霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第五章 (だん)(うら)〔六九七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第22巻 如意宝珠 酉の巻 篇:第2篇 心猿意馬 よみ(新仮名遣い):しんえんいば
章:第5章 壇の浦 よみ(新仮名遣い):だんのうら 通し章番号:697
口述日:1922(大正11)年05月25日(旧04月29日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
三つの玉が揃って一時は活気が出た聖地も、五人が黄金の玉紛失の責を取って探索に出かけたことが神人の間に喧伝されると、物寂しい感じが聖地の空に漂った。
三五教の幹部も信徒もこの話題でもちきりであったが、高姫がこのことについて演説会を開くという。三五教徒たちは高姫が何を言い出すのかと先を争って演説会につめかけた。
高姫は壇上で前口上を述べた後、黄金の玉紛失という一大事の際に誰も高姫のところにこの件で相談に来た者がないことを憤慨し、聴衆に八つ当たりをした。
国依別は壇上に上がり、逆に高姫が五人を追放同然にして玉探索の旅に立たせたことを詰問した。高姫は追い出したのではなく、理屈を説いて聞かせた結果、五人が自発的に探索の旅に出ることになったのだ、と反論する。
聴衆の中から、しきりに高姫を野次り、国依別の方を持つ者がいる。高姫は怒って怒鳴りつけるが、満座の聴衆は手を打って笑いさざめく。高姫は、自分の言が気に入らない者はすべて退場しろ、と言い渡す。
それに対してまた聴衆の中から高姫に対して野次が飛び、場内は騒然となった。そこへ言依別命は若彦、紫姫、玉治別を連れて壇上に現れた。聴衆は拍手で迎え、散りつつあった者たちも席に戻ってきた。
言依別命は悠然として何事があったかを問いかけると、聴衆の中から、黄金の玉紛失事件について高姫の論がまったく要領を得ないと、不服の申し立てがあった。言依別命は、何事も神様の御経綸であってこの件も心配するに及ばない、と答えた。
高姫は言依別命の態度がこの一大事に対して軟弱だと責め立てる。言依別命は、自転倒島の中心点に玉照彦・玉照姫の神人が守る三五教に心配はない、あまり黒姫を責めると高姫自身が玉を探しに行かなければならなくなる、と忠告する。
絶対にそんなことはない、という高姫に対して、言依別命は、人心が不安になっているから如意宝珠の玉を今皆に拝ませてもらいたい、と要求する。
高姫は売り言葉に買い言葉で、自分は厳重に秘密を守って保管していたと自信満々で、八尋殿の畳をめくって下から桐の箱を取り出した。そして得意顔に蓋を開けたが、中を見てさっと顔色が変わった。
国依別が中を見ると、ただ石が入っているのみであった。高姫は、一同の身魂が悪いので玉が石に見えるのだ、と強弁するが、聴衆から野次の嵐を受ける。
言依別命は、これも神界の都合だろうが、責任はすべて自分が取ると言ってその場をなだめた。一同は教主の言葉に免じてその場を退散した。高姫は石の入った箱を抱えて寒風の中、夜叉のような顔をして自宅に走って帰り行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-05-26 10:51:05 OBC :rm2205
愛善世界社版:61頁 八幡書店版:第4輯 402頁 修補版: 校定版:63頁 普及版:28頁 初版: ページ備考:
001 金剛(こんがう)不壊(ふゑ)如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(はじ)め、002(むらさき)(たま)(あらた)めて(をさ)まりたる(にしき)(みや)背景(はいけい)とせる聖地(せいち)(なん)となく活気(くわつき)(くは)はり、003神人(しんじん)喜悦(きえつ)(いろ)()ち、004神徳(しんとく)()()にあがりつつあつた。005(はし)なくも黒姫(くろひめ)保管(ほくわん)せる黄金(わうごん)(たま)何者(なにもの)にか奪取(だつしゆ)され、006黒姫(くろひめ)責任(せきにん)()びて、007(よる)(ひそか)鷹依姫(たかよりひめ)008竜国別(たつくにわけ)009テー、010カーの()(にん)011(おも)(おも)ひに聖地(せいち)(あと)に、012(たま)行方(ゆくへ)捜索(そうさく)()でたる(こと)013(たちま)神人(しんじん)(あひだ)喧伝(けんでん)され、014(また)もや不安(ふあん)(ねん)()られ、015(なん)となく(もの)(さび)しき(かん)じが聖地(せいち)(そら)(ただよ)うた。016三五教(あななひけう)幹部(かんぶ)(はじ)め、017信徒(しんと)此処(ここ)彼処(かしこ)(かしら)(あつ)め、018(この)(はなし)にて持切(もちき)りであつた。019高姫(たかひめ)(にしき)(みや)(かたはら)なる高楼(たかどの)付属(ふぞく)せる八尋殿(やひろどの)宣伝使(せんでんし)(およ)信者(しんじや)(あつ)め、020一場(いちぢやう)注意(ちゆうい)(あた)へむと演説会(えんぜつくわい)(ひら)いた。
021 能弁家(のうべんか)高姫(たかひめ)(この)突発(とつぱつ)事件(じけん)(たい)如何(いか)なる(こと)()()すやと、022(さき)(あらそ)うて立錐(りつすゐ)余地(よち)なき(まで)(あつ)まつた。023高姫(たかひめ)(たちま)壇上(だんじやう)立上(たちあが)り、024(やや)怒気(どき)(ふく)()()()げながら、025諄々(じゆんじゆん)(かた)(はじ)めた。
026 高姫(たかひめ)満座(まんざ)睥睨(へいげい)しながら、
027高姫(みな)さま、028今日(こんにち)()くこそ()出場(しゆつぢやう)(くだ)さいました。029三五教(あななひけう)()つて一大事(いちだいじ)突発(とつぱつ)(いた)しましたに(つい)ては、030今後(こんご)注意(ちゆうい)(まを)すまでもなく、031(この)処置(しよち)(つい)如何(いかが)(いた)したら(よろ)しいか。032(かみ)(さま)(ため)033(くに)(ため)034世界(せかい)人類(じんるゐ)(ため)由々(ゆゆ)しき大問題(だいもんだい)御座(ござ)います。035()ふのは、036御存(ごぞん)じの(とほ)り、037広大(くわうだい)無辺(むへん)()神徳(しんとく)()りまして、038一旦(いつたん)(わたし)神界(しんかい)経綸(けいりん)(じやう)039(はら)()()んだ顕国(うつしくに)御玉(みたま)(ひと)(だま)040金剛(こんがう)不壊(ふゑ)宝玉(ほうぎよく)は、041()花姫(はなひめ)(さま)御霊(みたま)(かか)らせ(たま)ふお(はつ)さまの執成(とりな)しに()つて、042(ふたた)()神宝(しんぱう)として(この)(みや)(をさ)まる(こと)となり、043(ひと)つの(むらさき)(たま)鷹依姫(たかよりひめ)改心(かいしん)帰順(きじゆん)(とも)に、044(これ)(また)(にしき)(みや)宝物(ほうもつ)(あひ)()り、045(さき)青雲山(せいうんざん)より(はこ)(きた)りし黄金(こがね)如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(とも)に、046霊力体(れいりよくたい)相揃(あひそろ)ひ、047いよいよ神政(しんせい)成就(じやうじゆ)機運(きうん)到来(たうらい)(うたがひ)なしと(よろこ)(をり)しも、048不注意(ふちゆうい)なる黒姫(くろひめ)がために、049大切(たいせつ)なる黄金(わうごん)(たま)紛失(ふんしつ)(いた)しました(こと)は、050(かへ)(がへ)すも残念(ざんねん)御座(ござ)います。051(かく)(ごと)大事変(だいじへん)突発(とつぱつ)して()るのに、052(みな)さまは(なん)ともないのですか。053(この)(うはさ)最早(もはや)あなた(がた)(みみ)には幾度(いくたび)這入(はい)つて()(はず)です。054(しか)るに今日(こんにち)まで(わたし)(もと)()んだ(はな)(つぶ)れたとも()つて()(ひと)がないのは、055(なん)たる冷淡(れいたん)(こと)御座(ござ)いませう。056さぞ(かみ)(さま)諸君(あなたがた)至誠(しせい)()満足(まんぞく)()(しめ)すで御座(ござ)いませう』
