霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一一章 茶目式(ちやめしき)〔七九三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻 篇:第3篇 神仙霊境 よみ:しんせんれいきょう
章:第11章 第27巻 よみ:ちゃめしき 通し章番号:793
口述日:1922(大正11)年07月25日(旧06月02日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年6月20日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
三人は谷川に流されていく。常楠は、ハーリス山頂のご神業参加に急がねばならず、さりとて三人を救わねば命が危うく、やや迷っていたが、ご神業は遅れても参加できようが、三人の命は急を要すると腹を決め、島人を指揮して下流に三人を追っていった。
谷川がやや広く浅くなった場所で、人々は三人を救い上げて人工呼吸を施し、水を吐かせて反魂歌を歌って蘇生させた。常楠は三人を槻の大樹に送って介抱させ、自らは言依別、若彦を追って山頂に登って行った。
国依別、チャール、ベースの三人はようやく元気回復してきたが、竜神の柿を食ったせいか、腹が膨れてきて苦しみ出した。国依別は大蛇退散と言って、天の数歌を繰り返すと、腹は元のとおりに治って苦しさが収まった。国依別は神恩に感謝し、祝詞を上げた。
国依別はチャールとベースのためにも出任せの歌を歌いながら祈願をこらした。すると二人の腹も元のとおりに治ってしまった。島人たちはこの神力に驚き、国依別に合掌した。
国依別はチャール、ベースと共に大神に全快を感謝する祝詞を唱えると、足を早めてハーリス山に登り、力いっぱい宣伝歌を歌いながら言依別命一行を追って行った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm2711
愛善世界社版:182頁 八幡書店版:第5輯 308頁 修補版: 校定版:188頁 普及版:81頁 初版: ページ備考:
001言依別(ことよりわけ)(したが)ひて
002ハーリス(ざん)(のぼ)()
003国依別(くによりわけ)はその途中(とちう)
004(たに)(むか)ふに(うる)はしく
005(えだ)もたわわに(みの)りたる
006太平柿(たいへいがき)()るよりも
007(にはか)食欲(しよくよく)勃発(ぼつぱつ)
008空腹(くうふく)まぎれに道端(みちばた)
009芭蕉(ばせう)()をば敷具(しきぐ)とし
010悠々(いういう)端坐(たんざ)なし(なが)
011弥勒如来(みろくによらい)のその(ごと)
012左手(ゆんで)(もも)にチヨイと()
013右手(めて)(こぶし)(にぎ)りつつ
014食指(ひとさしゆび)()()して
015無言(むごん)(まま)谷底(たにそこ)
016太平柿(たいへいがき)(ゆび)さしつ
017(つづ)いて(わが)(くち)(わが)(はら)
018幾度(いくたび)となく指示(さししめ)
019チヤール、ベースや(その)(ほか)
020木登(きのぼ)上手(じやうず)(ひと)あらば
021谷間(たにま)()えて攀上(よぢのぼ)
022さも(うま)さうな()(かき)
023われに一二個(いちにこ)(たてまつ)
024(くち)()はねど仕方(しかた)にて
025(しき)りに(しめ)可笑(をか)しさよ
026ハーリス(ざん)竜神(りうじん)
027餌食(ゑじき)としたる太平柿(たいへいがき)
028野心(やしん)(おこ)人々(ひとびと)
029一個(いつこ)なりとも()るならば
030(たちま)(かみ)御怒(みいか)りに
031()れて腹部(ふくぶ)膨張(ばうてう)
032(つひ)には(へび)()()みて
033生命(いのち)(はた)すと(きこ)えたる
034危険(きけん)(きは)まる果実(くわじつ)なり
035国依別(くによりわけ)食欲(しよくよく)
036(さかん)(おこ)()(たて)
037(たま)らぬままに常楠(つねくす)
038()つて()れよと(うなが)せば
