霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一二章 銀公着瀑(ぎんこうちやくばく)〔七〇四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第22巻 如意宝珠 酉の巻 篇:第3篇 黄金化神 よみ:おうごんけしん
章:第12章 第22巻 よみ:ぎんこうちゃくばく 通し章番号:704
口述日:1922(大正11)年05月26日(旧04月30日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
鷹鳥山中腹には、高姫、若彦、玉能姫の三人が籠もっていた。三人は谷川に降り立って禊を修していると、中空から二十四五の男が落ちてきて滝壷に落ち込んだ。
若彦は男を救いあげた。天の数歌を唱えて魂呼びをすると、男は息を吹き返した。男は三五教に助けられたことを知ると、銀とだけ名乗った。玉能姫に素性を尋ねられて、銀助は自分は無住所如来だ、と出任せを言う。
しかし玉能姫は、以前にバラモン教徒に襲われそうになったことがあり、銀助の顔を覚えていた。若彦も銀助の顔を認め、三五教の言霊で清めてやろう、という。
三五教の言霊に恐れをなした銀助は、金助が黄金仏像になった一件を明かした。若彦が外に出て山頂を見ると、確かに光が煌煌と輝いている。若彦は驚いて鷹鳥姫を呼んだ。
若彦を留守に残して、鷹鳥姫と玉能姫は山頂に向かった。金の仏像は二人を見ると、鷹鳥姫を掴んで、自分のところに来るにはまだ早い、と言って山の中腹に投げ返した。
仏像は玉能姫は東に行け、と言って東の方向に投げてしまった。すると仏像はたちまち爆音とともに消えてしまった。後には肉体に戻った金助が、山を降って鷹鳥姫の庵を尋ね、銀公と共に三五教に帰順した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm2212
愛善世界社版:153頁 八幡書店版:第4輯 436頁 修補版: 校定版:157頁 普及版:71頁 初版: ページ備考:
001 鷹鳥山(たかとりやま)中腹(ちうふく)(いは)()(いほり)(むす)び、002三五教(あななひけう)(をしへ)御柱(みはしら)(きづ)かむと立籠(たてこも)りたる鷹鳥姫(たかとりひめ)003若彦(わかひこ)004玉能姫(たまのひめ)三人(みたり)は、005(なに)(こころ)()する(ところ)あるものの(ごと)く、006谷川(たにがは)()()ち、007禊身(みそぎ)(しう)して()(とき)しも、008中空(ちうくう)(かす)めて(はと)(ごと)(くだ)(きた)れる一人(ひとり)(をとこ)009滝壺(たきつぼ)にザンブとばかり()()んだ。010三人(さんにん)(にはか)出来事(できごと)(おどろ)いて()(みは)り、011滝壺(たきつぼ)熟視(じゆくし)すれば、012水面(すゐめん)(うね)りに()られて()(あが)(きた)(をとこ)姿(すがた)
013『こは大変(たいへん)
014若彦(わかひこ)()(をど)らし滝壺(たきつぼ)()()り、015小脇(こわき)引抱(ひつかか)(やうや)くにして(すく)()げた。016これは二十四五歳(にじふしごさい)元気(げんき)(ざか)りの(をとこ)姿(すがた)017種々(いろいろ)(みみ)(ちか)くに(くち)()せ、
018『オーイ オーイ』
019魂呼(たまよ)びの神術(かむわざ)をなし、020(あま)数歌(かずうた)力限(ちからかぎ)りに(とな)ふれば、021(やうや)くにして(いき)()(かへ)し、022四辺(あたり)をキヨロキヨロ見廻(みまは)しながら、023三人(さんにん)()て、
024此処(ここ)何処(いづこ)御座(ござ)います。025(わたくし)何時(いつ)()此様(こん)(ところ)()たのでせうか、026見知(みし)らぬお(かた)ばかり………貴方(あなた)(さま)(なん)()ふお(かた)御座(ござ)います』
