霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 一目翁(ひとつめをう)〔一〇〇五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻 篇:第3篇 神地の暗雲 よみ:こうじのあんうん
章:第17章 第36巻 よみ:ひとつめおう 通し章番号:1005
口述日:1922(大正11)年09月23日(旧08月3日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
門番のシールは、ベスの帰りと報告を待っていた。ベスは戻ってきたが、シールの問いかけにはぐらかして答え、さっぱり要領を得ない。シールはベスに酒を勧める。
シールの思惑通りベスは酒に酔って、竜雲やケールス姫に口止めされていたにもかかわらず、テールがサガレン王軍襲来の夢を見てから騒ぎをやらかしたことをしゃべってしまった。
シールとベスは酔ってかみ合わない雑談を続けている。その中でシールは竜雲たち上層部の悪逆無道を憂いベスに問いかけるが、ベスは気楽に仕えていればよいとはぐらかす。
すると門前に宣伝歌が聞こえてきた。宣伝歌は神の正道は永遠に変わらないと歌い、一時の欲に踏み迷い、今は勢いの強い竜雲の勢いもたちまち色あせて滅びは近いと予言し、心の立て直しを説いていた。
シールとベスは酔って朦朧としながらも宣伝歌の声に胸も刺さる心地がして門を開くと、白髪異様の老人が左手に太い杖をつき、右手に扇を握って厳然と仁王立ちになっていた。
シールは老人の片目の異様な姿に驚きながらも、竜雲を諫めようとしても無駄だから、帰ったがよかろうと洒落を交えて声をかけた。老人はシールの問いかけに大笑いし、門番にしてこれほどの粋人ならば、竜雲の城はさぞかし上下一致しているだろうと感心した。そして、飲めよ騒げよ一寸先は闇よ、とウラル教の宣伝歌の一節を歌った。
ベスは面白い老人がやってきたと、奥に通して城内の空気を払ってもらおうと注進に行った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3617
愛善世界社版:176頁 八幡書店版:第6輯 645頁 修補版: 校定版:182頁 普及版:77頁 初版: ページ備考:
001 神地(かうぢ)(しろ)表門(おもてもん)番人(ばんにん)シールは、002(ただ)一人(ひとり)チビリチビリと(さけ)(かたむ)けながら、003奥殿(おくでん)(すす)()つたるベスの(かへ)りを(いま)(おそ)しと()()たり。004かかる(ところ)へニコニコとして()(かへ)(きた)りしベスの(かほ)()るより()みつく(やう)(いそが)しく、
005『オイ、006ベス、007如何(どう)だつたい。008大奥(おほおく)首尾(しゆび)はイヤ様子(やうす)は……』
009大山(たいざん)鳴動(めいどう)して鼠一匹(ねずみいつぴき)だ。010何事(なにごと)ならむと()をかため、011(おそ)()もなく竜雲王(りううんわう)奥殿(おくでん)(しの)()り、012ケールス(ひめ)(さま)のあの御様子(ごやうす)にては何事(なにごと)大事変(だいじへん)突発(とつぱつ)せしかと(うかが)()れば、013(あに)(はか)らむや、014平穏(へいおん)無事(ぶじ)015天下(てんか)太平(たいへい)016国土成就(こくどじやうじゆ)017四民(しみん)安堵(あんど)018瑞祥(ずゐしやう)()殿内(でんない)(みなぎ)(わた)り、019(とこ)(かざ)られた福禄寿(げほう)置物(おきもの)が……ベスさまお(はや)う……と(こし)(かが)めて挨拶(あいさつ)をして()ると()長閑(のどか)さだつたよ。020(はや)(この)(うへ)一言(いちごん)口外(こうぐわい)出来(でき)ない。021()づこれが(おれ)使命(しめい)だ。022アハヽヽヽ』
023『そんな(こと)如何(どう)して全権(ぜんけん)公使(こうし)(つと)まるか。024(すこ)戦況(せんきやう)詳細(しやうさい)報告(はうこく)(いた)さぬかい』
025報告(はうこく)しようにも(じつ)(ところ)仕方(しかた)がないのだ。026サツパリアフン(ちう)(まよ)つて(しま)つた。027驚異(きやうい)面相(めんさう)遺憾(ゐかん)なく陳列(ちんれつ)してある羅漢堂(らかんだう)(のぞ)いて()(やう)なものだつた。028されども明智(めいち)(それがし)029黒雲(こくうん)(ふか)(つつ)みたる不可解(ふかかい)事実(じじつ)も、030遺憾(ゐかん)なく道破(だうは)して()たのだから(えら)いものだらう。031(なん)()つても明敏(めいびん)頭脳(づなう)()(ぬし)だから、032(すべ)ての事実(じじつ)核心(かくしん)()れるのは(この)ベスに(かぎ)つて()るワイ、033ウフヽヽヽフツフ。034アヽ、035小便(せうべん)(だい)タンクが(あふ)れて腎臓(じんざう)破裂(はれつ)しさうだ』
036()(なが)ら、037エチエチと(あや)しき足許(あしもと)にて便所(べんじよ)姿(すがた)(かく)す。038シールは(うで)()独語(ひとりごと)
039『マア、040(なん)(わけ)(わか)らぬ(こと)出来(でき)たのだらう。041ベスの(やつ)042一向(いつかう)不得要領(ふとくえうりやう)返答(へんたふ)ばかりを(なら)()肝腎(かんじん)問題(もんだい)(はづ)さうとつとめて()よる。043これには(なに)(ふか)(わけ)がなくてはならぬ。044(ひと)(うま)(さけ)(すす)めて()(つぶ)し、045(どろ)()かしてやらなくちや、046一通(ひととほ)りの料理(れうり)では駄目(だめ)だ。047背骨(せぼね)()()り、048(はら)(なか)(まで)(ひら)きにして、049鰌鍋(どぜうなべ)(やう)(なに)もかも暴露(ばくろ)させてやらうかナ』
