霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一八章 三人塚(さんにんづか)〔九五九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻 篇:第3篇 峠の達引 よみ:とうげのたてひき
章:第18章 第34巻 よみ:さんにんづか 通し章番号:959
口述日:1922(大正11)年09月14日(旧07月23日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
そこへ通りかかった宣伝使は孫公であった。孫公は大蛇の三公の一味が三人を縛って打ちかかっている惨状を目にし、木陰から大音声に呼ばわった。孫公は、筑紫の島の神司・高山彦の名を借りて、一味を驚かそうとしたが、樹上に潜んでいた子分たちに見破られてしまう。
孫公も一味に打倒されて、同じく縛られてしまった。日が落ちて暗闇になったのを幸い、お梅はどこかへ逃げてしまっていた。
三公と子分の与三公は、さらにお愛に気を変えるように迫るが、お愛はまったく相手にせず、自分を早く殺して他の者たちは助けるようにと答え、三公を激しくののしった。三公は怒ってお愛をなぐり殺してしまった。
三公は子分たちに下知して深い穴を掘り、三人を埋めて地固めをし、上にたくさんの石を乗せてしまった。三公は高笑いをし、子分たちを引き連れてその場を去った。
闇に隠れて様子をうかがっていたお梅はこわごわ近寄ってきて、三人を埋めた塚を掘り起こそうと上に乗せられた石をどかそうとしたが、石は重くびくとも動かなかった。お梅はその場に泣き崩れてしまった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3418
愛善世界社版:228頁 八幡書店版:第6輯 444頁 修補版: 校定版:238頁 普及版:99頁 初版: ページ備考:
001孫公(まごこう)(かみ)(おもて)(あら)はれて
002(ぜん)(あく)とを()()ける
003醜女(しこめ)探女(さぐめ)(おに)大蛇(をろち)
004(とら)(おほかみ)()(たけ)
005(いきほひ)(たけ)()めくとも
006などか(おそ)れむ敷島(しきしま)
007(まこと)(みち)神司(かむつかさ)
008(よわ)きを(たす)(つよ)きをば
009言向(ことむ)(やは)神業(かむわざ)
010(つか)ふる()こそ(たの)しけれ
011(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
012(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
013(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
014直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
015()(なほ)()(その)(とき)
016(あめ)(した)なるもろもろは
017(のこ)らず(われ)味方(みかた)のみ
018(あだ)曲津(まがつ)(たちま)ちに
019(あさひ)(つゆ)()えて()
020三千世界(さんぜんせかい)(うめ)(はな)
021一度(いちど)(ひら)(かみ)(みち)
022(この)()(すく)生神(いきがみ)
023国治立大神(くにはるたちのおほかみ)
024神素盞嗚大御神(かむすさのをのおほみかみ)
025筑紫(つくし)(しま)(まも)ります
026国魂神(くにたまがみ)純世姫(すみよひめ)
027(かみ)御稜威(みいづ)(あら)はれて
028常世(とこよ)(どろ)もすみ(わた)
029朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
030(つき)()つとも()くるとも
031曲津(まがつ)如何(いか)(たけ)るとも
032(まこと)(ちから)()(すく)
033黒姫(くろひめ)さまの一行(いつかう)
034(いま)はいづこにさまよふか
035()かま()しやと()()れば
036片方(かたへ)(もり)(ひと)(こゑ)
037唯事(ただごと)ならぬ気配(けはい)なり
038あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
039御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましまして
040(この)()(なか)人々(ひとびと)
041(たがひ)(まこと)(つく)しあひ
042(あい)(あい)され末長(すゑなが)
043(かみ)(つく)りし(かみ)()
044常世(とこよ)(はる)(たの)しみて
045(さか)えと(ひかり)(よろこ)びの
046(あめ)(よく)させたまへかし
047あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
048御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
049 かく宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら、050(あや)しき人声(ひとごゑ)()きつけて、051唯事(ただごと)ならじと()けて()たのは孫公(まごこう)であつた。052孫公(まごこう)は、053大蛇(をろち)三公(さんこう)手下(てした)(ども)数十人(すうじふにん)(あつ)まつて二人(ふたり)男女(だんぢよ)(しば)()げ、054()つ、055()る、056(なぐ)るの大惨状(だいさんじやう)()るより(はや)く、057夕暮(ゆふぐれ)(さいは)木蔭(こかげ)(たたず)んで大音声(だいおんじやう)
058孫公(まごこう)『ヤアヤア、059(この)(はう)()国都(くにみやこ)高山彦命(たかやまひこのみこと)であるぞ。060(この)森林(しんりん)(わか)(をんな)()(きた)り、061乱暴(らんばう)(いた)曲者(くせもの)062(いま)高山彦(たかやまひこ)神力(しんりき)によつて()(ほろ)ぼし()れむ。063どうだ、064改心(かいしん)(いた)してそれなる男女(だんぢよ)(たす)け、065(この)()()()らばよし、066()かぬに(おい)ては、067神変(しんぺん)不思議(ふしぎ)神力(しんりき)によつて、068(その)(はう)(ども)一人(ひとり)(のこ)さず冥途(めいど)旅立(たびだ)ちをなさしめむ。069どうだ返答(へんたふ)()かせ!』
070 (この)(とき)(くす)樹上(じゆじやう)より、071五六人(ごろくにん)(こゑ)
072『ヤイ何処(どこ)(やつ)かは()らね(ども)073高山彦(たかやまひこ)とは真赤(まつか)(いつは)りだらう。074(つら)()げい!』
075呶鳴(どな)りつけた。076(この)(こゑ)(とも)孫公(まごこう)はフト樹上(じゆじやう)見上(みあ)げる一刹那(いちせつな)077孫公(まごこう)両眼(りやうがん)めがけて()(うへ)より(すな)(つか)んで()げつけた。078孫公(まごこう)両眼(りやうがん)(すな)をかけられ『アツ』と一声(ひとこえ)(その)()(しやが)()(こす)つて()る。079(その)(すき)をねらつて、080与三公(よさこう)矢庭(やには)(くび)(なは)()きかけ、081二三間(にさんげん)ばかり(ひき)ずり()した。082孫公(まごこう)(あま)りの不意打(ふいう)ちに(きも)をつぶし手足(てあし)藻掻(もが)いてゐる。083そこへ数多(あまた)手下(てした)はバラバラと()(たか)り、084孫公(まごこう)高手(たかて)小手(こて)(いまし)めて仕舞(しま)つた。
085 ()(やうや)地平線下(ちへいせんか)(ぼつ)四辺(あたり)烏羽玉(うばたま)(やみ)(つつ)まれて仕舞(しま)つた。086(うめ)(やみ)(まぎ)れて(から)うじて(この)()()()し、087いづくともなく姿(すがた)(かく)して仕舞(しま)つた。
088三公(さんこう)『アハヽヽヽ、089いらざる邪魔立(じやまだて)(いた)して(この)醜態(ざま)(なん)(こと)だ。090()国都(くにみやこ)高山彦(たかやまひこ)とはそれや(なに)(ぬか)す。091(この)(はう)(なん)心得(こころえ)()るか。092大蛇(をろち)三公(さんこう)()つたら()(くに)()(わた)侠客(けふかく)大親分(おほおやぶん)だ。093いらぬ(かま)(だて)(いた)し、094()んで()()(なつ)(むし)095(じつ)(あは)れな(もの)だなア……オイ与三公(よさこう)096此奴(こいつ)をたたんで仕舞(しま)へ!』
