霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 土人(どじん)歓迎(くわんげい)〔七四〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第24巻 如意宝珠 亥の巻 篇:第3篇 危機一髪 よみ(新仮名遣い):ききいっぱつ
章:第10章 土人の歓迎 よみ(新仮名遣い):どじんのかんげい 通し章番号:740
口述日:1922(大正11)年07月03日(旧閏05月09日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年5月10日
概要: 舞台:ニュージーランド(沓島)、地恩城(地恩郷) あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
玉治別の漕ぐ船は、ニュージーランドの沓島にやってきた。上陸した一行は、島の人々の歓迎を受けた。友彦は言葉の通じないのを幸い、木の上に登って口から出任せの言葉を叫んだ。
友彦の出鱈目の言葉は、島の人々には、玉能姫と初稚姫は尊い女神であり、蜈蚣姫は一つ島の女王の母上だ、と聞こえた。そのため玉能姫、初稚姫、蜈蚣姫は非常に歓迎を受けた。
玉治別やスマートボールも樹上に登って出鱈目な言葉を叫ぶ。スマートボールが叫ぶと、島の人々は高姫を取り囲んで尻をまくって馬鹿にし始めた。高姫は怒るが、高姫の言葉は島の人々にはまったく通じなかった。
玉能姫は、樹上の玉治別に、すぐに一つ島に行かなければならないと告げた。島の人々は一斉に散って、豪華な船をしつらえて持ってきてくれた。
島の人々は玉能姫、初稚姫、蜈蚣姫らを豪華な船に乗せた。玉治別らは自分たちが乗ってきた船に乗った。島の人々はなぜか、高姫とチャンキー、モンキーだけは泥舟に無理矢理乗せてしまった。
島の人たちは船を漕いで、一行を一つ島に案内した。玉治別は島の神霊に感じて、南洋語をにわかに感得し、島の言葉で宣伝歌を歌った。島人たちはこれを聞いて、感涙に咽んだ。
一つ島に着くと、ニュージーランドの酋長は一つ島の黄竜姫に到着を告げに先に出立した。他の人々は丁重に手車に乗せられて案内されたが、高姫だけは道中非常に侮辱を受けながら連れて行かれた。
黄竜姫の使いとしてブランジーが現れ、蜈蚣姫を輿車に乗せ変えて迎えた。一行は城内に入った。玄関にはクロンバーがいた。玉能姫、初稚姫は黒姫だと気が付き、声をかけた。
黒姫は南洋に玉を探しに出ていた経緯を語ったが、今は黄竜姫の宰相として仕えていると権力を楯にして、三五教の面々を見下した態度をあらわにした。
そこへ、惨めな姿で高姫が現れた。高姫を認めた黒姫、高山彦は、お互いに涙を流して喜び合い、手を取って城の中へ姿を隠した。この様を見て、玉治別、初稚姫、玉能姫ら一行は密かに裏門から城外にのがれ、裏山の森林に姿を隠して休息した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:ニユージランド(ニュージーランド) データ凡例: データ最終更新日:2021-08-04 20:29:09 OBC :rm2410
愛善世界社版:164頁 八幡書店版:第4輯 672頁 修補版: 校定版:168頁 普及版:76頁 初版: ページ備考:
001南洋一(なんやういち)竜宮島(りうぐうじま)
002アンボイナをば(あと)()
003(すく)ひの(ふね)()(まか)
004(すす)(きた)れる高姫(たかひめ)
005蜈蚣(むかで)(ひめ)一行(いつかう)
006()()()いでオセアニヤ
007(ひと)島根(しまね)(わた)らむと
008(こころ)(いさ)みて()(きた)
009(とき)しもあれや海中(わだなか)
010すつくと()てる岩島(いはしま)
011左手(ゆんで)(なが)めて(すす)()
012(にはか)海風(うなかぜ)()(すさ)
013(なみ)(たか)まりて船体(せんたい)
014(あやつ)(すべ)()きままに
015(なみ)()けむと岩島(いはしま)
