霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 (だん)(うら)〔六九七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第22巻 如意宝珠 酉の巻 篇:第2篇 心猿意馬 よみ:しんえんいば
章:第5章 第22巻 よみ:だんのうら 通し章番号:697
口述日:1922(大正11)年05月25日(旧04月29日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
三つの玉が揃って一時は活気が出た聖地も、五人が黄金の玉紛失の責を取って探索に出かけたことが神人の間に喧伝されると、物寂しい感じが聖地の空に漂った。
三五教の幹部も信徒もこの話題でもちきりであったが、高姫がこのことについて演説会を開くという。三五教徒たちは高姫が何を言い出すのかと先を争って演説会につめかけた。
高姫は壇上で前口上を述べた後、黄金の玉紛失という一大事の際に誰も高姫のところにこの件で相談に来た者がないことを憤慨し、聴衆に八つ当たりをした。
国依別は壇上に上がり、逆に高姫が五人を追放同然にして玉探索の旅に立たせたことを詰問した。高姫は追い出したのではなく、理屈を説いて聞かせた結果、五人が自発的に探索の旅に出ることになったのだ、と反論する。
聴衆の中から、しきりに高姫を野次り、国依別の方を持つ者がいる。高姫は怒って怒鳴りつけるが、満座の聴衆は手を打って笑いさざめく。高姫は、自分の言が気に入らない者はすべて退場しろ、と言い渡す。
それに対してまた聴衆の中から高姫に対して野次が飛び、場内は騒然となった。そこへ言依別命は若彦、紫姫、玉治別を連れて壇上に現れた。聴衆は拍手で迎え、散りつつあった者たちも席に戻ってきた。
言依別命は悠然として何事があったかを問いかけると、聴衆の中から、黄金の玉紛失事件について高姫の論がまったく要領を得ないと、不服の申し立てがあった。言依別命は、何事も神様の御経綸であってこの件も心配するに及ばない、と答えた。
高姫は言依別命の態度がこの一大事に対して軟弱だと責め立てる。言依別命は、自転倒島の中心点に玉照彦・玉照姫の神人が守る三五教に心配はない、あまり黒姫を責めると高姫自身が玉を探しに行かなければならなくなる、と忠告する。
絶対にそんなことはない、という高姫に対して、言依別命は、人心が不安になっているから如意宝珠の玉を今皆に拝ませてもらいたい、と要求する。
高姫は売り言葉に買い言葉で、自分は厳重に秘密を守って保管していたと自信満々で、八尋殿の畳をめくって下から桐の箱を取り出した。そして得意顔に蓋を開けたが、中を見てさっと顔色が変わった。
国依別が中を見ると、ただ石が入っているのみであった。高姫は、一同の身魂が悪いので玉が石に見えるのだ、と強弁するが、聴衆から野次の嵐を受ける。
言依別命は、これも神界の都合だろうが、責任はすべて自分が取ると言ってその場をなだめた。一同は教主の言葉に免じてその場を退散した。高姫は石の入った箱を抱えて寒風の中、夜叉のような顔をして自宅に走って帰り行く。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm2205
愛善世界社版:61頁 八幡書店版:第4輯 402頁 修補版: 校定版:63頁 普及版:28頁 初版: ページ備考:
