霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一一章 (ひと)(かはごろも)〔九〇二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第32巻 海洋万里 未の巻 篇:第2篇 北の森林 よみ:きたのしんりん
章:第11章 第32巻 よみ:ひとのかわごろも 通し章番号:902
口述日:1922(大正11)年08月23日(旧07月01日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年10月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
アマゾン河の南岸の大森林は、猛獣毒蛇が暴威をたくましくしていたが、帽子ヶ岳の山頂から照らされる霊光により、すべて鷹依姫に帰順していた。
一方で北の大森林の猛獣たちは妖怪変化をなし、ひととおりでは通過することができない状態であった。ここへ入って来ようとしている高姫の執着心を去って完全な神の司として探検せしめようと、大江山の鬼武彦が白狐たちを遣わして、神の試練に遭わせたのであった。
春彦は、自分の忠告が正しかっただろうと高姫に言うと、高姫はそんなことは知っていたと強がりを言い、一人で沈思黙考するのだと森林の中へ入ってしまった。常彦は高姫の姿を見失わないようにと一目散に高姫を追って駆け出した。
春彦は、高姫とはいずれどこかでまた会うだろう、鷹依姫一行を探さなくては、とわざと高姫とは反対の方角に進んでいった。ヨブも春彦に続いた。
しばらく三人が進んで行くと、苔の生えた割れ地蔵が並んで立っている。春彦は、この地蔵も何かの化身であろうから、気を付けないと自分たちが高姫の二の舞になると気を付けた。
ヨブは、高姫の態度に愛想が尽き、三五教が嫌になったと春彦に愚痴をこぼした。春彦は、高姫を信じるのか、三五教の神を信じるのかとヨブをたしなめた。二人が問答をしている背後で、そろそろ石地蔵が歩きだし、二人の前に胡坐をかいて座った。
驚くヨブに春彦は、ここは化けものの巣窟だからと泰然と答え、今度は石地蔵にからかいながら話しかけた。石地蔵は、春彦は高姫を見捨てるのかと逆に問いかけてきた。石地蔵は、今高姫はモールバンドに狙われて、常彦とともに大木の上に難を避けているところだと言う。
春彦は自分たち二人が行ったところでどうにもならない、と答えると、石地蔵は口ばかり立派で実行力がないのは誠が無い奴だと嘲った。春彦はそれを聞いて奮起して、ヨブを促して高姫のところへ助けに走ることになった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3211
愛善世界社版:122頁 八幡書店版:第6輯 193頁 修補版: 校定版:128頁 普及版:50頁 初版: ページ備考:
001 アマゾン(がは)南岸(なんがん)展開(てんかい)せる大森林(だいしんりん)は、002猛獣(まうじう)毒蛇(どくじや)公然(こうぜん)として暴威(ばうゐ)(たくま)しうするのみなれば、003(かへつ)(これ)征服(せいふく)には(あま)(ほね)()らなくてもよかつた。004(ただ)表面的(へうめんてき)神力(しんりき)発揮(はつき)さへすれば獅子(しし)005(おほかみ)(その)()猛獣(まうじう)をも悦服(えつぷく)させ()たのである。
006 鷹依姫(たかよりひめ)007竜国別(たつくにわけ)(うさぎ)(みやこ)(わう)となり、008(しばら)此処(ここ)(とどま)つてゐた。009(しか)るに屡々(しばしば)010獅子(しし)011(くま)012(とら)013(おほかみ)014大蛇(をろち)015禿鷲(はげわし)016(さい)(その)()(けだもの)017(むれ)をなして(うさぎ)(みやこ)包囲(はうゐ)攻撃(こうげき)し、018(おほき)いにそれが防禦(ばうぎよ)(なや)みつつありし(ところ)に、019帽子ケ岳(ぼうしがだけ)山頂(さんちやう)より危急(ききふ)存亡(そんばう)場合(ばあひ)は、020不思議(ふしぎ)霊光(れいくわう)021猛獣(まうじう)(かしら)射照(いて)らし、022(つひ)流石(さすが)猛獣(まうじう)大蛇(をろち)()()り、023鷹依姫(たかよりひめ)024竜国別(たつくにわけ)(ところ)(わし)使(つかひ)派遣(はけん)帰順(きじゆん)()ひ、025時雨(しぐれ)(もり)南森林(みなみしんりん)は、026(まつた)鷹依姫(たかよりひめ)女王(ぢよわう)管掌(くわんしやう)する(ところ)となりぬ。
