霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 零敗(ゼロはい)()〔六五〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第19巻 如意宝珠 午の巻 篇:第2篇 意外の意外 よみ:いがいのいがい
章:第5章 零敗の苦 よみ:ぜろはいのく 通し章番号:650
口述日:1922(大正11)年05月07日(旧04月11日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年2月28日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高姫は、フサの国北山村のウラナイ教本部へと戻ってきた。魔我彦と蠑螈別はしきりに高姫に玉照姫の首尾を尋ねるが、高姫ははぐらかして鍵をかけて寝てしまう。
一同は、高姫の供をしていた鶴公と亀公に経緯を尋ねる。鶴公は、三五教の計略にかかって玉照姫を奪われてしまったことを明かす。
そこに高姫が現れる。魔我彦は弥仙山の失敗を慰める。高姫は誰がそのことをしゃべったのか問うと、鶴公は偽神がかりをやってごまかす。
そこへ、外に鳥船が着陸した物音が聞こえた。やってきたのは、黒姫、高山彦らの一行であった。高姫の機嫌を恐れてなかなか中に入れない間に、寅若は黒姫の失策を責め始める。
菊若は勇気を奮って中に入り、高姫に挨拶をした。高姫は亀公に一同を迎えにやらせた。一同揃って宴会を開き、ウラナイ教の本部は大乱脈の様相となった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:61頁 八幡書店版:第4輯 51頁 修補版: 校定版:63頁 普及版:27頁 初版: ページ備考:
001 炎熱(えんねつ)火房(くわばう)()するが(ごと)く、002釜中(ふちう)()るが(ごと)酷暑(こくしよ)(そら)003雲路(くもぢ)()けて(くだ)()一隻(いつせき)飛行船(ひかうせん)は、004フサの(くに)北山村(きたやまむら)のウラナイ(けう)本山(ほんざん)広庭(ひろには)無事(ぶじ)着陸(ちやくりく)したり。005魔我彦(まがひこ)006蠑螈別(いもりわけ)二人(ふたり)(この)(おと)(おどろ)き、007高姫(たかひめ)御帰館(ごきくわん)なりと、008()るものも取敢(とりあへ)ず、009(おもて)()()()れば、010高姫(たかひめ)(まなこ)()り、011()()はれぬ(すさま)じき形相(ぎやうさう)(なが)ら、012(つる)013(かめ)両人(りやうにん)(ともな)ひ、014(ふね)より()(きた)り、
015『アヽ蠑螈別(いもりわけ)さま、016留守中(るすちう)大儀(たいぎ)御座(ござ)いました。017(べつ)(かは)つた(こと)()りませなンだかな』
018『ハイ、019たいした(かは)りは()りませぬが、020二三日(にさんにち)以前(いぜん)より、021(なん)とも()れぬ太白星(たいはくせい)(やう)(ひかり)(はつ)した光玉(くわうぎよく)022夜半(やはん)(ころ)になると、023大音響(だいおんきやう)()て、024庭前(ていぜん)落下(らくか)する(こと)(しばしば)()ります』
025『それは大変(たいへん)吉祥(きちしやう)だ。026(しか)(その)(たま)はどうなさつたか』
027 魔我彦(まがひこ)丁重(ていちよう)(くび)()げ、
028毎朝(まいあさ)(はや)くより、029綿密(めんみつ)調(しら)べて()ましたが、030(べつ)()れと()ふものも(おち)()らず、031(また)(なん)形跡(けいせき)(のこ)つて()ませぬ』
032『それは不思議(ふしぎ)(こと)だ。033いづれ(なに)結構(けつこう)(こと)()るでせう』
034蠑螈別(いもりわけ)(むらさき)(くも)出所(でどころ)(わか)りましたか。035(さだ)めて良結果(りやうけつくわ)()られたでせう。036万事(ばんじ)抜目(ぬけめ)()いあなたの(こと)ですから、037大成功(だいせいこう)(うたがひ)なしと、038館内(くわんない)一同(いちどう)(もの)貴方(あなた)御帰(おかへ)りを(いま)(いま)かと(くび)(なが)くして()つて()ました。039どうぞ(はや)(おく)へお這入(はい)(くだ)さいまして、040結構(けつこう)御土産話(おみやげばなし)を、041一同(いちどう)()かして(くだ)さいませ』
042高姫(たかひめ)『………』
043魔我彦(まがひこ)『コレコレ蠑螈別(いもりわけ)さま、044大切(たいせつ)神界(しんかい)御経綸(ごけいりん)045玄関口(げんくわんぐち)(たづ)ねると()(こと)があるものか、046高姫(たかひめ)(さま)沈黙(ちんもく)なさるも当然(たうぜん)だ』
047蠑螈別(いもりわけ)『ア、048それもさうでした。049高姫(たかひめ)さま、050サア(おく)御案内(ごあんない)(いた)しませう』
051 高姫(たかひめ)(おく)()る。052一同(いちどう)(にはか)(うへ)(した)へと、053バタバタ歓迎(くわんげい)準備(じゆんび)多忙(たばう)(きは)()る。
054高姫(たかひめ)今日(けふ)無事(ぶじ)墜落(つゐらく)もせず、055遥々(はるばる)(かへ)つて()たのだから、056御神前(ごしんぜん)にお神酒(みき)沢山(たくさん)献上(けんじやう)し、057種々(いろいろ)御馳走(ごちそう)をお(そな)(まを)し、058ゆつくり直会(なほらひ)(えん)でも()つて(くだ)さい。059あまり急速力(きふそくりよく)(かへ)つて()ましたので、060(わたし)(すこ)(ばか)頭痛気味(づつうぎみ)だから、061(おく)()つて二三日(にさんにち)ユツクリ休息(きうそく)(いた)します』
062蠑螈別(いもりわけ)『ア、063それはさうでせう。064(しか)(なが)御休(おやす)みになれば、065(たづ)(まを)(わけ)にもゆかず、066一寸(ちよつと)端緒(たんちよ)なりと、067一口(ひとくち)仰有(おつしや)つて(くだ)さいませいナ』
068高姫(たかひめ)神界(しんかい)御経綸(おしぐみ)069秘密(ひみつ)何処(どこ)までも秘密(ひみつ)ぢや。070(いま)御神命(ごしんめい)()りて()(こと)出来(でき)ませぬ……コレ(つる)に、071(かめ)072(まへ)(やす)みなさい。073種々(いろいろ)(こと)()ふではないよ』
074鶴公(つるこう)(わたし)はチツトも疲労(ひらう)して()りませぬ。075(べつ)(やす)必要(ひつえう)御座(ござ)いませぬから、076ゆつくりと貴方(あなた)(かは)つて、077(かめ)二人(ふたり)(かは)(がは)る、078一切(いつさい)大失敗(だいしつぱい)……ウン……オツトドツコイ顛末(てんまつ)演説(えんぜつ)(いた)しませうか』
