霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 小杉(こすぎ)(もり)〔六八〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第21巻 如意宝珠 申の巻 篇:第2篇 是生滅法 よみ:ぜしょうめっぽう
章:第6章 第21巻 よみ:こすぎのもり 通し章番号:680
口述日:1922(大正11)年05月19日(旧04月23日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年4月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
玉治別の導きでいったんは改心した六人の小盗人たちは、杢助の家で金銀を見てから、また元の泥棒に逆戻りし、津田の湖で宣伝使を亡き者にして金目のものを奪おうと画策していた。
三州、甲州、雲州の三人は、突然仲間割れに見せかけて遠州、駿州、武州のすねを打ち、宣伝使たちを罵って、泥棒に戻るのだと言って出て行ってしまう。
これは芝居で、すねを打たれた三人が津田の湖を舟で渡ろうと宣伝使に持ちかけ、船上で宣伝使をやっつけてしまおうという計略であった。
一方で三州、甲州、雲州の脱退組は、前夜に杢助の女房の通夜を手伝った縁で杢助を油断させて、金銀を奪い取ろうとしていた。三人は滑稽な予行演習を行った上、杢助の館へと自信なさげに震えながら進んで行った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm2106
愛善世界社版:117頁 八幡書店版:第4輯 307頁 修補版: 校定版:121頁 普及版:53頁 初版: ページ備考:
001高春山(たかはるやま)岩窟(がんくつ)
002()(かま)へたる曲神(まがかみ)
003鷹依姫(たかよりひめ)言向(ことむ)けて
004(まこと)(かみ)御教(みをしへ)
005(なび)かせみむと三五(あななひ)
006(みち)(をしへ)宣伝使(せんでんし)
007(はな)高姫(たかひめ)黒姫(くろひめ)
008(あま)岩樟船(いはくすぶね)()
009意気昇天(いきしようてん)(いきほひ)
010高天原(たかあまはら)(あと)にして
011天空(てんくう)(たか)()んで()
012三月(みつき)()ちたる(ふゆ)(そら)
013(なん)便(たよ)りも()(まま)
014言依別(ことよりわけ)神司(かむづかさ)
015竜国別(たつくにわけ)国依別(くによりわけ)
016玉治別(たまはるわけ)三柱(みはしら)
017(ひそ)かに(むね)(ふく)ませつ
018高春山(たかはるやま)(むか)はしむ
019ここに三人(みたり)宣伝使(せんでんし)
020草鞋脚袢(わらぢきやはん)蓑笠(みのかさ)
021(かる)姿(すがた)扮装(いでたち)
022万代(よろづよ)寿(ことほ)亀山(かめやま)
023梅照彦(うめてるひこ)神館(かむやかた)
024一夜(いちや)()かし高熊(たかくま)
025稜威(いづ)岩窟(いはや)参拝(さんぱい)
026(かみ)御言(みこと)拝聴(はいちやう)
027来勿止神(くなどめがみ)(おく)られて
028善悪正邪(ぜんあくせいじや)大峠(おほたうげ)
029()えて(やうや)法貴谷(ほふきだに)
030戸隠岩(とがくしいは)(かたはら)
031(のぼ)りて()ればこは如何(いか)
032行手(ゆくて)(あた)りて四五人(しごにん)
033(あや)しき(かげ)山賊(さんぞく)
034(むれ)玉治別司(たまはるわけつかさ)
035(にはか)(かは)三国岳(みくにだけ)
036蜈蚣(むかで)(ひめ)片腕(かたうで)
037早速(さそく)頓智(とんち)山賊(さんぞく)
038一時(いちじ)(かぶと)()ぎたれど
039元来(ぐわんらい)ねぢけた曲霊(まがみたま)
040湯谷(ゆや)(たうげ)谷底(たにそこ)
041木挽小屋(こびきごや)なる杢助(もくすけ)
042(いへ)立寄(たちよ)金銀(きんぎん)
043(つつ)みの(ひかり)()(くら)
044(また)もや(もと)曲津神(まがつかみ)
045(こころ)(おに)(さへぎ)られ
046悪魔(あくま)(みち)逆転(ぎやくてん)
047(こころ)(ひそ)かに六人(ろくにん)
048()()(たがひ)見合(みあは)せつ
049竜国別(たつくにわけ)(したが)ひて
050津田(つだ)湖水(こすゐ)(ほとり)まで
051素知(そし)らぬ(かほ)(よそほ)ひつ
052三人(みたり)(つかさ)諸共(もろとも)
053やうやう湖辺(こへん)()きにける。
054三州(さんしう)『モシ玉治別(たまはるわけ)さま、055あなたは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)()つて()るが、056実際(じつさい)蜈蚣姫(むかでひめ)乾児(こぶん)玉公(たまこう)間違(まちが)ひはあるめい』
