霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 歌垣(うたがき)〔九五四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻 篇:第1篇 筑紫の不知火 よみ:つくしのしらぬい
章:第4章 第34巻 よみ:うたがき 通し章番号:945
口述日:1922(大正11)年09月12日(旧07月21日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
三人は寝つきもならず、岩窟のそばの暗闇の中に端座して世の開けるのを待っていた。すると岩窟の中からウーウーと唸り声が始まり、言霊により黒姫の行為を厳しく戒める声が聞こえてきた。
黒姫は悪神の声だとして岩窟からの声に口応えを始める。芳公は神様の声にさからうものではないと黒姫を諫めるが、黒姫は自分は国治立命様の片腕たる竜宮の乙姫の生き宮だと威張りだす。
芳公と房公は、生き宮はもっと立派な人間だと思ったがだまされたと黒姫に文句をつけ始め、口喧嘩のようになってしまう。
岩窟の声はさらに言霊により黒姫の所業を並べて非難し、改心を迫る。黒姫は気色ばんで、言霊により岩窟の声に対して孫公の作り声だろうと言い返す。
岩窟の声は最後には宣伝歌にて、高山彦が女を作っていると歌い、聖地の伊勢屋の娘といちゃついていると歌うと、何者か忍ばせて岩窟から出て行った。
黒姫はけしからんことを言うと立腹するが、芳公は高姫のローマンスが神界まで聞こえているのでしょうとすっとぼける。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3404
愛善世界社版:42頁 八幡書店版:第6輯 378頁 修補版: 校定版:45頁 普及版:19頁 初版: ページ備考:
001 三人(さんにん)(やみ)(なか)端坐(たんざ)し、002()つきもならず、003()()けるのをもどかしげに()つてゐる。004(たちま)(かたはら)岩窟(がんくつ)より『ウーウー』と(うな)(ごゑ)(はじ)まつた。005()(すで)丑満(うしみつ)(こく)である。006森羅万象(しんらばんしやう)(せき)として(こゑ)なく、007蚯蚓(みみず)鳴声(なきごゑ)さへ(きこ)える(しづ)かさであつた。008そこへ岩窟(がんくつ)(なか)からウーウーと(うな)(ごゑ)(きこ)えて()たのだから、009一層(いつそう)三人(さんにん)(みみ)には(きび)しく感応(こた)へるのであつた。010岩窟(がんくつ)(なか)より何者(なにもの)(こゑ)とも()れず、
011『エヽヽえぐたらしい(ばば)アだの。012折角(せつかく)ここ(まで)()れて()(ちから)になつた孫公(まごこう)途中(とちう)()すてて、013自由(じいう)行動(かうどう)()るとは、014(じつ)にえぐい悪魔(あくま)のやうな精神(せいしん)だ。015(この)()閻魔(えんま)(あら)はれて、016(なんぢ)襟首(えりくび)()(つか)み、017千仭(せんじん)谷間(たにま)(はう)()んでやらうか。
018オヽヽ(おに)大蛇(をろち)曲神(まがかみ)か。019譬方(たとへがた)なき人非人(にんぴにん)020(こひ)暗路(やみぢ)()(まよ)ひ、021はるばる(とし)()つてから、022亜弗利加三界(アフリカさんがい)(まで)023(いぬ)乞食(こじき)(あと)(かぎ)つけたやうにやつて()るとは、024さてもさても見下(みさ)()てたる(ばば)アぢやなア。
025カヽヽ(からす)(やう)(くろ)(かほ)(いた)して、026何程(なにほど)秋波(しうは)(おく)つても、027高山彦(たかやまひこ)見向(みむ)きも(いた)そまいぞや。028かけがへのない大事(だいじ)(をとこ)だと、029(その)(はう)(おも)うて()るだらうが、030高山彦(たかやまひこ)天空海濶(てんくうかいくわつ)031(なんぢ)(ごと)(ばば)アには一瞥(いちべつ)もくれず、032(いた)(ところ)青山(せいざん)あり、033行先(ゆくさき)(わが)()で、034世界(せかい)(をんな)(のこ)らず(わが)(つま)と、035極端(きよくたん)慈善(じぜん)主義(しゆぎ)発揮(はつき)()る、036()(おほ)(をとこ)(あい)を、037独占(どくせん)しようと(おも)つても駄目(だめ)だよ。038(はや)く、039カヽヽ改心(かいしん)(いた)して(かへ)つたがよからうぞ。
