霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一五章 情意投合(じやういとうがふ)〔七九七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻 篇:第4篇 竜神昇天 よみ:りゅうじんしょうてん
章:第15章 第27巻 よみ:じょういとうごう 通し章番号:797
口述日:1922(大正11)年07月27日(旧06月04日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年6月20日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
虻公(清彦)と蜂公(照彦)は、生田の森の館で駒彦より、言依別命教主が琉球に出かけたこと、それを追って高姫が船出したことを聞いた。
言依別命から清彦、照彦という名を授かって準宣伝使に抜擢されていた二人は、教主への忠心から、高姫が教主を妨害してはならじと、取るものも取り合えず、舟に乗って琉球に船出した。
途中、児島半島の沖合いの暗礁で難船している二人を発見し、救い出してみれば、これは比沼真奈井に仕えていた清子姫と照子姫であった。
四人は荒波を漕ぎぬけて、琉球の那覇の港に安着し、何ものにか引かれるように槻の木の大きな洞穴にやってきた。
照子姫と清子姫の祖先は行成彦命であり、四代目の孫に当たる。神勅を受けて豊国姫命が比沼真奈井に出現するに先立って現れ、比治山に草庵を結んで時を待っていたのであった。
過去にはウラナイ教時代の黒姫に出くわしていろいろ教理を聞かされ誘われたこともあったが、反駁もせずかといって付かず、表面上服従していたのみであった。
四人の男女は長い航海の間に、密かにお互いに意中の人を定めていた。清子姫と清彦、照子姫と照彦は互いに想いあっていたが、それを口に出さずにそれぞれ互いに胸中に秘めたままとしていた。
四人はここに一夜を明かすことにした。洞穴の中が整っていることから、ここは琉球の立派な酋長の住処かもしれないので、夜は清彦と照彦が交代で見張りに立つことにした。
一行はまず火をつけて、道々採ってきた木の実で夕食を済ませることにした。清彦は雑談のうちに、独身生活は不便なものだから、照彦は清子姫と夫婦になったら媒酌をしてやるのだが、と話を向けた。
清子姫、照彦はお互いに別に意中の人がいる風に答えた。そして照彦は逆に、照子姫と清彦が夫婦となったらどうか、と話を向けた。すると照子姫は、単刀直入に自分の意中の人は照彦だと明かした。
清子姫も、自分の意中の人は清彦だと明かす。四人がこのような話をしていると、洞穴の入口に二三人の話し声が聞こえてきた。清彦はそれが高姫一行だと気がつき、入口の方に偵察に行った。
高姫、春彦、常彦はおそるおそる入口から中をうかがいながら、お互いに先に入って様子を見てくるようにと譲り合っている。高姫は、言依別がすべての玉を持って高砂島へ渡り、高砂島の国王となる陰謀だと独り合点して、言依別命の改心を勝手に祈り、必死に祈願を凝らしている。
その様子に清彦は思わず噴出してしまう。清彦は声色を変えて高姫一行をからかった後、名乗り出た。高姫は相手が清彦たちだとわかると、俄かに勇気づいて春彦・常彦を引き連れて、清彦が止めるのも構わずに奥に入って行った。
高姫は、照彦が二人の美人を共に居るのを見て名乗った。清子姫と照子姫は手を付いて自己紹介をなした。高姫は、おおかた照彦と清彦が二人をかどわかしたか、たぶらかしたのだろう、と悪口を並べ立てる。
清彦が怒って高姫の胸倉をつかんだのを、照彦がひとしきりからかって間に割って入った。高姫は憤慨して、こんな乱暴な男をどう思うか、清子姫と照子姫に尋ねるが、案に相違して二人は、照彦・清彦が意に沿う方だと口にする。
高姫は言依別命がここに来たかと執念深く聞き出そうとする。一同は高姫を追い払おうと、すでに言依別命は琉球の玉を手に入れて台湾を経て、南米の高砂島に渡ったと答えて高姫の気をそらした。
高姫はそれを聞くと、春彦と常彦をせきたてて港に戻り、大海原に漕ぎ出して行ってしまった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm2715
愛善世界社版:232頁 八幡書店版:第5輯 325頁 修補版: 校定版:239頁 普及版:100頁 初版: ページ備考:
001 (あぶ)002(はち)両人(りやうにん)生田(いくた)(もり)立寄(たちよ)り、003駒彦(こまひこ)面会(めんくわい)して、004言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)国依別(くによりわけ)(とも)高砂(たかさご)(しま)神務(しんむ)()び、005急遽(きふきよ)聖地(せいち)()ちて出発(しゆつぱつ)せられ、006瀬戸(せと)(うみ)を、007西南(せいなん)()して()かれたりと()消息(せうそく)を、008(れい)高姫(たかひめ)()きつけ、009春彦(はるひこ)010常彦(つねひこ)一行(いつかう)三人(さんにん)011言依別(ことよりわけ)(あと)()ひしと()きしより、012(ここ)(あぶ)013(はち)二人(ふたり)は、014()(もの)取敢(とりあへ)ず、015一隻(いつさう)軽舟(けいしう)()(まか)せ、016高姫(たかひめ)教主(けうしゆ)(たい)し、017如何(いか)なる妨害(ばうがい)(くは)ふるやも(はか)(がた)しと、018一生懸命(いつしやうけんめい)高姫(たかひめ)(あと)(たづ)ねて()(いだ)し、019児島半島(こじまはんとう)沿岸(えんがん)(さし)かかる(とき)020暗礁(あんせう)()()げたる一隻(いつさう)(ふね)見付(みつ)け、021何人(なにびと)ならんと(ほし)(ひかり)()かし()れば、022比沼(ひぬ)真奈井(まなゐ)宝座(ほうざ)(つか)()たる、023清子姫(きよこひめ)024照子姫(てるこひめ)二人(ふたり)であつた。
