霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二章 猛獣(まうじう)会議(くわいぎ)〔八九三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第32巻 海洋万里 未の巻 篇:第1篇 森林の都 よみ:しんりんのみやこ
章:第2章 猛獣会議 よみ:もうじゅうかいぎ 通し章番号:893
口述日:1922(大正11)年08月22日(旧06月30日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年10月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
宣伝歌を歌いながらアマゾンの大森林に進み入った鷹依姫一行の前に、大きな兎の一族が現れた。兎の長老は、月の大神のお示しにより、宣伝使たちがやってくることを知り、自分たちを助けてくれるように懇願しに迎え出たのだという。
この時雨の森は、太古に月の大神から兎一族に与えられた楽園であったが、アダムとエバの霊魂から発生した八岐大蛇とその眷属が跋扈し、モールバンドやエルバンドのような怪物となって兎一族を餌食とし暴威を振るっているという。
竜国別は兎の長老の請いを容れて、兎一族の都に向かうこととなった。兎たちは怪物や猛獣を避けて、広い湖をめぐらした、四方を丘に囲まれた安全地帯に住んでいた。兎一族は、湖のほとりに棲む数多の鰐族と同盟を結び、互いに怪物や猛獣に対する守りを固めていた。
モールバンドとエルバンドは、兎たちがここに居を定めてから、兎を食べることができなくなってしまった。そのため、代わりに獅子、虎、狼、熊などの猛獣を食らっていた。
あるとき、モールバンドはエルバンドを使者として、猛獣の集まる森林の都の獅子王に遣わした。モールバンドとエルバンドは、獅子王に、猛獣の軍隊を引き連れて兎の都を襲い、兎を食料として提供することを要求した。
この要求を飲まなければ、モールバンドとエルバンドは猛獣を手当たり次第に取り食らうという脅迫も含んでいた。獅子王は、熊、狼、虎、大蛇、鷲などの猛獣の頭を集めて協議をなした。
モールバンド・エルバンドに従うか抗戦するかで議論は紛糾したが、獅子王は結局、強敵に立ち向かうよりも、弱い兎を攻めて自分たちの命をつなぐ方を選択した。猛獣たちの軍はただちに兎の都に向かって進撃した。
兎の王はそうとは知らず、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの宣伝使たちを饗応していた。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:18頁 八幡書店版:第6輯 157頁 修補版: 校定版:18頁 普及版:7頁 初版: ページ備考:
001 鷹依姫(たかよりひめ)002竜国別(たつくにわけ)一行(いつかう)宣伝歌(せんでんか)をうたひ(なが)ら、003数百万年(すうひやくまんねん)秘密(ひみつ)(こも)りたる南岸(なんがん)森林(しんりん)(すす)()る。004(しか)(なが)人跡(じんせき)なき(この)森林(しんりん)も、005(おも)ひの(ほか)雑草(ざつさう)(すくな)く、006(そら)はあらゆる大木(たいぼく)(おほ)はれて、007日月(じつげつ)(ひかり)()(こと)(はなは)(まれ)であつた。
008 一本(いつぽん)大木(たいぼく)()へば周囲(しうゐ)百丈(ひやくぢやう)(あま)りもあり、009(たか)数百丈(すうひやくぢやう)(およ)び、010樹上(じゆじやう)には猩々(しやうじやう)011猅々(ひひ)012野猿(やえん)(るゐ)(むれ)をなし、013果物(くだもの)常食(じやうしよく)として()なりに安心(あんしん)生活(せいくわつ)をつづけ、014(その)種族(しゆぞく)益々(ますます)繁殖(はんしよく)させ、015(いた)(ところ)(さる)(さけ)(ごゑ)(みみ)をつんざく(ばか)(あや)しく(きこ)えて()る。