027若彦(わかひこ)此処(ここ)鷹鳥山(たかとりやま)中腹(ちうふく)028三五教(あななひけう)(をしへ)射場(いば)教場(けうぢやう))、029鷹鳥姫(たかとりひめ)御住家(おんすみか)だ』
030何卒(どうぞ)(こら)へて(くだ)さいませ。031生命(いのち)ばかりはお(たす)けを(ねが)ひます』
032生命(いのち)(たす)けてやつたお(まへ)さまを、033(たれ)(また)生命(いのち)をとるものか。034ちと()()()けなさい。035(まへ)さまは(なん)()()だ』
036『ハイ、037(わたくし)()(たし)か……(ぎん)()つた(やう)(おぼ)えて()ます』
038『アハヽヽヽ自分(じぶん)()を、039(ぎん)といつた(やう)(おぼ)えて()るとは、040ちつと可笑(をか)しいぢやないか。041(いま)()()れば(てん)から()つて()(やう)だが、042一体(いつたい)何処(どこ)(くに)から()たのだ』
043『ハイ、044一寸(ちよつと)()つて(くだ)さい。045さう短兵急(たんぺいきふ)にお(たづ)ねになつても、046(たましひ)何処(どこ)宿替(やどがへ)したと()えて、047はつきりとお(こた)へが出来(でき)ませぬ』
048『ア、049さうだらう、050無理(むり)もない。051大空(おほぞら)から()つて()たのだもの。052まアゆつくり着物(きもの)着替(きか)へさして()げるから、053此処(ここ)(やす)んで()落着(おちつ)け、054(その)(うへ)物語(ものがたり)をしたが()からう。055鷹鳥姫(たかとりひめ)さま、056どうも(めう)(こと)があるものですなア』
057鷹鳥姫(たかとりひめ)(いづ)()出神(でのかみ)(さま)御子(おこ)さまが沢山(たくさん)あると()(こと)だから、058妾等(わたしら)(まこと)(あはれ)(たま)うて(てん)から応援(おうゑん)()(くだ)さつたのかも()れませぬぜ。059()(かく)大切(たいせつ)(あつか)はねばなりますまい。060さアさア玉能姫(たまのひめ)さま、061貴方(あなた)衣服(きもの)着替(きか)へさして()げなさい』
062 玉能姫(たまのひめ)は、
063『アイ』
064(こた)へて若彦(わかひこ)着替(きがへ)()()し、065(をとこ)着替(きか)へさせ、066()()きながら一室(ひとま)()()(しづ)かに()させ、067(をとこ)()れた(きぬ)(しぼ)()(えだ)()けて(かわ)かさうとして()る。
068若彦(わかひこ)『コレ、069玉能姫(たまのひめ)070(その)着物(きもの)(うら)(なに)(しるし)はついて()ないか。071よく調(しら)べてお()れ』
072()ひすて(ふたた)鷹鳥姫(たかとりひめ)(とも)以前(いぜん)滝壺(たきつぼ)(かたはら)(いた)り、073天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)(しき)りに水垢離(みづごり)にかかり(はじ)めた。
074 玉能姫(たまのひめ)(きぬ)()しながら詳細(しやうさい)(なに)(しるし)()きやと(さが)(うち)075(ぎん)」と()(しるし)()()いた。
076『ハア……最前(さいぜん)(ぎん)()(やう)(おも)ひますがと()(かた)()つたのは、077矢張(やつぱ)(うつつ)でもなかつたらしい。078それにしても天上(てんじやう)から()(ふち)天降(あまくだ)つて()るのは(なに)理由(わけ)がなくてはなるまい。079(ひと)つお()(しづ)まつた(をり)(かんが)へて(くは)しく(たづ)ねて()よう』