057玉治別(たまはるわけ)馬鹿(ばか)()つては(こま)るよ。058(きさま)はどうして、059(おれ)がそんな悪神(あくがみ)()えるのだ』
060三州(さんしう)(ろん)より証拠(しようこ)061泥棒(どろばう)乾児(こぶん)使(つか)つて、062杢助(もくすけ)(うち)(しの)()らせ、063沢山(たくさん)金銀(きんぎん)強奪(がうだつ)しお(まへ)赤児岩(あかごいは)待伏(まちぶ)せして、064乾児(こぶん)から受取(うけと)つたのだらう。065直接(ちよくせつ)()らないと()つてもやはり(ひと)使(つか)つて(ぬす)ませたのだから、066(えう)するに今回(こんくわい)強盗(がうたう)事件(じけん)張本人(ちやうほんにん)だよ』
067玉治別(たまはるわけ)(きさま)(いま)になつて、068まだそんな(こと)()ふのか。069(おれ)無実(むじつ)(すで)杢助(もくすけ)(はじ)め、070大勢(おほぜい)(もの)氷解(ひようかい)してゐるぢやないか』
071三州(さんしう)『それでも戸隠岩(とがくしいは)(ふもと)で、072蜈蚣姫(むかでひめ)片腕(かたうで)だと自白(じはく)したぢやないか。073ナア甲州(かふしう)074雲州(うんしう)(きさま)証拠人(しようこにん)だ』
075甲州(かふしう)『そらそうだ。076(かはづ)(くち)から、077()れと(わが)()白状(はくじやう)すると()(こと)がある。078……オイ玉州(たましう)モウ駄目(だめ)だぞ。079(なん)()つても自分(じぶん)(くち)から()つたのだから、080竜州(たつしう)国州(くにしう)081(おれ)観察(くわんさつ)誤謬(あやまり)はあるまい。082()大地(だいち)(うち)おろす(この)(つゑ)(はづ)れても、083(おれ)言葉(ことば)(はづ)れよまいぞよ』
084玉治別(たまはるわけ)『アヽこれは(いささ)迷惑(めいわく)(いた)りだ。085あの(とき)汝等(きさまら)改心(かいしん)させる(ため)に、086三十三相(さんじふさんさう)観自在天(くわんじざいてん)真似(まね)をして方便(はうべん)使(つか)つたのだ。087これから高春山(たかはるやま)曲神(まがかみ)征伐(せいばつ)(むか)ふと()真最中(まつさいちう)088内訌(ないこう)(おこ)しては味方(みかた)不利益(ふりえき)だから、089そんな(こと)(のち)(くは)しく、090合点(がてん)()(やう)説明(せつめい)してやらう。091今日(けふ)()沈黙(ちんもく)(まも)るがよい』
092三州(さんしう)(かり)にも(あざむ)(なか)れと()宣伝使(せんでんし)が、093方便(はうべん)使(つか)つたり、094(うそ)()つて()いものか。095(うそ)から()(まこと)でなくて、096(まこと)から()(うそ)()ふお(まへ)大泥棒(おほどろばう)だ』
097遠州(ゑんしう)『コラ三州(さんしう)野郎(やらう)098(たふと)宣伝使(せんでんし)(むか)つて、099(なん)()雑言(ざふごん)無礼(ぶれい)(ほざ)くのだ。100愚図々々(ぐづぐづ)(ぬか)すと(この)遠州(ゑんしう)承知(しようち)(いた)さぬぞ』
101三州(さんしう)今迄(いままで)遠州(ゑんしう)哥兄(あにい)尊敬(そんけい)して()たが、102(きさま)(やう)泥棒心(どろばうごころ)(にはか)消滅(せうめつ)する(やう)な、103腰抜(こしぬけ)今日(こんにち)(かぎ)(おれ)(はう)から(えん)()つてやらう。104泥棒(どろばう)ならば徹底的(てつていてき)になぜ泥棒(どろばう)(とほ)さぬのだ、105(また)改心(かいしん)するならば、106本当(ほんたう)宣伝使(せんでんし)(したが)つて(まこと)(みち)這入(はい)るのなれば、107(おれ)だとてチツトも不服(ふふく)(とな)へないが、108(この)(たま)(たつ)109(くに)()代物(しろもの)は、110どこまでもヅウヅウしく宣伝使(せんでんし)だなぞと、111仮面(かめん)(かぶ)つて()やがるからムカツクのだよ』
112遠州(ゑんしう)『オイ駿州(すんしう)113武州(ぶしう)114(きさま)はどう(おも)ふ? (おれ)はどうしても立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)観測(くわんそく)して()るのだ』
115駿州(すんしう)(おれ)もそうだ』
116武州(ぶしう)(きま)つた(こと)だ。117グヅグヅ(ぬか)すと、118(さん)(かふ)(うん)木端盗人(こつぱぬすと)119雁首(がんくび)引抜(ひきぬ)いてやらうか』
120『ナニ猪口才(ちよこざい)な』