016(かげ)()ぎつけ(なが)むれば
017(あや)しき(かげ)(ただ)(ふた)
018何者(なにもの)ならむと()()つて
019素性(すじやう)()けば錫蘭島(シロしま)
020チヤンキー モンキー 両人(りやうにん)
021顕恩城(けんおんじやう)小糸姫(こいとひめ)
022竜宮城(りうぐうじやう)校定版・八幡版では「竜宮洲」に修正されている。(おく)(をり)
023(にはか)時化(しけ)(ふね)()
024(ここ)非難(ひなん)()たりしを
025(やうや)(さと)高姫(たかひめ)
026日頃(ひごろ)(たづ)ぬる神宝(しんぱう)
027(かく)せし場所(ばしよ)(この)(しま)
028疑惑(ぎわく)(まなこ)(ひか)らせつ
029二人(ふたり)(をとこ)()(とら)
030ためつ(すか)しつ(たづ)ぬれど
031(もと)より(わけ)白浪(しらなみ)
032(なか)(ただよ)二人(ふたり)()
033(とり)つく(しま)()寝入(ねい)
034蜈蚣(むかで)(ひめ)両人(りやうにん)
035(はなし)()いて仰天(ぎやうてん)
036小糸(こいと)(ひめ)()(なか)
037もはや(いのち)()きものと
038悲歎(ひたん)(なみだ)()れながら
039船底(ふなそこ)(ふか)くかぢりつく
040ころしもあれや南洋(なんやう)
041(その)()(たか)一巨島(いちきよたう)
042テンカオ(たう)海中(かいちう)
043大音響(だいおんきやう)諸共(もろとも)
044()もなく(しづ)みし(いきほひ)
045海水(かいすゐ)(にはか)()(さわ)
046水量(みづかさ)まさりて()(しま)
047(はや)一呑(ひとの)みに()まむとす
048高姫(たかひめ)(その)()一同(いちどう)
049九死(きうし)一生(いつしやう)(くる)しみに
050()きたる心地(ここち)荒浪(あらなみ)
051(きも)(つぶ)せる折柄(をりから)
052黄昏時(たそがれどき)海原(うなばら)
053(こゑ)目当(めあて)(すす)()
054(すく)ひの(ふね)(たす)けられ
055やつと安心(あんしん)(むね)()
056(すす)(をり)しも玉能姫(たまのひめ)
057初稚姫(はつわかひめ)田吾作(たごさく)
058(たす)けの(ふね)(さと)りてゆ
059高姫(たかひめ)持病(ぢびやう)再発(さいはつ)
060竹篦返(しつぺいがへ)しの()らず(ぐち)
061(あご)(たた)くぞ(にく)らしき
062あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
063(かみ)(めぐみ)何処(どこ)までも
064(あく)身魂(みたま)(ねんごろ)
065(まこと)(をしへ)(みちび)きて
066(すく)(たま)ふぞ有難(ありがた)
067玉治別(たまはるわけ)()(ふね)
068()()(かさ)ねてやうやうに
069ニユージランドの沓島(くつじま)
070磯端(いそばた)(ちか)()きにけり
071浪打(なみう)(ぎは)(ちか)づけば
072(おも)ひもよらぬ高潮(たかしほ)
073()せては(かへ)物凄(ものすご)
074(ふね)操縦(さうじう)(なや)みつつ
075スマートボールや貫州(くわんしう)
076チヤンキー モンキー諸共(もろとも)
077(あせ)(なが)して(かい)()
078(やうや)上陸(じやうりく)したりける
079あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
080御霊(みたま)(さち)(たふと)けれ
081(かみ)(めぐみ)(かしこ)けれ。
082 物珍(ものめづ)らしげに(しま)土人(どじん)小山(こやま)(ごと)(あら)はれ(きた)り、083口々(くちぐち)()()ち「ウツポー、084クツター クツター」と(さけ)びゐたり。085これは「(めづら)しき(たふと)神人(しんじん)(きた)(たま)へり」と()意味(いみ)なり。086一同(いちどう)は「ウツポー、087クツター クツター」の諸声(もろこゑ)(おく)られ、088禿(はげ)(ばか)りの(しま)似合(にあ)はず、089樹木(じゆもく)鬱蒼(うつさう)たる大森林(だいしんりん)樹下(じゆか)(みちび)かれ、090(めづら)しき果物(くだもの)饗応(きやうおう)され、091(かみ)(ごと)くに尊敬(そんけい)されたりける。