025 (ここ)二人(ふたり)(わが)(ふね)(すく)()げ、026(なかば)(やぶ)れし(その)(ふね)見棄(みす)て、027荒波(あらなみ)(いきほひ)よく()ぎつけて、028(やうや)琉球(りうきう)那覇(なは)(みなと)安着(あんちやく)し、029一行(いつかう)四人(よにん)何者(なにもの)にか()かるる(やう)心地(ここち)して、030(その)()(ゆふ)(ごろ)常楠(つねくす)031若彦(わかひこ)両人(りやうにん)一時(いちじ)住居(ぢうきよ)となしたる(つき)()洞窟(どうくつ)(まへ)辿(たど)りついた。
032 虻公(あぶこう)(すで)言依別命(ことよりわけのみこと)より清彦(きよひこ)()()(たまは)り、033蜂公(はちこう)照彦(てるひこ)()()(たまは)つて、034准宣伝使(じゆんせんでんし)(しよく)()いて()たのである。035二人(ふたり)(おも)(がけ)なく言依別命(ことよりわけのみこと)抜擢(ばつてき)されたのを、036(この)(うへ)なく打喜(うちよろこ)び、037(その)師恩(しおん)(むく)いん(ため)038言依別命(ことよりわけのみこと)(たい)しては、039如何(いか)なる苦労(くらう)も、040仮令(たとへ)身命(しんめい)(なげう)つても(をし)まざるの決心(けつしん)をきめて()たのであつた。
041 (たう)目的物(もくてきぶつ)たる高姫(たかひめ)一行(いつかう)を、042海上(かいじやう)にて見失(みうしな)ひたれ(ども)043照子姫(てるこひめ)044清子姫(きよこひめ)遭難(さうなん)(すく)ひたるは、045(まつた)(かみ)御摂理(ごせつり)として(やや)満足(まんぞく)(てい)であつた。
046 (この)照子姫(てるこひめ)047清子姫(きよこひめ)(その)祖先(そせん)行成彦命(ゆきなりひこのみこと)であつて、048四代目(よんだいめ)(まご)(あた)つて()る。049神勅(しんちよく)()けて、050比沼真奈井(ひぬのまなゐ)豊国姫(とよくにひめ)出現(しゆつげん)先立(さきだ)つて(あら)はれ、051比治山(ひぢやま)草庵(さうあん)(むす)び、052(とき)()つて()たのである。053そこへウラナイ(けう)黒姫(くろひめ)出会(でつくわ)し、054いろいろとウラナイ(けう)教理(けうり)()()かされ、055(なかば)()れを(しん)じ、056(なかば)(これ)(うたが)ひ、057何程(なにほど)黒姫(くろひめ)弁舌(べんぜつ)(もつ)()きつくる(とも)058清子姫(きよこひめ)059照子姫(てるこひめ)魔窟ケ原(まくつがはら)黒姫(くろひめ)(やかた)には一回(いつくわい)(あし)をむけず、060(また)高姫(たかひめ)などにも()はなかつた。061(ただ)黒姫(くろひめ)言葉(ことば)反駁(はんばく)もせず、062善悪(ぜんあく)取捨(しゆしや)して表面(へうめん)服従(ふくじゆう)して()たのみであつた。063(この)二女(にぢよ)黒姫(くろひめ)(たい)する態度(たいど)は、064(その)(とき)勢上(いきほひじやう)()むを()ず、065()以上(いじやう)最善(さいぜん)態度(たいど)()ることが出来(でき)なかつたのである。
066 (とき)豊国姫命(とよくにひめのみこと)神勅(しんちよく)067(この)二人(ふたり)(くだ)り、068諏訪(すは)(うみ)玉依姫(たまよりひめ)より麻邇宝珠(まにほつしゆ)受取(うけと)り、069梅子姫(うめこひめ)(その)()一行(いつかう)が、070由良(ゆら)(みなと)秋山彦(あきやまひこ)(やかた)(かへ)(きた)り、071神素盞嗚大神(かむすさのをのおほかみ)072国武彦命(くにたけひこのみこと)()でますと()きて、073二人(ふたり)旅装(りよさう)(ととの)へ、074由良(ゆら)(みなと)秋山彦(あきやまひこ)(やかた)()(きた)りし(ころ)は、075最早(もはや)麻邇宝珠(まにほつしゆ)聖地(せいち)(おく)られ、076神素盞嗚大神(かむすさのをのおほかみ)077国武彦命(くにたけひこのみこと)御行方(おんゆくへ)(わか)らなくなつた(あと)(まつ)りであつたから、078二人(ふたり)(とき)(うつ)さず、079陸路(りくろ)聖地(せいち)(むか)ひ、080(にしき)(みや)玉照彦(たまてるひこ)081玉照姫(たまてるひめ)神司(かむづかさ)(えつ)し、082琉球(りうきう)(しま)(わた)るべく、083(ふたた)聖地(せいち)()ちて、084玉照彦命(たまてるひこのみこと)出現地(しゆつげんち)なる高熊山(たかくまやま)立籠(たてこ)もり、085三週間(さんしうかん)(あらた)めて修業(しうげふ)をなし、086木花姫(このはなひめ)神教(みをしへ)(かうむ)りて、087意気(いき)揚々(やうやう)山坂(やまさか)()え、088生田(いくた)(もり)立寄(たちよ)り、089それより兵庫(ひやうご)(みなと)船出(ふなで)して、090琉球(りうきう)(むか)はんとし、091(かみ)仕組(しぐみ)か、092(おも)はずも児島半島(こじまはんたう)手前(てまへ)(おい)暗礁(あんせう)()りあげ、093危険(きけん)(きは)まる(ところ)へ、094三五教(あななひけう)新宣伝使(しんせんでんし)095清彦(きよひこ)096照彦(てるひこ)(ふね)(たす)けられ、097(やうや)那覇港(なはかう)四人連(よにんづ)安着(あんちやく)し、098(つき)洞穴(どうけつ)(まへ)(まで)(すす)んで()たのである。
