霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 無法人(むはふにん)〔九九二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻 篇:第1篇 天意か人意か よみ:てんいかじんいか
章:第4章 第36巻 よみ:むほうにん 通し章番号:992
口述日:1922(大正11)年09月21日(旧08月1日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
左守のタールチン夫婦はサガレン王派であり、竜雲の横暴を快く思っていなかった。なんとかしてケールス姫の側から排除しようと相談している。すでに王派の忠臣・ユーズとシルレングは竜雲のための獄に投ぜられてしまっていた。
タールチンの妻・キングス姫は、実は竜雲から艶書を受け取っていた。タールチンはこれを利用して竜雲をおびき寄せ、亡き者にしようと画策した。
キングス姫は竜雲に色よい返事の内容の手紙を書き、藤の森に竜雲をおびき寄せた。タールチンは森の中に落とし穴を掘って竜雲を待っていた。はたして、竜雲はのこのこと夜中に森にやってきて落とし穴にはまり、タールチンに生き埋めにされてしまった。
このとき偶然エームスは藤の森に月をめでに二三人の部下と共にやってきていた。エームスは落とし穴を埋めたやわらかい土に足を踏み込んでしまい、下に誰かが埋められていることに気付いた。
エームスたちが穴を掘って助け上げてみれば、それは日ごろ敵対している竜雲であった。エームスは自分が命を助けたのは竜雲だと知って後悔した。竜雲はエームスに軽く礼を言うと、城に帰ったら自分の居間に来るようにと伝えてさっさと先に帰ってしまった。
エームスはやや不安にかられて竜雲の居間を訪ねた。竜雲は、右守の役職にあり城中きってのサガレン王派であるエームスを疎んじており、この機に追い落としてしまおうと考えていた。
竜雲はエームスを反逆者呼ばわりして捕り手に捕えさせ、獄につないでしまった。また竜雲を生き埋めにした左守のタールチンとキングス姫夫婦も投獄してしまった。
何とかこの難を逃れたサールは、ゼムとエールの館に駆け込み、竜雲が重鎮たちを次々に投獄してしまったことを報告した。ゼムとエールはすぐさまサガレン王の館に参じて竜雲の暴状を上奏した。
サガレン王は大いに驚いて、ケールス姫と竜雲を召し出した。サガレン王は怒りはなはだしく、ケールス姫と竜雲に、この国からの追放を言い渡した。
姫と竜雲はまったく動じず、竜雲は逆にこのような暴言を吐く王は発狂したのだと言い放ち、近習たちに王を拘束するようにと命じた。王は竜雲の配下たちによって捕えられ、座敷牢につながれてしまった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3604
愛善世界社版:31頁 八幡書店版:第6輯 594頁 修補版: 校定版:32頁 普及版:15頁 初版: ページ備考:
001 神地(かうぢ)(みやこ)(ほど)(とほ)からぬ、002青木ケ岡(あをきがをか)(ふもと)(やかた)(かま)へたタールチンの奥座敷(おくざしき)には、003(つま)のキングス(ひめ)(とも)にヒソビソ(ばなし)(はじ)まつて()る。
004タールチン『(なん)御館(おやかた)には(こま)つた(こと)出来(でき)()たものぢやないか。005ケールス(ひめ)(さま)竜雲(りううん)(やつ)(うま)()()み、006横暴(わうぼう)()()(つの)り、007サガレン王様(わうさま)()(こと)(あだか)配下(はいか)(ごと)態度(たいど)である。008(この)(まま)放任(はうにん)しおかば、009神地城(かうぢじやう)も、010シロの(くに)木端微塵(こつぱみぢん)011滅茶(めつちや)苦茶(くちや)瓦解(ぐわかい)大騒乱(だいさうらん)をかもすは、012()()るよりも(あきら)かであらう。013(いま)にして(なん)とか()手段(しゆだん)(めぐ)らし、014()怪物(くわいぶつ)排除(はいじよ)せなくては、015(わう)さまの御身辺(ごしんぺん)(あん)じやられる。016()んとかそなたに()(かんが)へはなからうかな』
