霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 家島探(えじまさがし)〔七二四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第23巻 如意宝珠 戌の巻 篇:第3篇 有耶無耶 よみ:うやむや
章:第12章 第23巻 よみ:えじまさがし 通し章番号:724
口述日:1922(大正11)年06月12日(旧05月17日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年4月19日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高姫を乗せた舟の船頭は東助といった。高姫は東助に、家島まで急ぐようにと言いつけた。途中、高姫は饅頭を伏せたような島が目に入って、島の様子を東助に尋ねたが、東助が神島は船頭に恐れられていて誰も足を踏み入れるものはいない、と答えると、高姫はやはり玉の隠し場所は家島に違いないと思い込んでしまった。
家島に着くと、高姫は山林の中に姿を隠してしまった。東助は煙草を吸いながら浜辺で待っている。そこへ玉能姫らが追いついてきた。
鶴公は東助に、高姫がどこへ行ったかしきりに尋ねた。東助がとぼけると、高姫はてっきり山に登って行ったに違いないと、玉能姫を山に登らせようとする。
玉能姫は急ぐことはないので休息しようと言う。玉能姫は、玉は竜神がどこかに持って行ってしまったので、本当のありかは自分は知らないのだが、高姫が心配で追って来たのだ、と明かした。そして、もっと日の当たるところで休息しようと二三町ばかり山を登ったところで腰を下ろした。
一行は雑談にふけって時を費やすが、ついに貫州が正体を表し、実は高姫を示し合わせて玉能姫をここにおびき寄せたのだ、と脅しにかかる。玉能姫は、そんなことは淡路島ですでに見抜いていた、と笑う。
貫州たちは何とかして玉能姫を山に登らせようとするが、玉能姫は男たちを突き飛ばして坂を走りくだって逃げる。後からは男たちが追いかけてくる。坂の下では、高姫が現れて手を広げ、行く手をさえぎった。
玉能姫は危機に陥り、木花姫命に祈願を凝らした。すると辺りは濃い霧に包まれ、玉能姫は逃げることができた。後を振り返ると、高姫一行の周りだけに霧がかかっている。
玉能姫が磯端に着くと、虻公と蜂公が助けに来ていた。玉能姫は自分の乗ってきた舟に乗ると、東助の舟の綱を解いて流してしまい、虻公、蜂公とともに帰って行った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm2312
愛善世界社版:195頁 八幡書店版:第4輯 565頁 修補版: 校定版:198頁 普及版:91頁 初版: ページ備考:
001(まけ)()(つよ)高姫(たかひめ)
002(をり)から漕来(こぎく)漁夫船(れふしぶね)
003(これ)(さいは)ひと()()りて
004(うみ)(そこ)より(なほ)(ふか)
005執着心(しふちやくしん)()られつつ
006()つの(たから)所在(ありか)をば
007諸越山(もろこしやま)()(まで)
008(さが)()てねば()くものか
009仮令(たとへ)(じや)となり(おに)となり
010(かばね)()べに(さら)すとも
011(うみ)藻屑(もくづ)となるとても
012(この)一念(いちねん)()らさねば
013大和魂(やまとだましひ)()つものか
014()出神(でのかみ)生宮(いきみや)
015(みづか)(うた)うた手前(てまへ)ある
016(いよいよ)実地(じつち)嗅出(かぎだ)して
017()出神(でのかみ)神力(しんりき)
018(あら)はし()れむと夜叉姿(やしやすがた)
019(かみ)()(みだ)海風(かいふう)
020()(くしけづ)荒浪(あらなみ)
021()()()()(やうや)くに