016 二三尺(にさんじやく)(ばか)りの大蜥蜴(おほとかげ)時々(ときどき)一行(いつかう)(みち)(さへぎ)り、017開闢(かいびやく)以来(いらい)()(こと)もなき(ひと)姿(すがた)()て、018(おどろ)いて()(かく)るるもあり、019(なか)には飛付(とびつ)()るもあり、020(その)()異様(いやう)爬虫族(はちうぞく)021(さき)(あらそ)うて()(かく)るる(おと)022ザワザワと谷川(たにがは)水流(すゐりう)(ごと)くに(きこ)(きた)る。023(この)(とき)白毛(はくまう)(うさぎ)一群(ひとむれ)024(だい)なるは現代(げんだい)(うし)(ごと)きもの、025ノソノソと一行(いつかう)(まえ)宣伝歌(せんでんか)(たづ)ねて(きた)り、026両足(りやうあし)(まへ)行儀(ぎやうぎ)よく(なら)べて(なみだ)(なが)(なが)ら、
027(うさぎ)(わたくし)(この)森林(しんりん)神代(かみよ)(むかし)より永住(えいぢゆう)(いた)しまする(うさぎ)(をさ)(ござ)います。028(この)(とほ)数多(あまた)種族(しゆぞく)引連(ひきつ)れ、029あなた(さま)一行(いつかう)御降(おくだ)りを(つき)大神様(おほかみさま)より御示(おしめ)しに(あづか)り、030ここに(つつし)んでお(むか)へに(まゐ)りました。031あなたは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)鷹依姫(たかよりひめ)(さま)032竜国別(たつくにわけ)(さま)御一行(ごいつかう)(ござ)いませう。033何卒(なにとぞ)この森林(しんりん)御踏査(ごたうさ)(くだ)さいまして、034吾々(われわれ)安逸(あんいつ)一生(いつしやう)(おく)()らるる(やう)035御守(おまも)りの(ほど)(ひとへ)(ねが)()(たてまつ)ります』
036慇懃(いんぎん)(たの)()るにぞ、037竜国別(たつくにわけ)は、
038『ヤア(はじ)めて御目(おめ)にかかります。039あなたは(この)森林(しんりん)(なが)らく御住居(おすまゐ)なさると()きましたが、040大変(たいへん)険呑(けんのん)(ところ)(ござ)いますなア』
041『ハイ御存(ごぞん)じの(とほ)り、042(この)時雨(しぐれ)(もり)は、043(その)(むかし)吾々共(われわれども)種族(しゆぞく)(つき)大神様(おほかみさま)より千代(ちよ)棲処(すみか)として(あた)へられたもので(ござ)いますが、044アダム、045エバの(みたま)より発生(はつせい)したる八岐(やまた)大蛇(をろち)一族(いちぞく)(はじ)悪鬼悪狐(あくきあくこ)子孫(しそん)益々(ますます)跋扈(ばつこ)して、046(つひ)にはモールバンドやエルバンドの(ごと)怪獣(くわいじう)()(かは)り、047吾々(われわれ)一同(いちどう)のものを餌食(ゑじき)(いた)し、048(いま)(ほとん)(ほろ)ぼされて(しま)ひ、049(この)数百里(すうひやくり)大森林(だいしんりん)棲処(すみか)(おい)て、050(じつ)数千頭(すうせんとう)(かげ)(とど)むるのみ、051(じつ)吾々(われわれ)悲惨(ひさん)生活(せいくわつ)をつづけ、052戦々兢々(せんせんきようきよう)として、053一時(いつとき)()安楽(あんらく)生活(せいくわつ)(おく)(こと)出来(でき)ないので(ござ)います。054(くは)ふるに、055(とら)056(おほかみ)057獅子(しし)058(くま)059大蛇(をろち)060(わし)などの連中(れんぢう)が、061常世(とこよ)(くに)のロツキー(ざん)方面(はうめん)より、062常世(とこよ)会議(くわいぎ)のありし(のち)063(この)森林(しんりん)()(きた)り、064吾等(われら)種族(しゆぞく)餌食(ゑじき)(いた)し、065暴虐無道(ばうぎやくぶだう)(その)振舞(ふるまひ)066(じつ)名状(めいじやう)(べか)らざる惨状(さんじやう)(ござ)います。