霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 神異(しんい)〔七一八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第23巻 如意宝珠 戌の巻 篇:第2篇 恩愛の涙 よみ:おんあいのなみだ
章:第6章 第23巻 よみ:しんい 通し章番号:718
口述日:1922(大正11)年06月11日(旧05月16日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年4月19日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
駒彦と秋彦は、常楠の家に三日間逗留していた。三日目の朝に、村人が、宣伝使が泊まっていないかと訪ねて来た。
聞くと、二人の宣伝使が竜神の柿を食ったため、竜神から酋長に二人を捕らえて人見御供にするように、との命令が下ったとのことだった。
竜神に不調法があると村を荒らされるとのことで、常楠は自分が身代わりとなろう、と言う。それを聞いた駒彦は、柿を取ったくらいで村を荒らすのはてっきり邪神だろうから自分たちが退治しようと言い、秋彦も賛成する。
常楠は、竜神は八岐大蛇の一の子分だというからとうてい敵わないだろう、と嘆き悲しむ。駒彦と秋彦は、酋長の捕り手が来るのを待っていた。
酋長の木山彦が捕り手を連れて現れた。木山彦は竜神の二人の運命に遺憾の意を表する。駒彦と秋彦は酋長の心中を察して、進んで人身御供を申し出た。
常楠は木山彦に、駒彦は長い間探し求めていた自分の息子であることを明かした。木山彦はそれを聞いて同情の意を表し、そして自分にも鹿という子があったが幼い頃に神隠しに遭ってそれ以来行方不明なのだ、とふと漏らした。秋彦はそれを聞いてはっと思い当たる。
駒彦と秋彦は用意された白装束に着替えると唐びつに自ら入り、竜神の宮に運ばれていった。常楠夫婦は嘆き悲しみつつそれを見送り、自分の家に帰ると、押入れの中から駒彦と秋彦が現れた。
驚いている常楠夫婦に、駒彦は、大神様への祈願を凝らしたところ、白狐明神が現れ、身代わりとなって邪神退治に行ってくれたのだ、と明かした。四人はここを立ち去って隠れることとし、常楠は家に火をかけた。一行は日高川沿いに向かっていった。
一方、二人を竜神の人身御供に供した木山彦は、家に帰ると妻の木山姫に今日のことを話し出した。木山彦も、逃げた村人の償いとして二人の娘を竜神の人身御供に取られ、男子は幼い頃に神隠しに遭っていた。
木山彦は、竜神の人身御供に差し出した秋彦が、自分の息子の鹿であることを見抜いており、そのことを木山姫に明かした。そして夫婦は自分たちの運命に泣き崩れていた。
そこへ小頭の助公が急ぎ走ってきて、二人の宣伝使が竜神を打ち負かして谷川へ投げ込んで退治したことを報告した。宣伝使の二人は、助公にこのことを酋長に報告し、今後は人身御供の必要がないことを告げるように、と言い残してたちまちどこかへ姿を隠してしまったという。
酋長はこれを聞いて喜んだ。助公は、宣伝使が落としたものとして古い守り袋を差し出した。それを改めた木山姫は、確かに自分たちの息子の鹿のものだと認めた。木山彦は木山姫と共に、熊野にお礼参り出発した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm2306
愛善世界社版:95頁 八幡書店版:第4輯 528頁 修補版: 校定版:98頁 普及版:43頁 初版: ページ備考:
001(むね)(おも)ひも秋彦(あきひこ)
002(こころ)(いさ)駒彦(こまひこ)
003親子(おやこ)不思議(ふしぎ)対面(たいめん)
004(たがひ)(こころ)()()ひつ
005一夜々々(ひとよひとよ)()(おく)る。
006 ここへ()てから三日目(みつかめ)(あさ)007一人(ひとり)(をとこ)008(もん)()をガラリと()け、009ノソノソと()(きた)り、
010(をとこ)常楠(つねくす)(ぢい)さま、011(まへ)(うち)旅人(たびびと)(とま)つては()りませぬかな』
012常楠(つねくす)『アヽ(たれ)かと(おも)へば助公(すけこう)か、013何用(なによう)あつて(あさ)(はや)うからお()でになつたのだ』
014(すけ)(べつ)(よう)()つてはないのだが、015よくお(まへ)(うち)旅人(たびびと)(とま)るから、016(こと)()つたらお(たづ)ねしたい(こと)があり、017御願(おねがひ)もしたいと(おも)つて(たづ)ねに()たのだよ。018二三日前(にさんにちまへ)から二人(ふたり)のお(きやく)()()(はず)だが……』