080独語(ひとりご)ちつつ(をとこ)横臥(わうぐわ)せる枕許(まくらもと)(すす)()()れば、081以前(いぜん)(をとこ)床上(しやうじやう)起上(おきあが)り、082不思議(ふしぎ)さうに四辺(あたり)をキヨロキヨロ見廻(みまは)して()る。
083『モシモシ貴方(あなた)084気分(きぶん)如何(どう)です』
085『ハイ、086大変(たいへん)気分(きぶん)()くなりました。087(しか)此処(ここ)(なん)()(ところ)御座(ござ)いますか』
088此処(ここ)鷹鳥山(たかとりやま)三五教(あななひけう)射場(いば)です。089貴方(あなた)(てん)から真逆様(まつさかさま)滝壺(たきつぼ)()つて御座(ござ)つたが、090一体(いつたい)何処(どこ)から御出(おい)でになつたのです』
091銀公(ぎんこう)三五教(あななひけう)射場(いば)()いて(こころ)打驚(うちおどろ)き、
092『ヤア、093大変(たいへん)だ。094()らず()らずに黄金像(わうごんざう)()()ばされて、095(てき)(なか)()()(てき)(すく)はれたのか。096こりや迂濶(うつかり)バラモン(けう)だなどと()はうものなら大変(たいへん)だ。097(なん)とかよい(かんが)へはあるまいか』
098(うで)()んで思案(しあん)()れて()る。
099何卒(どうぞ)仰有(おつしや)つて(くだ)さいませ。100(いま)貴方(あなた)のお召物(めしもの)(しぼ)つて()します(とき)に、101(ぎん)()(しるし)()いて()ました』
102()いて銀公(ぎんこう)一層(いつそう)(こころ)打驚(うちおどろ)きしが、103さあらぬ(てい)にて、
104(わたくし)無住所如来(むぢうしよによらい)()つて、105(てん)にも()み、106()にも()み、107(とき)としては地中(ちちう)にも()(もの)御座(ござ)います。108(ぎん)()(しるし)のついたのは銀河(ぎんが)(わた)(とき)109棚機姫(たなばたひめ)(さま)(あま)着物(きもの)(ふる)くなつたので()へて(もら)つたのです。110此処(ここ)矢張(やつぱ)地上(ちじやう)ですか。111天上(てんじやう)(くに)から()れば、112(はなし)にならない(むさくる)しい(ところ)ですな』
113天上(てんじやう)(くに)はそれ(ほど)綺麗(きれい)ですか』
114『ヘエヘエ、115それはそれは比較(ひかく)になりませぬ』
116貴方(あなた)(なに)か、117(てん)からお(くだ)りになつたと()ふお(しるし)()つて()られますか』
118『ハイ()つて()ましたが、119中空(ちうくう)(おい)悪魔(あくま)(むれ)出会(でつくわ)()られて(しま)ひ、120その()めに通力(つうりき)(うしな)つて不覚(ふかく)をとり、121此処(ここ)顛落(てんらく)したのです。122(しか)無住所如来(むぢうしよによらい)(わたくし)123()(すなは)(いう)124(いう)(すなは)()125何処(どこ)彼処(かしこ)吾々(われわれ)自由自在(じいうじざい)遊楽地(いうらくち)ではありますが、126(あま)地上(ちじやう)(けが)れて()るので()むべき(ところ)がなく、127本当(ほんたう)の……(いま)無住所如来(むぢうしよによらい)になりました。128アハヽヽヽ』
129空惚(そらとぼ)ける。130玉能姫(たまのひめ)怪訝(けげん)(かほ)してマジマジと銀公(ぎんこう)(かほ)凝視(みつ)め、
131『ヤア、132(まへ)は………』
133頓狂(とんきやう)(こゑ)()(たふ)れむばかりに(おどろ)いた。134(をとこ)(この)(こゑ)に、
135発見(はつけん)されたか、136一大事(いちだいじ)
137一生懸命(いつしやうけんめい)()()さうとする。138玉能姫(たまのひめ)はグツと襟首(えりくび)(うしろ)より(つか)んで(その)()()()ゑ、