017キングス(ひめ)本当(ほんたう)(こま)つた(こと)出来(でき)()ました。018バラモン(けう)(もつ)(たみ)(をさ)むる(この)御国(みくに)へ、019宗旨(しうし)(ちが)つたウラル(けう)()()けられては、020到底(たうてい)紛乱(ふんらん)()える()御座(ござ)いますまい。021それに()けても、022竜雲(りううん)悪僧(あくそう)023千変万化(せんぺんばんくわ)妖術(えうじゆつ)使(つか)ひ、024ケールス(ひめ)(さま)(こころ)(うば)ひ、025(いま)(たれ)(おそ)るるものもなく、026無法(むはふ)(かぎ)りを(つく)(につく)(やつ)(ござ)います。027()んとか(これ)(いた)さねばなりますまい』
028『あの忠良(ちうりやう)なるシルレング、029ユーズなども竜雲(りううん)のために(ごく)(とう)ぜられ、030(いま)無辜(むこ)(つみ)(なや)んでゐる。031どうかして(これ)(すく)()さむと、032千苦万慮(せんくばんりよ)すれ(ども)033ケールス(ひめ)(うたが)(ふか)く、034竜雲(りううん)(いきほ)(あなど)(べか)らず。035吾々(われわれ)左守(さもり)(かみ)としても、036(これ)如何(いかん)ともする(こと)出来(でき)ないのは、037時世時節(ときよじせつ)とはいひ(なが)(じつ)残念(ざんねん)(こと)である。038(この)(まま)にしておけば善人(ぜんにん)(ことごと)竜雲(りううん)毒舌(どくぜつ)にかかり、039(のこ)らず(ほろ)ぼされ、040悪人(あくにん)のみ跋扈跳梁(ばつこてうりやう)して、041(つひ)には竜雲(りううん)如何(いか)なることを仕出(しで)かすかも()れない。042(かれ)(けつ)して、043現在(げんざい)地位(ちゐ)(あま)んずる(もの)ではない。044野心(やしん)満々(まんまん)たる怪物(くわいぶつ)であるから()大樹(たいじゆ)()るに先立(さきだ)(その)(えだ)()(ごと)く、045吾等(われら)何時(いつ)如何(いか)なる運命(うんめい)(おと)()れらるるやも(はか)(がた)い。046(かれ)誅伐(ちうばつ)するは、047(いま)()いて()にある(べか)らず、048どうだキングス(ひめ)049そなたは竜雲(りううん)より艶書(えんしよ)受取(うけと)つたさうぢやなア』
050 キングス(ひめ)(をつと)言葉(ことば)にやや(かほ)(あか)らめ、
051『ハイ、052(あふ)せの(とほ)りで御座(ござ)います。053(あま)りの(こと)申上(まをしあ)げやうもなく、054(こころ)(うち)にて大変(たいへん)煩悶(はんもん)(いた)して()りました。055(しか)(なが)ら、056あなた(さま)御存(ごぞん)じの(うへ)(なに)をか(かく)しませう。057(これ)御覧(ごらん)(くだ)さいませ』
058差出(さしだ)一通(いつつう)艶書(えんしよ)059タールチンは手早(てばや)受取(うけと)り、060押開(おしひら)いて()(くだ)せば()(とほ)りである。