019常楠(つねくす)『お(まへ)()(とほ)宣伝使(せんでんし)二人(ふたり)(とま)つて御座(ござ)るのぢや、020どんな(よう)があるのだい』
021(すけ)『アヽ一寸(ちよつと)した(こと)が………、022一先(ひとま)(うち)(かへ)つて、023着物(きもの)でも着替(きがへ)て、024(あらた)めて()(こと)にせう。025こんな(ふう)では失礼(しつれい)だからな』
026()ふより(はや)(きびす)(かへ)()()らうとする。027常楠(つねくす)無理(むり)()()め、
028常楠(つねくす)『アヽコレコレ、029(まへ)(うち)(かへ)らうと()つても随分(ずゐぶん)(とほ)道程(みちのり)だ。030そんなむつかしい(かた)だないから、031御尋(おたづ)ねする(こと)があれば、032(その)(まま)(たづ)ねて(かへ)つたがよからう』
033(すけ)(べつ)(たの)(こと)はないが、034(ひと)訊問(じんもん)すべき(わけ)があるのだ。035(この)(あひだ)(ばん)にここへ(とま)つて()二人(ふたり)(をとこ)が、036竜神(りうじん)(みや)(かき)(ぬす)んで()つたと()(こと)だ。037酋長(しうちやう)さまのお(みみ)神様(かみさま)からチヤンと御知(おし)らせがあつて調査(しらべ)()たのだから、038()イさま、039(その)二人(ふたり)取逃(とりにが)さぬ(やう)にして()きなさい。040万々一(まんまんいち)取逃(とりにが)しでもしようものなら、041二人(ふたり)(かは)りにお前達(まへたち)夫婦(ふうふ)生命(いのち)()られねばなろまい。042つい(その)付近(てまへ)(まで)酋長(しうちやう)さまが数多(あまた)手下(てした)()きつれ召捕(めしとり)()えて()るのだ。043つまり(わし)()たのは、044(じつ)(とこ)()へば偵察(ていさつ)()たのだよ。045モウつい此処(ここ)()えるだらうから………(わし)(かへ)つて酋長(しうちやう)に……不在(るす)ではなかつた……とか、046不在(るす)だつたとか()(つも)りだから、047そこはお(まへ)(こころ)何々(なになに)したがよからう。048(あま)可哀相(かはいさう)だからなア。049グヅグヅして()るとモウつい()えるかも()れぬ。050………アヽ此処(ここ)裏口(うらぐち)があり、051()(しげ)みもあり、052風景(ふうけい)()(ところ)だなア』
053(いま)(うち)()げよと()はぬ(ばか)りの口吻(こうふん)()らし、054スタスタと(かへ)つて()く。
055 常楠(つねくす)(おどろ)いて(おく)()り、
056常楠(つねくす)『お(ひさ)(うま)057一寸(ちよつと)ここへ()()れ、058大変(たいへん)(こと)(おこ)つて()た。059秋彦(あきひこ)さまに(うま)竜神(りうじん)宮様(みやさま)(かき)をむしつて()やせぬかな』
060駒彦(こまひこ)(みや)(まへ)神様(かみさま)(をが)んで()ると、061美味(うま)さうな(かき)(かぜ)()られて、062(かほ)ふち(さは)つて()たものだから、063二人(ふたり)()つて()ひました。064随分(ずゐぶん)(あぢ)()(かき)でしたよ。065なア秋彦(あきひこ)066美味(うま)かつたなア』
067(ひさ)『それは(また)(なん)とした不調法(ぶてうはふ)をして()れたのだ。068そんな(こと)をしようものなら(この)(むら)()れて()れて難儀(なんぎ)をせなくてはならぬ。069それで酋長(しうちやう)さまが(きび)しく御禁制(ごはつと)になつて()るのぢや、070何時(いつ)でもあの(かき)()つた(もの)があると(すぐ)に、071酋長(しうちやう)(みみ)(はた)竜神(りうじん)さまが()げに()かつしやるので、072(みんな)()れが(こは)さに(かき)をとつた人間(にんげん)早速(さつそく)人身御供(ひとみごく)()げる(こと)になつて()るのだが………アーア折角(せつかく)親子(おやこ)対面(たいめん)して(うれ)しいと(おも)へば、073(また)憂目(うきめ)()るのか、074(かる)には四五日前(しごにちぜん)(わか)れ、075(また)(あに)(うま)死別(しにわか)れるとは、076(なん)とした因果(いんぐわ)吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)であらう』
077()()しける。
