霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一二章 (わに)(はし)〔九〇三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第32巻 海洋万里 未の巻 篇:第2篇 北の森林 よみ:きたのしんりん
章:第12章 鰐の橋 よみ:わにのはし 通し章番号:903
口述日:1922(大正11)年08月23日(旧07月01日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年10月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高姫を助けに森林に入った春彦とヨブは、呼ばわっても高姫の居場所がわからない。春彦は探しながら宣伝歌を歌い始めた。これまでの経緯を歌いながら、高姫の改心を願う内容であった。
春彦とヨブが奥へ奥へと進むと、ようやく高姫が避難している大樹のところまでやってきた。見れば小山のようなモールバンドが目を怒らせて高姫を狙っている。春彦は恐ろしさに震えて、言霊がうまく発射できなくなってしまった。
モールバンドは春彦とヨブが近づいてきたことに気づき、今度は春彦とヨブを狙い始めた。二人は大木に登って避難し、互いに境遇を嘆きながら誰か助けに来てくれる者がないかと待つのみであった。
すると、そこへ安彦、宗彦、秋山別、モリスの四人が、宣伝歌を歌いながらやってきた。高姫や春彦らは樹上からその歌を聞いて、三五教徒であることがわかり、勇気づけられて力いっぱい天津祝詞を奏上した。
安彦ら四人も、高姫たちがいることがわかって喜び、呼応して元気を出して天津祝詞を奏上した。モールバンドはなおもひるまず樹上の一行を狙っていたが、そこへ琉と球の大火光が帽子ヶ岳から落ちてきた。モールバンドはこれに驚き、こそこそと森林を逃げ出してアマゾン河に去ってしまった。
ここに高姫一行と安彦一行合わせて八人は合流した。安彦たちは高姫に、アマゾン河の南の大森林に、鷹依姫が猛獣たちを従えていると消息を伝えた。一行の発した天津祝詞の声を聴きつけて、北の大森林の猛獣たちが慕い集まり、八人の後に続いた。
アマゾン河を前にして高姫は、南岸に無事に渡ることを一生懸命に祈願した。すると幾千万もの鰐が川底から現れ、鰐橋をかけた。高姫は、大神の神徳と鰐の好意に感謝した。
こうして、何里もの広いアマゾン河の川幅も、無事に渡りきることができた。また、集まってきた北の森の猛獣たちも一緒に南岸に渡り、高姫一行を兎の都まで送った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:134頁 八幡書店版:第6輯 197頁 修補版: 校定版:140頁 普及版:56頁 初版: ページ備考:
001 春彦(はるひこ)はヨブと(とも)高姫(たかひめ)危難(きなん)(すく)はむと、002大声(おほごゑ)(さけ)びながら密林(みつりん)(なか)()()り、003()べど(さけ)べど、004(もり)木霊(こだま)(わが)(こゑ)反響(はんきやう)するのみ、005(なん)見当(けんたう)もつかず、006()むを()大声(おほごゑ)(うた)ひながら、007森林(しんりん)何処彼処(どこかしこ)となく(めぐ)(はじ)めたり。
008春彦(はるひこ)吾等(われら)師匠(ししやう)(たの)みたる
009高姫(たかひめ)さまが(また)しても
010金剛不壊(こんがうふゑ)如意宝珠(によいほつしゆ)
011(その)()(たま)(たま)ぬかれ
012アタ(はづ)かしや森林(しんりん)
013(この)正中(まんなか)高倉(たかくら)
014月日(つきひ)(あさひ)明神(みやうじん)
015(こころ)(そこ)(しら)べられ
016散々(さんざん)(あぶら)(しぼ)られて
017(からだ)(どろ)にまみれつつ
018(なほ)()れない負惜(まけをし)