099 四人(よにん)男女(だんぢよ)(ちい)さき(ふね)にて長途(ちやうと)航海(かうかい)をなす(うち)100何時(いつ)とはなしに意気(いき)投合(とうがふ)し、101(たがひ)意中(いちう)(ひと)(こころ)(ふか)(さだ)めて()た。102清子姫(きよこひめ)清彦(きよひこ)に、103照子姫(てるこひめ)照彦(てるひこ)(のぞ)みを(しよく)して()た。104(しか)るに清彦(きよひこ)(また)照子姫(てるこひめ)に、105照彦(てるひこ)清子姫(きよこひめ)(のぞ)みを(しよく)し、106将来(しやうらい)夫婦(ふうふ)となつて神業(しんげふ)参加(さんか)()(おも)つて()たのである。107清彦(きよひこ)四十四五才(よんじふしごさい)108照彦(てるひこ)四十二三才(よんじふにさんさい)元気(げんき)(ざか)り、109清子姫(きよこひめ)二十五才(にじふごさい)110照子姫(てるこひめ)二十三才(にじふさんさい)になつて()た。111年齢(ねんれい)(おい)二十年(にじふねん)(ばか)(ちが)つて()る。112されど神徳(しんとく)(かうむ)りて(まこと)(みち)(さと)りたる清彦(きよひこ)113照彦(てるひこ)は、114全身(ぜんしん)爽快(さうくわい)気分(きぶん)(みなぎ)り、115血色(けつしよく)もよく比較的(ひかくてき)(わか)()え、116夫婦(ふうふ)として一見(いつけん)(あま)不釣合(ふつりあひ)(やう)にも()えなかつたのである。
117 四人(よにん)一夜(いちや)此処(ここ)()かさんと、118洞穴(どうけつ)(おく)(ふか)(すす)んだ。119サヤサヤした葦莚(ゐむしろ)(たたみ)120土間(どま)()きつめられ、121食器(しよくき)など行儀(ぎやうぎ)よく(なら)べられてあつた。
122清彦(きよひこ)『あゝこれは何人(なんぴと)住家(すみか)()らぬが、123穴居(けつきよ)人種(じんしゆ)(おほ)(この)(しま)に、124木株(きかぶ)のこんな天然(てんねん)(やかた)があるとは、125(たい)したものだ。126(なん)でもこれは(この)(あた)りの酋長(しうちやう)住家(すみか)(わか)らないぞ。127斯様(かやう)(ところ)にうつかりと安眠(あんみん)して()(ところ)へ、128沢山(たくさん)眷族(けんぞく)()れ、129(かへ)(きた)つて立腹(りつぷく)でもしようものなら、130どんな(こと)突発(とつぱつ)するか()れたものだない。131入口(いりぐち)一方(いつぱう)132グヅグヅして()ると、133徳利攻(とつくりぜ)めに()うて(くる)しまねばならぬ。134コリヤ一人(ひとり)(づつ)135(たがひ)入口(いりぐち)立番(たちばん)をし、136もしも(あや)しき(やつ)がやつて()たら合図(あひづ)をすると()(こと)にしようかなア』
137照彦(てるひこ)『それもさうだ。138(しか)(なが)()路々(みちみち)むしつて()()(いちご)夕食(ゆふしよく)()ませ、139(その)(うへ)(こと)にしても(あま)(おそ)くはあるまい。140そろそろそこらが(くら)くなつて()たようだ』
141(ふところ)より火燧(ひうち)取出(とりいだ)し、142そこらに()(かさ)ねたる肥松(こえまつ)割木(わりき)()をつけ(あか)りを(てん)じ、143夕食(ゆふしよく)(きつ)し、144(うち)(かへ)つた(やう)気分(きぶん)になつて、145四人(よにん)(おく)(はう)安坐(あんざ)し、146種々(いろいろ)感想談(かんさうだん)(ふけ)つて()た。
147清彦(きよひこ)『こうして我々(われわれ)男女(だんぢよ)四人(よにん)148(この)(しま)(わた)つた以上(いじやう)は、149(いづ)れも独身(どくしん)生活(せいくわつ)不便(ふべん)なものだ。150恰度(ちやうど)諾冊二尊(なぎなみにそん)自転倒島(おのころじま)天降(あまくだ)(たま)うた(やう)なものだ。151(この)大木(たいぼく)(つき)御柱(みはしら)(さだ)めて、152……あなにやしえー乙女(をとめ)……とか…えー(をとこ)…とか()つて、153惟神(かむながら)神業(しんげふ)(はじ)めたら如何(どう)でせう。154……照彦(てるひこ)さま、155(わたし)媒酌人(ばいしやくにん)となつて、156清子姫(きよこひめ)(さま)結婚(けつこん)(しき)をあげられたらどうです。157ナア清子姫(きよこひめ)さま、158あなたも以時(いつ)(まで)独身(どくしん)斯様(かやう)蛮地(ばんち)(くら)(わけ)にも(まゐ)りますまい』
159清子姫(きよこひめ)『ハイ、160有難(ありがた)御座(ござ)います。161(しか)(なが)(すこ)(かんが)へさして(いただ)きたう御座(ござ)います』
162清彦(きよひこ)清子(きよこ)さま、163あなたは照彦(てるひこ)さまがお()()らぬのですか』
164清子姫(きよこひめ)『イーエ、165勿体(もつたい)ない、166左様(さやう)(わけ)では御座(ござ)いませぬ』
167(なみだ)ぐまし()(うつ)むく。
168照彦(てるひこ)『コレコレ清彦(きよひこ)169御親切(ごしんせつ)有難(ありがた)いが、170モウ結婚(けつこん)(こと)()つて()れな。171清子(きよこ)さまは(この)照彦(てるひこ)がお()()さぬのだよ。172無理押(むりお)しに決行(けつかう)した(ところ)で、173うま()はぬ夫婦(ふうふ)はキツと後日(ごじつ)破鏡(はきやう)(なげ)きに()はねばならぬから、174(この)(はなし)()めて(もら)はう。175()いては照子姫(てるこひめ)さまを、176(まへ)(おく)さまに御世話(おせわ)したいと(おも)ふのだが、177どうだ』
178清彦(きよひこ)『それは(じつ)有難(ありがた)い、179(しか)(なが)照子姫(てるこひめ)さまの御意見(ごいけん)(うけたま)はりたい。180(その)(うへ)でなくば、181(なん)とも返答(へんたふ)する(こと)出来(でき)ないワ』
