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第二一章 神王(しんわう)(ほこら)〔八六三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻 篇:第5篇 山河動乱 よみ:さんかどうらん
章:第21章 第30巻 よみ:しんおうのほこら 通し章番号:863
口述日:1922(大正11)年08月16日(旧06月24日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国依別一行は、アラシカ峠の頂上に至り、東北方面に平原に伸びるヒルの都を見渡した。一方西南には日暮シ山がそびえている。三人はこの様子を見て、ヒルの都は無防備だが交通の便に勝れ、一方日暮シ山は要害堅固だか交通に不便である点を比べ評している。
三人が峠を下っていく途中、二三本の樟の大木に守られて、古い祠があった。ウラル教の神・常世神王を祀った祠であるという。その前に、妙齢の女が跪き、何事かを熱心に祈願している。
三人は祠に近づき、天津祝詞を奏上すると傍らの石に腰掛けた。女は涙を流して祈願している。キジは女に近づき、同情の言葉をかけて、何か悩み事があれば力になろうと申し出た。
女はエリナと名乗り、父・エスはウラル教の宣伝使であったが、ある日三五教の宣伝使が家に立ち寄ったところ、その宣伝使の話に感銘を受けて投合し、家に何日か泊め、またウラル教徒たちにも三五教の美点を説いて聞かせたという。
しかしそのことが日暮シ山の本山に伝わり、教主ブールに呼び出されてその後消息が絶えてしまった。日暮シ山本山から親切に消息を知らせてくれた者があり、それによると、ブールの逆鱗に触れた父・エスは、水牢に投げ込まれて苦しんでおり、家族にも危害が及ぶかもしれない、とのことであった。それを聞いた母は重い病に倒れてしまったという。
国依別、キジ、マチはこの話を聞いて、自分たちが三五教徒でであることを明かし、力になろうと申し出た。国依別は、キジとマチに日暮シ山に引き返して、エリナの父・エスを助け出すように命じ、自分はエリナを送って行き、エリナの母に鎮魂を施すこととした。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3021
愛善世界社版:239頁 八幡書店版:第5輯 656頁 修補版: 校定版:255頁 普及版:95頁 初版: ページ備考:
001 国依別(くによりわけ)一行(いつかう)(あし)(まか)せて、002(あさひ)()(なが)ら、003東南(とうなん)(むか)前方(ぜんぱう)突当(つきあた)つたアラシカ(やま)大峠(おほたうげ)をソロソロと(のぼ)(はじ)めた。004(この)地点(ちてん)最早(もはや)今年(こんねん)旱魃(かんばつ)にも(あは)ず、005(きは)めて安全(あんぜん)にして、006山々(やまやま)草木(さうもく)(いろ)(うる)はしく、007(あさひ)()(かがや)き、008活々(いきいき)として()る。009一行(いつかう)(こころ)(いさ)み、010(なん)となく愉快(ゆくわい)げに(この)急坂(きふはん)()らず()らずの(あひだ)半日(はんにち)(つひ)やして、011(たうげ)頂上(ちやうじやう)(たつ)した。
012 東北(とうほく)(なが)むれば、013ヒルの(みやこ)(ほそ)(なが)(おび)(ごと)人家(じんか)(なら)んで()る。014戸数(こすう)(おい)(ほとん)二三千(にさんぜん)(ばか)りの、015(この)時代(じだい)()つては大都会(だいとくわい)である。016(また)西南(せいなん)瞰下(かんか)すれば、017ウラル(けう)のブールが立籠(たてこも)りたる日暮(ひぐら)(やま)()()(ごと)く、018青々(あをあを)(みどり)(ころも)(かぶ)り、019八合目(はちがふめ)以上(いじやう)(くも)(つつ)まれてゐる。
