霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 玉卜(たまうらなひ)〔九六一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻 篇:第3篇 峠の達引 よみ:とうげのたてひき
章:第20章 玉卜 よみ:たまうらない 通し章番号:961
口述日:1922(大正11)年09月14日(旧07月23日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
建日館の奥の間では、建日別と建能姫が、黒姫の子供を思う真心に感じて讃え、また心配していた。また建日別は、建能姫の諭しにより、自分の両親探しについても神様の御心に任せようと決心をあらわした。
そこへ虎公と玉公が子分たちを連れて、建日別と建能姫に別れの挨拶にやってきた。建国別はもっとゆっくりしていくようにと言うが、玉公の所持する水晶玉の変異により、虎公は留守に不安を感じているからと別れを告げた。
建日別は何事もないように神前に祈願をしておくからと虎公たちに言葉をかけた。一同は建日別の心に感謝して館を去った。
虎公は、玉公とその他三人を連れて駆け出した。足拍子を取りながら、留守宅の不安を宣伝歌に歌いながら息をはずませて帰って行く。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:253頁 八幡書店版:第6輯 454頁 修補版: 校定版:264頁 普及版:111頁 初版: ページ備考:
001 建日(たけひ)(やかた)(おく)()には(あるじ)建国別(たけくにわけ)002(つま)建能姫(たけのひめ)差向(さしむか)ひとなつて、003ヒソビソと(はなし)(ふけ)つてゐる。
004建能姫(たけのひめ)御主人様(ごしゆじんさま)005今日(けふ)意外(いぐわい)なお(きやく)さまでごさいましたが、006あの黒姫(くろひめ)(さま)といふお(かた)随分(ずゐぶん)御苦労(ごくらう)(あそ)ばした(やう)御座(ござ)いますなア。007どこともなしに(おも)やつれをなさつてゐらられた(ところ)()れば、008余程(よほど)息子(むすこ)さまの(こと)(つい)て、009()をもませられたと()えまするなア』
010建国別(たけくにわけ)『さうですなア、011(しか)(なが)(おや)()ふものは有難(ありがた)いものです。012(わたくし)()しや自分(じぶん)()ではあるまいかとワザワザ()つて(くだ)さつた(その)(こころざし)は、013本当(ほんたう)(きよ)(うつく)しい慈愛(じあい)(こも)つて()ります。014(わたくし)両親(りやうしん)(この)()達者(たつしや)でゐられたならば、015あの黒姫(くろひめ)(さま)(やう)慈愛(じあい)(こころ)(もつ)て、016(さが)してゐらつしやるでせう。017()れを(おも)へば神様(かみさま)(おや)(おん)有難(ありがた)くて(なみだ)がこぼれます。018あゝ(わたくし)両親(りやうしん)はどこに如何(どう)して御座(ござ)るやら、019(わたくし)両親(りやうしん)()ひたい(ばか)りで、020神様(かみさま)(しん)じ、021今日(こんにち)(この)(やう)結構(けつこう)宣伝使(せんでんし)仕上(しあ)げて(いただ)きました。022もしも(わたくし)歴乎(れつき)とした両親(りやうしん)があり、023幼少(えうせう)から(おや)膝元(ひざもと)(そだ)てられて()つたならば、024安逸(あんいつ)(なが)れて、025到底(たうてい)結構(けつこう)神様(かみさま)(みち)(ひら)(こと)出来(でき)ますまい。026(これ)(おも)へば両親(りやうしん)行方(ゆくへ)()れぬのも、027(かへつ)(わたくし)()幸福(かうふく)028神様(かみさま)(ふか)(ひろ)思召(おぼしめし)御座(ござ)いませう』
