霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 玉調(たましら)べ〔七八七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻 篇:第2篇 千差万別 よみ:せんさばんべつ
章:第5章 玉調べ よみ:たましらべ 通し章番号:787
口述日:1922(大正11)年07月23日(旧閏05月29日) 口述場所: 筆録者:谷村真友 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年6月20日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
麻邇の宝珠公開日の当日、八尋殿に役員信者は溢れるばかりに集まり来たり、型の如く祭りも無事に終了した。上段の間には杢助をはじめとして英子姫、五十子姫、梅子姫、初稚姫、玉能姫、お玉の方、最高座には玉照彦と玉照姫が控えていた。
亀彦、音彦、国依別の幹部連、秋彦、常彦、夏彦をはじめ、英子姫と相並んで黄竜姫、蜈蚣姫、テールス姫が末端に控え、友彦は幹部の上席に顔を並べていた。
高姫、黒姫、高山彦は群集を掻き分けて、今日の玉検分役として意気揚々と盛装を凝らしてやって来て、英子姫よりも一段上座に着いた。
総務の杢助が立って挨拶をなした。杢助は本日言依別教主が病気で欠席の旨を一同に告げ、また自分は神業のために働きたいと思うところがあり、総務の後任に淡路島の東助を推薦しておいたと述べ、拍手を浴びた。
杢助は初稚姫、玉能姫、五十子姫、梅子姫を伴って社殿の奥深く進み、黄金の鍵で宝座を開くと、各々一個の柳箱を差し上げて高座に現れ、段上に行儀よく据えた。
高姫は段上にすっくと立って一同を見回し、演説を始めた。そして宝珠を三五教の宣伝使たちに授けたのも日の出神と竜宮の乙姫の慈悲であり、それがわからぬようでは三五教の神政の仕組は到底わからないと嘯いた。
そしてまず、黄色の玉の検めに取り掛かった。お民とテールス姫を傍らに立たせ、柳箱の紐をほどいて取ると、中に入っていたのは団子石であった。
よくよく見れば石には、「高姫・黒姫の身魂はこのとおり、改心せねば元の黄金色のたまには戻らぬぞ」と文字が記されていた。高姫は顔色烈火のごとくになり、お民とテールス姫に食ってかかった。
玉治別が高姫に口を出していなす。群集はわいわいと騒ぎ出したが、国依別は、今日は高姫と黒姫の身魂調べであり、最前高姫が言ったとおり、自身に懸る日の出神と竜宮の乙姫が仕組んだことだから、と呼びかけた。
高姫は仕方なく、今度は久助と友彦を呼んで、白色の玉の検めを始めた。中はやはり団子石で、同様の文字が記されていた。またしても群集は騒ぎ出した。国依別は、これは玉を扱った人の身魂が写ったのだと述べ立てた。
黒姫は国依別をたしなめて、これは玉を授かった久助と友彦の身魂のせいだと反論した。友彦は怒って、黒姫の首筋を取って叱り付けた。高山彦は友彦を掴んで段上から突き落とそうとしたが、友彦が体をかわしたため、高山彦が落ちてしまった。
大勢は高山彦を介抱しながら、黒姫館にかついで運んで行った。杢助は、友彦にも退場を命じた。友彦はそれにしたがって会場を後にした。高姫は杢助に文句を言い、お民、テールス姫、久助にも退場を言い渡すが、杢助が何事も自分の責任だからとその場をおさめた。
高姫は仕方なく次の玉を検めたが、結果は同じだった。玉治別は立ち上がって、せっかく竜宮島の聖地から苦労して持ち帰った宝玉を、高姫・黒姫が駄目にしたと怒って食ってかかった。
高姫は軽くいなして、今度は黄竜姫に当たりだした。黄竜姫はきっとして、高姫・黒姫に改心を促すが、高姫はせせら笑っている。
蜈蚣姫と玉能姫の玉検めになると、高姫は二人を口汚く罵り、箱の蓋を開けた。そこには黒い消し炭玉が入っていた。高姫は蜈蚣姫と玉能姫を罵りながら怒っている。
最後に紫の玉の検めを行うことになった。高姫はもうだいぶ嫌気がさしていたが、杢助に促されて、梅子姫と初稚姫を呼び、蓋を開いた。すると四方に輝くダイアモンドのごとき紫の光が射し、高姫もあっと驚いて後ずさりした。一同の拍手する音は雨霰のごとく会場に響いた。
そこへ佐田彦と波留彦があわてて走ってきて、杢助に注進した。言依別教主が消えてしまい、後に書置きが残してあったという。杢助が開いてみると、そこには、麻邇の宝珠の青、赤、黄、白の四個をはじめ、三個の宝玉、都合七個を訳有ってある地点に隠した、とあった。
そして、決してこのたびのことは玉の関係者のあずかり知ることではない、とあった。また杢助を総務の職から解任し、後任に淡路島の東助を任じるとあった。
また言依別命自身は、いつ聖地に帰るか未定であり、決して後を追ってはならないと書いてあった。杢助は黙然としてはらはらと涙を流し、千万無量の感に打たれる如くであった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:99頁 八幡書店版:第5輯 278頁 修補版: 校定版:104頁 普及版:44頁 初版: ページ備考:
001(あふ)げば(たか)久方(ひさかた)
002高天原(たかあまはら)若宮(わかみや)
003地上(ちじやう)(うつ)(たてまつ)
004大宮柱(おほみやばしら)太知(ふとし)りて
005高天原(たかあまはら)千木(ちぎ)(たか)
006(つか)(まつ)りし珍館(うづやかた)
007(にしき)(みや)(つら)なりし
008稜威(みいづ)(ひろ)八尋殿(やひろどの)
009英子(ひでこ)(ひめ)(はじ)めとし