020 キジは国依別(くによりわけ)(むか)ひ、
021『モシ、022宣伝使(せんでんし)(さま)023あの未申(ひつじさる)方向(はうこう)(あた)つて白雲(しらくも)帽子(ばうし)()てゐる高山(かうざん)が、024(れい)日暮(ひぐら)(やま)御座(ござ)いますよ。025随分(ずゐぶん)景勝(けいしよう)地点(ちてん)(えら)んだものですなア。026三方(さんぱう)(やま)(かこ)まれ、027一方(いつぱう)日暮(ひぐら)(がは)清流(せいりう)(ひか)え、028四神相応(ししんさうおう)地点(ちてん)だと()つて、029ウラル(けう)連中(れんぢう)非常(ひじやう)(ほこ)つて()(ところ)御座(ござ)いますよ。030ヒルの(みやこ)はあの(とほ)り、031茫々(ばうばう)たる原野(げんや)(なか)(きづ)かれてありますから、032大変(たいへん)便利(べんり)(よろ)しいが、033要害(えうがい)(てん)(おい)ては、034日暮(ひぐら)(やま)(くら)ぶれば、035非常(ひじやう)(おと)つて()(やう)ですなア』
036国依(くにより)成程(なるほど)ウラル(けう)恰好(かつかう)地点(ちてん)見付(みつ)()したものだなア。037(しか)(この)(ごろ)(やう)肝心(かんじん)日暮(ひぐら)(がは)があの(とほ)涸切(かれき)つて(しま)つては、038交通(かうつう)(てん)(おい)(もつと)不便(ふべん)であらう。039何事(なにごと)一利(いちり)あれば一害(いちがい)ある()(なか)だから、040吾々(われわれ)なれば矢張(やつぱり)ヒルの(みやこ)(はう)余程(よほど)()()るよ』
041マチ『()()ると()つたら、042(この)涼風(すずかぜ)043(あつ)(さか)(あせ)タラダラと(なが)して(のぼ)()め、044山上(さんじやう)(いき)(やす)めて四方(よも)景色(けしき)見晴(みは)らし、045浩然(こうぜん)()(やしな)吾々(われわれ)は、046(じつ)天国(てんごく)(のぼ)りつめた(やう)心持(こころもち)になつて()ました。047(なん)()つても(ひと)高山(かうざん)(のぼ)下界(げかい)見下(みおろ)すに(かぎ)りますなア。048コセコセと(せま)谷間(たにあひ)(ひそ)んで、049日々(にちにち)(なん)とかかとか()つて(さわ)いで()るよりも、050時々(ときどき)山登(やまのぼ)りも(また)愉快(ゆくわい)なものです』
051 国依別(くによりわけ)は、
052『サア(みな)さま、053(まゐ)りませうか』
054とスタスタと坂路(さかみち)()()く。055二人(ふたり)は『モウ(すこ)(やす)みたいなア……』と小声(こごゑ)(ささや)(なが)ら、056()むを()(あと)(したが)ひ、057急坂(きうはん)(くだ)りて()く。
058 ()れば坂路(さかみち)(かたはら)(ひと)つの(ほこら)()つて()る。059(くす)大木(たいぼく)二三本(にさんぼん)(てん)(ふう)(この)(ほこら)(たい)し、060雨傘(あまがさ)(やく)(つと)めて()る。061ふと()れば、062(おも)やつれのした妙齢(めうれい)(をんな)063社前(しやぜん)(ひざまづ)何事(なにごと)(しき)りに祈願(きぐわん)をこめてゐる。064マチ、065キジの両人(りやうにん)(はや)くも(これ)(みと)め、
066『ヤア宣伝使(せんでんし)(さま)067アレ御覧(ごらん)なさいませ。068あすこには常世神王(とこよしんわう)(まつ)つた(ほこら)御座(ござ)います。069さうして(なん)だか一人(ひとり)(をんな)(しき)りに祈願(きぐわん)して()るやうですが、070(ひと)立寄(たちよ)つて様子(やうす)()いて()ませう。071(この)(さび)しい山路(やまみち)072(わか)(をんな)()として、073(この)(ほこら)(まゐ)つて()るのは(なに)(ふか)(いは)因縁(いんねん)()けねばなりますまい』
