霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 樹下(じゆか)宿(やど)〔八八〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻 篇:第3篇 千里万行 よみ:せんりばんこう
章:第14章 第31巻 よみ:じゅかのやど 通し章番号:880
口述日:1922(大正11)年08月19日(旧06月27日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国依別はキジに安彦という名を与え、マチには宗介という名を与えた。道々二人に教えを伝えながら、ブラジル峠を越えて大平原に出た。国依別と安彦は旅の疲れに寝てしまったが、宗介は何となく寝つけず、聞こえてくる猛獣の声に震えていた。
明け方、猛獣の声が聞こえなくなったが、大木の切り株に二人の男が腰を掛けてひそびそ話にふけっているのが耳に入ってきた。宗介が耳を澄ませて聞き入ると、それは秋山別とモリスだった。
秋山別とモリスは国依別が紅井姫とエリナを連れていると思って、執念深く追ってきていたのであった。二人はこの先の丸木橋に仕掛けをして、国依別を落として亡き者にしようと企んでいた。
宗介はこれを聞いて、国依別に先に知らせるよりも、丸木橋のところで自分が天眼通で彼らの企みを見破ったように見せかければ、国依別も自分を見直すだろう、と我知らず独り言が大きくなった。
安彦は宗介の独り言を聞いてしまい、宗介をからかう。しかし国依別は最初からすべて聞いていた。国依別は、宗介の頼みを聞いて、名を宗彦と改めた。
国依別は、秋山別とモリスの企みを逆手に取って、女の声色を使ってまんまと丸木橋をわたって出し抜いてやろうという。一行は再び眠りについて、夜が明けてから進んで行くことになった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3114
愛善世界社版:165頁 八幡書店版:第6輯 103頁 修補版: 校定版:169頁 普及版:78頁 初版: ページ備考:
001(なみ)(うか)べる高砂(たかさご)
002ヒルとハルとの国依別(くによりわけ)
003(けは)しき(やま)をよぢ(のぼ)
004安彦(やすひこ)宗介(むねすけ)両人(りやうにん)
005(したが)(のぼ)るブラジルの
006(ほそ)谷間(たにま)打渡(うちわた)
007()()についではるばると
008ハルの原野(げんや)打渉(うちわた)
009アマゾン(がは)森林(しんりん)
010(おも)はず()らず(まよ)()
011鷹依姫(たかよりひめ)一行(いつかう)
012高姫(たかひめ)一行(いつかう)(めぐ)()
013モールバンドの怪獣(くわいじう)
014言向(ことむ)(やは)万民(ばんみん)
015さも(おそ)ろしき災禍(わざはい)
016(のぞ)(きよ)めし物語(ものがたり)
017いよいよ(ここ)()()つる。
018 国依別(くによりわけ)はキジに安彦(やすひこ)といふ()(あた)へ、019マチに宗介(むねすけ)()()(あた)へ、020道々(みちみち)三五(あななひ)(をしへ)()(さと)(なが)ら、021(その)(むかし)淤縢山津見司(おどやまづみのかみ)が、022()花咲耶姫(はなさくやひめ)化身(けしん)なる蚊々虎(かがとら)通過(つうくわ)したる、023ブラジル(たうげ)山頂(さんちやう)(いき)(やす)め、024それより大原野(だいげんや)()づる(こと)となつた。
025 国依別(くによりわけ)一行(いつかう)はブラジル(たうげ)山麓(さんろく)にて()()らし、026大木(たいぼく)根元(ねもと)夜露(よつゆ)(しの)一夜(いちや)()かす(こと)となりぬ。
027 国依別(くによりわけ)028安彦(やすひこ)他愛(たあい)もなく(たび)(つか)れに、029よく(ねむ)つて()る。030宗介(むねすけ)(なん)となく、031胸騒(むなさわ)ぎがして、032マンジリとも()せず、033二人(ふたり)(あひだ)(はさ)まつて、034(よこ)たはつて()た。035(たちま)(きこ)ゆる猛獣(まうじう)(こゑ)036(しん)()(こん)()ゆる(ばか)り、037(その)(いや)らしさに宗介(むねすけ)は、038戦慄(せんりつ)()()れず、039安彦(やすひこ)(からだ)にしつかり(くら)()き、040()()くるを一刻(いつこく)(はや)かれと(いの)つて()た。