040キヽヽ気味(きみ)(わる)(この)谷間(たにあひ)で、041()()かし、042月照彦神(つきてるひこのかみ)散々(さんざん)(あぶら)(しぼ)られて(くる)しむよりも、043一時(いつとき)(はや)自転倒島(おのころじま)立帰(たちかへ)れ。044(かみ)(うそ)(まを)さぬぞよ』
045 黒姫(くろひめ)(くび)(かたむ)(なが)ら……どことはなしに、046最前(さいぜん)孫公(まごこう)(こゑ)()()てゐるなア……と半信半疑(はんしんはんぎ)(ねん)()られてゐる。
047黒姫(くろひめ)『コレコレ、048何者(なにもの)悪戯(いたづら)()らぬが、049(この)(くら)()さに、050そんなせうもない言霊(ことたま)()めて(もら)ひませうかい。051アタ面白(おもしろ)くない、052悪神(あくがみ)さま(まで)が、053高山彦(たかやまひこ)々々々(たかやまひこ)()つて、054(この)黒姫(くろひめ)をからかふのだな。055随分(ずゐぶん)(がら)(わる)厄雑神(やくざがみ)だなア』
056房公(ふさこう)『モシ黒姫(くろひめ)さま、057(まへ)さまはそれだから()かぬと()ふのだ。058神様(かみさま)口答(くちごた)へをするといふ(こと)がありますか』
059黒姫(くろひめ)(だま)つてゐなさい、060子供(こども)口出(くちだ)しする(ところ)ぢやありませぬ。061黒姫(くろひめ)には勿体(もつたい)なくも、062竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(さま)が、063御守護(ごしゆご)(あそ)ばして御座(ござ)るのだから、064天地(てんち)(あひだ)(おそ)るべき(もの)は、065国治立命(くにはるたちのみこと)(さま)(ただ)一方(ひとかた)(ばか)りだ。066(その)()神々(かみがみ)(みな)枝神(えだがみ)さまだ。067(その)国治立命(くにはるたちのみこと)(さま)片腕(かたうで)になつて御働(おはたら)(あそ)ばす竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(さま)の……ヘン生宮(いきみや)御座(ござ)りますぞ。068(なん)(くら)いと()つても、069(あま)見違(みちがひ)をして(もら)ひますまいかい……なア竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(さま)
070房公(ふさこう)『ヘーン、071(なが)らく竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまを()きませなんだが、072一体(いつたい)どこへ()つて御座(ござ)つたのですか』
073黒姫(くろひめ)竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(さま)肉体(にくたい)(すなは)黒姫(くろひめ)だ。074黒姫(くろひめ)(みたま)(すなは)竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(さま)だ。075それが(わか)らぬやうな(こと)で、076三五教(あななひけう)信者(しんじや)()へますか』
077芳公(よしこう)(わし)(また)078竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(さま)はモツト立派(りつぱ)御方(おかた)で、079(その)御神力(ごしんりき)億万分(おくまんぶん)(いち)(ほど)黒姫(くろひめ)(さま)(れい)(うつ)つてゐるのだと(おも)うてゐるのだが、080黒姫(くろひめ)(さま)(みたま)全部(ぜんぶ)竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)()いては、081最早(もはや)乙姫(おとひめ)(さま)尊敬(そんけい)する()がなくなつて(しま)つた。082(なん)阿呆(あはう)らしい、083こんな(こと)なら、084はるばる可愛(かあい)女房子(にようばうこ)()ててここ(まで)()いて()るのだなかつたになア。085孫公(まごこう)はあんな()にあはされて、086くたばるし、087黒姫(くろひめ)さまの(はく)はサツパリ()げるし、088岩窟(がんくつ)(なか)からは怪体(けつたい)(こゑ)がするし、089()追々(おひおひ)()けて()る。090あゝ(これ)(ほど)ガツカリした(こと)があらうか、091……なア房公(ふさこう)092()()けたら、093(まへ)二人(ふたり)孫公(まごこう)(すわ)つてる(ところ)()つて(たす)(おこ)し、094三人(さんにん)(もと)聖地(せいち)(かへ)らうぢやないか。095本当(ほんたう)馬鹿(ばか)らしい()にあうたものだ』
