霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 主従(しゆじう)二人(ふたり)〔八四三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻 篇:第1篇 高砂の松 よみ(新仮名遣い):たかさごのまつ
章:第1章 主従二人 よみ(新仮名遣い):しゅじゅうふたり 通し章番号:843
口述日:1922(大正11)年08月14日(旧06月22日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
メソポタミヤの顕恩郷をバラモン教から取り戻した神素盞嗚尊の八人の娘たちは、各地に宣教の旅に出ましたが、バラモン教の残党に取り押さえられて各々、小舟に乗せられて海に流されてしまいました。
その中のひとつ、末子姫と侍女・捨子姫の主従は、なんとか艪をあやつって高砂島のハラの港に上陸し、桃上彦の旧跡地の珍の国の都を目指して進んでいた。
二人はテルとウヅの国境にあるテル山峠にさしかかった。すでに月が出る夜であった。二人は懐旧にふけりつつ、肘を枕に眠りについた。テル山峠を降ってきた五人の男たち(イサク、カール、シーナ、チール、ネロ)は、二人が傍らで寝ているのに気付かず、話を始めた。
男たちはバラモン教徒であり、この地の教主から、神素盞嗚尊の娘主従がやってくるからそれを捕らえろと命じられて辺りを張っていたが、見つからずに疲れ果てていた。
男たちはそこで眠って休息を取ることにしたが、中にシーナという男、過去に旅人を殺めたことからその幽霊を恐れており、仲間からしきりにからかわれている。他の男たちが寝てしまった後も、シーナだけは震えおののいていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-01-15 01:43:38 OBC :rm3001
愛善世界社版:7頁 八幡書店版:第5輯 575頁 修補版: 校定版:7頁 普及版:2頁 初版: ページ備考:
001常世(とこよ)(くに)()れませる
002常世(とこよ)神王(しんわう)自在天(じざいてん)
003大国彦(おほくにひこ)主神(しゆしん)とし
004バラモン(けう)(ひら)きたる
005大国別(おほくにわけ)神司(かむづかさ)
006万里(ばんり)(なみ)乗越(のりこ)えて
007埃及国(エジプトこく)出現(しゆつげん)
008イホの(みやこ)にバラモンの
009(をしへ)射場(いば)(きづ)()
010(いち)()(あさひ)(のぼ)(ごと)
011(をしへ)(ひかり)四方(よも)(くに)
012(かがや)(わた)れどバラモンの
013(かみ)(をしへ)人草(ひとぐさ)
014生血(いきち)()ねば(をさ)まらぬ
015残虐(ざんぎやく)無道(ぶだう)荒修業(あらしうげふ)
016入信(にふしん)したる信徒(まめひと)
017霊主(れいしゆ)体従(たいじう)()(もと)
018(くぎ)()ちたる足駄(あしだ)()
019(はだか)となりて茨室(いばらむろ)
020()()(からだ)をかき(やぶ)
021(あるひ)猛火(まうくわ)(なか)()
022水底(みなそこ)(くぐ)りさまざまと
023(こら)()れない(くるし)みに
024一度(ひとたび)()()信徒(まめひと)
025(かな)しみもだえ()(つき)
026何時(いつ)とはなしに()()りて
027法灯(ほふとう)いまや(めつ)せむと
028悲運(ひうん)(かたむ)折柄(をりから)
029夏山彦(なつやまひこ)祝姫(はふりひめ)
030行平別(ゆきひらわけ)神司(かむづかさ)
031埃及都(エジプトみやこ)根拠(こんきよ)とし
032霊主(れいしゆ)体従(たいじう)真相(しんさう)
033(あまね)世人(よびと)()(つた)
034仁慈(じんじ)無限(むげん)(くに)(おや)
035国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)
036(いづ)御霊(みたま)(まも)ります
037三五教(あななひけう)御教(みをしへ)
038月日(つきひ)(とも)(さか)()く。
