霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一九章 報告祭(ほうこくさい)〔九三四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻 篇:第4篇 理智と愛情 よみ(新仮名遣い):りちとあいじょう
章:第19章 報告祭 よみ(新仮名遣い):ほうこくさい 通し章番号:934
口述日:1922(大正11)年09月19日(旧07月28日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年11月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
綾の聖地の錦の宮の八尋殿では報告祭がおこなわれた。麻邇の宝珠の神業成就や黒姫の息子が玉治別だと判明したことなど、前代未聞の大慶事に直会の席もにぎわっていた。
竹公、安公、虎公がたわいもない話で盛り上がっていた。やがて東助の一声で直会もお開きとなり、信者一同は上機嫌で家路についた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-09 14:56:42 OBC :rm3319
愛善世界社版:205頁 八幡書店版:第6輯 326頁 修補版: 校定版:215頁 普及版:80頁 初版: ページ備考:
001 (あや)聖地(せいち)()ける(にしき)(みや)八尋殿(やひろどの)には、002七五三(しちごさん)太鼓(たいこ)(おと)(きこ)えて()た。003今日(けふ)(こと)(ほか)(かぜ)(きよ)く、004陰鬱(いんうつ)なる(きり)早朝(さうてう)より()(わた)り、005紺碧(こんぺき)(そら)(いよいよ)(たか)く、006太陽(たいやう)(ひがし)(やま)()より(その)雄姿(ゆうし)(あら)はし、007金色(こんじき)(ひかり)地上(ちじやう)()げてゐる。008今朝(けさ)太鼓(たいこ)(おと)(なん)となく()(わた)り、009下界(げかい)邪気(じやき)万里(ばんり)(そと)()(はら)うた(やう)気分(きぶん)(ただよ)うてゐる。
010 東助(とうすけ)011高姫(たかひめ)(はじ)め、012秋彦(あきひこ)013友彦(ともひこ)014テールス(ひめ)015夏彦(なつひこ)016佐田彦(さだひこ)017(たま)018高山彦(たかやまひこ)(その)()幹部(かんぶ)祭服(さいふく)(いか)めしく、019報告祭(ほうこくさい)勤行(ごんぎやう)するのであつた。020高姫(たかひめ)久振(ひさしぶ)りにて高砂島(たかさごじま)より(かへ)り、021(また)黒姫(くろひめ)022玉治別(たまはるわけ)筑紫(つくし)(しま)より遥々(はるばる)帰国(きこく)し、023鷹依姫(たかよりひめ)024竜国別(たつくにわけ)宣伝使(せんでんし)無事(ぶじ)帰国(きこく)して、025麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)神業(しんげふ)無事(ぶじ)奉仕(ほうし)せし(よろこ)びと、026黒姫(くろひめ)三十五(さんじふご)(ねん)()りに(わが)実子(じつし)発見(はつけん)せられし(こと)感謝(かんしや)()ねたる報告祭(はうこくさい)であつた。
027 一紘琴(いちげんきん)028二紘琴(にげんきん)嚠喨(りうりやう)たる音楽(おんがく)(こゑ)(とも)祭典(さいてん)無事(ぶじ)終了(しうれう)した。029教主(けうしゆ)英子姫(ひでこひめ)(はじ)め、030玉照彦(たまてるひこ)031玉照姫(たまてるひめ)神司(かむつかさ)(ならび)紫姫(むらさきひめ)も、032神殿(しんでん)(ふか)(すす)みて(この)祭典(さいてん)(れつ)せられた。033祭典(さいてん)(をは)ると(とも)(この)四柱(よはしら)教主(けうしゆ)(やかた)()して、034悠々(いういう)四五(しご)(にん)信徒(しんと)(おく)られ(かへ)つて()く。