001 金剛不壊(こんがうふゑ)如意宝珠(によいほつしゆ)(はじ)め、002(むらさき)(たま)(あらた)めて(をさ)まりたる(にしき)(みや)背景(はいけい)とせる聖地(せいち)(なん)となく活気(くわつき)(くは)はり、003神人(しんじん)喜悦(きえつ)(いろ)()ち、004神徳(しんとく)()()にあがりつつあつた。005(はし)なくも黒姫(くろひめ)保管(ほくわん)せる黄金(わうごん)(たま)何者(なにもの)にか奪取(だつしゆ)され、006黒姫(くろひめ)責任(せきにん)()びて、007(よる)(ひそか)鷹依姫(たかよりひめ)008竜国別(たつくにわけ)009テー、010カーの五人(ごにん)011(おも)(おも)ひに聖地(せいち)(あと)に、012(たま)行方(ゆくへ)捜索(そうさく)()でたる(こと)013(たちま)神人(しんじん)(あひだ)喧伝(けんでん)され、014(また)もや不安(ふあん)(ねん)()られ、015(なん)となく(もの)(さび)しき(かん)じが聖地(せいち)(そら)(ただよ)うた。016三五教(あななひけう)幹部(かんぶ)(はじ)め、017信徒(しんと)此処(ここ)彼処(かしこ)(かしら)(あつ)め、018(この)(はなし)にて持切(もちき)りであつた。019高姫(たかひめ)(にしき)(みや)(かたはら)なる高楼(たかどの)付属(ふぞく)せる八尋殿(やひろどの)宣伝使(せんでんし)(およ)信者(しんじや)(あつ)め、020一場(いちぢやう)注意(ちゆうい)(あた)へむと演説会(えんぜつくわい)(ひら)いた。
021 能弁家(のうべんか)高姫(たかひめ)(この)突発(とつぱつ)事件(じけん)(たい)如何(いか)なる(こと)()()すやと、022(さき)(あらそ)うて立錐(りつすゐ)余地(よち)なき(まで)(あつ)まつた。023高姫(たかひめ)(たちま)壇上(だんじやう)立上(たちあが)り、024(やや)怒気(どき)(ふく)()()()げながら、025諄々(じゆんじゆん)(かた)(はじ)めた。
026 高姫(たかひめ)満座(まんざ)睥睨(へいげい)しながら、
027(みな)さま、028今日(こんにち)()くこそ御出場(ごしゆつぢやう)(くだ)さいました。029三五教(あななひけう)()つて一大事(いちだいじ)突発(とつぱつ)(いた)しましたに(つい)ては、030今後(こんご)注意(ちゆうい)(まを)すまでもなく、031(この)処置(しよち)(つい)如何(いかが)(いた)したら(よろ)しいか。032神様(かみさま)(ため)033(くに)(ため)034世界(せかい)人類(じんるゐ)(ため)由々(ゆゆ)しき大問題(だいもんだい)御座(ござ)います。035()ふのは、036御存(ごぞん)じの(とほ)り、037広大無辺(くわうだいむへん)御神徳(ごしんとく)()りまして、038一旦(いつたん)(わたし)神界(しんかい)経綸上(けいりんじやう)039(はら)()()んだ顕国(うつしくに)御玉(みたま)(ひと)(だま)040金剛不壊(こんがうふゑ)宝玉(ほうぎよく)は、041()花姫(はなひめ)(さま)御霊(みたま)(かか)らせ(たま)ふお(はつ)さまの執成(とりな)しに()つて、042(ふたた)御神宝(ごしんぱう)として(この)(みや)(をさ)まる(こと)となり、043(ひと)つの(むらさき)(たま)鷹依姫(たかよりひめ)改心(かいしん)帰順(きじゆん)(とも)に、044(これ)(また)(にしき)(みや)宝物(ほうもつ)(あひ)()り、045(さき)青雲山(せいうんざん)より(はこ)(きた)りし黄金(こがね)如意宝珠(によいほつしゆ)(とも)に、046霊力体(れいりよくたい)相揃(あひそろ)ひ、047いよいよ神政(しんせい)成就(じやうじゆ)機運(きうん)到来(たうらい)(うたがひ)なしと(よろこ)(をり)しも、048不注意(ふちゆうい)なる黒姫(くろひめ)がために、049大切(たいせつ)なる黄金(わうごん)(たま)紛失(ふんしつ)(いた)しました(こと)は、050(かへ)(がへ)すも残念(ざんねん)御座(ござ)います。051(かく)(ごと)大事変(だいじへん)突発(とつぱつ)して()るのに、052(みな)さまは(なん)ともないのですか。053(この)(うはさ)最早(もはや)あなた(がた)(みみ)には幾度(いくたび)這入(はい)つて()(はず)です。054(しか)るに今日(こんにち)まで(わたし)(もと)()んだ(はな)(つぶ)れたとも()つて()(ひと)がないのは、055(なん)たる冷淡(れいたん)(こと)御座(ござ)いませう。056さぞ神様(かみさま)諸君(あなたがた)至誠(しせい)御満足(ごまんぞく)()(しめ)すで御座(ござ)いませう』