010梅子(うめこ)(ひめ)五十子姫(いそこひめ)
011初稚姫(はつわかひめ)玉能姫(たまのひめ)
012音彦(おとひこ)亀彦(かめひこ)(はじ)めとし
013杢助(もくすけ)総務(そうむ)(その)(ほか)
014役員(やくゐん)信者(しんじや)粛々(しゆくしゆく)
015八尋(やひろ)殿(との)()(きた)
016(はや)くも殿(との)内外(うちそと)
017(あふ)るるばかりなりにけり。
018 かたの(ごと)(まつ)りも無事(ぶじ)終了(しうれう)した。019上段(じやうだん)()には杢助(もくすけ)総務(そうむ)(はじ)めとし、020英子姫(ひでこひめ)021五十子姫(いそこひめ)022梅子姫(うめこひめ)023初稚姫(はつわかひめ)024玉能姫(たまのひめ)025(たま)(かた)026最高座(さいかうざ)には玉照彦(たまてるひこ)027玉照姫(たまてるひめ)(ひか)へられ、028亀彦(かめひこ)029音彦(おとひこ)030国依別(くによりわけ)幹部連(かんぶれん)031秋彦(あきひこ)032夏彦(なつひこ)033常彦(つねひこ)(はじ)め、034英子姫(ひでこひめ)相並(あひなら)んで黄竜姫(わうりようひめ)035蜈蚣姫(むかでひめ)036テールス(ひめ)末端(まつたん)(ひか)へ、037友彦(ともひこ)幹部(かんぶ)上席(じやうせき)(かほ)(なら)べて()た。038群集(ぐんしふ)()けて意気(いき)揚々(やうやう)(のぼ)(きた)高姫(たかひめ)039黒姫(くろひめ)040高山彦(たかやまひこ)三人(さんにん)は、041今日(けふ)玉調(たましら)べの神務(しんむ)奉仕(ほうし)(やく)として、042盛装(せいさう)()らし、043英子姫(ひでこひめ)よりも一段(いちだん)上座(じやうざ)()いた。
044杢助(もくすけ)(わたくし)(もと)より鈍魂劣器(どんこんれつき)至愚(しぐ)至痴(しち)なる身魂(みたま)持主(もちぬし)御座(ござ)いまして、045総務(そうむ)なぞをお(つと)(まを)(がら)ではありませぬが、046神命(しんめい)(もだ)(がた)(こころ)ならずも拝命(はいめい)(いた)し、047皆様(みなさま)のお(たす)けに()つて御用(ごよう)一端(いつたん)(つと)めさして(いただ)いて()りますは、048()れも(まつた)皆様(みなさま)御同情(ごどうじやう)のお(かげ)(あつ)感謝(かんしや)(いた)します。049(つい)ては(わたくし)(すこ)しく(おも)(ところ)あつて、050神界(しんかい)()めに、051もう一働(ひとはたら)(いた)したう御座(ござ)いまするので、052後任者(こうにんしや)推薦(すいせん)(いた)して()きました。053教主様(けうしゆさま)今日(けふ)急病(きふびやう)でお引籠(ひきこ)もりで御座(ござ)いますから、054御意見(ごいけん)(うかが)(こと)出来(でき)ませぬが、055(わたくし)後任者(こうにんしや)として淡路島(あはぢしま)東助様(とうすけさま)を、056御苦労(ごくらう)(あづか)りたいと(おも)うて、057内々(ないない)(うかが)ひは()して御座(ござ)います。058()きましては、059今日(けふ)(じつ)にお目出度(めでた)日柄(ひがら)御座(ござ)いまして、060竜宮島(りうぐうじま)より、061聞及(ききおよ)びの(とほ)り、062五色(いついろ)麻邇宝珠(まにほつしゆ)(をさ)まり、063言依別命(ことよりわけのみこと)(さま)()(かく)御主管(ごしゆくわん)なされて()られましたが、064今日(こんにち)065高姫(たかひめ)066黒姫(くろひめ)のお取調(とりしらべ)(ねが)ひ、067信者(しんじや)一同(いちどう)拝観(はいくわん)をさせよと、068教主(けうしゆ)のお言葉(ことば)御座(ござ)いますから、069(その)心算(つもり)で、070ゆつくりと御拝観(ごはいくわん)(ねが)ひます。071(ふたた)拝観(はいくわん)する(こと)出来(でき)ぬので御座(ござ)いますから、072(この)(さい)充分(じゆうぶん)御神徳(ごしんとく)(いただ)かれる(やう)に、073一寸(ちよつと)一言(ひとこと)申上(まをしあ)げて()きます』
074 一同(いちどう)雨霰(あめあられ)のごとく拍手(はくしゆ)する。075杢助(もくすけ)初稚姫(はつわかひめ)076玉能姫(たまのひめ)077五十子姫(いそこひめ)078梅子姫(うめこひめ)(ともな)ひ、079社殿(しやでん)(おく)(ふか)(すす)み、080黄金(わうごん)(かぎ)をもつて(かたはら)宝座(ほうざ)(ひら)き、081(おのおの)一個(いつこ)柳筥(やなぎばこ)を、082頭上(づじやう)(たか)()()げながら、083静々(しづしづ)八尋殿(やひろどの)高座(かうざ)(あら)はれ、084五個(ごこ)柳筥(やなぎばこ)は、085段上(だんじやう)行儀(ぎやうぎ)()()ゑられた。
086 高姫(たかひめ)段上(だんじやう)にスツクと()ち、087一同(いちどう)見廻(みまは)(なが)ら、