074国依(くにより)『アヽ成程(なるほど)075(ふる)(やしろ)()つてゐるなア。076(じつ)立派(りつぱ)(くすのき)(さか)えて()る。077これ(くらゐ)大木(たいぼく)にならうと(おも)へば数千年(すうせんねん)星霜(せいさう)()()るであらう。078吾々(われわれ)(やう)二百歳(にひやくさい)三百歳(さんびやくさい)()んで(しま)(よわ)人間(にんげん)(ちが)つて、079数千年(すうせんねん)寿命(じゆめう)(たも)ち、080(なほ)青々(あをあを)として枝葉(しえふ)繁茂(はんも)させ、081所在(あらゆる)暴風雨(ばうふうう)(たい)依然(いぜん)として(すこ)しも(さわ)がず、082(この)高山(かうざん)生活(せいくわつ)(つづ)けて()(くすのき)は、083(じつ)(えら)いものだ。084これを(おも)へば植物(しよくぶつ)(ぐらゐ)(えら)いものはない(やう)()がするネ。085(くす)()(れい)あり、086(かつ)言語(げんご)(はつ)するならば、087(とほ)神代(かみよ)有様(ありさま)()かして(もら)ふのだけれど、088(しか)しそれも仕方(しかた)がない』
089マチ『モシモシそれはさうと、090あの(をんな)御覧(ごらん)なさい。091随分(ずゐぶん)痩衰(やせおとろ)へて()るぢやありませぬか? ()(かく)(ほこら)(まへ)立寄(たちよ)つて調(しら)べて()たら如何(どう)でせう』
092国依(くにより)()(かく)神様(かみさま)参詣(さんけい)した(ついで)(たづ)ねて()るもよからうよ』
093()(なが)らツカツカと(ほこら)(まへ)(すす)みよる。094三人(さんにん)(ほこら)(まへ)(ひざまづ)拍手(はくしゆ)再拝(さいはい)095天津祝詞(あまつのりと)(きよ)(すず)しく奏上(そうじやう)(をは)り、096(かたはら)(なが)(いし)(こし)打掛(うちかけ)(いき)(やす)めた。
097 キジは祠前(しぜん)(ひざまづ)何事(なにごと)(しき)りに、098落涙(らくるい)(とも)(いの)つて()(をんな)側近(そばちか)()り、099いたいたしげに()()でさすり(なが)ら、
100キジ『モシモシ、101何処(どこ)御方(おかた)()りませぬが、102大変(たいへん)御信仰(ごしんかう)御座(ござ)いますな。103(この)(やしろ)は、104常世神王様(とこよしんわうさま)御神霊(ごしんれい)御祀(おまつ)(まを)してあると()ふことで御座(ござ)いますれば、105貴女(あなた)がここへ御参(おまゐ)りになつてることを(おも)へば、106大方(おほかた)ウラル(けう)御方(おかた)でせうネ。107かよわき(をんな)只一人(ただひとり)108(この)高山(たかやま)(ほこら)(まう)でて御祈(おいの)りをなさるのは、109(なに)(ふか)御様子(ごやうす)のある(こと)御察(おさつ)(まを)します。110吾々(われわれ)(ちから)(およ)(こと)なれば、111(なん)とかして御相談(ごさうだん)()つてあげたいと(おも)ひますが、112どうか御差支(おさしつかへ)なくば、113大略(たいりやく)(だけ)なりとお(はなし)(くだ)さいませ。114(およ)ばず(なが)御力(おちから)になりませう』
115 (この)同情(どうじやう)のこもつたキジの言葉(ことば)に、116(をんな)(やうや)(かほ)をあげ、