057棄鉢(すてばち)口調(くてう)()(あた)りに(あた)つて()せた。058国依別(くによりわけ)高姫(たかひめ)()てる壇上(だんじやう)立現(たちあら)はれ、
059高姫(たかひめ)さまに御尋(おたづ)(いた)します。060吾々(われわれ)()(けん)(つい)て、061()()幹部(かんぶ)協議(けふぎ)()らして()るのですが、062何分(なにぶん)肝腎(かんじん)黒姫(くろひめ)(さま)行方(ゆくへ)(わか)らないので、063如何(どう)してよいのか調(しら)べる(こと)出来(でき)ない。064(うけたま)はれば貴方(あなた)専横(せんわう)にも、065独断的(どくだんてき)黒姫(くろひめ)以下(いか)四人(よにん)放逐(はうちく)されたと()(こと)だが、066そりや(また)(たれ)聴許(ゆるし)()けてなされましたか。067一応(いちおう)吾々(われわれ)幹部(かんぶ)(たい)御相談(ごさうだん)がありさうなものです。068これに(つい)ては(なに)裏面(りめん)伏在(ふくざい)するのではありますまいか。069どうぞ(この)席上(せきじやう)(おい)て、070吾々(われわれ)疑惑(ぎわく)()らす(ため)に、071詳細(しやうさい)なる御報告(ごはうこく)(ねが)ひます』
072国依別(くによりわけ)さま、073(だま)りなさい。074神界(しんかい)(こと)俄宣伝使(にはかせんでんし)巡礼(じゆんれい)(あが)りのお(まへ)さまに、075()うして(わか)りますか。076何事(なにごと)神界(しんかい)御経綸(おしぐみ)ですから、077()(くひ)()たれるとやら、078チツトつつしみなされ』
079『これは()しからぬ。080これが如何(どう)して(だま)つてをれますか。081(また)あなたが黒姫(くろひめ)以下(いか)勝手(かつて)処置(しよち)する権能(けんのう)何処(どこ)にあります。082玉照彦(たまてるひこ)083玉照姫(たまてるひめ)(さま)御神慮(ごしんりよ)(うかが)はず、084(また)教主(けうしゆ)御意見(ごいけん)無視(むし)して、085勝手(かつて)気儘(きまま)にそんな(こと)をしても()いのですか。086左様(さやう)(こと)貴方(あなた)出来(でき)るのならば、087二人(ふたり)宮司(みやつかさ)も、088教主(けうしゆ)も、089幹部(かんぶ)必要(ひつえう)はないぢやありませぬか』
090(わたし)はそんな肉体(にくたい)()(こと)()きませぬよ。091()出神(でのかみ)生宮(いきみや)御指図(おさしづ)()つて申上(まをしあ)げたのだ。092知慧(ちゑ)(がく)神界(しんかい)御経綸(おしぐみ)(わか)るものですかい』
093貴方(あなた)(ふた)()神界(しんかい)々々(しんかい)(あふ)せられますが、094大変(たいへん)都合(つがふ)のよい(かく)場所(ばしよ)御持(おも)ちで御座(ござ)いますなア。095吾々(われわれ)相談(さうだん)する必要(ひつえう)がなければ、096何故(なぜ)御招(おまね)きになりました?』
097 満座(まんざ)(なか)より、
098国依別(くによりわけ)さま(たの)んますぜ。099(しつか)(しつか)り』
100などと野次(やじ)(もの)がある。