088高姫(たかひめ)(みな)さま、089今日(こんにち)(まこと)結構(けつこう)なお日柄(ひがら)御座(ござ)います。090今迄(いままで)(みづ)御霊(みたま)三種(みくさ)神宝(かむだから)此処(ここ)(をさ)まり、091今日(けふ)(また)(いづ)御霊(みたま)五色(いついろ)神宝(かむだから)無事(ぶじ)(をさ)まり、092皆様(みなさま)拝観(はいくわん)光栄(くわうえい)(よく)さるる空前絶後(くうぜんぜつご)第一(だいいち)吉祥日(きちしやうび)御座(ござ)います。093神様(かみさま)引掛(ひつか)(もど)しのお経綸(しぐみ)をなさいますから、094肝腎(かんじん)(いづ)御霊(みたま)(たて)(あと)()し、095(みづ)(よこ)(さき)()したり、096変幻出没(へんげんしゆつぼつ)究極(きうきよく)(べか)らざる(こと)(あそ)ばすのは、097皆様(みなさま)御承知(ごしようち)(こと)御座(ござ)いませう。098今日(こんにち)(まで)()つの御玉(みたま)(わたし)(ども)南洋(なんやう)あたりまで、099捜索(そうさく)()つたと(まを)すのは、100(けつ)して左様(さやう)緯役(よこやく)(たま)(もと)めに()つたのではありませぬ。101(たま)には随分(ずゐぶん)モンスターの憑依(ひようい)するものでありますから、102(この)高姫(たかひめ)()()つのお(たから)(さが)(やう)()せて、103(その)(はう)(すべ)ての精神(せいしん)(てん)じさせ、104(その)(とき)()出神(でのかみ)105竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)()になるお方様(かたさま)が、106(ひと)(じま)(ひと)のよう()かない()うな秘密郷(ひみつきやう)諏訪(すは)(みづうみ)(ふか)(かく)し、107さうして仕組(しぐみ)(あそ)ばして御座(ござ)(こと)は、108最初(さいしよ)から我々(われわれ)両人(りやうにん)熟知(じゆくち)する(ところ)109(いや)仕組(しぐ)んで()(ところ)御座(ござ)います。110今日(こんにち)初稚姫(はつわかひめ)111玉能姫(たまのひめ)112黄竜姫(わうりようひめ)113梅子姫(うめこひめ)114蜈蚣姫(むかでひめ)(その)()五人(ごにん)神司(かむづかさ)に、115(この)御用(ごよう)をさせたのも()出神(でのかみ)仁慈無限(じんじむげん)のお取計(とりはか)らひと、116竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(さま)御慈悲(おじひ)ですよ。117それが(わか)らぬ(やう)では、118三五教(あななひけう)五六七(みろく)神政(しんせい)仕組(しぐみ)到底(たうてい)119(わか)るものではありませぬ。120(さいは)ひに賢明(けんめい)なる英子姫(ひでこひめ)121(やや)改心(かいしん)出来(でき)言依別命(ことよりわけのみこと)神務(しんむ)奉仕(ほうし)至誠(しせい)(あら)はれて、122竜宮(りうぐう)麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)聖地(せいち)(をさ)まる(こと)出来(でき)(やう)になり、123(それ)受取(うけと)()調(しら)べるお(やく)(とく)(この)高姫(たかひめ)124黒姫(くろひめ)両人(りやうにん)(いた)すべきもので御座(ござ)います。125()つて只今(ただいま)より御玉(みたま)(あらた)めを(いた)しますから、126(みな)さま、127(つつし)んで拝観(はいくわん)なさるが(よろ)しい。128(みつ)つの御玉(みたま)はどうならうとも(わたし)()りませぬ。129今度(こんど)(いつ)つの御玉(みたま)こそ肝腎要(かんじんかなめ)大望(たいまう)御神業(ごしんげふ)大事(だいじ)のお(たから)130(つい)ては玉治別(たまはるわけ)(その)()半研(はんみが)けの身魂(みたま)取扱(とりあつか)つたのですから、131(すこ)しは(けが)れて()ないかと心配(しんぱい)(いた)して()るので御座(ござ)います。132身魂(みたま)相応(さうおう)(たま)(ひかり)(あら)はれるのですから、133(じつ)(こは)いもので御座(ござ)いますよ。134サアサ()れから、135(たみ)(あづか)つてテールス(ひめ)手渡(てわた)した、136黄色(きいろ)(たま)(はこ)から()して調(しら)べる(こと)(いた)しませう。137……黒姫(くろひめ)さま、138御苦労(ごくらう)ながら一寸(ちよつと)これへお()(くだ)さい。139さうしてお(たみ)さま、140テールス(ひめ)さま、141貴女(あなた)直接(ちよくせつ)関係者(くわんけいしや)142此処(ここ)にお(ひか)へなされ』
143 『ハイ』と(こた)へて両人(りやうにん)高姫(たかひめ)(かたはら)立寄(たちよ)る。144高姫(たかひめ)(くち)()(むす)び、145柳筥(やなぎばこ)桂馬結(けいまむす)びの(ひも)(ほど)き、146(うやうや)しく玉函(たまばこ)(ささ)げ、147八雲琴(やくもごと)調子(てうし)(あは)して体躯(からだ)(ゆす)り、148手拍子(てべうし)()りながら、149機械(きかい)人形(にんぎやう)()うに柳筥(やなぎばこ)(ふた)を、150シヤツチンシヤツチンと()つて()た。151黄色(きいろ)(たま)()るかと(おも)ひきや、152(なか)より団子石(だんごいし)がゴロリと()た。153よくよく()れば(なに)文字(もじ)(しる)してある。154高姫(たかひめ)(まゆ)(ひそ)光線(くわうせん)にすかし()てるに、155高姫(たかひめ)156黒姫(くろひめ)身魂(みたま)(この)(とほ)り、157改心(かいしん)(いた)さねば(もと)黄金色(わうごんいろ)(たま)にはならないぞ」と(しる)されてあつた。158高姫(たかひめ)顔色(がんしよく)烈火(れつくわ)(ごと)く、159(こゑ)(ふる)はせ、