039常楠(つねくす)不安(ふあん)(かん)じつつ
040()むを()ずして供人(ともびと)
041チヤール、ベースに命令(めいれい)
042国依別(くによりわけ)要求(えうきう)
043(みた)しやらんと()(くば)
044チヤール、ベースは生神(いきがみ)
045託宣(たくせん)(いな)むに(よし)()
046(つる)(さが)つて絶壁(ぜつぺき)
047谷間(たにま)(くだ)激流(げきりう)
048(なか)(うか)べる岩頭(がんとう)
049()()()()(むか)(がは)
050(やうや)(わた)りて(かき)()
051(いだ)いて(そら)(なが)むれば
052(うま)さうな(にほひ)がプンプンと
053二人(ふたり)(はな)をついて()
054(たちま)二人(ふたり)()(けつ)
055(ましら)(ごと)攀上(よぢのぼ)
056(かひこ)(むし)(くは)()
057()ひつくす(ごと)小口(こぐち)から
058(あか)熟柿(じゆくし)むしり()
059ものをも()はず大口(おほぐち)
060(ひら)いて頬張(ほほば)可笑(をか)しさよ
061(あま)りの(うま)さに両人(りやうにん)
062(おの)役目(やくめ)忘却(ばうきやく)
063一生懸命(いつしやうけんめい)むしり()
064遮二無二(しやにむに)(くち)()()めば
065(たちま)(ふく)れた布袋腹(ほていばら)
066(いき)をスウスウ(はづ)ませつ
067(ふぐ)木登(きのぼ)りした(やう)
068怪体(けたい)姿(すがた)となりにけり
069国依別(くによりわけ)打仰(うちあふ)
070(ひと)つでよいから(うま)(やつ)
071(おと)して()れと()ばはれど
072馬耳東風(ばじとうふう)両人(りやうにん)
073生命(いのち)()らずに()つて()
074国依別(くによりわけ)(おも)ふやう
075三五教(あななひけう)(かみ)(のり)
076(かなら)(ひと)(たよ)るなよ
077わが()(こと)(わが)()にて
078やらねばならぬと()(なが)
079芭蕉葉(ばせうば)(せき)立上(たちあが)
080(ましら)(ごと)断崖(だんがい)
081(つる)(ちから)谷底(たにぞこ)
082(やうや)(くだ)対岸(むかふぎし)
083(かき)大木(おほき)(いだ)きつき
084(のぼ)りついたる(いち)(えだ)
085ここに(いき)をば(やす)めつつ
086眼下(がんか)()ればいと(たか)
087激流(げきりう)飛沫(ひまつ)水煙(みづけむり)
088水声(すゐせい)轟々(ぐわうぐわう)(すさま)じく
089(きも)()かるる(ばか)りなり
090頭上(づじやう)二人(ふたり)右左(みぎひだり)
091(ましら)(ごと)()()ひて
092五臓六腑(ござうろつぷ)()ける(まで)
093生命(いのち)()らずに()つてゐる
094国依別(くによりわけ)(たま)りかね
095(あやふ)(ところ)(のぼ)らねば
096(うま)熟柿(じゆくし)()へないと
097生命(いのち)(まと)細枝(ほそえだ)
098つかまり(なが)漸々(やうやう)
099(ひと)つの熟柿(じゆくし)をむしり()
100天下(てんか)無上(むじやう)珍味(ちんみ)ぞと
101(くち)にふくめば(たちま)ちに
102(はら)はふくれて()(いき)
103(やうや)(くる)しくなりにけり
104(かき)根元(ねもと)見下(みお)ろせば
105亀甲形(きつかふがた)斑紋(はんもん)ある
106大蛇(をろち)(むれ)数多(かずおほ)
107()(いか)らして(のぼ)()
108その形相(ぎやうさう)(すさま)じさ
109進退(しんたい)(ここ)(きは)まりて
110国依別(くによりわけ)()(けつ)
111(うん)をば(てん)(まか)せつつ
112生死(せいし)(ほか)超越(てうゑつ)
113激潭(げきたん)飛沫(ひまつ)青淵(あをぶち)
114目蒐(めが)けて飛込(とびこ)(はな)(わざ)
115ザンブと(ばか)水煙(みづけぶり)
116()つよと()()国依別(くによりわけ)
117姿(すがた)水泡(みなわ)()()せぬ
118チヤール、ベースの両人(りやうにん)