041 夜明(よあけ)間近(まぢか)くなつたと()え、042猛獣(まうじう)(さけ)(ごゑ)何時(いつ)とはなしに()えて(しま)つた。043折柄(をりから)二人(ふたり)(をとこ)044大木(たいぼく)(かぶ)(こし)をかけ、045ヒソビソ(ばなし)(ふけ)つてゐる。046(おな)一本(いつぽん)大木(たいぼく)(いへど)も、047五十丈(ごじふぢやう)(ばか)りも(まは)つた(みき)048一方(いつぱう)(はう)には三人(さんにん)他愛(たあい)なく(よこ)たはつて()るのも、049一方(いつぱう)腰打(こしうち)かけてる二人(ふたり)()には()まらうやうもなかつた。
050 どこともなくヒソビソ(ばなし)(みみ)這入(はい)つて()るので宗介(むねすけ)は、051ソツと(そら)をすかし(なが)ら、052(こゑ)する(はう)近寄(ちかよ)つて(みみ)()てて、053一言(ひとこと)()らさじと()いて()る。
054『オイ(あき)……ここまで(さが)しに()たのだが、055モウ駄目(だめ)だぞ。056日暮(ひぐら)(やま)では、057ハル、058ナイルの両人(りやうにん)()ひまくられ、059様子(やうす)()けば国依別(くによりわけ)今朝(けさ)(ほど)()つたと()ひよつたので、060何人(なんにん)()れかと()いて()れば、061(ゆび)三本(さんぼん)()して()やがつた。062的切(てつき)り、063(じるし)とエ(じるし)()れてノホホンで、064宣伝(せんでん)だし天下(てんか)漫遊(まんいう)すると()(かんが)へだ。065(おれ)(をとこ)意地(いぢ)で、066仮令(たとへ)(いのち)がなくなつても、067彼奴(あいつ)(あと)をつけ(ねら)ひ、068国依別(くによりわけ)(すき)(うかが)ひ、069谷底(たにそこ)へでも()(おと)し、070二人(ふたり)のナイスを此方(こちら)のものにせぬことには、071阿呆(あほ)らしうて、072世間(せけん)顔出(かほだ)しも出来(でき)ぬぢやないか。073最早(もはや)行方(ゆくへ)(わか)らぬと()つて(この)(まま)()寝入(ねい)(わけ)にも()かず、074(なん)とか工夫(くふう)はあるまいかなア、075(あき)さま』
076『モリ(こう)077(まへ)中々(なかなか)執着心(しふちやくしん)(ふか)いねい。078こんな所迄(ところまで)スタスタと(しり)()けて()るのだから、079こンな連中(れんぢう)(ねら)はれた(をんな)こそ、080(へび)魅入(みい)られた(がま)のやうなものだよ。081本当(ほんたう)(おも)へば(おも)(ほど)082二人(ふたり)(をんな)可哀相(かあいさう)になつて()た。083(おれ)もここまで心猿意馬(しんゑんいば)(くる)ひに()かされて、084(きた)るは()たものの、085何時(いつ)()にか、086(こころ)(さる)(おも)ひの(うま)も、087どつかへ、088愛想(あいさう)をつかして、089絶望(ぜつばう)(さけ)び、090(かへ)つて(しま)つたやうな気分(きぶん)になつて()た。091モウ仕方(しかた)がない、092(これ)から(あと)引返(ひきかへ)さうぢやないか』
093勝手(かつて)にせい、094(おれ)何処迄(どこまで)もやり()げるのだ。095(をとこ)がのめのめとどの(つら)さげて、096国許(くにもと)(かへ)(こと)出来(でき)ようかい』
097(しか)何程(なにほど)二人(ふたり)(をんな)懸想(けさう)して()つても、098国依別(くによりわけ)()以上(いじやう)駄目(だめ)ぢやないか。099彼奴(あいつ)如何(どう)かして……』
100()(なが)小声(こごゑ)(なに)(みみ)のはたで(やや)(しば)(ささや)いて()る。101宗介(むねすけ)()うしても(その)(こゑ)(あま)(ひく)いので(きこ)えなかつた。
102『……此処(ここ)一里(いちり)(ばか)(さき)()くと、103丸木橋(まるきばし)がある。104相当(さうたう)(ふか)谷川(たにがは)で、105そこへ()ちようものなら、106どんな(ふと)(をとこ)でも五体(ごたい)がメチヤメチヤになつて(しま)ふと()(こと)だから、107(いま)(うち)(さき)(まは)つて、108(その)(はし)のつつぱりを()り、109国依別(くによりわけ)一足(ひとあし)(また)げるや(いな)や、110バサツと()ちる(やう)工夫(くふう)をせうぢやないか。111藤蔓(ふぢつる)(なん)かで、112(はし)一方(いつぱう)(くく)つておき、113国依別(くによりわけ)(また)げるや(いな)や、114谷底(たにそこ)(かく)れて()つて、115(その)(つな)()くのだ。116さうすると、117ズヽヽヽズドン、118ウン、119キヤア……とそれつきり、120(あは)れなりける次第(しだい)なりけりだ。121さうせうぢやないか』