035 (あと)には賑々(にぎにぎ)しく直会(なほらひ)(えん)(ひら)かれた。036万代(ばんだい)未聞(みもん)大慶事(だいけいじ)といふので、037(にしき)(みや)八尋殿(やひろどの)日頃(ひごろ)窮屈(きうくつ)引替(ひきか)へ、038今日(けふ)(いち)(にち)気楽(きらく)直会(なほらひ)(さけ)()(まで)(いただ)き、039口々(くちぐち)(うた)()ひ、040(をど)(くる)(こと)黙許(もくきよ)されて()た。041(さけ)(ゑひ)(まは)るにつれて、042そろそろ雑談(ざつだん)(はじ)まつて()る。
043(かふ)『オイ虎公(とらこう)044時節(じせつ)()たねばならぬものだなア。045高姫(たかひめ)大将(たいしやう)や、046黒姫(くろひめ)()アさまが、047()ても()めても、048玉々(たまたま)()つて随分(ずゐぶん)玉騒(たまさわ)ぎで、049言依別(ことよりわけの)(みこと)(さま)や、050大勢(おほぜい)(もの)手古摺(てこず)らしたものだが、051到頭(たうとう)一心(いつしん)(つらぬ)いて、052(たま)御用(ごよう)首尾(しゆび)()(つと)()げたぢやないか。053おまけに筑紫(つくし)(しま)から(たま)(ひと)()つて(かへ)りよつたのは黒姫(くろひめ)だ。054本当(ほんたう)(うま)(こと)しよつたネー』
055虎公(とらこう)『オイ、056(ちひ)さい(こゑ)()はぬか。057あれ()よ、058高姫(たかひめ)さまや黒姫(くろひめ)さまが正座(しやうざ)(かま)へて御座(ござ)るぞ』
059(かふ)(おれ)(ひと)(これ)から(たま)さがしに()つて()うかなア』
060虎公(とらこう)貴様(きさま)(さが)しに()かなくても、061(うち)沢山(たくさん)あるぢやないか。062よく(かんが)へて()よ。063貴様(きさま)(とこ)(ねこ)(たま)といふだらう。064そして()(いろ)真黒(まつくろ)々助(くろすけ)黒姫(くろひめ)だオツトドツコイ黒猫(くろねこ)だ。065おまけに貴様(きさま)(かか)がおすみ()つて名詮(めいせん)自称(じしよう)真黒(まつくろ)々助(くろすけ)066中低(なかびく)のお杓子(たまじやくし)のやうな(かほ)をしてゐるだらう。067そして(ちい)つぽけな(きもたま)()つてゐるなり、068団栗(どんぐり)のやうな(めだま)(ふた)つぶら()げてゐる。069貴様(きさま)(きんたま)名代(なだい)八畳敷(はちでふじき)(たぬき)税金取(うんじやうと)りに()るやうな(しなだま)だ。070これ(だけ)沢山(たくさん)麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)(きん)(たま)()つてゐる(くせ)に、071(この)(うへ)玉騒(たまさわ)ぎをせられちや(みな)(もの)たまらぬから、072モウ()加減(かげん)(あきら)めたがよからうぞ。073のう(たぬき)安公(やすこう)
074安公(やすこう)『コリヤ虎猫(とらねこ)075(なに)(ぬか)すのだ。076(ひと)(こと)()ふよりも、077自分(じぶん)(はち)から(はら)うてかかれ。078(おれ)のは八畳敷(はちでふじき)ぢやない(にしき)信玄袋(しんげんふくろ)だ。079()(たぬき)野郎(やらう)()貴様(きさま)手力男(たぢからをの)(かみ)さまの(やう)に、080おれは(ねこ)(とし)(うま)れた寅公(とらこう)だけれど、081ヤツパリ(ひと)(うち)(やしな)はれる家畜(かちく)だから、082自称(じしよう)(うしとら)金神(こんじん)よりも余程(よつぽど)(えら)いと(ぬか)してゐやがるが、083猫寅(ねことら)金神(こんじん)()(もの)がどこにあるか。084よつ(ぽど)よい馬鹿者(ばかもの)だなア』