039バラモン(けう)大棟梁(だいとうりやう)
040鬼雲彦(おにくもひこ)(はじ)めとし
041鬼熊別(おにくまわけ)二夫婦(ふたふうふ)
042埃及(イホ)(みやこ)(あと)にして
043数多(あまた)信徒(しんと)引率(いんそつ)
044南天王(なんてんわう)(こも)りたる
045由緒(ゆいしよ)(ふか)顕恩郷(けんおんきやう)
046エデンの(かは)打渡(うちわた)
047(ここ)(ふたた)びバラモンの
048(みち)根拠(こんきよ)築固(つきかた)
049(いはほ)(たた)(いし)()
050難攻(なんこう)不落(ふらく)絶壁(ぜつぺき)
051(たの)みて()れる顕恩城(けんおんじやう)
052(まが)(をしへ)再生(さいせい)
053機運(きうん)(むか)ひて中津国(なかつくに)
054メソポタミヤを(はじ)めとし
055フサの(くに)より印度(つき)(くに)
056(いきほひ)(たけ)()りて()
057さはさり(なが)()(ひと)
058野蛮(やばん)(きは)まる荒行(あらげう)
059(たま)りかねてか遠近(をちこち)
060怨嗟(えんさ)(こゑ)(きこ)()
061()()(ごと)(あは)れさを
062()るに見兼(みか)ねて瑞御霊(みづみたま)
063(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
064バラモン(けう)神司(かむづかさ)
065数多(あまた)宣伝使(とりつぎ)言向(ことむ)けて
066天地(てんち)(つく)(たま)ひたる
067大慈(だいじ)大悲(だいひ)大神(おほかみ)
068大御心(おほみこころ)(ねんご)ろに
069バラモン(びと)()(さと)
070世界(せかい)(そろ)うて皇神(すめかみ)
071(めぐみ)(つゆ)(よく)せしめ
072五六七(みろく)御世(みよ)神政(しんせい)
073(あふ)がしめむと(おぼ)()
074八人(やたり)乙女(をとめ)使(つか)はして
075バラモン(けう)信徒(まめひと)
076表面(うはべ)(かざ)りて顕恩郷(けんおんきやう)
077教館(をしへやかた)()らしめぬ
078八人(やたり)乙女(をとめ)大神(おほかみ)
079(ふか)(こころ)麻柱(あなな)ひて
080(たふと)(おん)()(いと)ひなく
081大胆(だいたん)不敵(ふてき)曲神(まがかみ)
082(しこ)(とりで)朝夕(あさゆふ)
083(こころ)(くば)りて(つか)へける。
084(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
085(あま)岩戸(いはと)(ひら)きたる
086五伴緒(いつとものを)(その)一人(ひとり)
087太玉神(ふとたまがみ)(つか)はして
088鬼雲彦(おにくもひこ)一類(いちるゐ)
089(まこと)(みち)言向(ことむ)けて
090メソポタミヤに神国(かみくに)
091(きよ)(もとい)(ひら)かむと
092エデンの(かは)只一人(ただひとり)
093(わた)りて(ふか)(すす)()
094(あと)より()()神司(かむつかさ)
095(こま)(かしら)(なら)べつつ
096八人(やたり)乙女(をとめ)(しの)びます
097顕恩城(けんおんじやう)(おく)()
098(なん)なく(すす)めばバラモンの
099鬼雲彦(おにくもひこ)出迎(いでむか)
100言葉(ことば)(たくみ)()りなして
101毒酒(どくしゆ)(たく)みを(はじ)めける
102(あく)(たく)みは(たちま)ちに
103徹底(てつてい)(てき)曝露(ばくろ)して
104おのが住家(すみか)振棄(ふりす)てて
105(くも)(かすみ)波斯(フサ)(くに)
106(もろ)くも姿(すがた)(かく)しける。
107(ここ)太玉(ふとたま)宣伝使(せんでんし)
108顕恩城(けんおんじやう)居残(ゐのこ)りて
109(かみ)(をしへ)(つた)へまし
110八人(やたり)乙女(をとめ)各自(めいめい)
111八洲(やしま)(くに)(わだか)まる
112八岐(やまた)大蛇(をろち)醜魂(しこだま)
113言向(ことむ)(やは)(あめ)(した)
114(もも)(わざはひ)(はら)はむと
115(おのおの)侍女(じぢよ)(ともな)ひて