182照子姫(てるこひめ)照彦(てるひこ)さまの御親切(ごしんせつ)有難(ありがた)御座(ござ)いますが、183(わたし)(なん)だか……どこが如何(どう)といふ(こと)はありませぬが、184清彦(きよひこ)さまは(むし)()きませぬワ。185(わたし)意中(いちう)(ひと)露骨(ろこつ)()ひますが、186照彦(てるひこ)さまで御座(ござ)います。187あなたならばどこまでも、188偕老同穴(かいらうどうけつ)(ちぎり)(むす)んで(いただ)きたう御座(ござ)います』
189照彦(てるひこ)『コレハコレハ大変(たいへん)迷惑(めいわく)御座(ござ)る。190(じつ)(ところ)(この)照彦(てるひこ)191清子姫(きよこひめ)(さま)夫婦(ふうふ)約束(やくそく)(むす)びたいのです。192それに清子(きよこ)さまは(なん)とか、193かんとか仰有(おつしや)つて、194(わたし)御嫌(おきら)(あそ)ばす(やう)形勢(けいせい)です』
195 清子姫(きよこひめ)は『ホヽヽヽヽ』と(そで)(かほ)をかくし、
196清子姫(きよこひめ)(わたし)本当(ほんたう)清彦(きよひこ)さまと夫婦(ふうふ)になつて、197神界(しんかい)御用(ごよう)(いた)したう御座(ござ)います。198照彦(てるひこ)さまと夫婦(ふうふ)になるのは、199(なん)だか身魂(みたま)()はない(やう)気分(きぶん)(いた)します』
200清彦(きよひこ)(たがひ)目的物(もくてきぶつ)()複雑(ふくざつ)になつて()ては仕方(しかた)がない。201ハテ(こま)つたな。202此方(こちら)(すき)だと()へば(むか)ふが(きら)ひだと()ふ、203此方(こちら)(きら)ひだといへば一方(いつぱう)(すき)だと()ふ。204此奴(こいつ)アどうやら人間力(にんげんぢから)()める(こと)出来(でき)ないワイ。205言依別命(ことよりわけのみこと)(さま)でも御座(ござ)つたならば、206判断(はんだん)をして()めて(もら)ふのだけれど、207斯様(かやう)結構(けつこう)洞穴館(どうけつやかた)に、208(たれ)()らぬことを(おも)へば、209言依別(ことよりわけ)神様(かみさま)は、210(りう)211(きう)宝玉(ほうぎよく)()()れ、212(はや)くも出発(しゆつぱつ)された(あと)()える。213ハテ……(こま)つたなア』
214 四人(よにん)(たがひ)(かほ)見合(みあは)せ、215青息吐息(あをいきといき)真最中(まつさいちう)216洞穴(どうけつ)入口(いりぐち)二三人(にさんにん)(こゑ)(きこ)えて()た。217清彦(きよひこ)耳敏(みみざと)くも(これ)聞付(ききつ)け、
218清彦(きよひこ)『ヤアあの(こゑ)はどうやら、219高姫(たかひめ)(こゑ)らしいぞ。220一寸(ちよつと)(しら)べて()るから、221三人(さんにん)(なか)よく()つて()(くだ)さい』
222(はや)くも洞穴(どうけつ)入口(いりぐち)()つた。
223 (そと)には高姫(たかひめ)224春彦(はるひこ)225常彦(つねひこ)(とも)(こは)(さう)洞穴(どうけつ)(のぞ)いて()る。226(つき)()かりに三人(さんにん)(かほ)はハツキリと()えた。227されど高姫(たかひめ)(はう)からは、228清彦(きよひこ)姿(すがた)(すこ)しも()えない。229清彦(きよひこ)(かたはら)小石(こいし)(ひろ)ひ、230左右(さいう)()()つて(なか)よりカチカチと()つて()せた。
231高姫(たかひめ)大変(たいへん)(おほ)きな洞空(うつろ)であるが、232(なに)(この)(なか)(けもの)でも()まつてゐるやうな気配(けはい)(いた)しますぞ。233……常彦(つねひこ)234一寸(ちよつと)(まへ)235(なか)這入(はい)つて調(しら)べて()(くだ)さらぬか』
236 清彦(きよひこ)(なか)より『カチカチカチ』、
237常彦(つねひこ)『ハハー、238ここはカチカチ(やま)古狸(ふるだぬき)住居(ぢうきよ)して()洞穴(どうけつ)()えますワイ。239……オイ春彦(はるひこ)240(まへ)241斥候(せきこう)となつて(ひと)探険(たんけん)して()たら如何(どう)だ』
242春彦(はるひこ)『お(まへ)命令(めいれい)(くだ)つたのだ。243(たぬき)巣窟(さうくつ)常彦(つねひこ)這入(はい)るのは当然(たうぜん)だよ。244マア君子(くんし)(あやふ)きに(ちか)よらずだ。245命令(めいれい)()けないことを、246危険(きけん)(をか)して失敗(しつぱい)しては、247それこそ(いぬ)()はれた(やう)なものだ』
248高姫(たかひめ)春彦(はるひこ)249(まへ)一緒(いつしよ)探険(たんけん)這入(はい)つて()るのだよ』
250春彦(はるひこ)『たかが()れた(この)洞窟(どうくつ)251さう二人(ふたり)這入(はい)必要(ひつえう)はありますまい』
252高姫(たかひめ)『アヽさうだらう。253そんなら一人(ひとり)()いから、254春彦(はるひこ)さま、255(まへ)豪胆者(がうたんもの)だから這入(はい)つて(くだ)さい』
256 春彦(はるひこ)(あたま)をかき(なが)ら、
257春彦(はるひこ)『ヘー……ハイ』
258とモジモジして()る。259『カチカチ カチカチ ウー』と(うな)(ごゑ)(きこ)えて()る。
260春彦(はるひこ)『モシモシ高姫(たかひめ)さま、261此奴(こいつ)一人(ひとり)では如何(どう)しても()きませぬワ。262あの(こゑ)()いて御覧(ごらん)263数十匹(すうじつぴき)猛獣(まうじう)がキツと(ひそ)んで()ますよ。264グヅグヅして()ると、265(いち)()らず()()らず虻蜂(あぶはち)()らずになつて(しま)ひますぜ』