096黒姫(くろひめ)『コレコレ両人(りやうにん)097(まへ)(この)黒姫(くろひめ)をまだ諒解(れうかい)してゐないのだなア。098千変万化(せんぺんばんくわ)099変幻出没(へんげんしゆつぼつ)(きは)まりなき竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(さま)御神力(ごしんりき)御存(ごぞん)じないのだなア。100(そもそ)竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(さま)一朝(いつてう)(とき)()れば、101天地(てんち)(あひだ)(わだかま)り、102風雨雷電(ふううらいでん)(おこ)し、103地震(ぢしん)をゆらし、104大国治立尊(おほくにはるたちのみこと)御神業(ごしんげふ)片腕(かたうで)御立(おた)(あそ)ばすのだ。105今日(こんにち)乙姫(おとひめ)殿(どの)蟄伏(ちつぷく)時代(じだい)だ。106(とき)(いた)らざれば、107蠑螈(いもり)108蚯蚓(みみず)()(ひそ)めて、109所在(あらゆる)天下(てんか)辛酸(しんさん)()め、110救世済民(きうせいさいみん)神業(しんげふ)奉仕(ほうし)してゐるのだよ』
111芳公(よしこう)『ヘーン、112高山彦(たかやまひこ)のハズバンドをはるばる(さが)しに(まは)るのが、113それが救世済民(きうせいさいみん)御神業(ごしんげふ)(まを)すのですか。114(なん)(めう)救世済民(きうせいさいみん)もあつたものですなア』
115黒姫(くろひめ)『エヽ(やかま)しい。116ホヤホヤ信者(しんじや)()(もつ)て、117宣伝使(せんでんし)心中(しんちう)(わか)つて(たま)るものか。118高山彦(たかやまひこ)(さま)因縁(いんねん)身魂(みたま)119(この)身魂(みたま)夫婦(ふうふ)(そろ)はねば、120(たて)(よこ)との仕組(しぐみ)成就(じやうじゆ)しませぬぞや。121それだから、122黒姫(くろひめ)がはるばると高山彦(たかやまひこ)(さま)(たづ)ねて()たのだよ。123男旱(をとこひでり)もない()(なか)に、124高山彦(たかやまひこ)さまの(やう)老人(としより)を、125(こひ)(いろ)で、126どうして()んな(ところ)(まで)(たづ)ねて()(もの)がありませうか。127何程(なにほど)(いろ)(くろ)黒姫(くろひめ)だとて、128ヤツパリ(をんな)(をんな)だ。129()てる(かみ)もあれば(ひろ)(かみ)もあるのだから、130(をとこ)()しければ、131高山(たかやま)さまだなくつても、132沢山(たくさん)にありますぞや。133人民(じんみん)()(もの)(すぐ)そんな(ところ)(こころ)(まは)すから(こま)つて(しま)ふ。134チツとお(まへ)凡夫心(ぼんぷこころ)()てなされ。135大神様(おほかみさま)(わら)つてゐらつしやいますよ。
136(きみ)ならで(たれ)をか()らぬ(わが)(こころ)
137高山彦(たかやまひこ)(つま)()たはし……オツホヽヽヽ』
138房公(ふさこう)『ヘーン、139どないでも理屈(りくつ)はつくものですなア。140イヤもう貴女(あなた)能弁(のうべん)にはサツパリ寒珍(かんちん)(つかまつ)りました。141イヒヽヽヽ』
142 岩窟(がんくつ)(なか)より、
143『イヽヽ(ひろ)筑紫(つくし)(しま)(さが)(とも)
144高山彦(たかやまひこ)(かげ)だにもなし。
145ろうろとそこら(あた)りをうろついて
146しまひの(はて)(ばば)(つか) むなり。
147こがれてここ(まで)(きた)黒姫(くろひめ)
148アフンと(いた)して(あわ)()くなり。
149遠国(んごく)(また)にかけたる黒姫(くろひめ)
150詮方(せんかた)なさに(なみだ)こぼしつ。
151ースタリヤ竜宮島(りうぐうじま)(わた)()
152(たま)()らずに(かへ)(あは)れさ。
153しましき高姫司(たかひめつかさ)(したが)ひて
154竹生(ちくぶ)(しま)(たま)をさがしつ。
155()()れば()(くら)やみの(いは)(まへ)
156(あや)しき(ごゑ)(きこ)()(かな)
157()がりに(なに)()らぬが(もの)()