022高砂沖(たかさごおき)にと()きにける。
023船頭(せんどう)『もしもしお(きやく)さま、024右手(みぎて)()ゆるはあれが有名(いうめい)高砂(たかさご)(もり)025それから(つづ)いて(いし)宝殿(ほうでん)026曽根(そね)(まつ)名所(めいしよ)027如何(どう)です、028一寸(ちよつと)彼処(あそこ)へお()りになつては』
029高姫(たかひめ)『や、030(わし)はそんな(こと)どころぢやない。031一時(ひととき)(はや)家島(えじま)(まで)()かねばならぬのだ。032(まへ)033御苦労(ごくらう)だが何卒(どうぞ)気張(きば)つて一刻(いつこく)でも(はや)()つて(くだ)さい。034それそれ(あと)から(いま)五人(ごにん)悪党者(あくたうもの)()(かけ)()る。035()()かれては大変(たいへん)だからなア』
036船頭(せんどう)(わし)(ちから)一杯(いつぱい)()いで()るのだが、037(なん)()うても向方(むかう)五人(ごにん)だから、038(かは)(がは)身体(からだ)(やす)(もつ)()るのだから(うま)いものだ。039(しか)(なが)(わし)(この)界隈(かいわい)にては()では()()つたもの、040船頭(せんどう)東助(とうすけ)()へば名高(なだか)(もの)ですよ。041(その)(かは)賃銀(ちんぎん)他人(ひと)三人前(さんにんまへ)(はら)うて(もら)はねばなりませぬ』
042高姫(たかひめ)三倍(さんばい)でも五倍(ごばい)でも十倍(じふばい)でも(かま)ふものか。043一歩(ひとあし)でも(はや)()きさへすれば(はら)つてやる。044(しか)一歩(ひとあし)でも(おく)れる(やう)(こと)があつては矢張(やつぱり)三人前(さんにんまへ)ほか(はら)ひませぬぞや』
045東助(とうすけ)有難(ありがた)う、046それなら(これ)から一気張(ひときば)(いた)しませう。047何程(なにほど)上手(じやうず)(もの)でも(この)東助(とうすけ)には(かな)ひませぬからな』
048捩鉢巻(ねぢはちまき)()浸黒(しぐろ)(はだへ)()して(こがらし)(むか)(あせ)(なが)(なが)ら、049一層(いつそう)(はげ)しく()漕出(こぎだ)した。
050高姫(たかひめ)『これこれ、051船頭(せんどう)さま、052左手(ひだりて)饅頭(まんじう)(やう)(しま)()いて()るが、053あれは(なん)()(しま)だい』
054船頭(せんどう)『あれですか、055あれは瀬戸(せと)(うみ)(ひと)(じま)()神島(かみしま)とも()ひましてな、056それはそれは(おそ)ろしい(しま)ですよ。057(むかし)から(わたくし)(やう)船頭(せんどう)でも()りついた(こと)()いのですから』
058高姫(たかひめ)『あの(しま)去年(きよねん)五月(ごぐわつ)五日(いつか)(ふね)()いで()つた(をんな)があるだらう。059(まへ)060()いて()るだらうなア』
061東助(とうすけ)滅相(めつさう)()(こと)仰有(おつしや)いますな。062(つね)()でさへも()(しま)(ふね)()きませぬ。063()して五月五日(ごぐわついつか)()へば神島(かみしま)神様(かみさま)高砂(たかさご)(もり)へお(わた)(あそ)ばす()だから、064船頭(せんどう)総休(そうやす)みです。065(この)(へん)一帯(いつたい)(むかし)から五日(いつか)()(かぎ)つて(ふね)()しませぬ。066万一(まんいち)我慢(がまん)をして(ふね)()さうものなら、067(たちま)(ふね)顛覆(てんぷく)生命(いのち)をとられて仕舞(しま)ふのだから、068何処(どこ)阿呆(あはう)だつて、069そんな()(ふね)()したり(おそ)ろしい神島(かみしま)などへ(わた)りますものか』
070高姫(たかひめ)『あの(しま)には(なに)宝物(ほうもつ)でも(かく)してある(やう)(うはさ)()きはせぬかな』