117『ハイ、118(わたし)はアラシカ(やま)山麓(さんろく)住居(すまゐ)いたすエリナと(まを)(もの)御座(ござ)います。119(わたし)(ちち)は、120ウラル(けう)宣伝使(せんでんし)でエスと(まを)しますが、121一ケ月(いつかげつ)以前(いぜん)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(さま)御立寄(おたちよ)りになり、122いろいろと(たふと)きお(はなし)(ちち)(とも)に、123夜中(よぢう)(あそ)ばした結果(けつくわ)124(ちち)非常(ひじやう)(よろこ)びまして、125四五日(しごにち)(あひだ)(その)宣伝使(せんでんし)吾家(わがや)(とど)めおき、126ウラル(けう)信者(しんじや)にも三五教(あななひけう)美点(びてん)()()かせ、127神様(かみさま)御神徳(ごしんとく)()けて、128大変(たいへん)(よろこ)(いさ)んで()りました。129(ところ)(この)(こと)(たちま)日暮(ひぐら)(やま)岩窟(がんくつ)聖場(せいぢやう)()ててウラル(けう)をお(ひら)(あそ)ばす、130()はばヒルの(くに)()けるウラル(けう)総大将(そうだいしやう)131ブールの教主(けうしゆ)(みみ)()り、132至急(しきう)(わが)(ちち)のエスに(まゐ)れとの御使(おんつかひ)133(ちち)(よろこ)(いさ)んで、134(その)霊地(れいち)(まゐ)りましたが、135(その)()(なん)音沙汰(おとさた)もなく非常(ひじやう)(はは)(とも)心配(しんぱい)(いた)して()りましたが、136四五日(しごにち)(まへ)にウラル(けう)宣伝使(せんでんし)(たづ)ねて()られ、137エスさまは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)自宅(じたく)宿泊(しゆくはく)させ(その)(うへ)ウラル(けう)信者(しんじや)(たい)して三五教(あななひけう)()(すす)めたと()つて、138日暮(ひぐら)(やま)岩窟内(がんくつない)(くら)水牢(みづらう)()()まれ、139大変(たいへん)(くる)しみを()けて()られる、140前達(まへたち)妻子(さいし)たる(かど)(もつ)て、141何時(なんどき)召捕(めしと)りに()るかも()れないから、142()()けよと、143秘密(ないない)()らして()れた親切(しんせつ)(かた)がありました。144(はは)はそれを()くより(たちま)癪気(しやくき)(おこ)し、145(おも)(やまひ)(とこ)()し、146()()(からだ)(よわ)()て、147()(かげ)もなく痩衰(やせおとろ)へ、148一滴(いつてき)(みづ)食物(しよくもつ)(のど)()さず、149(この)まま()()つより(ほか)(みち)なき悲運(ひうん)(おちい)つて()ります。150それ(ゆゑ)(わたし)はウラル(けう)教祖(けうそ)常世神王様(とこよしんわうさま)(ほこら)日々(にちにち)(まう)でまして、151(ちち)危難(きなん)(すく)ひ、152(はは)病気(びやうき)(たす)(たま)へと、153(いの)つて()るので御座(ござ)います』
154(なみだ)片手(かたて)(つつ)まずかくさず事情(じじやう)物語(ものがた)る。
155キジ『それはそれは、156(うけたま)はれば(じつ)にお()(どく)です。157(わたくし)今迄(いままで)ウラル(けう)信者(しんじや)日暮(ひぐら)(やま)霊場(れいぢやう)へは、158二度(にど)(ばか)参拝(さんぱい)した(こと)もある(くらゐ)御座(ござ)いますが、159(じつ)にウラル(けう)は、160(いま)となつて(かんが)へて()れば残虐(ざんぎやく)(をしへ)ですよ。161(ひと)()(こと)(なん)とも(おも)はず、162天国(てんごく)(すく)はれるのだから、163無上(むじやう)光栄(くわうゑい)だなんて、164(わけ)(わか)らぬ(こと)(をし)へるのですからたまりませぬワ。165(しか)(なが)らあなたの御父上(おちちうへ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)四五日(しごにち)御泊(おと)めになつたと()ふのは、166ウラル(けう)愛想(あいさう)をつかし、167三五教(あななひけう)(うつく)しい(ところ)をお(さと)りになつた結果(けつくわ)でせう。