122『それ(ほど)(ほね)()つたつて、123国依別(くによりわけ)(とほ)つた(あと)だつたら、124骨折損(ほねをりぞん)草臥儲(くたびれまう)けになつて(しま)うぢやないか』
125『ナアニ、126大丈夫(だいぢやうぶ)だよ。127半日(はんにち)(くらゐ)(さき)()たと()つても、128(むか)うは足弱女(あしよわをんな)()れてるんだし、129此方(こちら)健脚家(けんきやくか)(ばか)りのお(そろひ)だから、130キツと(おれ)(はう)(さき)()つにきまつてる。131彼奴(あいつ)はまだ二三里(にさんり)(くらゐ)(あと)(をんな)意茶(いちや)ついて()よるに(ちが)ひない。132サア(はや)()かぬと、133()ひつかれると大変(たいへん)だぞ。134作業(さげふ)()まぬ(うち)()よつたら(なん)にもならぬからなア。135もしも(をんな)(わた)りよつたら、136(だま)つて(わた)してやるのだ。137国依別(くによりわけ)(あし)二歩(ふたあし)三歩(みあし)かけよつたが最後(さいご)()()()ツで引張(ひつぱ)るのだ。138(なん)(あき)さま、139妙案(めうあん)だらう』
140一人(ひとり)(をんな)(さき)()ち、141国依別(くによりわけ)(なか)()ち、142(また)一人(ひとり)(をんな)(あと)にあり、143一時(いちじ)単縦陣(たんじうぢん)(つく)つて(わた)りよつたら、144()うするのだ。145それこそ(あぶ)(はち)()らずの草臥(くたびれ)もうけになつて(しま)うぢやないか』
146『そこは(また)(その)(とき)(かぜ)()くぢやないか。147仮令(たとへ)落込(おちこ)ンだ(ところ)で、148チツと(くらゐ)怪我(けが)をしても、149三人(さんにん)三人(さんにん)(なが)()()づかひはないワ。150そこで国依別(くによりわけ)()をまかす、151()らぬ(かほ)して()つとけばそれで仕舞(しまひ)だ。152二人(ふたり)(をんな)には(みづ)()ませ、153介抱(かいほう)し……コレコレ(たび)御女中(おぢよちう)……とか(なん)とか()つて(たす)けてやる。154さうすれば紅井姫(くれなゐひめ)が、155俺達(おれたち)(いのち)親様(おやさま)()つて、156秋波(しうは)(おく)つてクレナイ(こと)もあるまいぞ。157(げん)国依別(くによりわけ)がラバーされたのも大地震(だいぢしん)(とき)(たす)けてやつたのが原因(げんいん)ぢやからのウ』
158『それもさうだなア。159サア(はや)()つて準備(じゆんび)()りかからうかい。160グヅグヅして()ると六菖十菊(ろくしやうじつきく)161(あと)(まつ)りで、162(なん)にもならないワ。163(いち)164()165(さん)!』
166と、167(ほそ)谷路(たにみち)を、168(あや)しげにすかし(なが)ら、169進ンで()く。
170 宗介(むねすけ)二人(ふたり)()つた(あと)で、
171(なん)だか(おれ)今夜(こんや)(かぎ)つて()られないと(おも)へば、172秋山別(あきやまわけ)173モリスの両人(りやうにん)174あンな(わる)(こと)(たく)ンでゐやがるのだなア。175それも天罰(てんばつ)俺達(おれたち)(きこ)えるやうにすつかり(しやべ)つて()きよつた。176神様(かみさま)彼等(かれら)両人(りやうにん)がこンな計画(けいくわく)をして()るからと、177(おれ)(れい)をかけ、178ねかさなかつたのだナ。179(なん)神様(かみさま)(めぐみ)はどこからどこ(まで)行届(ゆきとど)いたものだ。180(たれ)()るまいと(おも)つて、181(わる)(こと)(たく)むと、182何事(なにごと)(この)(とほ)りだ。183(てん)()()()()れも()る、184宗介(むねすけ)(まで)()ると()ふのだから、185(こわ)いものだなア。186ドレドレ(この)秘密(ひみつ)()()つて手柄話(てがらばなし)国依別(くによりわけ)(さま)報告(はうこく)せうかなア……イヤイヤ()()てさう(はや)()ふと値打(ねうち)がない。