160高姫(たかひめ)『コレお(たみ)さま、161テールス(ひめ)さま、162(まへ)さま(たち)(えら)さうな(つら)をして、163海洋万里(かいやうばんり)(ひと)(じま)まで(なに)しに()つて()つたのだ。164アタ阿呆(あはう)らしい。165コンナ(たま)なら小雲川(こくもがは)には邪魔(じやま)になるほどあるぢやありませぬか』
166(たみ)『ハイ、167()んな(たま)御座(ござ)います』
168高姫(たかひめ)()んな(たま)もこんな(たま)もありますかい。169(まへ)身魂(みたま)感化(かんくわ)()つて、170折角(せつかく)(たま)もこんな(こと)になつて仕舞(しま)つた。171……コレ、172ジヤンナの土人(どじん)阿婆摺女(あばずれをんな)テールス(ひめ)とやら、173(なん)(ざま)だ、174これは……阿呆(あはう)らしい、175(はや)改心(かいしん)なされ』
176テールス(ひめ)『ハイハイ改心(かいしん)(いた)します。177どうしてマアこんな(たま)になつちやつたのだらう、178いやな(こと)
179黒姫(くろひめ)『それだから(みづ)御霊(みたま)(うつ)(やす)いと()ふのだ』
180玉治別(たまはるわけ)(みづ)御霊(みたま)(うつ)(やす)いと仰有(おつしや)つたが、181これは(いづ)御玉(みたま)ぢやありませぬか』
182黒姫(くろひめ)(いづ)れも(うつ)(やす)身魂(みたま)だ』
183玉治別(たまはるわけ)『そんなら貴女(あなた)身魂(みたま)(うつ)つたのでせう。184どれどれ、185(わたし)調(しら)べて()ませう』
186高姫(たかひめ)『お(かま)ひなさんな。187(まへ)さまの()うな瓢六玉(へうろくだま)()ようものなら、188ただの(たま)になつて(しま)ひます』
189 群集(ぐんしふ)はワイワイと(さわ)()した。
190 国依別(くによりわけ)段上(だんじやう)()つて、
191国依別(くによりわけ)(みな)さま、192(さわ)ぎなさるな。193今日(けふ)玉調(たましら)べは高姫(たかひめ)さま、194黒姫(くろひめ)さまの身魂(みたま)調(しら)べも同様(どうやう)ですから、195(けつ)してテールス(ひめ)やお(たみ)さまの身魂(みたま)(くろ)いのではありませぬ。196最前(さいぜん)高姫(たかひめ)さまが仰有(おつしや)つた(とほ)り、197(なん)()うても御両人(ごりやうにん)が、198自分(じぶん)でお仕組(しぐみ)なさつたのですから心配(しんぱい)()りませぬ。199(みんな)()(ひと)心々(こころこころ)(うつ)りますから……如意宝珠(によいほつしゆ)200(また)()(ひと)随意々々(まにまに)()はるから麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)といふのです。201(これ)本物(ほんもの)(ちが)ひありませぬ。202どうぞお(さわ)ぎなさらない(やう)(ねが)ひます。203一度(いちど)高姫(たかひめ)さまのメンタルテストをやる必要(ひつえう)がありますからなア』
204高姫(たかひめ)『コレ(くに)さま、205(まへ)さま、206ゴテゴテ()資格(しかく)がありますか』
207国依別(くによりわけ)『ありますとも、208そんなら何故(なぜ)(わたし)生田(いくた)(もり)で、209(たま)所在(ありか)()らせ()らせと()つたのですか』
210高姫(たかひめ)『お(まへ)さまの()(こと)は、211チツトより信用(しんよう)出来(でき)ぬ。212ブラツクリストに登録(とうろく)されて()注意(ちうい)人物(じんぶつ)だ。213(だま)りなさい』
214国依別(くによりわけ)高姫署(たかひめしよ)のブラツクリストに(しる)されて()(わたし)でも、215チツト(くらゐ)信用(しんよう)出来(でき)るのですか。216(わたし)(また)(おほ)いに信用(しんよう)出来(でき)ぬと仰有(おつしや)ると(おも)つたに……それはさうとして(つぎ)白色(はくしよく)(たま)(はや)調(しら)べて()せて(くだ)さい』
217高姫(たかひめ)八釜(やかま)しう()ひなさるな。218(まへ)さまがツベコベ(くちばし)()れると、219(また)(たま)変化(へんくわ)するかも()れませぬぞ。220エヽ(けがら)はしい。221其方(そつち)()つて(くだ)さい。222……サア今度(こんど)久助(きうすけ)さま、223友彦(ともひこ)さま、224(まへ)さま(たち)責任(せきにん)だ。225(はや)此処(ここ)へお入来(いで)なさい』
226 両人(りやうにん)は「ハイ」と()ひながら高姫(たかひめ)左右(さいう)()()うた。227高姫(たかひめ)(また)もや以前(いぜん)(ごと)く、228(うやうや)しく柳筥(やなぎばこ)(ひら)いて()た。229(なか)には(まへ)同様(どうやう)団子石(だんごいし)同様(どうやう)(こと)()いてある。230高姫(たかひめ)()(むす)んだ(くち)をポカンと()けて(しば)見詰(みつ)めて()た。231群集(ぐんしふ)(また)もやワイワイ(さわ)()した。232国依別(くによりわけ)(また)もや段上(だんじやう)()(あが)り、