067何卒(なにとぞ)あなた(がた)御神力(ごしんりき)(もつ)(この)森林(しんりん)悪獣(あくじう)068悪蛇(あくだ)069悪鳥(あくてう)言向和(ことむけやは)し、070動物(どうぶつ)一切(いつさい)相和(あひわ)相親(あひした)しみ、071天与(てんよ)恩恵(おんけい)永遠(えいゑん)(たの)しむ(やう)072()りなしを(ひとへ)(こひねが)(たてまつ)ります』=兎は月神を祭る民族の意=
073委細(ゐさい)承知(しようち)(いた)した。074(しか)らば、075(これ)より(その)(はう)吾々(われわれ)先導(せんだう)になつて、076第一(だいいち)猛獣(まうじう)棲処(すみか)案内(あんない)(いた)せ。077惟神(かむながら)神法(しんぱふ)(もつ)て、078彼等(かれら)(ぜん)(みちび)き、079(あく)()(あらた)めしめ、080(この)森林(しんりん)をして(たちま)天国(てんごく)楽園(らくゑん)(くわ)せしめむ。081あゝ面白(おもしろ)面白(おもしろ)し……母上様(ははうへさま)082(めう)なことになつて(まゐ)りました。083サア兎殿(うさぎどの)084案内(あんない)()されよ』
085『ハイ、086早速(さつそく)御承知(ごしようち)087吾々(われわれ)一族(いちぞく)(じつ)蘇生(そせい)(おも)ひを(いた)します』
088()(なが)ら、089大兎(おほうさぎ)数多(あまた)団体(だんたい)(ひき)ゐ、090鷹依姫(たかよりひめ)一行(いつかう)前後(ぜんご)警護(けいご)しつつ森林(しんりん)(ふか)(すす)()く。
091 数多(あまた)(うさぎ)(おく)られて、092鷹依姫(たかよりひめ)一行(いつかう)(てん)(ふう)じて()てる森林(しんりん)(なか)を、093意気(いき)揚々(やうやう)半日(はんにち)(ばか)(すす)()く。094此処(ここ)には(やや)展開(てんかい)された樹木(じゆもく)のなき空地(あきち)がある。095(ほとん)十里(じふり)四方(しはう)(あいだ)(あま)(ふと)樹木(じゆもく)もなく、096針葉樹(しんえうじゆ)小高(こだか)(をか)四方(しはう)(つつ)み、097(あだか)青垣山(あをがきやま)屏風(びやうぶ)引廻(ひきまは)せし(ごと)安全(あんぜん)地帯(ちたい)である。
098 (うさぎ)一族(いちぞく)(わづか)(この)地帯(ちたい)永住処(えいぢうしよ)となして生活(せいくわつ)(つづ)けてゐる。099()はば(うさぎ)(みやこ)である。100(その)(ほとん)中心(ちうしん)に、101聖地(せいち)()ける桶伏山(をけぶせやま)(ごと)(うる)はしき岩石(がんせき)(もつ)自然(しぜん)(つく)られたる霊場(れいぢやう)があり、102そこには(うさぎ)(もつと)尊敬(そんけい)する(つき)大神(おほかみ)(みや)儼然(げんぜん)として()てられてある。
103 (この)(きよ)宮山(みややま)(めぐ)清鮮(せいせん)(みづ)(たた)へた(ひろ)(うみ)(ほとり)には、104大小(だいせう)無数(むすう)(わに)=鰐は武人の群=が棲息(せいそく)し、105(わに)(うさぎ)両族(りやうぞく)(たがひ)相提携(あひていけい)して天与(てんよ)恩恵(おんけい)(たのし)んでゐる。106つまり(この)(わに)森林(しんりん)持主(もちぬし)たる(うさぎ)眷属(けんぞく)とも()ふべきものにして、107(うさぎ)(くに)軍隊(ぐんたい)(ごと)用務(ようむ)従事(じうじ)してゐるのである。
