霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 丸木橋(まるきばし)〔八八一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻 篇:第3篇 千里万行 よみ:せんりばんこう
章:第15章 第31巻 よみ:まるきばし 通し章番号:881
口述日:1922(大正11)年08月19日(旧06月27日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国依別は丸木橋に近づくと、安彦と宗彦に気合を入れ、自ら鶯のような女性の声色で宣伝歌を歌いだした。
その歌は、紅井姫もエリナも国依別に振られたように見せかけ、それぞれ秋山別、モリスに惚れて追ってきたかのように歌っていた。秋山別とモリスは、紅井姫とエリナが自分たちに惚れていたのだと思い込んでしまった。
三人は丸木橋を渡りきると、念入りにも森の木の皮に、紅井姫とエリナから秋山別とモリスに宛てたかのような恋文を書き込んだ。
秋山別とモリスは、国依別たちの偽の歌を聞いて、待ち構えていた橋の下の谷から上がってきた。そして紅井姫とエリナを追いかけ、国依別たちの偽の恋文を見つけ、有頂天になって追いかけ始めた。
国依別たちは、秋山別とモリスが追いかけてくるだろうと踏んで道を急ぎ、大木の上に上って休息した。
秋山別とモリスは、男の足で急いで来たのに女たちに追いつかないことを不審に思い、追い越してしまったのだろうと考えた。そして国依別らが休んでいる木の下にやってきて、そこで休息してしまった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3115
愛善世界社版:176頁 八幡書店版:第6輯 107頁 修補版: 校定版:181頁 普及版:83頁 初版: ページ備考:
001 三人(さんにん)(いきほひ)()ンで、002(あき)003モリ二人(ふたり)計略(けいりやく)(うら)をかいてやらむと、004ホクホクし(なが)(すす)ンで()く。005此方(こちら)山裾(やますそ)から向方(むかう)山裾(やますそ)(わた)相当(さうたう)(ふか)谷川(たにがは)に、006(なが)四間(よんけん)(くらゐ)丸木橋(まるきばし)()かつてゐる。
007『サア戦場(せんじやう)近寄(ちかよ)つた。008両人共(りやうにんとも)に、009ここで(をんな)(こゑ)()して宣伝歌(せんでんか)(たか)らかに(うた)うのだぞ』
010(をんな)(こゑ)()さうと(おも)へば、011自然(しぜん)(ひく)(ほそ)くなるなり、012向方(むかう)(やつ)(きこ)える(やう)にせうと(おも)へば地声(ぢごゑ)()るなり、013安彦(やすひこ)(こま)つたものですワ』
014『ナニ、015神様(かみさま)守護(しゆご)で、016キツと(うぐひす)谷渡(たにわた)りの(やう)(こゑ)()()るよ。017そこが言霊(ことたま)妙用(めうよう)だ。018……サア()かう、019(はら)(そこ)から()さず、020(ちち)のあたりから(こゑ)()すのだ』
021(ほそ)(すず)しき松虫(まつむし)のやうな(つく)(ごゑ)で、022一本橋(いつぽんばし)(たもと)(さし)かかり、
023(かみ)(おもて)(あら)はれて
024(ぜん)(あく)とを立分(たてわ)ける
025(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
026(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
027(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
028直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
029()(あやま)ちは()(なほ)
030(こひ)しと(おも)(くに)さまは
031どこにどうして御座(ござ)るやら
032前等(まへら)二人(ふたり)(おれ)よりも
033一足先(ひとあしさき)へと()はしやつた
034さぞ今頃(いまごろ)はどこやらの
035ナイスに(たもと)()つぱられ