097与三(よさ)『ハイ、098()うやつて(いまし)めて()けば()げる気遣(きづか)ひはありませぬから、099マア(ゆつ)くりと嬲殺(なぶりごろ)しにしてやりませうかい。100それよりも第一(だいいち)(あい)(やつ)101もう一談判(ひとだんぱん)して、102親分(おやぶん)()(でう)につくやうにしてはどうですか』
103三公(さんこう)『こんな(こと)(おれ)から直接(ちよくせつ)()ふのも(ちつ)()()かねえから、104能弁(のうべん)のお(まへ)(まか)す。105(うま)くやつて()れ。106(その)(かは)褒美(ほうび)幾何(いくら)でも(つか)はすから……』
107与三(よさ)『ヘイ承知(しようち)(いた)しました。108(なん)()うてもウン()はせて()ます。109(しか)しかう(くら)くてなつては(かほ)(ろく)()えませぬから……オイ勘州(かんしう)110灯火()をつけい……親分(おやぶん)安心(あんしん)して(くだ)さいませ』
111()(なが)ら、112(あい)(そば)(さぐ)(さぐ)近寄(ちかよ)つた。113勘州(かんしう)(もり)枯木(かれき)(あつ)め、114()()()してパツとつけた。115四辺(あたり)(たちま)(ひる)(ごと)くなつて()た。116沢山(たくさん)乾児(こぶん)枯枝(かれえだ)()()()(あつ)めて(やま)のやうに()んだ。117()益々(ますます)()(あが)り、118四辺(あたり)(ひる)(ごと)くなつて仕舞(しま)つた。
119与三(よさ)『これこれお(あい)さま、120どうだな。121もう思案(しあん)()きましたかなア。122よもやこれだけ威勢(ゐせい)(つよ)三公(さんこう)さまを(をつと)にもつのを(いや)とは()ひますまいねえ』
123(あい)『エヽ(けが)らはしい(また)しても(また)してもそんな(こと)()うてお()れるな。124(たれ)(この)(やう)悪人(あくにん)(なび)くものがありますかい。125(ちつ)三公(さんこう)(つら)御相談(ごさうだん)なさいませ。126仮令(たとへ)乾児(こぶん)(すくな)うても、127武野村(たけのむら)侠客(けふかく)虎公(とらこう)さまと()つたら、128界隈(かいわい)()(ひび)いた、129(ぜん)(すす)(あく)(いまし)め、130(よわ)きを(たす)(つよ)きを(くじ)侠客(けふかく)だ。131(この)(あい)(やせ)てもこけても虎公(とらこう)さまの女房(にようばう)だ……()やと()ふのにお(まへ)(くど)い、132一度(いちど)いやなら何時(いつ)もいや……と()都々逸(どどいつ)文句(もんく)ぢやないが(はらわた)まで()()んだこの(きら)いが、133どうして(あら)ひさらはるものか。134そんな(こと)いつ(まで)()()つて()るよりも(はや)(ころ)しなさい。135牛糞(うしぐそ)()のついたやうに、136クスクス(らち)()かぬ野郎(やらう)だなア』
137与三(よさ)『オイお(あい)姐貴(あねき)138ほんとに(ふと)度胸(どきよう)だなア。139(おれ)もすつかり感服(かんぷく)して仕舞(しま)つた。140こんな姐貴(あねき)親分(おやぶん)にもつた乾児(こぶん)(ども)幸福(しあはせ)(こと)だらう。141(おれ)(おな)(こと)ならこんな親分(おやぶん)()ちてえワ』
142三公(さんこう)『これやこれや与三(よさ)143それや(なに)()ふのだ』
144与三(よさ)『ヘイ、145うつかりと(こころ)(むな)しうして()たものだから、146兼公(かねこう)生霊(いきりやう)()147与三公(よさこう)肉体(にくたい)(はい)りやがつて、148こんな(こと)(ぬか)しやがるのです。149イヤもう(こま)つた野郎(やらう)でげすわい』
150三公(さんこう)(これ)から(ちつ)()をつけないと、151悪魔(あくま)憑依(ひようい)されて(たちま)兼公(かねこう)のやうに心機一転(しんきいつてん)し、152こんな()()はなければならないぞ』