108 モールバンド、109エルバンドの怪獣(くわいじう)(うさぎ)(しよく)する(こと)(もつと)(この)み、110日夜(にちや)(その)(こと)のみに精神(せいしん)傾注(けいちゆう)して()る。111されど(うさぎ)最早(もはや)(この)安全(あんぜん)地帯(ちたい)(あつ)まりし(こと)とて、112巨大(きよだい)なる肉体(にくたい)(いう)するモールバンドは、113数多(あまた)密生(みつせい)したる樹木(じゆもく)(さへぎ)られて、114ここに侵入(しんにふ)するを()なくなつて(しま)つた。115如何(いか)にエルバンドと(いへど)も、116アマゾン(がは)(きし)より(くび)()ばし、117ここ(まで)(とど)かす(こと)到底(たうてい)出来(でき)ない。118それ(ゆゑ)()むを()ず、119(あま)(この)まざる(にく)ながら(とら)120(おほかみ)121(くま)122獅子(しし)(など)捕喰(とりくら)ひ、123(わづ)かに(その)(うゑ)(しの)ぎつつあるのである。
124 或時(あるとき)モールバンドはエルバンドを使者(ししや)として、125猛獣(まうじう)(あつ)まる森林(しんりん)(みやこ)126獅子(しし)巣窟(さうくつ)(むか)つて使(つか)ひせしめ、127ここに談判(だんぱん)開始(かいし)する(こと)となつた。128(その)談判(だんぱん)要領(えうりやう)()(とほ)りである。
129獅子王(ししわう)『あなたはモールバンド(さま)御使者(ごししや)エルバンド(さま)130()くこそ御入来(ごじゆらい)(くだ)さいました。131()いては今日(こんにち)御用(ごよう)(おもむき)132何卒(なにとぞ)(つぶ)さに御話(おはな)(くだ)さいませ』
133エルバンド『吾々(われわれ)今日(こんにち)使者(ししや)として獅子王(ししわう)(みやこ)(まゐ)りしは、134()()では御座(ござ)らぬ。135(わが)統領(とうりやう)のモールバンド(さま)136アマゾン(がは)数多(あまた)眷族(けんぞく)御連(おつ)(あそ)ばし、137(うさぎ)(とら)へて常食(じやうしよく)となし(たま)ふ。138吾々(われわれ)(また)139(うさぎ)(もつ)最上(さいじやう)美味(びみ)(いた)して()るもの、140(しか)るに(この)(ごろ)(うさぎ)(かげ)()(まを)さず、141(はなはだ)(もつ)吾々(われわれ)一族(いちぞく)困窮(こんきう)(いた)して()次第(しだい)御座(ござ)います。142()いては獅子王(ししわう)殿(どの)(ひと)つの談判(だんぱん)があつて、143ワザワザここに使者(ししや)として、144エルバンド出張(しゆつちやう)(つかまつ)りました。145(その)理由(りいう)とする(ところ)は、146獅子王(ししわう)()(もつ)て、147(くま)148(とら)149(おほかみ)使(つか)ひ、150(うさぎ)(みやこ)侵入(しんにふ)し、151彼等(かれら)生捕(いけどり)にし、152()数百(すうひやく)(うさぎ)をモールバンド(さま)御献上(ごけんじやう)ありたし。153(しか)らざれば(くま)154鹿(しか)155(とら)156(おほかみ)157()むを()ざれば、158獅子(しし)一族(いちぞく)をも、159手当(てあた)次第(しだい)捕喰(とりくら)ふべしとの厳命(げんめい)御座(ござ)いますれば、160(すみや)かに(いな)やの御返答(ごへんたふ)(うけたま)はりたう御座(ござ)います』
