霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 不知恋(しらずごひ)〔八七〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻 篇:第1篇 千状万態 よみ:せんじょうばんたい
章:第4章 第31巻 よみ:しらずごい 通し章番号:870
口述日:1922(大正11)年08月18日(旧06月26日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3104
愛善世界社版:37頁 八幡書店版:第6輯 54頁 修補版: 校定版:38頁 普及版:15頁 初版: ページ備考:
001 国依別(くによりわけ)楓別命(かえでわけのみこと)懇望(こんもう)()つて、002暫時(ざんじ)此処(ここ)(とど)まることとなりぬ。003(しか)(なが)日暮(ひぐら)(やま)岩窟(がんくつ)(つか)はしたるキジ、004マチ両人(りやうにん)(はじ)め、005エスの消息(せうそく)(あん)(わづら)ひ、006如何(いか)にもして(この)(やかた)立出(たちい)で、007一刻(いつこく)(はや)(かれ)消息(せうそく)(さぐ)り、008(すく)(いだ)さむと焦慮(せうりよ)すれども、009数多(あまた)人々(ひとびと)(かみ)(ごと)くに尊敬(そんけい)して(あつ)まり(きた)り、010(この)(たび)大地震(だいぢしん)()りて、011負傷(ふしやう)をなしたる人々(ひとびと)を、012(あるひ)輿(こし)(かつ)ぎ、013(あるひ)戸板(といた)()せ、014(すく)ひを(もと)めに()(もの)015日々(にちにち)幾百人(いくひやくにん)ともなくありければ、016国依別(くによりわけ)(この)惨状(さんじやう)見棄(みす)てて立去(たちさ)(わけ)にも()かず、017(なや)める人々(ひとびと)(むか)つて鎮魂(ちんこん)(しう)し、018(これ)(すく)ひつつ、019(おも)はず()らず時日(じじつ)()()たりける。
020 ()(また)021九死一生(きうしいつしやう)難関(なんくわん)(たす)けられたる紅井姫(くれなゐひめ)は、022これより国依別(くによりわけ)(たい)して、023一種(いつしゆ)異様(いやう)愛慕(あいぼ)念慮(ねんりよ)024刻々(こくこく)(くも)(ごと)くに(おこ)(きた)り、025最早(もはや)情火(じやうくわ)にもやされて(むね)(くる)しく、026ハートは(つづみ)(なみ)()ち、027(あつ)(いき)をハアハアと()(なが)ら、028まだ初恋(はつこひ)(くち)()()しかねて、029(かた)(いき)をなし、030(つひ)には(おも)ひに(せま)つて、031()痩衰(やせおとろ)へ、032(いろ)(あを)ざめ、033病床(びやうしやう)呻吟(しんぎん)するに(いた)りける。
034 楓別命(かえでわけのみこと)紅井姫(くれなゐひめ)病気(びやうき)(なが)めて、035(おほい)憂慮(いうりよ)し、036如何(いか)にもして快癒(くわいゆ)せしめむかと、037(あさ)(ゆふ)神前(しんぜん)祈願(きぐわん)をこらし()たり。038アリー、039サールの侍女(じじよ)も、040一刻(いつこく)紅井姫(くれなゐひめ)(そば)(はな)れず、041昼夜(ちうや)(こころ)をこめて看護(かんご)(つく)すと(いへど)も、042(ひめ)(やまひ)は、043()(おも)()くのみにして(ほど)こす()だては()かりける。
044 国依別(くによりわけ)(ひめ)重病(ぢうびやう)()き、045鎮魂(ちんこん)(もつ)(やまひ)(すく)ひやらむと、046ワザワザ病床(びやうしやう)(ひめ)(おとな)ひけるに、047(ひめ)国依別(くによりわけ)訪問(はうもん)()きて、048(おも)(あたま)(もた)げ、049(かほ)(あか)らめ(なが)ら、050(すこ)しく俯伏目(うつぶしめ)になり、051(ぬす)むが(ごと)く、052国依別(くによりわけ)(かほ)(なが)め、053微笑(びせう)をもらし、054愉快(ゆくわい)げに、055両手(りやうて)(あは)せて感謝(かんしや)()(へう)しけり。