057棄鉢(すてばち)口調(くてう)()(あた)りに(あた)つて()せた。058国依別(くによりわけ)高姫(たかひめ)()てる壇上(だんじやう)立現(たちあら)はれ、
059国依別高姫(たかひめ)さまに()(たづ)(いた)します。060吾々(われわれ)()(けん)(つい)て、061()()幹部(かんぶ)協議(けふぎ)()らして()るのですが、062何分(なにぶん)肝腎(かんじん)黒姫(くろひめ)(さま)行方(ゆくへ)(わか)らないので、063如何(どう)してよいのか調(しら)べる(こと)出来(でき)ない。064(うけたま)はれば貴方(あなた)専横(せんわう)にも、065独断(どくだん)(てき)黒姫(くろひめ)以下(いか)()(にん)放逐(はうちく)されたと()(こと)だが、066そりや(また)(たれ)聴許(ゆるし)()けてなされましたか。067一応(いちおう)吾々(われわれ)幹部(かんぶ)(たい)()相談(さうだん)がありさうなものです。068これに(つい)ては(なに)裏面(りめん)伏在(ふくざい)するのではありますまいか。069どうぞ(この)席上(せきじやう)(おい)て、070吾々(われわれ)疑惑(ぎわく)()らす(ため)に、071詳細(しやうさい)なる()報告(はうこく)(ねが)ひます』
072高姫国依別(くによりわけ)さま、073(だま)りなさい。074神界(しんかい)(こと)(にはか)宣伝使(せんでんし)巡礼(じゆんれい)(あが)りのお(まへ)さまに、075()うして(わか)りますか。076何事(なにごと)神界(しんかい)()経綸(しぐみ)ですから、077()(くひ)()たれるとやら、078チツトつつしみなされ』
079国依別『これは()しからぬ。080これが如何(どう)して(だま)つてをれますか。081(また)あなたが黒姫(くろひめ)以下(いか)勝手(かつて)処置(しよち)する権能(けんのう)何処(どこ)にあります。082玉照彦(たまてるひこ)083玉照姫(たまてるひめ)(さま)()神慮(しんりよ)(うかが)はず、084(また)教主(けうしゆ)()意見(いけん)無視(むし)して、085勝手(かつて)気儘(きまま)にそんな(こと)をしても()いのですか。086左様(さやう)(こと)貴方(あなた)出来(でき)るのならば、087二人(ふたり)宮司(みやつかさ)も、088教主(けうしゆ)も、089幹部(かんぶ)必要(ひつえう)はないぢやありませぬか』
090高姫(わたし)はそんな肉体(にくたい)()(こと)()きませぬよ。091()出神(でのかみ)生宮(いきみや)()指図(さしづ)()つて申上(まをしあ)げたのだ。092知慧(ちゑ)(がく)神界(しんかい)()経綸(しぐみ)(わか)るものですかい』
093国依別貴方(あなた)(ふた)()神界(しんかい)々々(しんかい)(あふ)せられますが、094大変(たいへん)都合(つがふ)のよい(かく)場所(ばしよ)()()ちで御座(ござ)いますなア。095吾々(われわれ)相談(さうだん)する必要(ひつえう)がなければ、096何故(なぜ)()(まね)きになりました?』
097 満座(まんざ)(なか)より、
098(聴衆)国依別(くによりわけ)さま(たの)んますぜ。099(しつか)(しつか)り』
100などと野次(やじ)(もの)がある。
