霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一六章 約束履行(やくそくりかう)〔六九〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第21巻 如意宝珠 申の巻 篇:第4篇 反復無常 よみ:はんぷくむじょう
章:第16章 第21巻 よみ:やくそくりこう 通し章番号:690
口述日:1922(大正11)年05月21日(旧04月25日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年4月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
杢助・お初、玉治別は高春山の中腹・雨の森についた。ここで竜国別、国依別と落ち合う手はずになっていたため、三人は待っていたが、なかなか竜国別、国依別はやってこない。
玉治別はしきりに、二人が女難の相が出ていることを心配している。そこへ竜国別が登って来て合流した。
玉治別は竜国別の額に傷があることを見とがめ、わけを尋ねるが、竜国別は約束だから話すことはできない、と言って傷の由来を隠そうとする。
しかし杢助はその傷の様子から、大谷山の鬼娘に地を吸われたことを見通してしまう。竜国別は仕方なく、鬼娘のお光と邂逅した有様を白状した。
すると早速黒雲を起こして鬼娘がやってきた。竜国別は隠れて杢助が鬼娘の相手をする。鬼娘は竜国別を渡せとわめくが、杢助の楯にして竜国別は、約束は履行しないと宣言する。
鬼娘は悔しがって、杢助がいないときに竜国別を襲ってやると言う。しかしそのとき、お初が鬼娘を呼んで、自分を覚えているか、と話しかけた。
鬼娘はお初の顔を見ると、一声叫んで白煙となって消滅してしまった。あたりを包んでいた黒雲は吹き払われてしまった。杢助はこれで鬼娘も成仏したと言って、竜国別を安堵させた。
そこへ国依別が男たちを引き連れて登って来た。国依別はいきさつを一行に語る。するとお初が突然、作戦を申し伝える、と荘重な声で呼ばわった。宣伝使たち四人はハイと答えて大地に平伏し、お初の宣旨を待った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm2116
愛善世界社版:263頁 八幡書店版:第4輯 361頁 修補版: 校定版:272頁 普及版:119頁 初版: ページ備考:
001 高春山(たかはるやま)中腹(ちうふく)なる(あめ)(もり)(ほこら)(かたはら)(やうや)(のぼ)()いた玉治別(たまはるわけ)002杢助(もくすけ)003(はつ)三人(さんにん)は、004周囲(しうゐ)碁列(ごれつ)せる平岩(ひらいは)(あし)(やす)(なが)ら、005ひそひそ(はなし)(ふけ)る。
006玉治別(たまはるわけ)此処(ここ)()いてから(ほとん)二時(ふたとき)ばかりになるが、007まだ竜国別(たつくにわけ)()えず、008国依別(くによりわけ)(かほ)()せないが一体(いつたい)如何(どう)したものだらうなア。009(さき)()つて()気遣(きづか)ひは()(はず)だ。010()(もり)()()ひ、011一団(いちだん)となつて(のぼ)ると()計画(けいくわく)だから、012マサカ約束(やくそく)無視(むし)して一人(ひとり)(のぼ)(はず)もなからう。013アヽ(おそ)いことだワイ』
014杢助(もくすけ)『ナニ心配(しんぱい)()りませぬよ、015(やが)()えませう。016(うはさ)をすれば(かげ)とやら、017()(ひと)のことを()つてをると、018ツイ()るものだ。019(やが)堂々(だうだう)(のぼ)つて()られるでせう』
020玉治別(たまはるわけ)『あの国依別(くによりわけ)にしても、021竜国別(たつくにわけ)にしても随分(ずゐぶん)女難(ぢよなん)(さう)があるから、022途中(とちう)魔性(ましやう)(をんな)にチヨロ魔化(まくわ)されて、023肝腎(かんじん)御神業(ごしんげふ)忘却(ばうきやく)して()るのではあるまいかなア』