079高姫(たかひめ)『コレコレ(つる)080(かめ)081(つる)千年(せんねん)082(かめ)万年(まんねん)()(こと)()るぢやないか。083(つる)には千年(せんねん)(あひだ)箝口令(かんこうれい)()く。084(かめ)には一万年(いちまんねん)(あひだ)箝口令(かんこうれい)()く…』
085鶴公(つるこう)『モシ高姫(たかひめ)さま、086千年(せんねん)箝口令(かんこうれい)()かれては、087(おし)同様(どうやう)ですから、088そればつかりは取消(とりけし)(ねが)ひます』
089高姫(たかひめ)『イヤ、090今度(こんど)(こと)(くわん)してのみ箝口令(かんこうれい)()くのだよ。091(その)(ほか)(こと)はお(まへ)勝手(かつて)だ。092(むらさき)(くも)(くわん)した秘密(ひみつ)(けん)だけは()うてはならない。093時節(じせつ)()たならば、094高姫(たかひめ)(みな)披露(ひろう)するから、095サア(つる)096(かめ)097(まへ)(なが)らくお(とも)をして()れて、098(つら)かつただらう。099二三日(にさんにち)100(たれ)()らぬ(とこ)()つてユツクリと(あそ)びて()なさい、101(また)いろいろの(こと)喋舌(しやべ)ると煩雑(うるさ)いからな。102……蠑螈別(いもりわけ)さま、103魔我彦(まがひこ)さま、104それなら失礼(しつれい)(いた)します。105どうぞユツクリ(さけ)でも()み、106(みな)さまと(なか)よく、107神恩(しんおん)感謝(かんしや)して(くだ)さい。108(わたし)(なん)だか頭痛(づつう)がして、109モウこれつきり(しばら)()ひませぬから』
110(ふすま)引開(ひきあ)(おく)()(ちから)()げに(すす)()り、111(なか)より(かた)(かぎ)をかけて(しま)ひけり。
112蠑螈別(いもりわけ)『サア(みな)さま、113これから祭典(さいてん)執行(しつかう)し、114(をは)つて直会(なほらひ)(えん)だ。115今日(けふ)(さけ)()満足(たんのう)だ。116(しか)(さけ)()むのはいいが、117(さけ)()まれない(やう)にして(くだ)さいよ』
118(かふ)蠑螈別(いもりわけ)大将(たいしやう)119あなたこそ何時(いつ)(さけ)()まれるでせう。120今日(けふ)はあなたから十分(じふぶん)御警戒(ごけいかい)(ねが)ひますで。121何分(なにぶん)高姫(たかひめ)(さま)頭痛(づつう)(おこ)してお(やす)みになつて()るのだから、122あまり(おほ)きな(こゑ)()しては、123(からだ)(さは)つちやなりませぬからなア』
124蠑螈別(いもりわけ)『きまつた(こと)だ。125ソンナ(こと)()かりの()(わし)だと(おも)つて()るか』
126 祭典(さいてん)(かた)(ごと)厳粛(げんしゆく)(おこな)(をは)り、127一同(いちどう)別殿(べつでん)(すす)()り、128直会(なほらひ)(えん)(うつつ)()かし、129そろそろ(さけ)(ゑい)(まは)るにつれて、130喧騒(けんさう)(きは)()したり。
131(かふ)『オイ(つる)132随分(ずゐぶん)愉快(ゆくわい)だつたらうなア。133(うらや)ましい。134吾々(われわれ)もアヽ()ふお(とも)がして()たいワ』
135鶴公(つるこう)(なに)()うても、136大飛行船(だいひかうせん)()つて、137地上(ちじやう)森羅万象(しんらばんしやう)眼下(がんか)()くだし、138空中(くうちう)征服(せいふく)勇者(ゆうしや)になつて、139自転倒島(おのころじま)(わた)るのだもの、140(じつ)愉々快々(ゆゆくわいくわい)141筆紙(ひつし)(つく)すべき(かぎ)りでは()かつたよ』
142(かふ)立派(りつぱ)目的(もくてき)(たつ)しただらうな』
143鶴公(つるこう)勿論(もちろん)(こと)144途中(とちう)墜落(つゐらく)もなく、145立派(りつぱ)目的地(もくてきち)到達(たうたつ)したのだ』
146(かふ)『それは()まつて()るが、147(ひと)つの肝腎要(かんじんかなめ)(むらさき)(くも)だ。148それはどうなつたのだい』
149鶴公(つるこう)(むらさき)(くも)(くわん)する(こと)千年間(せんねんかん)箝口令(かんこうれい)()かれてあるから、150(むらさき)だけは()つて()れな。151(その)(かは)りに玉照姫(たまてるひめ)一件(いつけん)は、152(こと)()つたら報告(はうこく)してやらう。153(しか)(なが)らモウ(すこ)(さけ)(まは)らぬと、154(うま)言霊(ことたま)運転(うんてん)しないワイ。155(ひと)滑車(くわつしや)(あぶら)()ぐのだな』
156亀公(かめこう)『コラコラ鶴公(つるこう)157(むらさき)(くも)(くわん)する(こと)()へば、158玉照姫(たまてるひめ)(こと)だつて()はれぬぢやないか、159箝口令(かんこうれい)厳守(げんしゆ)せぬかい』
160鶴公(つるこう)『ナーニ、161(むらさき)(くも)(こと)さへ()はなかつたら()いぢやないか。162(みな)御連中(ごれんちう)証人(しようにん)ぢや、163ナア蠑螈別(いもりわけ)さま、164高姫(たかひめ)さまはそう仰有(おつしや)つただらう』
165蠑螈別(いもりわけ)()(かく)166成功話(せいこうばなし)()つて(くだ)さい。167(みな)(もの)()ちに()つて()つたのだ』
168亀公(かめこう)『コラコラ(つる)169滅多(めつた)(こと)()うではないぞ』
170鶴公(つるこう)貴様(きさま)(さけ)(くら)はぬから、171生真面目(きまじめ)仕方(しかた)がない。172融通(ゆうづう)()かぬ(やつ)だ。173高姫(たかひめ)(さま)のお(くち)からは、174アンナ(こと)がどうしても()はれぬものだから、175俺達(おれたち)(かは)つて、176()うではないぞと仰有(おつしや)つたのは、177(えう)するに()へと()(こと)だよ。178(べつ)(おれ)(くち)(おれ)(しや)べるのに、179資本金(しほんきん)()るのでもなし、180国税(こくぜい)(をさ)める心配(しんぱい)()らぬのだから……(おれ)(おれ)自由(じいう)(けん)発揮(はつき)するのだ』
181亀公(かめこう)『ソンナラお(まへ)勝手(かつて)にしたがよいワイ。182(おれ)だけは何処(どこ)までも沈黙(ちんもく)(まも)るから…』
183 (つる)(さけ)にグタグタに()ひ、184傲然(ごうぜん)として(ひぢ)()り、
185鶴公(つるこう)今日(けふ)鶴公(つるこう)は、186(えう)するに高姫(たかひめ)(さま)代言者(だいげんしや)ぢや。187さう心得(こころえ)謹聴(きんちやう)しなさい、188エヘン、
189フサの(くに)をば(あと)にして
190雲井(くもゐ)(そら)高姫(たかひめ)