027 (これ)(はん)(きた)森林(しんりん)はすべての獣類(じうるゐ)028奸佞(かんねい)にして妖怪変化(えうくわいへんげ)をなし、029容易(ようい)(その)行動(かうどう)030端倪(たんげい)すべからざるものあり。031そこへ(やや)もすれば執着心(しふちやくしん)盛返(もりかへ)し、032(こころ)(うご)(やす)高姫(たかひめ)(しゆ)として一行(いつかう)四人(よにん)033鷹依姫(たかよりひめ)(たす)けむと()(きた)りたるが、034到底(たうてい)(きた)森林(しんりん)は、035一通(ひととほり)二通(ふたとほり)通過(つうくわ)する(こと)さへ出来(でき)ない(こと)大江山(たいかうざん)鬼武彦(おにたけひこ)推知(すゐち)し、036(ここ)白狐(びやくこ)高倉(たかくら)037月日(つきひ)038(あさひ)眷族(けんぞく)(つか)はし、039()第一(だいいち)高姫(たかひめ)執着心(しふちやくしん)根底(こんてい)より(のぞ)き、040()()らしめ、041完全(くわんぜん)無欠(むけつ)なる(かみ)(つかさ)として、042森林(しんりん)探険(たんけん)()へしめむと企画(きくわく)されたるが、043(はた)して高姫(たかひめ)(たま)()くや、044執着心(しふちやくしん)(くも)(たちま)心天(しんてん)(おほ)ひ、045(かく)(ごと)(かみ)(こころ)みに()ひたるぞ(あさ)ましき。
046
047 高姫(たかひめ)泥田圃(どろたんぼ)(あし)(なか)にアフンとして、048(ゆめ)から()めたやうな(つら)をさらしてゐる。049常彦(つねひこ)050ヨブの両人(りやうにん)は、051(すつぽん)(しり)をぬかれた(やう)な、052拍子(びやうし)()けた(つら)をさげて、053高姫(たかひめ)(からだ)不思議(ふしぎ)さうに、054(あたま)(さき)から(あし)(さき)まで、055まんじりともせず(なが)めながら黙然(もくねん)として()つて()る。056春彦(はるひこ)何時(いつ)()にやら、057身体(しんたい)自由(じいう)になつて()た。
058春彦(はるひこ)高姫(たかひめ)さま、059(わたし)()つた(こと)如何(どう)でした。060(ちが)ひましたかなア』
061高姫(たかひめ)(ちが)はぬ(こと)もない、062(ちが)ふと()つたら、063マア(ちが)ふやうなものだ。064チツトお(まへ)さま改心(かいしん)なさらぬと、065(わたくし)(まで)がこんな()()はなくちやなりませぬよ』
066『アハヽヽヽ、067(なん)とマア徹底的(てつていてき)(つよ)いこと、068世間(せけん)顔出(かほだ)しがならぬ(やう)になりて()るぞよ、069われ(ほど)(もの)はなき(やう)(まを)して、070慢心(まんしん)(いた)して()ると、071眉毛(まゆげ)をよまれ、072(しり)()一本(いつぽん)もない(ところ)(まで)()かれて(しま)うて、073アフンといたし、074そこになりてから、075何程(なにほど)(かみ)(たの)みたとて、076聞済(ききずみ)はないぞよ……と三五教(あななひけう)御教(みをしへ)にスツカリ(あら)はしてあるぢや御座(ござ)いませぬか……スゴスゴと姿(すがた)(かく)して()げていぬぞよと』
077『コレコレ春彦(はるひこ)078(まへ)そりや(たれ)()つてるのだえ。079そんなこた、080チヤンと()つてゐる(もの)(ばか)りだ。081高姫(たかひめ)はそんな(こと)(ひやく)(せん)承知(しようち)(うへ)(こと)だから、082モウ()にも()うて(くだ)さるな。083エヽこんな(をとこ)(そば)()つて、084ひやかされて()るよりも、085どつかの()(した)(ひと)沈思黙考(ちんしもくかう)出掛(でか)けようか』