078常楠(つねくす)『この()(およ)んで、079()いても(くや)んでも、080最早(もはや)(あと)へは(もど)らない。081何事(なにごと)前生(ぜんしやう)因縁(いんねん)ぢやと(あきら)めて、082吾々(われわれ)老夫婦(らうふうふ)身代(みがは)りになつて()かう。083サア(はや)く、084(うま)秋彦(あきひこ)宣伝使(せんでんし)(さま)085あたなたは()行先(ゆくさき)(なが)い、086()れから()(なか)(ため)(つく)さねばならぬから、087どうぞ裏口(うらぐち)から一時(いつとき)(はや)逃出(にげだ)して(くだ)され。088二人(ふたり)()がした(つみ)老人(としより)夫婦(ふうふ)引受(ひきう)けるから………アーア折角(せつかく)(ひさ)()りで(せがれ)()うたと(おも)へば、089モウ(わか)れねばならぬか』
090流石(さすが)気丈(きぢやう)常楠(つねくす)男泣(をとこな)きに()()てる。
091駒彦(こまひこ)御両親様(ごりやうしんさま)092御心配(ごしんぱい)には(およ)びませぬ。093(かき)(いつ)つや(とを)()つたと()つて、094村中(むらぢう)()れると()(やう)(わか)らずやの(かみ)なれば、095てつき邪神(じやしん)でせう。096善悪(ぜんあく)立替(たてかへ)をなさる……我々(われわれ)神々(かみがみ)背中(せなか)()うて(ある)いて()宣伝使(せんでんし)だから、097(ひと)(その)竜神(りうじん)往生(わうじやう)さして、098(この)(むら)(がい)(のぞ)(こと)にしませう。099(けつ)して(けつ)して御心配(ごしんぱい)(くだ)さいますな』
100秋彦(あきひこ)吾々(われわれ)はよい研究(けんきう)材料(ざいれう)()たのだ。101ヤア面白(おもしろ)うなつて()た。102日高川(ひだかがは)川止(かはど)めになつたのも(まつた)神様(かみさま)御摂理(ごせつり)であつたらしい。103(その)(かげ)竜神(りうじん)言向(ことむ)(やは)し、104(この)附近(ふきん)土地(とち)安楽(あんらく)にしてやる(やう)にするのは、105吾々(われわれ)宣伝使(せんでんし)(この)んで()さねばならぬ神業(しんげふ)だ。106サア駒彦(こまひこ)さん、107()きませうか』
108常楠(つねくす)『コレコレ両人(りやうにん)109前達(まへたち)(とし)(わか)いから、110そんな無茶(むちや)(こと)()ふが、111(むかし)から八岐(やまた)大蛇(をろち)(いち)眷属(けんぞく)ぢやと()うて、112大変(たいへん)(つよ)竜神(りうじん)さまが、113あの(たき)には(しづ)まつて御座(ござ)るのだから、114(かなら)(かなら)ずそんな(とこ)()つてはなりませぬ。115サア(はや)(この)裏口(うらぐち)から()げて(かへ)つて(くだ)され。116あとは老人(としより)夫婦(ふうふ)身代(みがは)りになるから………アーア()れが(わが)()見納(みをさ)めか』
117(また)()(しづ)む。118(ひさ)()()らし(なみだ)()れて(かほ)さへえあげず、119(たたみ)()()いて、120(かた)(いき)をして()る。
121秋彦(あきひこ)吾々(われわれ)二人(ふたり)老人(としより)夫婦(ふうふ)見棄(みす)てて立去(たちさ)(わけ)にはどうしてもゆかない。122どうだ一層(いつそう)(こと)123一人(ひとり)づつ(せな)()ぶつて、124(この)山伝(やまづた)ひに安全地帯(あんぜんちたい)まで()げる(こと)にしようか。125なア駒彦(こまひこ)126それより上分別(じやうふんべつ)はあるまい』
127駒彦(こまひこ)吾々(われわれ)(てき)()退去(たいきよ)するのは、128(なん)ともなしに(こころ)()まぬ。129()()(とき)にこそ言霊(ことたま)威力(ゐりよく)(もつ)如何(いか)なる強敵(きやうてき)言向(ことむ)(やは)すのが吾々(われわれ)職責(しよくせき)ではないか』
130秋彦(あきひこ)『あゝそれもさうだ。131そんなら捕手(とりて)()るまで此処(ここ)()つことにしよう』
132 ()(はな)(をり)しも(かど)(そと)(にはか)(さわ)がしく、133数多(あまた)(ひと)足音(あしおと)刻々(こくこく)近寄(ちかよ)(きた)る。134酋長(しうちやう)木山彦(きやまひこ)十数人(じふすうにん)従者(ともびと)(ともな)(もの)をも()はず表戸(おもてど)引開(ひきあ)け、135ドヤドヤと入来(いりきた)り、