056 国依別(くによりわけ)紅井姫(くれなゐひめ)枕頭(ちんとう)端座(たんざ)し、057天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、058(あま)数歌(かずうた)(うた)()げ、059(ひめ)(むか)つて慰安(ゐあん)言葉(ことば)(あた)(なが)ら、060しづしづと(この)()立出(たちい)で、061(あた)へられたる(わが)居間(ゐま)(かへ)りて、062(ふたた)(かみ)祈願(きぐわん)をこらし()るこそ殊勝(しゆしよう)なれ。
063 楓別命(かえでわけのみこと)(つか)へて信任(しんにん)(もつと)(あつ)く、064数多(あまた)信者(しんじや)人望(じんばう)(あつ)めたる秋山別(あきやまわけ)は、065紅井姫(くれなゐひめ)色香(いろか)(たへ)なるに(こころ)()せ、066()()(つの)恋慕(れんぼ)(こころ)(むね)をこがし、067機会(きくわい)ある(ごと)に、068(ひめ)歓心(くわんしん)()はむと、069(こころ)(くば)りつつありき。
070 (また)内事(ないじ)(つかさ)たるモリスは紅井姫(くれなゐひめ)接見(せつけん)機会(きくわい)(おほ)きに()れて、071いつしか(ひめ)美容(びよう)(こころ)()ろかし、072将来(しやうらい)紅井姫(くれなゐひめ)(あい)一身(いつしん)集中(しふちう)する(もの)は、073()れならむと、074(ふか)くも心中(しんちう)期待(きたい)()たり。075(ゆゑ)に、076(この)(たび)(ひめ)重病(ぢうびやう)につき真心(まごころ)(かぎ)りを(つく)し、077(その)歓心(くわんしん)()はむものと、078モリスは内事(ないじ)(つと)めをおろそかにし、079(ひま)ある(ごと)に、080病気(びやうき)見舞(みまひ)看護(かんご)口実(こうじつ)に、081(ひめ)寝室(しんしつ)()ふを(もつ)て、082唯一(ゆゐいつ)神策(しんさく)として()たり。
083 一方(いつぱう)秋山別(あきやまわけ)(おな)(おも)ひの恋慕(れんぼ)情火(じやうか)()(がた)く、084()すぼらしく痩衰(やせおとろ)へたる紅井姫(くれなゐひめ)寝室(しんしつ)を、085朝夕(あさゆふ)何時(いつ)となく(たづ)(きた)りて、086真心(まごころ)のあらむ(かぎ)りを(つく)し、087(ひめ)全快(ぜんくわい)(のち)一日(いちにち)(はや)く、088合衾(がふきん)(しき)()げむものと、089心中(しんちう)(ふか)期待(きたい)しつつありける。
090 (しか)るに国依別(くによりわけ)(この)(やかた)(きた)りしより、091紅井姫(くれなゐひめ)秋山別(あきやまわけ)(たい)し、092(また)モリスに(たい)する態度(たいど)は、093どこともなく(ひや)やかになりしが(ごと)(おも)はるるより、094二人(ふたり)煩悶(はんもん)(ふち)(しづ)み、095如何(いか)にもして(ひめ)信用(しんよう)恢復(くわいふく)せむかと、096(こころ)(うち)曲者(くせもの)駆使(くし)されて、097巧言令色(こうげんれいしよく)追従(ついしやう)(かぎ)りを(つく)すこそ可笑(をか)しけれ。
098 紅井姫(くれなゐひめ)最初(さいしよ)より、099秋山別(あきやまわけ)100モリスに(たい)し、101(ただ)普通(ふつう)(をしへ)(みち)役人(やくにん)102(また)内事(ないじ)(よう)(つと)むる取締(とりしまり)として、103(やさ)しく交際(かうさい)してゐたるのみにして、104(べつ)(この)二人(ふたり)(たい)し、105(ゆめ)にも恋愛(れんあい)(こころ)()たざりける。106されど二人(ふたり)(をとこ)は、107紅井姫(くれなゐひめ)(やさ)しき言葉(ことば)()(たび)に、108()れを(あい)するものと(おも)ひひがめ、109三国一(さんごくいち)花婿(はなむこ)秋山別(あきやまわけ)()いて、110()適当(てきたう)候補者(こうほしや)はなしと、111(みづか)自惚鏡(うぬぼれかがみ)打向(うちむか)ひ、112(はな)(うごめ)かし、113()てなき(こと)(たの)みとして()(くら)しつつありき。114()内事司(ないじつかさ)のモリスも同様(どうやう)に、115将来(しやうらい)紅井姫(くれなゐひめ)(をつと)はモリスならめと、116(みづか)(こころ)()めて、117吉日良辰(きつじつりやうしん)一日(ひとひ)(はや)(きた)らむ(こと)期待(きたい)しつつあり()なり。