119(のぼ)(きた)れる(へび)()
120(おそ)(をのの)国依別(くによりわけ)
121(うづ)(みこと)飛込(とびこ)みし
122青淵(あをぶち)目蒐(めが)けて飛込(とびこ)めば
123これ(また)姿(すがた)()えにけり
124(この)有様(ありさま)()(あた)
125(なが)めて()たる常楠(つねくす)
126四五(しご)土人(どじん)供人(ともびと)
127(おどろ)周章(あわて)ワイワイと
128(たに)(なが)れに沿()(なが)
129三人(みたり)姿(すがた)何処(いづこ)ぞと
130右往左往(うわうさわう)奔走(ほんそう)
131(くる)(まは)るぞ是非(ぜひ)なけれ
132谷間(たにま)(わた)(かぜ)(おと)
133いと轟々(ぐわうぐわう)()(すさ)
134言依別(ことよりわけ)若彦(わかひこ)
135(かか)(こと)とは()らずして
136三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)
137(こゑ)(すず)しく(うた)ひつつ
138(たに)(つた)ひて(おく)(ふか)
139(あし)(はや)めて(すす)()く。
140 常楠(つねくす)此処(ここ)(おい)(まよ)はざるを()なかつた。141肝腎要(かんじんかなめ)御神業(ごしんげふ)参加(さんか)せざればならず、142(また)国依別(くによりわけ)以下(いか)(たす)けなくては人間(にんげん)(みち)()たず………。
143常楠(つねくす)『あゝ如何(どう)したらよからうか。144末代(まつだい)一度(いちど)(この)御神業(ごしんげふ)(はづ)しても国依別(くによりわけ)その(ほか)(たす)けねばならぬであらうか。145それだと()つて、146国依別(くによりわけ)生命(いのち)もヤツパリ(ひと)つだ。147グズグズして()れば取返(とりかへ)しのつかない(こと)になつて(しま)ふ。148彼方(あちら)(つく)せば此方(こちら)(すく)(こと)出来(でき)ぬ。149此方(こちら)(すく)はんとすれば、150大切(たいせつ)御神業(ごしんげふ)放棄(はうき)せねばならず。151神様(かみさま)御命令(ごめいれい)(もつと)(おも)く、152人命(じんめい)(また)(じつ)大切(たいせつ)である』
153 ()やせん(かく)やせんと(しばら)くは四五間(しごけん)(あひだ)(のぼ)りつ、154(くだ)りつ処置(しよち)(まよ)うてゐた。
155常楠(つねくす)『アヽ、156グヅグヅしてゐると、157一方(いつぱう)(いき)()()まつて(しま)ふ。158御神業(ごしんげふ)半時(はんとき)一時(ひととき)(おく)れたとこで(つと)まらない(こと)()い。159オーさうだ。160国依別(くによりわけ)(たす)ける(はう)本当(ほんたう)だらう』
161独語(ひとりごと)()(なが)ら、162土人(どじん)(こゑ)のする(はう)(たづ)ねて谷川(たにがは)(つた)ひ、163灌木(くわんぼく)()けて(くだ)つて()く。
164 四五丁(しごちやう)下流(しも)(あた)つて四五人(しごにん)供人(ともびと)(こゑ)(かぎ)りに、
165『アレヨ アレヨ』
166とさざめいてゐる。167()れば(みつ)つの(くろ)(かげ)168()きつ(しづ)みつ激流(げきりう)(なが)されて(くだ)()く。169何分(なにぶん)両方(りやうはう)(かべ)(ごと)(いは)170容易(ようい)近寄(ちかよ)(こと)出来(でき)ない。171常楠(つねくす)大声(おほごゑ)()げて、
172常楠(つねくす)下流(しも)へ 下流(しも)へ』
173()ばはり(なが)ら、174一目散(いちもくさん)下流(かりう)()して十丁(じつちやう)(ばか)駆出(かけだ)した。
175 此処(ここ)には谷川(たにがは)(やや)(ひろ)展開(てんかい)(みづ)余程(よほど)(あさ)くなり(なが)れも(また)(ゆる)やかになつて、176川底(かはぞこ)小砂利(こじやり)(まで)がハツキリ()えて()る。177常楠(つねくす)(はじ)四五(しご)供人(ともびと)はザブザブと(かは)飛入(とびい)り、178(なが)(きた)三人(さんにん)身体(からだ)(ひろ)()げんと横梯陣(わうていぢん)(つく)つて()つてゐる。
