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第二二章 (かはづ)(くち)〔九六三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻 篇:第3篇 峠の達引 よみ(新仮名遣い):とうげのたてひき
章:第22章 蛙の口 よみ(新仮名遣い):かわずのくち 通し章番号:963
口述日:1922(大正11)年09月14日(旧07月23日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
矢方の村の大蛇の三公の館では、三公が子分たちの慰労会を開いていた。高公は、三公がお愛を殺し、二人の男を生き埋めにしたことを気分悪く思い、そのことを愚痴にしてやけ酒を飲んでいる。
徳公は、実は親分はお愛を殺しておらず、生きたまま息ができるようにして埋めておいて、自分に掘り出させて恩義を感じさせる計略なのだ、と酒の席で明かしてしまう。一方で六公たちを遣わして虎公を亡き者にし、お愛の心を靡かせようというのである。
与三公は、徳公にお愛を掘り出しに行けと催促するが、徳公は酒を飲みすぎて管を巻いている。そこへ六公の一団が帰ってきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-09-20 13:43:27 OBC :rm3422
愛善世界社版:278頁 八幡書店版:第6輯 462頁 修補版: 校定版:288頁 普及版:120頁 初版: ページ備考:
001 矢方(やかた)(むら)大蛇(をろち)三公(さんこう)(やかた)には、002(なん)となく物騒(ものさわ)がしき(こゑ)(きこ)えて()る。003夜前(やぜん)一件(いつけん)(つい)て、004三公(さんこう)兄弟分(きやうだいぶん)乾児(こぶん)(たい)慰労会(ゐらうくわい)(もよほ)して()たのであつた。005数多(あまた)乾児(こぶん)(ひさ)()りにうまい(さけ)()うて、006口々(くちぐち)四辺(あたり)(かま)はず(しやべ)()した。
007(かふ)(徳公)『オイ、008(みな)(やつ)009(なん)(うめ)(さけ)()えか。010(おれ)今日(けふ)丁度(ちやうど)()(げつ)ばかり()んな(うめ)(さけ)()んだ(こと)はないわ。011時々(ときどき)()んな(こと)があれば()えけどな』
012(おつ)(高公)『こりや、013(とく)014貴様(きさま)はこんな水臭(みづくさ)(さけ)(うめ)えと(ぬか)しやがつたが、015余程(よほど)下司口(げすぐち)だな。016こんな(さけ)()(ぐらゐ)なら泥水(どろみづ)でも()んだ(はう)が、017何程(なにほど)気持(きもち)がいいか(わか)りやしないよ』
018 (とく)泣声(なきごゑ)になつて、
019徳公(とくこう)『こりや、020高公(たかこう)021貴様(きさま)(なん)()勿体(もつたい)()(こと)()ふのだ。022それ(ほど)(わる)(さけ)なら何故(なぜ)ガブガブと()んだのだい』
023高公(たかこう)『あまり此処(ここ)親分(おやぶん)無茶(むちや)(こと)をしやがるので(しやく)(さは)つて仕方(しかた)がないから、024焼糞(やけくそ)になつて一杯(いつぱい)()んでやつたのだ。025(さけ)なつと()まねばお(あい)幽霊(いうれい)何時(いつ)()()るか(わか)つたものぢやないわ、026小気味(こぎみ)(わる)い。027それだから(あぢ)なくもない(きら)ひ……でも()(さけ)辛抱(しんばふ)して()んでやるのだ』
028徳公(とくこう)勿体(もつたい)ない(こと)()ふな。029こんな結構(けつこう)(さけ)があるものか。030貴様(きさま)(いま)幽霊(いうれい)()ると(ぬか)しやがつたが、031(いき)人間(にんげん)幽霊(いうれい)になつて(たま)るかい』
032高公(たかこう)『それだといつて、033(あい)現在(げんざい)(ころ)したぢやないか。034さうして二人(ふたり)(をとこ)をフン(じば)つて生埋(いきうめ)にしたぢやないか。035どんな(つよ)(をとこ)だつて土中(どちう)()められ、036あんな(おも)たい(いし)()せられちや往生(わうじやう)せずには()られないわ。037屹度(きつと)今夜(こんや)あたり貴様(きさま)素首(そつくび)()つこ()きに()るから用心(ようじん)せいよ』