019へらず(ぐち)のみ()ひながら
020吾等(われら)二人(ふたり)振棄(ふりす)てて
021元来(もとき)(みち)引返(ひきかへ)
022鷹依姫(たかよりひめ)在処(ありか)をば
023(さが)さむものと()でましぬ
024吾々(われわれ)二人(ふたり)是非(ぜひ)もなく
025西北(せいほく)()して(すす)()けば
026(みち)片方(かたへ)石地蔵(いしぢざう)
027(みみ)()れたり()千切(ちぎ)
028(あたま)()けた()ちすくみ
029(くろ)(かほ)して(みち)()
030(まか)()つたる(その)(まへ)
031(しばら)(いき)(やす)めつつ
032高姫(たかひめ)さまの(うはさ)のみ
033()せる(をり)しも石地蔵(いしぢざう)
034ソロソロ()つて(わが)(まへ)
035胡坐(あぐら)をかいてすわり()
036不思議(ふしぎ)(もの)をベラベラと
037(しやべ)()したる可笑(をか)しさよ
038()けた地蔵(ぢざう)()ふことにや
039高姫(たかひめ)さまや常彦(つねひこ)
040モールバンドに取巻(とりま)かれ
041大木(おほき)(えだ)にかけ(のぼ)
042避難(ひなん)してゐる最中(さいちう)
043猅々(ひひ)(むれ)()がやつて()
044無性矢鱈(むしやうやたら)にせめかける
045モールバンドは()(した)
046()(いか)らして(ひか)()
047進退(しんたい)(ここ)(きは)まりて
048流石(さすが)剛毅(がうき)高姫(たかひめ)
049常彦(つねひこ)諸共(もろとも)(いだ)()
050アヽアヽどうせう()うせうと
051吐息(といき)もらして()るだらう
052春彦(はるひこ)、ヨブの両人(りやうにん)
053こんな(はなし)(みみ)にして
054如何(どう)して見捨(みす)てておかれうか
055仮令(たとへ)大蛇(をろち)巣窟(さうくつ)
056モールバンドの棲処(すみか)をも
057(おそ)れず(たゆ)まず進撃(しんげき)
058(すく)()さねばおかれない
059あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
060皇大神(すめおほかみ)御光(みひかり)
061高姫(たかひめ)さまの在処(ありか)をば
062てらして(われ)()(たま)
063高姫(たかひめ)さまも(これ)からは
064(こころ)(そこ)より改良(かいりやう)
065三五教(あななひけう)神柱(かむばしら)
066(かみ)使(つかひ)(まを)しても
067(はづ)かしからぬ(たま)となり
068キツト手柄(てがら)()さるだらう
069一時(いちじ)(はや)(むね)()
070(ひら)いて在処(ありか)(あきら)かに
071春彦(はるひこ)、ヨブの両人(りやうにん)
072()らさせ(たま)天津神(あまつかみ)
073国津神(くにつかみ)(たち)国魂(くにたま)
074竜世(たつよ)(ひめ)御前(おんまへ)
075(こころ)(きよ)めて()ぎまつる
076あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
077御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
078(うた)ひながら、079大樹(たいじゆ)根元(ねもと)一々(いちいち)巡視(じゆんし)し、080()(そら)(あふ)ぎなどしつつ、081(おく)(おく)へと(さが)()く。