233国依別(くによりわけ)(みな)さま、234(さわ)ぎなさいますな。235コリヤこれも屹度(きつと)以前(いぜん)(とほ)団子石(だんごいし)ですよ。236(まる)(きつね)つままれた()うですが、237これも(こころ)随意々々(まにまに)変化(へんくわ)する(たま)ですから、238(おどろ)くに(およ)びませぬ。239小人(せうじん)(たま)(いだ)いて(つみ)ありと()うて、240どんな立派(りつぱ)(たま)でも小人物(せうじんぶつ)(いら)うと、241(その)(つみ)(すぐ)(うつ)つて団子石(だんごいし)になるのですから、242団子石(だんごいし)だと()うて(ちから)(おと)してはなりませぬぞ。243これでも身魂(みたま)(みが)けたお(かた)()れば本真物(ほんまもの)になります』
244黒姫(くろひめ)『コレコレ(くに)さま、245いらぬ(こと)仰有(おつしや)るお(まへ)こそ小人(せうじん)だ。246(まへ)(やう)小人(せうじん)()るものだから、247(この)(とほ)(たま)変化(へんくわ)する。248(わたし)竜宮(りうぐう)久助(きうすけ)(わた)した(とき)は、249こんなものぢや()かつた。250久助(きうすけ)友彦(ともひこ)慢心(まんしん)身魂(みたま)(うつ)つてこんなに変化(へんくわ)したのですよ。251大勢(おほぜい)(まへ)に、252此様(こんな)身魂(みたま)ですと(さら)されて、253(まこと)(まこと)にお()(どく)(さま)ですけれどもお(あきら)めなされ』
254 友彦(ともひこ)(おほ)いに(いか)()をつり()げながら、255黒姫(くろひめ)頸筋(くびすぢ)をグツと(にぎ)()め、
256友彦(ともひこ)『コラ黒姫(くろひめ)257失敬(しつけい)(こと)()ふか、258大勢(おほぜい)(まへ)(ひと)身魂(みたま)悪口(わるくち)()うと()(こと)があるものか』
259 (つめ)()びた()頸筋(くびすぢ)をグツと()()(ほど)(つか)(おさ)へつける。260黒姫(くろひめ)は「キーキー」と()(なが)(その)()蹲踞(しやが)む。261(そば)()高山彦(たかやまひこ)友彦(ともひこ)襟髪(えりがみ)をグツと()り、262段上(だんじやう)から()(おと)さうとした途端(とたん)に、263友彦(ともひこ)(たい)をパツとかはした。264高山彦(たかやまひこ)(ふた)()空中(くうちう)廻転(くわいてん)をして、265群集(ぐんしふ)(なか)(うな)りを()てて()ちて()た。266「サア大変(たいへん)」と大勢(おほぜい)()つて(かか)つて介抱(かいほう)をし(なが)ら、267(いた)さに(うめ)高山彦(たかやまひこ)(かつ)いで、268黒姫館(くろひめやかた)にドヤドヤと(おく)つて()く。
269国依別(くによりわけ)黒姫(くろひめ)さま、270(まこと)にお()(どく)(こと)御座(ござ)いました。271貴女(あなた)(さぞ)(はら)()ちませう。272(また)高山彦(たかやまひこ)(おも)はぬ御災難(ごさいなん)(まこと)御心配(ごしんぱい)でせう。273(しか)(なが)此処(ここ)神様(かみさま)(まへ)274滅多(めつた)(こと)御座(ござ)いませぬから御安心(ごあんしん)なさいませ』
275黒姫(くろひめ)(なに)から(なに)まで、276何時(いつ)もお(かま)(くだ)さいまして、277……ヘン……お有難(ありがた)御座(ござ)いますワイなア』
278(かた)(くび)をカタカタと(ゆす)つて()る、279(その)容態(ようたい)(にく)らしさ。
280杢助(もくすけ)友彦(ともひこ)殿(どの)281今日(けふ)職権(しよくけん)(もつ)退場(たいぢやう)(めい)じます』
282友彦(ともひこ)仕方(しかた)がありませぬ。283御命令(ごめいれい)(したが)自宅(じたく)(ひか)(めい)()ちまする。284立腹(りつぷく)(あま)り、285ツイツイ粗怱(そそう)(いた)しました』
286(かへ)()く。287(あと)見送(みおく)りて黒姫(くろひめ)(かた)(なか)(くび)(みみ)(あた)りまで石亀(いしがめ)(やう)突込(つつこ)んで仕舞(しま)ひ、288(あご)()したり引込(ひつこ)めたり、289(した)(くちびる)でチヨツと()んで、290(なん)とは()しに嘲弄(てうろう)気分(きぶん)(あら)はして()た。
291高姫(たかひめ)杢助(もくすけ)さま、292どうも()しからぬぢやありませぬか。293折角(せつかく)如意宝珠(によいほつしゆ)(たま)をこんな(こと)にして仕舞(しま)うとは、294一体(いつたい)全体(ぜんたい)(わけ)(わか)らぬぢやありませぬかい。295(この)責任(せきにん)(たれ)にありますか。296……久助(きうすけ)さま、297(たみ)さま、298テールス(ひめ)さま、299こんな不調法(ぶてうはふ)をして()いて、300よう安閑(あんかん)として()れますな。301(この)高姫(たかひめ)三人(さんにん)(たい)退場(たいぢやう)(めい)じます。302よもや杢助(もくすけ)さま、303(これ)(むか)つて違背(ゐはい)()りますまいな』
304杢助(もくすけ)何事(なにごと)責任(せきにん)(わたくし)()りますから、305三人(さんにん)のお(かた)はどうぞ此処(ここ)(うご)かずに()(くだ)さい』
306 三人(さんにん)一度(いちど)に「ハイ」と俯向(うつむ)く。
307高姫(たかひめ)『エヽそんなら(とき)天下(てんか)(したが)へだ、308もう(なに)()ひますまい。309(これ)から青玉(あをだま)だ。310……サア玉治別(たまはるわけ)311黄竜姫(わうりようひめ)(さま)312此処(ここ)にお()でなさい。313さうして久助(きうすけ)さま、314(もと)()にお(かへ)りめされツ』