071東助(とうすけ)沢山(たくさん)船頭(せんどう)交際(つきあつ)()ますが、072そんな(はなし)()(くらゐ)()いた(こと)はありませぬワイ。073神様(かみさま)(はなし)()つても(うみ)()れると()(くらゐ)だから、074もう(この)(はなし)(これ)きりにして(くだ)さい』
075高姫(たかひめ)『さうかなア、076矢張(やつぱり)さうすると家島(えじま)(ちが)ひない。077さア(はや)(たの)みます』
078東助(とうすけ)承知(しようち)しました』
079一生懸命(いつしやうけんめい)080(むか)(かぜ)(さか)らひつつ(やうや)家島(えじま)(きし)()いた。
081高姫(たかひめ)『あゝ御苦労(ごくらう)だつた。082流石(さすが)東助(とうすけ)さま、083よう(はや)()けて(くだ)さつた。084(れい)沢山(たくさん)(いた)しますぞえ、085(あと)からの連中(れんちう)()ても(わし)(この)(やま)(のぼ)つたと()つてはいけませぬぞえ。086()しも(たづ)ねたら、087高姫(たかひめ)神島(かみしま)()がらしやつたと()うてお()れ、088屹度(きつと)だよ』
089東助(とうすけ)『はい、090承知(しようち)(いた)しました』
091 高姫(たかひめ)はパタパタと(いそが)がしげに老樹(らうじゆ)こもれる山林(さんりん)(なか)姿(すがた)(かく)して仕舞(しま)つた。092東助(とうすけ)(ただ)一人(ひとり)(ふなばた)(こし)()松葉煙草(まつばたばこ)をくゆらして()る。
093 半時(はんとき)ばかり()つと、094玉能姫(たまのひめ)一行(いつかう)()せた小船(こぶね)()()(ごと)(この)()()(きた)り、
095玉能姫(たまのひめ)『あ、096(まへ)さまは高姫(たかひめ)さまを()せて()船頭(せんどう)さま、097まア御苦労(ごくらう)御座(ござ)いましたな。098高姫(たかひめ)さまは(この)(やま)へお(のぼ)りでしたか』
099東助(とうすけ)『え……その……(なん)で……御座(ござ)います』
100(あたま)をガシガシ()いて()る。101(その)()(ふね)岩端(いはばた)(つな)がれ五人(ごにん)上陸(じやうりく)した。
102玉能姫(たまのひめ)『あなたの()せた()(をんな)(かた)(この)(やま)(のぼ)られましたか』
103東助(とうすけ)『はい、104(のぼ)られたか、105(のぼ)られぬか、106つい……昼寝(ひるね)をして()つたものですから()つから(わか)りませぬ。107貴女(あなた)(がた)()此処(ここ)へおいでになつてお(たづ)ねになつたら、108神島(かみしま)()かしやつたでせう』
109鶴公(つるこう)『ハヽヽヽヽ、110(なん)歯切(はぎ)れのせぬ、111どつちやへも()かずの(こたへ)だな。112一体(いつたい)船頭(せんどう)さま、113(まへ)神島(かみしま)()つたのかい』
114東助(とうすけ)滅相(めつさう)()い、115(たれ)があんな(ところ)()()けますかい』
116鶴公(つるこう)『そんなら、117如何(どう)して高姫(たかひめ)さまが神島(かみしま)()つたのだ、118(じつ)(ところ)(この)家島(えじま)()いたのだけれど、119神島(かみしま)へだと()つてスコタンを()はして()れと(たの)まれたのだらう。120それに(ちが)ひない。121(まへ)船頭(せんどう)似合(にあ)はず(はら)(くろ)(もの)だな』
122東助(とうすけ)(なに)()つても(かね)のもの()()(なか)ですからな。123船頭(せんどう)だつて金儲(かねまう)けは矢張(やつぱり)大切(たいせつ)ですワイ』
124鶴公(つるこう)『ハヽヽヽヽ、125(わか)つた(わか)つた、126てつきり(この)(しま)だ。127玉能姫(たまのひめ)(さま)128さア(はや)(のぼ)りませうか。129貴女(あなた)大切(たいせつ)(たから)()()して()まれて(しま)はれちや大変(たいへん)ですぜ』