085虎公(とらこう)『トラ(なに)(ぬか)す。086(うし)()(やつ)(には)のすみつこに()いて(もら)ひ、087(くそ)まぶれになつて(くさ)(くら)つて(くら)して()(やつ)だ。088(ねこ)()(やつ)は、089主人(しゆじん)(ひざ)へものり、090(おな)炬燵(こたつ)へも這入(はい)り、091家庭(かてい)(はな)となつて、092優待(いうたい)される代物(しろもの)だぞ。093それだから(ねこ)一番(いちばん)(えら)いのだ。094それだから猫虎(ねことら)金神(こんじん)丑寅(うしとら)金神(こんじん)よりも(くらゐ)(うへ)だと()ふのだ。
095(ねこ)三筋(みすぢ)手管(てくだ)(いと)
096(どぜう)(なまづ)()きころす………
097()(こと)()らぬか。098何程(なにほど)(どぜう)ひげを()やし、099(まなづ)ひげを()やしとるゼニトルメンでも、100自由(じいう)自在(じざい)()きまはす、101万能力(ばんのうりよく)()つてゐるのだから(たい)したものだ。102猫寅(ねことら)金神(こんじん)さまに(かぎ)るぞよ。103………猫寅(ねことら)金神(こんじん)(あら)はれて、104三千(さんぜん)世界(せかい)(かみ)105仏事(ぶつじ)106人民(じんみん)107鳥類(てうるゐ)108(けだもの)109虫族(むしけら)(いた)るまで守護(しゆご)(いた)さぬぞよ。110……コラ(やす)111イヤ狸安(たぬきやす)112どうだい、113豪勢(がうせい)(もの)だらう。114オツホヽヽヽ』
115(わら)ふ。116安公(やすこう)(たち)あがり、117そこらをキヨロキヨロ()まはし、118自分(じぶん)加勢(かせい)()()れる友達(ともだち)はないかと、119酔眼(すゐがん)朦朧(まうろう)とあたりを調(しら)べてゐる。120そこへ()についたのは竹公(たけこう)()友達(ともだち)である。121安公(やすこう)は、
122安公『オイ竹公(たけこう)123一寸(ちよつと)()てくれ、124加勢(かせい)加勢(かせい)だ』
125 (この)(こゑ)竹公(たけこう)多勢(おほぜい)(なか)をヒヨロリヒヨロリと千鳥足(ちどりあし)になり、126徳利(とくり)蹴転(けころ)がし、127(さかづき)をふみ(くだ)き、128(ひと)(あたま)(うへ)尻餅(しりもち)をついたり、129(かた)(おさ)へたりし(なが)ら、130やつとの(こと)安公(やすこう)(まへ)にやつて()た。131(すこ)()(わる)いので信仰(しんかう)(はじ)めた近在(きんざい)百姓(ひやくしやう)(をとこ)である。132真珠(しんじゆ)(うへ)雑水(ざふづ)をかぶせた(やう)目玉(めだま)を、133(そこ)(はう)からピカピカ(ひか)らせ(なが)ら、134竹公(たけこう)は、
135竹公『オイ安公(やすこう)136(なに)かせいするのだ。137かせいと()つたつて、138(この)(ごろ)はサツパリ(ふところ)冬枯(ふゆが)れだ。139()()(いち)(まい)ドンドン(なが)ら、140()つてゐないのだから、141反対(あべこべ)にこつちへチツト(ばか)()せないかなア。142(おれ)今日(けふ)()うして目出(めで)たい(さけ)(いただ)いたのだが、143今日(けふ)(はたら)いて今日(けふ)()ふと()江戸(えど)()気質(かたぎ)哥兄(にい)さまだから、144今日(けふ)(かせ)ぎが出来(でき)ない。145三界(さんがい)首枷(くびかせ)となる餓鬼(がき)二三匹(にさんびき)146(うち)にや(かか)一緒(いつしよ)(なべ)(あら)つて()つてゐるのだから、147(おれ)やモウそれを(おも)ふと、148折角(せつかく)()んだ(さけ)がさめて(しま)ひさうだ。149おれのやうな(もの)にカセカセ(ぬか)さずと、150(この)猫寅(ねことら)()して(もら)つたら如何(どう)だい』