136木山彦(きやまひこ)『ヤア常楠(つねくす)夫婦(ふうふ)137(なんぢ)(たく)には竜神(りうじん)(みや)(かき)(ぬす)()つたる二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)(かく)まひありと()く。138サア(すみやか)両人(りやうにん)(この)()引摺(ひきず)(いだ)し、139手渡(てわた)しせよ』
140(おごそ)かに()(わた)し、141(いへ)周囲(しうゐ)手下(てした)間配(まくば)つて()がすまじと厳重(げんぢう)(かま)へて()る。142常楠(つねくす)夫婦(ふうふ)(こた)ふる言葉(ことば)もなく『ハイ』と()つた()り、143(うつ)むいて(なみだ)()をしばたたいて()る。144(おく)一間(ひとま)より秋彦(あきひこ)145駒彦(こまひこ)両人(りやうにん)(をど)()で、
146秋彦(あきひこ)『ヤア木山彦(きやまひこ)酋長(しうちやう)とやら、147役目(やくめ)御苦労(ごくらう)御座(ござ)る。148如何(いか)にも吾々(われわれ)竜神(りうじん)(みや)(かき)腹一杯(はらいつぱい)()つて(くら)つた(もの)御座(ござ)る、149如何(どう)すると仰有(おつしや)るのですか』
150木山彦(きやまひこ)(むかし)から竜神(りうじん)(みや)(かき)取喰(とりくら)(もの)ある(とき)は、151竜神(りうじん)(たた)りに()つて、152日高山(ひだかやま)一帯(いつたい)地方(ちはう)大洪水(だいこうずゐ)153大風(おほかぜ)154大地震(だいぢしん)天災(てんさい)地変(ちへん)(おこ)つて()るのだ。155一昨夜(いつさくや)(わが)耳許(みみもと)竜神(りうじん)(あら)はれ、156駒彦(こまひこ)157秋彦(あきひこ)()二人(ふたり)(をとこ)158(かき)取喰(とりくら)ひ、159(いま)常楠(つねくす)(いへ)逗留(とうりう)()ると御知(おし)らせになつた。160可哀相(かはいさう)だが汝等(なんぢら)二人(ふたり)を、161今晩(こんばん)人身御供(ひとみごく)にあげ、162(わび)(いた)さねばならぬ。163これも(この)(むら)(むかし)からの(おきて)だから、164観念(かんねん)して吾々(われわれ)(まを)(とほ)り、165神妙(しんめう)人身御供(ひとみごく)にあがるがよからう』
166(こゑ)(くも)らせ(なが)ら、167(やや)(うつ)むき同情(どうじやう)(おも)ひに()れて()る。168駒彦(こまひこ)169秋彦(あきひこ)木山彦(きやまひこ)(こころ)(さつ)し、
170駒彦(こまひこ)『ハイ有難(ありがた)う。171どうぞ(わたくし)人身御供(ひとみごく)にやつて(くだ)さい。172今度(こんど)悪業(いたづら)をなす竜神(りうじん)をスツカリ改心(かいしん)させ、173(かき)()根元(ねもと)より掘起(ほりおこ)し、174竜神(りうじん)(みや)(たた)(こは)し、175向後(かうご)(がい)(のぞ)きませう。176サアサアどうぞ(はや)吾々(われわれ)両人(りやうにん)引張(ひつぱ)つて()つて(くだ)さい』
177木山彦(きやまひこ)早速(さつそく)御承知(ごしようち)178吾々(われわれ)満足(まんぞく)(おも)ふ。179(しか)(みや)(つぶ)()()るなどとの暴言(ばうげん)()めて(もら)はねばならぬ』
180 常楠(つねくす)(なみだ)(かほ)()げ、
181常楠(つねくす)『モシ酋長(しうちやう)さま、182(じつ)(ところ)(この)(をとこ)三才(さんさい)(とき)天狗(てんぐ)(さら)はれて、183行方(ゆくへ)(わか)らなかつた馬楠(うまくす)御座(ござ)います。184二三日(にさんにち)以前(いぜん)にフトした(こと)から、185親子(おやこ)(めぐ)()ひ、186(よろこ)()もなく()んな(かな)しい(こと)になりました。187(いもうと)のお(かる)(ぞく)(ころ)され、188二人(ふたり)子供(こども)老夫婦(らうふうふ)(あと)(のこ)して、189冥土(めいど)旅立(たびだち)(いた)さねばならぬ破目(はめ)になつたのも、190(わたくし)(ふか)前生(ぜんしやう)(つみ)がめぐつて()たので御座(ござ)いませう。191御推量(ごすゐりやう)(くだ)さいませ』
192(なみだ)(ぬぐ)(うつむ)く。193(ひさ)()(ふる)はせ()(ばか)りであつた。194木山彦(きやまひこ)悲歎(ひたん)(なみだ)()(なが)ら、