118 秋山別(あきやまわけ)(この)(ごろ)モリスの(ひめ)(たい)する態度(たいど)(なん)となく(あや)しげなるに、119(こころ)(いた)め、120法界悋気(ほふかいりんき)(つの)()やしかけゐたるが、121モリスも(また)秋山別(あきやまわけ)(ひめ)(たい)する態度(たいど)目立(めだ)ちて親切(しんせつ)なるに(こころ)(いら)ち、122(こひ)仇敵(かたき)として、123油断(ゆだん)なく秋山別(あきやまわけ)行動(かうどう)監視(かんし)しつつありき。124(しか)して秋山別(あきやまわけ)侍女(じぢよ)のアリーを取入(とりい)れ、125薬籠中(やくろうちう)(もの)となし、126モリスは侍女(じぢよ)のサールを取入(とりい)れ、127(わが)薬籠中(やくろうちう)のものとなし、128(たがひ)(その)輸贏(しゆえい)(あらそ)ひつつ、129(ひそ)かに(あい)競争(きやうそう)(つづ)けゐたるぞ面白(おもしろ)き。
130 ()かる(ところ)へ、131天下(てんか)神人(しんじん)活神(いきがみ)尊敬(そんけい)せられたる国依別命(くによりわけのみこと)132紅井姫(くれなゐひめ)九死一生(きうしいつしやう)危難(きなん)(すく)ひてより、133(ひめ)信任(しんにん)()()うて(あつ)くなりければ、134二人(ふたり)心中(しんちう)(つね)悶々(もんもん)(じやう)()へかね、135国依別(くによりわけ)欠点(けつてん)(さぐ)()し、136楓別命(かえでわけのみこと)教主(けうしゆ)(はじ)め、137紅井姫(くれなゐひめ)(まへ)曝露(ばくろ)して、138(その)信任(しんにん)(きず)つけ(やぶ)らむと、139(ふた)(どもゑ)両人(りやうにん)(こひ)(ほのふ)()やしつつ、140卍巴(まんじどもゑ)(ごと)相互(さうご)暗々裡(あんあんり)弾劾(だんがい)運動(うんどう)準備(じゆんび)着手(ちやくしゆ)しつつありき。141されど国依別(くによりわけ)(もと)より(をんな)(たい)し、142(すこ)しも執着心(しふちやくしん)なく、143(また)紅井姫(くれなゐひめ)(たい)しても、144(あや)しき(こころ)毫末(がうまつ)()()らず、145それ(ゆゑ)国依別(くによりわけ)は、146(なん)(はばか)(ところ)もなく、147(ただ)(ひめ)大病(たいびやう)(すく)はむ(ため)(こころ)(そこ)より(あん)()ごして、148(かみ)(いの)り、149(しばしば)(やまひ)経過(けいくわ)(さぐ)るべく、150(ひめ)寝室(しんしつ)を、151(ひる)となく(よる)となく(おとづ)れたるなり。
152 されど国依別(くによりわけ)(この)行動(かうどう)は、153(こひ)(とら)はれたる痩犬(やせいぬ)秋山別(あきやまわけ)154モリスの()には、155非常(ひじやう)なる苦痛(くつう)(かん)じ、156(つひ)には仇敵(きうてき)(ごと)見做(みな)すに(いた)りたりける。
157 折柄(をりから)玄関(げんくわん)(おとづ)るる一人(ひとり)(をんな)あり。158モリスは(たちま)(わが)居間(ゐま)(まね)いて、159(その)来意(らいい)(たづ)ぬれば、160(をんな)はやや(はじ)らひながら(ことば)()とやかに、
161三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)国依別(くによりわけ)(さま)は、162御館(おやかた)御出(おい)でで御座(ござ)いますか? アラシカ(たうげ)(ふもと)からエリナと()(をんな)(たづ)ねて(まゐ)りましたと、163()しお(いで)ならばお(つた)へを(ねが)ひます』
164 モリス(こころ)(うち)にて、
165『ハヽー、166此奴(こいつ)国依別(くによりわけ)のレコだなア。167()(ところ)()()れた。168モウ()秘密(ひみつ)(わか)つた以上(いじやう)は、169何程(なにほど)紅井姫(くれなゐひめ)(さま)国依別(くによりわけ)御熱心(ごねつしん)でも、170(をんな)があると()けば、171千年(せんねん)(こひ)一度(いちど)()めるだらう。172(ひと)(うま)調子(てうし)()せて、173(はら)(そこ)(さぐ)つてやらう……』