191(つばさ)ひろげて鶴亀(つるかめ)
192二人(ふたり)勇士(ゆうし)(ともな)ひつ
193高山短山(たかやまひきやま)(した)()
194大海原(おほうなばら)打渡(うちわた)
195自転倒島(おのころじま)にゆらゆらと
196(くだ)()いたは由良湊(ゆらみなと)
197魔窟ケ原(まくつがはら)へテクテクと
198三人(さんにん)(こま)(なら)べつつ
199黒姫館(くろひめやかた)立入(たちい)りて
200委細(ゐさい)様子(やうす)(たづ)ぬれば
201弥仙(みせん)(やま)裾野原(すそのはら)
202(しづ)伏家(ふせや)()(しの)
203豊彦(とよひこ)夫婦(ふうふ)(やかた)より
204(いろ)芽出度(めでた)(いぶ)かしの
205(くも)()(のぼ)玉照姫(たまてるひめ)
206(かみ)(みこと)神人(しんじん)
207(あら)はれました(こと)(よし)
208()いたる(とき)(うれ)しさよ
209黒姫司(くろひめつかさ)逸早(いちはや)
210千変万化(せんぺんばんくわ)()(つく)
211紫姫(むらさきひめ)青彦(あをひこ)
212二人(ふたり)勇士(ゆうし)一任(いちにん)
213玉照姫(たまてるひめ)をウラナイの
214(をしへ)(みち)本山(ほんざん)
215(むか)へむものと()(くば)
216(こころ)(つく)妙案(めうあん)奇策(きさく)
217どうした拍子(へうし)瓢箪(へうたん)
218ガラリと(はづ)れて三五(あななひ)
219(かみ)(をしへ)間諜(まはしもの)
220紫姫(むらさきひめ)青彦(あをひこ)
221()(ひら)(かへ)(なさけ)()
222高姫司(たかひめつかさ)青筋(あをすぢ)
223()ててカツカと(おこ)()
224高山彦(たかやまひこ)黒姫(くろひめ)
225ソロソロ喧嘩(けんくわ)(はじ)()
226(この)有様(ありさま)()(おれ)
227()つても()ても()られない
228()(どく)さまと(まを)さうか
229愛想(あいさう)()きたと(まを)さうか
230()ふに()はれぬ為体(ていたらく)
231これから(おく)()るけれど
232()れより(さき)神界(しんかい)
233秘密(ひみつ)ぢや(ほど)にどうしても
234紫姫(むらさきひめ)青彦(あをひこ)
235(まこと)様子(やうす)(はな)せない
236アヽ惟神(かむながら)々々(かむながら)
237高山彦(たかやまひこ)黒姫(くろひめ)
238さぞ今頃(いまごろ)はブクブクと
239(つら)(ふく)らし(くすぶ)つて
240(たがひ)(かほ)(にら)(たひ)
241()()(あご)()(たこ)()つて
242一悶錯(ひともんさく)最中(さいちう)だらう
243モウモウコンナ物語(ものがたり)
244()みし(さけ)(まで)()えて()
245三五教(あななひけう)()(つき)
246(あさひ)豊栄昇(とよさかのぼ)るごと
247玉照姫(たまてるひめ)神力(しんりき)
248宇内(うだい)(かがや)(わた)るだらう
249それに引換(ひきか)へウラナイの
250(かみ)(をしへ)はゴテゴテと
251貧乏(びんばふ)世帯(しよたい)夕日影(ゆふひかげ)
252段々(だんだん)(かげ)(うす)くなり
253終局(しまひ)(やみ)となるで()らう
254アヽ惟神(かむながら)々々(かむながら)
255(かな)はぬ(とき)神頼(かみだの)
256鶴公司(つるこうつかさ)報告(はうこく)
257()()づザツと(この)(とほ)り』
258蠑螈別(いもりわけ)『オイ鶴公(つるこう)259真面目(まじめ)報告(はうこく)をせないか。260ソンナ馬鹿(ばか)(こと)()つて(たま)るものかい』
261鶴公(つるこう)(たま)つても(たま)らいでも、262事実(じじつ)事実(じじつ)だ』
263蠑螈別(いもりわけ)仕方(しかた)がないなア』
264鶴公(つるこう)『エーもう(この)鶴公(つるこう)は、265千年(せんねん)箝口令(かんこうれい)()かれて()るが、266(おれ)副守護神(ふくしゆごじん)(たい)しては言論(げんろん)自由(じいう)だ。267……オイ副守(ふくしゆ)(やつ)268チツと(さけ)ばつかり(くら)うて()らずに発動(はつどう)せぬかい。269責任(せきにん)副守(ふくしゆ)()ふのだよ。270……副守護神(ふくしゆごじん)(あら)はれて(なに)から(なに)(まで)(つつ)まず(かく)さず()らすのであるから、271鶴公司(つるこうつかさ)(なん)にも()らず、272高姫(たかひめ)殿(どの)273(かなら)(かなら)鶴公(つるこう)(うら)めて(くだ)さるなよだ、274ヒヽン』
275魔我彦(まがひこ)『サア副守先生(ふくしゆせんせい)276(こま)かく仰有(おつしや)つて(くだ)さいませ』
277鶴公(つるこう)『ウーン、278ウンウン、279(この)(はう)鶴公(つるこう)肉体(にくたい)守護(しゆご)(いた)副守護神(ふくしゆごじん)のズル(こう)であるぞよ。280(しか)(なが)大体(だいたい)要領(えうりやう)は、281鶴公(つるこう)肉体(にくたい)(まを)した(とほ)り、282今回(こんくわい)事件(じけん)全部(ぜんぶ)高姫(たかひめ)さん一派(いつぱ)零敗(ゼロはい)だ。283大当違(おほあてちがひ)大失策(おほしくじり)だ。284それだから頭痛(づつう)もせないのに頭痛(づつう)がすると()つて、285(この)不利益(ふりえき)(きは)まる報告(はうこく)()けたのだ。286(いづ)早晩(さうばん)(わか)事実(じじつ)だから、287(かく)したつて仕方(しかた)がない。288モウ、289ウラナイ(けう)駄目(だめ)だ。290バラモン(けう)間近(まぢか)まで教線(けうせん)()り、291猛烈(まうれつ)(いきほひ)でやつて()る。292ウラル(けう)(また)もや蘇生(そせい)した(やう)に、293(この)フサの(くに)中心(ちうしん)として押寄(おしよ)せて()()る。294三五教(あななひけう)(その)(とほ)り。295三方(さんぱう)から(てき)()けて、296どうして(この)(をしへ)が、297拡張(くわくちやう)(どころ)現状(げんじやう)維持(ゐぢ)(むづ)かしい。298日向(ひなた)(こほり)だ。299風前(ふうぜん)灯火(ともしび)だ。300アツハヽヽヽ、301()気味(きみ)だ。302世界一(せかいいち)黍団子(きびだんご)303何程(なにほど)キビキビした高姫(たかひめ)智嚢(ちなう)でも、304最早(もはや)底叩(そこたた)きだ。305底抜(そこぬ)けの大失策(だいしつさく)だ。306底抜(そこぬ)(ついで)自棄酒(やけざけ)でも()み、307底抜(そこぬ)(さわ)ぎをやつたがよからうぞよ。308ウーン、309ウン、310もうズル(こう)はこれで引取(ひきと)るぞよ。311蠑螈別(いもりわけ)312魔我彦(まがひこ)313(すき)(さけ)でもズルズルベツタリに()みたが()からうぞよ』