158狐狸(きつねたぬき)(まよ)黒姫(くろひめ)
159()しからぬ(わる)(こころ)発揮(はつき)して
160孫公(まごこう)さまを見殺(みごろ)しにする。
161今夜(んや)こそ(ひと)(あぶら)()つてやろ
162(ふた)つの(まなこ)白黒姫(しろくろひめ)(かほ)
163てもさても(まよ)()つたる黒姫(くろひめ)
164(こひ)(やみ)をば如何(いか)()らさむ。
165白波(らなみ)押分(おしわ)(きた)四人連(よにんづ)
166黒姫司(くろひめつかさ)口車(くちぐるま)にて。
167タスタと()れの谷間(たにま)(のぼ)()
168黒姫(くろひめ)(つら)(あを)()えけり。
169()(はや)(いは)にせかるる谷川(たにがは)
170(わか)れて(すゑ)にあはれぬとぞ(おも)ふ。
171()()(くも)(なが)めて(おも)ふかな
172高山彦(たかやまひこ)(みね)はいかにと。
173立替(てかへ)ぢや立直(たてなほ)しぢやと其処(そこ)(ぢう)
174()つて(さわ)いだ黒姫(くろひめ)(しり)
175千早振(はやふる)神代(かみよ)()かず黒姫(くろひめ)
176(くろ)(こころ)(かほ)()にけり。
177月照(きてる)(かみ)(みこと)(しづ)まりし
178(この)岩穴(いはあな)(おそ)ろしきかな。
179()()はぬ黒姫(くろひめ)なれど岩窟(がんくつ)
180(かみ)(あし)には()まれてぞ()く。
181コトンの改心(かいしん)出来(でき)るそれ(まで)
182高山彦(たかやまひこ)姿(すがた)()せまい。
183何事(にごと)もおのれの()では()かぬもの
184高姫司(たかひめつかさ)改心(かいしん)()よ。
185西東(しひがし)(きた)(みなみ)(かけ)まはり
186(たま)(さが)した(こころ)(おろ)かさ。
187烏羽玉(ばたま)(やみ)より(くら)黒姫(くろひめ)
188(こころ)(そら)(てら)せたきもの。
189んごろに月照彦(つきてるひこ)()きさとす
190(みち)(かしこ)(まも)三人(みたり)()
191(もと)()ぎて(あつ)さを(わす)るてふ
192黒姫司(くろひめつかさ)(こころ)果敢(はか)なさ。
193()すぎて(なつ)すぎ(あき)夕間(ゆふま)ぐれ
194(ころも)(そで)(つゆ)ぞこぼるる。
195久方(さかた)高天原(たかあまはら)立出(たちい)でて
196つくしの(しま)(なに)をさまよふ。
197サの(くに)北山村(きたやまむら)(やかた)をば
198(あと)(なが)めて黒姫(くろひめ)(そら)
199黒姫(くろひめ)(こころ)(くら)(うち)あけて
200()れば大蛇(をろち)がうごなはりゐる。
201()しからぬ変性女子(へんじやうによし)(おこな)ひを
202(なに)()らずに(ほざ)黒姫(くろひめ)
203屁理屈(りくつ)(あさ)(ゆふ)なにまくし()
204(ひと)(きら)はれ(くに)()()る。
205惚々(れぼれ)高山彦(たかやまひこ)目尻(めじり)()
206(よだれ)をくつた(むかし)(こひ)しき。
207すかがみ()むと(おも)へば黒姫(くろひめ)
208(こころ)(ちり)()(はら)へかし。
209()はここに(こころ)高山彦(たかやまひこ)(まへ)
210(あさ)(ゆふ)なに(かみ)(わす)れて。
211つかしき(その)面付(つらつき)(なん)(こと)
212高山彦(たかやまひこ)(きら)はれぬよに。
213()をあけて(おの)姿(すがた)(かへり)みよ
214高山(たかやま)だとて愛想(あいさう)つかさむ。
215ろもろの(こころ)(つみ)()()して
216(かみ)御前(みまへ)()(なほ)しせよ』
217 黒姫(くろひめ)(やや)景色(けしき)ばみ(なが)ら、218(こゑ)する(かた)(むか)つて、
219やこしい(やみ)(なか)から(こゑ)()して
220(くち)(さわ)がしく(なに)(ほざ)くらむ。
221ろいろと(ひと)欠点(あら)をば(なら)()
222それで()のすむ(やつ)曲神(まがかみ)
223うかうかと()いてはならぬ房公(ふさこう)
224芳公(よしこう)(はら)()(どころ)ぞや。
225幽霊(うれい)のやうに()りとめないことを
226(いは)(かく)れて(ほざ)曲神(まがかみ)
227(さう)月照彦(つきてるひこ)真似(まね)をして
228(さへづ)(やつ)孫公(まごこう)なるらむ。
229()(なか)(おそ)ろしい(もの)はない(ほど)
230おどしの()かぬ黒姫(くろひめ)()れ。