121三州(さんしう)俄作(にはかづく)りの有合(ありあは)せの(つゑ)(もつ)て、122武州(ぶしう)向脛(むかふづね)(なぐ)りつけた。123武州(ぶしう)は『アイタヽ』と(その)()(かほ)(しか)めて(たふ)れた。124(つづ)いて甲州(かふしう)125雲州(うんしう)二人(ふたり)126遠州(ゑんしう)127駿州(すんしう)目蒐(めが)け、128向脛(むかうづね)(いや)()(ほど)(なぐ)りつける。129(もろ)くも三人(さんにん)(その)()(しやが)んで(かほ)(しか)め、130(わら)つたり、131()いたり、132(おこ)つたりして()る。
133遠州(ゑんしう)(あり)()はすなと()大切(だいじ)向脛(むかうづね)(たた)きやがつて、134……(おぼ)えて()れ』
135三州(さんしう)杢助爺(もくすけおやぢ)ぢやないが、136肝腎(かんじん)のおアシをとられて(くる)しからう。137おアシの沢山(たくさん)蜈蚣姫(むかでひめ)さまの乾児(こぶん)(ども)修繕(しうぜん)して(もら)へ。138(おれ)最早(もはや)汝等(きさまら)三人(さんにん)とは縁絶(えんぎ)れだ。139勿論(もちろん)(たま)140(たつ)141(くに)奴盗人(どぬすと)とも同様(どうやう)だ。142こんな(ところ)()るのは(むね)(わる)い。143これから(さき)(ぜん)になるか(あく)になるか、144我々(われわれ)三人(さんにん)都合(つがふ)にする。145汝等(きさまら)鷹依姫(たかよりひめ)散々(さんざん)(あぶら)(しぼ)られ、146高姫(たかひめ)147黒姫(くろひめ)(やう)岩窟(いはや)(なか)()()められて、148木乃伊(みいら)になるのが(しやう)()うて()るワ……アバヨ』
149()()()し、150(あご)をしやくり、151(しり)(たた)いて、152あらゆる嘲笑(てうせう)(くは)へ、153(この)()()て、154湯谷ケ岳(ゆやがだけ)方面(はうめん)()して()けて()く。
155 三州(さんしう)156甲州(かふしう)157雲州(うんしう)三人(さんにん)津田(つだ)湖辺(こへん)(あと)に、158湯谷ケ岳(ゆやがだけ)山麓(さんろく)()いた。159此処(ここ)には少彦名神(すくなひこなのかみ)(まつ)りたる(かたち)ばかりの(ちひ)さき(ほこら)がある。160(かし)大木(たいぼく)(なか)()れながら、161(かは)ばかりになつて、162(わか)(えだ)より稠密(ちうみつ)()()し、163(そら)(ふう)じて()る。164(ましら)(こゑ)はキヤツキヤツと(ほこら)背後(はいご)()(しげ)みに(きこ)えて()る。
165三州(さんしう)『オイ、166ここまで(やうや)()るは()たが、167玉治別(たまはるわけ)以下(いか)宣伝使(せんでんし)はどうだらう。168我々(われわれ)(この)(まま)にして放任(はうにん)して()くだらうかな。169彼奴(あいつ)馬鹿正直者(ばかしやうぢきもの)だから、170折角(せつかく)(かみ)(つな)(かか)つた三人(さんにん)171(ふたた)邪道(じやだう)逆転(ぎやくてん)させては、172大神様(おほかみさま)申訳(まをしわけ)がない」とかなんとか()つて、173俺達(おれたち)(あと)()つかけて()はせまいかと、174そればつかりが()にかかるよ』
175甲州(かふしう)(むか)うにも(げん)三人(さんにん)(あし)()られた連中(れんちう)()るのだから、176()(もの)()はず、177(きた)(もの)(こば)まずとか、178(なん)とか御都合(ごつがふ)()理屈(りくつ)()けて、179(この)アタ(つら)山坂(やまさか)を、180行方(ゆくへ)()れぬ我々(われわれ)(あと)()つかけて()さうな(はず)がない。181マア安心(あんしん)したが()からうぞ』
182雲州(うんしう)『そんな心配(しんぱい)()らないよ。183三人(さんにん)(のこ)してあるのだから、184三人(さんにん)三人(さんにん)(あし)にでも(くら)()いて、185(なん)とか此方(こちら)()ない(やう)工夫(くふう)をするだらう。186そんな取越苦労(とりこしくらう)()めたが()いワイ。187彼奴等(あいつら)三人(さんにん)(あし)(いた)いと()つて、188キツと津田(つだ)(うみ)を、189玉治別(たまはるわけ)一緒(いつしよ)(ふね)()つて高春山(たかはるやま)山麓(さんろく)(わた)手段(しゆだん)をとり、190湖水(こすゐ)のまん(なか)(ほど)で、191(にはか)足痛(あしいた)(なほ)り、192彼奴(あいつ)(ふところ)秘密(ひみつ)書類(しよるゐ)()(かへ)し、193ウマク目的(もくてき)(たつ)するに()まつて()る。194それよりも俺達(おれたち)軍用金(ぐんようきん)調達(てうたつ)肝腎(かんじん)だから、195自分(じぶん)の……これから作戦(さくせん)計画(けいくわく)(すす)める(こと)にしようぢやないか』