130玉能姫(たまのひめ)『それもさうですが、131(あんま)(あわて)るには(およ)びませぬ。132(さが)すと()つたつて(これ)だけ(ひろ)(しま)133さう容易(ようい)見当(みあた)るものぢやありませぬわ、134まア一服(いつぷく)(いた)しませう』
135貫州(くわんしう)玉能姫(たまのひめ)(さま)仰有(おつしや)(とほ)(あわて)るには(およ)ばぬぢやないか。136高姫(たかひめ)高姫(たかひめ)勝手(かつて)(さが)すだらう、137一日(いちにち)二日(ふつか)(ある)いたつて(さが)しきれるものぢやないから。138まア、139玉能姫(たまのひめ)(さま)140()づゆつくりとさして(もら)ひませう。141随分(ずゐぶん)疲労(くたぶ)れましたから』
142玉能姫(たまのひめ)『あ、143さう()さいませ。144(わたし)(じつ)(ところ)145(たから)所在(ありか)(ぞん)じませぬ。146(ただ)一度(いちど)()()れた(ばか)り、147(あと)竜神様(りうじんさま)何処(どつ)かへお(かく)しなされたのですから……(この)(ひろ)世界(せかい)何処(どこ)かの(しま)(かく)してあるのでせう。148(わたし)此処(ここ)()(かけ)てきたのは、149高姫(たかひめ)(さま)のお()(うへ)(あん)じ、150()(ちが)うては()らぬかと、151宣伝使(せんでんし)としてまさか(とき)にお(たす)(まを)さうと(おも)つて()たのですから、152()んな(きつ)(やま)(あが)るのは()しませう。153まアまア木蔭(こかげ)へでも這入(はい)つて、154(かぜ)(あた)らぬ(ぬく)(ところ)日向(ひなた)ぼつこりを(いた)しませう』
155(さき)()二三丁(にさんちやう)(やま)(のぼ)り、156日当(ひあた)りよき(ところ)にて休息(きうそく)する。157()れば非常(ひじやう)(おほ)きな清水(しみづ)(ただよ)はした(いけ)展開(てんかい)して()る。
158鶴公(つるこう)(なん)()景色(けしき)御座(ござ)いますな。159こんな(たか)(やま)(おほ)きな(いけ)があるとは不思議(ふしぎ)ですわ』
160玉能姫(たまのひめ)此処(ここ)(あげ)竜宮(りうぐう)かも()れませぬな』
161東助(とうすけ)(この)(しま)には()んな(ちひ)さい(いけ)だけぢやありませぬ。162(やま)頂上(ちやうじやう)にも(なか)(ほど)にも大変(たいへん)(おほ)きな(ふか)(いけ)があつて、163(そこ)()らずぢやと()(こと)です。164(じつ)不思議(ふしぎ)(しま)ですわ。165(この)(ひろ)(しま)(むかし)から誰一人(たれひとり)()んだ(ひと)がないのも(ひと)つの不思議(ふしぎ)166(なん)でも(おほ)きな大蛇(だいじや)()()て、167(ひと)(にほひ)がすると(みんな)()んで仕舞(しま)うといふ(うはさ)ですから、168(たれ)だつて、169此処(ここ)住居(すまゐ)する(もの)はありませぬ』
170貫州(くわんしう)『さうかな、171随分(ずゐぶん)(おそ)ろしい(ところ)()えるわい。172()んな(とこ)一人(ひとり)()かして()かれたら(たま)るまいなア』
173清公(きよこう)『そりや、174さうとも。175(たれ)だつてやりきれないわ』
176 色々(いろいろ)雑談(ざつだん)(ふけ)一時(ひととき)ばかり光陰(くわういん)空費(くうひ)した。
177貫州(くわんしう)『さア玉能姫(たまのひめ)(さま)178高姫(たかひめ)さまは屹度(きつと)(この)(やま)頂上(ちやうじやう)さして(のぼ)られたに(ちが)ひありませぬ。179(たから)(さき)()()()まれて仕舞(しま)つては大変(たいへん)ですから、180ボツボツと出掛(でか)けませうな』