086()ひながら、087一生懸命(いつしやうけんめい)(しり)ひきまくり、088森林(しんりん)奥深(おくふか)駆入(かけい)る。
089 常彦(つねひこ)高姫(たかひめ)姿(すがた)見失(みうしな)はじと、090是亦(これまた)(しり)ひつからげ、091(あと)(した)うて()いて()く。
092 春彦(はるひこ)093ヨブの二人(ふたり)は、094二人(ふたり)姿(すがた)見失(みうしな)ひ、
095(また)(いづ)れどつかで()(こと)があるだらう。096吾々(われわれ)鷹依姫(たかよりひめ)一行(いつかう)(はや)(さが)(もと)めて(すく)()し、097自転倒島(おのころじま)(はや)(かへ)らねばならぬ』
098春彦(はるひこ)(さき)()つて高姫(たかひめ)(はし)つて()つた反対(はんたい)方向(はうかう)へワザとに()(すす)めた。099半時(はんとき)(ばか)森林(しんりん)(なか)をかきわけて、100西北(せいほく)()して(すす)()くと、101そこに真黒(まつくろ)けの(こけ)()えた、102目鼻口(めはなくち)輪廓(りんくわく)(ろく)(わか)らぬ(やう)三尺(さんじやく)(ばか)りの石地蔵(いしぢざう)が、103(みみ)()けたり、104()()けたり、105(あたま)半分(はんぶん)わられたりしたまま、106(さび)しげに横一(よこいち)()()つてゐる。
107ヨブ『春彦(はるひこ)さま、108一寸(ちよつと)御覧(ごらん)109(この)石地蔵(いしぢざう)を……(みみ)()けたのや、110(あたま)()けたの、111()()けたのや、112(しか)三体(さんたい)113()くも不具(ふぐ)がこれ(だけ)(そろ)うたものですな。114一寸(ちよつと)(この)(へん)一服(いつぷく)(いた)しませうか』
115春彦(はるひこ)『サアもう一休(ひとやす)みしてもよい時分(じぶん)だ。116(しか)(この)石地蔵(いしぢざう)(けつ)して正真(しやうまつ)ぢやありますまいで。117()をつけないと、118(また)高姫(たかひめ)さまの()(まひ)をやらされるか()れませぬワイ。119(かみ)さまに吾々(われわれ)始終(しじう)()()かれて修業(しうげふ)をさせられますからな』
120春彦(はるひこ)さま、121(わたし)はモウ三五教(あななひけう)(いや)になりましたよ。122高姫(たかひめ)さまの正直(しやうぢき)態度(たいど)に、123船中(せんちう)(おい)感歎(かんたん)し、124本当(ほんたう)()(をしへ)だと(おも)うて入信(にふしん)し、125一切(いつさい)(よく)(はな)れて財産(ざいさん)(まで)(ひと)()れてやり、126ここ(まで)発起(ほつき)してワザワザついて()ましたが、127どうも高姫(たかひめ)さまの執着心(しふちやくしん)(ふか)(こと)128あの豹変振(へうへんぶ)り、129ホトホト愛想(あいさう)がつきて、130三五教(あななひけう)がサツパリ(いや)になつて(しま)つたのですよ』
131『あなたは神様(かみさま)(しん)ずるのですか、132高姫(たかひめ)さまを(しん)じてるのですか……(ひと)(しん)じて()ると、133大変(たいへん)間違(まちが)ひが(おこ)りますよ。134肝腎要(かんじんかなめ)大神様(おほかみさま)御精神(ごせいしん)さへ体得(たいとく)すれば、135高姫(たかひめ)さまが(あく)であらうが、136取違(とりちが)ひをしようが、137(べつ)信仰(しんかう)影響(えいきやう)する(はず)はないぢやありませぬか』
138『さう()けばさうですなア。139(しか)高姫(たかひめ)さまの(おこな)ひに惚込(ほれこ)んで入信(にふしん)した(わたし)ですから、140(なん)だか高姫(たかひめ)さまがあんな(こと)()つたり、141したりなさるのを実地(じつち)目撃(もくげき)しては、142坊主(ばうず)(にく)けら袈裟(けさ)(まで)(にく)いとか()つて、143神様(かみさま)(まで)信用(しんよう)出来(でき)なくなつて()ましたよ』