101高姫(たかひめ)黒姫(くろひめ)さまを(けつ)して逐出(おひだ)したのではない。102(わたし)道理(だうり)()いて()かし責任(せきにん)のある(ところ)(あきら)かに(しめ)したのだ。103そこで黒姫(くろひめ)さまは自発的(じはつてき)(しり)をからげて(たま)探索(たんさく)()かれたのです。104(まへ)さま(たち)もさうキヨロキヨロとして()(とき)ではありますまい。105(この)(ひろ)()(なか)三人(さんにん)五人(ごにん)(さが)しに()(ところ)大海(たいかい)(おと)した真珠(しんじゆ)(たま)(さが)(やう)なものだ。106何時(いつ)御道(おみち)(ため)には生命(いのち)(なに)(ささ)げると(ちか)つて()るあなた(がた)107(この)高姫(たかひめ)()はなくとも何故(なぜ)不言実行(ふげんじつかう)出来(でき)ませぬか。108まさかの(とき)になつたら()げる(やつ)ばかりぢやと(かみ)さまが何時(いつ)仰有(おつしや)る。109本当(ほんたう)(かみ)さまの御言葉(おことば)毛筋(けすぢ)(ちが)ひませぬ。110サア(みな)さま如何(どう)なさる。111(けつ)して黒姫(くろひめ)さま(ばか)りの責任(せきにん)ぢやありますまい。112国依別(くによりわけ)さま、113あなたはまだ神界(しんかい)(こと)がテンで(わか)つて()らぬ。114自分(じぶん)(せき)にトツトとお(さが)りなされ』
115国依別(くによりわけ)貴方(あなた)金剛不壊(こんがうふゑ)(たま)保管役(ほくわんやく)(うけたま)はつて()りますが、116大丈夫(だいぢやうぶ)ですかな。117(あま)(ひと)(こと)()ふものぢやありませぬぞ。118今日(けふ)()他人(ひと)(こと)119明日(あす)()(わが)(こと)()(こと)をちツとは御考(おかんが)へなさい』
120(なに)をツベコベと()ふのだい。121(この)高姫(たかひめ)保管(ほくわん)する以上(いじやう)は、122どんな(えら)(もの)()ても、123指一本(ゆびいつぽん)()へさすものではありませぬ。124万一(まんいち)(その)(たま)損失(そんしつ)する(やう)(こと)があるとしたら、125二度(にど)とお()(かか)りませぬワ』
126(かた)四角(しかく)にし、127(すこ)(あご)(まへ)突出(つきだ)し、128憎々(にくにく)しげに()(はな)つた。129満座(まんざ)(なか)より、
130『まさか(ちが)うたら()()むのだから大丈夫(だいぢやうぶ)だよ。131大方(おほかた)黄金(わうごん)(たま)()んだのかも()れないぞ。132国依別(くによりわけ)さま、133シツカリ(たの)む』
134野次(やじ)る。135高姫(たかひめ)益々(ますます)語気(ごき)(あら)らげ、
136千騎一騎(せんきいつき)(この)場合(ばあひ)137芝居(しばゐ)見物(けんぶつ)二十世紀(にじつせいき)議会(ぎくわい)(やう)に、138野次(やじ)ると()不心得者(ふこころえもの)(たれ)だ。139(かほ)(かく)して(つく)(ごゑ)をして、140卑怯(ひけふ)未練(みれん)な。141何故(なぜ)堂々(だうだう)と、142意見(いけん)があるなら高姫(たかひめ)面前(めんぜん)(あら)はれて仰有(おつしや)れ。143卑怯(ひけふ)ぢやありませぬか。144たかが(をんな)一人(ひとり)145一人前(いちにんまへ)(をとこ)(その)(ざま)(なん)(こと)だい』
146呶鳴(どな)りつける。147満座(まんざ)一同(いちどう)()()つて、
148『ワアイ ワアイ』
149(わら)ひさざめく。
150高姫(たかひめ)(みな)さまは此席(ここ)(なん)心得(こころえ)御座(ござ)る。151()かる神聖(しんせい)八尋殿(やひろどの)(あつ)まりながら、152不届千万(ふとどきせんばん)ではありますまいか。153(この)高姫(たかひめ)()(こと)()()らねば、154トツトと()(もら)ひませう。155沢山(たくさん)頭数(あたまかず)ごまめ(やう)にあつても、156どれ(ひと)()()(もの)はない。157なんと人民(じんみん)()(もの)(なさけ)ないものだなア』