092 友彦(ともひこ)得意(とくい)満面(まんめん)(あふ)れ、093言語(げんご)(つう)ぜざるを(さいは)ひ、094(ましら)(ごと)大樹(たいじゆ)(えだ)にかけ(のぼ)り、095(ふところ)より(ぬさ)()()左右左(さいうさ)()()りながら、
096友彦『ウツポツポー ウツポツポー、097テンツルトウ テンツルトウ、098チンプクリンノチンプクリン、099プクプクリンノプクプクリン、100ペンコ ペンコ、101チヤツク チヤツク、102ジヤンコ ジヤンコ、103テンツルテンノテンツルトウ、104トコトンポーリー トコトンポーリー、105カンカラカンノケンケラケン、106高姫(たかひめ)さまのガンガラガンノコンコロコン、107蜈蚣姫(むかでひめ)のパーパーサン、108コンコンチキチン、109コンチキチン、110小糸(こいと)(ひめ)婿(むこ)(さま)は、111トントコトンの友彦(ともひこ)が、112ウツパツパー ウツパツパー、113シヤンツクテンテンツクテンテン、114キンプクリンノフクリンリン』
115(さへづ)(はじ)めたり。116数多(あまた)土人(どじん)一行中(いつかうちう)(もつと)(たつと)(かみ)早合点(はやがつてん)し、117随喜(ずいき)(なみだ)(こぼ)合掌(がつしやう)しゐたり。118スマートボールは(また)もや()(のぼ)り、119矢庭(やには)()(えだ)手折(たお)り、120左右左(さいうさ)()()り、
121スマートボール『ウツポツポー ウツポツポー、122キンライライノクタクタライ、123キンプクリンノキンライライ、124ウツポツポー ウツポツポー』
125(さへづ)()したり。126スマートボールは自分(じぶん)()うた(こと)自分(じぶん)ながら(ちつ)とも(かい)して()ない。127されど土人(どじん)(むね)には、128(さき)(のぼ)つた友彦(ともひこ)よりも最上位(さいじやうい)(かみ)たる(こと)(さと)りたり。129友彦(ともひこ)(また)もや、
130友彦『ウツポツポー、131ペンペコペン、132ウツポツポ、133パーパーサン、134エツポツポー、135エツポツポー』
136(さへづ)()したり。137(これ)土人(どじん)言葉(ことば)対照(たいせう)すると、
138二人(ふたり)(をんな)(まこと)平和(へいわ)女神(めがみ)だ。139さうして(わか)(はう)(ばば)アは悪党(あくたう)だ。140(いろ)(くろ)(ばば)アは(ひと)(じま)女王(ぢよわう)母上(ははうへ)だ』
141()意味(いみ)になる。142数多(あまた)土人(どじん)蜈蚣姫(むかでひめ)(まへ)(ひざまづ)き、143()()(うれ)(なみだ)()れながら恭敬(きようけい)()(へう)し、144(をど)(くる)ひ、145(その)(つぎ)玉能姫(たまのひめ)146初稚姫(はつわかひめ)胴上(どうあ)げにし「エイヤ エイヤ」と(こゑ)(そろ)へて(もり)木蔭(こかげ)(かつ)(まは)り、147(をど)(くる)(その)可笑(をか)しさ。148玉能姫(たまのひめ)149初稚姫(はつわかひめ)様子(やうす)(わか)らねど、150()(かく)自分(じぶん)()尊敬(そんけい)せしものたる(こと)は、151(その)態度(たいど)()つて(さと)(こと)()たりける。
152 森林(しんりん)(もつと)(たか)(ところ)七八丈(しちはちじやう)(ばか)りの方形(ほうけい)(いは)が、153()(そこ)から()()たやうに(あら)はれ()たり。154(その)(うへ)玉能姫(たまのひめ)155蜈蚣姫(むかでひめ)156初稚姫(はつわかひめ)(さん)(にん)(かつ)()き、157種々(いろいろ)果物(くだもの)各自(てんで)()(きた)り、158(ところ)()(まで)(なら)()て、159(この)(いは)中心(ちうしん)(をど)(くる)(まは)つた。160(のこ)りの一隊(いつたい)大樹(たいじゆ)(もと)(うつ)()き、161何事(なにごと)一生(いつしやう)懸命(けんめい)祈願(きぐわん)(はじ)めたり。