024杢助(もくすけ)(けつ)して(けつ)して左様(さやう)御心配(ごしんぱい)()りますまい。025津田(つだ)湖辺(こへん)(わか)れた(とき)には、026余程(よほど)(かた)決心(けつしん)(いろ)()えて()ましたよ。027(をんな)(たい)しては(なん)交渉(かうせふ)もありますまい。028枯木(こぼく)寒巌(かんがん)()三冬(さんとう)暖気(だんき)()(てい)堅家(かたや)だから、029屹度(きつと)(をんな)なんかに()をくれるやうな人物(じんぶつ)とは(みと)められませぬワ』
030玉治別(たまはるわけ)『イヤ(あま)安心(あんしん)出来(でき)ますまい。031何分(なにぶん)(もと)(もと)ですから、032随分(ずゐぶん)(わか)(とき)発展(はつてん)したものです。033大勢(おほぜい)(まへ)では石部金吉(いしべきんきち)034金兜(かなかぶと)035梃子(てこ)でも(ぼう)でも、036(をんな)(くらゐ)(うご)かない堅造(かたざう)のやうに()えて()つても、037(こころ)(なか)情火(じやうくわ)()曲者(くせもの)(けむり)噴出(ふきだ)すと、038ツイその煤煙(ばいえん)(つつ)まれて()(くら)途方(とつけ)()(ところ)脱線(だつせん)する(おそれ)のある代物(しろもの)です。039教主(けうしゆ)言依別命(ことよりわけのみこと)(さま)彼等(かれら)心情(しんじやう)御洞察(ごどうさつ)(あそ)ばして、040出立(しゆつたつ)(さい)にも、041(けつ)して(をんな)にかかり()つてはいけない、042今度(こんど)言霊戦(ことたません)汝等(なんぢら)宣伝使(せんでんし)試練(しれん)だと仰有(おつしや)つた(くらゐ)ですから、043(じつ)心許(こころもと)ない代物(しろもの)ですよ。044(おに)でも閻魔(えんま)でも美人(びじん)(かほ)()(おこ)気遣(きづか)ひはない。045(いは)んや人間(にんげん)(おい)てをや。046(なん)()つても今迄(いままで)経歴(けいれき)経歴(けいれき)ですからなア』
047杢助(もくすけ)()連山(れんざん)重畳(ちようでふ)たる山道(やまみち)に、048そんな(をんな)迂路(うろ)ついて()気遣(きづか)ひはありますまい。049生物(いきもの)()つたら(しし)050(おほかみ)051(へび)052(きつね)053(たぬき)(くらゐ)なものでせう。054人間(にんげん)()へばアルプス(けう)連中(れんちう)徘徊(はいくわい)してゐる(くらゐ)なもの、055(わたし)(をんな)よりも(あん)じるのは、056アルプス(けう)集団(しふだん)出会(でつくは)苦戦(くせん)苦戦(くせん)(かさ)ね、057()(ため)時間(じかん)(つひ)やして()られるのではあるまいかと(おも)ひます。058大谷山(おほたにやま)随分(ずゐぶん)魔神(まがみ)(おほ)(ところ)059六甲山(ろくかふざん)時々(ときどき)テーリスタンが部下(ぶか)(ひき)ゐて(かま)へて()地点(ちてん)ですから、060それ()対手(あひて)になつてゐるかも()れますまい。061昨夜(さくや)(をんな)(いぢ)めたやうに、062あの(とほ)沢山(たくさん)(やつ)徘徊(はいくわい)して()るのですから、063随分(ずゐぶん)苦戦(くせん)をやつてゐられるのでせうよ』
064玉治別(たまはるわけ)『それはさうと、065あの秘密(ひみつ)書類(しよるゐ)()つて(てき)配置(はいち)(さと)り、066間道(かんだう)ばかり(すす)んで()(はず)だから、067滅多(めつた)(てき)出会(でつくは)(はず)はなからうと(おも)はれます』
068杢助(もくすけ)『さうだとすれば随分(ずゐぶん)(ひま)()ることだなア。069(しか)此方(こちら)(ふね)()つて真直(まつすぐ)()たのだから、070余程(よほど)(はや)いのは道理(だうり)だ。071二時(ふたとき)や、072三時(みとき)(おく)れたつて(むしろ)当然(たうぜん)かも()れますまい』