036(はな)してお()れと(くに)さまは
037紅井姫(くれなゐひめ)やエリナ(ひめ)
038天女(てんによ)(やう)(つま)がある
039(かど)(ひろ)早放(はやはな)
040なぞと(こま)つて御座(ござ)るだらう
041(わたし)(こひ)奥山(おくやま)
042細谷川(ほそたにがは)丸木橋(まるきばし)
043(わた)るはこわし(わた)らねば
044(こころ)(そこ)から惚切(ほれき)つた
045秋山別(あきやまわけ)()はれない
046秋山(あきやま)さまも(なさけ)ない
047(ほれ)弱味(よわみ)(いや)さうに
048ピンとはねたら()にうけて
049(おこ)つて御座(ござ)るか自烈(じれつ)たい
050(わたし)(まこと)心根(こころね)
051国依別(くによりわけ)四十男(しじふをとこ)
052(おや)()(ほど)(ちが)ふのに
053どうしてそれが(ほれ)られよ
054(ほれ)たと()ふは表向(おもてむ)
055(また)モリさまも()()かぬ
056仮令(たとへ)田舎(ゐなか)(むすめ)でも
057エリナと()つたら界隈(かいわい)
058(ゆび)をさされた(この)ナイス
059男心(をとこごころ)(あき)(そら)
060(わたし)(はら)()らしたい
061秋山(あきやま)さまも(あんま)りぢや
062モリスさままで(わたし)をば
063(つれ)ない(をなご)誤解(ごかい)して
064(おこ)つて御座(ござ)るか(なさけ)ない
065天津神(あまつかみ)(さま)八百万(やほよろづ)
066国津神(くにつかみ)(さま)八百万(やほよろづ)
067仮令(たとへ)野山(のやま)(はて)までも
068秋山(あきやま)さまやモリスさま
069(あと)(した)うて(たづ)()
070(いや)()はれよが如何(どう)せうが
071(おも)()みたる(この)恋路(こひぢ)
072(いし)唐柩(からと)にかくるとも
073(さが)()さねばおくものか
074あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
075(かみ)御霊(みたま)(さち)はひて
076秋山(あきやま)さまやモリスさま
077(たふと)御顔(おかほ)()(をが)
078()引合(ひきあ)うて()けるなら
079(この)(はし)無事(ぶじ)にやすやすと
080向方(むかう)(わた)して(くだ)されや
081(わたし)(こひ)仕遂(しと)げるか
082()とげられぬか(この)(はし)
083(わたし)()つての辻占(つじうら)ぢや
084もしも(わた)れぬ(その)(とき)
085秋山(あきやま)さまに()はれない
086モリスさまにも()はれない
087(をんな)(こころ)()ふものは
088()きで(かな)はぬ(をとこ)をば
089(いや)ぢや(いや)ぢやとはねつける
090これが(わたし)弱点(じやくてん)ぢや
091(いつ)肝玉(きもだま)()()して
092秋山(あきやま)さまが()ひよつた
093(とき)(あたま)(たて)()
094ウンと()ふときやよかつたに
095どうやら(をとこ)()りさうな
096(にほひ)がプンとして()たぞ
097ホンに(あぶ)ない丸木橋(まるきばし)
098エリナ用心(ようじん)なさりませ』
099 安彦(やすひこ)(また)(うた)ふ。
100『いえいえ(わたし)大丈夫(だいぢやうぶ)
101(ひめ)さまあなたは足弱(あしよわ)ぢや
102どうぞ()()けなされませ
103もしも(あやま)谷川(たにがは)
104()ちて生命(いのち)()てたなら
105秋山(あきやま)さまに申訳(まをしわけ)
106どうしてどうして()ちませう
107あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
108御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
109 (あき)110モリの二人(ふたり)丸木橋(まるきばし)(ふと)(ふぢ)づるを(くく)りつけ、111国依別(くによりわけ)(こゑ)合図(あひづ)に『()()()イ』で引張(ひつぱ)りおとさうと、112手具脛(てぐすね)ひいて()つてゐる。113(はし)(たもと)()()まつて(をんな)(うた)(きこ)えてゐる。114よくよく(うた)文句(もんく)(かんが)へて()れば、115(おも)ひがけなきかぐはしい(うた)である。