196三州(さんしう)(なに)()つても、197百人力(ひやくにんりき)()豪傑(がうけつ)杢助(もくすけ)だから、198到底(たうてい)正面(しやうめん)攻撃(こうげき)では目的(もくてき)(たつ)する(こと)出来(でき)ない。199(さいは)ひに女房(にようばう)葬式(さうしき)手伝(てつだ)ひや、200穴掘(あなほり)までしてやつたのだから、201先方(むかふ)()(ゆる)して俺達(おれたち)歓迎(くわんげい)するにきまつて()る。202さうしてまだ女房(にようばう)一七日(ひとなぬか)()たないのだから、203彼奴(あいつ)菩提心(ぼだいしん)()して、204手荒(てあら)(こと)はせないに(きま)つて()るよ』
205甲州(かふしう)(しか)高春山(たかはるやま)()くと()つて()たのだから、206今更(いまさら)(なん)()つて、207杢助(もくすけ)をチヨロ魔化(まくわ)さうか、208ウツカリ拙劣(へた)(こと)()ふと、209計略(けいりやく)(うら)をかかれて、210取返(とりかへ)しのならぬ大失敗(だいしつぱい)(おちい)るかも()れない。211(ここ)余程(よほど)智慧袋(ちゑぶくろ)圧搾(あつさく)して、212違算(ゐさん)なき(やう)仕組(しぐ)んでいかねばなるまい。213(ひと)此処(ここ)練習(れんしふ)をやつて()かうではないか』
214三州(さんしう)『オヽそれが()からう』
215甲州(かふしう)三州(さんしう)216(まへ)杢助(もくすけ)になるのだ。217さうして(おれ)雲州(うんしう)がウマク()()んで這入(はい)るのだ。218(その)(とき)問答(もんだふ)を、219(いま)から研究(けんきう)して()かねばならぬからのう』
220三州(さんしう)杢助(もくすけ)(はら)(なか)(わか)らぬぢやないか。221それから観測(くわんそく)せぬ(こと)には(この)練習(れんしふ)駄目(だめ)だぞ。222……雲州(うんしう)223(きさま)一層(いつそ)(こと)224杢助(もくすけ)になつたらどうだ。225(からだ)(おほ)きいなり、226どこともなしにスタイルが()()るからなア』
227雲州(うんしう)(おれ)(にはか)百人力(ひやくにんりき)勇士(ゆうし)になつたのかな。228ヨシヨシ芝居(しばゐ)をするにも、229(にく)まれ(やく)引合(ひきあ)はぬ。230(きさま)小盗人役(こぬすとやく)231(この)雲州(うんしう)杢助(もくすけ)だ。232サア(なん)なとウマく(だま)して()い……雲州(うんしう)(いな)杢助(もくすけ)智勇(ちゆう)兼備(けんび)豪傑(がうけつ)だから、233()つて()智慧(ちゑ)や、234一夜作(いちやづく)りの(かんが)へではチヨロ魔化(まくわ)(こと)到底(たうてい)駄目(だめ)だぞ。235(この)(ほこら)杢助(もくすけ)(やかた)仮定(かてい)して、236貴様等(きさまら)両人(りやうにん)金銀(きんぎん)小玉(こだま)を、237ウマく()()れるべく言葉(ことば)(つく)して()るのだよ』
238三州(さんしう)(きま)つた(こと)だ。239シツカリして肝腎(かんじん)(たから)を、240……杢助(もくすけ)……どうして(おれ)()るか、241妙案(めうあん)奇策(きさく)()して()るから、242今後(こんご)参考(さんかう)資料(しれう)にするがよからう。243泥棒学(どろばうがく)及第点(きふだいてん)(もら)ふか、244(もら)へぬか、245ここが成功(せいこう)不成功(ふせいこう)分界線(ぶんかいせん)だ。246サア甲州(かふしう)247二三丁(にさんちやう)出直(でなほ)して、248(あらた)めて杢助館(もくすけやかた)()()むとしようかい』
249二人(ふたり)(この)()より姿(すがた)()した。
250雲州(うんしう)(しばら)(この)(ほこら)拝借(はいしやく)して、251杢助館(もくすけやかた)仮定(かてい)し、252泥棒(どろばう)襲来(しふらい)(そな)へねばなるまい。253(しか)盗人(ぬすと)何時(いつ)()るか(わか)らないから、254(つね)戸締(とじま)りを厳重(げんぢう)にして()くのだが、255今度(こんど)盗人(ぬすと)予告(よこく)して()るのだから、256充分(じうぶん)用意(ようい)出来(でき)さうなものだが、257さて差当(さしあた)つて防禦(ばうぎよ)方法(はうはふ)()い。258本当(ほんたう)杢助(もくすけ)なれば小盗人(こぬすと)五十(ごじふ)(ひやく)手玉(てだま)()つて()るのだが、259(この)杢助(もくすけ)はそう()(わけ)にも()かず、260(なん)とか工夫(くふう)をせねばなるまい……オウさうだ。261(いま)()つて(かへ)ると()(ところ)へ、262コラツと大喝一声(だいかついつせい)(こし)()いてやるに(かぎ)る。263玉治別(たまはるわけ)宣伝使(せんでんし)何事(なにごと)言霊(ことたま)解決(かいけつ)がつくと()ひよつた。264(ひと)(ちから)一杯(いつぱい)呶鳴(どな)つてやらう。265(しか)此処(ここ)金銀(きんぎん)(かは)りに砂利(じやり)でも(ひろ)つて、266(ふんどし)(つつ)んで、267(わか)らぬ(やう)()いとくのだなア』