187(はし)(つめ)まで()つた(ところ)で、188国依別(くによりわけ)さまが(あし)をかけようとなさつたら……モシ御待(おま)ちなさい、189(わたくし)天眼通(てんがんつう)()れば、190(この)(はし)浮橋(うきはし)ですから険呑(けんのん)です。191(あき)192モリの二人(ふたり)(つな)引張(ひつぱ)つて()りますから……と抱止(だきと)めるのだ。193さうすると国依別(くによりわけ)さまも(よろこ)びて、194宗介(むねすけ)()へて(くだ)さつた()(また)195(むかし)()宗彦(むねひこ)さまと()へて(くだ)さるかも()れぬ。196おゝさうだ()はぬが(はな)だ』
197調子(てうし)()つて、198何時(いつ)()にやら、199(たか)(こゑ)(さへづ)つて()る。200安彦(やすひこ)()をさまして、
201『オイ宗介(むねすけ)202貴様(きさま)(うま)(こと)(かんが)へて()よるなア』
203 宗介(むねすけ)小声(こごゑ)になつて、
204『オイ、205(まへ)()いたのか。206大将(たいしやう)内証(ないしよう)だから(その)(つも)りで()つて()れよ』
207 安彦(やすひこ)殊更(ことさら)(おほ)きな(こゑ)で、
208一本橋(いつぽんばし)をどうしたと()ふのだい』
209(やかま)しう()はずに(やす)まぬか。210(あき)211モリの両人(りやうにん)が、212今頃(いまごろ)にや丸木橋(まるきばし)をおとす作業中(さげふちう)だ。213面白(おもしろ)いぢやないか』
214宣伝使(せんでんし)(さま)215あなた御存(ごぞん)じですか』
216(はじめ)からスツカリ()いて()る。217宗彦(むねひこ)()()()へてやらうか』
218『イヤもう有難(ありがた)御座(ござ)います。219どうぞ(よろ)しうお(たの)(まを)します』
220『そんなら、221一段(いちだん)(くらゐ)()げて、222只今(ただいま)から宗彦(むねひこ)()(あた)へる』
223『アヽ(なん)とも御礼(おれい)申様(まをしやう)御座(ござ)いませぬ……オイ安彦(やすひこ)どうだい、224只今(ただいま)から、225(まへ)(おれ)同役(どうやく)だ。226(あま)偉相(えらさう)(おとうと)(あつか)ひには出来(でき)ないぞ』
227(おれ)(ひこ)(もら)つてから三日(みつか)になる。228貴様(きさま)(いま)(もら)つた(ところ)ぢやないか。229双児(ふたご)(うま)れても兄弟(けうだい)区別(くべつ)がつくのだ。230(げん)三日(みつか)(ちが)ひがあるのだから、231ヤツパリ(おとうと)だよ』
232『エヽ仕方(しかた)がないなア。233ぢやドツと譲歩(じやうほ)して表面(へうめん)だけ(おとうと)になつておかうかい。234(その)(かは)(あに)(あに)(だけ)甲斐性(かひしやう)がなくてはならず、235(おとうと)可愛(かあい)がつて大切(たいせつ)にせねばならぬ責任(せきにん)がある。236(おとうと)(よわ)つて()れば、237()()いてやつて(いた)はり(また)()うてやらなきや、238兄貴(あにき)値打(ねうち)がないからなア』
239『コラコラ(やかま)しう()はずに(やす)まぬか。240まだ夜明(よあけ)にチツと()もある。241ゆつくり(ここ)(やす)ンで、242()()けてからボツボツ()くのだ。243(いづ)彼奴(あいつ)両人(りやうにん)谷底(たにそこ)()(しげ)みに(かく)れて()るに(ちが)ひないから、244前等(まへら)両人(りやうにん)(をんな)声色(こはいろ)使(つか)つて()くのだよ。245さうして三人(さんにん)(とも)(うま)く、246(わた)つて(しま)うのだよ』
247二人(ふたり)(をんな)三人(さんにん)声色(こはいろ)とは、248チツと(へん)ぢや御座(ござ)りませぬか』
249『そこは二人(ふたり)になるのだ。250国依別(くによりわけ)紅井姫(くれなゐひめ)声色(こはいろ)使(つか)ひ、251安彦(やすひこ)(おとうと)宗彦(むねひこ)背中(せなか)()ひ、252さうしてエリナの声色(こはいろ)になつて、253(わた)りさへすれば大丈夫(だいぢやうぶ)だ。254(わた)つて(しま)つてから、255各自(めいめい)(をとこ)(こゑ)大笑(おほわら)ひをし、256ビツクリさしてやるのだ』
