霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 空縁(からえん)〔九五一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻 篇:第2篇 有情無情 よみ:うじょうむじょう
章:第10章 第34巻 よみ:からえん 通し章番号:951
口述日:1922(大正11)年09月13日(旧07月22日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
建野ヶ原の神館は小高い丘の上に建てられており、信徒がひっきりなしに参拝して神徳は四方に輝きわたっていた。
一年前に婿入りし神館の主となった建国別は、黙然として想いにふけり、妻の建能姫の呼びかけにも気が付かないほど悩んでいた。建国別は、自分は今でこそ立派な名をもらって建日別命の後を継いでいるが、幼名は金太郎と言い父母の顔も知らず育ったため、父母に会いたいという執着心にさいなまれているのだと建能姫に明かした。
建能姫は、今日はちょうど建国別が婿入りして神館の後を継いで一年になる吉日のため、夫婦そろって神様にお礼を申し上げ、役員信者にお神酒を饗応しようと提案した。建国別は妻の心遣いに感謝した。
夫婦そろって奏上する祝詞は相和して得も言われぬ風韻が境内に隈なく響き渡った。役員信者たちは今日の祝宴に列して口々に建国別夫婦の高徳を称えあっていた。
そこへ、玉公に案内されて黒姫がやってきた。玉公は門番に、黒姫が建国別の母親かもしれないと告げて、建国別に目通りを願い出た。
建国別は神前での感謝祈願を終わって、建能姫に、自分の両親は立派な宣伝使となって活動しているような感覚を得たので、非常に心が晴れたことを告げていたところであった。
そこへ門番の幾公があわててやってきた。幾公はてっきり黒姫が建国別の母親だと早合点して、注進にきたのであった。建能姫は、まずは自分が黒姫を案内してくるので、その上で面会して真偽を確かめようと言い、幾公に口止めする。あわて者の幾公はすでに幹部の健彦をはじめ、数人に話してしまった後であった。
建能姫は幾公のあわて振りや脱線振りに笑いをこぼしながらも、黒姫に挨拶をなして奥座敷に案内をした。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3410
愛善世界社版:127頁 八幡書店版:第6輯 408頁 修補版: 校定版:133頁 普及版:53頁 初版: ページ備考:
001 建野ケ原(たけのがはら)神館(かむやかた)は、002風景(ふうけい)よき小丘(せうきう)(うへ)小薩張(こざつぱり)として(あたら)しく()てられて()る。003千年(ちとせ)老樹(らうじゆ)004鬱蒼(うつさう)として境内(けいだい)(つつ)み、005(じつ)神々(かうがう)しき地点(ちてん)である。006(まへ)激潭飛沫(げきたんひまつ)()ばす深谷川(ふかたにがは)(よこ)ぎつて()る。007(あさ)から(ばん)(まで)信徒(しんと)参集(さんしふ)する(もの)(きびす)(せつ)し、008(かみ)神徳(しんとく)四方(よも)(かがや)(わた)つて()た。
009 (やかた)(おく)()には建国別(たけくにわけ)宣伝使(せんでんし)脇息(けふそく)(もた)(なが)(ふか)吐息(といき)をついて()る。010(ふすま)をそつと()()け、011()(ぼん)にもつて(しと)やかに(はい)つて()絶世(ぜつせい)美人(びじん)建能姫(たけのひめ)であつた。
012建能姫(たけのひめ)(わが)夫様(つまさま)013(はや)御座(ござ)います。014()()きました、015どうぞ(ひと)()()(くだ)さいませ』
016差出(さしいだ)す。017建能姫(たけのひめ)(こゑ)にも()がつかぬと()え、018()(ふさ)黙念(もくねん)として(なに)冥想(めいさう)(ふけ)つて()る。019建能姫(たけのひめ)(すこ)しく(こゑ)(たか)め、