082 春彦(はるひこ)083ヨブの二人(ふたり)(やうや)くにして、084高姫(たかひめ)避難(ひなん)せる大樹(たいじゆ)間近(まぢか)辿(たど)りつけば、085石地蔵(いしぢざう)のお()けの()つた(とほ)り、086小山(こやま)のやうな胴体(どうたい)をしたモールバンドが、087(もり)樹立(こだち)のマバラなる(ところ)(えら)み、088()(いか)らして高姫(たかひめ)()めつけ、089(なん)とかして一打(ひとう)ちに()ちころさむと(いき)まいてる(その)物凄(ものすご)さ。090春彦(はるひこ)真蒼(まつさを)になり、091ソロソロ(ふる)()し『惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)』も(あま)数歌(かずうた)千切(ちぎ)千切(ちぎ)れになり、092一向(いつかう)(うる)はしき言霊(ことたま)発射(はつしや)することが出来(でき)なくなつて()た。
093 モールバンドは春彦(はるひこ)094ヨブの間近(まぢか)(きた)りしに気付(きづ)きしものと()え、095小山(こやま)のやうな胴体(どうたい)(おもむ)ろに二人(ふたり)(はう)()(なほ)し、096長大(ちやうだい)なる()()りをかけ、097(いま)一打(ひとう)ちに両人(りやうにん)()たむとする形勢(けいせい)(しめ)して()る。098二人(ふたり)(いのち)カラガラ(かたはら)大木(たいぼく)目蒐(めが)けて(やうや)(のぼ)りつめ、099(あと)()(かく)100暫時(ざんじ)避難所(ひなんじよ)常磐樹(ときはぎ)頂上(ちやうじやう)にしがみついて、101(たれ)(たす)けに()てくれる(もの)はなからうかと期待(きたい)して()る。102()(うへ)にて春彦(はるひこ)(こゑ)(ふる)はせながら、
103『コレコレ、104ヨブさま、105大変(たいへん)(こと)ぢや御座(ござ)いませぬか。106(わたし)獅子(しし)107(とら)108(くま)109(おほかみ)110大蛇(をろち)(くらゐ)は、111さうも(おそ)れないのだが、112どれ(だけ)(きも)(はう)()して()ても、113あのモールバンド(だけ)如何(どう)することも出来(でき)ない。114(はら)(そこ)から自然(しぜん)(おのの)いて()て、115自分(じぶん)(からだ)がどこにあるやら、116(わか)らなくなつて()ました。117(まへ)さまは如何(どう)ですかな?』
118(わたし)だとて(おな)(こと)ですよ。119(しか)しながら、120何時迄(いつまで)もああしてモールバンドに(ねら)はれて()らうものなら、121何時(いつ)ここを(くだ)つて()(かへ)ると()ふことも出来(でき)ず、122(こま)つたものですなア。123(さいはひ)(この)()(かた)果物(くだもの)がなつて()りますが、124これさへ()べて()れば、125仮令(たとへ)十日(とをか)二十日(はつか)126(この)()(うへ)籠城(ろうじやう)したつて、127(べつ)(こま)りもしませぬが、128大風(おほかぜ)()いたり、129大雨(おほあめ)(とき)には(じつ)(こま)るぢやありませぬか。130(この)(ごろ)(やう)毎日(まいにち)日日(ひにち)二三回(にさんくわい)づつ(おほ)きな(あめ)()つて()ると、131第一(だいいち)身体(からだ)()てませぬワイ。132モウ()うなる(うへ)からは神様(かみさま)におすがりして、133(うん)(てん)(まか)すより方法(はうはふ)はないから、134(ひと)此処(ここ)一生懸命(いつしやうけんめい)に、135モールバンドが退却(たいきやく)する(やう)御祈念(ごきねん)(いた)しませうかい』
136『ソリヤ結構(けつこう)です……(しか)し、137(なん)だか、138(はら)(そこ)がワナワナして……(こゑ)円満(ゑんまん)()()ませぬ……』
139千切(ちぎ)千切(ちぎ)れに(はな)して()る。140()かる(ところ)へ、141(また)もや宣伝歌(せんでんか)(きこ)(きた)る。
142国依別(くによりわけ)神司(かむづかさ)
143御供(みとも)をなしてはるばると
144ヒルの国原(くにはら)立出(たちい)でて
145ブラジル(たうげ)()ちわたり
146()てしも()れぬ谷道(たにみち)