073玉治別(たまはるわけ)我々(われわれ)湖上(こじやう)(おい)ていろいろと時間(ひま)をとりましたから、074平均(へいきん)すれば向方(むかふ)(はう)(はや)此処(ここ)到着(たうちやく)してゐなければならないのですワ』
075 (かか)(ところ)蓑笠(みのかさ)(かげ)076(きり)(なか)よりポコポコと()(あが)(のぼ)(きた)る。
077杢助(もくすけ)『アー(たれ)(のぼ)つて()ましたよ。078大方(おほかた)竜国別(たつくにわけ)(さま)でせう』
079 玉治別(たまはるわけ)(くび)()ばして()つめてゐる。080追々(おひおひ)近寄(ちかよ)つて()一人(ひとり)(をとこ)
081竜国別(たつくにわけ)『アヽ(なが)らく()たしたでせう。082(おも)ひの(ほか)(けは)しい山坂(やまさか)083それにいろいろの道草(みちぐさ)()つて()たものですから、084ツイ(おく)れました』
085玉治別(たまはるわけ)『ヤア結構(けつこう)々々(けつこう)086(また)谷底(たにそこ)へでも沈澱(ちんでん)したのぢやなからうかと、087(じつ)心配(しんぱい)して()ました』
088竜国別(たつくにわけ)国依別(くによりわけ)さまはまだお()えになりませぬか』
089玉治別(たまはるわけ)『まだ()えませぬワ、090如何(どう)したのでせう』
091竜国別(たつくにわけ)中々(なかなか)予定通(よていどほ)りには(すす)めないものでしてなア。092(わたし)大変(たいへん)面白(おもしろ)いことに出会(であ)つて()ましたよ』
093(かさ)()ぐ。094()れば(ひたひ)(いし)()られた(きず)
095玉治別(たまはるわけ)『ヤア貴方(あなた)(ひたひ)如何(どう)なさつた。096大変(たいへん)(きず)ぢやありませぬか』
097竜国別(たつくにわけ)(いし)(つまづ)()けた途端(とたん)に、098(ひたひ)()ちました』
099玉治別(たまはるわけ)『それは(また)(めう)ぢやなア。100一割(いちわり)(たか)(はな)()ちさうなものだのに、101如何(どう)して(また)その(ひたひ)()たれたのでせう』
102竜国別(たつくにわけ)『アヽこれは一寸(ちよつと)(わけ)があつて、103明白(めいはく)申上(まをしあ)()ねます。104どうぞ()(こと)だけは(かた)約束(やくそく)がしてあるのだから、105()いて(くだ)さいますな』
106玉治別(たまはるわけ)約束(やくそく)ぢやありますまい。107貴方(あなた)はアルプス(けう)部下(ぶか)()()かれ、108(あたま)こつかれたのでせう。109折角(せつかく)三人(さんにん)(そろ)つて、110無疵(むきず)で、111天晴(あつぱれ)勝利(しようり)()(かへ)らうと(おも)つて()るのに、112負傷者(ふしやうしや)()したと()ふことは(じつ)残念(ざんねん)だ』
113竜国別(たつくにわけ)『イエイエ アルプス(けう)連中(れんちう)には、114一人(ひとり)()うたことが御座(ござ)いませぬ。115道中(だうちう)至極(しごく)無事(ぶじ)平穏(へいおん)でした』
116玉治別(たまはるわけ)無事(ぶじ)平穏(へいおん)途中(とちう)()(きず)(また)如何(どう)なさつたのだ。117吾々(われわれ)親子(おやこ)兄弟(きやうだい)よりも親密(しんみつ)にして()(なか)118何故(なぜ)御隠(おかく)しなさるか』
119竜国別(たつくにわけ)()うしても()うしても秘密(ひみつ)秘密(ひみつ)です。120これ(ばか)りは(わたし)一生(いつしやう)(あひだ)()ふことは出来(でき)ませぬ。121もしも半口(はんくち)でも()はうものなら大変(たいへん)です。122やつて()ますからなア』