179 (やうや)(なが)れついたのは国依別(くによりわけ)180(つづ)いて二人(ふたり)無事(ぶじ)此処(ここ)(なが)れて()た。181(おのおの)一人(ひとり)肉体(にくたい)二人(ふたり)(づつ)手分(てわ)けして(きし)引上(ひきあ)げ、182(みづ)()かせ、183種々(いろいろ)人工(じんこう)呼吸(こきふ)(ほどこ)した(すゑ)184常楠(つねくす)老人(らうじん)皺嗄(しわが)(ごゑ)()()(なが)ら、185反魂歌(はんこんか)繰返(くりかへ)繰返(くりかへ)高唱(かうしやう)した。186国依別(くによりわけ)(やうや)くにして手足(てあし)(うご)かし()した。187常楠(つねくす)(かほ)(たちま)(かがや)()めた。188(また)もや二人(ふたり)(むか)つて反魂歌(はんこんか)数歌(かずうた)(とな)()げるや、189(やうや)くにして二人(ふたり)蘇生(そせい)した。190一同(いちどう)(よろこ)びは(たと)ふるに(もの)なきまでであつた。191常楠(つねくす)命令(めいれい)()つて国依別(くによりわけ)(その)()天然(てんねん)ホテルの槻木(つきのき)洞穴(どうけつ)(おく)り、192土人(どじん)介抱(かいほう)させ()(なが)ら、193常楠(つねくす)(とき)(おく)れては一大事(いちだいじ)と、194(つか)れた(おい)(あし)(ひき)ずり(なが)ら、195多羅(たら)()(つゑ)(ちから)にハーリス(ざん)谷間(たにま)()がけて(ふたた)(のぼ)()く。
196 国依別(くによりわけ)197チヤール、198ベースの三人(さんにん)(やうや)元気(げんき)恢復(くわいふく)した。199されど竜神(りうじん)(かき)()つた天罰(てんばつ)か、200(はら)追々(おひおひ)膨張(ばうてう)して臨月(りんげつ)(をんな)(やう)になつて()た。201チヤール、202ベースの二人(ふたり)は、203ゴロリゴロリと身体中(からだぢう)(まる)くなつて(まり)のやうに(ころ)(まは)(くる)しみ(なが)ら、
204チヤール『モシモシ、205国依別神(くによりわけのかみ)(さま)206(なん)とかして(くだ)さいな』
207国依別(くによりわけ)『マア()つて()れ。208(おれ)(はら)から(なほ)さなくちやならないのだ』
209チヤール『(もと)貴方(あなた)(ため)に、210()んな()()つたのですから、211(たす)けて(いただ)かねばつまりませぬ。212(なん)だか(はら)(なか)大蛇(をろち)()がウヨウヨして()るやうに(くる)しくて(たま)りませぬワ。213大蛇(をろち)赤児(あかご)出産(しゆつさん)するや(いな)や、214男女(だんぢよ)区別(くべつ)なく即座(そくざ)()んで(しま)うと()ふことです。215これ()(くる)しくては()んだ(はう)(まし)だが、216()んでもつまらない。217(うち)には女房(にようばう)()(のこ)つてゐる。218(なん)とかして(はや)(たす)けて(もら)はねば、219追々(おひおひ)(くる)しくなつて()ました』
220国依別(くによりわけ)『いやしさに世間(せけん)(はぢ)かき()
221(はら)ふくれても大蛇(だいじや)あるまい』
222二度(にど)くり(かへ)口吟(くちずさ)み、223自分(じぶん)(はら)拳骨(げんこつ)(かた)めて(みつ)()(なぐ)りつけ、
224国依別(くによりわけ)大蛇(をろち)225退散(たいさん)々々(たいさん)
226()(をは)つて、227(あま)数歌(かずうた)(ちから)(かぎ)りに(くる)しき(いき)をつき(なが)奏上(そうじやう)した。228不思議(ふしぎ)今迄(いままで)脹満(てうまん)のやうにふくれてゐた国依別(くによりわけ)腹部(ふくぶ)は、229(もと)(ごと)くに(なほ)り、230(いき)平常(へいぜい)(とほ)りになつて()た。231国依別(くによりわけ)(ただ)ちに天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、232感謝(かんしや)祈願(きぐわん)言葉(ことば)(とな)へて神恩(しんおん)(なみだ)(なが)らに感謝(かんしや)するのであつた。