029建能姫(たけのひめ)『さうで御座(ござ)いませう。030神様(かみさま)遠近(ゑんきん)広狭(くわうけふ)大小(だいせう)明暗(めいあん)区別(くべつ)なく、031御見(おみ)すかし(あそ)ばしてゐられますから、032御両親(ごりやうしん)所在(ありか)もキツと御分(おわか)りになつて()るに(ちが)御座(ござ)いませぬ。033され(ども)何時(いつ)神懸(かむがか)りにも、034両親(りやうしん)所在(ありか)をいくら(たづ)ねても、035(くち)をつぐんで、036一言半句(いちげんはんく)宣示(せんじ)もして(くだ)さらぬのは、037(えう)するに吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)(あはれ)(たま)ひ、038立派(りつぱ)神司(かむつかさ)仕立(した)()げてやらうとの、039(なさけ)(むち)御座(ござ)いませう。040神様(かみさま)御目(おめ)より御覧(ごらん)になつて、041モウあれは大丈夫(だいぢやうぶ)だ、042(まこと)貫徹(くわんてつ)したと思召(おぼしめ)したらキツと所在(ありか)()らして(くだ)さいませう。043(また)(なに)かの都合(つがふ)で、044御両親様(ごりやうしんさま)()(なが)ら、045ここへ(ひき)よせて(くだ)さるかも()れませぬ。046どうぞ取越苦労(とりこしくらう)をせない(やう)にして(くだ)さいませ』
047建国別(たけくにわけ)『さうですなア。048モウ両親(りやうしん)(こと)今日(けふ)(かぎ)(おも)ひますまい。049何程(なにほど)()をいらつても、050人間(にんげん)として如何(どう)する(こと)出来(でき)ませぬから、051それよりも神様(かみさま)(ため)052世人(よびと)(ため)宣伝使(せんでんし)たるの最善(さいぜん)努力(どりよく)(つく)すのが(なに)よりで御座(ござ)いませう』
053建能姫(たけのひめ)『あゝよく()つて(くだ)さいました。054何事(なにごと)今後(こんご)大神様(おほかみさま)御心(みこころ)(まか)し、055(わらは)がこんな(こと)(まを)してはすみませぬが、056御両親様(ごりやうしんさま)(こと)は、057神様(かみさま)がよき(やう)にお(まも)(くだ)さるでせうから(おも)()つて(くだ)さいませ。058(けつ)して(わらは)があなたの御両親(ごりやうしん)(そで)(おも)つて(まを)すのでは御座(ござ)いませぬ。059あなたの幸福(かうふく)(ため)060御両親(ごりやうしん)(ため)申上(まをしあ)げるので御座(ござ)いますから……』
061建国別(たけくにわけ)(わたくし)何時(いつ)両親(りやうしん)(こと)(おも)うてむつかしい(かほ)をしてゐましたのを、062貴女(あなた)余程(よほど)不快(ふくわい)(おも)へたでせうなア』
063建能姫(たけのひめ)『ハイ、064(べつ)不快(ふくわい)には(おも)ひませぬが、065御主人様(ごしゆじんさま)御憂苦(ごいうく)(いろ)何時(いつ)とはなしに御顔(おかほ)(あら)はれますので、066御体(おからだ)(さは)りはせないかと、067()(ばか)心配(しんぱい)(いた)しました。068どうぞ只今(ただいま)(かぎ)り、069(うるは)しいお(かほ)()せて(くだ)さいませや』
070建国別(たけくにわけ)本当(ほんたう)心配(しんぱい)をかけて()みませなんだ。071今日(けふ)(かぎ)神様(かみさま)(まか)して、072両親(りやうしん)(こと)心配(しんぱい)(いた)しますまい。073今後(こんご)(ただ)一言(ひとこと)たりとも、074(くや)(ごと)(まを)しませぬから安心(あんしん)して(くだ)さい。075()(をさ)めに一口(ひとくち)あなたに(はな)したいのは、076あの黒姫(くろひめ)さまの詞尻(ことばじり)077(なん)とはなしに縁由(ゆかり)ありげに(かん)じましたが、078貴女(あなた)如何(いかが)御考(おかんが)へですか』