268真黒(まつくろ)(ふんどし)(つつみ)(ほこら)(した)にソツと(かく)した。
269三州(さんしう)『オイ甲州(かふしう)270本当(ほんたう)杢助(もくすけ)だないから、271()るのは容易(ようい)だが、272(しか)しそれでは本当(ほんたう)練習(れんしふ)にならぬ。273(なん)とか本真者(ほんまもの)見做(みな)してゆかねば、274本場(ほんば)になつてから(あて)(はづ)れ、275(くび)(たま)でも()かれたら大変(たいへん)だからのう』
276甲州(かふしう)到底(たうてい)強盗(がうたう)駄目(だめ)だ。277マア住込(すみこ)泥棒(どろばう)方法(はうはふ)安全(あんぜん)第一(だいいち)だらう。278彼奴(あいつ)(かか)アに()なれて(こま)つて()(ところ)279我々(われわれ)親切(しんせつ)隠坊(おんぼ)(やく)まで(つと)めてやつたのだから、280巧妙(うま)()つたら杢助(もくすけ)()(ゆる)して、281俺達(おれたち)()めて()れるに(ちが)ひはない……サア(その)覚悟(かくご)()くのだよ』
282 「ヨシヨシ」と三州(さんしう)(いきほひ)()んで()かうとする。283甲州(かふしう)(そで)をグツと(にぎ)り、
284甲州(かふしう)『オイオイそんな(いくさ)()(やう)調子(てうし)()つては駄目(だめ)だ。285(なみだ)でもドツサリと()()めて、286如何(いか)にも同情(どうじやう)()へないと()態度(たいど)(しめ)して()かねば先方(むかふ)()(ゆる)さぬぢやないか』
287三州(さんしう)『まだ一二丁(いちにちやう)もあるから、288ここで()(つば)をつけても、289到着(たうちやく)までには(かぜ)がスツカリ()()つて(しま)ひよる。290先方(むかう)()つてから、291ソツと(つば)()けるのだ。292(わす)れちや()かぬよ』
293甲州(かふしう)(わす)れるものかい』
294とコソコソと足音(あしおと)(しの)ばせ(なが)ら、
295『モシモシ杢助様(もくすけさま)296(わたくし)此間(こなひだ)御宅(おたく)御世話(おせわ)になつたり、297あんまり(ひと)(よろこ)ばぬ隠坊(おんぼ)までさして(いただ)きました三州(さんしう)298甲州(かふしう)……モ一人(ひとり)半鐘(はんしよう)泥棒(どろばう)雲州(うんしう)御座(ござ)います。299(しか)雲州(うんしう)(その)()(ごと)く、300どつかへウンでもやりに()つたと()えて(おく)れましたが、301やがて(あと)から()るでせう。302あんな(やつ)はどうでも()いのだ。303折角(せつかく)()つた(たから)分配(ぶんぱい)するのにも配当(わけまへ)(すく)なくなるから、304(おな)(こと)なら二人(ふたり)成功(せいこう)すれば、305それの(はう)余程(よほど)結構(けつこう)だ』
306三州(さんしう)『コラコラそんな(はら)(なか)(さき)()つて(しま)ふとスツカリ落第(らくだい)だ。307不成功(ふせいこう)(うたがひ)なし。308ここは杢助館(もくすけやかた)ぢやないか』
309甲州(かふしう)杢助(もくすけ)なれば(また)(その)(かんが)へも()るのだが、310現在(げんざい)雲州(うんしう)此処(ここ)()ると(おも)へば、311本気(ほんき)になつて泥棒(どろばう)練習(れんしふ)出来(でき)ぬぢやないか』
312三州(さんしう)(さいは)ひ、313雲州(うんしう)杢助(もくすけ)がどつかへ()つて()ると()えて、314不在(るす)だから()いものの、315そんな(こと)(きこ)えたら、316サツパリ駄目(だめ)だぞ』
317甲州(かふしう)『さうだと()つて、318(わが)良心(りやうしん)(いつは)らざる告白(こくはく)だもの』
319三州(さんしう)良心(りやうしん)()いて(あき)れるワ。320貴様(きさま)両親(りやうしん)もエライ放蕩(ごくだう)()()つたものぢや……と()つて()きの(なみだ)(くら)して()るだらう』
321甲州(かふしう)『ヤア(その)(なみだ)(おも)()した。322(はや)(つばき)()けぬかい』
323三州(さんしう)『そんな(おほ)きな(こゑ)()うと、324発覚(ばれ)(しま)ふぞ。325此方(こちら)何程(なにほど)()(つばき)()けても、326先方(むかふ)(おと)(きこ)えたツバ(もの)だから、327グヅグヅしてると、328(いち)()らず()()らず、329アフンとせねばなるまいぞ。330……モシモシ杢助(もくすけ)さま、331(その)()332よう御訪(おたづ)ねを(いた)しませなんだが、333御機嫌(ごきげん)(よろ)しいかな、334(ぢやう)さまも御変(おかは)りはありませぬか』