020建能姫(たけのひめ)『モシモシ(わが)夫様(つまさま)021()()きました、022()()(くだ)さいませ』
023 (この)(こゑ)ハツ()()いたやうな面持(おももち)にて、
024建国別(たけくにわけ)『ヤア其方(そなた)建能姫(たけのひめ)025()()きましたかな、026有難(ありがた)頂戴(ちやうだい)(いた)しませう』
027建能姫(たけのひめ)(わが)夫様(つまさま)028貴方(あなた)(わらは)(うち)にお()(くだ)さいましてから、029恰度(ちやうど)今日(けふ)(まん)一年(いちねん)になります。030(しか)るに(ただ)一度(いちど)(わらは)(たい)御機嫌(ごきげん)のよいお(かほ)()せて(くだ)さつた(こと)御座(ござ)いませぬ。031(わらは)(はじめ)(うち)不束(ふつつか)なもの(ゆゑ)()()さぬかと(ぞん)色々(いろいろ)()()みましたが、032貴方様(あなたさま)はいつも(わらは)可愛(かあい)がつて(くだ)さいますので合点(がてん)()かず、033(なに)(ふか)秘密(ひみつ)がお()りなさるのであらうと、034常々(つねづね)()まぬ(こと)ながら御様子(ごやうす)(うかが)つて()りました。035(しか)(ところ)或夜(あるよ)のお寝言(ねごと)に……父上(ちちうへ)母上(ははうへ)一目(ひとめ)()()い……と仰有(おつしや)つた(こと)(わらは)(みみ)(いま)(のこ)つて()ります。036何卒(どうぞ)女房(にようばう)(わらは)(なん)遠慮(ゑんりよ)もいりませぬから、037ハツキリ仰有(おつしや)つて(くだ)さいませ』
038(おそ)(おそ)()ひかけたるに、039建国別(たけくにわけ)は、
040女房(にようばう)其方(そなた)(かく)して()つて(まこと)()まなかつた。041水臭(みづくさ)(をつと)(うら)んで(くだ)さいますな。042貴女(あなた)由緒(ゆいしよ)ある建日別命(たけひわけのみこと)(さま)御息女(おむすめご)043(この)建国別(たけくにわけ)父母(ふぼ)両親(りやうしん)所在(ありか)(わか)らず、044()して素性(すじやう)如何(いか)なるものか(ちつ)とも見当(けんたう)()れませぬ。045(いま)建日別命(たけひわけのみこと)(さま)(あと)をつぎ、046建国別(たけくにわけ)()立派(りつぱ)()(いただ)き、047(たふと)神様(かみさま)にお(つか)へをして()りますが、048(わたくし)幼時(えうじ)金太郎(きんたろう)()つて(せい)()れず、049(ひと)(ひろ)はれ他人(たにん)(なさけ)によつて、050(やうや)三十五(さんじふご)今日(けふ)(まで)成人(せいじん)して()ました。051(わたくし)父母(ちちはは)はもう今頃(いまごろ)(この)()(いき)()られるか、052(あるひ)(あの)()(ひと)になつて()られるか、053(なん)だか()らぬが、054両親(りやうしん)()()()()いと()執着心(しふちやくしん)がムクムクと(はら)(そこ)より(おこ)つて()て、055いつも()らず()らず(かほ)がふくれ、056不機嫌(ふきげん)(かほ)をお(まへ)()せました。057何卒(どうぞ)()(わる)くして(くだ)さるな』
058建能姫(たけのひめ)勿体(もつたい)ない(なに)(あふ)せられます。059今日(けふ)(あなた)(わが)()()らせられてより(まん)一年(いちねん)吉日(きちにち)060何卒(どうぞ)機嫌(きげん)をお(なほ)(くだ)さつて、061夫婦(ふうふ)(そろ)うて神様(かみさま)にお(れい)申上(まをしあ)げ、062心祝(こころいは)ひに(みな)役員(やくゐん)信者(しんじや)御神酒(おみき)でも饗応(ふれまひ)(まう)しませうか。063神様(かみさま)のお(かげ)貴方(あなた)御両親(ごりやうしん)にキツトお()ひなさる(こと)(いづ)れは御座(ござ)いませう。064何卒(どうぞ)その(やう)落胆(らくたん)せずに、065(いさぎよ)(くら)して(くだ)さいませ』