139(なんぢ)はバラモン(けう)のカナンボールが部下(てした)(もの)140銀公(ぎんこう)()悪者(わるもの)だらう。141いつやら(わたし)清泉(きよいづみ)霊水(れいすゐ)()みに()つた(とき)142四五(しご)同類(どうるゐ)(とも)(わたし)(むか)つて無理難題(むりなんだい)()きかけ、143手籠(てごめ)(いた)さうとした(やつ)であらうがな』
144『ソヽヽヽヽ、145そんな(こと)があつたか(ぞん)じませぬが、146(あま)事件(じけん)(おほ)いので、147ねつから記憶(きおく)(うか)びませぬワ』
148事件(じけん)(おほ)いとは悪事(あくじ)数々(かずかず)(かさ)ねたと()(こと)だらう。149サア、150もう()うなる(うへ)(この)(まま)では(かへ)さぬ。151(あく)までも言霊(ことたま)(もつ)責悩(せめなや)めて()げねばなりませぬ。152マア()落着(おちつ)けてお(すわ)(くだ)さい』
153 銀公(ぎんこう)(くち)(なか)で、
154此奴(こいつ)一人(ひとり)なら……どうなつとして()げてやるのだが、155まだ(ほか)大将(たいしやう)二人(ふたり)156信者(しんじや)(やつ)沢山(たくさん)にウロウロと出入(ではい)りをして()るから、157()げる(こと)出来(でき)ず、158ハテ、159(こま)つた(こと)だなア』
160(しま)ひの一句(いつく)(おも)はず(たか)(さけ)んだ。161玉能姫(たまのひめ)(これ)()き、
162(こま)つた(こと)だとは、163そりや(なに)をおつしやる。164善言美詞(ぜんげんびし)言霊(ことたま)手向(たむ)けてやらうと()ふのだよ』
165『そんなら()()すのだけは(こら)へて(くだ)さいませ。166言霊(ことたま)には(まこと)(こま)ります』
167『バラモン(けう)言霊(ことたま)()へば、168如何(どん)なものだなア』
169『ハイ、170バラモン(けう)言霊(ことたま)は、171(たと)へば此処(ここ)一人(いちにん)(みち)(やぶ)つた(もの)(あら)はれたとすれば、172其処(そこ)()全部(ぜんぶ)(ひと)が、173五十人(ごじふにん)あらうが千人(せんにん)あらうが、174一人(ひとり)々々(ひとり)(ことごと)手頃(てごろ)(いし)(もつ)(あたま)小突(こづ)いて()()します。175それを贖罪(とくざい)(しるし)とするのです。176此処(ここ)にも余程(よほど)沢山(たくさん)のお(ひと)()られますが、177(ひと)(づつ)やられても大変(たいへん)だから、178(これ)だけは特別(とくべつ)(もつ)御免除(ごめんぢよ)(ねが)ひます』
179『ホヽヽヽ、180三五教(あななひけう)言霊(ことたま)善言美詞(ぜんげんびし)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)して、181神界(しんかい)へお(わび)する(こと)です』
182『お(かげ)(わたくし)(あたま)(たす)かりました』
183とやつと安心(あんしん)(てい)にて(ひたひ)()でて()()る。
184 鷹鳥姫(たかとりひめ)185若彦(わかひこ)二人(ふたり)禊身(みそぎ)(をは)り、186数多(あまた)信徒(しんと)(とも)悠々(いういう)として(この)()()(きた)り、
187鷹鳥姫(たかとりひめ)『アヽお(まへ)さま、188気分(きぶん)如何(どう)だなア』
189銀公(ぎんこう)『ハイ、190(おも)ひも()らぬ御厄介(ごやくかい)をかけまして、191(その)(うへ)着物(きもの)まで拝借(はいしやく)(いた)しまして、192(また)言霊(ことたま)までお(ゆる)(くだ)さいまして、193こんな有難(ありがた)(こと)御座(ござ)いませぬ』