038徳公(とくこう)馬鹿(ばか)()ふな。039そこには(そこ)があり(ふた)もあるのだ。040(あい)(やつ)(けつ)して()んでは()やせぬ。041彼奴(あいつ)ずるいから死真似(しにまね)をして()やがつたのだ。042親分(おやぶん)ちやん(その)呼吸(こきふ)(はか)つて()んだにして(しま)つたのだ。043(ほか)二人(ふたり)(やつ)だつて(その)(とほ)(きず)(ひと)つした(やつ)はない、044兼公(かねこう)野郎(やらう)でも(ただ)(しば)りあげた(だけ)(こと)だ。045彼奴(あいつ)()(さん)(にん)一所(いつしよ)にまつべて()いたのは(たがひ)温味(ぬくみ)(たも)たす()めだ。046そして(あたま)(ところ)(ほそ)(あな)をあけ、047(いき)(かよ)(やう)にしてあるのだよ。048そこは与三公(よさこう)哥兄(あにい)()()んで、049如才(じよさい)なくしてあるのだよ。050(まへ)(はし)くれの人足(にんそく)だからそこ(まで)(わか)るめえ』
051高公(たかこう)『それでも、052あれ()(おも)たい(いし)沢山(たくさん)()せられちや、053身体(からだ)(なに)()げて(しま)ふぢやないか』
054徳公(とくこう)貴様(きさま)馬鹿(ばか)だな。055あれ()親分(おやぶん)恋慕(れんぼ)して()るお(あい)を、056さうムザムザと(ころ)しさうな(はず)があるかい。057(これ)には(ふか)計略(けいりやく)があるのだ。058あの沢山(たくさん)()んだ(いは)(した)には、059(さん)(にん)(けつ)して(いか)つてあるのぢやない。060うまく(その)(うへ)(はづ)してあるのだ』
061高公(たかこう)(なん)(また)そんな(めう)(こと)をしたのだい』
062徳公(とくこう)馬鹿(ばか)だなア、063貴様(きさま)()には親分(おやぶん)神謀(しんぼう)鬼策(きさく)(わか)るものぢやない。064秘密(ひみつ)(まも)るなら()つて()かせてやらう。065如何(どう)他言(たごん)はせぬか』
066高公(たかこう)(けつ)して(けつ)して(たれ)にも()はないから、067(おれ)(その)(わけ)()かして()れえ』
068徳公(とくこう)『やあ何奴(どいつ)此奴(こいつ)(さけ)(くら)()うて(ふせ)りよつたな。069与三公(よさこう)哥兄(あにい)(まで)ズブ(ろく)()うて()らあ。070そんなら()つてやらう。071(そもそ)(その)理由(りいう)()うだ。072(この)徳公(とくこう)はな、073遠国(ゑんごく)から()たものだからまだ虎公(とらこう)やお(あい)(かほ)()られて()らないのだ。074それを(さいはひ)親分(おやぶん)から(たの)まれたのだ。075(これ)から旅人(たびびと)装束(しやうぞく)をして(みち)(まよ)うた(やう)(かほ)をし、076昨夕(ゆうべ)喧嘩場(けんくわば)へやつて()つて(つち)をクワイクワイと掘上(ほりあ)げ、077(さん)(にん)(やつ)引張(ひつぱ)()()一番(いちばん)にお(あい)(いましめ)()親切(しんせつ)さうに(みづ)でも()まし、078懐中(ふところ)から(くすり)でも()して(あた)へてやり……何処(どこ)のお(かた)()りませぬが(あやふ)(こと)御座(ござ)いました、079ネ、080わつちや(たび)(もの)でげえすが、081夜前(やぜん)(この)(あたり)大喧嘩(おほげんくわ)があつたと()き、082一寸(ちよつと)道寄(みちよ)りをして(さが)して()(ところ)083御存(ごぞん)じの(とほ)此処(ここ)(この)(やう)(おほ)きな(いし)()んである。084()れば(つち)(あたら)しい、085()うやら昨夜(さくや)喧嘩(けんくわ)何人(なにびと)かが(ころ)され、086()けられて()るのであらう。