123玉治別(たまはるわけ)『やつて()るとは、124そりや(また)(なん)ですか。125世界(せかい)(おに)126大蛇(をろち)127悪狐(あくこ)128醜女(しこめ)129探女(さぐめ)(ことごと)言向(ことむ)(やは)さねばならぬ宣伝使(せんでんし)130(なに)がやつて()たところで(おそ)ろしいものがある道理(だうり)はない。131怪体(けつたい)なことを仰有(おつしや)るのですな』
132竜国別(たつくにわけ)『これは誓約(うけひ)がしてありますから、133約束(やくそく)(やぶ)れば矢張(やつぱり)違約(ゐやく)(つみ)になりますワ』
134玉治別(たまはるわけ)『ハヽヽヽヽ、135エライ惚気(のろけ)(かた)だなア。136途中(とちう)(おい)立派(りつぱ)なナイスに出会(でつくわ)し、137夫婦(ふうふ)約束(やくそく)(むす)び、138(をんな)(はう)からお前様(まへさま)(やう)(をとこ)らしい(をとこ)139(はな)(たか)(かた)(ほか)(をんな)()れられると(こま)るから、140(きず)をつけて()かうなんて、141ナイスに(あたま)()らせ、142さうして夫婦(ふうふ)誓約(うけひ)をしたのでせう。143その(かは)貴方(あなた)(をんな)小指(こゆび)(ぐらゐ)(あづ)かつたでせうなア』
144竜国別(たつくにわけ)『イヤもう迷惑千万(めいわくせんばん)145ナイスと婚約(こんやく)(むす)ぶやうな、146そんな気楽(きらく)なことですかい。147大変(たいへん)椿事(ちんじ)突発(とつぱつ)したのですよ。148()()いは山々(やまやま)なれど()んなことを()ふと、149鬼娘(おにむすめ)がやつて()ますよ』
150杢助(もくすけ)『ハヽヽヽヽ、151大谷山(おほたにやま)谷底(たにそこ)()(かま)へて()鬼娘(おにむすめ)のお(みつ)()うて、152()()はれたのだなア』
153竜国別(たつくにわけ)『メヽヽ滅相(めつさう)な、154そんなものに()うたことはありませぬワ』
155杢助(もくすけ)貴方(あなた)宣伝使(せんでんし)であり(なが)ら、156我々(われわれ)(いつは)るのですか。157(いつは)りの(つみ)随分(ずゐぶん)(おも)いものですよ』
158竜国別(たつくにわけ)約束(やくそく)(やぶ)つても(つみ)になる。159(いつは)つても(つみ)になる。160エー仕方(しかた)がない、161(じつ)はお(みつ)()鬼娘(おにむすめ)出会(でつくわ)し、162(あたま)をこづかれ、163()二升(にしよう)(ばか)()ひとられ、164何処(どこ)ともなしに気分(きぶん)がサツパリとしました。165(しか)(なん)となく意気沮喪(いきそさう)したやうな(かん)じが(いた)します。166千里(せんり)(むか)ふでも(わし)(みみ)(きこ)えるから、167(ひと)()つたが最後(さいご)168生命(いのち)()ると()ひました。169(わたし)(をとこ)だから鬼娘(おにむすめ)一人(ひとり)二人(ふたり)(おそ)れませぬが、170やつて()たら(なん)とかして(くだ)さいますか』
171玉治別(たまはるわけ)竜国別(たつくにわけ)さま、172御心配(ごしんぱい)なさいますな。173言霊(ことたま)(もつ)(たちま)鬼娘(おにむすめ)消滅(せうめつ)させて(しま)ひますよ』
174杢助(もくすけ)万一(まんいち)やつて来居(きを)つたなら、175()杢助(もくすけ)(あし)()(にじ)降参(かうさん)させて()れます。176御心配(ごしんぱい)なさるな』
177 (かか)(ところ)黒雲(くろくも)(おこ)し、178山麓(さんろく)より鬼娘(おにむすめ)179(かほ)ばかり(あら)はし、180ヌーヌーと(くも)(とも)(あが)つて()る。
181竜国別(たつくにわけ)『ヤアどうやら見覚(みおぼ)えのある鬼娘(おにむすめ)がやつて()たやうだ。182モシ杢助(もくすけ)さま、183(たの)みますよ』
184杢助(もくすけ)心配(しんぱい)なさるな。185貴方(あなた)(はや)言霊戦(ことたません)(はじ)めなさい。186()(ほか)のことは、187みんな(この)杢助(もくすけ)御引受(おひきう)(まを)す』