174決心(けつしん)愛想(あいさう)よく、
175『それはそれは()(たづ)ねて()(くだ)さいました。176大変(たいへん)大地震(おほぢしん)御座(ござ)いましたが、177御宅(おたく)(たい)した(こと)御座(ござ)いませぬかな』
178『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います。179あの大地震(おほぢしん)(ちひ)さい(なが)住家(すみか)(たふ)され()かれ、180一人(ひとり)(はは)地震(ぢしん)火事(くわじ)(ため)()くなつて(しま)ひました。181(じつ)不運(ふうん)(をんな)御座(ござ)います』
182(はや)(なみだ)()む。
183『それは()(どく)(こと)でしたなア。184御察(おさつ)(まを)しますよ。185(しか)(なが)ら、186老人(としより)()(もの)(いづ)(さき)()ぬものです。187一番(いちばん)芽出(めで)たい(こと)()へば、188ぢい()に、189(ばば)()に、190(おやぢ)()に、191(かかあ)()に、192()()(まご)(しに)(まを)しまして、193こんな芽出(めで)たい(こと)はないのですよ。194(さき)()ぬべき(もの)(さき)()ぬのは当然(たうぜん)195老人(らうじん)(あと)(のこ)り、196(わか)(もの)(さき)()にて御覧(ごらん)なさい。197(とし)()つて脛腰(すねこし)()たぬやうになり、198尿糞(ししばば)のたれ(なが)しと()ふやうな惨酷(ざんこく)()()うても、199(わか)(もの)(さき)()くなつて(しま)へば、200()親身(しんみ)になつて世話(せわ)して()れる(もの)もありますまい。201それにお(まへ)さまは、202国依別(くによりわけ)さまと二人(ふたり)若夫婦(わかふうふ)(のこ)つたのだから、203()んな目出(めで)たい(こと)()りませぬよ。204(ひと)はすべて(おも)ひようですからな。205(おや)(かは)りにドシドシとお正月(しやうぐわつ)餅搗(もちつき)をして、206子餅(こもち)沢山(たくさん)に、207(てん)(ほし)(かず)(ほど)(こしら)へなさい。208それが一番(いちばん)神様(かみさま)(たい)しても御奉公(ごほうこう)だ、209アハヽヽヽ』
210(わたし)(けつ)して国依別(くによりわけ)(さま)女房(にようばう)でも(なん)でも御座(ござ)いませぬ。211(ただ)(わたし)(はは)急病(きふびやう)(こま)つて()りますので、212常世神王(とこよしんわう)御社(おやしろ)参拝(さんぱい)して()りますと、213そこへ国依別(くによりわけ)宣伝使(せんでんし)二人(ふたり)家来(けらい)()れて(あら)はれ、214御親切(ごしんせつ)(わたし)(たく)()て……お(まへ)(はは)病気(びやうき)平癒(へいゆ)祈願(きぐわん)をしてやらう……と仰有(おつしや)つたので、215五六日(ごろくにち)(とま)つて(いただ)いた(だけ)のもので御座(ござ)います』
216『さうして二人(ふたり)家来(けらい)如何(どう)なつたのです?』
217二人(ふたり)御家来(ごけらい)(わたし)(ちち)(ある)(ところ)(とら)へられてゐるのを(たす)けると()つて()()かれました()り、218(いま)(なん)便(たよ)りも御座(ござ)いませぬ。219大変(たいへん)(あん)じて()りまする』
220『ハヽー、221さうすると、222二人(ふたり)家来(けらい)をどつかへまいておいて、223国依別(くによりわけ)さまが、224(ひと)(とほ)らぬ山道(やまみち)を、225(くに)さまとエリナさまと()()いて(とほ)らうかいな、226二人(ふたり)(なか)はよいけれど、227二人(ふたり)(やつ)邪魔(じやま)になり、228(よう)(こしら)へ、229まいてやつた……と()(やう)な……そこは要領(えうりやう)(よろ)しくやつたのでせう。230(わたし)()()えても、231そンな(こと)(すゐ)()かぬ(をとこ)ぢやありませぬ。232どんな御取持(おとりもち)でも(いた)しますから、233ハツキリと貴女(あなた)御嬉(おうれ)しい芝居(しばゐ)顛末(てんまつ)(はな)して(くだ)さいな。234(その)都合(つがふ)()つて国依別(くによりわけ)さまへ御取次(おとりつぎ)(いた)しますから……』