147辿(たど)辿(たど)りてシーズンの
148(かは)片方(かたへ)()()れば
149(こひ)(とりこ)となりはてし
150秋山別(あきやまわけ)やモリスの(つかさ)
151二人(ふたり)(をとこ)激流(げきりう)
152()きつ(しづ)みつ(なが)()
153コリヤ大変(たいへん)吾々(われわれ)
154国依別(くによりわけ)(めい)()
155衣類(いるゐ)をすぐに()ぎすてて
156ザンブと(ばか)飛込(とびこ)めば
157流石(さすが)()()ふシーズンの
158速瀬(はやせ)(なみ)(ただよ)ひて
159(おぼ)()せむとせし(ところ)
160(おも)はぬ河中(かちう)岩石(がんせき)
161二人(ふたり)身体(からだ)()つかかり
162ヤツと(いき)をば(やす)めつつ
163(いは)真下(ました)(なが)むれば
164秋山別(あきやまわけ)やモリスの(つかさ)
165二人(ふたり)身体(からだ)渦巻(うづまき)
166()かれて()きつ(しづ)みつつ
167人事不省(じんじふせい)有様(ありさま)
168(また)もや()をば(をど)らして
169安彦(やすひこ)宗彦(むねひこ)両人(りやうにん)
170二人(ふたり)身体(からだ)をひつ(かか)
171(よわ)川瀬(かはせ)(えら)みつつ
172彼方(かなた)(きし)(すく)()
173介抱(かいほう)すればやうやうに
174息吹返(いきふきかへ)両人(りやうにん)
175(こひ)(とりこ)(ゆめ)もさめ
176国依別(くによりわけ)(したが)ひて
177アマゾン(がは)森林(しんりん)
178(ひそ)みて世間(せけん)(わざはひ)
179(みたま)(おく)曲津見(まがつみ)
180言向(ことむ)(やは)()(なか)
181なやみを(はら)(きよ)めむと
182(ここ)五人(ごにん)一行(いつかう)
183帽子ケ岳(ぼうしがだけ)頂上(ちやうじやう)
184目当(めあて)(すす)(のぼ)()
185(とほ)彼方(かなた)()わたせば
186アマゾン(がは)急流(きふりう)
187天津日影(あまつひかげ)にてらされて
188長蛇(ちやうだ)(ごと)(ひか)()
189(みなみ)(きた)森林(しんりん)
190緑紅(みどりくれなゐ)こき()ぜて
191()てしも()らず(しげ)()
192(この)光景(くわうけい)(なが)めつつ
193言依別(ことよりわけ)神司(かむつかさ)
194国依別(くによりわけ)諸共(もろとも)
195(りう)(きう)との神力(しんりき)
196(とほ)此方(こなた)()らしつつ
197吾等(われら)一行(いつかう)言霊(ことたま)
198(いくさ)(かち)(まも)らむと
199幽玄微妙(いうげんびめう)神策(しんさく)
200()てさせ(たま)有難(ありがた)
201(この)森林(しんりん)()にし()
202妖怪窟(えうくわいくつ)(きこ)ゆれば
203八岐大蛇(やまたをろち)()ふも(さら)
204(とら)(おほかみ)獅子(しし)(くま)
205(その)(ほか)(もも)怪物(くわいぶつ)
206いろいろ雑多(ざつた)()(へん)
207吾等(われら)(たば)かる(こと)あらむ
208あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
209(かみ)御霊(みたま)()()けて
210如何(いか)なる(まが)(おそ)れなく
211誠一(まことひと)つの(かみ)(みち)
212(たゆ)まず(くつ)せず(すす)()
213モールバンドやエルバンド
214仮令(たとへ)幾千(いくせん)(きた)るとも
215(わが)言霊(ことたま)神力(しんりき)
216言向(ことむ)(やは)(いま)よりは
217アマゾン(がは)(そこ)(ふか)
218(ひそ)みて(もも)(わざはひ)
219(おも)ひとまらせくれむぞと
220言依別(ことよりわけ)御言(みこと)もて
221やうやう此処(ここ)(きた)りけり