158国依別(くによりわけ)(みな)さま、159高姫(たかひめ)さまのお言葉(ことば)()()らぬ(かた)は、160御註文(ごちゆうもん)(どほ)御退場(ごたいぢやう)(ねが)ひます』
161 大勢(おほぜい)(なか)より、
162国依別(くによりわけ)さまの(あふ)せの(とほ)り、163()()らぬ(もの)退場(たいぢやう)せよなら、164(のこ)(もの)高姫(たかひめ)一人(ひとり)よりないぞ、165それでも()いか』
166怒鳴(どな)りたてる。167高姫(たかひめ)躍気(やつき)となり、
168神界(しんかい)(ちやう)()られても()ければ、169トツトと()たが(よろ)しい』
170 大勢(おほぜい)(なか)より、
171『お(まへ)さまに(ちやう)()られても、172神界(しんかい)から()られなければ(よろ)しい』
173(さけ)(もの)がある。174場内(ぢやうない)(たちま)喧々囂々(けんけんがうがう)175(かなへ)()(ごと)く、176雀蜂(すずめばち)()()(やぶ)つた(ごと)くであつた。
177 (この)(とき)言依別命(ことよりわけのみこと)若彦(わかひこ)178紫姫(むらさきひめ)179玉治別(たまはるわけ)(とも)壇上(だんじやう)悠然(いうぜん)として(あら)はれた。
180 一同(いちどう)拍手(はくしゆ)して言依別命(ことよりわけのみこと)(むか)へた。181(いま)散乱(さんらん)せむとしつつあつた数多(あまた)信者(しんじや)は、182(ふたた)(こし)(おろ)し、183花形(はながた)役者(やくしや)言依別命(ことよりわけのみこと)高姫(たかひめ)(たい)する論戦(ろんせん)()如何(いか)にと固唾(かたづ)()んで()(こと)となつた。184言依別命(ことよりわけのみこと)満座(まんざ)(むか)ひ、185(こゑ)(しとや)かに、
186(みな)さま、187今日(こんにち)高姫(たかひめ)さまの(まね)きに()つて御集合(おあつまり)になつたさうですが、188(なに)(まと)まつた御話(おはなし)でも御座(ござ)いましたか』
189(きは)めて平静(へいせい)態度(たいど)で、190微笑(びせう)(うか)べながら、191満座(まんざ)()うた。192座中(ざちう)より一人(ひとり)(をとこ)がスツクと立上(たちあが)り、
193不得要領(ふとくえうりやう)194(なに)(なん)だか(わけ)(わか)りませぬ。195(なん)だか黒姫(くろひめ)さまが(たま)()られたとか()つて、196ブウブウと(わたし)(たち)一同(いちどう)(ねつ)()かれるのですから、197(たま)りませぬ』
198言依別命(ことよりわけのみこと)如何(いか)なる(こと)かと(おも)へば、199黄金(わうごん)(たま)紛失(ふんしつ)事件(じけん)ですか。200それは(すこ)しも御心配(ごしんぱい)はいりませぬ。201何事(なにごと)(かみ)さまの御経綸(ごけいりん)ですから、202誰一人(たれひとり)として(かみ)さまに(たい)不都合(ふつがふ)御座(ござ)いませぬから、203御安心(ごあんしん)(くだ)さいませ』
204 高姫(たかひめ)(くち)(とが)らし、
205『コレコレ教主(けうしゆ)さま、206あなたは(なん)()(こと)仰有(おつしや)るのですか。207三千世界(さんぜんせかい)水晶(すゐしやう)にする(まこと)生粋(きつすゐ)御玉(おんたま)紛失(ふんしつ)しながら、208肝腎(かんじん)御方(おかた)からそんな気楽(きらく)無責任(むせきにん)なことを()つて如何(どう)なりますか。209それだからあなたは変性女子(へんじやうによし)野良久羅者(のらくらもの)だと(ひと)()ふのですよ。210チツとは責任(せきにん)観念(くわんねん)をお()ちなされ』
