばあなた(さま)(がた)御厄介(ごやくかい)(あづか)りませうか』
330浅公(あさこう)『チツとも遠慮(ゑんりよ)()らぬ、331サアお(いで)なさい。332あなたは(みち)勝手(かつて)()らないし、333マンなかをお()でなさい。334吾々(われわれ)後先(あとさき)警護(けいご)して()げませう』
335夫婦(ふうふ)(なに)から(なに)まで御親切(ごしんせつ)に……何時(いつ)()にかは(わす)れませう。336()れと()ふのも、337真名井(まなゐ)神様(かみさま)のおかげ……』
338浅公(あさこう)『コレコレ御夫婦(ごふうふ)339(いま)(なん)仰有(おつしや)つた、340真名井(まなゐ)神様(かみさま)のお(かげ)()はれましたが、341真名井(まなゐ)神様(かみさま)にお(かげ)があるなら、342参拝(さんぱい)した下向(げかう)(みち)に、343コンナ災難(さいなん)()(はず)がないぢやありませぬか。344もしも吾々(われわれ)ウラナイ(けう)取次(とりつぎ)()なかつたならば、345あなたは、346それこそ大変(たいへん)()()つて()るのですよ。347モウ真名井(まなゐ)さまの(こと)はスツカリと(おも)()つて、348(わたくし)(たち)(しん)ずるウラナイ(けう)入信(にふしん)しさい』
349夫婦(ふうふ)入信(にふしん)()して(くだ)さいますか、350有難(ありがた)御座(ござ)います』
351三人(さんにん)(なか)(はさ)まれ、352薄明(うすあか)りの(みち)をトボトボと、353魔窟ケ原(まくつがはら)()して(いざな)はれ()く。354魔窟ケ原(まくつがはら)中途(なかば)(まで)(かへ)()(をり)しも以前(いぜん)(うし)355(とら)356(たか)357(たつ)358(とび)五人(ごにん)
359『ヤアこれは、360浅公(あさこう)361幾公(いくこう)362梅公(うめこう)363御苦労(ごくらう)御座(ござ)いました。364(いま)(わたくし)(たち)御神前(ごしんぜん)御祈願(ごきぐわん)をして()りました(ところ)365普甲峠(ふかふたうげ)(ふもと)大江山(おほえやま)鬼雲彦(おにくもひこ)眷族(けんぞく)数多(あまた)(あら)はれ、366二人(ふたり)旅人(たびびと)(とら)まへて無体(むたい)乱暴(らんばう)367(すで)生命(いのち)まで()らむと(いた)して()るのが天眼(てんがん)(うつ)りました。368ヤアこら大変(たいへん)だと、369(また)もや天眼通(てんがんつう)(ひか)らかし()れば、370森蔭(もりかげ)(ひそ)百人(ひやくにん)(あま)りの(おに)手下(てした)(ども)371ヤア此奴(こいつ)(たす)けねばなるまいと()(いら)てど、372何分(なにぶん)遠隔(ゑんかく)土地(とち)373そこへ天眼(てんがん)(えい)じたのはあなた(がた)三人(さんにん)374二人(ふたり)(さけ)(ごゑ)()きつけ、375韋駄天(ゐだてん)(ばし)りに(かけ)つけるのが()えた(とき)(うれ)しさ、376吾々(われわれ)五人(ごにん)神前(しんぜん)より一生懸命(いつしやうけんめい)霊縛(れいばく)をかけると、377(おに)手下(てした)(やつ)(ども)378身体(しんたい)強直(きやうちよく)(くるし)(もだ)へる可笑(をか)しさ、379蜘蛛(くも)()()らすが(ごと)()()せよつた。380あの(とき)吾々(われわれ)が、381此方(こちら)から応援(おうゑん)せなかつたら、382随分(ずゐぶん)貴方等(あなたがた)(あやふ)いものであつた』
383 (あさ)384(いく)385(うめ)三人(さんにん)
386『それは御苦労(ごくらう)でした。387(しか)しさう(おつしや)ると、388吾々(われわれ)(はたら)きはサツパリ ゼロの(やう)(きこ)えますなア』
389寅公(とらこう)『イヤ(けつ)して(けつ)して、390あなた(がた)()つて()れたばつかりに、391此方(こちら)鎮魂(ちんこん)()いたのだ。392(まつた)くはあなた(がた)三人(さんにん)功績(こうせき)九分九厘(くぶくりん)だ。393……ヤア其処(そこ)御座(ござ)るお二人(ふたり)(かた)394霊眼(れいがん)()(とほ)りだ。395()うマア貴方(あなた)396(たす)けて(もら)ひなさつた。397(かた)()(かた)だ。398サアサア吾々(われわれ)本拠(ほんきよ)へお()しなさいませ』
399夫婦(ふうふ)『これはこれは、400あなた(がた)はウラナイ(けう)のお(かた)御座(ござ)いますか、401いかい御世話(おせわ)になりました。402どうぞ(よろ)しうお(たの)(まを)します』
403寅公(とらこう)『ヤア何事(なにごと)神様(かみさま)御引合(おひきあは)せだ。404モウ()うなつては兄弟(きやうだい)同様(どうやう)だ。405(なん)(へだ)ても、406遠慮(ゑんりよ)()らぬ。407(たがひ)(こころ)打明(うちあ)けて神様(かみさま)(ため)(はたら)きませう。408御大将(おんたいしやう)黒姫(くろひめ)(さま)や、409高山彦(たかやまひこ)さまも大変(たいへん)御喜(およろこ)びなさいませう』
410夫婦(ふうふ)『あなた(がた)御大将(おんたいしやう)御座(ござ)いますのか』
411寅公(とらこう)『ヘエヘエ、412()りますとも、413それはそれは立派(りつぱ)な、414(えら)(かた)ですよ。415吾々(われわれ)(かげ)()めぬ(くらゐ)(もの)です。416サアサア今日(けふ)吾々(われわれ)手柄(てがら)を、417(ひと)(かへ)つて御大将(おんたいしやう)報告(はうこく)(いた)しませう』
418夫婦(ふうふ)『どうぞ(よろ)しう、419あなた(がた)から御頼(おたの)(くだ)さいませ』
420寅公(とらこう)『ヤア心配(しんぱい)なさるな。421(かみ)(みち)結構(けつこう)なものですよ。422一寸(ちよつと)()うても十年(じふねん)知己(ちき)(やう)なものです……サアサア()かう』
423十人(じふにん)同勢(どうぜい)地底(ちてい)岩窟(がんくつ)()して(かへ)()く。
424大正一一・四・二五 旧三・二九 松村真澄録)