314とグレンと(たい)をかわし、315(あせ)をブルブルかいて正気(しやうき)(かへ)つた(やう)姿(すがた)(よそほ)ひ、
316(なん)だか副守護神(ふくしゆごじん)仰有(おつしや)つたやうですな。317(なん)()はれました。318自分(じぶん)(くち)()つて自分(じぶん)(みみ)(きこ)えぬのだから、319大変(たいへん)不便利(ふべんり)だ。320知覚(ちかく)精神(せいしん)忘却(ばうきやく)し、321大死一番(たいしいちばん)(きやう)()ち、322感覚(かんかく)蕩尽(たうじん)し、323意念(いねん)断滅(だんめつ)して、324仮死(かし)状態(じやうたい)になつて()たものだから、325()うた(こと)がトンと(わか)らない。326鶴公(つるこう)(なに)()らぬぞよ。327高姫(たかひめ)先生(せんせい)殿(どの)328屹度(きつと)鶴公(つるこう)(しか)つて(くだ)さるなよ。329守護神(しゆごじん)(くち)()つた(ばか)りであるぞよ』
330(かふ)『アハヽヽヽ、331(なに)()もあれ、332貴様(きさま)()らな()らぬでよいワ。333副守護神(ふくしゆごじん)(やつ)334鶴公(つるこう)全部(ぜんぶ)()つた(とほ)りだと証明(しようめい)したよ。335ヤツパリ鶴公(つるこう)肉体(にくたい)責任(せきにん)があるのだ。336…モシモシ蠑螈別(いもりわけ)さま、337一寸先(いつすんさき)(やみ)()だ。338()めよ(さわ)げよと、339ウラル(けう)もどきに乱痴気(らんちき)(さわ)ぎでもやりませうかい。340チツト(くらゐ)乱暴(らんばう)したつて、341劫腹(ごふばら)()やしだ。342今日(けふ)(かぎ)つて、343高姫(たかひめ)さまだつて、344失敗(しつぱい)して(かへ)つて()て、345吾々(われわれ)荘重(さうちよう)口調(くてう)(もつ)て、346戒告(かいこく)(あた)へる(こと)出来(でき)ますまい』
347亀公(かめこう)(いま)鶴公(つるこう)肉体(にくたい)()つた(こと)も、348ズル(こう)副守(ふくしゆ)()つた(こと)も、349全然(ぜんぶ)反対(はんたい)だ。350前達(まへたち)(おどろ)かさうと(おも)つて、351アンナ芝居(しばゐ)をやりよつたのだ。352(つる)(ぐらゐ)()つた(こと)かい。353本当(ほんたう)(こと)(この)亀公(かめこう)脳裡(なうり)()(かく)してあるのだ。354(つる)()(やつ)ア、355ツルツルと(くち)(すべ)るから本当(ほんたう)(こと)()らしてないのだよ。356屹度(きつと)一道(いちだう)光明(くわうみやう)がウラナイ(けう)(うへ)(かがや)いて()るのだから、357さう気投(きな)げをするものぢやない。358千秋万歳楽(せんしうばんざいらく)鶴亀(つるかめ)(よはひ)(とも)に、359(あま)岩戸(いはと)立派(りつぱ)(ひら)けて()出神(でのかみ)(さま)御守護(ごしゆご)()となるのだ。360(やみ)(あと)には(つき)()る。361(よる)()ぐれば()()となるのは、362天地(てんち)真理(しんり)だ。363暗中(あんちう)(めい)あり、364明中(めいちう)(あん)あり、365明暗交々(めいあんこもごも)(かは)()くは、366所謂(いはゆる)(かみ)摂理(せつり)だ。367(ひと)得意(とくい)(とき)屹度(きつと)失望(しつばう)落胆(らくたん)(たね)()き、368不遇(ふぐう)境遇(きやうぐう)()(とき)369屹度(きつと)光明(くわうみやう)幸福(かうふく)(いん)(つちか)(やしな)ふものだ。370何時(いつ)(ひる)ばつかり()るものぢやない、371(また)暗黒(あんこく)()ばかりでもない。372善悪(ぜんあく)不二(ふじ)373吉凶同根(きつきようどうこん)374明暗一如(めいあんいちによ)375禍福一途(くわふくいちづ)376大楽観(だいらくくわん)(なか)大苦観(だいくくわん)あり、377大苦観(だいくくわん)(なか)大楽観(だいらくくわん)あり、378天国(てんごく)地獄(ぢごく)(まじ)はり、379地獄(ぢごく)天国(てんごく)(あら)はる。380有耶無耶(うやむや)()(なか)だ。381マアマア心配(しんぱい)するな。382コンナ結構(けつこう)(こと)()いのだよ。383(ひと)(こころ)持様(もちやう)(ひと)つだ。384ドンナ(くる)しい(こと)でも、385観念(かんねん)(ひと)つで大歓楽(だいくわんらく)(たちま)一変(いつぺん)する()(なか)だ。386(あゝ)惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
387拍手(はくしゆ)し、388祈願(きぐわん)()らして()る。389高姫(たかひめ)(この)()手拭(てぬぐひ)にて鉢巻(はちまき)(なが)ら、390ノコノコと(あら)はれ(きた)り、
391『ヤア(みな)さま、392元気(げんき)(こと)393(おや)(こころ)()()らず、394(かみ)(こころ)人間(にんげん)()らず。395あなた(がた)(じつ)(うらや)ましいお身分(みぶん)だ。396(わたし)半時(はんとき)なりとあなた(がた)(やう)気分(きぶん)になつて()たいワ』
397魔我彦(まがひこ)何分(なにぶん)重大(ぢうだい)なる責任(せきにん)負担(ふたん)して御座(ござ)貴女(あなた)(こと)ですから、398御心中(ごしんちう)御察(おさつ)(まを)します。399今回(こんくわい)遠路(ゑんろ)御旅行(ごりよかう)400さぞさぞお(つか)れで御座(ござ)いませう。401それに()いても()ふに()はれぬ御苦心(ごくしん)()つた(やう)です。402玉照姫(たまてるひめ)到頭(たうとう)三五教(あななひけう)()られて(しま)つた(やう)ですなア』
403高姫(たかひめ)『エー、404それは()れが()つたのかなア』
405魔我彦(まがひこ)『ズル(こう)詳細(しやうさい)報告(はうこく)(いた)しました。406(しか)(なが)失敗(しつぱい)成功(せいこう)(もと)407失敗(しつぱい)()くては経験(けいけん)()みませぬ。408(すなは)万世(ばんせい)(のこ)大偉業(だいゐげふ)七転(ななころ)八起(やお)きと()うて、409幾度(いくど)失敗(しつぱい)(かさ)ね、410(きた)()げねば駄目(だめ)ですよ。411イヤもう御心中(ごしんちう)(さつ)(まを)します』
412高姫(たかひめ)『ヤアこれだけ沢山(たくさん)宣伝使(せんでんし)信者(しんじや)がある(なか)に、413(わし)苦衷(くちゆう)(さつ)して()れる(もの)はお(まへ)だけだ、414アヽ(わし)もこれで()ンでも得心(とくしん)だ。415千歳(せんざい)(のち)一人(ひとり)知己(ちき)()れば満足(まんぞく)だと覚悟(かくご)して()たが、416現在(げんざい)此処(ここ)一人(ひとり)知己(ちき)()たか、417アヽ有難(ありがた)や、418これと()ふのもウラナイ(けう)神様(かみさま)のお(かげ)…』