066建国別(たけくにわけ)『ハイ有難(ありがた)う、067そんなら今日(けふ)機嫌(きげん)よう神様(かみさま)にお(れい)(いた)しませう。068さうして役員(やくゐん)信者(しんじや)御神酒(おみき)(いただ)かしませう』
069 建能姫(たけのひめ)(うれ)()に、070いそいそとして酒宴(しゆえん)用意(ようい)役員(やくゐん)建彦(たけひこ)(めい)ずべく(この)()(さが)つて仕舞(しま)つた。
071 (あと)建国別(たけくにわけ)双手(もろて)()み、072両親(りやうしん)()(うへ)(およ)建能姫(たけのひめ)親切(しんせつ)なる言葉(ことば)感謝(かんしや)(なみだ)()(がた)く、073教服(けうふく)(そで)(とき)ならぬ夕立(ゆふだち)(あめ)()らして()る。074建能姫(たけのひめ)(ふすま)(しづか)(ひら)丁寧(ていねい)両手(りやうて)をつき、075言葉(ことば)(しづか)に、
076建能姫(たけのひめ)(わが)夫様(つまさま)077建彦(たけひこ)今日(けふ)祝宴(しゆくえん)一切(いつさい)(めい)じて()きました。078サア、079(わらは)二人(ふたり)これから神前(しんぜん)へお(れい)(あが)りませう』
080 建国別(たけくにわけ)建能姫(たけのひめ)のやさしき言葉(ことば)満足(まんぞく)(おもて)(てら)しながら神殿(しんでん)(ふか)(すす)()り、081感謝(かんしや)祈願(きぐわん)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)するのであつた。082(たま)(ころば)(ごと)建能姫(たけのひめ)(こゑ)083音吐朗々(おんとらうらう)たる建国別(たけくにわけ)祝詞(のりと)(こゑ)琴瑟(きんしつ)(あひ)調和(てうわ)して、084()()はれぬ風韻(ふうゐん)境内(けいだい)(くま)なく(ひび)(わた)り、085神々(かうがう)しき光景(くわうけい)(あふ)れてゐる。
086 建彦(たけひこ)以下(いか)幹部(かんぶ)役員(やくゐん)(はじ)め、087数多(あまた)老若男女(らうにやくなんによ)早朝(さうてう)より()めかけ、088今日(けふ)祝宴(しゆくえん)(れつ)すべく和気(わき)靄々(あいあい)として、089境内(けいだい)各所(かくしよ)三々五々(さんさんごご)(むれ)をなし、090建国別(たけくにわけ)夫婦(ふうふ)高徳(かうとく)口々(くちぐち)讃歎(さんたん)して()る。091上下一致(しやうかいつち)相和楽(あひわらく)して(あたか)天国(てんごく)浄土(じやうど)(おもむき)(やかた)内外(ないぐわい)十二分(じふにぶん)(あふ)れて()る。092かかる(ところ)表門(おもてもん)(たた)いて()()男女(だんぢよ)二人(ふたり)道者(だうしや)があつた。
093(をんな)『モシモシ、094一寸(ちよつと)(この)(もん)()けて(くだ)さいませぬか。095(わたし)自転倒島(おのころじま)より(まゐ)りました黒姫(くろひめ)(まを)(もの)御座(ござ)います。096()(くに)高山彦(たかやまひこ)宣伝使(せんでんし)女房(にようばう)だと仰有(おつしや)つて(くだ)されば、097建国別(たけくにわけ)(さま)はキツとお()(くだ)さるでせうから……』
098 門番(もんばん)幾公(いくこう)高山彦(たかやまひこ)女房(にようばう)()(こゑ)(おどろ)(あわ)てて表門(おもてもん)をサツと(ひら)いた。099数多(あまた)参詣者(さんけいしや)出入(でいり)する(もん)(よこ)(はう)にある。100(この)(もん)(ただ)建国別(たけくにわけ)個人(こじん)としての住宅(ぢうたく)(もん)であつた。101黒姫(くろひめ)は、
102御苦労(ごくらう)さま』
103()(なが)(この)門内(もんない)(あはただ)しく(すす)()る。104幾公(いくこう)一人(ひとり)(をとこ)(かほ)()て、