116『ヤツパリ(をんな)はこンなものかいな、117モリス。118(ひと)押強(おしつよ)()けば成功(せいこう)したのだけれど、119(あんま)りスヰートハートした弱味(よわみ)に、120ヨウ(おも)()りやらなかつたのが此方(こちら)不調法(ぶてうほう)だ。121流石(さすが)(おれ)(おも)()(だけ)あつて、122(やさ)しい(ひめ)(さま)だワイ。123(はじ)めて(うる)はしい御心中(ごしんちう)(うけたま)はり、124これで()ンでも得心(とくしん)だ。125あの(うた)文句(もんく)(かんが)へて()ると、126国依別(くによりわけ)(やつ)127どつかで(また)道草(みちくさ)()ひよつて、128スベタ(をんな)にチヤホヤされて、129(よだれ)をくつて、130脂下(やにさ)がつて()よるのだらう。131見切(みき)りのよい、132(さき)()えるお(ひめ)さまは、133たうとう国依別(くによりわけ)愛想(あいさう)をつかし、134俺達(おれたち)二人(ふたり)(さき)()つたと()(こと)を、135(たれ)かに()いて、136はるばるとやつて御座(ござ)つたのだな。137(しか)しあンな(こと)()つて、138国依別(くによりわけ)(まじ)つて()るかも()れぬ。139何分(なにぶん)()樹木(じゆもく)(しげ)つて()つては、140(こゑ)(きこ)えても姿(すがた)()えぬのだから、141都合(つがふ)()(こと)がある(かは)りには、142(また)都合(つがふ)(わる)(こと)があるワイ。143のうモリ(こう)
144(ちい)さい(こゑ)でブツブツ(さへづ)つて()る。
145 国依別(くによりわけ)(をんな)(こゑ)にて、
146国依(くにより)『エリナさま、147(わたし)148(この)一本橋(いつぽんばし)149どうして(わた)りませうかね。150(あし)(ふる)ひますワ』
151安彦(やすひこ)(ぢやう)さま、152御心配(ごしんぱい)なさいますな。153エリナがついてをります。154(この)丸木橋(まるきばし)さへ御渡(おわた)りになれば、155(ひめ)(さま)(こころ)(そこ)から御慕(おした)(あそ)ばす、156秋山(あきやま)さまにキツと()はれますよ。157(わたし)だつて一目(ひとめ)()そめたモリスさまに()うて、158(こころ)(たけ)申上(まをしあ)げねば、159どうして(この)(まま)(かへ)れませう。160あの()(をとこ)グヅグヅして()て、161(ほか)(をんな)()られて(しま)つちや大変(たいへん)ですからねイ』
162国依(くにより)『さうねい、163さうなら、164そつと(わた)りませうか。165(なん)だかグキグキして(こわ)(はし)だワ』
166安彦(やすひこ)御心配(ごしんぱい)なさいますな。167国依別(くによりわけ)のやうな悪人(あくにん)(とほ)つたら、168神様(かみさま)(つな)(ひつ)ぱつておとし(あそ)ばすかも()れませぬが、169(をんな)可愛(かあい)(をとこ)(あと)()うて()くのですもの、170丸木橋(まるきばし)だつて、171(おち)さうな(こと)はありませぬワ。172秋山別(あきやまわけ)さま、173モリスさまの一心(いつしん)でも、174(おと)さぬやうに(まも)つて(くだ)さいますこと(わか)つて()ますワ』
175国依(くにより)(この)(はし)(わた)ると秋山(あきやま)さまに()へるの……、176(わたし)(うれ)しいワ』
177安彦(やすひこ)『それは(その)(はず)御座(ござ)います。178(わたし)だつて、179あの(いろ)(くろ)いモリスさまにさへも是丈(これだけ)こがれて()るのですもの。180秋山(あきやま)さまのやうな立派(りつぱ)(をとこ)御惚(おほれ)(あそ)ばしますのは無理(むり)御座(ござ)いませぬワ。181ホヽヽヽヽ』
182国依(くにより)『ホヽヽヽヽおゝ(はづ)かしい、183モシ、184エリナさま、185(これ)きりで()はないやうにして(くだ)さいや。186サア(はや)(まゐ)りませう』
