霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一三章 (めぐみ)(はな)〔一〇〇一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻 篇:第2篇 松浦の岩窟 よみ(新仮名遣い):まつうらのがんくつ
章:第13章 恵の花 よみ(新仮名遣い):めぐみのはな 通し章番号:1001
口述日:1922(大正11)年09月22日(旧08月2日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
無住居士が去った後、テーリスは一人腕を組み、考え込んでしまった。あたりには集めた同志の兵たちが撃剣術を訓練する声が響いている。テーリスは無住居士の言葉を思いだし、神の力に比べて武力のむなしさを感じていた。
そして、幼年のころより三五教の教えを聞きながら、暴力をもって暴力を制すやり方で竜雲を討伐しようとしていたことの愚かさを悟った。
テーリスは、アナンに率いられたサガレン王派軍がかえって人命を失ったのに比して、竜雲は無道ながらもタールチンやキングス姫らを投獄しながらも相応の飲食を与えて身体には危害を加えなかったことに思い至った。
それでいながら自分たちは忠臣義士だと信じて敵の討伐を企てていたことに気づき、それを神様が助けるはずがないと悟った。国治立大神、豊国姫大神、神素盞嗚大神のご神号を唱えて涙ながらに祈願した。
そこにエームスは王を連れて戻ってきた。テーリスは王に、無住居士の教えと自分の悟りを諄々として伝えた。王もまたその意を悟り、落涙した。そしてエームスも王も、ただいま限り武術の訓練は止めにして、一同御魂磨きにかかることに同意した。
王がエームスを連れて岩窟に帰った後、テーリスは武術の修練場に現れ、一同に向かって王の命令として武術を廃し、心身を清めて誠一つの修行をなすように、と呼びかけた。
一同の中でもっとも剣術に優れたチールという男は、テーリスに敬意を表しつつも、反逆の徒・竜雲を赦すわけにはゆかず、何としても討伐すべきだと食って掛かった。
テーリスは諄々として道理を諭し、チールも王の命を容れることになった。またテーリスは、竜雲の間者として入り込んでいたヨール他四人の元捕り手を呼び、彼らを裏切り者として処刑する手はずだったが、大神の御心にならって無罪放免とすることを言い渡した。
ヨールはテーリスの処置に感じ、面に真心を現して改心し、竜雲に仕えることを断念したと告白した。ヨールは涙ながらに懺悔し、改心の述懐歌を歌った。
テーリスは改めて部下たち一同に誠の道を説き諭した。一同はこれより日夜魂磨きに専念し、神の救いを求めることとなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-09 11:59:44 OBC :rm3613
愛善世界社版:129頁 八幡書店版:第6輯 628頁 修補版: 校定版:133頁 普及版:56頁 初版: ページ備考:
001 無住(むぢゆう)居士(こじ)自称(じしよう)する白髪(はくはつ)老人(らうじん)蒼惶(さうくわう)として立去(たちさ)りたる(あと)に、002テーリスは(うで)()み、003さし俯向(うつむ)いて何事(なにごと)(かんが)()んで()る。004(いま)(いま)まで勇壮(ゆうさう)活溌(くわつぱつ)にして孤骸(こがい)胡羯(こかつ)()(てき)武勇(ぶゆう)()()たされたるテーリスの(みみ)にも「ヤー、005エー、006トー」と()()竹刀(しなひ)(おと)007(なん)となく物憂(ものう)げに(ひび)くやうになつて()た。008広大(くわうだい)無辺(むへん)(かみ)(ちから)(くら)ぶれば、009一人(いちにん)(たい)一人(いちにん)撃剣術(げきけんじゆつ)(たい)(なん)となく(ちから)なく、010(おのづか)軽侮(けいぶ)(ねん)(ただよ)はざるを()なかつた。011テーリスは四辺(あたり)見廻(みまは)(ひと)()きを()独言(ひとりごと)