079建能姫(たけのひめ)『ハイ(わらは)黒姫(くろひめ)(さま)(なに)(こころ)(あた)(こと)がお()りなさる(やう)(ぞん)じました。080(しか)(なが)黒姫(くろひめ)(さま)(わらは)とは(ちが)ひ、081(とし)()つてゐられますから、082()(なか)()いも(あま)いもよく御存(ごぞん)じの(はず)083それ(ゆゑ)(いま)心当(こころあた)りがあると()つては、084折角(せつかく)修業(しうげふ)(やぶ)れはせぬかと、085(ふか)思召(おぼしめし)(もつ)仰有(おつしや)つて(くだ)さらなかつたのでせう。086(しか)吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)真心(まごころ)(とほ)りさへすれば、087黒姫(くろひめ)(さま)()らして(くだ)さるでせう。088モウ(ひと)(ねん)()してお(たづ)ねしたいのは山々(やまやま)御座(ござ)いましたが、089(なに)()つても神様(かみさま)(つか)へる()(うへ)のあなた(さま)090神様(かみさま)(みち)(つぎ)にして、091(わが)()勝手(かつて)両親(りやうしん)(こと)(ばか)りを熱心(ねつしん)(たづ)ねると(おも)はれては、092第一(だいいち)主人(しゆじん)名折(なを)れ……と(ぞん)じまして、093(ひか)へて()りました。094どうやら(この)()御座(ござ)るのに間違(まちがひ)はない(やう)(ぞん)じます』
095建国別(たけくにわけ)『あゝ貴女(あなた)もそう(かん)じられましたか、096(わたくし)もそうだらうと(ぞん)じて()ります。097(なん)だか黒姫(くろひめ)(さま)にお()にかかつてから、098心強(こころづよ)くなつて()ました。099(たし)かな手掛(てがか)りが出来(でき)たやうな心持(こころもち)(いた)します。100(しか)建能姫(たけのひめ)殿(どの)101これ(かぎ)り、102モウ両親(りやうしん)(こと)惟神(かむながら)(まか)して、103(まを)しますまい』
104建能姫(たけのひめ)有難(ありがた)御座(ござ)います、105(わらは)安心(あんしん)(いた)しました』
106 ()かる(ところ)虎公(とらこう)107玉公(たまこう)両人(りやうにん)三人(さんにん)乾児(こぶん)(とも)に、108(おそ)(おそ)(あら)はれ(きた)り、109(ふすま)(そと)より、
110虎公(とらこう)御主人様(ごしゆじんさま)111大先生様(だいせんせいさま)112突然(とつぜん)(まゐ)りまして、113(えら)御馳走(ごちそう)(あづか)りました。114これでお(いとま)(いた)します。115(また)(あらた)めて御礼(おれい)(まゐ)りますから、116御夫婦(ごふうふ)(とも)御壮健(ごさうけん)御暮(おくら)(くだ)さいませ』
117()ふのは虎公(とらこう)(こゑ)であつた。
118 建能姫(たけのひめ)(ふすま)(しづ)かに(ひら)き、
119建能姫(たけのひめ)『これはこれは武野(たけの)(むら)親分(おやぶん)さま、120サアどうぞ御遠慮(ごゑんりよ)なしに此方(こちら)御通(おとほ)(くだ)さいませ』
121虎公(とらこう)『イヤどうも(えら)御馳走(ごちそう)になりました、122(あま)酩酊(めいてい)(いた)して()りますので、123失礼(しつれい)御座(ござ)いますから、124此処(ここ)御免(ごめん)(かうむ)りませう』
125建国別(たけくにわけ)虎公(とらこう)さま、126どうぞゆつくりして(くだ)さい。127今日(けふ)(わたくし)祝日(しゆくじつ)御座(ござ)いますから、128十分(じふぶん)()うて(いただ)かねばなりませぬ。129(あま)りお(はや)いぢや御座(ござ)いませぬか。130どうぞ今晩(こんばん)はゆつくりとお(とま)(くだ)さいまして、131面白(おもしろ)(はなし)でも()かせて(くだ)さいませ』