162 玉治別(たまはるわけ)一向(いつかう)(かま)つて()れないのに(やや)悄気(しよげ)気味(ぎみ)となり、163(また)もや樹上(じゆじやう)()(のぼ)()(えだ)手折(たお)つて、164前後(ぜんご)左右(さいう)無精(むしやう)()()り、
165玉治別『ウツパツパーウツパツパー、166キンライライノクタクタライ、167ラーテンドウ ラーテンドウ』
168幾度(いくたび)繰返(くりかへ)しける。169(この)意味(いみ)は、
170(われ)海底(かいてい)竜神(りうじん)171(いま)(この)(しま)平安(へいあん)無事(ぶじ)ならしめむために(あら)はれ(きた)り』
172()(こと)になる。173(また)もや土人(どじん)玉治別(たまはるわけ)一生(いつしやう)懸命(けんめい)(をが)(はじ)めたり。174スマートボールは、
175スマートボール『パーパーチンチン、176パーチンチン』
177(さへづ)りぬ。178数多(あまた)群集(ぐんしふ)(おのおの)(しり)をまくり、179高姫(たかひめ)身辺(しんぺん)(ちか)()()き「(わが)臀肉(でんにく)(くら)へ」と()意味(いみ)にて、
180土人『パーパーキントウ、181キントウ、182パーパーキントウ、183キントウ、184パースパース』
185()ひながら()丁寧(ていねい)一人(ひとり)(のこ)らず(しり)をまくりて、186三間(さんげん)(ばか)()(ばひ)になり、187(おのおの)(この)()()てて、188初稚姫(はつわかひめ)()()せる(いし)宝座(ほうざ)(はう)に、189(さき)(あらそ)うて(すす)()く。
190 樹下(じゆか)蹲踞(しやが)み、191感涙(かんるい)(むせ)んで()数十(すうじふ)(にん)の、192(のこ)つた土人(どじん)敬虔(けいけん)態度(たいど)(なが)めた高姫(たかひめ)は、193そろそろむかづき(はじ)め、
194高姫『これこれ此処(ここ)土人(どじん)さま、195(まへ)(なん)(おも)つて()るか。196あの(さき)(のぼ)つた(やつ)友彦(ともひこ)()ふ、197それはそれは(おそ)ろしい、198(ひと)(だま)して(かね)()り、199嬶盗人(かかぬすびと)をやつた(わる)(わる)(をとこ)だよ。200そして(あと)から(のぼ)つた細長(ほそなが)(さる)(やう)(をとこ)はスマートボールと()ふ、201最前(さいぜん)()つた蜈蚣姫(むかでひめ)乾児(こぶん)(なか)でも一番(いちばん)意地(いぢ)くねの(わる)代物(しろもの)だ。202三番目(さんばんめ)(のぼ)つた(やつ)(かみ)でも(なん)でもない。203自転倒(おのころ)(じま)宇都山(うづやま)(さと)に、204蚯蚓切(みみずき)りの蛙飛(かへると)ばしを商売(しやうばい)にする、205田吾作(たごさく)()(をとこ)だ。206如何(いか)(めくら)(せん)(にん)()(なか)だと()うても、207取違(とりちが)ひするにも(ほど)がある。208(この)(なか)一番(いちばん)(たふと)()(かた)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)たる(この)高姫(たかひめ)だよ、209()(ちが)ひをするな』