233 チヤール、234ベースの二人(ふたり)は、235断末魔(だんまつま)(やう)(こゑ)()して、236ウンウンと(かた)(いき)をし(なが)(うめ)いてゐる。237その惨状(さんじやう)()()てられぬ(ばか)りであつた。
238 国依別(くによりわけ)両人(りやうにん)(ため)一生懸命(いつしやうけんめい)汗水(あせみづ)()らして感謝(かんしや)祈願(きぐわん)をしてゐる。
239国依別(くによりわけ)竜神(りうじん)(かき)()布袋(ほてい)になつチヤール
240(はら)(たちま)ヘースなるらん。
241(かき)()つて()ればヘースが(あた)りまへ
242(はら)ふくれチヤール道理(だうり)わからぬ。
243チヤール、ヘース、国依別(くによりわけ)諸共(もろとも)
244(あま)はらから(くだ)りけるかな。
245ハラハラと(なみだ)(なが)してはら()
246(かき)(ぬす)んだ(はら)いせに()ひ。
247(はら)()てども仕方(しかた)なし
248竜神(りうじん)(はら)()てたのか
249(なんぢ)(よこ)(なが)(やつ)
250(はら)()(とほ)しもならうまい
251高天原(たかあまはら)にあれませる(もも)(かみ)たち
252大海原(おほうなばら)にあれませる速秋津姫神(はやあきつひめのかみ)
253はら(なや)みを(はら)(たま)(きよ)(たま)
254ハラハラと()()(あめ)(そら)()れて
255大蛇(をろち)(そら)()(わた)りけり。』
256(くち)から出任(でまか)せの腰折(こしを)(うた)(うた)(なが)ら、257チヤール、258ベースの()(なか)にチヨコナンと(すわ)り、259両人(りやうにん)布袋腹(ほていばら)両方(りやうはう)()()(まは)して()る。260薄紙(うすがみ)()いだ(やう)二人(ふたり)(はら)漸次(ぜんじ)容積(ようせき)(げん)じて()た。
261国依別(くによりわけ)『それ()たか女房(にようばう)()でるふぐ(はら)
262オツトドツコイ
263それ()たか国依(くにより)なでる(かき)ぱら
264天津神(あまつかみ)国津神(くにつかみ)はら(たま)(きよ)(たま)
265高山(たかやま)伊保理(いほり)短山(ひきやま)伊保理(いほり)
266かき()けて聞召(きこしめ)せよ
267これが(めくら)(かき)のぞき
268節季(せつき)()たぞ節季(せつき)()たぞ
269かき()かき()
270四月(しぐわつ)二月(にぐわつ)死際(しにぎは)ではないぞ
271(いま)二人(ふたり)生命(いのち)瀬戸際(せとぎは)
272万劫末代(まんごうまつだい)()(どほ)
273皇大神(すめおほかみ)(まも)()
274仮令(たとへ)大蛇(だいじや)(ひそ)むとも
275大蛇(だいじや)あるまい二人(ふたり)()
276あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
277御霊(みたま)(さち)はひましまして
278チヤール、ベースが(くる)しみを
279片時(かたとき)(はや)(すく)はせ(たま)
280その(みなもと)(たづ)ぬれば
281国依別(くによりわけ)より()でし(こと)
282(つみ)(まつた)(わが)()にあれば
283何卒(なにとぞ)(はや)両人(りやうにん)(はら)ひすぼらせ(もと)元気(げんき)恢復(くわいふく)せしめ(たま)
284あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
285一生懸命(いつしやうけんめい)(あせ)みどろになつて祈念(きねん)(なが)両手(りやうて)にて、286両人(りやうにん)(はら)()()ろした。287神徳(しんとく)(たちま)(あら)はれ、288二人(ふたり)半時(はんとき)(あま)りの(あひだ)(もと)(ごと)くになつて(しま)つた。289四五(しご)供人(ともびと)国依別(くによりわけ)祈願(きぐわん)()つて(たちま)全快(ぜんくわい)せし(こと)感歎(かんたん)し、290(おのおの)(くち)(そろ)へて、