061竜雲(りううん)よりキングス(ひめ)(ひそ)かに()手紙(てがみ)差上(さしあ)げる。062()手紙(てがみ)(をつと)にお()せになる(やう)なことがあらば、063貴女(あなた)生命(いのち)はなくなりますぞ。064(また)(けつ)して他言(たごん)はなりませぬ。065竜雲(りううん)貴女(あなた)御登場(ごとうじやう)(さい)066一目(ひとめ)姿(すがた)(はい)してより、067恋慕(れんぼ)(こころ)(きん)(がた)く、068朝夕(てうせき)煩悶(はんもん)(おに)(とら)へられ、069青息吐息(あをいきといき)をついて()ります。070(つい)ては竜雲(りううん)(ちか)将来(しやうらい)(おい)(ある)目的(もくてき)(たつ)し、071シロの島国(しまぐに)のキングと相成(あひな)(かんが)へなれば、072(いま)(うち)(をつと)()て、073表面(へうめん)独身(どくしん)(よそほ)ひ、074竜雲(りううん)(かく)(つま)となつて(もら)ひたい。075(また)あなたの御願(おねがひ)とあれば、076タールチンを従前(じうぜん)(ごと)(おも)(もち)ゐるであらう。077貴女(あなた)一身(いつしん)浮沈(ふちん)078(をつと)存亡(そんばう)(くわん)する一大事(いちだいじ)ですから、079何卒(なにとぞ)色好(いろよ)返詞(へんじ)(たま)はり()く、080指折(ゆびを)(かぞ)へて、081貴女(あなた)御返詞(ごへんじ)()つて()ります。082左様(さやう)なら……』
083()(しる)してあつた。084タールチンはニツコと(わら)ひ、
085『アハヽヽヽ、086馬鹿(ばか)(やつ)だなア。087(これ)さへあれば、088面白(おもしろ)い、089どんな計略(けいりやく)でも出来(でき)るであらう……コレ、090キングス(ひめ)……』
091側近(そばちか)(みみ)(くち)()せ、092何事(なにごと)(ささや)けば、093キングス(ひめ)莞爾(くわんじ)として打諾(うちうなづ)き、
094(あふ)せに(したが)美事(みごと)成功(せいこう)させて()せませう』
095(やや)確信(かくしん)あるものの(ごと)(うなづ)いた。
096 それより二日目(ふつかめ)夕方(ゆふがた)097竜雲(りううん)(そば)へキングス(ひめ)手紙(てがみ)がそツと(とど)いた。098竜雲(りううん)願望(ぐわんまう)成就(じやうじゆ)打喜(うちよろこ)(なが)(ふう)押切(おしき)つてよくよく()れば、099()(ごと)文面(ぶんめん)(しる)してある。
100竜雲(りううん)さま、101(わらは)のやうな不束(ふつつか)(をんな)に、102神力(しんりき)無双(むさう)生神(いきがみ)さまより、103懇切(こんせつ)なる御手紙(おてがみ)(いただ)きましたことは、104(わらは)()()つて一生(いつしやう)光栄(くわうえい)御座(ござ)います。105早速(さつそく)御返詞(ごへんじ)申上(まをしあ)げたいと(ぞん)じて()りましたが、106(なに)()つても、107(をつと)ある()(うへ)108御返詞(ごへんじ)()きます(いとま)もなく、109やうやう今日(こんにち)110(をつと)タールチンが小糸(こいと)(やかた)(まゐ)りました不在中(ふざいちゆう)(さいは)ひ、111(この)手紙(てがみ)(したた)めました。112(をつと)四五日(しごにち)(かへ)りますまい。113()いては(くは)しき御話(おはな)しを(うけたま)はりたく、114(また)(わらは)(こころ)(うち)申上(まをしあ)げたう御座(ござ)いますから、115どうぞ(ふじ)(もり)森林(しんりん)(まで)116万障(ばんしやう)繰合(くりあは)はせ、117明後晩(みやうごばん)御越(おこ)(くだ)さいませぬか。118もしも御越(おこ)(くだ)さることならば、119(この)使(つかひ)厳封(げんぷう)して、120返詞(へんじ)御手紙(おてがみ)(いただ)きたう御座(ござ)います。121(わが)()にてお()にかかるのはいと(やす)(こと)なれ(ども)122数多(あまた)人々(ひとびと)出入(しゆつにふ)(おほ)く、123()(をつと)不在中(ふざいちゆう)にあなたと御話(おはな)しをしてゐたと()はれては、124世間体(せけんてい)(なん)となく面白(おもしろ)からず(ぞん)じます(ゆゑ)125何卒(なにとぞ)(ふぢ)(もり)頂上(いただき)まで御足労(ごそくらう)を、126()つて御願(おねがひ)申上(まをしあ)げたう御座(ござ)います』