101高姫(たかひめ)黒姫(くろひめ)さまを(けつ)して逐出(おひだ)したのではない。102(わたし)道理(だうり)()いて()かし責任(せきにん)のある(ところ)(あきら)かに(しめ)したのだ。103そこで黒姫(くろひめ)さまは自発(じはつ)(てき)(しり)をからげて(たま)探索(たんさく)()かれたのです。104(まへ)さま(たち)もさうキヨロキヨロとして()(とき)ではありますまい。105(この)(ひろ)()(なか)(さん)(にん)()(にん)(さが)しに()(ところ)大海(たいかい)(おと)した真珠(しんじゆ)(たま)(さが)(やう)なものだ。106何時(いつ)()(みち)(ため)には生命(いのち)(なに)(ささ)げると(ちか)つて()るあなた(がた)107(この)高姫(たかひめ)()はなくとも何故(なぜ)不言(ふげん)実行(じつかう)出来(でき)ませぬか。108まさかの(とき)になつたら()げる(やつ)ばかりぢやと(かみ)さまが何時(いつ)仰有(おつしや)る。109本当(ほんたう)(かみ)さまの()言葉(ことば)毛筋(けすぢ)(ちが)ひませぬ。110サア(みな)さま如何(どう)なさる。111(けつ)して黒姫(くろひめ)さま(ばか)りの責任(せきにん)ぢやありますまい。112国依別(くによりわけ)さま、113あなたはまだ神界(しんかい)(こと)がテンで(わか)つて()らぬ。114自分(じぶん)(せき)にトツトとお(さが)りなされ』
115国依別(くによりわけ)貴方(あなた)金剛(こんがう)不壊(ふゑ)(たま)保管役(ほくわんやく)(うけたま)はつて()りますが、116大丈夫(だいぢやうぶ)ですかな。117(あま)(ひと)(こと)()ふものぢやありませぬぞ。118今日(けふ)()他人(ひと)(こと)119明日(あす)()(わが)(こと)()(こと)をちツとは()(かんが)へなさい』
120高姫(なに)をツベコベと()ふのだい。121(この)高姫(たかひめ)保管(ほくわん)する以上(いじやう)は、122どんな(えら)(もの)()ても、123指一本(ゆびいつぽん)()へさすものではありませぬ。124万一(まんいち)(その)(たま)損失(そんしつ)する(やう)(こと)があるとしたら、125二度(にど)とお()(かか)りませぬワ』
126(かた)四角(しかく)にし、127(すこ)(あご)(まへ)突出(つきだ)し、128憎々(にくにく)しげに()(はな)つた。129満座(まんざ)(なか)より、
130(聴衆)『まさか(ちが)うたら()()むのだから大丈夫(だいぢやうぶ)だよ。131大方(おほかた)黄金(わうごん)(たま)()んだのかも()れないぞ。132国依別(くによりわけ)さま、133シツカリ(たの)む』
134野次(やじ)る。135高姫(たかひめ)益々(ますます)語気(ごき)(あら)らげ、
136高姫千騎(せんき)一騎(いつき)(この)場合(ばあひ)137芝居(しばゐ)見物(けんぶつ)二十(にじつ)世紀(せいき)議会(ぎくわい)(やう)に、138野次(やじ)ると()不心得(ふこころえ)(もの)(たれ)だ。139(かほ)(かく)して(つく)(ごゑ)をして、140卑怯(ひけふ)未練(みれん)な。141何故(なぜ)堂々(だうだう)と、142意見(いけん)があるなら高姫(たかひめ)面前(めんぜん)(あら)はれて仰有(おつしや)れ。143卑怯(ひけふ)ぢやありませぬか。144たかが(をんな)一人(ひとり)145一人前(いちにんまへ)(をとこ)(その)(ざま)(なん)(こと)だい』
146呶鳴(どな)りつける。147満座(まんざ)一同(いちどう)()()つて、
148(聴衆)『ワアイ ワアイ』
149(わら)ひさざめく。
150高姫(たかひめ)(みな)さまは此席(ここ)(なん)心得(こころえ)御座(ござ)る。151()かる神聖(しんせい)八尋殿(やひろどの)(あつ)まりながら、152不届(ふとどき)千万(せんばん)ではありますまいか。153(この)高姫(たかひめ)()(こと)()()らねば、154トツトと()(もら)ひませう。155沢山(たくさん)頭数(あたまかず)ごまめ(やう)にあつても、156どれ(ひと)()()(もの)はない。157なんと人民(じんみん)()(もの)(なさけ)ないものだなア』
158国依別(くによりわけ)(みな)さま、159高姫(たかひめ)さまのお言葉(ことば)()()らぬ(かた)は、160()註文(ちゆうもん)(どほ)()退場(たいぢやう)(ねが)ひます』