132虎公(とらこう)『ハイ、133御親切(ごしんせつ)有難(ありがた)御座(ござ)いますが、134(いま)ここに(まゐ)つて()りまする玉公(たまこう)所持(しよぢ)(いた)して()る、135()出神(でのかみ)(さま)から(たま)はつたと()水晶玉(すいしやうだま)変異(へんい)(あら)はれまして、136どうも()がかりでなりませぬ。137(たま)(うつ)つた(くも)りより判断(はんだん)して()ますれば、138(わたくし)不在宅(るすたく)に、139(なん)だか(かは)つた(こと)出来(でき)たやうで御座(ござ)いますから、140(わたくし)(なん)だか()がイライラしてなりませぬから、141今日(けふ)はこれでお(いとま)(いた)します』
142建国別(たけくにわけ)『それは御心配(ごしんぱい)御座(ござ)いませう。143コレ玉公(たまこう)144(たい)した(こと)御座(ござ)いませぬかなア』
145玉公(たまこう)『ハイ、146(わたくし)経験(けいけん)()れば、147親分(おやぶん)(うち)大変(たいへん)(こと)(おこ)つてゐる(やう)(かん)じます。148(しか)(なが)結局(けつきよく)(なん)ともないと()(かたち)(あら)はれて()りますが、149グヅグヅして()つては、150事件(じけん)益々(ますます)(おほ)きく、151むつかしくなる(おそれ)御座(ござ)いますから、152(これ)御暇(おいとま)(いた)します』
153建国別(たけくにわけ)『そう仰有(おつしや)れば是非(ぜひ)御座(ござ)いませぬ。154留守宅(るすたく)何事(なにごと)()(やう)に、155(これ)から吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)が、156神前(しんぜん)御祈願(ごきぐわん)(いた)しておきますから、157安心(あんしん)して御帰(おかへ)(くだ)さいませ』
158虎公(とらこう)『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います』
159(なみだ)(なが)(なが)ら、160再拝(さいはい)して一同(いちどう)(とも)(この)()立去(たちさ)り、161イソイソと()でて()く。
162 虎公(とらこう)一行(いつかう)表門(おもてもん)(まで)やつて()た。163門番(もんばん)幾公(いくこう)祝酒(いはひざけ)()ひつぶれ、164まはらぬ(した)にて、
165幾公(いくこう)『オイ虎公(とらこう)親分(おやぶん)166チツと(はや)いぢやないか。167モツとゆつくり(おいら)一杯(いつぱい)やらうぢやないか。168何程(なにほど)(いそ)いだとて、169()()れる(とき)にやヤツパリ()れるのだからなア』
170虎公(とらこう)『ウン有難(ありがた)う。171(しか)今日(けふ)(なん)とはなしに、172胸騒(むなさわ)ぎがしてならぬから、173一先(ひとま)(かへ)(こと)にする、174(また)(あらた)めて(あそ)びに()るワ。175貴様(きさま)御主人様(ごしゆじんさま)に、176一日(いちにち)のお(ひま)(いただ)いて(あそ)びに()い、177(さけ)(いく)らでも用意(ようい)がしてあるからな』
178幾公(いくこう)『イクともイクとも、179イク(たび)となくイクぞよ。180モウお(まへ)(やう)(さけ)(くら)ひは()()りだ……などとイク()のない(こと)()はぬ(やう)(たの)むぞよ』
181虎公(とらこう)『アハヽヽヽヽ()せてもこけても、182武野村(たけのむら)虎公(とらこう)だ。183貴様(きさま)(いく)(さけ)()んだつて、184そんな(こと)()()くやうな、185(けち)くせえ兄貴(あにき)ぢやねえワ』
186幾公(いくこう)『それでも(いま)親分(おやぶん)187胸騒(むなさわ)ぎがすると()つたぢやないか。188(あま)りガブガブと(さけ)()まれると、189(むね)さわぎするからなア。190(おいら)(なん)だかハートに動悸(どうき)()ちやがつて、191胸騒(むなさわ)ぎがして仕様(しやう)がないワ』