181玉能姫(たまのひめ)(わたし)(すこ)(あし)(いた)めましたから、182此処(ここ)(やす)んで()つて()ます。183何卒(どうぞ)御苦労(ごくらう)だが貴方等(あなたがた)五人連(ごにんづ)()つて(くだ)さい』
184貫州(くわんしう)『いや、185それはなりませぬ。186もう()うなれば本音(ほんね)()くが、187吾々(われわれ)絶対(ぜつたい)高姫(たかひめ)崇拝者(すうはいしや)だ。188こりや、189(せつ)190()うなる以上(いじやう)はジタバタしてもあかないぞ。191綺麗(きれい)薩張(さつぱり)(たま)所在(ありか)白状(はくじやう)(いた)せ。192()()のと(ぬか)すが最後(さいご)193(この)(いけ)(いは)(くく)()け、194四人(よにん)荒男(あらをとこ)()()んで仕舞(しま)ふが如何(どう)だ』
195玉能姫(たまのひめ)今更(いまさら)そんな啖呵(たんか)をきらなくても、196淡路島(あはぢしま)より(ふね)()した(とき)から、197高姫(たかひめ)八百長喧嘩(やほちやうげんくわ)をし、198()()合図(あひづ)をして()たでせう。199そんな(こと)(わか)らぬ玉能姫(たまのひめ)ですか。200そんな(おど)文句(もんく)(なら)べたつて迂濶(うつかり)()(やう)不束(ふつつか)(をんな)とはチツと(ちが)ひますぞ。201繊弱(かよわ)(をんな)(おも)(あなど)つての(その)暴言(ばうげん)202(この)玉能姫(たまのひめ)()()えても若彦(わかひこ)(つま)203教主(けうしゆ)言依別命(ことよりわけのみこと)(さま)より御信任(ごしんにん)(かたじけな)ふした抜目(ぬけめ)のない(をんな)です。204(まへ)さん()五人(ごにん)十人(じふにん)何程(なにほど)捩鉢巻(ねぢはちまき)をして気張(きば)つた(ところ)(なん)になりますか。205ウンと一声(ひとこゑ)206霊縛(れいばく)をかけるが最後(さいご)207()(どく)(なが)万劫末代(まんごまつだい)(うご)きのとれぬ石地蔵(いしぢざう)になつて仕舞(しま)ひますよ。208それでも御承知(ごしようち)なら、209(なん)なりと(こころ)みにやつて御覧(ごらん)
210貫州(くわんしう)『あゝ仕方(しかた)()(をんな)だなあ』
211鶴公(つるこう)『もしもし玉能姫(たまのひめ)(さま)212嘘言(うそ)ですよ。213貫州(くわんしう)はいつもあんな狂言(きやうげん)をやつて空威張(からゐば)りをする(くせ)があるのです。214アハヽヽヽ』
215東助(とうすけ)(なん)だ、216前達(まへたち)山賊(さんぞく)()らぬと(おも)つたら、217(この)山中(さんちう)気楽(きらく)さうに芝居(しばゐ)をしてゐるのか、218随分(ずゐぶん)下手(へた)芝居(しばゐ)だなア』
219玉能姫(たまのひめ)(なん)でも(よろ)しいよ。220(これ)から高姫(たかひめ)さまに()うて(たま)所在(ありか)でも()らして()げませうかな』
221貫州(くわんしう)『やア流石(さすが)玉能姫(たまのひめ)(さま)ぢや。222(じつ)立派(りつぱ)御精神(ごせいしん)223貫州(くわんしう)(まこと)感服(かんぷく)(つかまつ)りました。224宣伝使(せんでんし)はさうでなくては()きますまい。225(かた)いばつかりが(をんな)ぢや御座(ござ)いませぬ。226まアよう其処(そこ)まで打解(うちと)けて(くだ)さいました。227貴女(あなた)がさう()(くだ)されば、228(てき)もなく味方(みかた)もなく三五教(あななひけう)益々(ますます)天下泰平(てんかたいへい)229大発展(だいはつてん)()()(ごと)(あきら)かで御座(ござ)います。230さア玉能姫(たまのひめ)(さま)231()()いて()げませうか。232……おい清公(きよこう)233貴様(きさま)はお(こし)()してお()(まを)せ。234(おれ)はお()()いて(この)急坂(きふはん)(のぼ)るから』