012テーリス『アヽ(いま)此処(ここ)飄然(へうぜん)として(あら)はれたまひし宣伝使(せんでんし)(しよう)する白髪(はくはつ)老人(らうじん)は、013(はた)して何神(なにがみ)化身(けしん)であつたか。014(ただし)何教(なにけう)有力(いうりよく)なる宣伝使(せんでんし)であつたか。015(じつ)(その)教訓(けうくん)大神(おほかみ)示現(じげん)(ごと)くに(かん)じられた……(おも)へば(おも)へば(われ)(いま)まで、016(なん)()誤解(ごかい)をして()たのであらう。017幼年(えうねん)(ころ)より無抵抗(むていかう)主義(しゆぎ)三五教(あななひけう)(みち)()きながら、018(かみ)大御心(おほみこころ)忘却(ばうきやく)し、019(ばう)(たい)するに(ばう)をもつてし、020悪魔(あくま)憑依(ひようい)せる竜雲(りううん)討伐(たうばつ)せむとしたる(わが)(こころ)(おろか)さよ、021(いな)無残(むざん)さや。022(へい)所謂(いはゆる)凶器(きやうき)である。023(さき)(ごろ)一挙(いつきよ)にして(かれ)竜雲(りううん)討伐(たうばつ)せむとし、024数多(あまた)部下(ぶか)武装(ぶさう)()らさせ、025神地城(かうぢじやう)表門(おもてもん)より闖入(ちんにふ)し、026(てき)()(なや)まさむとして(かへつ)味方(みかた)(きず)つけ(ころ)したる(こと)027(かへ)(がへ)すも迂愚(うぐ)骨頂(こつちやう)028(せつ)(せつ)なるもの、029()いても(およ)ばぬ殺生(せつしやう)をしたものだ。030如斯(かくのごとく)部下(ぶか)人命(じんめい)(そん)し、031天地(てんち)(かみ)愛児(あいじ)(ころ)したる大罪人(だいざいにん)032如何(いか)でか(かれ)竜雲(りううん)討伐(たうばつ)する(こと)()む。033竜雲(りううん)如何(いか)無道(むだう)なればとてタールチン、034キングス(ひめ)(その)()人々(ひとびと)牢獄(らうごく)(とう)(くる)しめたれども、035相当(さうたう)飲食(いんしよく)(あた)へ、036()身体(しんたい)危害(きがい)(およ)ぼさざりしは(じつ)見上(みあ)げたやり(かた)である。037(われ)(かれ)(まさ)りて豺狼(さいらう)(こころ)(ふか)く、038(わう)(おも)ひ、039(かれ)(にく)むの(あま)り、040竜雲(りううん)(したが)悪人(あくにん)どもを片端(かたつぱし)より鏖殺(おうさつ)国家(こくか)(わざはひ)()たむとして、041(かへ)つて(てき)(いち)(にん)をも(きず)つくる(こと)()ず、042味方(みかた)三分(さんぶ)(まで)死傷(ししやう)(しやう)じたるは(まつた)(てん)(いまし)めならむ。043(かみ)(おもて)(あら)はれて(ぜん)(あく)とを()()けたまふとは(この)(こと)であらう。044竜雲(りううん)(また)天地(てんち)()れざる大罪人(だいざいにん)なれども(われ)(また)(かれ)(おと)らざる大罪人(だいざいにん)なり。045(しか)るに忠臣(ちうしん)義士(ぎし)自任(じにん)して討伐(たうばつ)(くはだ)てたる(わが)(こころ)(あさ)はかさよ。046(かれ)老人(らうじん)言葉(ことば)(なか)自負心(じふしん)脱却(だつきやく)せよ! と(ちから)()(をし)へられたのは(この)(こと)であらう。047(かみ)一片(いつぺん)依怙(えこ)贔屓(ひいき)もない。048(すべ)世界(せかい)人類(じんるゐ)(はじ)め、049森羅(しんら)万象(ばんしやう)平等(べうどう)(てき)(あい)したまふ、050()かる仁慈(じんじ)大御心(おほみこころ)(さと)らず、051自分(じぶん)免許(めんきよ)(まこと)(たて)に、052竜雲(りううん)にも(おと)罪悪(ざいあく)(おこな)はむとし、053得々(とくとく)として(へい)(やしな)()()()たる(この)(はづ)かしさ。054サガレン(わう)(はじ)め、055(われ)()にして(しん)(かみ)大御心(おほみこころ)(さと)り、056(かみ)(かな)へる(まこと)(つく)さば、057無限(むげん)絶対力(ぜつたいりよく)(かみ)如何(いか)でか(これ)(たす)けたまはざらむや。058アヽ(あやま)れり(あやま)れり……(くに)大御祖(おほみおや)国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)059豊国姫(とよくにひめの)大神(おほかみ)060(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)061(ゆる)させたまへ! 惟神(かむながら)(たま)()はへませ……』