127(しる)しあるを()竜雲(りううん)(おほ)いに(よろこ)び、128(ただ)ちに返書(へんしよ)(したた)め、129使(つかひ)(をとこ)(わた)した。
130 タールチンは(ふぢ)(もり)(ある)(ところ)陥穽(おとしあな)()り、131(その)(うへ)落葉(おちば)沢山(たくさん)(かぶ)せ、132竜雲(りううん)(きた)るを(いま)(おそ)しと()かげに(ひそ)んで()つてゐた。
133 竜雲(りううん)()かる(たく)みのあるとは(ゆめ)にも()らず、134(かみ)ならぬ()(かな)しさ、135得意然(とくいぜん)として、136城内(じやうない)をソツと()()面部(めんぶ)(ふか)(つつ)み、137(ふぢ)(もり)(いただ)きさして、138(つき)()山路(やまみち)(のぼ)つて()く。
139 (ほそ)(みち)中央(まんなか)(ふか)陥穽(おとしあな)のあるのも()らず、140悠々(いういう)として、141キングス(ひめ)()はむと(のぼ)()途端(とたん)142()(はづ)して、143陥穽(おとしあな)にバツサリと落込(おちこ)んで(しま)つた。144タールチンは(もの)をも()はず、145(つち)をかきあつめ、146陥穽(おとしあな)(うづ)めて素知(そし)らぬ(かほ)して(わが)()()して(かへ)()く。
147 (この)(とき)エームスは(ふぢ)(もり)山上(さんじやう)(つき)(しやう)しつつ、148二三(にさん)部下(ぶか)(とも)(のぼ)つて()たが、149夜中頃(よなかごろ)(かへ)りに()き、150()らず()らずに(その)陥穽(おとしあな)()(はづ)し、151自分(じぶん)(また)それに(おちい)つた。152されど(にはか)(やはら)かき(つち)(もつ)(うづ)めたることとて(ひき)ならしたる(つち)四五尺(しごしやく)(ばか)りゴソツと落込(おちこ)んで(しま)つた。153(その)(とき)(なん)だか、154足許(あしもと)(あたた)かい()のやうな(もの)(さは)つた(やう)(かん)じがした。155エームスは二三(にさん)部下(ぶか)(とも)に、156鋤鍬(すきくは)(わが)(やかた)より()(きた)らせ、157(あせ)をタラタラ(なが)(なが)ら、158何人(なにびと)生埋(いきう)めにされて()るならむ、159(すく)(あた)へむと、160一生懸命(いつしよけんめい)(つち)()()げ、161(すく)()して()れば豈計(あにはか)らむや、162日頃(ひごろ)城中(じやうちう)暴威(ばうゐ)(ふる)ふウラル(けう)竜雲(りううん)なりとは。163エームスは(こころ)(うち)にて……あゝ失敗(しま)つた(やつ)(たす)けたものだ、164こんな(こと)なら、165(すく)()すぢやなかつたに……と後悔(こうくわい)すれ(ども)166最早(もはや)(およ)ばなかつた。
167 竜雲(りううん)(すく)()されて、
168(あやふ)(ところ)(たす)けてくれた、169恩人(おんじん)何人(なにびと)なりや?』
170()(なが)ら、171(かほ)(のぞ)()み、
172『アヽお(まへ)はエームスか、173()くマア(たす)けて()れた。174(いづ)帰城(きじやう)(うへ)175何分(なにぶん)沙汰(さた)(いた)すから、176何処(どこ)へも()かず()つて()()れよ』
177()()て、178早々(さうさう)(ふぢ)(もり)(をか)(くだ)りて(かへ)()く。
179
180 エームスはサール(ほか)二人(ふたり)部下(ぶか)(とも)に、181竜雲(りううん)居間(ゐま)に、182(やや)不安(ふあん)(ねん)()られ(なが)ら、183生命(いのち)(たす)けてやつたのだから、184(けつ)して不足(ふそく)()はうまい、185(なに)かキツと(ことば)(れい)(くらゐ)()ふのだらうと、186(はら)をきめてやつて()たのである。