144『そらそんなものです。145大抵(たいてい)(ひと)百人(ひやくにん)九十九人(くじふくにん)(まで)(みちび)いて()れた(ひと)言行(げんかう)標準(へうじゆん)として信仰(しんかう)()るのですから、146(めくら)(つゑ)()られたやうに(さび)しみを(かん)ずるのは当然(たうぜん)です。147どうでせう、148(これ)から吾々(われわれ)両人(りやうにん)高姫(たかひめ)さまに層一層(そういつそう)立派(りつぱ)神柱(かむばしら)になつて(もら)ふやうに(つと)めようぢやありませぬか。149神様(かみさま)から吾々(われわれ)(たい)する試験(しけん)問題(もんだい)として提供(ていきよう)されたのに(ちが)ひありませぬよ』
150()(かく)入信(にふしん)()もなき(わたし)ですから、151先輩(せんぱい)のあなたの御意見(ごいけん)(したが)ひませう。152(わたし)もあなたには感心(かんしん)しました。153高姫(たかひめ)さま以上(いじやう)神通力(じんつうりき)をお()ちになり、154吾々(われわれ)三人(さんにん)(いま)今迄(いままで)神様(かみさま)(こころ)みに()ひ、155(あわ)()いて(くる)しむ(こと)を、156(さき)御存(ごぞん)じの春彦(はるひこ)さま、157高姫(たかひめ)さま以上(いじやう)ですワ』
158『イエイエ、159(けつ)して高姫(たかひめ)さまの(そば)へも()れませぬ。160(しか)しながら如何(どう)したものか、161(わたし)(からだ)余程(よほど)霊感(れいかん)気分(きぶん)になり、162あんな(こと)()つたのです。163つまり神様(かみさま)から()はされたのです』
164(はな)して()る。165(うしろ)石地蔵(いしぢざう)はソロソロ(ある)()し、166二人(ふたり)(まへ)胡坐(あぐら)をかき(はじ)めた。167ヨブはビツクリして、
168『アヽ春彦(はるひこ)さま、169大変(たいへん)ですよ。170石地蔵(いしぢざう)()171そろそろ(うご)()して、172此処(ここ)胡坐(あぐら)をかいて(わら)つてるぢやありませぬか』
173『アハヽヽヽ(これ)ですかいな。174コリヤオホカミ(さま)ですよ。175(けだもの)としては優良品(いうりやうひん)ですよ。176(ひと)つの(やつ)アークマ大明神(だいみやうじん)()(やつ)177(ひと)つの(やつ)シシトラ大明神(だいみやうじん)()化神(ばけがみ)さまだから、178用心(ようじん)なさいませや』
179(なん)()化州(ばけしう)(あら)はれる(とこ)ですなア』
180(もと)より妖怪(えうくわい)巣窟(さうくつ)だから、181いろいろの御客(おきやく)さまが(あら)はれて、182面白(おもしろ)芸当(げいたう)()せてくれますワイ……オイ熊公(くまこう)183獅子(しし)184(とら)185(おほかみ)186なんぢや猪口才(ちよこざい)な、187石地蔵(いしぢざう)人間(にんげん)姿(すがた)()けやがつて、188()(あし)()(あし)らしうしたがよからうぞ。189勿体(もつたい)ない、190人間様(にんげんさま)姿(すがた)()けると()(こと)があるかい、191僣越至極(せんゑつしごく)にも(ほど)があるワ』
192石地蔵(いしぢざう)『ホツホヽヽ、193俺達(おれたち)人間(にんげん)姿(すがた)(ほとけ)姿(すがた)をするのが、194夫程(それほど)可笑(をか)しいのかい。195(また)夫程(それほど)(つみ)になるのか。196よう(かんが)へて()よ、197(いま)人間(にんげん)四足(よつあし)容器(いれもの)になつて()らぬ(やつ)一人(ひとり)でもあると(おも)ふか。198(とら)(おほかみ)199獅子(しし)200(くま)201(きつね)202(たぬき)203(わし)204(とび)205大蛇(をろち)206(おに)()ふも(さら)なり、207下級(かきふ)(うつは)になると、208豆狸(まめだぬき)(かはづ)までが人間(にんげん)(かは)(かぶ)つて、209白昼(はくちう)大都市(だいとし)のまん(なか)横行(わうかう)濶歩(くわつぽ)して()()(なか)だよ。