195木山彦(きやまひこ)『アヽ()馬楠(うまくす)()()此人(これ)だつたのか、196(じつ)にお(なげ)きの(ほど)(さつ)(まを)します。197(しか)(なが)らお(まへ)()天狗(てんぐ)(さら)はれたが、198仮令(たとへ)三日(みつか)でも、199親子(おやこ)対面(たいめん)出来(でき)(わか)れるのだからまだしもだ。200吾々(われわれ)恰度(ちやうど)(まへ)(せがれ)(おな)(やう)年輩(ねんぱい)鹿(しか)()()があつた。201それが何者(なにもの)(さら)はれたか(いま)行方(ゆくへ)()れず、202比叡山(ひえいざん)立出(たちいで)てそれより大和(やまと)203河内(かはち)204()(くに)所在(ありか)(さが)し、205()()此処(ここ)観念(かんねん)(ほぞ)(かた)め、206最早(もはや)()んだものと(あきら)め、207村人(むらびと)(えら)まれて酋長(しうちやう)になつたのだが、208(まへ)(せがれ)面会(めんくわい)した(よろこ)びを(おも)ふに()けて、209(わし)(なん)だか(うしな)うた子供(こども)(こと)(おも)()(かな)しうなつて()た。210アヽ仕方(しかた)がない。211何事(なにごと)運命(うんめい)だ。212サア二人(ふたり)(かた)213()(どく)(なが)らチヤンと用意(ようい)出来(でき)()る。214(この)唐櫃(からひつ)這入(はい)つて(くだ)さい』
215 秋彦(あきひこ)木山彦(きやまひこ)言葉(ことば)216(するど)(みみ)()(うで)()呆然(ばうぜん)として()る。217常楠(つねくす)夫婦(ふうふ)(こゑ)(かぎ)りに()(さけ)ぶ。218木山彦(きやまひこ)(なみだ)(かく)し、219(こゑ)(あら)らげ、
220木山彦(きやまひこ)(とき)(おく)れては一大事(いちだいじ)サア(はや)(はや)く』
221()()てる。222駒彦(こまひこ)223秋彦(あきひこ)(すぐ)唐櫃(からひつ)(なか)()()まうとするを、224木山彦(きやまひこ)押止(おしとど)め、
225木山彦(きやまひこ)『アヽお二人(ふたり)さま、226一寸(ちよつと)()つて(くだ)さい。227ここに白装束(しろしやうぞく)()つて()てある。228(まへ)さまの着物(きもの)をスツクリ()()て、229()れと着換(きかへ)()(もら)ひたい』
230 二人(ふたり)は『あゝ(ひさ)()りで(あたら)しき御仕着(おしき)せを頂戴(ちやうだい)(いた)します。231……サア()れから千騎一騎(せんきいつき)活動(くわつどう)だ』と(こころ)(よろこ)(なが)唐櫃(からひつ)(なか)這入(はい)つて(しま)つた。232木山彦(きやまひこ)は『助公(すけこう)々々(すけこう)』と()()てる。233言下(げんか)助公(すけこう)(はじ)十数人(じふすうにん)(をとこ)はバラバラと(あつ)まり(きた)り、234唐櫃(からひつ)()(かた)()め、235七五三縄(しめなは)(もつ)(しば)()け、236大勢(おほぜい)(かつ)がせ、237(この)()立出(たちい)でんとする(とき)238老夫婦(らうふうふ)(あわて)門口(かどぐち)(おく)()で、239(その)(まま)そこに昏倒(こんたふ)して(しま)つた。240木山彦(きやまひこ)二三(にさん)(をとこ)(あと)(のこ)し、241老夫婦(らうふうふ)看護(かいはう)をさせ、242(やうや)(いき)()(かへ)さしめた。243酋長(しうちやう)老人(らうじん)夫婦(ふうふ)(いたは)(なぐさ)め、244悠々(いういう)として家路(いへぢ)(かへ)つた。
245 一方(いつぱう)二台(にだい)唐櫃(からひつ)竜神(りうじん)(みや)()して、246人夫(にんぷ)(うた)(こゑ)(とも)(とほ)ざかり()く。247老人(らうじん)夫婦(ふうふ)(たがひ)にしがみつき悲歎(ひたん)(なみだ)()()なく、248()(もだ)()(とき)しも、249押入(おしい)れの(なか)よりムクムクと(あら)はれ(いで)たる駒彦(こまひこ)250秋彦(あきひこ)二人(ふたり)251老夫婦(らうふうふ)(せな)()で、
252駒彦(こまひこ)『モシモシ(うま)御座(ござ)います。253……秋彦(あきひこ)御座(ござ)います。254御安心(ごあんしん)(くだ)さい。255コレ(この)(とほ)無事(ぶじ)()ります』
256()いて夫婦(ふうふ)二度(にど)ビツクリ、257(ゆめ)(うつつ)(まぼろし)かと二人(ふたり)(かほ)()まもり、258(しば)しは言葉(ことば)もえ(いだ)さず(あき)れて()る。259(やや)あつて常楠(つねくす)は、
260常楠(つねくす)『ハテ不思議(ふしぎ)(こと)もあるものだなア。261如何(どう)して此処(ここ)へお前達(まへたち)(かへ)つて()たのか。262(また)もや追手(おつて)(せま)つて()はせぬか。263サア(はや)(なん)とかせねばなるまい』
264(うれ)しさ(こは)さに()をもがく。