105幾公(いくこう)『アヽお(まへ)(たま)さまぢやないか。106どうして(また)このお(かた)御案内(ごあんない)をして()たのだ』
107玉公(たまこう)『チツと合点(がつてん)()かぬ(こと)があるのだ。108ひよつとしたら建国別(たけくにわけ)(さま)(この)(かた)はお()アさまかも()れないよ。109(それ)()(かく)御案内(ごあんない)(まを)したのだ』
110と、111(みみ)(はた)(くち)()他聞(たぶん)(はばか)るやうな面持(おももち)にて(ささや)いて()る。
112幾公(いくこう)『それや大変(たいへん)だ。113今日(けふ)建国別(たけくにわけ)(さま)(おこ)(あそ)ばしてから(まん)一年(いちねん)祝宴(しゆくえん)(ひら)かれてゐる(ところ)だ。114こんな芽出度(めでた)場所(ばしよ)へお(かあ)さまがお(こし)になるとは益々(ますます)もつて芽出度(めでた)(こと)だ。115オイ玉公(たまこう)(まへ)何卒(どうぞ)(しばら)(おれ)(かは)つて門番(もんばん)をして()()れ。116(おれ)はこれから建国別(たけくにわけ)(さま)にこの吉報(きつぱう)注進(ちうしん)して()るから……』
117()()黒姫(くろひめ)()ひつき()く。
118幾公(いくこう)『モシモシ建国別(たけくにわけ)のお(かあ)さま、119ボツボツ()(くだ)さい。120(わたくし)(さき)御主人(ごしゆじん)御注進(ごちうしん)申上(まをしあ)げ、121(むか)へに(まゐ)ります。122何卒(どうぞ)この中門(なかもん)(そば)御苦労(ごくらう)(なが)(しばら)()つて()つて()(くだ)さいませ』
123(はや)くも慌者(あわてもの)幾公(いくこう)は、124建国別(たけくにわけ)母親(ははおや)(かた)(しん)じて仕舞(しま)ひ、125不遠慮(ぶゑんりよ)(おく)()さして(あは)ただしくかけ()んだ。
126 (おく)一間(ひとま)には建国別(たけくにわけ)夫婦(ふうふ)127(むか)()ひとなつて(いはひ)(さけ)()()はして()る。
128建能姫(たけのひめ)(わが)夫様(つまさま)129今日(けふ)(くらゐ)()(なん)となく(うれ)しい(とき)御座(ござ)いませぬなア。130それについても貴方(あなた)御両親様(ごりやうしんさま)(この)(せき)にお(いで)になり、131親子(おやこ)夫婦(ふうふ)()うして(むつま)じう直会(なほらひ)のお神酒(みき)(いただ)くのならば、132何程(なにほど)(うれ)しい(こと)御座(ござ)いませう』
133建国別(たけくにわけ)『あゝさうですなア。134(しか)(わたくし)(いま)神前(しんぜん)御祈願(ごきぐわん)最中(さいちう)135フツと(めう)(かんが)へが(おこ)りました。136(わたくし)両親(りやうしん)はキツト(この)()()きて()神様(かみさま)(ため)立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)となり、137活動(くわつどう)して()られるやうな(かん)(いた)しました。138そうして今日(けふ)(なん)となしに両親(りやうしん)()手蔓(てづる)出来(でき)るやうな気分(きぶん)()いて()て、139(さけ)(あぢ)一層(いつそう)よくなりました』
140建能姫(たけのひめ)(それ)(それ)(なに)よりも(うれ)しい(こと)御座(ござ)います。141キツト神様(かみさま)のお()(あは)せで(まこと)さへ()んで()れば、142御両親様(ごりやうしんさま)御対面(ごたいめん)出来(でき)ませう。143(わらは)一昨年(いつさくねん)両親(りやうしん)(わか)(ちから)(たの)むは(ただ)(わが)()(みこと)ばかり、144そこへ御両親様(ごりやうしんさま)がお()えにならうものなら、145どれ(ほど)(うれ)しい(こと)御座(ござ)いませう。146(わらは)はキツト(うみ)父母(ちちはは)(おも)ひ、147(ちから)(かぎ)孝養(かうやう)(つく)しますから何卒(どうぞ)御安心(ごあんしん)(くだ)さいませ』