187 竜雲(りううん)(こころ)(うち)にて、188エームスの(わが)生命(いのち)(すく)つて()れた(こと)()いては好感情(かうかんじやう)()つて()た。189されどエームスはサガレン(わう)右守(うもり)(かみ)として声名(せいめい)あり、190()つバラモン(けう)熱心(ねつしん)なる信者(しんじや)であつて、191(つね)自分(じぶん)()(うへ)(こぶ)として(にく)んでゐた。192それ(ゆゑ)竜雲(りううん)(この)()(いつ)せず、193自分(じぶん)目的(もくてき)妨害(ばうがい)になる(もの)善悪(ぜんあく)(かかは)らず、194(いづ)(ほろぼ)さねば()まぬと()悪心(あくしん)発揮(はつき)し、195言葉(ことば)(おごそ)かにエームスに(むか)つていふ。
196昨夜(さくや)(あやふ)生命(いのち)(たす)けられ、197(その)(だん)竜雲(りううん)にとつても感謝(かんしや)する次第(しだい)である。198さり(なが)汝等(なんぢら)は、199タールチン、200キングス(ひめ)()(しめ)(あは)せ、201(この)竜雲(りううん)(はじ)め、202ケールス(ひめ)203サガレン(わう)をレース、204ベツトせむとの野心(やしん)(いだ)(もの)たる(こと)は、205歴然(れきぜん)たる事実(じじつ)であれば()せしめの(ため)206(なんぢ)反逆罪(はんぎやくざい)(さだ)むるに()つて、207さう覚悟(かくご)(いた)したが()からう』
208儼然(げんぜん)として()(わた)したるにぞ、209エームスは(あん)相違(さうゐ)竜雲(りううん)言葉(ことば)(あき)(かへ)り、
210吾々(われわれ)反逆者(はんぎやくしや)とは(なに)証拠(しようこ)(あふ)せらるるや。211人命(じんめい)救助(きうじよ)(なが)ら、212(おも)ひもよらぬ冤罪(ゑんざい)()はるるとは前代未聞(ぜんだいみもん)(こと)御座(ござ)る。213竜雲(りううん)殿(どの)狂気(きやうき)めされたのではあるまいか』
214気色(けしき)ばんで()めよるを、215竜雲(りううん)冷然(れいぜん)として聞流(ききなが)し、216ワザと(つく)(わら)ひをし(なが)ら、
217『アハヽヽヽ、218()くもマア(しら)ばくれたものだなア。219(その)弁解(べんかい)(のち)にゆつくり()かう……ヤアヤア者共(ものども)220反逆人(はんぎやくにん)のエームスを(はや)(しば)()げ、221(ごく)(とう)ぜよ!』
222()ばはつた。223かねて待構(まちかま)へたる数名(すうめい)捕手(とりて)は、224有無(うむ)()はせずエームスを引捕(ひきとら)へ、225(ただ)ちに暗黒(あんこく)なる獄屋(ごくや)無理(むり)無体(むたい)投込(なげこ)んで(しま)つた。
226 竜雲(りううん)とケールス(ひめ)命令(めいれい)にて、227タールチン、228キングス(ひめ)(また)(おな)運命(うんめい)(もと)(とら)へられ、229獄舎(ごくしや)呻吟(しんぎん)する()(うへ)となつて(しま)つたのである。
230 サールは(わづか)()(もつ)(この)()(のが)(ただ)ちにゼム、231エールの(やかた)()(いた)つて、232(その)実状(じつじやう)一々(いちいち)報告(はうこく)した。233ゼム、234エールはサールと(とも)に、235(とき)をうつさずサガレン(わう)(やかた)(まゐ)り、236竜雲(りううん)暴状(ばうじやう)陳奏(ちんそう)した。237サガレン(わう)(おほい)(おどろ)き、238(ただ)ちに侍臣(じしん)をしてケールス(ひめ)239竜雲(りううん)()()だした。
240 竜雲(りううん)241ケールス(ひめ)二人(ふたり)(かね)覚悟(かくご)(こと)とて、242(おどろ)きたる(いろ)もなく、243悠々(いういう)として()(きた)り、