087あゝ()(どく)な、088(なん)とかして(たす)けてやらうと(おも)ひやして、089(これ)御覧(ごらん)なされ、090(この)(とほ)(おほ)きな(いし)此処(ここ)()()(つち)()()けて()れば、091貴方(あなた)(がた)(さん)(にん)()遭難(さうなん)092此奴(こいつ)(ひと)(たす)けねばなるまいと、093秘蔵(ひざう)(くすり)(あた)(みづ)()ませた(ところ)が、094(まへ)(この)(とほ)()(かへ)つて、095(なん)()んな(うれ)しい(こと)御座(ござ)いませぬ……と(ひと)つかち()むのだ。096さうするとお(あい)(やつ)097(やさ)しい()をしやがつて……(わたし)虎公(とらこう)()(をとこ)女房(にようばう)御座(ござ)いますが、098大蛇(をろち)三公(さんこう)()大親分(おほおやぶん)()めに()んな()()はされ、099(つち)(なか)()められて()んで(しま)(ところ)御座(ござ)いましたが、100(まへ)のお(かげ)可惜(あたら)生命(いのち)(たす)かり()んな(うれ)しい(こと)御座(ござ)いませぬ、101生命(いのち)(おや)旅人(たびびと)(さま)102何卒(どうぞ)(わたし)何時(いつ)(まで)可愛(かあい)がつて(くだ)さいませ、103虎公(とらこう)何程(なにほど)(えら)いと()つても、104女房(にようばう)がこれ()(えら)()()うて()るのに、105(ゆめ)にも御存(ごぞん)じないとはあまり(つれ)ない(をとこ)だ。106何卒(どうぞ)(たび)()(かた)107(わたし)(ちから)になつて(くだ)さい…ヘン…なんて(ぬか)しやがるのだ。108さアそうなれば()めたものだよ。109そこで(おれ)が……これこれお女中(ぢよちう)110(れい)(かへつ)(いた)()る。111()(なか)相見互(あひみたがひ)だ……とかますのだ。112さうするとお(あい)(やつ)(おれ)男前(をとこまへ)気前(きまへ)ぞつこん惚込(ほれこ)みやがつて、113(おれ)(みぎ)()けと()へばハイと()つて(みぎ)()き、114(ひだり)()けと()へばハイと()つて(ひだり)()くなり、115()ねと()へばハイと()つて()ぬし、116(かた)()てと()へば(かた)()つし、117随分(ずゐぶん)もてたものだよ。118オホヽヽヽ』
119高公(たかこう)『オイ(とく)120(よだれ)()ちるぞ。121()つとも()い。122(とら)(たぬき)皮算用(かはざんよう)しても駄目(だめ)だぞ』
123徳公(とくこう)(なに)124大丈夫(だいぢやうぶ)だ。125チヤーンと確信(かくしん)があるのだから滅多(めつた)(はづ)れつこは()いわ』
126高公(たかこう)『さうして(その)(あい)()(いれ)貴様(きさま)(もの)にするのか。127大親分(おほおやぶん)返上(へんじやう)するのだらうな』
128徳公(とくこう)『そこは、129うまく徳公(とくこう)弁舌(べんぜつ)でチヨロまかし、130(ある)山奥(やまおく)()()()つて(しの)()り、131一寸(ちよつと)した小屋(こや)(むす)んで……お(まへ)(わたし)()ふならば、132(たけ)(はしら)(かや)屋根(やね)133(とら)(おほかみ)棲処(すみか)でも(けつ)して(いと)ひはせぬ(ほど)に、134コレ(とく)さま、135何卒(どうぞ)(わたし)(いづ)れの山奥(やまおく)なりと()れて()つて(くだ)さい。136虎公(とらこう)大蛇(をろち)三公(さんこう)にでも見付(みつ)けられたら大変(たいへん)だから……と向方(むかう)から()きたてられるのだ。137そこで(わざ)(この)徳公(とくこう)()ちつき(はら)ひ……これお(あい)138天下(てんか)無双(むさう)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)139(この)徳公(とくこう)()(あひだ)虎公(とらこう)千匹(せんびき)万匹(まんびき)140(また)大蛇(をろち)三公(さんこう)がどんなに不足相(ふそくさう)()つて()ても大丈夫(だいぢやうぶ)だ……と(ふと)()てやるのだ。141さうするとお(あい)(やつ)……否々(いやいや)何程(なにほど)(まへ)(つよ)うても、142(だま)すに()なしと()(こと)御座(ござ)んす。143さあ(いち)()(はや)(わたし)奥山(おくやま)()れていつて(くだ)さい……とお()(あそ)ばすにチヤンと(きま)つてるのだ。