210 これはしも(ひと)にやあるとよく()れば
211  あらぬ(けもの)(ひと)(かは)()
212()(やう)今日(こんにち)世界(せかい)だ。213そんな野暮(やぼ)(わか)らぬ(こと)()ふものでないよ。214(いま)人間(にんげん)神様(かみさま)真似(まね)をしたり、215志士仁人(ししじんじん)216聖人君子(せいじんくんし)217学者(がくしや)218宗教家(しうけうか)219教育家(けういくか)などと、220洒落(しやれ)てゐやがるが、221大抵(たいてい)(みな)四足(よつあし)のサツクだ。222どうだ、223チツト合点(がつてん)がいつたか』
224『お(まへ)がさう()ふとチツト(かんが)へねばならぬやうな気分(きぶん)がするワイ。225(まつた)くの悪口(わるくち)でもないやうだ。226(しか)し、227(まへ)()から(おれ)肉体(にくたい)()ると、228(かみ)さまのサツクの(やう)()えはせぬかな』
229()えるとも()えるとも、230スツカリ神様(かみさま)だ』
231四足(よつあし)容器(いれもの)のやうにはないかなア』
232四足(よつあし)(どころ)かモツトモツト○○だ。233(かみ)(かみ)ぢやが渋紙(しぶがみ)(やう)(つら)をし、234(こころ)(なか)貧乏神(びんばふがみ)235弱味(よわみ)につけ()風邪(かぜ)(かみ)236疱瘡(はうさう)(かみ)痳疹(はしか)(かみ)237おまけに(かほ)はシガミ(づら)238人情(にんじやう)うすき(かみ)(ごと)(やぶ)(がみ)……と()(やう)神様(かみさま)のサツクだなア』
239『そら、240(あま)酷評(こくひやう)ぢやないか』
241『どうでも()いワ。242(まへ)(こころ)協議(けふぎ)して(かんが)へたが一番(いちばん)だ。243(まへ)高姫(たかひめ)見棄(みす)てる精神(せいしん)だらうがな』
244『イヤア(けつ)して(けつ)して()すてる(かんが)へぢやない。245一日(いちにち)(はや)改心(かいしん)をして(もら)つて、246立派(りつぱ)神司(かむつかさ)になつて()しいのだから、247それでワザとに高姫(たかひめ)さまが苦労(くらう)をする(やう)に、248二人(ふたり)こちらへ(わか)れて()たのだ。249(この)春彦(はるひこ)()いてゐると、250高姫(たかひめ)さまがツイ慢心(まんしん)をして、251折角(せつかく)改心(かいしん)後戻(あともど)りをすると(つま)らないからなア』
252『アツハヽヽヽ、253腰抜神(こしぬけがみ)分際(ぶんざい)として、254高姫(たかひめ)さまに改心(かいしん)をして(もら)ひたいなどとは、255よう()へたものだ。256(まへ)(こころ)(くも)りが、257みんな高姫(たかひめ)さまを(つつ)んで(しま)ふんだから、258折角(せつかく)改心(かいしん)した高姫(たかひめ)が、259最前(さいぜん)(やう)(こころ)みに()うたのだぞよ。260(いま)高姫(たかひめ)はモールバンドに取囲(とりかこ)まれ、261大木(たいぼく)(みき)()がけて、262常彦(つねひこ)(とも)(なん)()けてゐるが、263(うへ)には沢山(たくさん)猅々猿(ひひざる)()つて、264高姫(たかひめ)襲撃(しふげき)して()る。265(した)からはモールバンドが()(いか)らして、266(ただ)一打(ひとう)ちと(ねら)つてゐる最中(さいちう)だ。267オイ春彦(はるひこ)268ヨブの両人(りやうにん)269(これ)から高姫(たかひめ)(すく)ひに()くと()真心(まごころ)はないのか』