419鶴公(つるこう)知己(ちき)()ましたか。420千歳(せんざい)(のち)()くて(いま)チキに(めう)チキチンのチンチキチン、421(こころ)(まが)つた魔我彦(まがひこ)共鳴(きようめい)しましたのは、422(じつ)上下一致(じやうげいつち)天地合体(てんちがつたい)象徴(しやうちやう)でせう。423(しか)しこれは鶴公(つるこう)肉体(にくたい)守護(しゆご)(いた)すズル(こう)託宣(たくせん)ですから、424(けつ)して鶴公(つるこう)(おこ)つては(くだ)さるなよ。425(かみ)(もの)()はなンだが、426時節(じせつ)(まゐ)りて鶴公(つるこう)(くち)()りて委細(ゐさい)(こと)()いて()かすぞよ。427ウンウンウン、428ドスン……アーア(また)(なん)だか憑依(ひようい)しよつたな。429イヤ副守(ふくしゆ)(やつ)発動(はつどう)したと()える。430飛行機(ひかうき)()つて空中(くうちう)征服(せいふく)(なが)ら、431意気(いき)揚々(やうやう)とやつて()つたと(おも)へば、432(にはか)暴風(ばうふう)(よく)(あふ)られ、433地上(ちじやう)目蒐(めが)けて()逆様(さかさま)顛落(てんらく)せしと(おも)ひきや、434ウラナイ(けう)本山(ほんざん)435八咫(やあた)大広間(おほひろま)酒宴(しゆえん)場席(ばせき)436アーア(たす)かつた(たす)かつた』
437高姫(たかひめ)『コレコレ鶴公(つるこう)438ソンナ偽神術(ぎしんじゆつ)をやつたつて、439(この)高姫(たかひめ)はチヤンと審神(さには)をして()ますよ。440(まへ)余程(よほど)卑怯者(ひけふもの)だ。441(のこ)らず責任(せきにん)副守護神(ふくしゆごじん)転嫁(てんか)せうとするのだナ』
442鶴公(つるこう)『イエイエ(けつ)して(けつ)して、443臍下丹田(さいかたんでん)割拠(かつきよ)する副守(ふくしゆ)発動(はつどう)です。444どうぞ(この)副守(ふくしゆ)(なん)とかして()()して(くだ)さいな』
445高姫(たかひめ)蠑螈別(いもりわけ)さま、446魔我彦(まがひこ)さま、447鶴公(つるこう)臍下丹田(さいかたんでん)割拠(かつきよ)する副守(ふくしゆ)(やつ)448(この)短刀(たんたう)()してあげるから、449(えぐ)()してやつて(くだ)さい。450鶴公(つるこう)(ねが)ひだから……ナア鶴公(つるこう)451チツトは(いた)くつても辛抱(しんばう)するのだよ。452()(あと)には(らく)がある。453()ぬのは(うま)れるのだ。454(うま)れるのは墓場(はかば)近寄(ちかよ)るのだ。455仮令(たとへ)()ンだ(ところ)で、456やがて(あたら)しくなるのだからナア、457ヒヽヽヽ』
458鶴公(つるこう)『モシモシ高姫(たかひめ)さま、459そンなことせなくつても、460副守(ふくしゆ)()ンで()ますよ。461ウンウンウン……ソレ、462もう()ンで()ました。463ア、464もう(この)ズル(こう)鶴公(つるこう)肉体(にくたい)には()らぬぞよ』
465魔我彦(まがひこ)馬鹿(ばか)にするない。466()ンで()たと()つてからまだ……(この)肉体(にくたい)には()らぬぞよ……とは(たれ)()つたのだ。467ヤツパリ副守(ふくしゆ)()つて貴様(きさま)(くち)使(つか)つたのだらう。468肉体(にくたい)(はな)れた(やつ)貴様(きさま)肉体(にくたい)使(つか)つて(はら)(なか)から(こゑ)()すと()理由(りいう)()るか』
469鶴公(つるこう)『これは副守護神(ふくしゆごじん)言霊(ことたま)惰力(だりよく)だ。470どうぞ半時(はんとき)ばかり()つて()(くだ)さい』
471 ()かる(ところ)(また)もや一隻(いつせき)飛行船(ひかうせん)(てん)(とどろ)かし、472庭前(ていぜん)()(きた)る。
473鶴公(つるこう)『あの物音(ものおと)(てき)か、474味方(みかた)か。475紫姫(むらさきひめ)476青彦(あをひこ)477玉照姫(たまてるひめ)捧持(ほうぢ)してウラナイ(けう)献納(けんなふ)()たのか。478(ただし)高山彦(たかやまひこ)479黒姫(くろひめ)480悄然(せうぜん)として()(づら)かわき(かへ)つて()たのか。481……ヤアヤア者共(ものども)482一刻(いつこく)(はや)(おもて)()()し、483実否(じつぴ)調(しら)べて(まゐ)れ。484世界(せかい)()()()出神(でのかみ)が、485鶴公(つるこう)肉体(にくたい)()りて申付(まをしつ)けるぞよ』
486亀公(かめこう)(なに)()うのだ。487()出神(でのかみ)(さま)世界中(せかいぢう)()()(あそ)ばすのだが、488門口(かどぐち)()()(もの)(てき)味方(みかた)(わか)らぬと()(やう)な、489()出神(でのかみ)()るものかい』
490鶴公(つるこう)『ウラナイ(けう)憑依(ひようい)する()出神(でのかみ)は、491()(この)(くらゐ)程度(ていど)だよ、492イヒヽヽヽ』
493亀公(かめこう)(まこと)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)高姫(たかひめ)さまの御前(おんまへ)だぞ。494チツトは遠慮(ゑんりよ)(いた)さぬかい』
495鶴公(つるこう)『モシモシ本当(ほんたう)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)496高姫(たかひめ)さま、497貴女(あなた)はジツとして、498世界中(せかいぢう)(こと)()()御身霊(おんみたま)499(おもて)(くだ)つて()飛行船(ひかうせん)(ぬし)(てき)御座(ござ)いますか、500味方(みかた)御座(ござ)いますか、501どうぞお()らせ(くだ)さいませ。502これがよい審神(さには)のし(どき)ぢや。503これが(わか)らぬよな(こと)では、504()出神(でのかみ)さまも()加減(かげん)なものですよ。505貴女(あなた)信用(しんよう)回復(くわいふく)し……(いな)御威徳(ごゐとく)顕彰(けんしやう)するのは、506(いま)()いて(ほか)にありませぬ。507サア(この)一瞬間(いつしゆんかん)貴女(あなた)(たい)し、508ウラナイ(けう)(たい)し、509国家(こくか)興亡(こうばう)(わか)るる(ところ)510(あきら)かに命中(めいちう)させて、511一同(いちどう)胆玉(きもたま)()(ひし)ぎ、512疑惑(ぎわく)()らしてやつて(くだ)さい』