335雲州(うんしう)(この)真夜中(まよなか)にお前達(まへたち)(なに)しに()たのだ。336折角(せつかく)改心(かいしん)(なが)ら、337(おれ)()つて()金銀(きんぎん)(まなこ)(くら)んで、338魔道(まだう)逆転(ぎやくてん)して()たのだらう。339モウ()加減(かげん)改心(かいしん)をしたらどうだ。340(あく)をする(ほど)()(なか)馬鹿(ばか)(やつ)はありませぬぞ。341仮令(たとへ)人間(にんげん)()らずとも、342(てん)()()()る、343自分(じぶん)精霊(せいれい)たる本守護神(ほんしゆごじん)も、344副守護神(ふくしゆごじん)(みな)()つて()る。345天網恢々(てんまうくわいくわい)()にして()らさず。346()加減(かげん)小盗人(こぬすと)()めて、347結構(けつこう)無形(むけい)(たから)()()れる(こと)を、348何故(なぜ)(こころ)がけぬか。349(おれ)女房(にようばう)がなくなつて非常(ひじやう)無情(むじやう)(かん)じて()るのだ。
 
350 白銀(しろがね)黄金(こがね)(たま)(なに)かせん  女房(にようばう)にます(たから)()にあらめやも
 
351(しか)(なが)肉体(にくたい)のある(かぎ)り、352衣食住(いしよくぢう)必要(ひつえう)がある。353(きさま)慈善的(じぜんてき)()らしてやりたいのは山々(やまやま)であるが、354さうウマくは問屋(とひや)(おろ)さぬ。355それよりも善心(ぜんしん)立帰(たちかへ)つたらどうだい』
356三州(さんしう)『オイ雲州(うんしう)357しようも()(こと)()ひよると、358張合(はりあひ)()けて泥棒(どろばう)出来(でき)ないぢやないか。359アーアーもう廃業(はいげふ)したくなつた。360(しか)(なが)遠州(ゑんしう)361駿州(すんしう)362武州(ぶしう)(たい)しても、363(あし)まで(たた)(こら)して仕組(しぐ)んだ狂言(きやうげん)だから、364不成功(ふせいこう)(をは)れば彼奴等(あいつら)()はす(かほ)がない。365モウちつと(かは)つた(こと)()つてくれ』
366雲州(うんしう)『ヨシ、367御註文(ごちうもん)(どほ)(かは)つた(こと)()つてやらう……(その)(はう)はアルプス(けう)鬼婆(おにばば)乾児(こぶん)であらうがな。368改心(かいしん)したと()せかけ、369()(つばき)()け、370(おれ)(こころ)油断(ゆだん)をさせ、371金銀(きんぎん)小玉(こだま)をウマくシテやらうと(おも)つて()たのだらう。372そんな(こと)(おれ)天眼通(てんがんつう)でチヤンと(さき)承知(しようち)して()るのだ。373(この)(しきゐ)一足(ひとあし)でも(また)げるなら(また)げて()よ。374百人力(ひやくにんりき)杢助(もくすけ)だ。375手足(てあし)()千切(ちぎ)つて、376()女房(にようばう)御供(おそな)へにしてやらうか。377狐鼠盗人(こそぬすびと)()
378三州(さんしう)『オイオイ雲州(うんしう)379さう()られては(おれ)(ほどこ)すべき手段(しゆだん)がないぢやないか。380女郎屋(ぢよらうや)二階(にかい)孔子(こうし)(をしへ)()(やう)(こと)()ひよるものだから、381拍子(ひやうし)()けたワイ。382(つよ)()いと()へばそんな縁起(えんぎ)(わる)(こと)()ひよつて、383どうする(つも)りだ。384チツとは(おれ)立場(たちば)になつて()よ』
385雲州(うんしう)『サア勝手(かつて)()つて(かへ)れ。386貴様(きさま)執着心(しふちやくしん)(かか)つたこの金銀(きんぎん)387(なが)浮世(うきよ)(みじか)(ふと)(くら)さうと(きさま)(おも)つて()るが、388幽界(いうかい)()つて(おに)(かね)(つる)(くび)()められ、389逆様(さかさま)()られるのを覚悟(かくご)して()つて(かへ)れ』
390甲州(かふしう)『コレヤ雲州(うんしう)(やつ)391しようも()(こと)()ふない。392そんな(こと)()くと泥棒(どろばう)出来(でき)ぬぢやないか』
393雲州(うんしう)『さうだと()つて真理(しんり)依然(やつぱり)真理(しんり)だ。394()りたい(もの)(いく)らでも()らしてやらう。395(その)(かは)りに(おれ)()つてやらう。396(きさま)(ひと)つより()生命(いのち)を……(かね)大事(だいじ)生命(いのち)大事(だいじ)か、397(こと)大小軽重(だいせうけいぢゆう)をよく(かんが)へて()い』
398甲州(かふしう)『そんな(こと)(かんが)へて()つて、399泥棒(どろばう)商売(しやうばい)出来(でき)るものかい』