188()(をり)しも鬼娘(おにむすめ)はグワツと(みみ)(まで)引裂(ひきさ)けた(くち)(ひら)き、189(した)をノロノロ()(なが)ら、
190鬼娘(おにむすめ)竜国別(たつくにわけ)宣伝使(せんでんし)は、191此処(ここ)()(はず)だが、192何処(どこ)()るかな』
193杢助(もくすけ)此処(ここ)(たし)かたつた一人(ひとり)()る。194さうして貴様(きさま)竜国別(たつくにわけ)(さが)して(なに)をする(つも)りだ。195()つともない。196(ちつ)ぽけな(つの)()やし、197(おほ)きな(くち)()けてやつて()たところで、198誰一人(たれひとり)貴様(きさま)同情(どうじやう)するものはありやしないぞ。199あんまり馬鹿(ばか)にすな。200貴様(きさま)(かほ)相談(そうだん)して()い。201(をとこ)(しり)()ふのなら(をんな)らしいオチヨボ(ぐち)をして()たら如何(どう)だ。202大神楽(だいかぐら)のやうな無恰好(ぶかつかう)(くち)()けよつて、203そないな(かほ)()ると大抵(たいてい)(をとこ)は、204夜分(やぶん)には(おそ)はれて安眠(あんみん)出来(でき)はしないぞ。205何故(なぜ)(をんな)らしく(しと)やかに()けて()ぬか』
206(みつ)『お(まへ)(よう)はない。207(わし)竜国別(たつくにわけ)(かた)(かた)約束(やくそく)がしてある。208約束(やくそく)履行(りかう)のために()()たのだから、209邪魔(じやま)して(くだ)さるな』
210杢助(もくすけ)『アハヽヽヽヽ、211(なん)物好(ものず)きもあればあるものだな。212コレ竜国別(たつくにわけ)さま、213何程(なにほど)一人旅(ひとりたび)(をんな)(かつ)ゑて()ると()つても、214あんまりぢやないか。215般若(はんにや)(つら)みたやうな鬼娘(おにむすめ)と、216なんぞ(かた)約束(やくそく)でもしたのか』
217(みつ)(かた)約束(やくそく)した証拠(しようこ)には竜国別(たつくにわけ)額口(ひたひぐち)御覧(ごらん)なさい、218(わし)所有物(しよいうぶつ)()証拠(しようこ)(いし)刻印(こくいん)()してある(はず)だ。219竜国別(たつくにわけ)生命(いのち)最早(もはや)此方(こつち)(もの)だ。220邪魔(じやま)をして(くだ)さるな』
221杢助(もくすけ)二人(ふたり)恋仲(こひなか)を、222(おれ)もさう野暮(やぼ)(うま)()きぢやないから、223(べつ)邪魔(じやま)する(つも)りぢやないが、224さてもさても(あき)れたものだなア。225生命(いのち)までも()んな鬼娘(おにむすめ)()けて、226約束(やくそく)するとは(あんま)りぢやないか。227おまけに(いし)刻印(こくいん)まで()して(もら)ふとは、228何処(どこ)までも徹底(てつてい)した恋愛(れんあい)だなア』
229(みつ)(はや)()いて(くだ)さい。230(わし)(むね)()()えて()()るから、231(みつ)狂乱(きやうらん)のやうになつて(しま)ひますよ』
232杢助(もくすけ)『アハヽヽヽ、233山家(やまが)(なが)らく蟄居(ちつきよ)して()つたので、234芝居(しばゐ)()機会(きくわい)がなかつたが、235(ひと)此処(ここ)()のお(みつ)狂乱(きやうらん)演劇(えんげき)を、236無料(むれう)拝観(はいくわん)さして(もら)ひたいものだなア』
237竜国別(たつくにわけ)『オイお(みつ)238昨日(きのふ)約束(やくそく)はモー取消(とりけし)だ。239(たれ)貴様(きさま)のやうな鬼娘(おにむすめ)(かた)約束(やくそく)(むす)んでたまらうか。240(その)()(のが)れの()口上(こうじやう)だつた。241貴様(きさま)()馬鹿(ばか)だなア』
242杢助(もくすけ)力強(ちからづよ)後楯(うしろだて)徐々(そろそろ)メートルを()()した。