211言依別命(ことよりわけのみこと)世界(せかい)自由(じいう)(あそ)ばす大神(おほかみ)(さま)御守護(ごしゆご)(にしき)(みや)212(くは)ふるに玉照彦(たまてるひこ)213玉照姫(たまてるひめ)神人(しんじん)御守護(ごしゆご)(あそ)ばし、214()()自転倒島(おのころじま)中心点(ちうしんてん)215()高天原(たかあまはら)宮屋敷(みややしき)ではありませぬか。216(なに)(ごと)(みな)神界(しんかい)のご経綸(けいりん)です。217御心配(ごしんぱい)()りますまい。218(あま)黒姫(くろひめ)さまを御責(おせめ)になると、219あなたも(また)(こま)りになる(こと)出来(でき)ますぞ』
220『エー奴灰殻(どはひから)柔弱(にうじやく)言依別(ことよりわけ)221モウ愛想(あいさう)()きました。222これから(わたし)(この)高天原(たかあまはら)背負(せお)うて()(かんが)へだ。223(まへ)さまにも(ひと)つの責任(せきにん)がある。224黄金(わうごん)(たま)(ふたた)()()るまで教主(けうしゆ)(せき)をお(すべ)りなさい。225()出神(でのかみ)高姫(たかひめ)(くち)()りて(まを)()けるツ』
226(わたし)教主(けうしゆ)地位(ちゐ)恋々(れんれん)として()(もの)ではありませぬ。227(しか)(なが)(この)聖地(せいち)貴女(あなた)教主(けうしゆ)になつて(をさ)まる(ところ)ではありませぬ。228やがて貴女(あなた)黒姫(くろひめ)さま同様(どうやう)229(たま)(さが)しに()かねばなりますまい』
230『エー(なに)仰有(おつしや)る。231(わたし)(いま)聖地(せいち)()ようものなら、232サツパリ暗雲(やみくも)だ。233終局(しまひ)には金剛不壊(こんがうふゑ)宝珠(ほつしゆ)も、234(むらさき)(たま)も、235(また)紛失(ふんしつ)するかも()れませぬぞ』
236万一(まんいち)(その)(たま)紛失(ふんしつ)して()たら、237貴女(あなた)如何(どう)なさいますか』
238『そんな(こと)仰有(おつしや)るまでもなく、239(この)高姫(たかひめ)(ひと)つよりない(くび)(とを)でも二十(にじふ)でも進上(しんじやう)(いた)しますワイな。240そんな間抜(まぬけ)(おも)つて御座(ござ)るのですか。241チツト黒姫(くろひめ)とは品物(しなもの)(ちが)ひます。242あんまり見違(みちが)ひして(くだ)さいますな。243(まへ)さまは教主(けうしゆ)()つても、244ホンの看板(かんばん)同然(どうぜん)245()んな(ところ)()()場合(ばあひ)ぢやありませぬ。246スツ()んで()なさい、247空気抜(くうきぬ)けさま』
248『あなたの保管(ほくわん)して()られる(たま)一寸(ちよつと)此処(ここ)(みな)さまに(をが)ましてあげて(もら)ひたい。249()()人心(じんしん)不安(ふあん)(とき)(うはさ)(うはさ)()み、250金剛不壊(こんがうふゑ)(たま)も、251(むらさき)(たま)紛失(ふんしつ)したげな……と大変(たいへん)評判(ひやうばん)()つて()ますから………』
252『エー人間(にんげん)()(もの)仕方(しかた)のないものだナ。253天眼通(てんつうがん)でチヤンと()えて()る、254(けつ)して紛失(ふんしつ)なんかして()ませぬ。255(すぐ)にお()()けます。256折角(せつかく)(わたし)保管(ほくわん)して()いた秘密(ひみつ)場所(ばしよ)()せた以上(いじやう)(また)場所(ばしよ)()へねばならぬ。257どんな(やつ)信者(しんじや)()けて這入(はい)()んで()るか(わか)つたものぢやない。258(わたし)黒姫(くろひめ)(やう)(まつ)()根元(ねもと)(かく)し、259毎晩(まいばん)々々(まいばん)260()つても()つてもお百度(ひやくど)(まゐ)りをして終局(しまひ)(ひと)()ぎつけられる(やう)拙劣(へた)(こと)はやりませぬワイなア、261ヘン』