291国依別(くによりわけ)生神様(いきがみさま)
292合掌(がつしやう)するのであつた。
293 国依別(くによりわけ)大神(おほかみ)にチヤール、294ベースと(とも)感謝(かんしや)祝詞(のりと)(そう)(をは)り、295(あし)(はや)めて(ふたた)びハーリス(ざん)()して(のぼ)()く。296国依別(くによりわけ)道々(みちみち)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)元気(げんき)旺盛(わうせい)八人連(はちにんづ)れにて、297言依別(ことよりわけ)(のぼ)りたる場所(ばしよ)辿(たど)(すす)()く。
298国依別(くによりわけ)朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
299(つき)()つとも()くるとも
300仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
301(まこと)(ちから)()(すく)
302(かみ)御稜威(みいづ)()(あた)
303わが改心(かいしん)言霊(ことたま)
304(ちから)()りて三柱(みはしら)
305(たふと)御子(みこ)(すく)はれぬ
306あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
307御霊(みたま)(さち)はひましまして
308一時(いちじ)(はや)片時(かたとき)
309言依別(ことよりわけ)若彦(わかひこ)
310(かみ)(みこと)御前(おんまへ)
311(みちび)(たま)へハーリスの
312(やま)(まも)らす高津神(たかつかみ)
313不知不識(しらずしらず)(あやま)ちを
314直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
315(たす)(たま)ひし竜神(たつがみ)
316(めぐ)みを感謝(かんしや)(たてまつ)
317常楠翁(つねくすをう)(いま)何処(いづこ)
318(さだ)めて吾等(われら)進退(しんたい)
319言依別(ことよりわけ)御前(おんまへ)
320完全(うまら)詳細(つばら)()()へて
321(いま)三人(みたり)(わら)(ぐさ)
322(もり)木霊(こだま)(ひび)くらん
323(てん)(ふう)じて(そそ)()
324老木林(おいきばやし)(たに)(みち)
325(すす)吾等(われら)(すず)しさよ
326()太平(たいへい)(かき)なれど
327乱痴気(らんちき)(さわ)ぎの(この)始末(しまつ)
328太乱柿(たいらんがき)()をつけて
329以後(いご)(いまし)何人(なにびと)
330(この)(かき)(ばか)りは()はぬ(やう)
331(しるし)()てて()かうかな
332いや()(しば)()(しば)
333太平柿(たいへいがき)(いにし)ママより
334()てはならぬと里人(さとびと)
335よつく承知(しようち)(うへ)なれば
336(わし)(やう)なる周章者(あわてもの)
337よもや一人(ひとり)(この)(しま)
338(かなら)()んで()らうまい
339そんな(こと)して(ひま)()
340肝腎要(かんじんかなめ)神業(しんげふ)
341ガラリ(はづ)れて(しま)うたら
342聖地(せいち)(かへ)玉照彦(たまてるひこ)
343(いづ)(みこと)玉照姫(たまてるひめ)
344(みづ)(みこと)御前(おんまへ)
345どうして()(わけ)()つものか
346国依別(くによりわけ)今日(けふ)よりは
347(こころ)(そこ)から立直(たてなほ)
348茶目式(ちやめしき)からかひ薩張(さつぱり)
349()めて真面目(まじめ)になりませう
350天然(てんねん)ホテルの入口(いりぐち)
351若彦(わかひこ)常楠(つねくす)両人(りやうにん)
352(むか)つて茶目式(ちやめしき)発揮(はつき)なし
353ハーリス(ざん)竜神(たつがみ)
354()けた女神(めがみ)(いつは)つて