315(やや)甲声(かんごゑ)()()げながら、316(また)もや(れい)(ごと)調査(てうさ)し、317(うやうや)しく玉筥(たまばこ)(ふた)()つて()た。318高姫(たかひめ)(かほ)(また)もや(くち)(とが)()した。319(した)中凹(なかくぼ)()いて二三分(にさんぶ)ばかり(くちびる)(ほか)()し、320(くび)(みぎ)(はう)(かた)げて()白黒(しろくろ)させ、321両手(りやうて)(ひら)いて(ちち)(あた)りで行儀(ぎやうぎ)()く、322(あふぎ)(ひろ)げた(やう)にパツとさせ、323(こし)(ふた)()()つて()る。324玉治別(たまはるわけ)()れを(なが)めて、
325玉治別(たまはるわけ)『これ高姫(たかひめ)326黒姫(くろひめ)327矢張(やつぱり)(まへ)さまお二人(ふたり)改心(かいしん)()らぬ。328海洋万里(かいやうばんり)竜宮(りうぐう)(ひと)(じま)の、329秘密郷(ひみつきやう)諏訪(すは)湖水(こすゐ)から聖地(せいち)高天原(たかあまはら)(まで)330万里(ばんり)天空(てんくう)八咫烏(やあたがらす)()せられ捧持(ほうぢ)して(かへ)つた結構(けつこう)(たま)を、331黒鷹(くろたか)身魂(みたま)(うつ)つて()んなに変化(へんくわ)さしよつたのだ。332玉治別(たまはるわけ)承知(しようち)(いた)しませぬぞツ』
333今度(こんど)反対(はんたい)高姫(たかひめ)()つて(かか)る。
334高姫(たかひめ)『へー(うま)(こと)仰有(おつしや)いますワイ。335肝腎要(かんじんかなめ)水晶玉(すいしやうだま)高姫(たかひめ)(のぞ)いて、336(たま)変化(へんくわ)する道理(だうり)何処(どこ)()りますか。337(まへ)さまがあんまり慢心(まんしん)して御用(ごよう)した御用(ごよう)したと、338法螺(ほら)()くものだから()んな(こと)になつたのだ。339……コレ小糸(こいと)どん、340(この)醜態(ざま)(なん)だいな。341これで立派(りつぱ)御用(ごよう)(つと)まつたのですかい。342本当(ほんたう)(あき)れてものが()へませぬワイ。343これ小糸(こいと)どん、344どうして(くだ)さる。345結構(けつこう)(たま)悪身魂(あくみたま)(うつ)して、346(まへ)さまは神界(しんかい)のお邪魔(じやま)(いた)曲者(くせもの)だよ。347童女(どうぢよ)(くせ)(だい)(をとこ)をアフンとさせる(やう)悪党者(あくたうもの)だから、348(たま)御用(ごよう)出来(でき)さうな道理(だうり)がない。349(わし)(はじ)めから、350(まへ)(たま)御用(ごよう)をしたと()いた(とき)351フフーと惟神的(かむながらてき)(はな)から(いき)()ました。352()出神(でのかみ)(はら)(なか)から(わら)うて御座(ござ)つたのだ』
353 黄竜姫(わうりようひめ)(きつ)となり、354高姫(たかひめ)さま』と(こゑ)(ちから)()れ、
355黄竜姫(わうりようひめ)『ソレは(あま)りの御言葉(おことば)ではありませぬか。356貴女(あなた)御身魂(おみたま)さへ本当(ほんたう)にお(みが)けになれば、357本当(ほんたう)(たま)がお()()るのですよ。358屹度(きつと)359神様(かみさま)がお(かく)しになつたのだが、360御自分(ごじぶん)(こころ)から御立替(おたてかへ)(あそ)ばせ。361さうすれば、362本当(ほんたう)麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)がお()にお(はい)(あそ)ばすのでせう』
363高姫(たかひめ)(なん)()つても立派(りつぱ)御弁舌(ごべんぜつ)364高姫(たかひめ)()()()げませぬ。365オホヽヽヽ』
366(かた)(ゆす)(また)(あご)をしやくる。
367玉治別(たまはるわけ)『モシモシ黄竜姫(わうりようひめ)さま、368斯様(かやう)没分暁漢(わからずや)のお()アさま(れん)相手(あひて)になつて()つても(つま)りませぬから、369もう()めて()きませう』
370 黄竜姫(わうりようひめ)はニタリと(わら)ひながら、
371黄竜姫(わうりようひめ)『ハイ、372さう(いた)しませう』
373(もと)()(かへ)る。
374高姫(たかひめ)『アノマアお(なか)()(こと)ワイの。375ホヽヽヽヽ、376(わか)(をとこ)(をんな)には監視(かんし)()けて()かにや険難(けんのん)だワイ』
377 杢助(もくすけ)苦虫(にがむし)()(つぶ)した()うな(かほ)をして、378厳然(げんぜん)として無言(むごん)(まま)(ひか)へて()る。
379高姫(たかひめ)『コレ杢助(もくすけ)さま、380(まへ)(えら)さうに総務面(そうむづら)をして御座(ござ)つたが、381今日(けふ)目算(もくさん)ガラリと(はづ)れただらう。382アノマア(こは)(かほ)ワイなア』
383杢助(もくすけ)『アハヽヽヽ、384(なん)だか()らぬが面白(おもしろ)(こと)御座(ござ)るワイ。385アハヽヽヽ』
386高姫(たかひめ)『コレ黒姫(くろひめ)さま、387(しつか)りなさらぬかいな。388一向(いつかう)元気(げんき)()いぢやないか。389(まへ)竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(たま)持主(もちぬし)ぢやないか。390此奴等(こいつら)(みつ)つまで此様(こん)(こと)にしられて、391それを平気(へいき)でようまア、392()られますな』