262(やや)軽侮(けいぶ)(いろ)大勢(おほぜい)(まへ)(さら)しながら、
263(みな)さま(たま)(をが)ましてあげる。264()(つぶ)れぬ(やう)にシツカリとしなされ』
265()ひながら、266八尋殿(やひろどの)(たたみ)一枚(いちまい)(はぐ)り、267(なか)より(うやうや)しく(きり)(はこ)()()し、
268(みな)さま如何(どう)です。269()()(ちか)(ところ)(かく)してあつても(わか)りますまいがな。270それだから灯台下(とうだいもと)真暗(まつくら)がりと()ふのですよ。271チツト身魂(みたま)(みが)きなされ。272言依別(ことよりわけ)(さま)273(まへ)さまの命令(めいれい)した(ところ)とは(ちが)ひませうがな。274(まへ)さまの命令(めいれい)(どほ)()つて()らうものなら、275黒姫(くろひめ)(やう)にサツパリな()()うて()るのぢや。276サア(ふた)()けて(あらた)めて御覧(ごらん)
277『どうぞ貴女(あなた)()けて(くだ)さい』
278『さうだらう さうだらう。279(この)(たま)実地(じつち)(まこと)御神徳(ごしんとく)がないと、280何程(なにほど)教主(けうしゆ)でも、281身魂(みたま)(くも)りが(あら)はれて、282(はづか)しうて、283(おもて)()ける(こと)出来(でき)ませぬワイ。284サア(みな)さま、285()のお正月(しやうぐわつ)()してあげるから、286(こころ)饑饉(ききん)(おこ)してはなりませぬぞや』
287得意気(とくいげ)に、
288『サア此処(ここ)金剛不壊(こんがうふゑ)如意宝珠(によいほつしゆ)御宝(おんたから)289(ひと)つは(むらさき)御玉(みたま)290身魂(みたま)(みが)けて()らぬと、291玉石混同(ぎよくせきこんどう)()つて、292石塊(いしくれ)()える(ひと)もありますよ。293千里(せんり)(うま)伯楽(はくらう)()ざれば駑馬(どば)(をは)るとやら、294(みな)さま、295シツカリ()()ゑ、296身魂(みたま)(ひか)らして御覧(ごらん)……(いや)拝観(はいくわん)なされ』
297(くち)(いち)()(むす)び、298横柄(わうへい)面付(つらつき)しながら、299二三回(にさんくわい)玉箱(たまばこ)頭上(づじやう)(ささ)げ、300(しづ)かに被覆(おほひ)(はづ)唐櫃(からうど)(ふた)()けるや(いな)や、301顔色(がんしよく)サツと蒼白色(さうはくしよく)(へん)じ、302(した)()き、303()(ふくらふ)(ごと)(まる)くし、304(かた)(ほそ)(たか)くこぢあげ、305(くび)半分(はんぶん)ばかり(かた)(うづ)め、306無言(むごん)(まま)()つて()る。
307言依別命(ことよりわけのみこと)高姫(たかひめ)さま、308立派(りつぱ)霊光(れいくわう)(かがや)(たま)ふでせうなア』
309 国依別(くによりわけ)はツカツカと(すす)()り、310玉箱(たまばこ)(なか)(のぞ)いて()て、
311『ヤアこりや(なん)だ。312(みな)さま、313(たま)(おも)ひの(ほか)314何時(いつ)()にか(いし)(かは)つて()りますよ。315これは(だれ)責任(せきにん)でせう。316(ひと)つよりない(くび)沢山(たくさん)(わた)さねばならぬ手品(てじな)()られようかも()れませぬ。317とは()ふものの大変(たいへん)(こと)出来(しゆつたい)(いた)しました』
318 一同(いちどう)はアフンとして(あき)(かへ)るばかりであつた。319紫姫(むらさきひめ)は、
320『モシ高姫(たかひめ)さま、321こりや(また)()うした(わけ)ですか』