187()(なが)ら、188国依別(くによりわけ)一行(いつかう)(つつが)なく(はし)(わた)り、189谷路(たにみち)()(しげ)みにかくれて膝栗毛(ひざくりげ)(むち)をうち、190四五丁(しごちやう)(ばか)()()したり。
191『アハヽヽヽ、192ズイ(ぶん)(うま)()つたねい。193ヤツパリ吾々(われわれ)(をんな)だと(おも)つて()るらしいよ、194(ひと)(この)()(かは)(けづ)つて、195(なん)とか(しるし)をしておかうかいナア、196両人(りやうにん)
197 安彦(やすひこ)は、198『ハイ、199(よろ)しう御座(ござ)います』と短刀(たんたう)取出(とりいだ)し、200(わか)(けやき)(かは)(すこ)しく(けづ)り、201あたりに(みの)つて()烏羽玉(うばたま)()()()り、202(その)(しる)にて、
203 紅井姫(くれなゐひめ)204エリナの両人(りやうにん)ここを(とほ)りました。205万一(まんいち)206秋山別(あきやまわけ)さま、207モリスさま、208(わたし)よりお(あと)御座(ござ)いましたら、209どうぞ()つかけて()(くだ)さいませ。210さうして(はし)国依別(くによりわけ)()ない(やう)(おと)して()(くだ)さいますれば、211尚々(なほなほ)安心(あんしん)です。212……御両人様(ごりやうにんさま)……かよわき(をんな)より
213()きしるした。
214『アハー此奴(こいつ)面白(おもしろ)い、215国依別(くによりわけ)先繰(せんぐ)先繰(せんぐ)()()をして、216(いた)(ところ)(しるし)()れ、217どこ(まで)もお(とも)をさしてやらうかな。218さうすれば何時(いつ)()にかは改心(かいしん)するだらう。219アハヽヽヽ』
220 (あき)221モリの二人(ふたり)はあわてて谷底(たにそこ)より(はし)(むか)(がは)にかけ(のぼ)り、
222『オイ、223モリス、224(たしか)紅井姫(くれなゐひめ)にエリナの(こゑ)だつたが、225(しか)しスウスウと(わた)つて(しま)ひ、226(なん)とはなしに変哲(へんてつ)がないぢやないか。227時鳥(ほととぎす)(こゑ)()けど姿(すがた)()えぬ、228(あき)モリの金神(こんじん)(かげ)から(まも)りてをりたぞよ。229(この)(こと)(わか)りて()たら、230いかな紅井姫(くれなゐひめ)も、231エリナもアフンと(いた)して改心(かいしん)(あそ)ばすぞよ……そないしてまで(まも)つて(くだ)さつたか、232ここは世界(せかい)大橋(おおはし)233此処(ここ)(わた)らねば(まこと)(をとこ)には()へぬぞよ。234西(にし)(ひがし)とに(たて)わけて、235(かみ)守護(しゆご)がしてあるぞよ、236(かみ)(うそ)(まを)さぬぞよと、237三五教(あななひけう)のお筆先(ふでさき)もどきに、238キツとお(ひめ)さまが(あき)モリの金神(こんじん)御神徳(ごしんとく)讃歎(さんたん)し、239御喜(およろこ)(あそ)ばすにきまつてるワ、240(いま)(きこ)えた、241あの(こゑ)242さう(とほ)くは、243(をんな)(あし)で、244()つては()られまい。245サア(はや)膝栗毛(ひざくりげ)(むち)をうつて(すす)まうぢやないか。246谷間(たにあひ)一筋道(ひとすぢみち)247メツタに間違(まちが)気遣(きづか)ひはあるまいて、
248 (きみ)はまだ(とほ)くは()かじ(わが)(そで)の (たもと)(なみだ)かわき()てねば
249とか()(うた)があるぢやないか。250キツと(とほ)くに()くまい。251サア駆足々々(かけあしかけあし)
252 オツチニオツチニと四股(しこ)ふみ(なが)ら、253(わづか)(あし)()るる(ばか)り、254(ほそ)くついた谷道(たにみち)(のぼ)()く。255三尺(さんしやく)(ばか)(まは)つた、256(けやき)若木(わかぎ)(かは)()いて、257(なん)だかしるしてある。258()()れば、259(あん)(たが)はず、260紅井姫(くれなゐひめ)261エリナの二人(ふたり)がここを(とほ)り、262……どうぞお二人共(ふたりとも)263まだ(あと)ならば、264(この)(しるし)()てついて()てくれ……と()意味(いみ)文面(ぶんめん)()て、265二人(ふたり)(をど)りあがり、