235(けつ)して左様(さやう)関係(くわんけい)御座(ござ)いませぬが、236あの宣伝使(せんでんし)(さま)仰有(おつしや)つた御言葉(おことば)(おも)()し、237御神徳(ごしんとく)(した)つて遥々(はるばる)此処(ここ)まで(まゐ)りましたので御座(ござ)ります』
238『ハヽヽヽヽ、239一口(ひとくち)仰有(おつしや)つた御言葉(おことば)(おも)()して(した)うて()たと()はれましたなア。240(みつ)のような(あま)言葉(ことば)でしたらう……コレ、241エリナ、242(わたし)()れからヒルの(みやこ)()()(ほど)に、243(まへ)(わし)()うなつた(うへ)は、244(あさひ)()(とも)245(くも)(とも)246(つき)()(とも)()くる(とも)247仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも、248(まへ)(こと)(わす)れやせぬ、249二世(にせ)三世(さんせ)(さき)()かけて、250()つても()れぬ(まこと)夫婦(ふうふ)251仮令(たとへ)()東西(とうざい)(わか)れて()つても、252(みたま)(たふと)いお(まへ)(そば)……ヘン、253なンて(あま)つたるい(こと)()つたのでせう。254(うらや)ましう御座(ござ)いますワイ。255あなたも中々(なかなか)おとなしさうな(かほ)して、256随分(ずゐぶん)やりますな。257陰裏(かげうら)(まめ)でも時節(じせつ)()ると(はな)()(はじ)めますからなア、258アハヽヽヽ』
259『さう、260ぢらさずと御頼(おたの)みですから、261(はや)取次(とりつ)いで(くだ)さいませ』
262取次(とりつ)がぬ(こと)はないが、263(しか)しお(まへ)さまに()つては、264(この)(あひだ)地震(ぢしん)よりも、265大火事(おほくわじ)よりもビツクリなさる(こと)出来(でき)()りますよ。266(いのち)(まで)はめこんだ国依別(くによりわけ)さまには、267(この)(やかた)名高(なだか)紅井姫(くれなゐひめ)さまが、268ゾツコン惚込(ほれこ)ンで恋病(こひやまひ)(わづら)ひ、269国依別(くによりわけ)さまに朝晩(あさばん)目尻(めじり)()げて(よだれ)をくり、270それはそれは()られた(ざま)ぢやありませぬよ。271そして、272(ひめ)(さま)(ひめ)(さま)ぢや、273……お(まへ)さまのやうな、274一寸(ちよつと)立派(りつぱ)(おく)さまがあるにも(かか)はらず、275(ひと)(をとこ)(ほれ)て、276恋病(こひやまひ)(わづら)ふなンて、277本当(ほんたう)()しからぬぢやありませぬか。278……コレ、279エリナさま、280(まへ)さまも一人前(いちにんまへ)(をんな)ぢやないか。281のめのめと大事(だいじ)(をつと)世間(せけん)()ずのお(ぢやう)さまに占領(せんりやう)せられて、282如何(どう)して女子(をなご)意地(いぢ)()ちますか。283サア(わたし)案内(あんない)して()げるから、284(ひめ)さまのお部屋(へや)立入(たちい)り、285国依別(くによりわけ)さまの胸倉(むなぐら)をグツと()(おも)存分(ぞんぶん)不足(ふそく)()ひなさい。286()しも(ほか)(やつ)()つて()て、287乱暴者(らんばうもの)だとか()ンとか()つて取押(とりおさ)へようとしよつたら、288内事(ないじ)(つかさ)をして()(わたし)がグツと(おさ)へて、289何事(なにごと)()はさぬよつて、290(ひと)大騒(おほさわ)ぎをやりなさい。291さうすれば如何(いか)(ほれ)たお(ひめ)さまでも愛想(あいさう)をつかし、292国依別(くによりわけ)さまを(おも)()つて(かへ)して()れるに(ちがひ)ない。293(これ)六韜三略(りくたうさんりやく)兵法(へいはふ)だ。294サア(なに)よりも決心(けつしん)第一(だいいち)だ。295直接(ちよくせつ)行動(かうどう)(かぎ)りますぞえ。296……(なん)ぢやお(まへ)さま、297肝腎(かんじん)(をつと)()られ(なが)ら、298気楽相(きらくさう)(かほ)して(わら)うてゐると()(こと)があるものかい。299さういふ薄野呂(うすのろ)だから、300大事(だいじ)(をとこ)()られて(しま)うのだよ。301(いぬ)でもケシをかけねば(しし)()びつかぬものだ。302まだ(わたし)のケシ()けようが()らぬのかいな』