322()うでもありませぬ。323()うして(いし)()えてもヤツパリ正真正銘(しやうしんしやうめい)如意宝珠(によいほつしゆ)324(まへ)さま(たち)一同(いちどう)身魂(みたま)(わる)いから、325宝珠(ほつしゆ)(さま)(いし)()けちやつたのだ。326(かみ)さまは(かがみ)同様(どうやう)だから、327(みな)さまの(こころ)石瓦(いしかはら)同然(どうぜん)だから、328(みな)さまの()(ごと)変化(へんげ)(あそ)ばすのだ。329それで如意宝珠(によいほつしゆ)(まを)します。330……コレコレ如意宝珠(によいほつしゆ)(さま)331さぞあなたは御無念(ごむねん)でせう。332せめて二三日(にさんにち)一週間(いつしうかん)333(みな)さま水行(すゐぎやう)をしてお()でなされ。334さうしたら本当(ほんたう)宝珠(ほつしゆ)御神体(ごしんたい)(をが)めますよ』
335 大勢(おほぜい)(なか)より、
336『オイ、337高姫(たかひめ)さま、338何程(なにほど)(みが)いても、339見直(みなほ)しても、340(いし)はヤツパリ(いし)ぢやないか。341(この)(なか)一人(ひとり)半分(はんぶん)342(たま)(みが)けた(もの)がないとはいへまい。343それに(たれ)(たま)ぢやと()(もの)がないぢやないか。344(まへ)さまはあんまり慢心(まんしん)(つよ)いから()られたのだよ。345さうでなくばウラナイ(けう)再設(さいせつ)する(つも)りで、346黒姫(くろひめ)申合(まをしあは)せ、347黒姫(くろひめ)黄金(わうごん)(たま)()つてフサの(みやこ)(さき)(かへ)らせ、348自分(じぶん)(のこ)りの(ふた)つの(たま)何々(なになに)して謀叛(むほん)(たく)むのだらう』
349 高姫(たかひめ)クワツとなり、
350(まこと)(ひと)つの大和魂(やまとだましひ)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(むか)つて、351(なん)()(こと)仰有(おつしや)る。352サア此処(ここ)()()なさい。353黒白(こくびやく)()けてあげるから』
354 大勢(おほぜい)一度(いちど)に、
355『ウラナイ(けう)356ウラナイ(けう)再設(さいせつ)357……(あく)(みち)逆転(ぎやくてん)旅行(りよかう)張本人(ちやうほんにん)……』
358口々(くちぐち)呶鳴(どな)()てる。359高姫(たかひめ)烈火(れつくわ)(やう)になつて、
360『エー残念(ざんねん)々々(ざんねん)361(この)(はら)()つて()せてやりたいやうだ』
362壇上(だんじやう)地団駄(ぢだんだ)()む。
363言依別命(ことよりわけのみこと)高姫(たかひめ)さま、364何事(なにごと)神界(しんかい)御都合(ごつがふ)でせう。365()御安心(ごあんしん)なさいませ。366御一同(ごいちどう)さま、367()れには(なに)神界(しんかい)御都合(ごつがふ)のある(こと)(わたし)(かた)(しん)じます。368どうぞ(しづ)まつて(くだ)さい。369責任(せきにん)(わたし)()ひますから……』
370(しとや)かに(なだ)める。371一同(いちどう)教主(けうしゆ)挨拶(あいさつ)是非(ぜひ)なく、372ブツブツ(つぶや)(なが)(にしき)(みや)拝礼(はいれい)し、373(おのおの)家路(いへぢ)(かへ)つて()く。
374 高姫(たかひめ)(つら)(ふく)らし、375(いし)玉箱(たまばこ)小脇(こわき)(かか)へ、376夜叉(やしや)(ごと)相好(さうがう)寒風(かんぷう)(さら)(なが)ら、377(おの)居宅(きよたく)一散走(いちさんばし)りに(かへ)()く。378(かたはら)(えのき)(えだ)(からす)二三羽(にさんば)379寒風(かんぷう)(ゆら)(なが)ら、380(えだ)(さき)にタワタワと(なみ)()ち、381空中(くうちう)(うき)(しづ)みつ『阿呆(あはう)々々(あはう)』と()()てて()る。
382大正一一・五・二五 旧四・二九 松村真澄録)