116波斯(フサ)(くに)をば振出(ふりだ)しに
117宣伝(せんでん)せむと(すす)(をり)
118バラモン(けう)残党(ざんたう)
119取押(とりおさ)へられ別々(べつべつ)
120棚無(たなな)(ぶね)()せられて
121海原(うなばら)(とほ)(なが)されぬ
122八人(やたり)乙女(をとめ)(すゑ)()
123(うま)れましたる末子姫(すゑこひめ)
124(たふと)生命(いのち)捨小舟(すてをぶね)
125(なみ)(うか)びて捨子姫(すてこひめ)
126主人(あるじ)(きみ)(なぐさ)めつ
127甲斐(かひ)々々(がひ)しくも()をとりて
128大西洋(たいせいやう)中央(まんなか)
129散在(さんざい)したる大島(おほしま)
130小島(こしま)(あひだ)をくぐりつつ
131(なみ)のまにまにテルの(くに)
132ハラの(みなと)上陸(じやうりく)
133宇都山(うづやま)(たうげ)乗越(のりこ)えて
134桃上彦(ももがみひこ)旧跡地(きうせきち)
135(みやこ)()して(すす)()
136あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
137御霊(みたま)(さち)はひましませよ。
138 末子姫(すゑこひめ)捨子姫(すてこひめ)(とも)(やうや)くハラの(みなと)安着(あんちやく)し、139(あし)(はや)めて(うづ)(くに)(すす)まむと、140テルとウヅとの国境(くにざかひ)141テル山峠(やまたうげ)(ふもと)にさしかかつた。142八日(やうか)(つき)(たか)中天(ちうてん)楕円形(だゑんけい)姿(すがた)(あら)はし(この)(あい)らしき二人(ふたり)美女(びぢよ)(かしら)(のぞ)かせ(たま)ふ。
143末子姫(すゑこひめ)大変(たいへん)(おそ)ろしい()に、144幾度(いくたび)ともなく出会(であ)ひましたが、145(かみ)さまのおかげで(やうや)高砂島(たかさごじま)まで(おく)られ、146こんな(うれ)しい(こと)はありませぬなア。147これも(まつた)くバラモン(けう)()使(つか)つて、148(わらは)両人(りやうにん)(かみ)(さま)(ふか)()経綸(しぐみ)(もと)に、149(つか)はし(あそ)ばしたのでせう。150(この)(くに)(むかし)151正鹿山津見(まさかやまづみ)(かみ)(さま)がお(をさ)(あそ)ばした(ところ)()きましたが、152これから(うづ)(みやこ)(まゐ)つて、153三五教(あななひけう)今日(こんにち)様子(やうす)(さぐ)り、154宣伝(せんでん)(いた)さうぢやありませぬか』
155捨子姫(すてこひめ)左様(さやう)御座(ござ)いますなア。156貴女(あなた)はまだお(とし)がお(わか)いのに、157(この)(ひろ)(くに)へお()しになり、158宣伝(せんでん)をせうとお(かんが)(あそ)ばす(その)勇気(ゆうき)には(わたし)(じつ)心強(こころづよ)(ぞん)じます。159(しか)(なが)ら、160バラモン(けう)やウラル(けう)勢力(せいりよく)混入(こんにふ)し、161(あなど)(べか)らざる潜勢力(せんせいりよく)があると()ふことをハラの(みなと)()いた(とき)162人々(ひとびと)(はな)して()りましたから、163(けつ)して油断(ゆだん)はなりますまい。164(しか)(なが)()夜分(やぶん)になつては、165山路(やまみち)()くのも(なん)となく心許(こころもと)なく、166(また)大変(たいへん)(からだ)草疲(くたび)れましたから、167(この)芝生(しばふ)(うへ)にて(ひさ)()りで、168(つち)(からだ)(した)しみ、169夜明(よあ)けを()つて、170(この)(たうげ)()すことに(いた)しませうか』
171末子姫(すゑこひめ)『それが(よろ)しう御座(ござ)いませう』
172両人(りやうにん)(ひぢ)(まくら)(ねむ)りに()いた。
173 テル山峠(やまたうげ)をシトシトと(くだ)つて()四五(しご)(にん)(をとこ)174二人(ふたり)木蔭(こかげ)芝生(しばふ)他愛(たあい)もなく草疲(くたび)()てて(ねむ)つてゐるのも()らず、175(ここ)(あら)はれ(きた)り、