161『これはこれは、162何事(なにごと)かと(おも)へば、163(おも)ひもよらぬ御仰(おんあふ)せ、164吾々(われわれ)一族(いちぞく)(とら)165(おほかみ)166(くま)167獅子(しし)区別(くべつ)なく、168日夜(にちや)モールバンド(さま)部下(ぶか)(とら)へられ、169()幾百(いくひやく)となく生命(せいめい)()たれ、170捕喰(とりくら)はれ、171(じつ)困憊(こんぱい)(きよく)(たつ)して()りまする。172(つい)ては吾々(われわれ)四足(よつあし)一族(いちぞく)(ここ)大軍隊(だいぐんたい)組織(そしき)し、173北岸(ほくがん)森林(しんりん)同志(どうし)相謀(あひはか)り、174(かは)差挟(さしはさ)んでモールバンド、175エルバンドの軍隊(ぐんたい)一匹(いつぴき)(のこ)らず殲滅(せんめつ)()れむと日夜(にちや)肝胆(かんたん)(くだ)き、176(いま)協議(けふぎ)真最中(まつさいちう)御座(ござ)れば、177早速(さつそく)(この)返答(へんたふ)(いた)(がた)し。178御返事(ごへんじ)は、179()つてアマゾン(がは)(きし)使者(ししや)(つか)はし、180御答(おこた)(まを)さむ。181(この)()一先(ひとま)御帰(おかへ)りあらむ(こと)希望(きばう)(いた)します』
182(しか)らば是非(ぜひ)(およ)ばぬ。183一時(いちじ)(はや)協議(けふぎ)()げ、184御返事(ごへんじ)あらむことを希望(きばう)(いた)します』
185()()て、186長大(ちやうだい)なる巨躯(きよく)(ひる)(ごと)伸縮(しんしゆく)させ、187のそりのそりと獅子王(ししわう)(みやこ)(あと)に、188アマゾン(がは)のモールバンドの本陣(ほんぢん)(きこ)えたる寝覚(ねざめ)(ふち)()して(かへ)()く。
189 あとに獅子王(ししわう)数多(あまた)()足族(あしぞく)獅子(しし)(みやこ)召集(せうしふ)し、190一大(いちだい)会議(くわいぎ)開催(かいさい)する(こと)となりぬ。
191 獅子王(ししわう)はエルバンドの使者(ししや)(かへ)つた(のち)192(ただ)ちに使獅子(つかひじし)森林(しんりん)各処(かくしよ)派遣(はけん)し、193熊王(くまわう)194狼王(おほかみわう)195(とら)(わう)196大蛇(をろち)(かしら)197(わし)(わう)などを代表者(だいへうしや)として召集(せうしふ)し、198獅子王(ししわう)(やかた)(おい)大会議(だいくわいぎ)(ひら)(こと)となつた。199()ならずして各獣(かくじう)代表者(だいへうしや)(あつ)まり(きた)る。
200 山桃(やまもも)(はやし)(もと)大会議(だいくわいぎ)(ひら)かれた。201獅子王(ししわう)()開会(かいくわい)挨拶(あいさつ)をなし(をは)つて、
202『モールバンドの使者(ししや)(もたら)した申込(まをしこ)みに(たい)し、203各自(かくじ)意見(いけん)吐露(とろ)し、204最善(さいぜん)方法(はうはふ)協議(けふぎ)されむ(こと)(のぞ)む』
205()(なが)ら、206諄々(じゆんじゆん)として一伍一什(いちぶしじふ)経緯(いきさつ)物語(ものがた)れば、207(ここ)熊王(くまわう)(すす)()て、208()(つばき)憤然(ふんぜん)として雄猛(をたけ)びし、209巨大(きよだい)なる()(みは)りつつ、
210皆様(みなさま)211如何(いかが)御座(ござ)いませう。212吾々(われわれ)()足族(あしぞく)は、213今日迄(こんにちまで)(たがひ)反噬(はんぜい)(たくま)しうし、214優勝劣敗(いうしようれつぱい)215弱肉強食(じやくにくきやうしよく)戦闘(せんとう)(つづ)けて(まゐ)りました。216(ところ)仁愛(じんあい)(ふか)獅子王(ししわう)(さま)御威勢(ごゐせい)御尽力(ごじんりよく)()り、217(たがひ)(その)範囲(はんゐ)(をか)さず、218(くま)(くま)団体(だんたい)219(おほかみ)(おほかみ)220(へう)(へう)221大蛇(をろち)大蛇(をろち)222(とら)(とら)(おのおの)部落(ぶらく)(つく)り、223(この)森林(しんりん)(やうや)無事(ぶじ)太平(たいへい)(をさ)まり、224(から)うじて(さる)()り、225(うさぎ)捕獲(ほくわく)し、226吾々(われわれ)獣族(じうぞく)(やうや)(その)生命(せいめい)(たも)つて()たのである。