244(ひめ)(いま)()びになつたのは、245如何(いか)なる御用(ごよう)御座(ござ)いますか』
246 サガレン(わう)()をしば(たた)き、
247『ケールス(ひめ)!』
248(ことば)(つよ)(なが)ら、
249(その)(はう)左守(さもり)(かみ)250タールチン夫婦(ふうふ)(はじ)め、251エームスを(ごく)(とう)じたのは如何(いか)なる(つみ)あつての(こと)か、252一応(いちおう)(われ)裁断(さいだん)()(うへ)にて決行(けつかう)(いた)すべきものなるに、253(なんぢ)一了簡(いちりやうけん)(もつ)て、254()かる重臣(ぢゆうしん)(いたづら)(とう)ずるは不届(ふとど)きならずや。255(また)(なんぢ)はウラル(けう)()て、256竜雲(りううん)放逐(はうちく)すると、257(われ)(ちか)ひながら、258相変(あひかは)らず竜雲(りううん)側近(そばちか)(まね)き、259種々(しゆじゆ)()からぬ計画(けいくわく)をなすとは、260言語道断(ごんごどうだん)行方(やりかた)261今日(こんにち)より(なんぢ)(はじ)竜雲(りううん)両人(りやうにん)放逐(はうちく)いたす、262サア(はや)(この)()立去(たちさ)れ!』
263怒髪天(どはつてん)()いて呶鳴(どな)()てたれば、264竜雲(りううん)はケールス(ひめ)目配(めくば)せし、
265竜雲(りううん)(いやし)くも王者(わうじや)()(もつ)()くの(ごと)暴言(ばうげん)()(たま)ふは、266普通(ふつう)精神(せいしん)(あら)ざるべし。267(わう)には発狂(はつきやう)(てう)あり、268(いな)(すで)発狂(はつきやう)()れり。269(はや)座敷牢(ざしきらう)()れまつり、270御摂養(ごせつやう)(あそ)ばさねば、271(この)(うへ)病勢(びやうせい)(つの)(とき)は、272第一(だいいち)本城(ほんじやう)(ため)には不幸(ふかう)(この)(うへ)なく、273国民(こくみん)迷惑(めいわく)一方(ひとかた)ならざるべし。274ケールス姫殿(ひめどの)275如何(いかが)(あそ)ばす御考(おかんが)へなりや』
276 ケールス(ひめ)(だま)つて(うつむ)いてゐる。277サガレン(わう)益々(ますます)(いか)り、
278(なんぢ)竜雲(りううん)279(われ)(むか)つて発狂(はつきやう)とは何事(なにごと)ぞ。280手打(てう)ちに(いた)して()れむ』
281大刀(だいたう)をスラリと引抜(ひきぬ)き、282()つてかからむとす。283数多(あまた)近従(きんじう)(わう)背後(はいご)よりムンヅと(ばか)()()めた。284竜雲(りううん)一同(いちどう)(むか)ひ、
285(わう)さまは御病気(ごびやうき)におはしませば、286御全快(ごぜんくわい)(あそ)ばすまで、287座敷牢(ざしきらう)にお(かく)(まを)せよ』
288下知(げち)する。289ケールス(ひめ)(なん)とも()はず、290(くび)()れて、291サガレン(わう)(かほ)()せぬやうに(つと)めてゐる。
292 (その)(あひだ)(あは)れや(わう)竜雲(りううん)腹心(ふくしん)部下(ぶか)(ため)に、293発狂(はつきやう)ならざる()発狂者(はつきやうしや)として一室(いつしつ)監禁(かんきん)さるる(こと)となつて(しま)つたのである。
294大正一一・九・二一 旧八・一 松村真澄録)
295   此日風強く雨さへ降り来り頗る冷気を覚ゆ
   
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10/28霊界物語音読第37、38、63巻と、大本神諭、伊都能売神諭をアップしました。
10/26【霊界物語ネット】大本神諭を「年月日順」で並べた時の順序が、一部おかしいものがあったので修正しました。(os176,192,193,191,235 の5つ)