400雲州(うんしう)泥棒(どろばう)商売(しやうばい)(つら)けれや(はたら)け。401(はたら)くのが(いや)なら睾丸(きんたま)なつと(くは)へて()ぬるか、402(くび)でも()つた(はう)()いワイ』
403三州(さんしう)『ヤア此奴(こいつ)駄目(だめ)だ。404モウ練習(れんしふ)打切(うちき)りにしようかい』
405雲州(うんしう)『さうすると(きさま)最早(もはや)断念(だんねん)したのか。406腰抜(こしぬけ)野郎(やらう)だなア。407それだから天州(てんしう)乾児(こぶん)になつて、408ヘイヘイ ハイハイと箱根(はこね)(さか)痩馬(やせうま)()(やう)()つて、409いつ(まで)(あたま)()がらないのだ。410鉄槌(かなづち)川流(かはなが)れとは(きさま)(こと)だよ。411(なに)なつと()つて()かぬかい』
412三州(さんしう)()つて()ねと()つた(ところ)で、413(なに)()いぢやないか』
414雲州(うんしう)其処辺(そこら)(さが)して()い。415金銀(きんぎん)妄念(もうねん)(ふんどし)(つつ)んであるかも()れぬ』
416甲州(かふしう)『オイ三州(さんしう)417どうしよう。418(なん)でも()いから()()れた摸擬(かた)をせぬ(こと)には、419練習(れんしふ)にならぬぢやないか』
420三州(さんしう)『さうだと()つて、421プンプン臭気(にほひ)のする、422()んな(ふんどし)が、423どうして(ふところ)()れられるものか。424屋根葺(やねふき)(ふんどし)三年三月(さんねんみつき)425(いはし)糞壺(どうけんつぼ)(なか)突込(つつこ)んで()いた(やう)臭気(にほひ)がして()るワ……(きさま)御苦労(ごくらう)だが、426(ふところ)()れてくれ。427(これ)でもヤツパリ金包(きんつつみ)だ、428黄金色(わうごんいろ)(あたら)しい(やつ)がそこらに付着(ふちやく)して()るぞ。429(まはし)(ふる)うても尻糞(しりくそ)(あたら)しい。430(はや)処置(しよち)()けて、431此奴(こいつ)化物(ばけもの)ぢやないが、432カイた(もの)がものを()時節(じせつ)だ。433(しか)()いた(もの)()へば、434玉治別(たまはるわけ)(ふところ)にある一件(いつけん)書類(しよるゐ)巧妙(うま)遠州(ゑんしう)(やつ)435取返(とりかへ)しよつたか()らぬて』
436雲州(うんしう)『そんな(ほか)(はなし)をする(どころ)ぢやない。437一意専心(いちいせんしん)438さしせまつた大問題(だいもんだい)研究(けんきう)しなくてはなるまいが』
439三州(さんしう)杢助(もくすけ)さま、440(わたくし)真実(しんじつ)改心(かいしん)(いた)しました。441玉治別(たまはるわけ)宣伝使(せんでんし)仰有(おつしや)るには……多寡(たくわ)()れた高春山(たかはるやま)鬼婆(おにばば)(ぐらゐ)に、442前達(まへたち)大勢(おほぜい)をゴテゴテ()れて()くと()つともない。443三人(さんにん)()れば大丈夫(だいぢやうぶ)だ。444それよりも(はや)杢助(もくすけ)さまの(うち)()つて、445()くなられた(おく)さまの御霊前(ごれいぜん)祝詞(のりと)()げて()い。446(いづ)帰路(かへり)には杢助(もくすけ)さまのお(うち)()るから、447それまで毎日(まいにち)神妙(しんめう)にお前達(まへたち)三人(さんにん)は、448故人(こじん)(れい)(なぐさ)めるのだ。449(また)杢助(もくすけ)さまも(さび)しいだらうから、450話相手(はなしあひて)になつてあげるが()い。451(かか)アに()なれた(とき)(なん)となく、452()(なか)寂寥(せきれう)になり、453憂愁(いうしう)(なみだ)()れるものだから、454面白(おもしろ)(はなし)でもして、455一呼吸(ひといき)()でも、456(こころ)(なぐさ)めてあげるが()い。457それが一番(いちばん)亡者(まうじや)精霊(せいれい)(たい)しても、458杢助(もくすけ)さまに(たい)しても、459最善(さいぜん)(みち)だ……と()仰有(おつしや)つた。460それで(しばら)くの(あひだ)(うち)御厄介(ごやくかい)(まゐ)りました。461(けつ)して金銀(きんぎん)などを()らうと(おも)うて三人(さんにん)相談(そうだん)して()たのぢやありませぬから、462留守(るす)私等(わたくしら)三人(さんにん)立派(りつぱ)にしてあげます。463サア(しばら)都会(ひろみ)へでも()(あそ)んで()なさるか、464友達(ともだち)(うち)へでも()つて、465(さけ)でも()んで()なさい。466あなたの(おく)さまの(れい)玉治別(たまはるわけ)さまに姿(すがた)(あら)はして、467(なみだ)(こぼ)して(たの)まれたさうです。