227(しか)るに(この)(ごろ)モールバンド、228エルバンドの一族(いちぞく)229アマゾン(がは)より()(あが)(きた)り、230吾等(われら)部落(ぶらく)(をか)(こと)一再(いつさい)ならず、231(わが)種族(しゆぞく)()(まくら)(たか)くし安眠(あんみん)する(こと)出来(でき)ない惨状(さんじやう)御座(ござ)います。232(しか)るに(なん)ぞや、233悪虐(あくぎやく)益々(ますます)(はなは)だしく、234()数百頭(すうひやくとう)(うさぎ)(みつぎ)せざれば、235吾々(われわれ)種族(しゆぞく)()(くら)ふべしとの酷烈(こくれつ)なる要求(えうきう)236どうして(これ)吾々(われわれ)として(おう)じられませうか。237吾々(われわれ)仮令(たとへ)種族(しゆぞく)全滅(ぜんめつ)(やく)()ふとも、238(たゆ)まず(くつ)せず一戦(いつせん)(こころ)み、239勝敗(しようはい)(けつ)せむ覚悟(かくご)御座(ござ)る。240皆様(みなさま)御考(おかんが)へは如何(いかが)御座(ござ)いますか』
241(いき)荒々(あらあら)しく()()つる。242狼王(おほかみわう)(ただ)ちに(くち)(ひら)き、
243熊王様(くまわうさま)御意見(ごいけん)244(じつ)御尤(ごもつと)至極(しごく)では御座(ござ)いまするが、245どう(かんが)へても強者(きやうしや)(たい)する吾々(われわれ)(ごと)弱者(じやくしや)として、246(たたか)ふなどとは(おも)ひも()らぬ拙劣(せつれつ)なる(さく)では御座(ござ)いますまいか。247常世会議(とこよくわいぎ)(おい)(わが)祖先(そせん)(つばさ)をそがれ、248最早(もはや)空中(くうちう)飛行(ひかう)自由(じいう)(うしな)ひし吾々(われわれ)()足族(あしぞく)249如何(いか)獅子(しし)奮迅(ふんじん)(いきほひ)にて攻撃(こうげき)(いた)すとも、250暴虎馮河(ぼうこひようが)(ゆう)あるとも、251豺狼(さいらう)奸策(かんさく)(ろう)するとも、252到底(たうてい)(およ)(がた)議論(ぎろん)だと(かんが)へます。253()かず(かれ)要求(えうきう)()部下(ぶか)駆使(くし)して(うさぎ)捕獲(ほくわく)し、254モールバンドに日々(にちにち)これを(みつ)ぎ、255吾等(われら)一族(いちぞく)大難(だいなん)(まぬが)れるが、256第一(だいいち)(さく)かと(かんが)へます。257勝敗(しようはい)(すう)()かり()つたる(この)戦闘(せんとう)従事(じゆうじ)するは(さく)()たるものではありますまい。258皆様(みなさま)如何(いかが)御座(ござ)いませうか』
259(くび)(かたむ)け、260前足(まへあし)(うで)(ごと)くに()みながら、261心配(しんぱい)げに()べ立てる。
262 虎王(とらわう)(うで)()み、263(ひげ)(つゆ)をもたせ、264巨眼(きよがん)をクワツと見開(みひら)き、265言葉(ことば)重々(おもおも)しく、
266吾々(われわれ)(かんが)ふる(ところ)()れば、267如何(いか)弱肉強食(じやくにくきやうしよく)(ほしいまま)にするモールバンドなればとて、268吾々(われわれ)種族(しゆぞく)殲滅(せんめつ)することは出来(でき)ますまい。269吾々(われわれ)天地(てんち)(かみ)水火(いき)(もつ)(うま)れ、270(かみ)精霊(せいれい)宿(やど)りしものなれば、271如何(いか)悪虐無道(あくぎやくむだう)のモールバンドなればとて、272(みだ)りに暴威(ばうゐ)(たくま)しうし、273(この)森林(しんりん)吾物顔(わがものがほ)占領(せんりやう)する(こと)到底(たうてい)不可能(ふかのう)でせう。274(えう)するに彼等(かれら)如何(いか)なる(こと)申込(まをしこ)(きた)るとも虎耳狼風(こじらうふう)聞流(ききなが)し、275相手(あひて)にならず、276打棄(うちす)ておく(はう)獅子(しし)志士(しし))の本分(ほんぶん)御座(ござ)らう。277……熊王殿(くまわうどの)278豹王殿(へうわうどの)279大蛇(をろち)頭殿(かしらどの)280諸君(しよくん)御意見(ごいけん)如何(いかが)御座(ござ)りますか』