266『ヤア、267有難(ありがた)有難(ありがた)い、268()れだから、269どこ(まで)もやり(とほ)さねば、270(こひ)難関(なんくわん)()えられぬと()ふのだ。271サア、272グヅグヅしては()られまい、273(はや)()かうぢやないか。274モウ(ひと)きばりだ。275さうすればキツと()()けるにきまつてるワ』
276(また)もや駆出(かけだ)(その)可笑(おか)しさ。
277 国依別(くによりわけ)一行(いつかう)二人(ふたり)(かなら)(あと)()つかけ()るに相違(さうゐ)なしとコンパスに(あぶら)をさし、278(のど)汽笛(きてき)(みづ)をドツサリ注入(ちうにふ)巴奈馬(パナマ)運河(うんが)無事(ぶじ)通過(つうくわ)させ(なが)ら、279一生懸命(いつしやうけんめい)駆出(かけいだ)し、280コンモリとした山桃(やまもも)大木(たいぼく)()つけ、281(ましら)(ごと)三人(さんにん)(かけ)あがり、282樹上(じゆじやう)胡坐(あぐら)をかき山桃(やまもも)(みづ)()(やう)なのを、283むし()つて()つて()る。284枝葉(しよう)密生(みつせい)し、285どうしても(した)から、286()ることは出来(でき)なかつた。
287 (あき)288モリの二人(ふたり)(のど)をかわかせ、
289『オイ、290モリス、291()(だけ)急速力(きふそくりよく)でやつて()たのに、292()つつかれない(はず)はないぢやないか。293(おれ)やモウ(のど)汽笛(きてき)()()した。294(この)(うへ)一尺(いつしやく)だつて(ある)けやしない。295(さいは)ひそこに山桃(やまもも)(うま)さうな(やつ)がなつてるぢやないか。296ここで(ひと)山桃(やまもも)でも()つて(のど)をうるほして()かうかい』
297『さうだなア、298秋山別(あきやまわけ)299随分(ずいぶん)(うま)さうだ。300マアゆつくり一服(いつぷく)して()くことにせう。301(ひめ)さまだつて(あし)(いた)め、302(かたはら)(もり)(なか)(やす)みて御座(ござ)つたのを()らずに此処(ここ)まで()たのかも()れないよ。303さうでなくては、304俺達(おれたち)(いき)()れる(ほど)始終苦節(四十九ノツト)大速力(だいそくりよく)大急行(だいきふかう)でやつて()たのに、305()つつかぬ(はず)がない。306マアゆつくりと此処(ここ)()つことにせうかい。307キツと(その)(あひだ)にはお(いで)(あそ)ばすに()まつてゐるワ。308(たしか)(をんな)()であの(とほ)()いてあつたなり、309(はし)をお(わた)(あそ)ばす(とき)のあの(こゑ)つたら、310(いま)(おも)()しても(よだれ)()つるやうだ。311あゝ本当(ほんたう)可愛(かあい)いお(ひめ)(さま)だなア。312()(かく)ここへお(とほ)りになる(まで)313(この)()(した)(やす)むことにせう。314(のぼ)つて()たら、315ズイ(ぶん)(うま)いのがあるだらうけれど、316木登(きのぼ)りする(やつ)と、317飛行機(ひかうき)()(やつ)(ひろ)街道(かいだう)軒下(のきした)(ある)いて看板(かんばん)(あたま)()(やつ)(ほど)馬鹿(ばか)はないと()ふから、318マア木登(きのぼ)りは()めにして、319(ひく)()(さが)つた(うま)さうな山桃(やまもも)をとつて辛抱(しんばう)せうかい』
320()(なが)ら、321(ひく)(えだ)半熟(はんじゆく)山桃(やまもも)むしり、322ムシヤムシヤと(のど)をしめし、323(はら)をふくらせ、324(いま)(いま)かと(くび)(なが)うして()つて()る。
325 三人(さんにん)樹上(じゆじやう)にて(たがひ)(かほ)見合(みあは)せ、326(くち)(おさ)へ、327(もの)()ふなとの合図(あひづ)をし(なが)ら、328二人(ふたり)()()るのを、329もどかしげに()()たりける。
330大正一一・八・一九 旧六・二七 松村真澄録)
331(昭和九・一二・一八 王仁校正)
   
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9/21【霊界物語ネット】藤沼庄平「大本検挙」を掲載(詳細はページ冒頭のインフォメーション参照)。