151虎公(とらこう)『オイ竹公(たけこう)152猫虎(ねことら)とは(あま)りぢやないか』
153竹公(たけこう)丑寅(うしとら)金神(こんじん)さまよりも(えら)()ぢやないか。154(いま)(まへ)がさう()つて自慢(じまん)して()ただらう。155それだから(この)竹公(たけこう)が、156(ちから)一杯(いつぱい)尊敬(そんけい)して猫寅(ねことら)といふのだが、157どこが(わる)いのだ、158そんな(こと)()はずにチツト(おれ)()せ。159今日(けふ)目出(めで)たい()だから、160(まへ)(ひと)(たの)まれて滅多(めつた)(くび)(よこ)にふるやうな(こと)はしさうな(はず)もなし、161(おれ)(また)()つて()れと(たの)まれて()つてやらぬと()つて、162一口(ひとくち)にはねるやうな拙劣(へた)(こと)はせないからなア』
163安公(やすこう)『オイ竹公(たけこう)164こんな(やつ)(かね)でも()らうものなら、165それこそ大事(おほごと)だ。166出会(であ)(たび)に、167()してやつた()してやつたと、168(ひと)(まへ)だらうが何処(どこ)だらうが(かま)はずに、169いつ(まで)(はぢ)をかかしやがるから、170()()け、171(あと)(ため)(わる)いぞ』
172竹公(たけこう)『ナーニ、173(かま)ふものか。174こちらの(はう)から反対(はんたい)に、175(ひと)出会(であ)(たび)()つてやつた()つてやつたと()つたらいいぢやないか。176()してられる(やつ)よりも()(やつ)(はう)が、177当世(たうせい)(ちから)があるのだからなア。178さうだから人間(にんげん)借金(しやくきん)をせなくては、179(をとこ)(はば)()かぬといふのだ。180貴様(きさま)のやうに金持(かねもち)(ところ)()つては三文(さんもん)一文(いちもん)世話(せわ)にもならぬ(くせ)に、181追従(つゐしよう)タラダラ、182旦那(だんな)はん仏壇(ぶつだ)はん、183ゼントルマンだとか(ぬか)しやがつて、184(ひげ)(ちり)(はら)ふよりも、185(おれ)(たち)自分(じぶん)甲斐性(かひしやう)でドツサリ(かね)()り、186(ひげ)(ちり)どころか、187三文(さんもん)(はら)うてやらぬのだ。188さうすると、189()られた(やつ)めが、190反対(あべこべ)(おれ)機嫌(きげん)()りやがつて、191(さか)さまに(ふる)うても(しらみ)(ひと)つおちぬ(をとこ)を、192(みち)出会(であ)ふと(むか)ふの(はう)からペコペコ(あたま)()げて、193機嫌(きげん)()るのだから(たい)したものだよ。194モシも(おれ)(おこ)らさうものなら、195()した(かね)をふみつぶされちや(たま)らないと、196執着心(しふちやくしん)(よく)にかられて(よわ)くなるのだからなア、197貴様(きさま)(やう)()しもせねば、198()()りもせず、199(あさ)から(ばん)まで(ろく)(もの)(くら)はず、200(かか)アと(にら)みつこ(ばか)りして……あゝ今年(ことし)もなんぼ なんぼ()()んだ、201()一町(いつちやう)()つた。202(はやし)(ひと)()んだ……と()つて、203青息(あをいき)吐息(といき)(くら)代物(しろもの)とは、204チツト(たね)(ちが)ふのだからなア』
205 虎公(とらこう)(さけ)にヅブ(ろく)()うて()竹公(たけこう)(はなし)()いて、206(なん)(おも)うたか、