161 大勢(おほぜい)(なか)より、
162(聴衆)国依別(くによりわけ)さまの(あふ)せの(とほ)り、163()()らぬ(もの)退場(たいぢやう)せよなら、164(のこ)(もの)高姫(たかひめ)一人(ひとり)よりないぞ、165それでも()いか』
166怒鳴(どな)りたてる。167高姫(たかひめ)躍気(やつき)となり、
168高姫神界(しんかい)(ちやう)()られても()ければ、169トツトと()たが(よろ)しい』
170 大勢(おほぜい)(なか)より、
171(聴衆)『お(まへ)さまに(ちやう)()られても、172神界(しんかい)から()られなければ(よろ)しい』
173(さけ)(もの)がある。174場内(ぢやうない)(たちま)喧々(けんけん)囂々(がうがう)175(かなへ)()(ごと)く、176雀蜂(すずめばち)()()(やぶ)つた(ごと)くであつた。
177 (この)(とき)言依別(ことよりわけの)(みこと)若彦(わかひこ)178紫姫(むらさきひめ)179玉治別(たまはるわけ)(とも)壇上(だんじやう)悠然(いうぜん)として(あら)はれた。
180 一同(いちどう)拍手(はくしゆ)して言依別(ことよりわけの)(みこと)(むか)へた。181(いま)散乱(さんらん)せむとしつつあつた数多(あまた)信者(しんじや)は、182(ふたた)(こし)(おろ)し、183花形(はながた)役者(やくしや)言依別(ことよりわけの)(みこと)高姫(たかひめ)(たい)する論戦(ろんせん)()如何(いか)にと固唾(かたづ)()んで()(こと)となつた。184言依別(ことよりわけの)(みこと)満座(まんざ)(むか)ひ、185(こゑ)(しとや)かに、
186言依別命(みな)さま、187今日(こんにち)高姫(たかひめ)さまの(まね)きに()つて()集合(あつまり)になつたさうですが、188(なに)(まと)まつた()(はなし)でも御座(ござ)いましたか』
189(きは)めて平静(へいせい)態度(たいど)で、190微笑(びせう)(うか)べながら、191満座(まんざ)()うた。192座中(ざちう)より一人(ひとり)(をとこ)がスツクと立上(たちあが)り、
193不得(ふとく)要領(えうりやう)194(なに)(なん)だか(わけ)(わか)りませぬ。195(なん)だか黒姫(くろひめ)さまが(たま)()られたとか()つて、196ブウブウと(わたし)(たち)一同(いちどう)(ねつ)()かれるのですから、197(たま)りませぬ』
198言依別(ことよりわけの)(みこと)如何(いか)なる(こと)かと(おも)へば、199黄金(わうごん)(たま)紛失(ふんしつ)事件(じけん)ですか。200それは(すこ)しも()心配(しんぱい)はいりませぬ。201何事(なにごと)(かみ)さまの()経綸(けいりん)ですから、202誰一人(たれひとり)として(かみ)さまに(たい)不都合(ふつがふ)御座(ござ)いませぬから、203()安心(あんしん)(くだ)さいませ』
204 高姫(たかひめ)(くち)(とが)らし、
205高姫『コレコレ教主(けうしゆ)さま、206あなたは(なん)()(こと)仰有(おつしや)るのですか。207三千(さんぜん)世界(せかい)水晶(すゐしやう)にする(まこと)生粋(きつすゐ)(おん)(たま)紛失(ふんしつ)しながら、208肝腎(かんじん)()(かた)からそんな気楽(きらく)無責任(むせきにん)なことを()つて如何(どう)なりますか。209それだからあなたは変性(へんじやう)女子(によし)野良久羅(のらくら)(もの)だと(ひと)()ふのですよ。210チツとは責任(せきにん)観念(くわんねん)をお()ちなされ』
211言依別(ことよりわけの)(みこと)世界(せかい)自由(じいう)(あそ)ばす大神(おほかみ)(さま)()守護(しゆご)(にしき)(みや)212(くは)ふるに玉照彦(たまてるひこ)213玉照姫(たまてるひめ)神人(しんじん)()守護(しゆご)(あそ)ばし、214()()自転倒(おのころ)(じま)中心点(ちうしんてん)215()高天原(たかあまはら)宮屋敷(みややしき)ではありませぬか。216(なに)(ごと)(みな)神界(しんかい)のご経綸(けいりん)です。217()心配(しんぱい)()りますまい。218(あま)黒姫(くろひめ)さまを()(せめ)になると、219あなたも(また)(こま)りになる(こと)出来(でき)ますぞ』