192虎公(とらこう)『アハヽヽヽそりや貴様(きさま)意地汚(いぢきたな)く、193無理(むり)(さけ)(くら)ふから、194動悸(どうき)がうつのだ。195いゝ加減(かげん)心得(こころえ)て、196(さけ)()むのはよいが、197(さけ)()まれぬ(やう)にしたがよからうぞ』
198幾公(いくこう)『ヤツパリ(けち)くさい(こと)()親分(おやぶん)だなア。199オイ親分(おやぶん)一寸(ちよつと)()て、200ここに一升徳利(いつしようどくり)(ぬす)んで()てあるワ。201(これ)でもグツと一口(ひとくち)()んで(かへ)つて()れ』
202虎公(とらこう)『ヤア其奴(そいつ)有難(ありがた)い、203この(まま)(あづか)つて()く』
204()(なが)ら、205幾公(いくこう)()より一升徳利(いつしようどくり)()つたくり、
206虎公(とらこう)玉公(たまこう)207(きた)れ!』
208尻端折(しりはしを)つて、209門前(もんぜん)小径(こみち)一生懸命(いつしやうけんめい)駆出(かけだ)した。
210 虎公(とらこう)(はし)(なが)足拍子(あしびやうし)()つて(うた)()した。
211虎公(とらこう)『ウントコドツコイドツコイシヨ
212建国別(たけくにわけ)御館(おやかた)
213一周年(いつしうねん)祝宴(しゆくえん)
214ドツサリよばれてウントコシヨ
215ドツコイドツコイづぶ(ろく)
216()うて(しま)つた虎公(とらこう)
217(その)足並(あしなみ)千鳥足(ちどりあし)
218そこらの(みち)二筋(ふたすぢ)
219三筋(みすぢ)四筋(よすぢ)()えて()
220玉公(たまこう)(かほ)まで色々(いろいろ)
221(ほそ)くなつたりドツコイシヨ
222(まる)くなつたり(みつ)()
223(おんな)(かほ)(なら)()
224どうしてこんなウントコシヨ
225怪体(けたい)(こと)になつただろ
226玉公(たまこう)()つてる水晶(すゐしやう)
227(たま)卜筮(うらなひ)(うかが)へば
228(なん)だか()らぬが(おれ)(うち)
229(かは)つた(こと)出来(でき)てゐる
230ドツコイドツコイ(みな)(やつ)
231足元(あしもと)用心(ようじん)するがよい
232大方(おほかた)(うち)のお(あい)()
233(おれ)()たのをドツコイシヨ
234(をんな)(ちい)さい(こころ)から
235(ほか)女子(をなご)があるやうに
236(おも)ひひがめて九寸五分(くすんごぶ)
237スラリと()いて喉元(のどもと)
238あてて()るのぢやあるまいか
239(なん)とはなしに()にかかる
240ウントコドツコイ(あぶ)ないぞ
241こらこら玉公(たまこう)シツカリせい
242そこら(あた)りが石車(いしぐるま)
243(うち)のお(かか)(うま)れつき
244世間(せけん)(をんな)事変(ことか)はり
245よつ(ぽど)気丈(きぢやう)(やつ)だから
246めつたな(こと)はあるまいと
247(こころ)(ゆる)して()るものの
248天地(てんち)(こと)(なに)もかも
249(かがみ)(やう)によく(うつ)
250水晶玉(すいしやうだま)暗点(あんてん)
251ウントコドツコイ()になつて
252(むね)警鐘(けいしよう)なりひびく
253此奴(こいつ)ア ヤツパリ尋常事(ただごと)
254ウントコドツコイあるまいぞ
255一時(いちじ)(はや)(わが)(いへ)
256飛鳥(ひてう)(ごと)くかけ(かへ)
257実否(じつぴ)(さぐ)らにやならうまい
258ウントコドツコイ(また)(すべ)
259ホンに(あぶ)ない坂路(さかみち)
260(おれ)(つばさ)があつたなら
261宙空(ちうくう)(かけ)つて一走(ひとはし)
262(うち)様子(やうす)(たちま)ちに
263()()(ごと)()れるだろ
264なぜに(からす)にドツコイシヨ