207虎公(とらこう)『オイ竹公(たけこう)208貴様(きさま)言草(いひぐさ)中々(なかなか)面白(おもしろ)い。209(いま)まで随分(ずゐぶん)借倒(かりたふ)されたが、210到底(たうてい)(かへ)してくれる見込(みこみ)もあり(さう)にない。211一生(いつしやう)貴様(きさま)のいふ(とほ)り、212(おれ)貴様(きさま)機嫌(きげん)をとらねばならぬと(おも)へば(なさけ)なうなつて()た。213どうぞおれに(かね)()つてやつたと()ふことを(わす)れてくれ。214(おれ)(また)()したなんどといふ(こと)(ゆめ)にも(おも)はぬからなア。215ここに(きん)(ひやく)(りやう)あるが、216これも貴様(きさま)献上(けんじやう)するから受取(うけと)つてくれ。217そして(おれ)から(もら)うたといふ(こと)もスツカリ(わす)れるのだぞ。218(おれ)貴様(きさま)にやつたといふ(こと)を、219今日(けふ)(かぎ)(わす)れて(しま)ふからなア』
220竹公(たけこう)『ヨシ、221特別(とくべつ)(もつ)(ゆる)してやらう。222有難(ありがた)頂戴(ちやうだい)いたせ……ぢやない、223(おれ)頂戴(ちやうだい)いたす……オイ安公(やすこう)224どうだい、225竹哥兄(たけにい)のお腕前(うでまへ)()つたか、226アーン』
227安公(やすこう)『チツト(おれ)にも分配(ぶんぱい)せぬかい。228貴様(きさま)一人(ひとり)229猫糞(ねこばば)をきめるとは、230(あま)(むし)がよすぎるぞ』
231竹公(たけこう)猫糞(ねこばば)をきめこむのは当然(あたりまへ)だ。232灰猫(はひねこ)猫寅(ねことら)から……オツトドツコイ、233(わす)れるのだつた、234(もら)つたか(もら)はぬか、235曖眛(あいまい)模糊(もこ)として、236捕捉(ほそく)(べか)らざる活劇(くわつげき)()つて、237捕捉(ほそく)したのだから、238マア(うち)(かか)アに()(とど)けする(まで)御免(ごめん)(かうむ)らうかい。239ウフヽヽヽ……(とき)黒姫(くろひめ)さまの本当(ほんたう)()といふのは、240あの……それ……(なん)ぢやないか、241本当(ほんたう)(あき)れたものだなア』
242安公(やすこう)玉治別(たまはるわけ)さまが黒姫(くろひめ)(わか)(とき)(せがれ)だつたといの。243(なん)黒姫(くろひめ)(いま)こそ(かみ)さまだとか、244(をしへ)だとか、245偉相(えらさう)()つてゐやがるが、246(わか)(とき)余程(よほど)淫奔娘(いたづらむすめ)だつたと()えるワイ』
247竹公(たけこう)『さうだから、248(かみ)さまが(この)八尋殿(やひろどの)(あつま)つて()(もの)は、249罪人(とがにん)(ばか)りだと仰有(おつしや)るのだ。250一代(いちだい)()れぬ(つみ)(かみ)御用(ごよう)()して、251一代(いちだい)()つてやらうと仰有(おつしや)るのだからなア。252(この)聖地(せいち)(えら)さうにやつて()東助(とうすけ)総務(そうむ)でも、253高姫(たかひめ)でも、254げほうさまでも、255(わか)(とき)如何(どん)(こと)をやつて()やがつたか、256()れたものぢやないぞ。257(うへ)()つて()(もの)(ほど)(みたま)(わる)如何(どう)()うもならぬ(やつ)引寄(ひきよ)せてあるぞよと、258(かみ)さまが仰有(おつしや)るのだからなア』
259虎公(とらこう)『オイ両人(りやうにん)260(あんま)りな(こと)()つちや()けないぞ。261今日(けふ)目出(めで)たい()だから、262(はなし)をするのは()いが、263人身(じんしん)攻撃(こうげき)になるやうな(こと)(つつし)まねばならうまい。264悪言暴語(ののしること)なく、265善言美詞(みやび)言霊(ことたま)(もつ)(あまね)神人(かみがみ)(なご)め、266天地(あめつち)御子(みこ)(うま)()でたる(その)本分(つとめ)(つく)させ(たま)へ……と(あさ)(ゆふ)なに(いの)(ところ)八尋殿(やひろどの)ぢやないか。267チツト場所(ばしよ)(かんが)へて()よ』