062(なみだ)にかき()れながら祈願(きぐわん)(とき)(うつ)す。
063 ()かる(ところ)へエームスは危険(きけん)(きは)まる岩壁(がんぺき)(つた)ひ、064サガレン(わう)(したが)ひ、065(この)(やかた)(まへ)にいそいそとして()(きた)り、066四辺(あたり)をキヨロキヨロ見廻(みまは)し、067以前(いぜん)老人(らうじん)姿(すがた)()えざるに不審(ふしん)(いだ)きながらテーリスに(むか)ひ、
068エームス『オー、069テーリス殿(どの)070(わう)(さま)をお(むか)(まを)して(まゐ)つた。071()老人(らうじん)はどこに()られますかな』
072 テーリスは(いま)(まで)万感(ばんかん)交々(こもごも)(むね)(うか)んで悔悟(くわいご)(なみだ)にくれ、073(わが)()此処(ここ)にあるをも(ほとん)(わす)れて()たが、074エームスの(この)(こゑ)に、075ハツ()()いたやうに四辺(あたり)見廻(みまは)し、076サガレン(わう)()(うやうや)しく(かしら)()一礼(いちれい)(をは)つて、
077テーリス『サガレン(わう)(さま)078アーよくこそ()光臨(くわうりん)(くだ)さいました。079異様(いやう)老人(らうじん)飄然(へうぜん)として此処(ここ)(あら)はれ、080種々(しゆじゆ)(たふと)教訓(けうくん)()れさせられ、081テーリスも(いま)(まで)()今更(いまさら)(ごと)悔悟(くわいご)(いた)しました……唯今(ただいま)(わう)(さま)()出臨(しゆつりん)になるから、082しばらく()つて(くだ)さい……と百方(ひやつぱう)(れい)(つく)してお(ねが)(いた)しましたが、083無住(むぢゆう)居士(こじ)名乗(なの)老人(らうじん)は……(われ)天下(てんか)宣伝使(せんでんし)だから、084一刻(いつこく)のタイムも空費(くうひ)する(わけ)には()かない……と()つて、085何程(なにほど)()(まを)してもお()()れなく、086(そで)(はら)つて電光(でんくわう)石火(せきくわ)(ごと)()(かへ)つて仕舞(しま)はれました。087折角(せつかく)此処迄(ここまで)()(くだ)さいまして、088(まこと)申上(まをしあ)げやうもなき不都合(ふつがふ)なれども、089何卒(なにとぞ)(ゆる)しを(ねが)()げまする』
090サガレン(わう)老人(らうじん)言葉(ことば)(なんぢ)()(ところ)があつたか、091参考(さんかう)のためわれに詳細(しやうさい)(つた)へて()れないか』
092テーリス『お言葉(ことば)(まで)御座(ござ)いませぬ』
093と、094以前(いぜん)老人(らうじん)(をしへ)諄々(じゆんじゆん)として、095一言(ひとこと)()らさず(わう)(まへ)上申(じやうしん)するに、096(わう)(かうべ)(かたむ)(うで)()み、097しばし思案(しあん)()れけるが、098(やうや)くにして(かうべ)上下(じやうげ)幾度(いくど)となくふり、
099サガレン王()(ほど)! ()(ほど)!』
100()ひながら、101落涙(らくるゐ)滂沱(ぼうだ)として腮辺(しへん)(つた)ふ。
102エームス『(われ)()老人(らうじん)(をしへ)()いて、103(こころ)(そこ)より悔悟(くわいご)せし(うへ)は、104もはや物々(ものもの)しき武術(ぶじゆつ)修練(しうれん)必要(ひつえう)なし。105(ただ)天地(てんち)惟神(かむながら)大道(だいだう)(のつと)り、106皇神(すめかみ)仁慈(じんじ)無限(むげん)なる大御心(おほみこころ)(かむ)(なら)ひ、107(あい)(まこと)とを第一(だいいち)武器(ぶき)として(たたか)はむ。108テーリス殿(どの)109如何(いかが)思召(おぼしめ)さるるや』