266高姫(たかひめ)(その)虻蜂(あぶはち)(おも)()したが、267彼奴(あいつ)(なん)でも言依別命(ことよりわけのみこと)から、268清彦(きよひこ)269照彦(てるひこ)()()(いただ)宣伝使(せんでんし)になり、270飽迄(あくまで)我々(われわれ)反抗的(はんかうてき)態度(たいど)()ると()つて()たさうだが、271(いま)どこに如何(どう)して()るだらう。272言依別命(ことよりわけのみこと)(この)琉球(りうきう)(わた)り、273(りう)(きう)との宝玉(ほうぎよく)()()れ、274自分(じぶん)(かく)した七個(しちこ)(たま)(とも)に、275高砂島(たかさごじま)()(わた)つて、276高砂島(たかさごじま)国王(こくわう)となる計画(たくみ)だと()いて()る。277自転倒島(おのころじま)では(この)高姫(たかひめ)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)が、278()(うへ)(こぶ)となつて(おも)はしく目的(もくてき)()たぬので、279高姫(たかひめ)()ない地点(ちてん)野心(やしん)遂行(すゐかう)すると()(かんが)へで、280大切(たいせつ)宝玉(ほうぎよく)(ぬす)()し、281自転倒島(おのころじま)立去(たちさ)つたのだから、282仮令(たとへ)言依別(ことよりわけ)283(てん)()けり()(くぐ)るとも、284(くさ)()けても(さが)()し、285宝玉(ほうぎよく)取返(とりかへ)し、286さうして(かれ)面皮(めんぴ)()いて、287(こころ)(そこ)より改心(かいしん)さしてやらねば、288我々(われわれ)系統(ひつぽう)としての役目(やくめ)()まぬ。289アヽ(とし)()つてから、290(また)しても(また)しても海洋万里(かいやうばんり)(なみ)(わた)り、291苦労(くらう)(いた)さねばならぬのか。292これも(まつた)言依別(ことよりわけ)肉体(にくたい)(あく)守護神(しゆごじん)憑依(ひようい)してゐるからだ。293……アヽ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)294一時(いちじ)(はや)言依別(ことよりわけ)副守護神(ふくしゆごじん)退却(たいきやく)させ、295(まこと)大和魂(やまとだましひ)立返(たちかへ)つて、296()出神(でのかみ)命令(めいれい)()(やう)にして(くだ)さいませ』
297(なかば)泣声(なきごゑ)になり、298(はな)(すす)つて両手(りやうて)(あは)せ、299一生懸命(いつしやうけんめい)祈願(きぐわん)して()る。300清彦(きよひこ)(この)(てい)()(にはか)可笑(をか)しくなり「プーツプーツ」()()し、301(しま)ひには大声(おほごゑ)をあげて、
302清彦(きよひこ)『ワツハヽヽヽ』
303(わら)()けた。
304高姫(たかひめ)(たれ)だ。305()出神(でのかみ)生宮(いきみや)神界(しんかい)(ため)306一生懸命(いつしやうけんめい)御祈願(ごきぐわん)(まを)()げてるのに、307ウフヽアハヽヽヽと(わら)(やつ)は……よもや(たぬき)ぢやあるまい。308何者(なにもの)だ。309サアこうなる(うへ)高姫(たかひめ)承知(しようち)(いた)さぬ。310(この)入口(いりぐち)青松葉(あをまつば)でくすべてでも往生(わうじやう)さしてやらねば()かぬ。311……コレ常彦(つねひこ)さま、312春彦(はるひこ)さま、313そこらの、314(あを)いものを()つて()なさい。315コラ大変(たいへん)(ごふ)()古狸(ふるだぬき)()るのだ。316()(あし)(ごふ)()ると人語(じんご)使(つか)ふやうになるからなア』
317 清彦(きよひこ)(にはか)(をんな)(こゑ)()し、
318清彦(きよひこ)『コレハコレハ高姫(たかひめ)(さま)319常彦(つねひこ)320春彦(はるひこ)御両人様(ごりやうにんさま)321遠方(ゑんぱう)(ところ)遥々(はるばる)()くこそ御越(おこ)(くだ)さいました。322ここは琉球王(りうきうわう)仮館(かりやかた)323()丸殿(まるどの)()(ところ)御座(ござ)います。324王様(わうさま)は……言依別神(ことよりわけのかみ)(さま)とやらが、325自転倒島(おのころじま)から遥々(はるばる)御越(おこ)しになり、326(りう)(きう)との宝玉(ほうぎよく)御受取(おうけと)(あそ)ばし、327台湾(たいわん)一寸(ちよつと)立寄(たちよ)り、328それから南米(なんべい)高砂島(たかさごじま)御越(おこ)しになりました不在中(るすちう)御座(ござ)います。329(わらは)(あぶ)……オツトドツコイ、330(あぶな)猛獣(まうじう)毒蛇(どくじや)沢山(たくさん)棲息(せいそく)する(この)(しま)留守(るす)(まも)つて()大蛇姫(をろちひめ)()ふ、331(それ)(それ)(いや)らしい(をんな)御座(ござ)います。332サア御遠慮(ごゑんりよ)()りませぬ。333(この)洞穴(どうけつ)には沢山(たくさん)古狸(ふるだぬき)大蛇(だいぢや)住居(ぢうきよ)(いた)し、334今日(けふ)(ところ)綺麗(きれい)(をとこ)二人(ふたり)335綺麗(きれい)(をんな)二人(ふたり)336四魂(しこん)(そろ)うて守護(しゆご)(いた)してをります。337(しか)(なが)(いづ)れも本当(ほんたう)人間(にんげん)では御座(ござ)いませぬ。338(みんな)化物(ばけもの)御座(ござ)いますから、339(その)心算(つもり)御這入(おはい)りを(ねが)ひます。340メツタにあなた(がた)(しほ)をつけて(あたま)から()んだり、341(へび)(かへる)()むやうにキユウキユウと()()むやうな(こと)御座(ござ)りませぬ。342如意宝珠(によいほつしゆ)(たま)でも()()むと()不可思議力(ふかしぎりよく)(そな)へた貴女(あなた)343(はや)御這入(おはい)(くだ)さいませ』