148(なみだ)ぐむ。149建国別(たけくにわけ)は、
150『ハイ有難(ありがた)う』
151()つたきり感謝(かんしや)(なみだ)(むせ)び、152無言(むごん)(まま)俯向(うつむ)いて()る。
153 その(ところ)足音(あしおと)(たか)(あは)ただしく()(きた)るは門番(もんばん)幾公(いくこう)であつた。154ガラリと(ふすま)無造作(むざうさ)()きあけ、155片膝(かたひざ)()てたまま()をついて、156ハアハアと(いき)をはづませ、
157幾公(いくこう)『もしもし御主人様(ごしゆじんさま)158大変(たいへん)(こと)出来(でき)ました。159(てん)()となり、160()(てん)になるやうな突発(とつぱつ)事件(じけん)御座(ござ)いますよ』
161 建国別(たけくにわけ)(やや)気色(けしき)ばみ、162(たちま)立膝(たてひざ)となり、
163建国別(たけくにわけ)『お(まへ)門番(もんばん)幾公(いくこう)164大変事(だいへんじ)突発(とつぱつ)したとは何事(なにごと)だ。165(はや)()つて()れないか』
166幾公(いくこう)『ハイ、167大変(たいへん)大変(たいへん)地異(ちい)天変(てんぺん)168()()(あし)()(ところ)()らずと()(よろこ)びが()つて()ました。169目出度(めでた)御座(ござ)います。170御夫婦様(ごふうふさま)(よろこ)びなさいませ。171あゝ(うれ)しい(うれ)しい目出度(めでた)目出度(めでた)いおめでたい』
172()()つて()(あが)り、173キリキリと()うて()せた。174夫婦(ふうふ)合点(がてん)ゆかず、175ヂツと幾公(いくこう)乱舞(らんぶ)見詰(みつ)めて()る。
176幾公(いくこう)『これはこれは御主人様(ごしゆじんさま)177(あま)(うれ)しうて肝腎(かんじん)申上(まをしあ)げる(こと)(わす)れました。178目出度(めでた)(とき)には目出度事(めでたごと)(かさ)なるものですなア、179貴方(あなた)のお(かあ)さまが、180建国別(たけくにわけ)(やかた)此処(ここ)か、181一度(いちど)()ひたいと仰有(おつしや)つて、182(いま)183(むら)玉公(たまこう)案内(あんない)でお()えになりました。184中門(なかもん)(くち)()つて()られますから、185何卒(どうぞ)御夫婦様(ごふうふさま)機嫌(きげん)よくお出迎(でむか)(くだ)さいませ。186(さぞ)(かあ)さまもお(よろこ)びで御座(ござ)いませう』
187 建国別(たけくにわけ)は、
188『ハテナア』
189()つたきり双手(もろて)()(また)もや思案(しあん)(しづ)む。190幾公(いくこう)焦慮(もどかし)さうに、
191幾公(いくこう)『これはしたり御主人様(ごしゆじんさま)192ハテナも(なに)もあつたものですか。193愚図々々(ぐづぐづ)して()られますと、194(かあ)さまが(おこ)つて(かへ)られたら、195それこそつまりませぬ。196(よろこ)びも一緒(いつしよ)(かへ)つて仕舞(しま)ひます。197何卒(どうぞ)(はや)くお出迎(でむか)ひなさつて(くだ)さいませ。198中門(なかもん)(くち)()つて()られますから……』
199建能姫(たけのひめ)御主人様(ごしゆじんさま)200()(かく)貴方(あなた)此処(ここ)()(くだ)さいませ。201(わらは)実否(じつぴ)(しら)べて(まゐ)ります』
202建国別(たけくにわけ)御苦労(ごくらう)だが貴方(あなた)()つて()(くだ)さい、203仮令(たとへ)真偽(しんぎ)(わか)らなくとも御丁寧(ごていねい)(おく)へお(とほ)(まを)しゆつくりと(はなし)(うけたま)はりませう。204可成(なるべく)(ひと)(みみ)()らないやうにして(くだ)さい』