281大蛇(をろち)(かしら)吾々(われわれ)如何(いか)剽悍(へうかん)決死(けつし)(ゆう)ありとも、282モールバンドの一族(いちぞく)283完全(くわんぜん)無欠(むけつ)武器(ぶき)(そな)攻来(せめきた)るに(おい)ては到底(たうてい)(てき)する(こと)出来(でき)ますまい。284()(まで)豺狼(さいらう)(よく)(たくま)しうし、285獅子(しし)奮迅(ふんじん)(いきほひ)(もつ)猛虎(まうこ)(ごと)()(きた)敵軍(てきぐん)286何程(なにほど)準備(じゆんび)(くま)なく(ととの)ふとも、287到底(たうてい)防戦(ばうせん)する(さい)覚束(おぼつか)なき吾々(われわれ)境遇(きやうぐう)288なまじひに強者(きやうしや)(むか)つて(ゆみ)()くよりは、289モールバンドの命に(したが)ひ、290(うさぎ)(みやこ)()めのぼり、291(のこ)らずこれを捕獲(ほくわく)し、292モールバンドの(まへ)貢物(みつぎもの)として(ささ)げなば、293(かれ)歓心(くわんしん)()()同情(どうじやう)()294吾等(われら)種族(しゆぞく)捕喰(とりくら)ふことを(めん)じて()れるでせう。295(じやく)(もつ)(きやう)(あた)るは吾々(われわれ)(とら)ざる(ところ)296一刻(いつこく)(はや)(うさぎ)(みやこ)進撃(しんげき)し、297彼等(かれら)(ことごと)捕獲(ほくわく)して貢物(みつぎもの)となし、298吾等(われら)種族(しゆぞく)安全(あんぜん)(たも)つに鹿(しか)ず、299議長(ぎちやう)獅子王殿(ししわうどの)300御意見(ごいけん)如何(いか)がで御座(ござ)るか』
301()めよる。302獅子王(ししわう)(しば)(かうべ)(かたむ)()(あん)にくれてゐたが、303やがて(かしら)(もた)げ、304(おほ)きく(うな)(なが)ら、
305左様(さやう)御座(ござ)る。306到底(たうてい)勝算(しようさん)なき(てき)(むか)つて(たたかひ)(いど)み、307部下(ぶか)者共(ものども)(ほろぼ)されむよりは、308弱小(じやくせう)なる(うさぎ)(みやこ)()()彼等(かれら)(ひき)(とら)へ、309(たたかひ)危害(きがい)(のぞ)くに()かず。310鹿(しか)らば(しよ)(くん)(とも)(とき)(うつ)さず一族(いちぞく)引率(いんそつ)し、311(うさぎ)(みやこ)(めぐ)四辺(しへん)(やま)より一斉(いつせい)()()り、312鬼虎(きこ)堂々(だうだう)として(みづうみ)(わた)り、313(うさぎ)(わう)降服(かうふく)せしめ、314一族(いちぞく)犠牲(ぎせい)(きよう)さむ』
315憤然(ふんぜん)として宣示(せんじ)する。316一同(いちどう)獅子王(ししわう)宣示(せんじ)(かへ)言葉(ことば)もなく、317(ただち)軍備(ぐんび)(ととの)数多(あまた)部下(ぶか)引率(いんそつ)し、318(うさぎ)(みやこ)()して進撃(しんげき)することとなりぬ。
319 兎王(うさぎわう)()かる敵軍(てきぐん)襲来(しふらい)せむとは(かみ)ならぬ()()(よし)もなく、320鷹依姫(たかよりひめ)321竜国別(たつくにわけ)322テー、323カーの四人(よにん)賓客(ひんきやく)(めづら)しき(もの)饗応(きやうおう)し、324数多(あまた)部下(ぶか)(あつ)めて()(をど)(くる)ひつつ四人(よにん)旅情(りよじやう)(なぐさ)めむと全力(ぜんりよく)(つく)()たりき。
325大正一一・八・二二 旧六・三〇 松村真澄録)