344高姫(たかひめ)這入(はい)れなら這入(はい)つてもあげませう。345(しか)一遍(いつぺん)(そと)姿(すがた)をあらはし、346案内(あんない)をなさらぬか』
347清彦(きよひこ)(そと)()るが最後(さいご)348虻公(あぶこう)正体(しやうたい)(あら)はれますワイ。349アツハヽヽヽ』
350高姫(たかひめ)最前(さいぜん)から(なん)だか可笑(をか)しいと(おも)つて()つた。351(まへ)淡路(あはぢ)東助(とうすけ)門番(もんばん)をして()つた泥坊(どろばう)(あが)りの虻公(あぶこう)ぢやないか。352如何(どう)して(また)()んな(ところ)へやつて()たのだ。353(まへ)はドハイカラの教主(けうしゆ)から、354清彦(きよひこ)()()(もら)うたぢやないか。355自転倒島(おのころじま)では最早(もはや)泥坊(どろばう)出来(でき)ないと(おも)うて、356こんな(ところ)まで海賊(かいぞく)(はたら)漂着(へうちやく)して()たのだらう。357サアお(まへ)一人(ひとり)ではあるまい、358大方(おほかた)(はち)()()るだらう。359(その)()同類(どうるゐ)(のこ)らず此処(ここ)引張(ひつぱ)つて()なさい。360天地根本(てんちこつぽん)(まこと)(みち)()いて()かせ、361大和魂(やまとだましひ)をねりなをして(たす)けて()げよう。362(こと)(しな)によつたら(この)高姫(たかひめ)家来(けらい)にしてやらぬ(こと)もない』
363清彦(きよひこ)(いま)(まへ)さまに這入(はい)られると、364(じつ)(こま)つた(こと)があるのだ。365今日(けふ)情意投合(じやういとうがふ)……オツトドツコイ情約履行(じやうやくりかう)をしようと()肝腎要(かんじんかなめ)吉日(きちにち)だ。366(まへ)さまのやうなお()アさまは我々(われわれ)壮年者(さうねんしや)心理(しんり)(わか)るまい。367あゝエライ(ところ)へエライ(やつ)()たものだ。368(つき)村雲(むらくも)(はな)(あらし)369美人(びじん)(まへ)皺苦茶婆(しわくちやばば)ア……』
370小声(こごゑ)(つぶや)いた。371高姫(たかひめ)(この)言葉(ことば)一端(いつたん)(みみ)()れ、
372高姫(たかひめ)『ナニ、373美人(びじん)皺苦茶婆(しわくちやばば)アと()つたなア。374コリヤ(なん)でも秘密(ひみつ)伏在(ふくざい)する(この)洞穴(どうけつ)375モウ()うなる以上(いじやう)強行的(きやうかうてき)押入(おしい)り、376(すみ)から(すみ)まで調(しら)べてやらねばなるまい。377ヒヨツとしたら(てん)(くわ)(すゐ)()宝玉(ほうぎよく)(かく)してあるか(わか)らない。378常彦(つねひこ)379春彦(はるひこ)380(わし)(つづ)け』
381()(なが)ら、382清彦(きよひこ)が「()つた()つた」と大手(おほで)(ひろ)げて(さへぎ)るのも()かず、383むりやりに()()んで(しま)つた。
384 (おく)には肥松(こえまつ)(あか)りが(またた)いて()る。385三人(さんにん)(かほ)はハツキリと輪廓(りんくわく)まで(あら)はれて()る。
386高姫(たかひめ)『コレハコレハ(みな)さま、387御楽(おたの)しみの最中(さいちう)388御邪魔(おじやま)(いた)しまして申訳(まをしわけ)のない(こと)御座(ござ)いました。389(はな)(あざむ)美男子(びだんし)美人(びじん)390そこへ白髪交(しらがまじ)りの歯脱婆(はぬけばば)アが(まゐ)りまして、391(さぞ)392折角(せつかく)(きよう)がさめた(こと)御座(ござ)いませう。393(この)洞穴(どうけつ)似合(にあ)はぬ……お(まへ)さまは(うつく)しい(かた)だが、394(この)(しま)(かた)か、395(ただし)は、396(あぶ)397(はち)両人(りやうにん)(かどは)かされてこんな(ところ)押込(おしこ)められたのか、398様子(やうす)がありさうに(おも)はれる。399サア(つつ)まずかくさず仰有(おつしや)つて(くだ)さい。400()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(この)()(あら)はれた以上(いじやう)は、401(あぶ)402(はち)両人(りやうにん)(くらゐ)(なん)()つても駄目(だめ)ですよ』
403 清子姫(きよこひめ)404照子姫(てるこひめ)両人(りやうにん)行儀(ぎやうぎ)よく両手(りやうて)をつき、
405両女(りやうぢよ)『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います。406聖地(せいち)(おい)御高名(ごかうめい)(いちじる)しき、407あなた(さま)高姫(たかひめ)(さま)御座(ござ)いましたか。408(わたし)比沼(ひぬ)真奈井(まなゐ)宝座(ほうざ)(つか)へて()りました清子姫(きよこひめ)409照子姫(てるこひめ)両人(りやうにん)御座(ござ)います』
410高姫(たかひめ)『かねがね黒姫(くろひめ)さまから(うけたま)はつて()つた、411比治山(ひぢやま)隠家(かくれが)(ござ)つた淑女(しゆくぢよ)はお(まへ)さまの(こと)であつたか。412如何(どう)して(また)かやうな(ところ)へお()(あそ)ばしたのだ。413大方(おほかた)(あぶ)414(はち)両人(りやうにん)小盗人(こぬすびと)(かど)はかされて、415()んな(ところ)()なさつたのだらう。416グヅグヅして()ると此奴(こいつ)ア○○をしかねまい代物(しろもの)です。417最前(さいぜん)小声(こごゑ)情約履行(じやうやくりかう)間際(まぎは)だとか(なん)とか(ほざ)いて()ました。418サア、419(わたし)()以上(いじやう)最早(もはや)大丈夫(だいぢやうぶ)420高姫(たかひめ)一緒(いつしよ)(この)琉球(りうきう)(しま)探険(たんけん)し、421結構(けつこう)宝玉(ほうぎよく)所在(ありか)(もと)め、422言依別(ことよりわけ)(あと)()うて、423(その)(なな)つの宝玉(ほうぎよく)()()れて聖地(せいち)(かへ)り、424大神様(おほかみさま)御神業(ごしんげふ)をお(たす)けしようではありませぬか』