393黒姫(くろひめ)『ハイ何分(なにぶん)心配(しんぱい)御座(ござ)いますので』
394高姫(たかひめ)『ウン、395さうだとも さうだとも、396高山彦(たかやまひこ)さまがエライお怪我(けが)をなさつたから、397御心配(ごしんぱい)になるのも御無理(ごむり)(まを)しませぬが、398もう(しば)らくだ、399辛抱(しんばう)して(くだ)さい。400さうしたら無事(ぶじ)解放(かいはう)して()げます。401……コレコレお(せつ)402(まへ)()つて(かへ)つた赤玉(あかだま)(これ)から調(しら)べるのだから、403蜈蚣姫(むかでひめ)さまも此処(ここ)御出(おい)でなさい。404(まへ)さまも随分(ずゐぶん)魔谷ケ岳(まやがだけ)(わたし)(たい)して(ゆみ)()いたり、405国城山(くにしろやま)悪口(わるくち)()ひました。406(さき)(まを)して()きますよ。407()(この)赤玉(あかだま)団子石(だんごいし)になつて()つたら、408どうなさいますか』
409蜈蚣姫(むかでひめ)何事(なにごと)惟神(かむながら)(まか)した(わたし)410どうすると()(わけ)()きませぬ。411神様(かみさま)御処置(ごしよち)(ねが)(まで)です。412乍併(しかしながら)高姫(たかひめ)さまの指図(さしづ)(だん)じて()けませぬ。413左様(さやう)御心得(おこころえ)(ねが)ひます』
414(ひと)(くぎ)()す。415高姫(たかひめ)(また)(くち)()(むす)桂馬結(けいまむす)びの(ひも)()き、
416高姫(たかひめ)『サアお(せつ)417地獄(ぢごく)(かま)一足飛(いつそくとび)だ。418(まへ)(なが)らくの苦労(くらう)(はな)()くか、419(みづ)(あわ)になつて(しま)うか、420禍福(くわふく)吉凶(きつきよう)幸禍(かうくわ)瀬戸(せと)(うみ)ぢやぞい。421瀬戸(せと)(うみ)(おも)()したが、422ようも馬鹿(ばか)にして(くだ)さつた。423(たす)けてやつたなぞと(けつ)して(おも)つては()ますまいな。424エー(なに)をメソメソと()えて()るのだ。425()(あと)(わる)い、426(わる)(あと)()いと()(こと)があるから、427何月(いつ)月夜(つきよ)(ばか)りは()りませぬぞ。428チツとばかし都合(つがふ)(わる)いと()つて(かほ)(しか)める(やう)では、429どうして立派(りつぱ)玉能姫(たまのひめ)()はれますか』
430口汚(くちぎたな)(ののし)(なが)ら、431柳筥(やなぎばこ)(ふた)をパツと()けた。
432高姫(たかひめ)黒姫(くろひめ)さま、433一寸(ちよつと)御覧(ごらん)434(なん)だか(この)(たま)(くろ)いぢやありませぬか』
435 黒姫(くろひめ)一寸(ちよつと)(のぞ)()む。
436黒姫(くろひめ)『ホンニホンニ、437蜈蚣姫(むかでひめ)さまの()うに(くろ)(たま)だなア。438コリヤ大方(おほかた)蜈蚣(むかで)身魂(みたま)(うつ)つて、439(あか)(はず)(たま)(くろ)くなつたのだらう』
440玉能姫(たまのひめ)黒姫(くろひめ)さまも随分(ずゐぶん)(しろ)くありませぬから、441どちらのがお(うつ)(あそ)ばしたか(わか)りますまい。442オホヽヽヽ』
443高姫(たかひめ)(また)しても(また)しても(ろく)でもない、444コリヤ消炭玉(けしずみだま)だ。445道理(だうり)で、446ちと(かる)いと(おも)つて()つた。447アカ阿呆(あはう)らしい。448モウ玉調(たましら)べは御免(ごめん)(かうむ)りませうかい』
449とプリンプリン(おこ)つて()る。
450杢助(もくすけ)御苦労(ごくらう)ですがモウ(ひと)(むらさき)(たま)をお調(しら)べを(ねが)ひます』
451高姫(たかひめ)『エー杢助(もくすけ)さま、452(また)かいなア』
453(うる)(さう)()(なが)ら、454万一(まんいつ)(のぞ)みを最後(さいご)(むらさき)(たま)(しよく)して()た。455国依別(くによりわけ)一同(いちどう)(むか)ひ、
456国依別(くによりわけ)『モシモシ(みな)さま、457モウ(ひと)つになりました。458(なに)()つても手品(てじな)上手(じやうづ)高姫(たかひめ)さまで御座(ござ)いますから、459(みづ)()にしたり()(みづ)にしたり、460(いし)(たま)にして()んだり()いたり、461(しま)ひには(てん)()にしたりなさいます。462天一(てんいち)手品(てじな)よりはお上手(じやうづ)ですから、463(その)心算(つもり)(しつか)りとお()にとめられます(やう)(ねが)ひまアす。464東西(とうざい)々々(とうざい)
465 高姫(たかひめ)はクワツと(いか)り、
466高姫(たかひめ)神聖(しんせい)なる八尋殿(やひろどの)(おい)(なん)()(こと)()ふのか。467此処(ここ)寄席(よせ)では()りませぬぞい。468(たふと)(たふと)神様(かみさま)のお(しづ)まり(あそ)ばす(にしき)(みや)八尋殿(やひろどの)では()りませぬか』