265駒彦(こまひこ)御両親(ごりやうしん)さま、266御案(おあん)(くだ)さいますな。267只今(ただいま)大神様(おほかみさま)へお(ねがひ)(いた)しました(ところ)268高倉(たかくら)269(あさひ)明神(みやうじん)(あら)はれ、270身代(みがは)りになつて()つて()れられました。271モウ大丈夫(だいぢやうぶ)です。272(しか)(なが)らここに()つては一大事(いちだいじ)273サア(いま)(うち)我々(われわれ)四人(よつたり)274()()()りて日高川(ひだかがは)(わた)り、275熊野(くまの)方面(はうめん)()して(まゐ)りませう。276(かなら)御心配(ごしんぱい)()りませぬ。277吾々(われわれ)神様(かみさま)二人(ふたり)()れ、278滅多(めつた)(こと)はないから、279一時(いちじ)(はや)此処(ここ)立去(たちさ)(こと)(いた)しませう』
280 老夫婦(らうふうふ)雀躍(こをど)りし、281(いち)()もなく二人(ふたり)言葉(ことば)賛意(さんい)(へう)匆々(さうさう)(この)()()をかけ、282(いそ)いで日高川(ひだかがは)岸辺(きしべ)()して(すす)()く。
283
284 木山彦(きやまひこ)二三(にさん)従者(じゆうしや)(とも)(わが)(やかた)立帰(たちかへ)り、285ものをも()はず(おく)一間(ひとま)()りて、286双手(もろて)()溜息(ためいき)をつき、287思案(しあん)()れて()る。288(この)()(ちや)()んで(あら)はれた(つま)木山姫(きやまひめ)は、289(をつと)普通(ただ)ならぬ(かほ)不審(ふしん)(おこ)し、290(おそ)(おそ)両手(りやうて)()き、
291木山姫(きやまひめ)今日(けふ)(かぎ)つて心配(しんぱい)さうなあなたの御顔(おかほ)292(なに)(また)大事(だいじ)突発(とつぱつ)(いた)しましたか』
293(たづ)ねる。294木山彦(きやまひこ)(つま)言葉(ことば)(みみ)()らざるが(ごと)く、295黙然(もくねん)として(うつ)むき、296両眼(りやうがん)よりは紅涙滴々(こうるゐてきてき)として(したた)るのであつた。297木山姫(きやまひめ)合点(がてん)()かず、298側近(そばちか)()()ひ、
299木山姫(きやまひめ)『モシ(わが)夫様(つまさま)300(なに)御心配(ごしんぱい)(こと)出来(でき)ましたか』
301()(こゑ)(はじ)めて()がつき、
302木山彦(きやまひこ)『アヽ木山姫(きやまひめ)か』
303木山姫(きやまひめ)今日(けふ)(かぎ)つてハツキリせぬあなたの御顔(おんかほ)304どうぞ(つつ)(かく)さず仰有(おつしや)つて(くだ)さりませ』
305木山彦(きやまひこ)『アーア人間(にんげん)(くらゐ)果敢(はか)ないものは()い。306(わし)三人(さんにん)子供(こども)があつたが二人(ふたり)(まで)307(むら)(もの)竜神(りうじん)(みや)(かき)()り、308何処(どこ)かへ遁走(とんそう)したので、309(その)身代(みがは)りに二人(ふたり)(むすめ)()られ、310一人(ひとり)(せがれ)何者(なにもの)(さら)はれたか、311幼少(えうせう)(とき)より行方(ゆくへ)()れず、312()うして二人(ふたり)日高(ひだか)(しやう)酋長(しうちやう)(あふ)がれ、313(おい)余生(よせい)(おく)つては()るものの、314(おも)へば(おも)へば(さび)しい(こと)だ』
315(また)俯向(うつむ)く。
316木山姫(きやまひめ)今日(けふ)(かぎ)つた(こと)では御座(ござ)いませぬ。317どうぞ過去(すぎさ)つた(こと)(おも)()さずに、318ハンナリとして(くら)して(くだ)さいませ。319(わたし)(をんな)()(なが)(すで)(あきら)めて()ります』
320木山彦(きやまひこ)()しも紛失(ふんしつ)(いた)した(せがれ)鹿公(しかこう)(この)()()つたら、321(まへ)如何(どう)(おも)ふか』
322木山姫(きやまひめ)『お(たづ)ねまでもなく、323そんな(うれ)しい(こと)御座(ござ)いませぬ。324して(また)(せがれ)行方(ゆくへ)貴方(あなた)にお(わか)りになつたのですか』
325木山彦(きやまひこ)『イヤ(わか)つたでもなし、326(わか)らぬでもなし。327……アーア(じつ)残念(ざんねん)(こと)ぢや。328()はぬがマシであつたワイ』
329木山姫(きやまひめ)『エヽ(なん)(あふ)せられます。330()はぬがマシ…………とは心得(こころえ)ぬお言葉(ことば)331あなたは(せがれ)にお()ひになつたのでせう。332なぜ如何(どう)とかして()れて(かへ)つては(くだ)されませぬ』