235玉能姫(たまのひめ)『ホヽヽヽヽ、236年寄(としより)(なん)ぞの(やう)如何(いか)(をんな)()なればとて、237これしきの(やま)(くる)しうて如何(どう)なりますか。238何卒(どうぞ)(かま)(くだ)さいますな。239さアさアお(さき)へお(あが)(くだ)さい。240(わたし)一番(いちばん)(あと)から(まゐ)ります』
241貫州(くわんしう)『いや、242さうはなりませぬ。243高姫(たかひめ)さまの御命令(ごめいれい)ですから……オツトドツコイ……そりや嘘言(うそ)だ。244中途(ちうと)()げられては虻蜂(あぶはち)とらずになつて仕舞(しま)ふ。245あゝ迂濶(うつかり)副守(ふくしゆ)(やつ)246(ささや)()よつた。247もしもし玉能姫(たまのひめ)(さま)248此奴(こいつ)(みんな)(わたくし)憑依(ひようい)してる野天狗(のてんぐ)()(かへ)すのだから、249(こころ)()へて(くだ)さいますな』
250玉能姫(たまのひめ)霊肉一致(れいにくいつち)野天狗様(のてんぐさま)仰有(おつしや)つたのでせう、251ホヽヽヽヽ左様(さやう)なれば貴方等(あなたがた)御心配(ごしんぱい)()さらぬ(やう)()(なか)(まゐ)りませう。252玉能姫(たまのひめ)()げない(やう)十分(じふぶん)御監督(ごかんとく)なされませ』
253貫州(くわんしう)(べつ)貴女(あなた)監督(かんとく)する必要(ひつえう)もありませず、254(わる)(ところ)()(まは)して(もら)つては(こま)りますよ』
255玉能姫(たまのひめ)(いづ)れそちらは高姫(たかひめ)(さま)(くは)へて荒男(あらをとこ)神力(しんりき)(つよ)(かた)六人(ろくにん)256此方(こちら)一人(ひとり)257到底(たうてい)衆寡(しうくわ)(てき)しますまい。258一層(いつそう)(こと)(この)(いけ)()()んで()にませうかな』
259鶴公(つるこう)『それは(なん)()(こと)仰有(おつしや)るのだ。260()ぬのはお(まへ)さんの勝手(かつて)だ。261(しか)(なが)此方(こちら)(こま)る、262(たから)所在(ありか)白状(はくじやう)した(うへ)では()ぬるなつと(いき)るなつと勝手(かつて)になされ。263それ(まで)はどうあつてもお(まへ)()なれては高姫(たかひめ)さまの願望(ぐわんばう)成就(じやうじゆ)(いた)しませぬから、264何程(なにほど)()なうと(もが)いたつて、265()五人(ごにん)荒男(あらをとこ)()いて()以上(いじやう)駄目(だめ)ですよ。266観念(かんねん)なさいませ、267あゝ(しか)(なが)可惜(あつたら)美人(びじん)()なすのも勿体(もつたい)ないものだなア』
268玉能姫(たまのひめ)『それでお(まへ)さま(たち)(はら)(そこ)はすつかり(わか)りました。269(わたし)にも覚悟(かくご)がある』
270()ふより(はや)(あと)から()いて()三人(さんにん)()()突倒(つきこか)し、271急坂(きふはん)目蒐(めが)けて韋駄天(ゐだてん)(ばし)りに元来(もとき)(みち)(くだ)()る。272五人(ごにん)捩鉢巻(ねぢはちまき)()(なが)ら、
273五人(ごにん)『オーイ、274玉能姫(たまのひめ)275()つた、276()がして(たま)らうか、277おいおい(みな)(やつ)278彼奴(あいつ)(ふね)()(まで)()(つか)まへねばなるまい。279さア(いそ)(いそ)げ』
280一生懸命(いつしやうけんめい)()()ける。281玉能姫(たまのひめ)阿修羅王(あしゆらわう)(ごと)(かみ)()(みだ)し、282血相(けつさう)()へて力限(ちからかぎ)りに(くだ)(きた)る。283(みち)()(なか)大手(おほて)(ひろ)げて()(あら)はれた一人(ひとり)(ばば)高姫(たかひめ)であつた。