257国依別(くによりわけ)さま、258あなたは真面目(まじめ)宣伝使(せんでんし)()ず、259随分(ずいぶん)悪戯(いたづら)御好(おすき)ですなア。260こんな(をとこ)を、261(わたし)だつて背中(せなか)()うて一本橋(いつぽんばし)(わた)られませうかなア』
262『あの(やう)(わる)(こと)(たく)(やつ)には、263此方(こちら)(ひと)つからかつてやる(くらゐ)()いぢやないか。264まさか(ちが)へば生命(いのち)()られる(ところ)ぢやから……そしてお(まへ)宗彦(むねひこ)背中(せなか)(くく)りつけ、265もしも(あやま)つて()ちた(ところ)で、266国依別(くによりわけ)(おい)ては、267(いた)(こと)もなければ(かゆ)(こと)もないのだ、268アハヽヽヽヽ』
269 安彦(やすひこ)(くび)(かたむ)け、270国依別(くによりわけ)(かほ)見詰(みつ)(なが)ら、
271『ヘーン、272(なん)とマア水臭(みづくさ)御方(おかた)ですなア』
273(いづ)れ、274谷川(たにかは)(わた)谷水(たにみづ)(なか)へおちるのだもの。275ちつたア、276水臭(みづくさ)からうかい。277谷底(たにそこ)には(みづ)御霊(みたま)()つて()つて、278はまつた(ところ)で、279()()けて(たす)けて(くだ)さるから大丈夫(だいぢやうぶ)だよ。280そんな取越苦労(とりこしくらう)はするものぢやないよ。281あゝ()(どほ)しい(こと)だ。282宣伝使(せんでんし)(さま)モウそろそろ()かけたら如何(どう)でせう』
283(いま)二人(ふたり)()つたばかしぢやないか。284あの(ふか)谷川(たにがは)橋杭(はしくひ)()つたり、285(つる)をつけて()()用意(ようい)するのは、286一時(ひととき)二時(ふたとき)猶予(いうよ)出来(でき)るものぢやない。287(ここ)でゆつくりしてアフンとさしてやる(はう)面白(おもしろ)いぢやないか。288(べつ)半日(はんにち)(くらゐ)(おく)れたつて、289遅刻(ちこく)罰金(ばつきん)()られるのでもなし、290マア(さき)(たのし)ンで、291ゆつくり(やす)ンで()かう』
292()(なが)ら、293大木(たいぼく)()(まくら)()(しま)つた。
294(なん)宣伝使(せんでんし)()ふものは大胆(だいたん)(もの)ぢやないか、295ナア宗彦(むねひこ)296現在(げんざい)(かたき)落橋(らくけう)準備(じゆんび)をやつてゐるのに、297平気(へいき)であの(とほ)り、298(よこ)になるが(はや)いか高鼾(たかいびき)をかいて()(しま)はれた。299俺達(おれたち)はまだ執着心(しふちやくしん)(はな)れぬので、300(いのち)()しくて、301(てき)(まへ)殺人(さつじん)準備(じゆんび)をやつて()ると(おも)へば、302どこともなしに心気(しんき)興奮(こうふん)して()られないがなア』
303国依別(くによりわけ)さまと安物(やすもの)安彦(やすひこ)(くら)べやうとするから、304そンな疑問(ぎもん)(おこ)るのだよ。305活神(いきがみ)さまと製糞器(せいふんき)とは(おな)(やう)にはいかぬワイ』
306(おれ)製糞器(せいふんき)なら、307(まへ)製糞器(せいふんき)ぢやないか』
308『お(まへ)製糞器(せいふんき)だよ、309この宗彦(むねひこ)糞造器(ふんざうき)だ。310(おな)意味(いみ)(やう)だが、311そこに一寸(ちよつと)(ちが)(わけ)があるのだ。312アハヽヽヽ』
313(わら)(なが)ら、314大木(たいぼく)周囲(まわり)をクルクルと(めぐ)りつつ夜明(よあけ)()(こと)にした。315(やうや)くにして、316(ひがし)(しら)()し、317百鳥(ももとり)(こゑ)318あたりの森林(しんりん)より、319かしましく(きこ)()たる。320青葉(あをば)(わた)(あした)(かぜ)は、321()()はれぬ涼味(りやうみ)()しげもなく、322三人(さんにん)(むか)つて()きつける。323いよいよ一行(いつかう)三人(さんにん)足仕度(あしじたく)をなし、324(たに)細路(ほそみち)(つた)ひ、325丸木橋(まるきばし)(むか)(すす)()(こと)とはなりにける。
326大正一一・八・一九 旧六・二七 松村真澄録)
   
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