176甲『オイ、177大分(だいぶん)(あし)草臥(くたび)れて()たやうだ。178ここらで(ひと)休息(きうそく)をしたら如何(どう)だ』
179乙『膝栗毛(ひざくりげ)停電(ていでん)かなア。180ヨシヨシ(やす)んで()かう』
181丙『そんな気楽(きらく)(こと)()うてをれまいぞ。182石熊(いしくま)大将(たいしやう)から今夜頃(こんやごろ)三五教(あななひけう)(をんな)宣伝使(せんでんし)一行(いつかう)漂着(へうちやく)して()るに(ちが)ひないから、183()つけ次第(しだい)(つか)まへて、184185高照山(たかてるやま)(やかた)召捕(めしとり)(かへ)れとの()命令(めいれい)だから、186今晩(こんばん)(あんま)気楽(きらく)(やす)んでる(わけ)には()かうまい。187ハラの(みなと)へキツと到着(たうちやく)するに(ちが)ひないと()うたが、188フサの(くに)から無声(むせい)霊話(れいわ)石熊(いしくま)(さま)(おん)大将(たいしやう)通知(つうち)があつたのだ。189サアもう一気張(ひときば)りだ。190アリナの(たき)(はう)へでも()かれちや大変(たいへん)だから、191休息(きうそく)(のち)にして、192(よる)(すず)しい(うち)にモウ一足(ひとあし)駆出(かけだ)さうぢやないか』
193 (てい)194(ぼう)両人(りやうにん)(くち)(そろ)へて、
195丁、戊両人『おりやモウ交通(かうつう)機関(きくわん)(あぶら)()れて()たから、196(なん)()つても駄目(だめ)だ。197(よく)にも(とく)にも()へられない。198マーさう()はずと、199おつき()ひに一服(いつぷく)したら()うだい』
200甲『(よわ)(やつ)だなア。201そんなら、202ドツと譲歩(じやうほ)して少時(しばらく)休養(きうやう)(あた)へてやらう』
203丁『(あさ)(おそ)()午後(ごご)(はや)(かへ)つて()盲判(めくらばん)()しの役人(やくにん)でさへも、204(この)(ごろ)暑中(しよちう)休暇(きうか)(もら)へるのだから(おれ)だつて、205(よる)(ひる)(はたら)かされちや、206やりきれないワ、207ハヽヽヽヽ』
208甲『(この)(ごろ)役人(やくにん)だつて、209暑中(しよちう)休暇(きうか)廃止(はいし)されて(しま)つたよ』
210丙『暑中(しよちう)休暇(きうか)(はい)してまで、211無理(むり)鈍物(どんぶつ)(うご)かさうとした(ところ)駄目(だめ)だ。212(かへつ)能率(のうりつ)低下(ていか)する(くらゐ)なものだ。213チールやネロの()(とほ)り、214今晩(こんばん)はここでグツスリと休暇(きうか)(たま)はつて()くことにせう。215なア……イサクの大将(たいしやう)……』
216イサク『イサクさ()はずに、217仕方(しかた)がない、218(やす)んで()け。219(だま)つてねるのだよ』
220チール『(おれ)はお(まへ)(やう)()てものを()つたり、221そんな器用(きよう)(こと)出来(でき)ないから、222安心(あんしん)してくれ。223(まへ)こそズイ(ぶん)()寝言(ねごと)()(をとこ)だよ。224あんな寝言(ねごと)()ひよると、225()つともなくて、226そばに安閑(あんかん)として()れない(やう)気分(きぶん)になるワ』
227シーナ『(おれ)寝言(ねごと)貴様(きさま)()いたかい。228天下(てんか)万民(ばんみん)安堵(あんど)せしむる(ため)一心(いつしん)()(かた)まつて()るから、229()ても()めても、230天下(てんか)(うれ)ふる至誠(しせい)言葉(ことば)()たされて()るのだ。231貴様(きさま)はあまり学問(がくもん)がないから、232(おれ)言葉(ことば)(わか)らないのだろ』
233チール『天下(てんか)(こと)(おも)つてゐるなんぞと馬鹿(ばか)にするない。234何時(いつ)とても貴様(きさま)(うち)(かかあ)天下(てんか)ぢやから、235余程(よほど)下鶏(したどり)になつとると()えて、236ねると()ぐ、237アア アア アア アアと(おほ)きな(くち)あけて、238(いびき)をかきやがつて、239(いた)(いた)いとか、240(おも)たい(おも)たいとか、241()ひよるのだ。242……なア、243ネロ、244何時(いつ)此奴(こいつ)寝言(ねごと)活版(くわつぱん)()した(やう)なものだろよ』