231来年(いねん)のこと()(おに)(わら)(ども)
232(わが)()(すゑ)()()るがよい。
233理屈(くつ)(ばか)(ほざ)(した)こそ達者(たつしや)でも
234()(おこな)ひのそはぬ孫公(まごこう)
235累卵(ゐらん)(あやふ)()とは()らずして
236黒姫(くろひめ)さまを(なぶ)身知(みし)らず。
237恋慕(んぼ)した高山彦(たかやまひこ)のこと(ばか)
238意地(いぢ)くね(わる)孫公(まごこう)()ふ。
239くでない(その)託宣(たくせん)はやめてくれ
240(みみ)がいとなる(はら)()つぞよ』
241 岩窟(がんくつ)(なか)より、242一層(いつそう)(おほ)きな(こゑ)で、
243からない(やつ)黒姫(くろひめ)(ばか)りなり
244(やみ)(まよ)ふも無理(むり)であるまい。
245つまでも(こひ)(とりこ)となり()てて
246此処迄(ここまで)()たか可哀相(かはいさう)(ばば)
247つつにも(ゆめ)にも高山々々(たかやまたかやま)
248(ほざ)言葉(ことば)()くぞうたてき。
249()つた(をとこ)(しり)()ひまはし
250アフンとやせむアフリカの()で。
251大蛇(をろち)(おほかみ)さやぐアフリカの
252荒野(あらの)さまよふ(こひ)(とりこ)が。
253 ウツフヽヽ、イツヒヽヽ
254()れからは月照彦(つきてるひこ)宿(やど)()
255()(みやこ)へと(すす)みゆかなむ。
256黒姫(くろひめ)(むね)()をあて思案(しあん)せよ
257高山彦(たかやまひこ)独身(ひとり)でないぞよ。
258房公(ふさこう)(はや)(こころ)(あらた)めて
259黒姫(くろひめ)さまを(おも)()るべし。
260芳公(よしこう)よよしや天地(てんち)(しづ)(とも)
261黒姫司(くろひめつかさ)()いちやならぬぞ。
262孫公(まごこう)はモウ今頃(いまごろ)()(くに)
263高山彦(たかやまひこ)(そば)にゐるだろ。
264高山彦(たかやまひこ)(かみ)(みこと)黒姫(くろひめ)
265(やう)女房(にようばう)()かれまいぞや。
266淡雪(あはゆき)(わか)やる(むね)をそだたきて
267玉手(たまで)さしまきいねます高山彦(たかやまひこ)
268黒姫(くろひめ)がこんな(ところ)(なが)めたら
269さぞや目玉(めだま)白黒(しろくろ)にせむ。
270まなじりをつけ()(くち)(とが)らして
271鼻息(はないき)あらく(ねつ)()くらむ。
272いざさらば月照彦(つきてるひこ)もこれよりは
273黒姫司(くろひめつかさ)をみすててぞゆく。
274小島別(こじまわけ)教司(をしへつかさ)(その)(むかし)
275あらはれましし岩窟(いはや)(こひ)しき。
276(いにしへ)建日(たけひ)(わけ)御跡(おんあと)
277(あと)にみすてて()くぞ(かな)しき。
278孫公(まごこう)はさぞ今頃(いまごろ)面白(おもしろ)
279可笑(をか)しき(うた)をうたひ()るらむ。
280アハヽヽヽ、オホヽヽヽ、と(わら)ひこけ
281エヘヽヽ、イヒヽ、(いま)ここを()る。
282(やみ)()()かぬ(からす)(こゑ)きけば
283あはれぬ(さき)高山彦(たかやまひこ)(こひ)しき。
284黒姫(くろひめ)がいかに(こころ)(こが)(とも)
285高根(たかね)(はな)手折(たを)られもせず。
286今頃(いまごろ)高山彦(たかやまひこ)聖地(せいち)にて
287伊勢屋(いせや)(むすめ)(さけ)()むらむ。
288如意宝珠(によいほつしゆ)紫玉(むらさきだま)()ふも(さら)
289黄金(こがね)(たま)愛想(あいさう)つかして。
290黒姫(くろひめ)肱鉄砲(ひぢでつぱう)をくはしつつ
291自転倒島(おのころじま)にかくれましけり』
292()つた()り、293足音(あしおと)(しの)ばせ、294何処(どこ)ともなく()きて(しま)ひけり。
295黒姫(くろひめ)『コレ(ふさ)296(よし)両人(りやうにん)297(いま)(うた)()きましたか、298()しからぬ(こと)()ふぢやないかい』
299芳公(よしこう)(なん)だか()りませぬが、300(じつ)感心(かんしん)(うた)でしたよ、301あの(かみ)さまの()つた(とほ)りですもの。302余程(よほど)黒姫(くろひめ)さまも、303神界(しんかい)(まで)ローマンスが(はなし)(たね)になつてるとみえますな、304アツハヽヽヽ』
305黒姫(くろひめ)『オホヽヽヽ』
306大正一一・九・一二 旧七・二一 松村真澄録)