194若彦(わかひこ)三五教(あななひけう)言霊(ことたま)はバラモン(けう)とは()つと(ちが)ふのだよ。195さう御遠慮(ごゑんりよ)には(およ)びませぬ』
196『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います。197(しか)三五教(あななひけう)言霊(ことたま)()きますと、198矢張(やつぱ)(いし)小突(こづ)かれた(やう)(あたま)(いた)くなり、199(むね)(くる)しくなりますから………御厄介(ごやくかい)になつた(うへ)御厄介(ごやくかい)になるのも()みませぬから、200(これ)ばかりは御辞退(ごじたい)(まを)します』
201 若彦(わかひこ)一寸(ちよつと)()て、
202『ヤア、203(まへ)はバラモン(けう)銀公(ぎんこう)ぢやないか。204随分(ずゐぶん)玉能姫(たまのひめ)(くる)しめた(もの)だねえ。205玉能姫(たまのひめ)(くる)しめて()れたお(れい)に、206善言美詞(ぜんげんびし)言霊(ことたま)御礼(おれい)(まを)()げようか』
207『さう現銀(げんぎん)仰有(おつしや)らないでも()いぢやありませぬか。208(きん)(きん)金公(きんこう)がそれはそれは(えら)(こと)ですぜ』
209鷹鳥姫(たかとりひめ)『あの金公(きんこう)が、210(なん)(また)(わる)(こと)(たく)らんで()ると()ふのかい』
211『いいえ、212(わる)(こと)(たく)らむ(やう)(やつ)なら、213ちつとは()()いて()るのだが、214薩張(さつぱ)(この)(ごろ)呆気(はうけ)仕舞(しま)つてカンカンになりました。215(しまひ)には(わたくし)中天(ちうてん)()()げて()んな()()はしたのですよ』
216『これ若彦(わかひこ)さま、217(この)(をとこ)(めう)(こと)()ひますな』
218『そりや、219あんな(めう)(こと)があるのだもの』
220若彦(わかひこ)『どんな(こと)があるのだ。221さつさと()つて()なさい』
222(きん)(やつ)223(にはか)黄金仏(わうごんぶつ)になつて仕舞(しま)ひ、224(わけ)(わか)らぬお(きやう)百万陀羅囀(ひやくまんだらさへづ)るのです。225あいつの身体(からだ)から(ひかり)(あら)はれて、226(そら)(くも)まで(いろ)(かは)つて()ませうがな。227一寸(ちよつと)(そと)()て、228(そら)()御覧(ごらん)
229 若彦(わかひこ)(めう)(こと)()(やつ)だと(つぶや)きながら戸外(こぐわい)()()(なが)むれば、230鷹鳥山(たかとりやま)山頂(さんちやう)(ひかり)煌々(くわうくわう)として(かがや)き、231(そら)(いろ)まで金色(きんいろ)(てら)して()る。232若彦(わかひこ)(あわただ)しく()(きた)り、
233鷹鳥姫(たかとりひめ)さま、234大変(たいへん)です。235金色燦然(きんしよくさんぜん)として四辺(あたり)(まば)ゆきまで()(かがや)く、236異様(いやう)神人(しんじん)(あら)はれたと()えます。237(しか)鷹鳥山(たかとりやま)山頂(さんちやう)に………こりや屹度(きつと)三五教(あななひけう)()めには大吉瑞(だいきちずゐ)でせう。238オイ銀公(ぎんこう)さま、239(まへ)さまも()かないか』
240銀公(ぎんこう)(また)空中滑走(くうちうくわつそう)をやらねばなりませぬから、241近寄(ちかよ)つてはいけませぬ。242(しか)貴方等(あなたがた)はお()でなさいませ。243そして(かた)背中(せなか)()でておやりなさいませ。244金像(きんざう)がプリツと(かた)(うご)かしたが最後(さいご)245中天(ちうてん)(そら)まで……飛行機(ひかうき)ぢやないが……(のぼ)りつめ、246(また)滝壺(たきつぼ)真逆様(まつさかさま)()()むと()芸当(げいたう)(えん)ぜられます。247(わたくし)はもう()りこりしました。248金像(きんざう)(きん)()()いても(きも)(つぶ)れます』