243(みつ)『ヘン、244(えら)さうに、245杢助(もくすけ)()ると(おも)つて、246(まへ)(とら)()()奴狐(どぎつね)だ。247(だま)すことは上手(じやうず)だなア。248この鬼娘(おにむすめ)でさへも(あき)れて(もの)()はれませぬワイ。249(しか)(なが)其方(そちら)取消(とりけ)しても、250此方(こちら)取消(とりけ)さぬのだ。251何処(どこ)までも生命(いのち)(もら)ふから覚悟(かくご)をしなさい』
252 杢助(もくすけ)足許(あしもと)のギザギザした(いし)(ひと)(ひろ)ひ、253グツと(にぎ)つて、
254杢助(もくすけ)『オイ、255(みつ)256約束(やくそく)履行(りかう)してやらう。257生命(いのち)()らしてやらう。258(その)(かは)りに証文(しようもん)(かへ)して(もら)はねばならぬ。259サア、260(この)(いし)貴様(きさま)(ひたひ)(ちから)一杯(いつぱい)刻印(こくいん)()してやらう。261これで(ふたた)竜国別(たつくにわけ)()(うへ)(くわん)しては、262毛頭(まうとう)苦情(くじやう)(まを)しませぬと()証拠(しようこ)だぞ。263サア(はや)凸凹(でこぼこ)()()せ』
264竜国別(たつくにわけ)『お(みつ)265ざまア()やがれ。266()(でこ)杢助(もくすけ)さまの御前(おんまへ)提出(ていしゆつ)するのだ』
267(みつ)『エー残念(ざんねん)な、268竜国別(たつくにわけ)269(まへ)杢助(もくすけ)(ねん)年中(ねんぢう)(ある)いて()るのぢやあるまい。270(また)一人(ひとり)()(とき)もあらう。271その(とき)約束(やくそく)屹度(きつと)履行(りかう)するから、272さう(おも)つてゐらつしやい』
273 お(はつ)274(ちひ)さい(こゑ)で、
275(はつ)『オホヽヽヽ、276鬼娘(おにむすめ)のお(みつ)どの、277(わし)(かほ)見覚(みおぼ)えて()ますか』
278 お(みつ)不図(ふと)六歳(ろくさい)のお(はつ)(かほ)()るなり、279キヤツと(さけ)んで白煙(はくえん)となり()えて(しま)つた。280今迄(いままで)(つつ)んで()黒雲(くろくも)は、281高春山(たかはるやま)吹颪(ふきおろし)払拭(ふつしき)されて四方(よも)飛散(ひさん)し、282山麓(さんろく)谷川(たにがは)(みづ)までハツキリと()えるやうになつて()た。
283杢助(もくすけ)『アハヽヽヽ、284鬼娘(おにむすめ)()つても(もろ)いものだなア。285到頭(たうとう)煙散霧消(えんさんむせう)して(しま)()つた。286アヽ彼奴(あいつ)もこれで成仏(じやうぶつ)しただらう。287さア、288モウ竜国別(たつくにわけ)さま御安心(ごあんしん)なさい』
289竜国別(たつくにわけ)『エライ御厄介(ごやくかい)をかけましたが、290()かげ(たす)かりました』
291玉治別(たまはるわけ)竜国別(たつくにわけ)さま、292随分(ずゐぶん)奇抜(きばつ)なローマンスを()せて()れたものだな。293(たで)()(むし)()()きとはよく()つたものだ』
294竜国別(たつくにわけ)『お(まへ)まで(あんま)(ひと)をひやかすものぢやない。295(おれ)(こころ)もチツとは推量(すゐりやう)して()れ』
296一同(いちどう)『アハヽヽヽ』
297(こゑ)(はな)つて敵地(てきち)にあるを(わす)れて面白(おもしろ)さうに(わら)ふ。
298玉治別(たまはるわけ)(とき)に、299国依別(くによりわけ)はまだ()ないのかなア。300(また)鬼娘(おにむすめ)途中(とちう)狎戯(いちやつ)いて()るのぢやなからうかな』
301竜国別(たつくにわけ)()(ひま)()るからは(なに)(ひと)つの故障(こしやう)(おこ)つたのだらう。302彼奴(あいつ)随分(ずゐぶん)罪業(めぐり)()んで()るから、303一人旅行(ひとりたび)剣呑(けんのん)だ』
304(かた)(とき)しも、305国依別(くによりわけ)意気(いき)揚々(やうやう)として数人(すうにん)(をとこ)(ともな)(のぼ)つて()た。