220高姫『エー奴灰殻(どはひから)柔弱(にうじやく)言依別(ことよりわけ)221モウ愛想(あいさう)()きました。222これから(わたし)(この)高天原(たかあまはら)背負(せお)うて()(かんが)へだ。223(まへ)さまにも(ひと)つの責任(せきにん)がある。224黄金(わうごん)(たま)(ふたた)()()るまで教主(けうしゆ)(せき)をお(すべ)りなさい。225()出神(でのかみ)高姫(たかひめ)(くち)()りて(まを)()けるツ』
226言依別命(わたし)教主(けうしゆ)地位(ちゐ)恋々(れんれん)として()(もの)ではありませぬ。227(しか)(なが)(この)聖地(せいち)貴女(あなた)教主(けうしゆ)になつて(をさ)まる(ところ)ではありませぬ。228やがて貴女(あなた)黒姫(くろひめ)さま同様(どうやう)229(たま)(さが)しに()かねばなりますまい』
230高姫『エー(なに)仰有(おつしや)る。231(わたし)(いま)聖地(せいち)()ようものなら、232サツパリ暗雲(やみくも)だ。233終局(しまひ)には金剛(こんがう)不壊(ふゑ)宝珠(ほつしゆ)も、234(むらさき)(たま)も、235(また)紛失(ふんしつ)するかも()れませぬぞ』
236言依別命万一(まんいち)(その)(たま)紛失(ふんしつ)して()たら、237貴女(あなた)如何(どう)なさいますか』
238高姫『そんな(こと)仰有(おつしや)るまでもなく、239(この)高姫(たかひめ)(ひと)つよりない(くび)(とを)でも二十(にじふ)でも進上(しんじやう)(いた)しますワイな。240そんな間抜(まぬけ)(おも)つて御座(ござ)るのですか。241チツト黒姫(くろひめ)とは品物(しなもの)(ちが)ひます。242あんまり見違(みちが)ひして(くだ)さいますな。243(まへ)さまは教主(けうしゆ)()つても、244ホンの看板(かんばん)同然(どうぜん)245()んな(ところ)()()場合(ばあひ)ぢやありませぬ。246スツ()んで()なさい、247空気抜(くうきぬ)けさま』
248言依別命『あなたの保管(ほくわん)して()られる(たま)一寸(ちよつと)此処(ここ)(みな)さまに(をが)ましてあげて(もら)ひたい。249()()人心(じんしん)不安(ふあん)(とき)(うはさ)(うはさ)()み、250金剛(こんがう)不壊(ふゑ)(たま)も、251(むらさき)(たま)紛失(ふんしつ)したげな……と大変(たいへん)評判(ひやうばん)()つて()ますから………』
252高姫『エー人間(にんげん)()(もの)仕方(しかた)のないものだナ。253天眼通(てんがんつう)でチヤンと()えて()る、254(けつ)して紛失(ふんしつ)なんかして()ませぬ。255(すぐ)にお()()けます。256折角(せつかく)(わたし)保管(ほくわん)して()いた秘密(ひみつ)場所(ばしよ)()せた以上(いじやう)(また)場所(ばしよ)()へねばならぬ。257どんな(やつ)信者(しんじや)()けて這入(はい)()んで()るか(わか)つたものぢやない。258(わたし)黒姫(くろひめ)(やう)(まつ)()根元(ねもと)(かく)し、259毎晩(まいばん)々々(まいばん)260()つても()つてもお百度(ひやくど)(まゐ)りをして終局(しまひ)(ひと)()ぎつけられる(やう)拙劣(へた)(こと)はやりませぬワイなア、261ヘン』
262(やや)軽侮(けいぶ)(いろ)大勢(おほぜい)(まへ)(さら)しながら、
263高姫(みな)さま(たま)(をが)ましてあげる。264()(つぶ)れぬ(やう)にシツカリとしなされ』