144そこで(この)徳公(とくこう)が……エー仕方(しかた)がない、145女子(ぢよし)小人(せうにん)(やしな)(がた)しだ、146(しか)しお(まへ)がそれ(ほど)(こわ)がるのなら(おれ)(ひと)山奥(やまおく)(まで)(おく)つてやらう。147(しか)(けつ)して夫婦(ふうふ)にならう(など)との野心(やしん)(おこ)しちや()けないぞ……と高尚(かうしやう)()るのだ。148さうするとお(あい)(やつ)149益々(ますます)感心(かんしん)しやがつて、150(しま)ひの()てにや本気(ほんき)になつて()れて()やがるのだ。151その(とき)(あま)(かほ)しちや()けない。152ピンと(ひと)肱鉄砲(ひぢでつぱう)()ますのだ。153……(おも)ひきつて……さうするとお(あい)(やつ)益々(ますます)恋慕心(れんぼしん)(つの)つて()る。154(はじ)かれた(をんな)には益々(ますます)(をとこ)熱心(ねつしん)になる(やう)に、155(をんな)意地(いぢ)()てておかねばならないと(めう)(ところ)(ちから)()れて、156(おれ)手込(てご)みにしようとするのだ。157そこで(おれ)はツンと()ました(かほ)して……これこれ(をんな)()としてあられもない(こと)をなさいますな。158みつともない……と(くら)はすのだ。159(あい)(やつ)益々(ますます)カツカとなり…(サワリ)ほんにまあ(をんな)(こころ)(をとこ)とは、160(それ)ほど(まで)(ちが)ふものかいな。161生命(いのち)(おや)(おも)ひつめ、162ホンに()()いた(をとこ)ぢやと、163(おも)()めたが()みつきで、164(こひ)(とりこ)となりました。165もう()うなる(うへ)徳公(とくこう)さま、166()いて()はうと()つて(あぶ)つて()はうとも、167貴方(あなた)のお()きに紫壇竿(しだんざを)168一筋縄(ひとすぢなは)()かぬ(この)(をんな)169何卒(どうぞ)三筋(みすぢ)(いと)()(ころ)して(くだ)しやんせ、170(をが)むわいなと()(あは)し、171口説(くど)(なげ)けば徳公(とくこう)も、172(とどろ)(むね)をジツと(おさ)へ、173(まへ)(こころ)(さつ)すれども、174(この)徳公(とくこう)にも国許(くにもと)には可愛(かあい)女房(にようばう)がある。175如何(どう)して二度目(にどめ)(つま)()たれようか。176そこ(はな)しや……プリンと背中(せなか)()けるのだ。177さうするとお(あい)(やつ)……そんならもう仕方(しかた)がない、178(わたし)(これ)()にます……と九寸(くすん)五分(ごぶ)をスラリと()()き、179アハヤ(のんど)につき()てむとする。180徳公(とくこう)(あはただ)しく()()め……やれ()てお(あい)181(まへ)心底(しんてい)見届(みとど)けた。182(この)()(おろ)七生(しちしやう)(まで)(まこと)夫婦(ふうふ)……と(くは)すと()いのだが、183其処(そこ)はそれ、184大蛇(をろち)三公(さんこう)()大親分(おほおやぶん)(あと)(ひか)へて()るのだから、185(あい)山奥(やまおく)(ひと)()()()き……これお(あい)どの、186一寸(ちよつと)(この)徳公(とくこう)買物(かひもの)にいつて()るから、187(さび)しからうが留守(るす)をして(くだ)さい。188(すぐ)(かへ)つて()るから……と()まして()いてフイと其処(そこ)(はづ)すのだ。189さうすると大蛇(をろち)親分(おやぶん)が、190与三公(よさこう)191勘公(かんこう)()面々(めんめん)()()れ、192(その)小屋(こや)十重(とへ)二十重(はたへ)()()かせ()き、193自分(じぶん)否応(いやおう)()はさず()()てるのだ。194何程(なにほど)(いや)がつた(をんな)でも、195一辺(いつぺん)ウンと()はすれば、196もう此方(こつち)(もの)だ。197チヤンと()んな段取(だんどり)出来(でき)()るのだから(おどろ)いたものだらう。198(おれ)責任(せきにん)(ぢう)(かつ)(だい)なりと()ふべしだ』
199()(なが)ら、200一升(いつしよう)徳利(どくり)(くち)から(また)もや喇叭(らつぱ)()みを(はじ)める。201与三公(よさこう)(この)()行歩(かうほ)蹣跚(まんさん)として(あら)はれ(きた)り、