110テーリス(わう)(さま)にして()同意(どうい)(くだ)さらば、111唯今(ただいま)(かぎ)武術(ぶじゆつ)練習(れんしふ)廃止(はいし)し、112()第一(だいいち)着手(ちやくしゆ)として御魂磨(みたまみが)きにかかりませう』
113憮然(ぶぜん)として(かた)る。114サガレン(わう)莞爾(くわんじ)としてエームスを(ともな)ひ、115(ふたた)(もと)岩窟(がんくつ)()(かへ)()く。
116 (あと)にテーリスは、117武術(ぶじゆつ)修練場(しうれんば)()(あら)はれ、118(やや)(たか)(ところ)直立(ちよくりつ)して一同(いちどう)(むか)ひ、
119テーリス今日(こんにち)唯今(ただいま)より武術(ぶじゆつ)修練(しうれん)全廃(ぜんぱい)すべし。120(なんぢ)()(わう)(めい)(したが)ひ、121今日(こんにち)唯今(ただいま)より(こころ)(きよ)め、122()(きよ)め、123仁慈(じんじ)無限(むげん)大神(おほかみ)大御心(おほみこころ)拝戴(はいたい)し、124(まこと)(ひと)つの修業(しうげふ)をなせ!』
125厳然(げんぜん)として()(わた)したるに、126一同(いちどう)(なか)より(もつと)撃剣(げきけん)上達(じやうたつ)したる、127チールと()(をとこ)128テーリスの(まへ)(あら)はれ(きた)り、
129チール『これはこれは、130師匠(ししやう)(さま)のお言葉(ことば)とも(おぼ)えず、131大敵(たいてき)(まへ)(ひか)へながら、132肝腎要(かんじんかなめ)武術(ぶじゆつ)廃止(はいし)したまふは何故(なにゆゑ)ぞ。133武術(ぶじゆつ)はもつて(くに)(まも)るもの、134国家(こくか)実力(じつりよく)武術(ぶじゆつ)をもつて第一(だいいち)とす。135(しか)るに(なに)血迷(ちまよ)つてか、136(かく)(ごと)命令(めいれい)(はつ)せらるるや』
137と、138(いき)(はづ)ませ、139(すこ)しく怒気(どき)()びて言葉(ことば)せはしく()()つた。140テーリスは冷然(れいぜん)として(こた)ふるやう、
141テーリス『つらつら(かんが)ふれば、142(あめ)(した)には(てき)もなければ味方(みかた)もなし。143(すべ)ての(てき)(みな)吾々(われわれ)(こころ)より発生(はつせい)し、144次第(しだい)成長(せいちやう)して(つひ)には(わが)()(ほろ)ぼすに(いた)るものである。145(こころ)慈悲(じひ)日月(じつげつ)(かがや)(わた)(とき)は、146天地(てんち)清明(せいめい)にして一点(いつてん)暗雲(あんうん)もなければ混濁(こんだく)もない。147(すべ)(てき)()味方(みかた)()ふも、148(こころ)(まよ)ひから(しやう)ずるのだ』
149(こと)()げに()(はな)つを、150チールは、
151チール(あふ)せの(ごと)個人(こじん)としての(てき)は、152(こころ)()ちやう(ひと)つに()つて自然(しぜん)消滅(せうめつ)するでせう。153さりながら、154(おそ)(おほ)くも神地(かうぢ)(みやこ)神司(かむづかさ)155サガレン(わう)(むか)つて反逆(はんぎやく)(くはだ)てたる大悪人(だいあくにん)竜雲(りううん)なるものは、156(わう)(てき)ではありませぬか。157吾々(われわれ)(わう)忠良(ちうりやう)なる臣下(しんか)として、158どうして(これ)看過(かんくわ)する(こと)出来(でき)ませうか。159何卒(なにとぞ)()再考(さいかう)をお(ねが)(いた)します』