265()ひながら、266八尋殿(やひろどの)(たたみ)(いち)(まい)(はぐ)り、267(なか)より(うやうや)しく(きり)(はこ)()()し、
268高姫(みな)さま如何(どう)です。269()()(ちか)(ところ)(かく)してあつても(わか)りますまいがな。270それだから灯台下(とうだいもと)真暗(まつくら)がりと()ふのですよ。271チツト身魂(みたま)(みが)きなされ。272言依別(ことよりわけ)(さま)273(まへ)さまの命令(めいれい)した(ところ)とは(ちが)ひませうがな。274(まへ)さまの命令(めいれい)(どほ)()つて()らうものなら、275黒姫(くろひめ)(やう)にサツパリな()()うて()るのぢや。276サア(ふた)()けて(あらた)めて御覧(ごらん)
277言依別命『どうぞ貴女(あなた)()けて(くだ)さい』
278高姫『さうだらう さうだらう。279(この)(たま)実地(じつち)(まこと)()神徳(しんとく)がないと、280何程(なにほど)教主(けうしゆ)でも、281身魂(みたま)(くも)りが(あら)はれて、282(はづか)しうて、283(おもて)()ける(こと)出来(でき)ませぬワイ。284サア(みな)さま、285()のお(しやう)(ぐわつ)()してあげるから、286(こころ)饑饉(ききん)(おこ)してはなりませぬぞや』
287得意気(とくいげ)に、
288高姫『サア此処(ここ)金剛(こんがう)不壊(ふゑ)如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(おん)(たから)289(ひと)つは(むらさき)御玉(みたま)290身魂(みたま)(みが)けて()らぬと、291玉石(ぎよくせき)混同(こんどう)()つて、292石塊(いしくれ)()える(ひと)もありますよ。293(せん)()(うま)伯楽(はくらう)()ざれば駑馬(どば)(をは)るとやら、294(みな)さま、295シツカリ()()ゑ、296身魂(みたま)(ひか)らして御覧(ごらん)……(いや)拝観(はいくわん)なされ』
297(くち)(いち)()(むす)び、298横柄(わうへい)面付(つらつき)しながら、299二三回(にさんくわい)玉箱(たまばこ)頭上(づじやう)(ささ)げ、300(しづ)かに被覆(おほひ)(はづ)唐櫃(からうど)(ふた)()けるや(いな)や、301顔色(がんしよく)サツと蒼白色(さうはくしよく)(へん)じ、302(した)()き、303()(ふくらふ)(ごと)(まる)くし、304(かた)(ほそ)(たか)くこぢあげ、305(くび)半分(はんぶん)ばかり(かた)(うづ)め、306無言(むごん)(まま)()つて()る。
307言依別(ことよりわけの)(みこと)高姫(たかひめ)さま、308立派(りつぱ)霊光(れいくわう)(かがや)(たま)ふでせうなア』
309 国依別(くによりわけ)はツカツカと(すす)()り、310玉箱(たまばこ)(なか)(のぞ)いて()て、
311国依別『ヤアこりや(なん)だ。312(みな)さま、313(たま)(おも)ひの(ほか)314何時(いつ)()にか(いし)(かは)つて()りますよ。315これは(だれ)責任(せきにん)でせう。316(ひと)つよりない(くび)沢山(たくさん)(わた)さねばならぬ手品(てじな)()られようかも()れませぬ。317とは()ふものの大変(たいへん)(こと)出来(しゆつたい)(いた)しました』
318 一同(いちどう)はアフンとして(あき)(かへ)るばかりであつた。319紫姫(むらさきひめ)は、
320紫姫『モシ高姫(たかひめ)さま、321こりや(また)()うした(わけ)ですか』