469国依別(くによりわけ)八尋殿(やひろどの)だからといつて、470手品(てじな)(わる)道理(だうり)()りますか。471(げん)にお(まへ)さま手品(てじな)をして()途中(とちう)です。472そんな(こと)()うと自縄自縛(じじやうじばく)()ちますぞ。473二十世紀(にじつせいき)(ごろ)三五教(あななひけう)五六七殿(みろくでん)でさへも劇場(げきぢやう)(こしら)へてやつて()るぢやありませぬか。474(わけ)(わか)らぬ(こと)()ふものぢや()りませぬ』
475高姫(たかひめ)『それだから(みづ)御霊(みたま)()(かた)は、476(みだ)れた()(かた)だと神様(かみさま)仰有(おつしや)るのだよ。477アアモウ(この)(たま)調(しら)べるのが(いや)になつた。478(また)初稚姫(はつわかひめ)梅子姫(うめこひめ)さまに(はぢ)をかかすのが()(どく)だから、479こりやもう()けない(こと)にして()かう』
480杢助(もくすけ)(この)(たま)是非(ぜひ)調(しら)べて(いただ)きたい。481神様(かみさま)(わが)()482他人(ひと)()(へだ)ては()いと仰有(おつしや)るのだから、483神素盞嗚尊(かむすさのをのみこと)御娘御(おむすめご)梅子姫(うめこひめ)(さま)と、484杢助(もくすけ)(むすめ)初稚姫(はつわかひめ)485依估贔屓(えこひいき)したと()はれてはなりませぬから、486どうぞ(この)()でお調(しら)べを(ねが)ひませう』
487高姫(たかひめ)『エーエー仕方(しかた)がないなア。488本当(ほんたう)にイヤになつちまつた。489そんなら、490マアマも一苦労(ひとくらう)(いた)しませう。491……梅子姫(うめこひめ)さま、492(はつ)さま、493サア(はや)此処(ここ)()るのだよ』
494(やや)自棄気味(やけぎみ)になり言葉(ことば)せはしく()()てる。495言下(げんか)梅子姫(うめこひめ)496初稚姫(はつわかひめ)莞爾(くわんじ)として高姫(たかひめ)(そば)()()うた。497高姫(たかひめ)(また)もや柳筥(やなぎばこ)(ふた)をチヤツと(ひら)いた。498(たちま)四方(あたり)(かがや)くダイヤモンドの(ごと)(むらさき)(ひか)り、499流石(さすが)高姫(たかひめ)もアツと(おどろ)いて二足三足(ふたあしみあし)(あと)()つた。500黒姫(くろひめ)()(あが)つて(よろこ)び、501(おも)はず()をうつた。502一同(いちどう)拍手(はくしゆ)する(こゑ)503雨霰(あめあられ)(ごと)(ぢやう)(そと)(とほ)(ひび)いた。
504高姫(たかひめ)『お(はつ)505イヤ初稚姫(はつわかひめ)さま、506梅子姫(うめこひめ)さま、507手柄(てがら)手柄(てがら)508矢張(やつぱ)りお(まへ)(がた)身魂(みたま)綺麗(きれい)だと()えますワイ。509……杢助(もくすけ)さま、510(まへ)さま中々(なかなか)()()()つたものぢや。511ヤレヤレ(これ)(ひと)安心(あんしん)512(あと)()つは四足魂(よつあしみたま)(けが)されて(しま)うた。513(みづ)御魂(みたま)のやうに(うつ)麻邇(まに)(たま)だから、514田吾作(たごさく)515久助(きうすけ)516(たみ)517友彦(ともひこ)518黄竜姫(わうりようひめ)519蜈蚣姫(むかでひめ)520テールス(ひめ)521(せつ)(これ)から、522百日(ひやくにち)百夜(ひやくや)小雲川(こくもがは)水行(すゐぎやう)をなさい。523さうすれば(もと)(たま)還元(くわんげん)するだらう。524(いや)といつても(この)高姫(たかひめ)(ぎやう)をさせて(もと)(ひか)りを()さねば()くものかい』
525 七人(しちにん)はアフンとして(あたま)()いて()る。526其処(そこ)(はし)つて()たのは佐田彦(さだひこ)527波留彦(はるひこ)両人(りやうにん)であつた。
528佐田彦(さだひこ)杢助(もくすけ)さまに申上(まをしあ)げます。529今朝(けさ)より言依別命(ことよりわけのみこと)(さま)御病気(ごびやうき)仰有(おつしや)つて、530御引籠(おひきこも)りになつておいでなさいましたが、531(あま)りお(しづ)かですから、532ソツと障子(しやうじ)()けて(なか)這入(はい)つて()れば、533(はぎ)(つくゑ)(うへ)斯様(かやう)()()きがして御座(ござ)いました』
534()(わた)す。535杢助(もくすけ)(ひら)いてこれを()れば、
536(この)(たび)(あを)537(あか)538()539(しろ)四個(よんこ)宝玉(ほうぎよく)(はじ)三個(さんこ)(たま)540(みつ)()(あは)せて都合(つがふ)七個(しちこ)541言依別命(ことよりわけのみこと)都合(つがふ)あつて、542(ある)地点(ちてん)(かく)()いたり、543(かなら)(かなら)玉能姫(たまのひめ)544玉治別(たまはるわけ)545黄竜姫(わうりようひめ)(その)()(この)(たま)関係者(くわんけいしや)(あづか)()(ところ)(あら)ず。546(しか)(なが)杢助(もくすけ)(ねが)ひの(ごと)総務(そうむ)(しよく)(めん)じて、547淡路(あはぢ)東助(とうすけ)(もつ)総務(そうむ)となす。548言依別(ことよりわけ)何時(いつ)聖地(せいち)(かへ)るか、549(その)時期(じき)未定(みてい)なり。550(かなら)(わが)(あと)()(きた)(なか)れ』
551()いてあつた。552杢助(もくすけ)黙然(もくねん)として(なみだ)をハラハラと(なが)し、553千万無量(せんまんむりやう)(かん)()たるるものの(ごと)くであつた。
554大正一一・七・二三 旧閏五・二九 谷村真友録)