202与三(よさ)『やあ何奴(どいつ)此奴(こいつ)意地(いぢ)(きたな)(さけ)()(つぶ)れて()()やがるな。203(なん)だ、204そこら(ぢう)八百屋(はほや)開店(かいてん)しやがつて(くさ)くて()られたものぢやない。205ヤアお(まへ)徳公(とくこう)じやないか』
206徳公(とくこう)『へい、207徳利(とつくり)御座(ござ)います。208トクとお(あらた)(くだ)さいませ。209徳公(とくこう)徳利飲(とつくりの)みでげえすから何卒(どうぞ)トク(しん)()くとこ(まで)()まして(くだ)さい。210(あい)(また)トクりと(なつ)トクをさせねばなりませぬ。211トク(めい)全権(ぜんけん)公使(こうし)だからトク大目(おほめ)()(くだ)さいませ』
212与三(よさ)『そんな(こと)トク(べつ)使命(しめい)(つと)まると(おも)ふか。213もう時刻(じこく)だ。214トクトク()かねばなるまいぞ。215貴様(きさま)酒癖(さけくせ)(わる)いからトクりと心中(しんぢう)するかも()れやしない。216トクりと(かんが)へて()よ』
217徳公(とくこう)八釜(やかま)しう()ふない。218(おれ)だけはトク(べつ)待遇(たいぐう)をやつて()れ。219()んな(やく)()くのは(おい)一寸(ちよつと)()(すす)まないのではないけれどな、220本当(ほんたう)(こと)()へば哥兄(あにい)221(まへ)トク()される(ところ)だつたが、222生憎(あいにく)トク禿(とく)頭病(とうびやう)(やう)(あたま)をして()るから、223(あい)(やつ)によく(かほ)()られて()るなり、224(また)(その)(やう)土瓶(どびん)章魚(たこ)禿(はげ)ではお(あい)だつて()れはしないし、225如何(どう)しても(この)徳公(とくこう)ぢやなくちや(つと)まらないのだから、226トク(べつ)大切(たいせつ)にするのだよ』
227与三(よさ)『エヽ(おれ)(あたま)批評(ひへう)までしやがつて仕方(しかた)()(やつ)だ。228貴様(きさま)如何(どう)やら秘密(ひみつ)(この)高公(たかこう)(うち)あけた(やう)だ。229よもやそんな(こと)(いた)しちや()るまいなア』
230徳公(とくこう)(たか)()れた高公(たかこう)(くらゐ)()つた(ところ)で、231ナニそれが邪魔(じやま)になりますけエ。232(たか)(くく)つて()つたのだからそう声高(こはだか)にケンケン()つて(くだ)さるな。233相互(たがひ)迷惑(めいわく)だからエヽガラガラガラ、234エ、235(さけ)(やつ)236あと(もど)りをしやがる。237()しからぬ(やつ)だ、238ウンウンウン』
239与三(よさ)『いい加減(かげん)準備(こしらへ)をして()かないと(おそ)くなるぞ』
240徳公(とくこう)八釜(やかま)しう()ふない。241()んだつて(なん)だい。242(あい)(おれ)女房(にようばう)になると()ふではなし、243折角(せつかく)(ほね)()つて成功(せいこう)さした(ところ)鹿猪(ろくちよ)つきて猟狗(れふく)()らると()(やう)()()ふかも()れないからな。244まあ(さけ)()まれる(とき)()んだ(はう)余程(よほど)利口(りこう)だなア。245自分(じぶん)(おも)(やう)にするのが人間(にんげん)(うま)れた()一生(いつしやう)徳利(とくり)だ。246オツハツヽヽヽ』
247 ()(くだ)()(ところ)門前(もんぜん)(にはか)(さわ)がしき(ひと)足音(あしおと)……其処(そこ)勘公(かんこう)がやつて()て、
248勘公(かんこう)『オイ(みな)(やつ)249()加減(かげん)()きぬか。250(いま)六公(ろくこう)(かへ)つて()たから(せき)をあけねばなるまい』
251 (この)(こゑ)一同(いちどう)はムクムクと(あたま)()げ、252ヒヨロヒヨロし(なが)(うら)田圃(たんぼ)駆出(かけだ)し、253(かぜ)(さけ)(ゑい)()まして()る。
254大正一一・九・一四 旧七・二三 北村隆光録)

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