205建能姫(たけのひめ)『ハイ承知(しようち)(いた)しました。206それなら(わらは)がお(むか)ひに(まゐ)ります……これ幾公(いくこう)や、207(まへ)(この)(こと)真偽(しんぎ)(わか)(まで)誰人(だれ)にも()つてはなりませぬよ』
208 幾公(いくこう)(あたま)()きながら、
209幾公(いくこう)『ハイ(しか)(なが)ら、210あまり(うれ)しいので四五人(しごにん)連中(れんちう)(しやべ)つて(しま)ひました。211もう今頃(いまごろ)建彦(たけひこ)幹部(かんぶ)にも(みみ)()り、212やがてお(いはひ)にテクテク()めかけるでせう。213今更(いまさら)口留(くちどめ)する(わけ)にもゆきませず、214どうしませうかなア』
215建能姫(たけのひめ)(なん)とまア()(はや)(をとこ)だなア、216万一(まんいち)人違(ひとちが)ひで、217真実(ほんと)のお(かあ)さまで()かつた(とき)はお(まへ)どうなさる(つも)りかえ』
218幾公(いくこう)真実(ほんと)でも(うそ)でもお(かあ)さまはお(かあ)さまですよ。219(この)幾公(いくこう)だつてお(かあ)さまが()いのだもの、220(からす)がカアカア()(こゑ)()いても(なつ)かしくなるのだから、221(うそ)でも真実(ほんと)でも(かま)ひませぬ。222(かあ)さまと()いてこれがどうしてヂツとして()れませうか』
223建国別(たけくにわけ)『ハヽヽ(こま)つた(をとこ)だなア。224これ幾公(いくこう)225()(ひと)()んでおくれ』
226幾公(いくこう)『お()()んでお(かあ)さまに()げるのですか。227(あま)門口(かどぐち)では失礼(しつれい)ぢやありませぬか。228折角(せつかく)(たづ)ねてお(いで)になつたお(かあ)さまに、229乞食(こじき)(なん)ぞのやうに門口(かどぐち)でお()()げるなんて(ちつ)失礼(しつれい)ぢや御座(ござ)いませぬか』
230建国別(たけくにわけ)(わか)らぬ(をとこ)だなア。231()(わたし)()んでくれと()ふのだよ』
232幾公(いくこう)一寸(ちよつと)()ちなさいませ。233(おや)より(さき)へお()(いただ)くと()ふ、234そんな不道理(ふだうり)(こと)がありますか。235(いま)までは御両親(ごりやうしん)行方(ゆくへ)(わか)らないものだから、236(この)(うち)大将(たいしやう)貴方(あなた)一番(いちばん)(さき)にお()なり御飯(ごはん)なりお(あが)(あそ)ばしたのだが、237もう今日(けふ)となつては長上(めうへ)をさし()いて貴方(あなた)(さき)へお(ちや)()むと()道理(だうり)はありますまい。238そんな(こと)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(つと)まりますか』
239建国別(たけくにわけ)『ヤア、240長々(ながなが)とお(まへ)のお説教(せつけう)(わたし)感心(かんしん)した。241そんならお()(いただ)(こと)だけは(しばら)見合(みあは)して()かう』
242幾公(いくこう)(さすが)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)建国別命(たけくにわけのみこと)(さま)243(もの)道理(だうり)がよく(わか)ります(わい)244さうだから(この)幾公(いくこう)貴方(あなた)抱擁力(ほうようりよく)偉大(ゐだい)なるに平素(へいそ)から感服(かんぷく)して、245門番(もんばん)(あま)んじて(つと)めて()るのです。246これから御免(ごめん)(かうむ)りまして、247(かあ)さまをお(むか)ひに(まゐ)つて()ます……サア建能姫(たけのひめ)(さま)248(はや)くお()でなさいませ。249母様(ははさま)(もん)(そと)(しびれ)()らして()つて被居(いらつしや)いますよ』
250建能姫(たけのひめ)左様(さやう)ならば(わが)夫様(つまさま)251一寸(ちよつと)(むか)へに()つて()ます。252幾公(いくこう)253あまり(しやべ)らないやうにして(くだ)さいや』