210癇癪声(かんしやくごゑ)()()げながら、211自分(じぶん)鼻先(はなさき)をチヨンと(おさ)へて()せたれど土人(どじん)には(なん)(こと)(ひと)つも(つう)ぜず、212歯脱(はぬ)(ばば)()(いら)つて、213(しり)をかまされた腹立紛(はらだちまぎ)れに怒鳴(どな)つて()るのだ(くらゐ)(かい)され()たり。214一同(いちどう)土人(どじん)高姫(たかひめ)(むか)ひ、215両手(りやうて)食指(ひとさしゆび)()()し、216左右(さいう)(ゆび)(かは)(がは)(はな)(まへ)突出(つきだ)し、217しやくつて()せたり。218高姫(たかひめ)何事(なにごと)(わけ)(わか)らず、219(おな)じやうに今度(こんど)(ゆび)外向(そとむ)けにして、220水田(みづた)(なか)熊手(くまで)()るやうに空中(くうちう)()いて()せる。221(その)スタイルは蟷螂(かまきり)(おこ)つた(とき)様子(やうす)()たりける。222数十(すうじふ)(にん)土人(どじん)何故(なにゆゑ)一度(いちど)(かしら)大地(だいち)につけたり。223高姫(たかひめ)調子(てうし)()つて幾回(いくくわい)となく空中(くうちう)()く。224樹上(じゆじやう)友彦(ともひこ)(また)もや、
225友彦『エツポツポー エツポツポー、226パーパーチクリン、227パーチクリン、228ポコポコペンノポコポコペン、229ペンポコペンポコ、230チンタイタイ』
231(さけ)べば、232一同(いちどう)はムクムクと(あたま)()げ、233()()けた真黒(まつくろ)(うで)をニウと(まへ)()し、234一斉(いつせい)高姫(たかひめ)(むか)つて()きかかり()る。235(この)(とき)玉治別(たまはるわけ)樹上(じゆじやう)より、
236玉治別『エイムツエイムツ、237ツウツウター』
238(さけ)ぶ。239一同(いちどう)(にはか)(うで)をすくめ、240(ちから)()げに(また)(もと)()平伏(へいふく)し、241樹上(じゆじやう)(さん)(にん)(むか)つて合掌(がつしやう)し、242何事(なにごと)声低(こゑびく)(いの)()る。
243 (しばら)くありて玉能姫(たまのひめ)は、244蜈蚣姫(むかでひめ)(とも)初稚姫(はつわかひめ)(なか)()き、245後前(あとさき)警固(けいご)しながら数多(あまた)土人(どじん)(おく)られて、246大樹(たいじゆ)(もと)()(かへ)(きた)りぬ。247玉治別(たまはるわけ)調子(てうし)()つて(くち)から出任(でまか)せに、
248玉治別『ダールダール、249ネースネース、250ツツーテクテクテレリントン、251ニウジイランドテテーポーポー、252ツツーポーポ、253タターポーポー、254エーポーポー、255エーツクエーツク、256エーポーポー、257エーツクエーツク、258エーテイテイ』
259(さけ)ぶや(いな)や、260土人(どじん)大多数(だいたすう)蜘蛛(くも)()()らすが(ごと)(この)()()()りにける。261玉能姫(たまのひめ)樹上(じゆじやう)見上(みあ)げながら、
262玉能姫玉治別(たまはるわけ)さま、263スマートボールさま、264(はや)()りて(くだ)さい、265玉能姫(たまのひめ)(ひと)(じま)()かねばなりますまい。266サア(はや)(はや)く』
267手招(てまね)きするにぞ、268(さん)(にん)(この)(こゑ)(おう)じて、269ずるずると樹下(じゆか)()もなく(くだ)()たりぬ。270(しばら)くありて土人(どじん)満艦飾(まんかんしよく)(ほどこ)したる立派(りつぱ)(ふね)一艘(いつそう)と、271(その)()堅固(けんご)なる(ふね)十数艘(じふすうそう)(ひき)(きた)り、272(なか)には(いた)つて見苦(みぐる)しき泥船(どろふね)一艘(いつそう)()ぜて()た。273(もつと)(うるは)しき(ふね)玉能姫(たまのひめ)274初稚姫(はつわかひめ)275蜈蚣姫(むかでひめ)丁寧(ていねい)()つて(たか)つて(かつ)ぎながら、276(うやうや)しく()せた。277玉治別(たまはるわけ)(わが)()(きた)りし(ふね)に、278スマートボール、279友彦(ともひこ)(さん)(にん)分乗(ぶんじやう)した。280久助(きうすけ)281(たみ)土人(どじん)(とも)(うるは)しき(ふね)()せられた。