425 二人(ふたり)(かほ)(あか)らめて、426無言(むごん)(まま)(うつむ)いて()る。427清彦(きよひこ)高姫(たかひめ)胸倉(むなぐら)をグツととり、
428清彦(きよひこ)『コラ(ばば)ア、429小盗人(こぬすびと)とは聞捨(ききずて)ならぬ。430三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)清彦(きよひこ)431照彦(てるひこ)両人(りやうにん)だ』
432高姫(たかひめ)『ヘン、433馬鹿(ばか)にするない。434前達(まへたち)胸倉(むなぐら)()つて威喝(ゐかつ)した(ところ)で、435そんな(こと)にビクとも(いた)高姫(たかひめ)ぢやありませぬぞ。436(あぶ)437(はち)小泥坊(こどろばう)(おそ)ろしくて、438こんな(ところ)まで活動(くわつどう)()られますかい。439(いま)宣伝使(せんでんし)でも、440(むかし)はヤツパリ泥坊(どろばう)をやつて()たぢやないか』
441清彦(きよひこ)(むかし)(むかし)442(いま)(いま)だ。443改心(かいしん)すれば(その)()から真人間(まにんげん)にしてやらうと神様(かみさま)仰有(おつしや)るぢやないか。444(おれ)泥坊(どろばう)なら高姫(たかひめ)大泥坊(おほどうばう)だ』
445高姫(たかひめ)『オイ常彦(つねひこ)446春彦(はるひこ)447(なに)をグヅグヅして()るのか、448高姫(たかひめ)(この)(とほ)胸倉(むなぐら)()られて()るのに平気(へいき)()()ると()(こと)がありますか』
449常彦(つねひこ)左様(さやう)(ござ)います。450あなたも(あま)()(つよ)いから、451神様(かみさま)清彦(きよひこ)さまの()()つて身魂研(みたまみが)きをなさるのだと(おも)つて、452ジツとして御神徳(おかげ)(いただ)いて()ります。453……なア春彦(はるひこ)さま、454キツと(ぜん)()つと(かみ)さまが仰有(おつしや)いますから、455(いま)善悪(ぜんあく)立別(たてわ)けが(はじ)まるのですで……高姫(たかひめ)さま、456シツカリやりなさい。457……清彦(きよひこ)さま、458何方(どちら)()けて(くだ)さるなや』
459 照彦(てるひこ)はムツクと立上(たちあが)り、460行司(ぎやうじ)気取(きど)りになつて、461そこにあつた芭蕉(ばせう)()(はし)をむしり唐団扇(たううちは)(やう)(かたち)にして、462(みぎ)()(ささ)げ、
463照彦(てるひこ)東西(とうざい)……(ひがし)高姫山(たかひめやま)に、464西(にし)清彦川(きよひこがは)……(いづ)れも一番(いちばん)勝負(しようぶ)465アハヽヽヽ』
466(わら)つて()る。467高姫(たかひめ)金切声(かなきりごゑ)()して、468(つめ)()て、469一生懸命(いつしやうけんめい)()きむしらうとする。470強力(がうりき)清彦(きよひこ)両方(りやうはう)手首(てくび)をグツと(にぎ)られ、471如何(いかん)ともすること(あた)はず、472()(ばか)白黒(しろくろ)させ前歯(まへば)のぬけた(くち)から、473(くさ)(いき)(つばき)とを(さかん)()()して、474清彦(きよひこ)(かほ)(そそ)いでゐる。475清彦(きよひこ)(たま)りかねえ両方(りやうはう)()をパツと(はな)した。476照彦(てるひこ)(なか)()つて()り、
477照彦(てるひこ)御見物(ごけんぶつ)方々(かたがた)478(この)勝負(しようぶ)照彦(てるひこ)来年(らいねん)(まで)(あづ)かりと(いた)します』
479高姫(たかひめ)清子姫(きよこひめ)さま、480照子姫(てるこひめ)さま、481(まへ)さまは、482()んな乱暴(らんばう)(をとこ)(なん)(おも)うてゐられますか』
483清子姫(きよこひめ)『ハイ、484御二人(おふたり)(とも)申分(まをしぶん)のない、485立派(りつぱ)なお(かた)御座(ござ)います。486(なか)にも清彦(きよひこ)さまはどこともなしに(むし)()御方(おかた)ですよ。487なア照子姫(てるこひめ)さま』
488照子姫(てるこひめ)『あなたの御言葉(おことば)(とほ)り、489御二人(おふたり)とも本当(ほんたう)立派(りつぱ)(かた)ですワ。490(わたし)(なん)だか照彦(てるひこ)さまの(はう)が、491(なか)でもモ(ひと)立派(りつぱ)(かた)だと(おも)ひます、492ホヽヽヽヽ』
493(うつ)むく。
494高姫(たかひめ)清彦(きよひこ)(わたし)胸倉(むなぐら)()つたのも道理(だうり)495二人(ふたり)(をとこ)二人(ふたり)(をんな)496()いた同志(どうし)今晩(こんばん)こそは、497(この)(はな)(じま)何々(なになに)しようと(おも)うてる(ところ)へ、498(この)(ばば)アがやつて()たものだから(はら)()つたでせう。499御無理(ごむり)もありませぬ。500(しか)(なが)(えん)()ふものは(きたな)いものぢやな。501行成彦命(ゆきなりひこのみこと)系統(けいとう)をうけた御両人(ごりやうにん)さまが、502(ひと)もあらうにこんなお(かた)女房(にようばう)にならうとは、503イヤモウ理外(りぐわい)()504高姫(たかひめ)(かん)()りました。505(しか)言依別命(ことよりわけのみこと)さまは此処(ここ)()られたか、506御存(ごぞん)じでせうな』