268竹公(たけこう)(うへ)()つとる(やつ)は、269何奴(どいつ)此奴(こいつ)もすました(かほ)しやがつて、270(おれ)はゼントルメンだと(ぬか)してゐるが、271(かみ)さまを松魚節(かつをぶし)にして、272(ひと)(ふところ)から銭取奴(ぜにとるめん)だ。273まるで(てい)のよい泥棒(どろばう)だよ。274八尋殿(やひろどの)()いて(あき)れら。275ワツハヽヽヽ』
276安公(やすこう)銭取(ぜにと)(めん)といふ(こと)貴様(きさま)(こと)だ。277衆人(しうじん)環視(くわんし)(なか)で、278猫寅(ねことら)(ふところ)から、279(げん)銭取(ぜにと)(めん)をやつたぢやないか。280(ひと)(こと)だと(おも)うて()つたら、281(みな)(わが)(こと)であるぞよと(かみ)さまの御教(みをしへ)にあるのを貴様(きさま)(おぼ)えて()るか』
282竹公(たけこう)『そんな(ところ)(おれ)(おぼ)える必要(ひつえう)がないのだ。283各自(めいめい)(こころ)相応(さうおう)()れる(をしへ)だから、284(おれ)はおれで()(ところ)があるのだ。285貴様(きさま)貴様(きさま)で、286()()つた筆先(ふでさき)文句(もんく)があるだらう』
287安公(やすこう)『さうだなア、288(おれ)だつて(きら)ひな(ところ)もあれば()きな(ところ)もある。289……(うしとら)金神(こんじん)(あら)はれて……と()(こゑ)()くと、290(にはか)(あたま)(いた)くなりやがるなり……竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)()出神(でのかみ)(あら)はれるぞよ……といふ文句(もんく)になつて()ると、291益々(ますます)気分(きぶん)(わる)くなつて()げて(かへ)りたくなつて(しま)ふワ。292さうだと(おも)ふと……()におちぶれた(もの)(あなど)(こと)はならぬぞよ、293結構(けつこう)なお(かた)()におとしてあるぞよ、294(まこと)人間(にんげん)ほど苦労(くらう)(なが)いぞよ、295(かみ)上下(うへした)運否(うんぷ)のなき(やう)(いた)すぞよ……といふ(てん)になると、296中々(なかなか)()()るね。297()ういふ(ところ)()かされると、298虎公(とらこう)なぞは(あたま)(いた)(くち)だらう。299それだから(その)人々(ひとびと)(こころ)()れる筆先(ふでさき)だと(かみ)(さま)仰有(おつしや)るのだ』
300虎公(とらこう)(おれ)(べつ)にどこが()きだの(きら)ひだのといふ(こと)はない、301(かみ)さまの(をしへ)には無条件(むでうけん)降服(かうふく)だ。302何程(なにほど)人間(にんげん)偉相(えらさう)(かんが)へて()(ところ)(かみ)(さま)のお(ことば)(わか)るものぢやない。303(おれ)変性(へんじやう)男子(なんし)(たい)しても変性(へんじやう)女子(によし)(たい)しても絶対(ぜつたい)服従(ふくじゆう)だ。304無条件(むでうけん)降服(かうふく)だ。305それより()るべき(みち)がないのだからなア』
306安公(やすこう)貴様(きさま)(えら)迷信家(めいしんか)だなア。307筆先(ふでさき)といふものは一々(いちいち)審神(さには)をせなくては、308(なに)もかも、309貴様(きさま)のやうに唐辛(たうがらし)丸呑(まるの)みの議論(ぎろん)ではサツパリ駄目(だめ)だ。310(から)いか(あま)いか(にが)いか、311よくかみ()けるのが、312吾々(われわれ)(つと)めだ』