333木山彦(きやまひこ)()れて(かへ)りたいは山々(やまやま)なれど、334(まま)にならぬは浮世(うきよ)(なら)ひだ。335あの常楠(つねくす)老夫婦(らうふうふ)一人(ひとり)(むすめ)(ぞく)(ころ)され、336(なが)らく(わか)らなかつた(せがれ)()うたと(おも)へば、337竜神(りうじん)(みや)人身御供(ひとみごく)にあげられ、338()ふに()はれぬ悲歎(ひたん)(なみだ)()れて()た。339アヽ可哀相(かはいさう)だ。340他人(ひと)(こと)かと(おも)へば(わが)()(こと)だ。341日頃(ひごろ)(こころ)にかけて(した)うて()つた(せがれ)鹿公(しかこう)も………アヽモウ()ふまい()ふまい』
342(また)もや俯向(うつむ)吐息(といき)をつく。
343木山姫(きやまひめ)『それはそれは常楠(つねくす)老夫婦(らうふうふ)可愛相(かあいさう)(こと)をしましたなア。344(しか)(せがれ)鹿(しか)にお()ひになつた(やう)貴方(あなた)のお言葉(ことば)345それは一体(いつたい)如何(どう)なつたので御座(ござ)います』
346木山彦(きやまひこ)『モウ仕方(しかた)がない。347(おどろ)いて()れな(じつ)鹿公(しかこう)()うて()た。348名乗(なのり)もならず、349暗々(やみやみ)常楠(つねくす)(せがれ)(とも)人身御供(ひとみごく)にやつて(しま)うた』
350()ばり()つたる(かな)しさの(つつみ)()れて、351大声(おほごゑ)男泣(をとこな)きに()()てた。352木山姫(きやまひめ)もハツと(おどろ)(とも)(なみだ)正体(しやうたい)なく()(ゆす)つて()(たふ)れる。353(かか)(ところ)息急(いきせ)()つて(はし)つて()小頭(こがしら)助公(すけこう)は、
354助公(すけこう)申上(まをしあ)げます。355唯今(ただいま)竜神(りうじん)(みや)二人(ふたり)人身御供(ひとみごく)()つて(まゐ)りますと、356神殿(しんでん)(にはか)鳴動(めいどう)(いた)し、357(なか)より白髪(はくはつ)異様(いやう)(おそ)ろしき(かみ)(あら)はれ、358唐櫃(からひつ)()(たた)()りました途端(とたん)に、359二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)(をど)()で、360白髪(はくはつ)異様(いやう)(かみ)相手(あひて)()んづ(くづ)れつ大格闘(だいかくとう)をやつて()りましたが、361(つひ)には宣伝使(せんでんし)(ちから)(すぐ)れて()つたと()え、362(かみ)さまは(ふた)つに()()かれて、363谷川(たにがは)へドツと(ばか)りに()()まれ、364川水(かはみづ)(たちま)()(かは)となつて(しま)ひました。365吾々(われわれ)(ども)大地(だいち)平太張(へたば)恐々(こはごは)(この)活劇(くわつげき)()()りました(ところ)366二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)吾々(われわれ)(むか)ひ……最早(もはや)竜神(りうじん)(みや)悪神(あくがみ)退治(たいぢ)(いた)したれば、367今後(こんご)(けつ)して人身御供(ひとみごく)などを請求(せいきう)する気遣(きづか)ひはない。368(また)今後(こんご)(かき)()汝等(なんぢら)勝手(かつて)()つて()つて差支(さしつかへ)ない………と(あふ)せられ、369(かつ)(わたし)(とく)(ちか)くお()しなされ………一時(いちじ)(はや)(この)(こと)木山彦(きやまひこ)酋長(しうちやう)伝達(でんたつ)せよ………との厳命(げんめい)御座(ござ)りました。370ハツと(おどろ)承知(しようち)(むね)(こた)へますると、371二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)谷川(たにがは)(づた)ひに(ましら)(ごと)(いづ)れへか姿(すがた)(かく)されました、372最早(もはや)今後(こんご)人身御供(ひとみごく)(うれ)へも御座(ござ)りませぬから、373御安心(ごあんしん)(くだ)さりませ』
374詳細(しやうさい)物語(ものがた)るを()いた木山彦(きやまひこ)()(あが)り、
375木山彦(きやまひこ)『ナニ竜神(りうじん)(みや)神様(かみさま)退治(たいぢ)(いた)したと……さうして(その)宣伝使(せんでんし)行方(ゆくへ)(わか)らぬか』