513高姫(たかひめ)『コレコレ鶴公(つるこう)514一歩(ひとあし)()れば(わか)(こと)ぢやないか。515(まへ)(だい)それた、516(かみ)審神(さには)せうとするのかい。517ソンナ逆様事(さかさまごと)何処(どこ)()るものか。518恰度(ちやうど)学校(がくかう)生徒(せいと)校長(かうちやう)学力(がくりよく)試験(しけん)するよなものだ。519ソンナ天地(てんち)転倒(ひつくりかへ)つた(こと)何処(どこ)()りますか。520心得(こころえ)なされツ』
521鶴公(つるこう)『これは(まこと)()みませぬ。522(しか)(なが)ら、523(わたくし)(じつ)今回(こんくわい)貴女(あなた)大失敗(だいしつぱい)回復(くわいふく)させ、524帰依心(きえしん)()さしめむが(ため)の、525血涙(けつるい)()みての忠告(ちうこく)ですから、526(わる)(おも)つて(くだ)さつてはなりませぬ』
527 高姫(たかひめ)528(こころ)(うち)に、
529(いま)()(ひと)(なに)して()るのかなア、530(はや)此処(ここ)()()れれば()いのに……』
531鶴公(つるこう)高姫(たかひめ)さま、532スツタ()ンだと掛合(かけあ)つとる(うち)に、533やがて(たれ)這入(はい)つて()ませう。534さうすればヤツと(むね)()でおろし、535虎口(ここう)(のが)れたと、536一安心(ひとあんしん)する(ひと)が、537どつかに一人(ひとり)(あら)はれさうですよ』
538 高姫(たかひめ)チツトでも(ひま)をいれようと(かんが)へて()る。539(ほか)には高山彦(たかやまひこ)540黒姫(くろひめ)541寅若(とらわか)542菊若(きくわか)543富彦(とみひこ)五人連(ごにんづ)れ、544(きず)()(あし)(なん)となく屋内(をくない)(すす)みかね、545モヂモヂとして()りがてに()る。
546黒姫(くろひめ)『アヽ(たれ)()()れさうなものだなア。547何時(いつ)もの(やう)堂々(だうだう)と……(なん)だか今日(けふ)(しきゐ)(たか)くて這入(はい)れない(やう)()がする……オイ寅若(とらわか)548(まへ)這入(はい)つて(くだ)さいな』
549寅若(とらわか)此奴(こいつ)(ひと)低気圧(ていきあつ)襲来(しふらい)しますよ。550ウツカリ這入(はい)らうものなら、551暴風雨(ばうふうう)(ため)何処(どこ)()()らされるか(わか)つたものぢや()りませぬ。552(わたくし)(やう)横平(よこひら)たい図体(づうたい)(もの)は、553(かぜ)()(あた)つて()(やす)いから、554()()(とき)にはお(あつら)(むき)細長(ほそなが)い、555(かぜ)(ふく)まぬ、556帆柱竹(ほばしらだけ)(やう)高山彦(たかやまひこ)さまが適任(てきにん)でせう』
557黒姫(くろひめ)『エー一寸(ちよつと)自由(じいう)にならぬ(ひと)だな。558なぜお(まへ)はそれ(ほど)師匠(ししやう)()(こと)(もち)ひぬのだい』
559寅若(とらわか)『ヘン、560師匠(ししやう)なぞと、561殊勝(しゆしよう)らしい(こと)仰有(おつしや)いますワイ。562失笑(しつせう)せざるを()ませぬワ。563(いま)までは乞食(こじき)(しらみ)(やう)(くち)(ころ)して御座(ござ)つたが、564今度(こんど)失敗(しつぱい)はどうです。565吾々(われわれ)(かほ)までが、566(なん)ともなしに()せた(やう)()(いた)しますワイ。567これと()ふも(まつた)く、568(まへ)さまが()しやばるからだ。569それだから牝鶏(めんどり)(うた)(うち)(ろく)(こと)出来(でき)ぬと()ひませうがな。570(この)役目(やくめ)大責任(だいせきにん)地位(ちゐ)()たせられる黒姫(くろひめ)さまの直接(ちよくせつ)任務(にんむ)だ。571(ほか)(こと)なら(ふた)返辞(へんじ)(うけたま)はりませうが、572こればつかりは()(ぴら)御免(ごめん)だ。573生憎様(あいにくさま)……』
574(しろ)()()()め、575(あご)しやくつて()せたり。
576黒姫(くろひめ)『エー剛情(がうじやう)(をとこ)だナア。577一旦(いつたん)師匠(ししやう)(あふ)いだら、578(なん)でも(かん)でも盲従(まうじゆう)するのが弟子(でし)(みち)だ。579師匠(ししやう)(おや)無理(むり)()ふものだと(おも)ひなされと、580常々(つねづね)()うて()かして()るぢやないか。581何事(なにごと)()らず、582絶対(ぜつたい)服従(ふくじゆう)(ちか)つたお(まへ)ぢやないか。583モウお(まへ)今日(けふ)(かぎ)り、584師弟(してい)(えん)()るから、585さう(おも)ひなさい』
586寅若(とらわか)『トラ、587ワカらぬ(こと)仰有(おつしや)いますな。588宇治(うぢ)橋姫(はしひめ)ぢやないが、589(ふた)()には(えん)()るの、590(ふう)()るのと、591口癖(くちぐせ)(やう)に……馬鹿々々(ばかばか)しい。592(じつ)(ところ)此方(こちら)から()りたい(くらゐ)だ。593アツハヽヽヽ』
594菊若(きくわか)『モシモシ黒姫(くろひめ)さま、595(わたくし)何時(いつ)(まを)(とほ)り、596善悪邪正(ぜんあくじやせい)(ほか)超越(てうゑつ)し、597絶対(ぜつたい)信仰(しんかう)(もつ)貴女(あなた)(あふ)せは、598徹頭徹尾(てつとうてつび)キク(わか)だ。599オイ富彦(とみひこ)600(おれ)一緒(いつしよ)()()い。601何時(いつ)まで(しきゐ)(たか)いと()つて、602物貰(ものもら)ひの(やう)門口(かどぐち)()つて()たところで、603解決(かいけつ)がつかない。604(つね)よりも大股(おほまた)(また)げて這入(はい)らうぢやないか、605黒姫(くろひめ)さまばつかりの失敗(しつぱい)ぢやない。606総監督(そうかんとく)(にん)(あた)高姫(たかひめ)さまも、607(その)(せめ)()ふべきものだ。608(さき)んずれば(ひと)(せい)すだ。609ナニ(かま)ふものか、610堂々(だうだう)這入(はい)つてやらうかい』
611菊若(きくわか)はワザと(おほ)きな咳払(せきばらひ)をなし、612富彦(とみひこ)(したが)へ、613大手(おほて)()つて、614人声(ひとごゑ)のする八咫(やあた)大広間(おほひろま)(むか)つて(すす)()く。
615菊若(きくわか)『これはこれは高姫(たかひめ)(さま)616御無事(ごぶじ)御帰館(ごきくわん)(あそ)ばされまして、617芽出(めで)たう(ぞん)じます』