282チヤンキー、283モンキー(およ)高姫(たかひめ)泥船(どろぶね)無理(むり)捻込(ねぢこ)まれ、284()()ぎながら、285数百(すうひやく)(にん)土人(どじん)大船(おほぶね)満乗(まんじやう)して、286(ひと)(じま)目蒐(めが)けて(おく)つて()く。287高姫(たかひめ)不平(ふへい)(たま)らず、288種々(いろいろ)言葉(ことば)(つく)して……()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(もつと)立派(りつぱ)(ふね)()せるのが至当(したう)だ、289玉能姫(たまのひめ)ナンカは普通(ふつう)(ふね)でよい……と()(もが)いて(しやべ)()てたが、290土人(どじん)には一向(いつかう)言葉(ことば)(つう)じないと()えて、
291土人『エツポツポー エツポツポー、292パーパーチツク、293パーチツク』
294()ひながら、295(ひと)(じま)目蒐(めが)けて(すす)()く。296玉治別(たまはるわけ)船中(せんちう)にて宣伝歌(せんでんか)(うた)(はじ)めたり。
297玉治別『コーツーコーツーオーリンス
298セイセイオウオウオウセンス
299チーサーオーサーツウツクリン
300コモトヨコモト、カンツクリン
301ターツーテーツーテーリンス
302ノウミス ノウミス ヨーリンス
303メースヤーツノーブクリン』
304(うた)()しぬ。305土人(どじん)(この)(こゑ)随喜(ずいき)(なみだ)(こぼ)し、306()()つて合掌(がつしやう)したり。307この意味(いみ)は、
308(かみ)(おもて)(あら)はれて、309(ぜん)(あく)とを()()ける、310(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)311(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)312(ただ)何事(なにごと)(ひと)()は、313直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)せ、314()(あやま)ちは()(なほ)せ』
315()宣伝歌(せんでんか)直訳(ちよくやく)なり。316玉治別(たまはるわけ)(この)(しま)神霊(しんれい)(かん)じ、317(にはか)南洋(なんやう)()感得(かんとく)したるなりき。318(その)()一同(いちどう)も、319(のこ)らず(この)(しま)上陸(じやうりく)して神霊(しんれい)(かん)用語(ようご)(さと)りぬ。320されど我慢(がまん)にして猜疑心(さいぎしん)(ふか)高姫(たかひめ)には、321一語(いちご)(かみ)より言葉(ことば)(あた)(たま)はざりしなり。322船中(せんちう)(のこ)らず南洋語(なんやうご)()()り、323(あたか)(つばくろ)()(ごと)く「チーチーパーパー、324キウキウ」の(こゑ)()たされ、325(やうや)くにして(ひと)(じま)のタカ(テーク)の(みなと)無事(ぶじ)上陸(じやうりく)したりける。
326 土人(どじん)(なか)にても(もつと)羽振(はぶり)()いた酋長(しうちやう)のカーチヤンは、327二三(にさん)(にん)供人(ともびと)(とも)(から)うじて(みなと)上陸(じやうりく)するや(いな)や、328黄竜姫(わうりようひめ)(しづ)まる王城(わうじやう)(みやこ)()して、329蜈蚣姫(むかでひめ)一行(いつかう)到着(たうちやく)報告(はうこく)すべく、330一目散(いちもくさん)島内(たうない)(ふか)姿(すがた)(かく)しけり。