168コリヤ、169キツと因縁(いんねん)があるに(ちが)ひない。170こんな(ところ)でこんな御話(おはなし)()くのも、171神様(かみさま)のお引合(ひきあは)せに(ちがひ)ない。172(かなら)(かなら)御心配(ごしんぱい)なさいますな。173キツと吾々(われわれ)御父上(おちちうへ)御母(おか)アさまを(たす)けて()げませう』
174エリナ『どこの御方(おかた)()りませぬが、175(はじめ)()うた(この)(わたし)に、176御親切(ごしんせつ)によく()つて(くだ)さいます。177何分(なにぶん)にも(あはれ)(わたし)今日(こんにち)境遇(きやうぐう)178どうぞ御助(おたす)(くだ)さいませ』
179()(あは)せて、180(なみだ)(なが)らに(たの)(あは)れさ。
181国依(くにより)『モシ、182エリナさまとやら、183(かなら)御心配(ごしんぱい)なさいますな。184吾々(われわれ)一同(いちどう)がキツとお(とう)さまを、185如何(どん)水牢(みづらう)(なか)からでも、186()ならずお(たす)(まを)して、187あなたの(うち)(おく)(とど)けませう』
188エリナ『ハイハイ、189有難(ありがた)御座(ござ)います。190何分(なにぶん)(よろ)しう御願(おねがひ)(いた)します。191……あなたは、192さうしてウラル(けう)宣伝使(せんでんし)(さま)御座(ござ)いますか』
193国依(くにより)『イエイエ、194吾々(われわれ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)国依別(くによりわけ)(まを)(もの)195(いま)此処(ここ)()両人(りやうにん)は、196チルの(くに)(かた)で、197キジ、198マチと()非常(ひじやう)豪傑(がうけつ)ですよ。199キツと(たす)けて()げますから、200機嫌(きげん)(なほ)して(はや)家路(いへぢ)(かへ)り、201()アさまにも安心(あんしん)させて()げなさい』
202エリナ『ハイ、203有難(ありがた)御座(ござ)います』
204(うれ)(なみだ)にくれ、205()()して()いて()る。
206国依(くにより)『キジ、207マチの両人(りやうにん)208御苦労(ごくらう)だが、209一度(いちど)ウラル(けう)霊場(れいぢやう)引返(ひきかへ)し、210モウ一戦(ひといくさ)(はじ)め、211エスさまを(すく)()して()ようぢやないか?』
212キジ『ハイ、213それは大変(たいへん)面白(おもしろ)いでせう。214(しか)(なが)ら、215たかの()れたブールやユーズにアナンの(ごと)木端武者(こつぱむしや)大将株(たいしやうかぶ)をして()(やう)なウラル(をし)へ、216宣伝使(せんでんし)にワザワザ()つて(もら)ふのは(じつ)(おそ)(おほ)いぢやありませぬか。217あんな(もの)吾々(われわれ)一人(ひとり)にて(あま)つて()ります。218どうぞ(わたくし)一人(ひとり)日暮(ひぐら)(やま)差向(さしむ)けて(くだ)さい。219さうしてマチはエリナさまに()いて()き、220()アさまの病気(びやうき)鎮魂(ちんこん)して(なほ)して()げる(やく)となり、221宣伝使(せんでんし)(さま)(これ)よりヒルの(みやこ)へお()しになり、222吾々(われわれ)芽出(めで)たく凱旋(がいせん)して(かへ)(まで)223()つてゐて(くだ)さいませぬか?』