222高姫(たかひめ)さまを(はじ)めとし
223常彦(つねひこ)春彦(はるひこ)(いま)いづこ
224()てしも()らぬ(この)(もり)
225いづこに彷徨(さまよ)(たま)ふらむ
226(かみ)御霊(みたま)(さち)はひて
227一日(ひとひ)(はや)高姫(たかひめ)
228在処(ありか)(をし)(たま)へかし
229朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
230(つき)()つとも()くるとも
231モールバンドは()()とも
232(とら)(おほかみ)獅子(しし)(くま)
233(いきほひ)いかに(たけ)くとも
234なにか(おそ)れむ敷島(しきしま)
235大和心(やまとごころ)益良夫(ますらを)
236(かみ)(ひか)りを(たて)となし
237(かみ)(めぐみ)(ほこ)として
238(すす)みに(すす)(もり)(なか)
239()(いさ)ましき次第(しだい)なり
240あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
241御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
242(うた)ひつつ、243安彦(やすひこ)先頭(せんとう)に、244宗彦(むねひこ)245秋山別(あきやまわけ)246モリスの四人(よにん)は、247(かみ)引合(ひきあは)せか、248()せずして、249高姫(たかひめ)250春彦(はるひこ)()避難(ひなん)せる樹蔭(こかげ)(ちか)(すす)(きた)れり。
251 春彦(はるひこ)252高姫(たかひめ)二組(ふたくみ)避難者(ひなんしや)樹上(じゆじやう)より(この)宣伝歌(せんでんか)()き、253(いま)一度(いちど)()きしことなき(こゑ)なれども、254(かなら)途中(とちう)にて、255言依別(ことよりわけ)256国依別(くによりわけ)(をしへ)(かん)入信(にふしん)せし(もの)ならむ、257あゝ有難(ありがた)(かたじけ)なし、258(かみ)(すく)ひの御手(みて)……と(たちま)元気(げんき)恢復(くわいふく)し、259拍手(はくしゆ)(をは)り、260樹上(じゆじやう)より(こゑ)(たか)らかに、261天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)(はじ)めた。262春彦(はるひこ)祝詞(のりと)(こゑ)に、263はるか(はな)れた()(うへ)避難(ひなん)して()高姫(たかひめ)264常彦(つねひこ)は、265(はじ)めて春彦(はるひこ)所在(しよざい)()り、266非常(ひじやう)心強(こころづよ)さを(かん)じ、267ますます元気(げんき)()して天津祝詞(あまつのりと)(ちから)一杯(いつぱい)268天地(てんち)震撼(しんかん)せよと(ばか)りに()()げた。
269 安彦(やすひこ)270宗彦(むねひこ)一行(いつかう)双方(さうはう)より(きこ)(きた)樹上(じゆじやう)祝詞(のりと)(こゑ)に、271(はじ)めて高姫(たかひめ)一行(いつかう)のここに()ることを(さと)り、272歓喜(くわんき)(ななめ)ならず、273(なほ)元気(げんき)()して天津祝詞(あまつのりと)()(はじ)めた。274モールバンドは(すこ)しも(くつ)せず、275()(いか)らし、276()()りしごき、277縦横無尽(じうわうむじん)四人(よにん)(むか)つて突進(とつしん)(きた)る。278四人(よにん)(たちま)(かたはら)大木(たいぼく)(から)うじて避難(ひなん)し、279樹上(じゆじやう)より祝詞(のりと)(しき)りに奏上(そうじやう)し、280(はや)(この)怪獣(くわいじう)遁走(とんさう)して、281吾等(われら)一行(いつかう)(すく)(たま)へと(ねん)じつつありぬ。