160テーリス()(ほど)(なんぢ)()(ごと)く、161竜雲(りううん)(じつ)悪逆(あくぎやく)無道(むだう)曲者(くせもの)にして、162主君(しゆくん)(ため)には(だい)仇敵(きうてき)だ。163臣下(しんか)分際(ぶんざい)として(これ)看過(かんくわ)するは所謂(いはゆる)(しん)(みち)(そむ)くものである。164とは()へ、165如何(いか)竜雲(りううん)暴悪(ばうあく)非道(ひだう)なりとは(いへど)も、166(この)(はう)より大慈(だいじ)大悲(だいひ)至誠(しせい)をもつて(かれ)(あた)らむか、167(かなら)ずやその仁慈(じんじ)(むち)()たれて、168(こころ)(そこ)より(わう)(まつろ)ひまつり、169(いま)(まで)(つみ)(しや)忠実(ちうじつ)なる臣下(しんか)となりて(つか)ふるは(けつ)して難事(なんじ)ではない。170吾々(われわれ)にして(かれ)竜雲(りううん)(ごと)悪人(あくにん)言向(ことむ)(やは)し、171悔悟(くわいご)せしむる(こと)()ずとすれば、172これ(まつた)(まこと)()らざるものである。173如何(いか)なる悪魔(あくま)といへども、174大慈(だいじ)大悲(だいひ)大神(おほかみ)御心(みこころ)奉戴(ほうたい)し、175至誠(しせい)至実(しじつ)(むね)とし()(むか)(とき)は、176(かなら)ずや(よろこ)(いさ)んで、177感謝(かんしや)とともに(したが)ひまつるは、178()()るよりも(あきら)かならむ。179()()武術(ぶじゆつ)(おも)(とど)まり、180一刻(いつこく)(はや)(たま)(みが)けよ』
181(ふたた)宣示(せんじ)した。
182チール『(なに)()もあれ、183知識(ちしき)(くら)吾々(われわれ)184長者(ちやうじや)(げん)(したが)ふより(みち)はありませぬ。185何卒(なにとぞ)十二分(じふにぶん)()注意(ちうい)をもつて、186(わう)(ため)(つく)されむ(こと)希望(きばう)(いた)します』
187テーリス『(しか)らばいよいよ唯今(ただいま)(かぎ)り、188(この)道場(だうぢやう)稽古(けいこ)廃止(はいし)して、189御魂磨(みたまみが)きの神聖(しんせい)なる道場(だうぢやう)(いた)します。190ついては、191(いま)(この)列座(れつざ)(なか)竜雲(りううん)密使(みつし)として、192(わう)(その)()有志(いうし)捕縛(ほばく)せむと表面(へうめん)帰順(きじゆん)(よそほ)(きた)れるヨール、193ビツト(ほか)(さん)(にん)(たい)し、194今夜(こんや)()(こく)()して誅戮(ちうりく)(くは)へむ計劃(けいくわく)なりしも、195至仁(しじん)至愛(しあい)大神(おほかみ)大御心(おほみこころ)(かむ)(なら)ひ、196唯今(ただいま)(かぎ)(その)(つみ)(ゆる)すべし。197ヨール、198ビツト以下(いか)(さん)(にん)199(はや)(この)()()()つて神地(かうぢ)(やかた)立帰(たちかへ)れ』
200宣示(せんじ)するや、201ヨール(ほか)()(にん)はテーリスの(まへ)(おそ)(おそ)(あらは)(きた)り、202大地(だいち)平伏(へいふく)し、
203ヨール唯今(ただいま)無抵抗(むていかう)主義(しゆぎ)御教(みをしへ)204仁慈(じんじ)のお(こころ)(かん)じ、205吾々(われわれ)はもはや竜雲(りううん)(つか)ふる(こと)断念(だんねん)(いた)しました。206(つみ)(ふか)悪人(あくにん)なれども、207何卒(なにとぞ)(ひろ)(こころ)見直(みなほ)()(なほ)(くだ)さいまして、208貴方(あなた)がたの弟子(でし)(うち)()(くは)(くだ)さらば、209(この)(うへ)なき有難(ありがた)仕合(しあは)せに(ぞん)じます。210嗚呼(ああ)(なん)として吾々(われわれ)(かか)悪人(あくにん)()(へつら)ひ、211恩顧(おんこ)()けし(わう)(さま)刃向(はむか)はむとせしや。212(おも)へば(おも)へば(じつ)(わが)(こころ)(きたな)さが(はづ)かしくなつて(まゐ)りました。213何卒(なにとぞ)(いま)(まで)()無礼(ぶれい)はお(ゆる)(くだ)さいまして、214()()ての(ほど)(ひとへ)(こひねが)(あげ)(たてまつ)ります』
215誠心(まごころ)(おもて)(あらは)して、216(なみだ)ながらに懺悔(ざんげ)する(その)しをらしさ。217ヨールは()(あが)り、218一同(いちどう)(なか)()つて述懐(じゆつくわい)(うた)ふ。
219ヨール(かみ)(おもて)(あら)はれて