245ネロ『此奴(こいつ)アな、246(なん)でも高照山(たかてるやま)谷間(たにあひ)(とほ)りがかりの旅人(たびびと)をひつとらまへ、247何々(なになに)した(うへ)248何々(なになに)しやがつた(こと)があるに(ちが)ひない。249何時(いつ)とても(めう)寝言(ねごと)()ひよるぢやないか。250……オイ、251シーナ、252貴様(きさま)余程(よほど)(いま)こそバラモン(けう)宣伝使(せんでんし)ぢやと()うて威張(ゐば)つて()るが、253(わる)(こと)をやつたと()えるなア』
254シーナ『()らぬワイ。255そんなうるさいことを、256(よる)夜中(よなか)()つて()れるな、257気分(きぶん)(わる)くなつた。258()らぬ(かみ)(たた)りなしだ』
259チール『アツハヽヽヽ、260夜分(やぶん)になると、261高照山(たかてるやま)(はなし)大変(たいへん)(こわ)がる(をとこ)だなア』
262ネロ『きまつた(こと)よ。263ズイ(ぶん)えらい(こと)があるのだ。264(その)秘密(ひみつ)(かぎ)(にぎ)つて()るのはネロさま(だけ)だ。265此奴(こいつ)(あと)何時(いつ)もつけ、266ネロさんと()亡霊(ばうれい)が、267たつた二人(ふたり)(ばか)りついてゐるのだから、268エラ(さう)()つても夜分(やぶん)になると門口(もんぐち)(ひと)()るのもビリビリものだからな。269こんなこと(はな)して()ると、270あの亡霊(ばうれい)がやつて()て、271(また)ヒユー、272ドロドロだ』
273シーナ『(たの)みぢやから、274どうぞ()うてくれな』
275ネロ『モウ()れで()(をさ)めだから、276半分(はんぶん)(だけ)()つて()めたらう。277高照山(たかてるやま)谷間(たにあひ)(おい)て、278妙齢(めうれい)美人(びじん)二人(ふたり)(たい)何々(なになに)(いた)し、279(つひ)には何々(なになに)をして、280谷底(たにそこ)何々(なになに)し、281(その)亡霊(ばうれい)何時(いつ)此奴(こいつ)生首(なまくび)引抜(ひきぬ)かむと、282夢幻(ゆめまぼろし)()つのだよ。283……オイ(みな)(やつ)284こんなシーナ、285オツトドツコイ代物(しろもの)一緒(いつしよ)(ある)いて()ると、286何時(いつ)かおかシーナ手附(てつき)をして、287ヒユーと()出現(しゆつげん)(あそ)ばすかも()れやしないぞ。288アヽ(なん)だかそこらがゾクゾクし()した。289モウ(この)(はなし)()めとこかい』
290イサク『オイ、291シーナ、292(まへ)そんな(おぼ)えがあるのか。293(なん)だかネロの物語(ものがたり)()いて、294(おれ)気分(きぶん)(わる)くなつて()たワイ。295サアもう、296こんな(はなし)()めにして()かうぢやないか』
297ネロ『(おれ)やモウ()うしても(うご)けないから、298ここでチール(ばか)りネロとせう、299グウ グウ グウ』
300カール『ハツハヽヽヽ、301らつちもない(こと)()やがつて、302シーナにからかつて()たが、303(はや)モウ()(しま)ひよつた。304(つみ)のない(をとこ)だなア。305サア一層(いつそう)のこと(やす)んで()かう』
306とカールは(また)もやグレンと(ひぢ)(まくら)(みち)(かたはら)(よこた)はつた。307イサクもチールも(また)(ねむ)りに()いた。308シーナは(あと)一人(ひとり)(なん)だか首筋元(くびすぢもと)がオゾオゾするので、309(ねむ)りも()せず、310イサクの(こし)(くら)ひついて(ふる)(をのの)いてゐる。
311大正一一・八・一四 旧六・二二 松村真澄録)
312(昭和一〇・六・九 王仁校正)

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