270『そりやない(こと)はないが、271(この)春彦(はるひこ)272ヨブの両人(りやうにん)()つた(ところ)で、273モールバンドのやうな、274(つよ)(やつ)()(いか)らして()(かま)へとる以上(いじやう)は、275吾々(われわれ)二人(ふたり)(すく)ひに()つた(ところ)で、276駄目(だめ)だ。277(いや)駄目(だめ)のみならず、278吾々(われわれ)(いのち)(まで)279あの尻尾(しつぽ)(ひと)つやられようものなら、280(だい)なしになつて(しま)ふ。281人間(にんげん)(からだ)神様(かみさま)大切(たいせつ)なる御道具(おだうぐ)だから、282さう易々(やすやす)使(つか)(わけ)には()きますまい。283何分(なにぶん)にも、284(まへ)()(とほ)り、285人情(にんじやう)うすき(かみ)(やう)(かみ)や、286腰抜神(こしぬけがみ)容器(いれもの)だからなア』
287『アツハヽヽヽ、288(くち)(ばか)立派(りつぱ)(こと)()つて()つても、289まさかの(とき)になつたら尻込(しりご)みを(いた)す、290(まこと)のない代物(しろもの)(ばか)りだなア。291それでは三五教(あななひけう)駄目(だめ)だよ』
292(やかま)しう()ふな。293春彦(はるひこ)精神(せいしん)石地蔵(いしぢざう)のお()けに(わか)つて(たま)らうかい。294(おれ)高姫(たかひめ)さまの(やう)有言不実行(いうげんふじつかう)ではないのだ。295不言実行(ふげんじつかう)だ。296どんな(こと)をやるか()()つて()れい。297モールバンドであらうがエルバンドであらうが、298(まこと)()(ひと)つの武器(ぶき)言向(ことむ)(やは)し、299()(ごと)二人(ふたり)生命(いのち)(たす)けて()ようぞ。300サア、301ヨブさま、302春彦(はるひこ)()いてお()でなさい』
303とあわてて、304高姫(たかひめ)(はし)つた(はう)()かうとする。305石地蔵(いしぢざう)は、
306『アツハヽヽヽ、307たうとう(おれ)(げん)(はげ)まされて、308直日(なほひ)(みたま)(かへり)みよつたなア。309(ひと)()うて(もら)うてからの改心(かいしん)駄目(だめ)だよ。310(こころ)(そこ)から発根(ほつこん)改心(かいしん)した(まこと)でないと(やく)には()たぬぞよ。311(いま)にアフンと(いた)して(あご)(はづ)れるやうな(こと)がない(やう)()をつけたがよいぞよ。312石地蔵(いしぢざう)()()けておくぞよ。313(この)(はう)はアキグヒの(うしとら)(かみ)314それに、315()(けもの)使(つか)はし()沢山(たくさん)(かか)へて()(おほかみ)(また)アークマ大明神(だいみやうじん)()立派(りつぱ)御方(おかた)だ。316ドレ、317(これ)から石地蔵(いしぢざう)()けて()つても本当(ほんたう)活動(くわつどう)出来(でき)ない。318うしろから、319(まへ)腕前(うでまへ)を、320実地見分(じつちけんぶん)()かけよう。321(くち)(こころ)(おこな)ひの(そろ)ふやうな(まこと)()せて(もら)はうかい』
322『エヽ(やかま)しい、323化州(ばけしう)324(おれ)御手際(おてぎは)()てから、325(なん)なと(ほざ)け。326サア、327ヨブさま()かう』
328(しり)ひつからげ、329以前(いぜん)谷川(たにがは)(うさぎ)(ごと)くポイポイポイと身軽(みがる)打渡(うちわた)り、330()けつ(まろ)びつ、
331『オーイオイ、332高姫(たかひめ)さまはどこぢやアどこぢやア、333モールバンドのお宿(やど)はどこぢや、334春彦(はるひこ)さまの御見舞(おみまひ)だ、335(おれ)がこれ(ほど)ヨブのに、336何故(なぜ)春彦(はるひこ)ともヨブさまとも返答(へんたふ)をせぬのか。337高姫(たかひめ)338(まへ)(つんぼ)になつたのか。339オーイ、340オイ』
341(こゑ)(かぎ)りに(さけ)(なが)ら、342ドンドンドンと地響(ぢひび)きさせつつ、343草原(くさはら)無性矢鱈(むしやうやたら)大木(たいぼく)(しげ)みを()して(はし)()く。
344大正一一・八・二三 旧七・一 松村真澄録)