224国依(くにより)随分(ずゐぶん)(えら)元気(げんき)だが、225(かなら)油断(ゆだん)出来(でき)ないぞ。226夜前(やぜん)大勝利(だいしようり)()たからと()つて、227何時迄(いつまで)()(ばか)りにきまつたものぢやない。228随分(ずゐぶん)()()けて、229両人(りやうにん)(とも)一時(いちじ)(はや)くエスさまを(すく)()(やう)御苦労(ごくらう)にならうかな。230エリナさまは(わし)がヒルの(みやこ)()途中(とちう)だから、231(たく)(まで)(おく)(とど)け、232()アさまの大病(たいびやう)(なほ)しておいて、233ヒルの(みやこ)()くことと(いた)しませう』
234 キジはニタリと(わら)(なが)ら、
235キジ『宣伝使(せんでんし)(さま)236中々(なかなか)抜目(ぬけめ)がありませぬなア』
237(こころ)ありげに(わら)ふ。
238マチ『きまつた(こと)だ。239神様(かみさま)のお(みち)一分一厘(いちぶいちりん)240毛筋(けすぢ)横巾(よこはば)抜目(ぬけめ)があつて(たま)るかい。241(まへ)こそ今度(こんど)抜目(ぬけめ)なく、242()()けて()かないと、243(おも)はぬ失敗(しつぱい)(えん)ずるぞよ』
244国依(くにより)『マチさまも是非(ぜひ)同道(どうだう)(ねが)ひますよ。245どうもキジさま一人(ひとり)では心許(こころもと)ないからなア』
246キジ『宣伝使(せんでんし)(さま)247(あま)りひどいですな。248(たか)()れたウラル(けう)霊場(れいぢやう)249(わたくし)一人(ひとり)にて()()らぬ(やう)気分(きぶん)(いた)して()ります。250マチの(やう)(をとこ)251()れて()くのは(なん)だか足手纏(あしてまと)ひの(やう)()(いた)しますけれど、252あなたの御命令(ごめいれい)とあらば()れて()きます。253……コレ、254マチ、255貴様(きさま)余程(よつぽど)果報者(くわほうもの)だ。256征夷(せいい)大将軍(だいしやうぐん)キジ(こう)副将(ふくしやう)となつて()くのだから、257さぞ光栄(くわうえい)(おも)つてゐるだらうなア』
258マチ『アハヽヽヽ(なに)()かすのだ。259(あま)調子(てうし)()つて失敗(しつぱい)をせぬ(やう)にせよ。260……そんなら宣伝使(せんでんし)(さま)261キジ(こう)(あと)(したが)ひ、262これより日暮(ひぐら)(やま)立向(たちむか)ひ、263ウラル(けう)大将(たいしやう)ブール(その)()奴原(やつばら)(かた)(ぱし)から言向(ことむ)(やは)し、264エスの宣伝使(せんでんし)(すく)()し、265()ならず凱旋(がいせん)(うへ)266ヒルの(みやこ)楓別命(かへでわけのみこと)御館(おんやかた)(おい)御面会(ごめんくわい)(まを)しませう。267……サア、268キジ(こう)大将(たいしやう)269(はや)出立(しゆつたつ)(あそ)ばせよ』
270と、271からかひ(なが)ら、272(はや)くも(この)()(あと)に、273(さき)()つて元来(もとき)坂路(さかみち)(かへ)()く。
274キジ『オイオイ大将(たいしやう)(あと)にして、275(さき)()くと()(こと)があるものか。276()つた()つた』
277(よば)はり(なが)ら、
278キジ『宣伝使(せんでんし)(さま)279エリナ(さま)280左様(さやう)なら、281後日(ごじつ)()にかかりませう』
282言葉(ことば)(のこ)し、283マチの(あと)()つかけ()く。
284 これより国依別(くによりわけ)はエリナと(とも)にアラシカ(やま)山麓(さんろく)エスの(たく)(いた)り、285エリナの(はは)テールの(やまひ)()やさむと祈願(きぐわん)し、286数日(すうじつ)逗留(とうりう)(のち)ヒルの(みやこ)()して(すす)()く。
287大正一一・八・一六 旧六・二四 松村真澄録)
   
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