249若彦(わかひこ)『お(まへ)金銀(きんぎん)()むが()めに今迄(いままで)利己主義(われよし)行動(かうどう)(つづ)けて()(をとこ)だから、250閻魔(えんま)さまでも(たちま)地蔵顔(ぢざうがほ)になると()(きん)(かほ)()るのは(あま)(わる)くはあるまい。251サアサア()かう、252(まへ)のやうな(もの)留守(るす)させて()けば、253如何(どん)(こと)するか(わか)つたものぢやない。254留守(るす)()赤鼬(あかいたち)でも()はされたら大変(たいへん)ですよ』
255滅相(めつさう)な、256生命(いのち)(たす)けて(もら)つた恩人(おんじん)(やかた)に、257赤鼬(あかいたち)()はして()みますか。258いたち神妙(しんめう)にお留守(るす)いたちます。259何卒(どうぞ)(はや)貴方等(あなたがた)260探険(たんけん)にお()でなさいませ』
261鷹鳥姫(たかとりひめ)如何(どう)しても銀公(ぎんこう)さまが(うご)かぬと()ふのだから、262若彦(わかひこ)さま、263(まへ)さまは此処(ここ)銀公(ぎんこう)さまの監督(かんとく)がてら留守(るす)して()(くだ)さい。264玉能姫(たまのひめ)さまと二人(ふたり)265探険(たんけん)()つて(まゐ)ります』
266欣々(いそいそ)として山頂(さんちやう)(ひかり)目標(めあて)(のぼ)()く。267鷹鳥姫(たかとりひめ)268玉能姫(たまのひめ)二人(ふたり)鷹鳥山(たかとりやま)(ひかり)目標(めあて)(のぼ)()れば、269銀公(ぎんこう)()うた金像(きんざう)()(たか)五丈(ごぢやう)六尺(ろくしやく)七寸(ななすん)もあらうかと(おも)はるる(ばか)りに伸長(しんちやう)して突立(つつた)ち、270二人(ふたり)姿(すがた)()るより、271鷹鳥姫(たかとりひめ)左手(ゆんで)引掴(ひつつか)み、
272『オイ、273まだ(おれ)(ところ)()るのは(はや)い、274もとへ(かへ)れ』
275(ねこ)首筋(くびすぢ)(つか)んだ(やう)鷹鳥山(たかとりやま)中腹(ちうふく)目蒐(めが)けてポイと(はふ)つた。276(みぎ)()玉能姫(たまのひめ)(おな)じく(ひつさ)げノソリノソリと五歩六歩(いつあしむあし)(ひがし)(むか)つて(あゆ)()し、
277『お(まへ)彼辺(あちら)()け』
278(また)ポイと()げた。279(たちま)金像(きんざう)(けむり)となつて、280巨大(きよだい)爆音(ばくおん)(とも)()えて(しま)つた。281(あと)金助(きんすけ)肉体(にくたい)は、
282『アヽア、283(えら)(かみ)さまになつたと(おも)へば、284矢張(やつぱ)(もと)金助(きんすけ)か。285こりや、286マア、287如何(どう)した(わけ)だらう。288(なに)()もあれ、289もう()うなる以上(いじやう)三五教(あななひけう)信者(しんじや)だから、290鷹鳥姫(たかとりひめ)さまの(いほり)(たづ)ねて帰順(きじゆん)()(へう)し、291使(つか)つて(もら)はうか』
292独語(どくご)しつつ山頂(さんちやう)(くだ)()く。
293 (ここ)金助(きんすけ)鷹鳥姫(たかとりひめ)(いほり)(きた)り、294銀公(ぎんこう)(とも)改心(かいしん)()(へう)し、295若彦(わかひこ)股肱(ここう)となつて神業(しんげふ)参加(さんか)する(こと)となつた。296あゝ(この)金助(きんすけ)(つつ)()たる黄金(わうごん)立像(りつざう)何神(なにがみ)化身(けしん)であらうか。
297大正一一・五・二六 旧四・三〇 北村隆光録)