618高姫(たかひめ)(この)()出神(でのかみ)霊眼(れいがん)()(とほ)り、619(まへ)黒姫(くろひめ)のお使(つかい)で、620飛行船(ひかうせん)()つて遠方(ゑんぱう)苦労(くらう)だつたなア。621あア()えても高山彦(たかやまひこ)622黒姫(くろひめ)さまも大抵(たいてい)ぢやない。623非常(ひじやう)御苦心(ごくしん)だ。624何事(なにごと)時節(じせつ)には(かな)はぬから、625(まへ)(かへ)つたら、626どうぞ(なぐさ)めて()げて(くだ)さいよ。627(わし)もつい(はら)()つて、628(おこ)つて(かへ)るは(かへ)つたものの、629(なん)だか黒姫(くろひめ)さまの(こと)()になつて、630(うし)(がみ)()かるる(やう)()がしてならなかつた。631アヽ可哀相(かはいさう)に……魔窟ケ原(まくつがはら)陰気(いんき)岩窟(いはや)で、632黒姫(くろひめ)さまも第二(だいに)作戦(さくせん)計画(けいくわく)をして御座(ござ)るであらう』
633菊若(きくわか)『イエ、634黒姫(くろひめ)さま(はじ)め、635高山彦(たかやまひこ)636寅若(とらわか)も、637(いま)門前(もんぜん)飛来(ひらい)(いた)しまして、638(あま)貴方(あなた)()はす(かほ)がないので、639門口(かどぐち)にモガモガと手持無沙汰(てもちぶさた)で、640這入(はい)るにも這入(はい)られず、641(かへ)るにも(かへ)られぬと()つて、642煩悶(はんもん)苦悩(くなう)自由(じいう)権利(けんり)極端(きよくたん)発揮(はつき)して()られます』
643高姫(たかひめ)『アヽさうだらうさうだらう、644(わし)()たのは黒姫(くろひめ)さまの本守護神(ほんしゆごじん)だつた。645本守護神(ほんしゆごじん)依然(いぜん)として岩窟(いはや)(とど)まつて()られる。646副守(ふくしゆ)先生(せんせい)肉体(にくたい)をひつぱつて()たのだな。647何分(なにぶん)顕幽(けんいう)超越(てうゑつ)して()天眼通(てんがんつう)だから、648ツイ軽率(けいそつ)見誤(みあやま)つたのだ。649霊眼(れいがん)()ふものは余程(よほど)注意(ちうい)をせなならぬものだ、650ホツホヽヽヽ』
651鶴公(つるこう)高姫(たかひめ)さま、652貴方(あなた)霊眼(れいがん)(じつ)重宝(ちようほう)ですなア。653活殺(くわつさつ)自在(じざい)654(じつ)一分一厘(いちぶいちりん)(すき)()りませぬワ。655さうなくては一方(いつぱう)(しやう)として、656多数(たすう)(ひき)ゐる(こと)出来(でき)ませぬワイ。657イヤもう貴方(あなた)神智(しんち)神識(しんしき)には……(いな)邪智頑識(じやちぐわんしき)には、658(じつ)感服(かんぷく)(ほか)なしで御座(ござ)います』
659高姫(たかひめ)『エーつべこべ(なに)理屈(りくつ)仰有(おつしや)る。660神界(しんかい)(こと)物質(ぶつしつ)かぶれのお(まへ)(わか)つて(たま)るものか。661()うして幾十年(いくじふねん)神界(しんかい)(ため)(つく)して()(わたし)でさへも、662あまり(おく)(ふか)うてまだ(その)蘊奥(うんあう)(きは)めて()ない(くらゐ)だのに、663(わづ)十年(じふねん)()らずの入信者(にふしんじや)(わか)つてたまるものか……(まこと)(わか)りたら、664(くち)をつまへて(だま)りて()つて、665改心(かいしん)(いた)さなならぬ(やう)になるぞよ。666ゴテゴテと喋舌(しやべ)りたい(あひだ)は、667(まこと)改心(かいしん)出来(でき)()らぬのであるぞよ。668一時(いちじ)(はや)改心(かいしん)(いた)して、669うぶの(こころ)になりて、670(まこと)御用(ごよう)(いた)して(くだ)されよ……と変性男子(へんじやうなんし)のお筆先(ふでさき)にチヤンと()いて()るぢやないか。671筆先(ふでさき)()みよが()らぬと、672そンな屁理屈(へりくつ)()はねばならぬ。673(かみ)(みち)理屈(りくつ)では()けませぬぞエ。674絶対(ぜつたい)服従(ふくじゆう)675帰依心(きえしん)676帰依道(きえだう)677帰依師(きえし)でなければ信仰(しんかう)(かぎ)(にぎ)れませぬぞエ』
678鶴公(つるこう)(ふた)()にはよい避難所(ひなんじよ)()つけられますなア。679(かぎ)(にぎ)れぬなぞと、680うまく仰有(おつしや)いますワイ。681鶴公(つるこう)名論卓説(めいろんたくせつ)(にぎ)(つぶ)すと()心算(しんざん)でせう』
682高姫(たかひめ)『きまつた(こと)だ。683古参者(こさんもの)吾々(われわれ)に、684新参(しんざん)のお(まへ)たちが、685太刀打(たちうち)しようと(おも)つたつてそりや駄目(だめ)だ。686駄目(だめ)(こと)()はぬが(よろ)しい。687あつたら(くち)(かぜ)()かすよなものだ。688何時(いつ)までもツルツルと理屈(りくつ)仰有(おつしや)るなら、689モウ(かみ)のツルを()らうか』
690鶴公(つるこう)『ツルなつと、691カメなつと、692(えん)なつとお()りなさい。693三五教(あななひけう)もウラナイ(けう)奉斎主神(ほうさいしゆしん)(をんな)(こと)だもの。694(わたくし)(かみ)さまと直接(ちよくせつ)交渉(かうせふ)(いた)します。695(ひと)(ちから)にするな、696師匠(ししやう)(つゑ)につくなと、697三五教(あななひけう)もどきに貴女(あなた)始終(しじう)仰有(おつしや)つたぢやありませぬか。698(うそ)()師匠(ししやう)(つゑ)()くと()(こと)は、699熟々(つくづく)(かんが)へて()ればみる(ほど)(いや)になつて()ましたワイ。700(いづ)(わたくし)脱退(だつたい)すれば、701千匹猿(せんびきざる)(やう)に、702(やかま)()革新派(かくしんは)()いて()るでせう。703さうすればウラナイ(けう)もシーンとして、704世間(せけん)から()て、705(おほ)きな(やかた)沢山(たくさん)(ひと)()(やう)だがナンした(しづ)かな(ところ)ぢやと、706世間(せけん)から(まを)(やう)になるぞよ。707さうでなければ(まこと)(ひら)けぬぞよと()出神(でのかみ)のお筆先(ふでさき)にも()()(とほ)り、708貴方(あなた)御本望(ごほんもう)でせう。709筆先(ふでさき)実地(じつち)証明(しようめい)出来(でき)て、710()出神(でのかみ)生宮(いきみや)御威勢(ごゐせい)益々(ますます)(あが)り、711旭日昇天(きよくじつしようてん)のウラナイ(けう)となりませう』
712高姫(たかひめ)『コレ鶴公(つるこう)713よう(もの)(かんが)へて()なさいや、714ソンナ浅薄(せんぱく)仕組(しぐみ)ぢや()りませぬぞエ。715(まへ)はチツトばかり青表紙(あをべうし)や、716蟹文字(かにもんじ)(かぢ)つて()るから、717仕末(しまつ)にをへぬ。718マアマア時節(じせつ)()ちなさい。719枯木(かれき)にも(はな)()(とき)()る。720(あと)になつて、721アーアあの(とき)短気(たんき)(おこ)さなかつたらよかつたにと、722地団駄(ぢだんだ)()みてジリジリ(もだ)えをしてもあきませぬぞエ。723よう(むね)()(あて)(こころ)相談(さうだん)をして()なさい』