331 初稚姫(はつわかひめ)332玉能姫(たまのひめ)333蜈蚣姫(むかでひめ)土人(どじん)手車(てぐるま)()せられて、334(これ)(かつ)ぐやうな体裁(ていさい)で、335「エツサアサア エツサアサア」と()ひながら(みやこ)をさして(おく)られて()く。336玉治別(たまはるわけ)驢馬(ろば)(また)がり、337友彦(ともひこ)(その)()(したが)悠々(いういう)として土人(どじん)一隊(いつたい)(まも)られ(すす)()く。338高姫(たかひめ)非常(ひじやう)侮辱(ぶじよく)虐待(ぎやくたい)()けながら意気(いき)銷沈(せうちん)(てい)にて、339(うら)めしげにとぼとぼと、340どん(あと)から随従(つい)()く。341()(こと)数十丁(すうじつちやう)342前方(ぜんぱう)より(うるは)しき輿(こし)(かつ)ぎ、343騎馬(きば)兵士(つはもの)数十(すうじふ)(にん)344前後(ぜんご)につき()ひ、345威風(ゐふう)堂々(だうだう)として(きた)真先(まつさき)()てる(すぐ)れて()(たか)(をとこ)346馬上(ばじやう)より、
347ブランジー(われ)こそは黄竜姫(わうりようひめ)宰相(さいしやう)348ブランジーと(まを)すもの、349今日(けふ)女王(ぢよわう)(おん)母上(ははうへ)蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)()来臨(らいりん)(うけたま)はり、350これ(まで)(むか)ひのため(まか)()したり。351……サア蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)352この輿(こし)にお()(くだ)さいませ』
353とすすむるにぞ、354蜈蚣姫(むかでひめ)意外(いぐわい)待遇(たいぐう)(うれ)しさ(あま)つて言葉(ことば)得出(えだ)さず差俯(さしうつ)むき()る。355群衆(ぐんしう)(なん)容赦(ようしや)もなく手車(てぐるま)(まま)輿(こし)(そば)(ちか)づき、356御輿(みこし)()()けて、357蜈蚣姫(むかでひめ)()らしめたり。358初稚姫(はつわかひめ)359玉能姫(たまのひめ)土人(どじん)手車(てぐるま)()りしまま輿(こし)(あと)(したが)()く。
360 ()(こと)数十丁(すうじつちやう)361(たちま)黄竜姫(わうりようひめ)城内(じやうない)一同(いちどう)(むか)()れられ、362御輿(みこし)玄関(げんくわん)(まへ)()ゑられける。363(この)(とき)黄竜姫(わうりようひめ)はクロンバーを(したが)玄関(げんくわん)()(あら)はれ、364輿(こし)より()づる蜈蚣姫(むかでひめ)()()り、365(うれ)(なみだ)(たた)へながら(おく)(ふか)姿(すがた)(かく)しけり。366クロンバーは玄関(げんくわん)(たたず)み、367一行(いつかう)姿(すがた)()やりながら、
368クロンバー『ヤアお(まへ)はお(せつ)ぢやないか。369(はつ)370(なん)ぢや(えら)さうに手車(てぐるま)()つて……慢神(まんしん)するにも(ほど)がある。371ヤア田吾作(たごさく)372スマートボールに(はな)(さき)(あか)(をとこ)373ヤア(なん)とした今日(けふ)怪態(けつたい)()だらう。374高山(たかやま)さまも高山(たかやま)さまだ、375なぜコンナ代物(しろもの)(むか)()れたのだらう……それにつけても高姫(たかひめ)さま、376(きつ)(こと)仰有(おつしや)つて(わたし)()()しなさつたが、377(さぞ)今頃(いまごろ)心細(こころぼそ)(おも)うて()なさるだらう、378アヽお哀憫(いと)しい。379コンナ連中(れんちう)()ふのも(いや)だが、380高姫(たかひめ)さまに()うかして一目(ひとめ)()ひたいものだ』
381(ひと)(つぶや)()る。382玉能姫(たまのひめ)383初稚姫(はつわかひめ)はクロンバーに(むか)ひ、
384初稚姫『ヤア貴女(あなた)三五教(あななひけう)黒姫(くろひめ)さまでは御座(ござ)いませぬか、385(わたし)初稚(はつわか)(ござ)います』