355(えつ)()つたるその(ばち)
356(にはか)にこんな失敗(しつぱい)
357(かみ)から()ひつけられたのだ
358あゝ(おく)れしか(おく)れしか
359(さぞ)今頃(いまごろ)言依別(ことよりわけ)
360(かみ)(つかさ)若彦(わかひこ)
361常楠(つねくす)さまと諸共(もろとも)
362(ひと)()かけによらぬもの
363国依別(くによりわけ)宣伝使(せんでんし)
364立派(りつぱ)(やつ)ぢやと(おも)うたに
365(かみ)(きん)じた(かき)()
366(たに)()ちこみ(ひと)()
367かかつて(すく)はれ(なん)(ざま)
368(かみ)(つかさ)()(なが)
369有名無実(いうめいむじつ)のタワケ(もの)
370チヤール、ベースの両人(りやうにん)
371(けつ)して(つみ)はない(ほど)
372(くち)(いや)しい国依(くにより)
373わけ(わか)からぬその(ため)
374あれ(だけ)(くるし)()()うた
375常楠(つねくす)さまの報告(はうこく)
376ヤツと安心(あんしん)したものの
377可哀相(かはいさう)なは両人(りやうにん)ぢや
378国依別(くによりわけ)神勅(しんちよく)
379(そむ)いて(かみ)冥罰(めいばつ)
380()つたのなれば()うならうと
381仮令(たとへ)()んでも(かま)はない
382二人(ふたり)(やつ)(たす)けたい
383なぞと今頃(いまごろ)三人(さんにん)
384(くび)(あつ)めてひそびそと
385小田原評定(をだはらへうぢやう)最中(さいちう)だろ
386あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
387御霊(みたま)(さち)(かうむ)りて
388空中(くうちう)飛行(ひかう)曲芸(きよくげい)
389うまく(えん)じた吾々(われわれ)
390(かげ)生命(いのち)別条(べつでう)なく
391シヤンシヤンここ(まで)やつて()
392言依別(ことよりわけ)若彦(わかひこ)
393よもやこれ(だけ)達者(たつしや)ぞと
394(おも)()めては()られまい
395其処(そこ)へヌツクリ(かほ)()せば
396()んだ(わが)()(わが)(いへ)
397(わら)つて(かへ)つて()たやうに
398(よろこ)(いさ)んで()れるだろ
399オツトドツコイ()()ぎた
400(また)茶目式(ちやめしき)になりかけた
401直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
402()(なほ)しませ天津神(あまつかみ)
403国津御神(くにつみかみ)御前(おんまへ)
404国依別(くによりわけ)生命(せいめい)
405(たす)けられたる(うれ)しさに
406感謝(かんしや)(うた)(たてまつ)
407()()(あし)()むところ
408()らずと()ふは(この)(こと)
409(あんま)(うれ)しうて持前(もちまへ)
410茶目(ちやめ)()()脱線(だつせん)
411不都合(ふつがふ)(こと)()ひました
412幾重(いくへ)にも御詫(おわび)(まを)します
413朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
414(つき)()つとも()くるとも
415仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
416今度(こんど)(こと)懲々(こりこり)
417毛筋(けすぢ)(はば)横幅(よこはば)
418(そむ)かず(かみ)御教(みをしへ)
419(かなら)(まも)(たてまつ)
420あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
421御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
422元気(げんき)(まか)せて(こゑ)(たか)らかに(うた)(なが)ら、423足並(あしなみ)(そろ)へて(おく)(おく)へと(すす)()く。
424大正一一・七・二五 旧六・二 外山豊二録)