313竹公(たけこう)『もうゴテゴテいふな、314今日(けふ)目出(めで)たい()だから、315(おれ)()(かく)筆先(ふでさき)有難(ありがた)いことがあるのだ。316……難儀(なんぎ)(もの)(たす)ける精神(せいしん)にならぬと、317(かみ)()かんに(かな)はぬぞよ……といふ(ところ)がある。318(その)筆先(ふでさき)のおかげで、319猫寅(ねことら)今迄(いままで)執着心(しふちやくしん)をスツパリ()てて(しま)つて(おれ)現金(げんきん)(ひやく)(りやう)も、320沢山(たくさん)借金(しやくきん)がある(うへ)に、321くれる(やう)(ぜん)(こころ)立返(たちかへ)りなされたぞよ。322竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)殿(どの)は、323(まこと)(よく)(ふか)(かみ)でありたなれど、324(この)(たび)(うしとら)金神(こんじん)さまが(おもて)(あら)はれ(あそ)ばして、325三千(さんぜん)世界(せかい)をお(かま)(あそ)ばすについて、326乙姫(おとひめ)さまも、327これでは()かぬと()合点(がつてん)(あそ)ばし、328(いま)まで(うみ)(そこ)にためておいた(たから)を、329(のこ)らず(うしとら)金神(こんじん)(さま)にお(わた)(まを)して、330今度(こんど)御用(ごよう)片腕(かたうで)にお()りなされたぞよ。331人民(じんみん)(その)(とほ)り、332(よく)にためて()りて万劫(まんごふ)末代(まつだい)(われ)(もの)だとこばりて()りても、333天地(てんち)(もの)(みな)(かみ)(もの)であるから、334(かみ)(かへ)さねばならぬぞよ。335上下(うへした)運否(うんぷ)のなき()(いた)して、336世界(せかい)人民(じんみん)安心(あんしん)させるぞよ。337(はや)改心(かいしん)(いた)した(もの)(ほど)結構(けつこう)になるぞよ……と()ふお筆先(ふでさき)(おれ)(たち)()つては天来(てんらい)大福音(だいふくいん)だ。338猫寅(ねことら)でさへも竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまになりかけたのだからなア。339ウツフヽヽ、340ボロイボロイこんなボロイ(こと)()にあらうか。341それだから信心(しんじん)(あぢ)(わか)らぬといふのだ』
342 ()得意(とくい)になつて、343ベラベラ(しやべ)つてゐる(ところ)へ、344伊助(いすけ)といふ竹公(たけこう)身内(みうち)(をとこ)345矢庭(やには)(はし)()たり、346馬鹿(ばか)ツ』と大声(たいせい)一喝(いつかつ)347竹公(たけこう)横面(よこづら)をなぐりつけた。
348竹公(たけこう)『アイタヽ、349コリヤ伊助(いすけ)350貴様(きさま)(たれ)(ことわ)つて(おれ)(つら)(なぐ)つたのだ。351()(すけ)ない餓鬼(がき)だ。352(いま)にドツサリ(かね)()つてお(れい)()くから、353さう(おも)へ』
354伊助(いすけ)(はや)くお(れい)()てくれ、355()つて()る』
356()(なが)群集(ぐんしふ)押分(おしわ)(おもて)駆出(かけだ)した。357東助(とうすけ)高座(かうざ)立現(たちあら)はれ、358大声(おほごゑ)張上(はりあ)げて、
359東助(とうすけ)皆様(みなさま)360()苦労(くらう)御座(ござ)いました。361これで宴会(えんくわい)()ぢますから、362一先(ひとま)()退場(たいぢやう)(ねが)ひます』
363宣示(せんじ)した。364数千(すうせん)(にん)人々(ひとびと)東助(とうすけ)(つる)一声(ひとこゑ)に、365神殿(しんでん)(むか)拍手(はくしゆ)再拝(さいはい)し、366(おのおの)上機嫌(じやうきげん)住家(すみか)()して(かへ)()く。
367大正一一・九・一九 旧七・二八 松村真澄録)

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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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