386黒姫『ハイ、387左様(さやう)御座(ござ)います。388世間(せけん)(ひろ)いもの、389自転倒(おのころ)(じま)()つて、390(みな)さまに(わら)はれ(そし)られ、391邪魔(じやま)(ばか)りしられて()りましては真実(ほんと)神力(しんりき)()ませぬが、392(この)(ひろ)(しま)(わた)つて()自由(じいう)自在(じざい)神力(しんりき)発揮(はつき)し、393(いま)では(この)(とほ)立派(りつぱ)一国(いつこく)宰相(さいしやう)(きた)(かた)となりました。394(まへ)さまは矢張(やつぱり)言依別(ことよりわけの)(みこと)について自転倒(おのころ)(じま)宣伝(せんでん)(まは)り、395失敗(しつぱい)結果(けつくわ)396(また)ボロイ(こと)があらうかと(おも)つて、397南洋(なんやう)三界(さんかい)(まで)彷徨(さまよ)うて()なさつたのだな。398ウンよしよし、399世界(せかい)(おに)()い。400改心(かいしん)さへ出来(でき)れば黒姫(くろひめ)(たす)けて()げよう。401窮鳥(きうてう)(ふところ)()れば猟師(れふし)(これ)()らずと()(こと)がある。402もうかうなつては今迄(いままで)のやうに()()らずに、403(せつ)……ハイ、404……お(はつ)……ハイ……と()うて黒姫(くろひめ)絶対(ぜつたい)服従(ふくじゆう)をなさるのが()()めぢやぞエ。405……お(まへ)田吾作(たごさく)ぢやないか。406矢張(やつぱり)周章者(あわてもの)周章者(あわてもの)ぢや。407自転倒(おのころ)(じま)ではもう相手(あひて)()くなつたかや。408オホヽヽヽ、409()(どく)(こと)いのう』
410 玉治別(たまはるわけ)(あま)りの侮辱(ぶじよく)にむツとしたが、411堪忍袋(かんにんぶくろ)(おさ)へて素知(そし)らぬ(かほ)にて(わら)()る。412ブランジーの高山彦(たかやまひこ)(うま)(また)がり(なが)ら、
413高山彦『ヤアヤア数多(あまた)人々(ひとびと)414遥々(はるばる)()苦労(くらう)なりしよ。415(しろ)馬場(ばんば)沢山(たくさん)酒肴(しゆかう)用意(ようい)もしてあらば、416自由(じいう)自在(じざい)()()ひしてお(かへ)(くだ)さい』
417 群衆(ぐんしう)はウローウローと()ひながら、418雪崩(なだれ)()つて城門(じやうもん)駆出(かけだ)し、419(ひろ)馬場(ばんば)(なら)べられたる酒肴(さけさかな)舌鼓(したつづみ)をうち、420(ゑひ)(まは)るに()れて(うた)()ひ、421(をど)(くる)ひ、422歓喜(くわんき)(こゑ)天地(てんち)(ゆる)(ばか)りなり。
423 高姫(たかひめ)悄々(しほしほ)として、424(やうや)玄関(げんくわん)(あらは)(きた)り、425黒姫(くろひめ)姿(すがた)()るより、426矢庭(やには)()()獅噛(しが)みつき、
427高姫『アヽ貴女(あなた)黒姫(くろひめ)(さま)428(ひさ)しう御座(ござ)います』
429 また黒姫(くろひめ)は、
430黒姫『アヽ貴女(あなた)高姫(たかひめ)(さま)431()ひたかつた、432(なつ)かしや』
433他所(よそ)()()(はばか)らず、434(たがひ)(いだ)きつき(うれ)(なみだ)()(くも)る。
435 高山彦(たかやまひこ)(うま)()()(その)()(あら)はれ、
436高山彦高姫(たかひめ)さまですか、437(わたくし)高山彦(たかやまひこ)ですよ。438ようまア()(くだ)さいました』
439(なみだ)()(なが)ら、440二人(ふたり)()()(おく)(ふか)(すす)()る。441玉治別(たまはるわけ)442初稚姫(はつわかひめ)443玉能姫(たまのひめ)(その)()一同(いちどう)裏門(うらもん)より(ひそか)(のが)()で、444裏山(うらやま)森林(しんりん)姿(すがた)(かく)(いき)(やす)()たりける。
445大正一一・七・三 旧閏五・九 加藤明子録)

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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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