468さうして(かね)()えぬ(ところ)(かく)して()くのは、469(かね)(たい)して殺生(せつしやう)だ。470(わたし)死骸(しがい)埋葬(いけ)たも同然(どうぜん)だから、471よく(わか)(ところ)()し、472さうして(わたし)にも一遍(いつぺん)()せる(ため)に、473霊前(れいぜん)三四日(さんよつか)(そな)へて()いて(くだ)さい。474さうすれば(わたし)天晴(あつぱ)成仏(じやうぶつ)(いた)します…………と()仰有(おつしや)つたさうで、475玉治別(たまはるわけ)さまが……エー(この)亡者(まうじや)執着心(しふちやくしん)(つよ)いと()えて、476()んでからまでも金銀(きんぎん)()をくれるのか、477身魂(みたま)因縁(いんねん)()ふものは仕方(しかた)のないものだ…………と仰有(おつしや)いました。478どうぞ霊前(れいぜん)へお(そな)へになつても、479我々(われわれ)三人(さんにん)()るのぢやありませぬ。480万一(まんいち)()くなつたら、481それはインヘルノの立派(りつぱ)旅館(りよくわん)宿泊(とま)旅費(りよひ)に、482(おく)さまが()つて()かれたのでせうから、483惜気(をしげ)なく執着心(しふちやくしん)()てて御出(おだ)しなさる(はう)(よろ)しからう……なア杢助(もくすけ)さま』
484雲州(うんしう)(この)杢助(もくすけ)(かね)なんかに執着(しふちやく)はない。485(しか)(なが)人間(にんげん)()(もの)(たから)()るとつい悪心(あくしん)(おこ)るものだから、486折角(せつかく)改心(かいしん)したお前達(まへたち)(また)(つみ)(つく)らすは可哀相(かはいさう)だによつて、487マア(かね)在処(ありか)()らさぬがよい。488()つて、489それでも()りたければ()らしてやらぬ(こと)()い。490(かか)アの死骸(しがい)(ふところ)()たして()なしてあるのだから、491玉治別(たまはるわけ)(かみ)さまの(まへ)(あら)はれてそんな(こと)女房(にようばう)()(はず)がない。492大方(おほかた)前達(まへたち)仕組(しぐ)んで()たのだらう。493これから(はか)へいつて(つち)()(おこ)し、494逆様(さかさま)(くび)突込(つきこ)んで、495(ふところ)(かね)()るなら()つて()い。496女房(にようばう)(かね)執着心(しふちやくしん)(つよ)(やつ)だから、497キツト(つめ)たい()で、498前達(まへたち)素首(そつくび)にギユツと抱付(だきつ)き、499(あたま)(した)にしられて、500(きさま)(しり)(あな)花立(はなたて)代用(だいよう)するかも()れやしないぞ。501それでも承知(しようち)なら(はか)へいつて()つて()かつしやい』
502三州(さんしう)『オイ雲州(うんしう)503モウ(きさま)杢助(もくすけ)駄目(だめ)だ。504臨機応変(りんきおうへん)505()(かく)杢助(もくすけ)住家(すみか)へいつてから、506当意即妙(たういそくめう)知識(ちしき)発揮(はつき)する(こと)にしよう。507何事(なにごと)(おれ)()(とほ)りにするのだぞ。508衆口(しうこう)(きん)(とろ)かす……と()つて、509大勢(おほぜい)喋舌(しやべ)ると、510目的(もくてき)金銀(きんぎん)(とろ)けて()くなつて(しま)うと(こま)るから、511(すべ)(おれ)一任(いちにん)せいよ』
512雲州(うんしう)(なん)だか(くも)でも()(やう)()になつて(しま)つた。513杢助(もくすけ)気分(きぶん)(ただよ)うて、514汝等(きさまら)泥棒(どろばう)()えて仕方(しかた)()いワ』
515三州(さんしう)(きさま)泥棒(どろばう)ぢやないかい』
516雲州(うんしう)『モウ(この)計画(けいくわく)中止(ちゆうし)したらどうだ。517(なん)とはなしに大変(たいへん)罪悪(ざいあく)(をか)(やう)()がしてならないのだよ』
518甲州(かふしう)(いづ)(ぜん)ではない。519(しか)我々(われわれ)泥棒(どろばう)としては、520巧妙(うま)()()れるのが最善(さいぜん)方法(はうはふ)だ。521(ぜん)とか(あく)とか、522そんな(こと)(こころ)(うば)はれて、523どうして(この)商売(しやうばい)発展(はつてん)するか。524サア大分(だいぶん)()()けた、525これからボツボツ()かう』
526十丁(じつちやう)(ばか)前方(むかう)杢助(もくすけ)(やかた)に、527(からだ)胴震(どうぶる)ひさせ(なが)ら、528(かや)()のそよぎにも(むね)(とどろ)かせつつ心細々(こころほそぼそ)(あし)もワナワナガタガタ(ぶる)ひで(すす)んで()く。
529大正一一・五・一九 旧四・二三 松村真澄録)
   
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