303『ホヽヽヽヽ、304あなたの仰有(おつしや)(こと)大変(たいへん)混線(こんせん)(いた)して()りますよ』
305何分(なにぶん)自転車(じてんしや)自動車(じどうしや)交通(かうつう)頻繁(ひんぱん)(ため)306電話線(でんわせん)(ひび)くと()えて、307少々(せうせう)混線(こんせん)して()りますワイ。308(しか)混線(こんせん)()つたら、309国依別(くによりわけ)さまの(こと)だ。310(まへ)(たい)してもまだ幾分(いくぶん)未練(みれん)はあらうし、311(ひめ)さまに(たい)しては(いのち)投出(なげだ)しても(くる)しうもないと()(のろ)(かた)312そこへ()けて、313秋山別(あきやまわけ)()(こひ)強敵(きやうてき)(あら)はれて()る。314まだ(そと)二人(ふたり)……競争者(きやうさうしや)がある。315随分(ずゐぶん)混線(こんせん)したものだ。316(その)混線(こんせん)(ついで)に、317(まへ)さまが(くち)から()()き、318(つの)()やし、319(おに)(じや)になつて、320(ひめ)(さま)部屋(へや)()()みさへすれば、321(わたし)(のぞ)みもオツトドツコイ、322(まへ)(のぞ)みも成功(せいこう)すると()ふものだ、323サア(はや)決心(けつしん)次第(しだい)()かして(くだ)さい』
324『そんな(こと)仰有(おつしや)らずに、325どうぞ()はして(くだ)さいなア』
326()はして()げたいは山々(やまやま)なれど、327自分(じぶん)(をとこ)(ひと)()られて、328平気(へいき)()るやうな腰抜(こしぬけ)には()()はしませぬワイ。329どうぞ(かへ)つて(くだ)さい、330左様(さやう)なら……』
331一間(ひとま)(かく)れようとする。332エリナはコリヤ一通(ひととほ)りでは取次(とりつ)いで()れぬと(こころ)(おも)うたか、333(にはか)(こゑ)()へ、
334『エー残念(ざんねん)やな、335残念(ざんねん)やな、336残念(ざんねん)やな、337残念(ざんねん)やな、338大事(だいじ)大事(だいじ)可愛(かあい)(をとこ)を、339(ひと)にムザムザ(ぬす)まれて、340(わたし)(をんな)意地(いぢ)341コレが(だま)つて()られうか。342これから(おく)へふみ()ンで、343国依別(くによりわけ)さまのたぶさをつかみ(ひき)ずり(まは)し、344(うら)みの数々(かずかず)()()てて、345(ひめ)さまにもキツイ御礼(おれい)(まを)さなおかぬ』
346地団駄(ぢだんだ)をふみ()した。347モリスはシテやつたりと引返(ひきかへ)し、
348『ヤア天晴(あつぱ)天晴(あつぱ)れ、349あなたの武者振(むしやぶ)(まこと)(いさ)ましう御座(ござ)る。350サア(これ)よりモリスが先陣(せんぢん)(つかまつ)る。351天晴(あつぱ)れ、352紅井山(くれなゐやま)戦闘(せんとう)功名(こうみやう)手柄(てがら)(あら)はし、353国依別(くによりわけ)(うば)(かへ)し、354一時(いちじ)(はや)凱歌(がいか)をあげて、355ヒルの(やかた)立出(たちい)でなされ。356(しか)らば御伴(おとも)(つかまつ)りませう』
357大手(おほで)()(なが)ら、
358『サア古今無双(ここんむさう)女豪傑(をんながうけつ)エリナさま、359モリスが(あと)(したが)つて十分(じふぶん)決心(けつしん)(さだ)め、360鉢巻(はちまき)用意(ようい)をして、361ドシドシと足音(あしおと)(たか)くお(すす)みあれ』
362(さき)()つて、363(ひめ)病室(びやうしつ)へと(すす)()く。
364大正一一・八・一八 旧六・二六 松村真澄録)
365(昭和九・一二・一七 王仁校正)
   
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