724鶴公(つるこう)『ヤツパリ、725(わたくし)(やう)なプロテスタントにも未練(みれん)がかかりますかなア』
726高姫(たかひめ)『プロテスタント()だから余計(よけい)可愛(かあい)のだ。727(てき)(あい)せよと神様(かみさま)仰有(おつしや)る。728改心(かいしん)出来(でき)悪人(あくにん)(ほど)729(わたし)可愛(かあい)いのだ。730不具(ふぐ)()(ほど)(おや)余計(よけい)(あは)れみを(くは)へたがる(やう)に、731神様(かみさま)御慈愛(ごじあい)()ふものは、732(おや)()(おも)ふと(おな)(こと)だ』
733鶴公(つるこう)『アヽ仕方(しかた)がない。734流石(さすが)高姫(たかひめ)さまだ。735チツトも攻撃(こうげき)出来(でき)ない(やう)に、736何時(いつ)()にか鉄条網(てつでうまう)()つて(しま)つた』
737高姫(たかひめ)(はや)黒姫(くろひめ)さまを此方(こちら)へお(むか)へして()ないか。738コレコレ亀公(かめこう)739黒姫(くろひめ)さま一同(いちどう)にどうぞお這入(はい)りなさいませと()つて、740御案内(ごあんない)(まを)してお()で……』
741亀公(かめこう)承知(しようち)(いた)しました』
742鶴公(つるこう)『オイ亀公(かめこう)743(つる)(かめ)とは配合物(つきもん)だ。744(おれ)()いて()かう』
745亀公(かめこう)『ヤアお(まへ)()ると(また)難問題(なんもんだい)突発(とつぱつ)すると仲裁(ちうさい)(こま)るから、746マア(ひか)へとつて()れ』
747鶴公(つるこう)『ナーニ、748(つる)(かめ)(そろ)うてゆけば、749鶴亀凛々(くわくきりんりん)だ。750活機臨々(くわつきりんりん)として高姫(たかひめ)御威勢(ごゐせい)は、751(てん)より(たか)(かがや)(わた)り、752大空(おほぞら)(ふさ)がる黒姫(くろひめ)……オツトドツコイ黒雲(くろくも)は、753高山彦(たかやまひこ)のイホリを()()けて、754天津(あまつ)()出神(でのかみ)御守護(ごしゆご)となるに(きま)つて()る。755それは(この)鶴公(つるこう)鶴証(くわくせう)するよ。756アハヽヽヽ』
757高姫(たかひめ)『コレコレ鶴公(つるこう)758(まへ)此処(ここ)()つて()なさい。759亀公(かめこう)一人(ひとり)結構(けつこう)だ』
760鶴公(つるこう)『これは高姫(たかひめ)さまのお言葉(ことば)とも(おぼ)えませぬ。761折角(せつかく)遠方(ゑんぱう)からお()でになつたのに、762亀公(かめこう)一人(ひとり)()しては、763チツト不待遇(ふたいぐう)ぢや()りませぬか。764鶴亀(つるかめ)(そろ)はぬのは、765あまりお芽出(めで)たうは()りますまいぞ。766(しか)(なが)高姫(たかひめ)(さま)芽出(めで)たい(やう)にと、767鶴亀(つるかめ)両人(りやうにん)()れてお()でになつたが、768ヤツパリ……ヤツパリだから、769御案(おあん)(あそ)ばすのも無理(むり)御座(ござ)いますまい。770……エー仕方(しかた)()りませぬ。771大譲歩(だいじやうほ)(いた)しまして、772鶴公(つるこう)本陣(ほんぢん)(ひか)へて()りませう。773……オイ亀公(かめこう)774一人(ひとり)御苦労(ごくらう)だが、775鶴公(つるこう)(おく)にハシヤいで()ます……と黒姫(くろひめ)さま一行(いつかう)伝言(でんごん)をするのだよ』
776亀公(かめこう)勝手(かつて)に、777(なん)なと(ほざ)けツ』
778(あし)(はや)めて(おもて)()()したり。779黒姫(くろひめ)一行(いつかう)亀公(かめこう)案内(あんない)され、780喪家(さうか)(いぬ)(やう)悄気返(しよげかへ)つて、781コソコソと足音(あしおと)までソツと、782薄氷(はくひよう)()(やう)体裁(ていさい)(この)()(あら)はれたり。
783高姫(たかひめ)『アヽ黒姫(くろひめ)さま、784高山彦(たかやまひこ)さま、785ようマア(かへ)つて(くだ)さつた。786(いま)(いま)とて霊眼(れいがん)貴方(あなた)御心労(ごしんらう)拝観(はいくわん)して()ました。787(まへ)さまは副守護神(ふくしゆごじん)容器(いれもの)だらう。788黒姫(くろひめ)さまや、789高山彦(たかやまひこ)さまの本守護神(ほんしゆごじん)屹度(きつと)アンナ利巧(りかう)(こと)はなさいますまい』
790黒姫(くろひめ)『ハイ(まこと)申訳(まをしわけ)()り……もせぬ(こと)(いた)しまして、791何分(なにぶん)副守護神(ふくしゆごじん)(この)(ごろ)権幕(けんまく)(つよ)いものですから、792黒姫(くろひめ)本守護神(ほんしゆごじん)()(あま)して()られますワイ。793高山彦(たかやまひこ)さまの本守護神(ほんしゆごじん)第二(だいに)作戦(さくせん)計画(けいくわく)をやつて()られます。794此処(ここ)参上(みえ)たのはヤツパリお(さつ)しの(とほ)副守護神(ふくしゆごじん)容器(いれもの)御座(ござ)います』
795高姫(たかひめ)『それはそれは副守護神(ふくしゆごじん)どの、796遠路(ゑんろ)(ところ)御苦労(ごくらう)御座(ござ)いました。797サアサアどうぞ(わたし)居間(ゐま)へお()(くだ)さいませ。798副守護神(ふくしゆごじん)同志(どうし)799(なに)かの相談(さうだん)(いた)しませう』
800 ハイと(こた)へて、801黒姫(くろひめ)802高山彦(たかやまひこ)は、803高姫(たかひめ)(あと)(したが)ひ、804ホツと一息(ひといき)つき(なが)ら、805(おく)()()してシホシホと(すす)()く。806(あと)には魔我彦(まがひこ)807蠑螈別(いもりわけ)808鶴公(つるこう)809亀公(かめこう)810寅若(とらわか)811菊若(きくわか)812富彦(とみひこ)813(かふ)(おつ)(へい)(てい)(ぼう)()(その)()数十人(すうじふにん)(もの)814(さけ)()(つぶ)れ、815喧々囂々(けんけんごうごう)816(つい)には()つ、817()る、818(なぐ)る、819()く、820(わら)ふ、821(おこ)るの一大(いちだい)修羅場(しゆらぢやう)現出(げんしゆつ)されウラナイ(けう)本山(ほんざん)(かなへ)()くが(ごと)大乱脈(だいらんみやく)(まく)(つつ)まれにける。
822大正一一・五・七 旧四・一一 松村真澄録)