254幾公(いくこう)『ハイハイ委細(ゐさい)承知(しようち)(いた)しました。255サア(まゐ)りませう』
256建能姫(たけのひめ)をつき()すやうに(うなが)しながら中門(なかもん)のそば(まで)やつて()た。257幾公(いくこう)中門(なかもん)無造作(むざうさ)にパツと(ひら)き、
258幾公(いくこう)『お(かあ)さま、259(なが)らくお()たせ(いた)しました。260サア何卒(どうぞ)(はい)(くだ)さいませ。261これは建能姫(たけのひめ)()女房(にようばう)御座(ござ)います。262何卒(どうぞ)(じつ)(わが)()のやうに可愛(かあい)がつてやつて(くだ)さいませ。263建能姫(たけのひめ)一寸(ちよつと)()いて()ましたら、264建国別(たけくにわけ)(さま)御両親(ごりやうしん)()えたら、265(うみ)父母(ちちはは)のやうに(おも)うて孝養(かうやう)()くすと()うてくれました。266何卒(どうぞ)気兼(きがね)()らぬから(わが)()(うち)(かへ)つたと(おも)うて、267気楽(きらく)にお(はい)(くだ)さいませ』
268建能姫(たけのひめ)『これこれ幾公(いくこう)269(まへ)それは(なに)()ふのですか』
270幾公(いくこう)『ハイ、271(わたし)御主人(ごしゆじん)(かは)りに(まゐ)つたのですから、272一寸(ちよつと)代弁(だいべん)(いた)しました。273これ建能姫(たけのひめ)殿(どの)274(はや)くお(かあ)さまに御挨拶(ごあいさつ)をしやいのう』
275建能姫(たけのひめ)『ホヽヽヽヽ、276仕方(しかた)のない(をとこ)だなア……もしもし(たび)のお(かた)(さま)277よう(この)破家(あばらや)をお(たづ)(くだ)さいました。278内密(ないみつ)にお(うかが)ひしたい(こと)御座(ござ)いますから、279何卒(どうぞ)(はい)(くだ)さいませ』
280黒姫(くろひめ)『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います。281(わたくし)筑紫ケ岳(つくしがだけ)高山峠(たかやまたうげ)(いただ)きで、282一寸(ちよつと)此方(こちら)御主人(ごしゆじん)(こと)(うけたま)はり、283(すこ)(ばか)(こころ)(あた)(こと)御座(ござ)いまして、284()(くに)(みやこ)(まゐ)ります途中(とちう)285(この)(むら)玉公(たまこう)()ふお(かた)案内(あんない)されてお邪魔(じやま)(いた)しました。286左様(さやう)なら遠慮(ゑんりよ)なう(とほ)らして(いただ)きませう』
287建能姫(たけのひめ)(したが)つて(おく)姿(すがた)をかくす。
288幾公(いくこう)『まア(なん)上流(じやうりう)社会(しやくわい)挨拶(あいさつ)()ふものは七面倒(しちめんだう)(くさ)いものだなア。289(おれ)だつたら出遇(であ)(がしら)に……ヤアお(まへ)は、290ヤア、291貴方(あなた)(わが)(つま)建国別(たけくにわけ)さまのお(かあ)さまであつたか、292ヤアお(まへ)嫁御(よめご)であつたか、293(おも)はぬ(ところ)()ひました。294(かあ)さま、295嫁女(よめぢよ)などと()()(ばや)名乗(なの)つて(しま)ふのだがなア。296まだこれから(おく)へいつて徳利(とくり)()めた味噌(みそ)(ほじく)りだすやうな辛気臭(しんきくさ)掛合(かけあひ)(はじ)まるのであらう、297繁文縟礼(はんぶんじよくれい)()簡明(かんめい)(たふと)()(なか)に、298サテモサテモ上流(じやうりう)家庭(かてい)()ふものはどこ(まで)旧套(きうたう)(だつ)()ないものと()える(わい)
299大正一一・九・一三 旧七・二二 加藤明子録)
   
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