153与三(よさ)『ハイ承知(しようち)(いた)しました。154今後(こんご)はキツと注意(ちゆうい)(いた)します。155(とき)親分(おやぶん)156此処(ここ)()よつた高山彦(たかやまひこ)()餓鬼(がき)一体(いつてい)どこの(やつ)でせう』
157三公(さんこう)『どこの(やつ)でも(かま)やしねえ。158(たた)()ばして()めて仕舞(しま)へばいいのだ。159兼公(かねこう)(ついで)()めてやれ』
160与三(よさ)『モシ親分(おやぶん)161兼公(かねこう)(だけ)(ゆる)してやつて(くだ)さいな。162彼奴(あいつ)中々(なかなか)親分(おやぶん)(ため)には(かげ)になり日向(ひなた)になり、163(ちから)(つく)した(やつ)ですからなア。164親分(おやぶん)がこれだけ(かほ)()れたのも、165兼公(かねこう)斡旋(あつせん)(あづか)つて(おほい)(ちから)ありと()つても(よろ)しい』
166 兼公(かねこう)(この)問答(もんだふ)()き、167手足(てあし)(しば)られた(まま)(こゑ)をかけ、
168『モシ親分(おやぶん)169(この)(なは)()いて(くだ)さい。170最前(さいぜん)大変(たいへん)にお(はら)()てさせましたが、171あれや(わつち)()つたのぢやない、172虎公(とらこう)生霊(いきりやう)()がフイと(うつ)りやがつて、173(わつち)(くち)()り、174あんな(こと)()つたのですよ。175(わつち)真実(ほんと)迷惑(めいわく)でげす』
176与三(よさ)兼公(かねこう)177()がついたか。178アヽ結構(けつこう)々々(けつこう)179(しつか)りせないと(また)180虎公(とらこう)(れい)()かれるぞ。181なア親分(おやぶん)さま、182兼公(かねこう)(なは)()いてやりませうか』
183三公(さんこう)『マア()()て、184さう(あわて)るにや(およ)ばない。185それよりも、186(はや)くお(あい)結局(けつきよく)(はなし)()めさせて()れ、187それが第一(だいいち)目的(もくてき)だから……』
188兼公(かねこう)『オイ与三公(よさこう)189貴様(きさま)一人(ひとり)ぢや覚束(おぼつか)ないぞ。190(おれ)加勢(かせい)をしてやるから、191(はや)(この)(なは)()けい』
192三公(さんこう)『オイ与三(よさ)193(おれ)命令(めいれい)(くだ)(まで)(けつ)して()いちやならぬぞ。194此奴(こいつ)はどうしても二心(ふたごころ)だから、195()つとも油断(ゆだん)出来(でき)やしねえ』
196与三(よさ)『オイ兼公(かねこう)197貴様(きさま)()(とほ)りだ、198親分(おやぶん)()(とほ)りだ、199(おれ)(この)(とほ)りだ。200仕方(しかた)がねえや、201まア(しばら)其処(そこ)辛抱(しんばう)するがよい』
202三公(さんこう)『オイ与三公(よさこう)203(うめ)阿魔(あま)ツちよが()らぬぢやねえか。204彼奴(あいつ)()げられちや大変(たいへん)だぞ』
205与三(よさ)『ヤア如何(いか)にもお(うめ)(やつ)206いつの()(かぜ)(くら)つて()げよつたのかな。207(なん)機敏(すばしこ)いやつだなア。208彼奴(あいつ)(この)(こと)虎公(とらこう)にでも報告(はうこく)しようものなら(それ)こそ大変(たいへん)だ。209オイ乾児(こぶん)奴等(やつら)210(はや)くお(うめ)(あと)()つかけて(さが)して()い』
211勘公(かんこう)(はな)(つま)まれても(わか)らねえやうな、212(しん)(やみ)(さが)しに()つたつて(わか)りませうか。213此処(ここ)には()があるから足許(あしもと)()えるが、214一町(いつちやう)(さき)真闇(まつくら)がりだ。215明朝(あす)(こと)にしたらどうでげせうな』
216与三(よさ)『それもさうだ。217仕方(しかた)がねえなア。218もし親分(おやぶん)さま、219明朝(あす)(ゆつ)くり(さが)(こと)にしませうか。220虎公(とらこう)野郎(やらう)も、221(ろく)があれだけの手下(てした)()れて()つたのだから、222もう今頃(いまごろ)寂滅為楽(じやくめつゐらく)になつて()るのは(かがみ)にかけて()るやうなものでげせう。223虎公(とらこう)なんぞに気遣(きづかひ)はいりますまい』