376助公(すけこう)『ハイ(あま)御足(おあし)(はや)いので、377()()いておたづね(まを)(こと)出来(でき)ずどこへお(いで)になつたか皆目(かいもく)見当(けんたう)()きませぬ。378()むを()帰路(きろ)()けば常楠(つねくす)(いへ)はドンドンと()えて()ります。379あゝ可愛相(かあいさう)老人(としより)夫婦(ふうふ)(たす)けてやりたいと(おも)ひ、380(さが)して()ても(かげ)(かたち)もなく、381大方(おほかた)(みずか)()(はな)ちて、382夫婦(ふうふ)()()にでもしたので御座(ござ)いませう。383(じつ)可愛相(かあいさう)(こと)(いた)しました』
384木山彦(きやまひこ)『それは御苦労(ごくらう)であつた。385さぞ村人(むらびと)(よろこ)(こと)であらう。386(しか)(なが)二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)(なに)(おと)して()かれなかつたか』
387()はれて助公(すけこう)は、
388助公(すけこう)『ハイ斯様(かやう)(もの)()ちて()りました』
389守袋(まもりぶくろ)(ふところ)から取出(とりだ)()(わた)せば、390木山彦(きやまひこ)は、
391木山彦(きやまひこ)『コリヤ木山姫(きやまひめ)392(この)守袋(まもりぶくろ)はお(まへ)(おぼ)えがないか』
393木山姫(きやまひめ)(まへ)突出(つきだ)せば、394木山姫(きやまひめ)は、
395木山姫(きやまひめ)一寸(ちよつと)()せて(くだ)さいませ』
396()()()げ、397裏表(うらおもて)(うち)かへし(なが)めて、
398木山姫(きやまひめ)『あゝ(たし)かに(おぼ)えが御座(ござ)います。399(あま)(ふる)びて()りますので、400ハツキリは(わか)りませぬが守袋(まもりぶくろ)(そこ)(まる)(じふ)()(しる)して()きましたが、401(いま)だにウツスリと(のこ)つて()ります。402これは(まつた)(せがれ)守袋(まもりぶくろ)間違(まちがひ)御座(ござ)いませぬ』
403木山彦(きやまひこ)『それならば(たし)かに(せがれ)間違(まちが)ひない。404(うさぎ)(やう)(とが)つた(みみ)時時(ときどき)(みみ)(うご)かせる(ところ)405(はな)(さき)(とが)つた(ところ)はお(まへ)生写(いきうつし)406アヽ(えら)(もの)だなア。407よう(せがれ)(たす)かつて()れた。408常楠(つねくす)(せがれ)もそれでは無事(ぶじ)だつたか。409あゝ有難(ありがた)い、410(まつた)熊野(くまの)神様(かみさま)御守護(ごしゆご)だ。411サア女房(にようばう)412吾々(われわれ)(この)(やかた)(しばら)()けて熊野(くまの)夫婦(ふうふ)()れ、413御礼(おれい)(まゐ)りをしようではないか。414(また)神様(かみさま)御引合(おひきあは)せで(せがれ)()へるかも()れぬ、415(ぜん)(いそ)げだ、416(はや)用意(ようい)をせよ』
417木山姫(きやまひめ)()()づジツクリと()()()けて(くだ)さりませ。418()いては(こと)仕損(しそん)ずると()(ことわざ)もありますから……』
419 木山彦(きやまひこ)周章(あわて)て、
420『お(まへ)(いや)なら()なくてもよい、421サア助公(すけこう)422随伴(とも)用意(ようい)だ』
423助公(すけこう)『ハイ(かしこ)まりました、424直様(すぐさま)用意(ようい)取掛(とりかか)りませう』
425木山姫(きやまひめ)左様(さやう)なれば(わたし)一緒(いつしよ)にお(とも)()して(くだ)さいませ。426(しか)留守(るす)如何(どう)したら(よろ)しいか』
427木山彦(きやまひこ)留守(るす)(なに)()つたものか。428家財(かざい)よりも(なに)よりも、429大切(たいせつ)(たから)(わが)()よりないのだ。430()()へさへすれば、431財産(ざいさん)(なに)()るものか。432如何(どう)なろと(かま)はぬ。433サア(はや)()かう』
434 助公(すけこう)(いへ)戸締(とじま)万端(ばんたん)()()け、435夫婦(ふうふ)(あと)(したが)ひ、436熊野(くまの)()して(いで)()く。
437大正一一・六・一一 旧五・一六 松村真澄録)
438(昭和一〇・六・五 旧五・五 王仁校正)
   
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