265(おれ)(うま)れて()なんだか
266(いま)となつては大空(おほぞら)
267自由自在(じいうじざい)(かけ)()
268(からす)(やつ)(うらや)ましい
269ウントコドツコイ(また)(すべ)
270(みな)(やつ)(ども)()をつけよ
271オイオイ玉公(たまこう)水晶(すゐしやう)
272(その)宝玉(ほうぎよく)大切(たいせつ)
273ギユツと(にぎ)つておとすなよ
274(まへ)(うち)宝物(たからもの)
275ウントコドツコイ ドツコイシヨ
276(かみ)(おもて)(あら)はれて
277(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
278虎公(とらこう)(わが)()(あら)はれて
279(ぜん)(あく)かを(かんが)へて
280ウントコドツコイ(その)(うへ)
281(なん)とか思案(しあん)をせにやならぬ
282(あい)(やつ)今頃(いまごろ)
283(おれ)(かへ)るを欠伸(あくび)して
284()つて()るかも(わか)らない
285(なに)(なん)だかウントコシヨ
286サツパリ(わけ)(わか)らない
287(あい)(やつ)悋気(りんき)して
288刃物三眛(はものざんまい)ウントコシヨ
289やつて()るのぢやあるまいか
290イヤイヤ ヤツパリさうぢやない
291大蛇(をろち)三公(さんこう)がやつて()
292(おい)らの不在(るす)をつけ()んで
293無体(むたい)恋慕(れんぼ)をウントコシヨ
294遂行(すゐかう)せむとつめ()つて
295(あい)(こま)らせ()るのだろ
296そんな(こと)でもあつたなら
297(あい)(やつ)はウントコシヨ
298(まけ)()(つよ)(をんな)(ゆゑ)
299中々(なかなか)ウンとは(まを)すまい
300揚句(あげく)(はて)双方(さうはう)から
301()りつ はつりつウントコシヨ
302()(あめ)()らすに(ちがひ)ない
303(これ)(おも)へば一時(いつとき)
304(はや)(わが)()(かへ)りたい
305今日(けふ)(かぎ)つて(この)(みち)
306ウントコドツコイ(これ)(ほど)
307際限(さいげん)もなく()びよつて
308いつもの(みち)より(とほ)くなる
309やうな心地(ここち)がしてならぬ
310ホンに()のせく(こと)ぢやワイ
311ウントコドツコイ ドツコイシヨ
312三五教(あななひけう)神様(かみさま)
313(わたし)不在(るす)(いへ)(うち)
314どうぞ何事(なにごと)もない(やう)
315(まも)りなさつて(くだ)さんせ
316仮令(たとへ)三公(さんこう)(きた)(とも)
317(あい)(からだ)にドツコイシヨ
318指一本(ゆびいつぽん)()へぬよに
319どうぞ(まも)つて(くだ)さんせ
320武野(たけの)(むら)男達(をとこだて)
321虎公(とらこう)サンと()()つた
322(をとこ)(かほ)(どろ)()
323これが第一(だいいち)ウントコシヨ
324(わたし)(つら)うてたまらない
325(をとこ)(をとこ)意地(いぢ)づくで
326(いのち)取合(とりあひ)するとても
327(けつ)して(いと)ひはいたさない
328(をとこ)(かほ)(どろ)ぬられ
329ウントコシヨウ ウントコシヨウ
330万劫末代(まんがふまつだい)(ぬぐ)はれぬ
331(はぢ)をのこすがわしやつらい
332あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
333御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
334足拍子(あしびやうし)()(なが)ら、335急坂(きふはん)(のぼ)(くだ)りつ、336玉公(たまこう)(ほか)三人(さんにん)乾児(こぶん)(とも)に、337(いき)をはづませ(かへ)()く。
338大正一一・九・一四 旧七・二三 松村真澄録)