507 清子姫(きよこひめ)508照子姫(てるこひめ)一時(いちじ)に、
509両女(りやうぢよ)『ハイ、510おいでになつた(さう)御座(ござ)います』
511清彦(きよひこ)『おいでになるはなつたが、512(りう)(あぎと)(ふた)つの(たま)()()れ、513意気(いき)揚々(やうやう)として、514(とほ)(むかし)台湾島(たいわんたう)()き、515それから南米(なんべい)高砂島(たかさごじま)(わた)られたといふことだ。516我々(われわれ)もその(りう)(きう)との(ふた)つの(たま)()()れる(ため)にやつて()たのだが、517一足(ひとあし)(おく)れた(ため)に、518(あと)(まつ)り、519せめても(はら)いせに男女(だんぢよ)四人(よにん)が、520(つき)御柱(みはしら)(めぐ)()ひ、521美斗能麻具波比(みとのまぐはひ)をなせと()(たま)ひ、522(この)(しま)(まも)(がみ)とならうと(おも)つて()(ところ)ですよ』
523高姫(たかひめ)(なん)とお(まへ)(をとこ)にも似合(にあ)はぬ、524チツポけな肝玉(きもだま)だな。525(この)(ひろ)世界(せかい)()んな(しま)(ひと)(をさ)めて満足(まんぞく)してゐる(やう)(こと)では、526到底(たうてい)三千世界(さんぜんせかい)御用(ごよう)出来(でき)ませぬぞや。527(しか)(なが)身魂(みたま)相応(さうおう)御用(ごよう)だから、528何程(なにほど)(からす)孔雀(くじやく)になれと()つたつてなれる気遣(きづか)ひはなし、529仕方(しかた)がないなア』
530()(づら)し、531冷笑(れいせう)(うか)べて()る。
532照彦(てるひこ)高姫(たかひめ)さま、533(あま)見下(みさ)げて(くだ)さいますな。534(わたし)だつて(りう)(きう)との(たま)()()れ、535言依別(ことよりわけ)さまの(かく)された(なな)つの(たま)を、536仮令(たとへ)半分(はんぶん)でも(さが)()し、537そして、538高砂島(たかさごじま)(まを)すに(およ)ばず、539筑紫(つくし)(しま)から世界中(せかいぢう)覇権(はけん)(にぎ)(くらゐ)(かんが)へは()つて()るのだが、540肝腎(かんじん)(りう)(きう)との宝玉(ほうぎよく)言依別(ことよりわけ)()られて(しま)つたのだから、541(あと)()(ねら)うと()つても見当(けんたう)がつかぬだないか。542それだから百日(ひやくにち)百夜(ひやくや)水行(すゐぎやう)でもして、543二夫婦(ふたふうふ)(もの)(たま)(ありか)(さが)しに()かうといふ(かんが)へだ。544百日(ひやくにち)水行(すゐぎやう)をすれば世界(せかい)()えすくと三五教(あななひけう)神様(かみさま)仰有(おつしや)るのだから、545(たま)所在(ありか)はもとより、546言依別(ことよりわけ)行方(ゆくへ)(わか)るのだ。547あなたは()出神(でのかみ)生宮(いきみや)なら、548猶更(なほさら)(わか)るでせう』
549高姫(たかひめ)『きまつた(こと)だよ。550()かればこそ、551ここ(まで)()いて()たのだ……サア言依別命(ことよりわけのみこと)552(あま)(とほ)くは()くまい。553グヅグヅしてると(また)面倒(めんだう)だ。554……常彦(つねひこ)さま、555春彦(はるひこ)さま、556(はや)(まゐ)りませう。557なる(こと)ならば、558照子姫(てるこひめ)さま、559清子姫(きよこひめ)さま、560あなた(だけ)(わたし)のお(とも)なさいませぬか。561(あぶ)562(はち)両人(りやうにん)女房(にようばう)になるのは(ひと)(かんが)(もの)ですで』
563清彦(きよひこ)『エー(また)(ばば)アの(くせ)(かま)ひやがる。564サア(はや)()()け』
565高姫(たかひめ)()()けと()はなくても、566こんな(ところ)にグヅグヅしてをれるか。567……サア常彦(つねひこ)568春彦(はるひこ)569(はや)(はや)く』
570とせき()てて、571()()らうとする。
572常彦(つねひこ)『モシモシ高姫(たかひめ)さま、573何程(なにほど)(いそ)いだつて、574なる(やう)により()りませぬで。575今夜(こんや)はここで宿()めて(もら)つて、576明日(あす)(あさ)ゆつくり()きませうか……ナア春彦(はるひこ)577(まへ)大分(だいぶん)草臥(くたび)れただらう』
578春彦(はるひこ)草臥(くたび)れたと()つた(ところ)で、579(ふね)(なか)()いて()るのだ。580目的(もくてき)()つてから、581何程(なにほど)ゆつくり(やす)まうとままだ。582サア()かう』
583(いや)さうにしてる常彦(つねひこ)()()り、584引摺(ひきず)るやうにして、585高姫(たかひめ)(とも)(この)洞穴(どうけつ)()()し、586路々(みちみち)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)(なが)ら、587(いちご)石松(いしまつ)(しげ)珊瑚岩(さんごがん)碁列(ごれつ)せる浜辺(はまべ)()して一目散(いちもくさん)(かけ)つけ、588()()(ふね)()(まか)せ、589一生懸命(いつしやうけんめい)(みなみ)()して大海原(おほうなばら)()()した。
590大正一一・七・二七 旧六・四 松村真澄録)
   
オニド関連サイト最新更新情報
10/28霊界物語音読第37、38、63巻と、大本神諭、伊都能売神諭をアップしました。
10/26【霊界物語ネット】大本神諭を「年月日順」で並べた時の順序が、一部おかしいものがあったので修正しました。(os176,192,193,191,235 の5つ)