322高姫()うでもありませぬ。323()うして(いし)()えてもヤツパリ正真(しやうしん)正銘(しやうめい)如意(によい)宝珠(ほつしゆ)324(まへ)さま(たち)一同(いちどう)身魂(みたま)(わる)いから、325宝珠(ほつしゆ)(さま)(いし)()けちやつたのだ。326(かみ)さまは(かがみ)同様(どうやう)だから、327(みな)さまの(こころ)石瓦(いしかはら)同然(どうぜん)だから、328(みな)さまの()(ごと)変化(へんげ)(あそ)ばすのだ。329それで如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(まを)します。330……コレコレ如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(さま)331さぞあなたは()無念(むねん)でせう。332せめて二三(にさん)(にち)(いつ)週間(しうかん)333(みな)さま水行(すゐぎやう)をしてお()でなされ。334さうしたら本当(ほんたう)宝珠(ほつしゆ)()神体(しんたい)(をが)めますよ』
335 大勢(おほぜい)(なか)より、
336(聴衆)『オイ、337高姫(たかひめ)さま、338何程(なにほど)(みが)いても、339見直(みなほ)しても、340(いし)はヤツパリ(いし)ぢやないか。341(この)(なか)一人(ひとり)半分(はんぶん)342(たま)(みが)けた(もの)がないとはいへまい。343それに(たれ)(たま)ぢやと()(もの)がないぢやないか。344(まへ)さまはあんまり慢心(まんしん)(つよ)いから()られたのだよ。345さうでなくばウラナイ(けう)再設(さいせつ)する(つも)りで、346黒姫(くろひめ)申合(まをしあは)せ、347黒姫(くろひめ)黄金(わうごん)(たま)()つてフサの(みやこ)(さき)(かへ)らせ、348自分(じぶん)(のこ)りの(ふた)つの(たま)何々(なになに)して謀叛(むほん)(たく)むのだらう』
349 高姫(たかひめ)クワツとなり、
350高姫(まこと)(ひと)つの大和(やまと)(だましひ)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(むか)つて、351(なん)()(こと)仰有(おつしや)る。352サア此処(ここ)()()なさい。353黒白(こくびやく)()けてあげるから』
354 大勢(おほぜい)一度(いちど)に、
355(聴衆)『ウラナイ(けう)356ウラナイ(けう)再設(さいせつ)357……(あく)(みち)逆転(ぎやくてん)旅行(りよかう)張本人(ちやうほんにん)……』
358口々(くちぐち)呶鳴(どな)()てる。359高姫(たかひめ)烈火(れつくわ)(やう)になつて、
360高姫『エー残念(ざんねん)々々(ざんねん)361(この)(はら)()つて()せてやりたいやうだ』
362壇上(だんじやう)地団駄(ぢだんだ)()む。
363言依別(ことよりわけの)(みこと)高姫(たかひめ)さま、364何事(なにごと)神界(しんかい)()都合(つがふ)でせう。365()()安心(あんしん)なさいませ。366()一同(いちどう)さま、367()れには(なに)神界(しんかい)()都合(つがふ)のある(こと)(わたし)(かた)(しん)じます。368どうぞ(しづ)まつて(くだ)さい。369責任(せきにん)(わたし)()ひますから……』
370(しとや)かに(なだ)める。371一同(いちどう)教主(けうしゆ)挨拶(あいさつ)是非(ぜひ)なく、372ブツブツ(つぶや)(なが)(にしき)(みや)拝礼(はいれい)し、373(おのおの)家路(いへぢ)(かへ)つて()く。
374 高姫(たかひめ)(つら)(ふく)らし、375(いし)玉箱(たまばこ)小脇(こわき)(かか)へ、376夜叉(やしや)(ごと)相好(さうがう)寒風(かんぷう)(さら)(なが)ら、377(おの)居宅(きよたく)一散走(いちさんばし)りに(かへ)()く。378(かたはら)(えのき)(えだ)(からす)二三羽(にさんば)379寒風(かんぷう)(ゆら)(なが)ら、380(えだ)(さき)にタワタワと(なみ)()ち、381空中(くうちう)(うき)(しづ)みつ『阿呆(あはう)々々(あはう)』と()()てて()る。
382大正一一・五・二五 旧四・二九 松村真澄録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→