220善神(ぜんしん)邪神(じやしん)委曲(まつぶさ)
221()()けたまふ(とき)()
222邪非道(よこしまひだう)竜雲(りううん)
223(ひげ)(ちり)(はら)ひつつ
224()栄達(えいたつ)一向(ひたすら)
225(いそ)ぎし(あま)(かしこ)くも
226恩顧(おんこ)()けし神司(かむづかさ)
227サガレン(わう)(おん)(まへ)
228(きたな)(こころ)(あらは)して
229(つみ)さへ(ふか)谷道(たにみち)
230行幸(みゆき)()ちて(とら)へむと
231(いきほ)ひこんで(きた)りたる
232(まが)(こころ)(おそ)ろしさ
233()かる(たふと)仁愛(じんあい)
234(かみ)(つかさ)()らずして
235(こころ)(きたな)曲神(まがかみ)
236()(へつら)ひし(あさ)はかさ
237万死(ばんし)()すべき(わが)(つみ)
238(きた)めたまはず惟神(かむながら)
239(まこと)(みち)()(しめ)
240(ゆる)したまひし有難(ありがた)
241かかる(たふと)きバラモンの
242(かみ)(つかさ)()れませる
243(きみ)をば()てていづくんぞ
244曲津(まがつ)のかかりし竜雲(りううん)
245(したが)ひまつる(こと)()
246(かみ)(つかさ)のテーリスよ
247(われ)()()(にん)(こころ)より
248()(あらた)めてバラモンの
249(かみ)(をしへ)(かむ)(なら)
250サガレン(わう)真心(まごころ)
251(かぎ)りを(つく)()(つく)
252(ほね)(こな)にし()(くだ)
253(この)(おん)(きみ)(ため)ならば
254仮令(たとへ)(かばね)(かぜ)(すさ)
255荒野(あらの)(はら)(さら)愛世版「曝」すとも
256(うみ)藻屑(もくづ)となるとても
257などか(いと)はむ敷島(しきしま)
258(まこと)(こころ)(あらは)して
259(きよ)(ただ)しく(つか)ふべし
260あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
261御霊(みたま)(さち)はひましまして
262(われ)()宿(とま)曲神(まがかみ)
263伊吹(いぶき)狭霧(さぎり)()(はら)
264(すく)はせたまへ天津(あまつ)(かみ)
265国津(くにつ)御神(みかみ)(おん)(まへ)
266(つつし)(をろが)(たてまつ)
267朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
268(つき)()つとも()くるとも
269仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
270(すめ)大神(おほかみ)(おん)(みち)
271仁慈(じんじ)(きみ)(おん)(ため)
272(つく)しまつらむ(かみ)(まへ)
273(たしか)(ちか)(たてまつ)
274あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
275御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
276(うた)(をは)り、277テーリスに(むか)つてわが改心(かいしん)次第(しだい)()()てる。
278 テーリスはさも愉快(ゆくわい)げに、279ヨール(ほか)()(にん)(むか)慇懃(いんぎん)(まこと)(みち)()(さと)し、280一同(いちどう)部下(ぶか)(たい)しても一場(いちぢやう)訓戒(くんかい)()れ、281これより日夜(にちや)魂磨(たまみが)きに浮身(うきみ)(やつ)し、282(かみ)(すく)ひを(もと)むる(こと)となりぬ。
283大正一一・九・二二 旧八・二 加藤明子録)

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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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