284高姫(たかひめ)『オホヽヽヽ、285到頭(たうとう)高姫(たかひめ)計略(けいりやく)にかかり(この)(しま)まで引摺(ひきず)(まは)されて()よつた。286いい馬鹿者(ばかもの)だな。287さアもう()うなる以上(いじやう)何程(なにほど)(もが)いても駄目(だめ)だ。288何処(どこ)にお(たから)(かく)したのか、289神妙(しんめう)白状(はくじやう)するが()い。290(この)()(およ)んで愚図々々(ぐづぐづ)()ふなら、291(まへ)生命(いのち)でもとつて仕舞(しま)ふまいものでもない。292(この)高姫(たかひめ)()(うへ)にもなつて()(もら)()い。293いい(とし)をして、294(まへ)(やう)(わか)(をんな)初稚姫(はつわかひめ)(やう)なコメツチヨに馬鹿(ばか)にしられて、295如何(どう)して()(なか)(ある)けませうぞ。296(かしこ)(さう)でも流石(さすが)(わか)()けあつて、297肝腎(かんじん)知慧(ちゑ)がぬけて()る。298さア如何(どう)ぢや、299玉能姫(たまのひめ)300もはや否応(いやおう)はあるまい』
301玉能姫(たまのひめ)『オホヽヽヽ、302何処(どこ)までも(うたが)(ぶか)(わけ)(わか)らぬ(かた)ですこと。303()らぬ(こと)(なん)(あふ)せられても()りませぬ。304仮令(たとへ)(くび)千切(ちぎ)れても()はぬと()つたら()ひませぬから、305(その)心組(つもり)覚悟(かくご)(あそ)ばせ』
306 ()(あらそ)(ところ)五人(ごにん)(をとこ)307地響(ぢひび)()たせ(なが)(この)()にドヤドヤとやつて()た。308玉能姫(たまのひめ)身辺(しんぺん)危機一髪(ききいつぱつ)(せま)つて()た。309流石(さすが)玉能姫(たまのひめ)進退(しんたい)(きは)まり如何(いかが)はせむと(あん)じつつ一生懸命(いつしやうけんめい)に『木花姫命(このはなひめのみこと)(たす)(たま)へ』と祈願(きぐわん)()めた。310(たちま)四辺(しへん)濃霧(のうむ)(つつ)まれ咫尺(しせき)(べん)ぜず、311(あだか)白襖(しろふすま)()てた(ごと)()えなくなつて仕舞(しま)つたのを(さいは)ひ、312玉能姫(たまのひめ)(すこ)しく(みち)(よこ)にとり、313あと()(かへ)()れば濃霧(のうむ)高姫(たかひめ)一派(いつぱ)附近(ふきん)極限(きよくげん)され、314(そと)一面(いちめん)快晴(くわいせい)である。315玉能姫(たまのひめ)神恩(しんおん)感謝(かんしや)(なが)磯端(いそばた)(やうや)辿(たど)()いた。
316 玉能姫(たまのひめ)消息(せうそく)如何(いか)にと(あん)(わづら)ひ、317(あぶ)318(はち)両人(りやうにん)一艘(いつそう)(ふね)(あやつ)(なが)ら、319丁度(ちやうど)(この)()についた(ところ)である。
320玉能姫(たまのひめ)『ア、321(まへ)(あぶ)322(はち)両人(りやうにん)323よう()(くだ)さつた。324(はなし)はまア(あと)でゆつくりしよう』
325虻公(あぶこう)何卒(どうぞ)(この)(ふね)()つて(くだ)さい』
326玉能姫(たまのひめ)『いえいえ(わたし)()つて()(ふね)がある。327一人(ひとり)(あやつ)つて(かへ)りますから、328(まへ)さまは(その)(まま)(わたし)()いて(かへ)つて(くだ)さい』
329()ふより(はや)(ふね)()()り、330高姫(たかひめ)()(きた)りし(ふね)(つな)()(はな)ち、331(なみ)のまにまに(ただよ)はせ()二艘(にそう)(ふね)()()(ごと)再度山(ふたたびやま)(ふもと)()して(かへ)()く。
332大正一一・六・一二 旧五・一七 北村隆光録)