282 (たちま)西北(せいほく)(そら)をこがして(かがや)(きた)(りう)283(きう)大火光(だいくわくわう)284あたりは(たちま)()(ごと)(あか)くなりぬ。285これ言依別(ことよりわけ)286国依別(くによりわけ)神司(かむづかさ)が、287帽子ケ岳(ぼうしがだけ)より救援(きうゑん)()発射(はつしや)する(ところ)霊光(れいくわう)なりき。288モールバンドは(おどろ)いて、289()(ちぢ)め、290(くび)をすくめ、291コソコソと森林(しんりん)()(いだ)し、292数十里(すうじふり)(はやし)(くぐ)つて、293アマゾン(がは)()()りにけり。
294 安彦(やすひこ)一行(いつかう)四人(よにん)はヤツと(むね)をなでおろし、295枝振(えだぶり)のよい大木(たいぼく)(くだ)(きた)り、
296安彦(やすひこ)高姫(たかひめ)(さま)々々々(たかひめさま)
297()ばはりながら、298樹下(じゆか)(めぐ)り、299(そら)(あふ)いで高姫(たかひめ)居所(ゐどころ)(さが)して()る。
300 高姫(たかひめ)常彦(つねひこ)(とも)にヤツと安心(あんしん)(なが)(くだ)つて()た。301春彦(はるひこ)もヨブも(また)(ひと)つの大木(たいぼく)(そら)より此処(ここ)(やうや)(くだ)(きた)り、302(たがひ)(かほ)見合(みあは)せ、303(うれ)()きに()()ひて()く。
304 (これ)より八人(はちにん)(たがひ)()()り、305無事(ぶじ)(しゆく)し、306()高姫(たかひめ)一行(いつかう)安彦(やすひこ)一行(いつかう)(むか)(あつ)感謝(かんしや)(ことば)()べながら、307アマゾン(がは)沿岸(えんがん)(むか)つて引返(ひきかへ)し、308南岸(なんがん)森林中(しんりんちう)鷹依姫(たかよりひめ)一行(いつかう)猛獣(まうじう)(わう)として(すま)()ることを、309安彦(やすひこ)(もつ)国依別(くによりわけ)より伝達(でんたつ)したれば、310()(もの)()(あへ)ず、311河端(かはばた)(むか)つて(すす)む。312一行(いつかう)一心(いつしん)をこめて奏上(そうじやう)したる天津祝詞(あまつのりと)(こゑ)に、313(きた)森林(しんりん)猛獣共(まうじうども)(あらそ)つて此処(ここ)(あつ)まり(きた)り、314八人(はちにん)(あと)(したが)ひ、315これ(また)アマゾン(がは)(きし)(まで)316幾百千(いくひやくせん)とも()れず、317(れつ)(つく)つて(したが)(きた)る。
318 これより高姫(たかひめ)は、319アマゾン(がは)急流(きふりう)(なが)め、320一生懸命(いつしやうけんめい)に、321南岸(なんがん)無事(ぶじ)(わた)らせ(たま)へ……と祈念(きねん)した。322(たちま)川底(かはぞこ)より八尋鰐(やひろわに)323幾千万(いくせんまん)とも(かぎ)りなく(あら)はれ(かさ)なり()うて、324(たちま)鰐橋(わにばし)()けたり。325高姫(たかひめ)大神(おほかみ)神徳(しんとく)(わに)好意(かうい)一々(いちいち)感謝(かんしや)し、326七人(しちにん)(とも)南岸(なんがん)(から)うじて(わた)ることを()たり。327(この)(あひだ)何里(なんり)とも(わか)らぬ(くらゐ)328(ひろ)河幅(かははば)なりけり。
329 (きた)森林(しんりん)()める猛獣(まうじう)此処(ここ)まで(おく)(きた)り、330(この)激流(げきりう)(なが)めて(やや)躊躇(ちゆうちよ)(いろ)ありしが、331(たちま)鰐橋(わにばし)(かか)りたるに(ちから)()332一匹(いつぴき)(のこ)らず、333南森林(みなみしんりん)打渡(うちわた)り、334高姫(たかひめ)一行(いつかう)(おく)りて(うさぎ)(みやこ)(むか)(すす)()く。
335大正一一・八・二三 旧七・一 松村真澄録)