224三公(さんこう)『いやいや、225彼奴(あいつ)中々(なかなか)強者(しれもの)だ。226さう闇々(やみやみ)(くた)ばりもしよまい。227(あま)楽観(らくくわん)出来(でき)まいぞ。228(しか)(なが)(この)暗夜(やみよ)では仕方(しかた)()い。229まアまア明朝(あす)(こと)にしたがよからう』
230(あい)『コラ三公(さんこう)231与三公(よさこう)232(なに)愚図々々(ぐづぐづ)して()るのだ。233(はや)(この)(あい)片付(かたづ)けないか。234辛気臭(しんきくさ)いワイ。235(その)(かは)りに(いま)其処(そこ)()えた高山彦(たかやまひこ)さまとやらを(たす)けてやつて()れ。236()つとも関係(くわんけい)ない(ひと)だから()(どく)(たま)らねえから……』
237与三(よさ)『エイ、238(あい)さま、239他人(ひと)(こと)ども()(どころ)ぢやあるまいぞ。240(まへ)さま生死(せいし)(さかひ)()つて()て、241そんな気楽(きらく)(こと)()つて()れるものかい』
242(あい)『ホヽヽヽヽこれ与三(よさ)(なに)(はう)けた(こと)()ふのだい。243生死一如(せいしいちによ)(この)肉体(にくたい)仮令(たとへ)(とら)(おほかみ)餌食(ゑじき)にならうとも、244肝腎要(かんじんかなめ)のお(あい)さまの御魂(みたま)は、245万劫末代(まんがふまつだい)生通(いきどほ)しだ。246(はや)(ころ)しなさい。247その(かは)幽冥界(いうめいかい)()つたら数多(あまた)亡者(まうじや)手下(てした)使(つか)餓鬼(がき)人数(にんず)(うち)248沢山(たくさん)乾児(こぶん)()()れてお(まへ)さまの生首(なまくび)(もら)ひに()るから、249それを(たの)しみに(はや)くお(あい)をやつつけて仕舞(しま)ひなさい』
250与三(よさ)『もし親分(おやぶん)251どうにもかうにも()りつく(しま)がありませぬわ。252(いのち)()ててかかつとる(をんな)何程(なにほど)脅喝(おどし)文句(もんく)(なら)べても豆腐(とうふ)(かすがひ)(ぬか)(くぎ)だ。253どうしませうかなア』
254三公(さんこう)可愛(かあい)さうなものだが仕方(しかた)がない。255(おも)()つて(やつ)つけて仕舞(しま)へ』
256(あい)『これ三公(さんこう)257()いて(くだ)さい。258可愛(かあい)さうなものだなんて、259(なん)とした弱音(よわね)()くのだい。260(この)(あい)はお(まへ)のやうな悪垂男(あくたれをとこ)に、261可愛(かあい)さうだなんてそんな(けが)らはしい(こと)()はれると、262小癪(こしやく)(さは)つてならないのだよ。263虎公(とらこう)さまがいつもいつも可愛(かあい)(をんな)だと、264連発的(れんぱつてき)()つて(くだ)さるのだから、265ヘン、266そんな馬鹿口(ばかぐち)はやめて(くだ)さい。267それよりも侠客(けふかく)()つてゆかうと(おも)へば、268もつと()(つよ)()たねえと駄目(だめ)だよ。269(あく)なら(あく)徹底的(てつていてき)(あく)をやつたが()い。270改心(かいしん)をして(ぜん)()(かへ)るのなら善一筋(ぜんひとすぢ)(おこな)ひなさい。271それが(をとこ)たるものの本分(ほんぶん)だ。272気骨(きこつ)もなければ度胸(どきよう)もない空威張(からゐば)りの贋侠客(にせけふかく)が、273こんな(だい)それた謀反(むほん)(おこ)すとはちつと(がら)()ふめえよ』
274三公(さんこう)()はして()けばどこ(まで)()()悪垂女(あくたれおんな)()!』
275()ひながら、276拳骨(げんこつ)(かた)めて滅多(めつた)矢鱈(やたら)()()ゑる。277(あい)()たれたまま(いた)いとも(かゆ)いとも()はず黙言(だま)つて縡切(ことぎ)れて仕舞(しま)つた。
278与三(よさ)『もし親分(おやぶん)279とうとう(くたば)つて仕舞(しま)ひましたよ。280()しい(こと)をしたものですな』