306玉治別(たまはるわけ)『アヽ国依別(くによりわけ)さまか、307随分(ずゐぶん)待呆(まちばう)けに()うたよ。308如何(どう)して()つたのだい』
309国依別(くによりわけ)大変(たいへん)大事件(だいじけん)途中(とちう)勃発(ぼつぱつ)して、310それが(ため)時間(ひま)()つたのだよ。311到頭(たうとう)地獄(ぢごく)八丁目(はつちやうめ)(まで)旅行(りよかう)して、312(むかし)女房(にようばう)包囲(はうゐ)攻撃(こうげき)され(こま)つて(しま)つた。313(わか)(とき)から(かか)()かしの後家倒(ごけだふ)し、314刃物(はもの)()らずの女殺(をんなごろ)しをやつて()(むく)いで、315幽冥界(いうめいかい)彷徨(さまよ)()()んだところ、316合計(がふけい)十打(じふダース)ばかりのレコが一時(いちじ)(あら)はれて、317百万陀羅(ひやくまんだら)(うら)みの数々(かずかず)繰返(くりかへ)し、318(わし)()むを()(むかし)(こと)(おも)()し、319(よだれ)沢山(たくさん)繰返(くりかへ)して()つたのだから、320ツイ(おく)れて()まなかつた。321随分(ずゐぶん)退屈(たいくつ)であつたらうなア』
322玉治別(たまはるわけ)(べつ)退屈(たいくつ)でも(なん)でも()かつた。323竜国別(たつくにわけ)(やつ)324天下一品(てんかいつぴん)鬼娘(おにむすめ)(かた)約束(やくそく)(むす)び、325()契約(けいやく)履行(りかう)せよと()つて、326(みつ)鬼娘(おにむすめ)がやつて()て、327(いま)(すで)愁歎場(しうたんば)(まく)()ろしたところだ。328モー一足(ひとあし)(はや)()ると面白(おもしろ)活劇(くわつげき)()られるところだつたよ。329さうしてお(まへ)一人(ひとり)()(はず)だつたのに、330随分(ずゐぶん)沢山(たくさん)人間(にんげん)()れて()るではないか』
331国依別(くによりわけ)『これは()んだ女房(にようばう)亡霊(ばうれい)憑依(ひようい)した容器(いれもの)だ』
332玉治別(たまはるわけ)仮令(たとへ)亡霊(ばうれい)でも、333高春山(たかはるやま)征伐(せいばつ)()(まで)(をんな)()れることは出来(でき)ないと()規則(きそく)ではなかつたか』
334国依別(くによりわけ)『それは御互様(おたがひさま)だ。335(まへ)もお(はつ)さまを(ともな)うて()ただらう。336たとへ小供(こども)でも(をんな)矢張(やつぱり)(をんな)だ。337竜国別(たつくにわけ)(また)鬼娘(おにむすめ)途中(とちう)(おい)て、338(なん)だか(かた)契約(けいやく)(むす)んで一悶着(ひともんちやく)おつ(ぱじ)めたと()ふではないか。339(おれ)ばかり()めるのはチツと惨酷(ざんこく)だよ。340此処(ここ)()れて()()るのは、341実際(じつさい)はアルプス(けう)部下(ぶか)で、342松姫(まつひめ)さまの(あに)常公(つねこう)(まで)()()()るのだ。343(おれ)戦利品(せんりひん)()づザツト()んなものだよ』
344(はつ)『ヤアヤア竜国別(たつくにわけ)345国依別(くによりわけ)346玉治別(たまはるわけ)347杢助(もくすけ)348(その)()(もの)ども、349これより(わらは)作戦(さくせん)計画(けいくわく)(なんぢ)らに(つた)ふる。350(しばら)沈黙(ちんもく)(まも)り、351わが言葉(ことば)謹聴(きんちやう)せよ』
352子供(こども)似合(にあ)はず、353荘重(さうちよう)(ちから)(こも)つた(こゑ)()ばはるにぞ、354四人(よにん)は「ハイ」と(こた)へた(まま)大地(だいち)平伏(へいふく)して宣示(せんじ)()つ。
355大正一一・五・二一 旧四・二五 外山豊二録)
   
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