281三公(さんこう)(なに)()しくても仕方(しかた)がない。282他人(たにん)(はな)(なが)めるよりも、283三公嵐(さんこうあらし)()いて無残(むざん)()らした(はう)が、284未練(みれん)(のこ)らなくていいわ。285オイ愚図々々(ぐづぐづ)して()ると(なに)()()すか()れやしないぞ。286(ついで)(いま)()(やつ)兼公(かねこう)も、287(いき)()()めて(あな)でも()つて()けて仕舞(しま)へ』
288 与三公(よさこう)はお(あい)(からだ)()でて()て、
289与三(よさ)『ヤアまだ(ぬくみ)がある。290(なん)()(はだ)だな。291まるで()きたての(もち)のやうだ。292虎公(とらこう)()れやがつたのも無理(むり)はない。293親分(おやぶん)一寸(ちよつと)()()なさい。294(この)()名残(なごり)にお(あい)(はだ)(ひと)()でて()たらどうですか。295(あま)(わる)気持(きもち)もしませぬぞ』
296三公(さんこう)馬鹿(ばか)()ふな(はや)(かね)(たび)(やつ)とを()けて仕舞(しま)へ。297オイ(みな)乾児(こぶん)(ども)此処(ここ)(あな)()れ』
298下知(げち)する。299勘州(かんしう)(はじ)数多(あまた)乾児(こぶん)(ども)は、300(たづさ)へて()色々(いろいろ)得物(えもの)をもつて(つち)()三人(さんにん)(しば)つた(からだ)(あな)(なか)(はう)()み、301(うへ)から(つち)をきせ、302()つて(たか)つて(あし)でどんどんと地固(ぢがた)めをし、303(その)(うへ)沢山(たくさん)(いし)(ひろ)つて()()(かさ)ねて仕舞(しま)つた。
304三公(さんこう)『アハヽヽヽとうとう三人(さんにん)とも果敢(はか)ない(こと)になつて仕舞(しま)つた。305オイ(みな)(やつ)306(みづ)でも手向(たむ)けてやれ。307(みづ)()ければ貴様(きさま)燗徳利(かんとつくり)から小便(せうべん)でも()して手向(たむ)けるのだな。308アハヽヽヽ』
309豪傑(がうけつ)(わら)ひをして()せる。310数多(あまた)乾児(こぶん)各自(めいめい)(すそ)()きまくり、311()つて(たか)つて小便(せうべん)()れかける。
312三公(さんこう)『これでまアお(あい)成仏(じやうぶつ)するだらう。313オイお(あい)314貴様(きさま)残念(ざんねん)だらうが、315かうなるも前世(ぜんせ)からの因縁(いんねん)だと(あきらめ)てくれい。316冥途(めいど)()つて虎公(とらこう)()つたら……大蛇(をろち)三公(さんこう)御壮健(ごさうけん)(はしや)いで御座(ござ)る……と伝言(でんごん)をしてくれえ。317一人旅(ひとりたび)()(どく)だと(おも)つて、318(おれ)乾児(こぶん)兼公(かねこう)風来(ふうらい)旅人(たびびと)をお(まへ)途連(みちづ)れにつけてやる。319これがせめてもの(おれ)がお(まへ)(たい)する好意(かうい)だ。320きつと冥途(めいど)()つて三公(さんこう)(うら)んではならないぞ。321南無(なむ)(あい)頓生菩提(とんしやうぼだい)322モウかうなつては(たれ)だつて(なん)法蓮華経(ほふれんげきやう)だ。323オイ与三公(よさこう)324()えらうぢやないか』
325(さき)()ち、326(やみ)(まぎ)れて乾児(こぶん)()()れ、327心地(ここち)よげに(この)()()()つて仕舞(しま)つた。
328 最前(さいぜん)から(やみ)(かく)れて(ふる)(ふる)(この)様子(やうす)()()たお(うめ)は、329四辺(あたり)(ひと)なきを見済(みす)まし、330怖々(こわごわ)(この)()(ちか)よつて()た。331まだ(たきぎ)()えて()る。332その()三人(さんにん)(うづ)めた(つか)はハツキリと(わか)る。333(うめ)一生懸命(いつしやうけんめい)(いし)()()けて(すく)()さうとすれども、334荒男(あらをとこ)四五人(しごにん)もよつて(かつ)いで()(おも)(いし)335()せどもつけどもビクとも(うご)かばこそ、336(つひ)には(ちから)()(もろ)くも(その)()()(たふ)れて仕舞(しま)つた。
337大正一一・九・一四 旧七・二三 加藤明子録)
   
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