050(つぶや)(なが)()つて()る。051ベスは(やうや)小用(こよう)()ませ(かへ)(きた)るを、
052シール『オイ、053チツと(さけ)でも(きこ)()したら如何(どう)だい。054()四辺(しへん)暗雲(あんうん)(つつ)まれ、055()(あつ)無風(むふう)地帯(ちたい)にあつては、056やり()れないぢやないか。057ドツと奮発(ふんぱつ)して鯨飲馬食(げいいんばしよく)洒落(しやれ)て、058(あつ)さを(しの)がうぢやないか。059ウラル(けう)(ふる)(をしへ)にも……()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)よ、060(やみ)(あと)には(つき)()る……と()つてあるからにや、061(さけ)さへ()めば屹度(きつと)御神慮(ごしんりよ)(かな)つて、062大空(おほぞら)陰鬱(いんうつ)(くも)()れ、063涼風(りやうふう)颯々(さつさつ)として(おもて)()き、064(てん)(あを)()(きよ)く、065(あま)岩戸(いはと)(びら)きが出来(でき)るであらうよ。066(さけ)なくて(なん)(おのれ)がナイスかなだ。067何程(なにほど)立派(りつぱ)なナイスの給仕(きふじ)でも、068(めし)ばつかりでは(はづ)まないからな。069(さけ)百薬(ひやくやく)(ちやう)だ、070(さけ)やつこすだ。071薬師如来(やくしによらい)だ、072般若湯(はんにやたう)だ、073甘露水(かんろすゐ)だ、074釈迦(しやか)だ、075イエスだ。076吾等(われら)天国(てんごく)(すく)大救世主(だいきうせいしゆ)盤古神王(ばんこしんわう)でもなければ常世神王(とこよしんわう)でもない。077()めば(ただち)(こころ)()()ち、078天国(てんごく)自由自在(じいうじざい)逍遥(せうえう)せしめ(たま)(くし)神様(かみさま)だ。079現実(げんじつ)天国(てんごく)(すく)(くだ)さる神様(かみさま)(わが)(まへ)出現(しゆつげん)ましますぞよ』
080『あまり(くし)(かみ)御厄介(ごやくかい)になると、081門番(もんばん)(やく)(おろ)そかになつて、082(めん)()(しよく)()頂戴(ちやうだい)せなくては、083ならなくなつて(しま)ふぞ。084チツと心得(こころえ)ねばなるまい』
085(さけ)用意(ようい)はもう()い。086これで沢山(たくさん)だ。087(この)(うへ)一滴(いつてき)()めない。088アヽえらく()うた……と()()した(とき)本当(ほんたう)(さけ)興味(きようみ)(おぼ)えた(とき)だ。089()ひられない(さけ)()めぬと()ふから、090(この)シールさまが()うしてお(まへ)(さけ)シールのだ。091アハヽヽヽ』
092 ベスは(のど)(むし)がキユーキユーと催促(さいそく)をして()る。093到頭(たうとう)(たま)らなくなつてシールの言葉(ことば)(したが)ひ、094度胸(どきよう)()ゑてグイグイと()(はじ)めた。095(たちま)(した)(もつ)()し、096(ちか)くに()つてさへ(その)言霊(ことたま)()()(がた)(まで)()つぱらつて(しま)つた。097()へば如何(いか)なる秘密(ひみつ)(しやべ)()てるは小人(せうじん)(つね)だ。
098 シールはベスを一寸(ちよつと)むかつかせ、099(その)(いきほひ)一切(いつさい)秘密(ひみつ)()かしてやらうと、100(やや)(こゑ)(たか)めて、
101『オイ、102ハベルの(たふ)103貴様(きさま)何時(いつ)までも(この)門番(もんばん)(つか)ハベル名物男(めいぶつをとこ)で、104()つてもよい(こと)はチツとも()はず、105()はいでも()(ひと)蔭口(かげぐち)()くハベル……オツトドツコイ(しやべ)代物(しろもの)だから、106今日(けふ)(なに)もかも(おれ)(まへ)白状(はくじやう)するのだ。107サア、108最前(さいぜん)復命(ふくめい)(つぶ)さに(わが)(まへ)陳列(ちんれつ)するのだぞ』
109『あんまり馬鹿(ばか)らしくて、110(はな)すだけの(じつ)価値(かち)がないのだよ。111テールの青二才(あをにさい)()112サガレン王様(わうさま)数多(あまた)軍勢(ぐんぜい)引率(ひきつ)れ、113(この)(やかた)()()(きた)(たま)ひし(ゆめ)()よつて、114竜雲様(りううんさま)やケールス(ひめ)(あは)てて報告(はうこく)しよつたのが(もと)で、115あの(やう)空騒(からさわ)ぎがオツ(ぱじ)まつたのだ。116あまり馬鹿(ばか)らしいから(たれ)にもこんな(こと)口外(こうぐわい)してはならないぞと、117ケールス(ひめ)(さま)から箝口令(かんこうれい)()かれて(しま)つたのだ。118(しか)秘密(ひみつ)何処迄(どこまで)秘密(ひみつ)だから、119天機(てんき)()らすべからず、120(この)(さき)諸君(しよくん)御推量(ごすゐりやう)(まか)すより仕方(しかた)がないのだ。121アハヽヽヽ』
122『オイ、123(おれ)一人(ひとり)(むか)つて、124諸君(しよくん)とは(なん)だ。125チト脱線(だつせん)ぢやないか』
126脱線(だつせん)するのも当然(たうぜん)だよ。127脱線(だつせん)(はじ)まつて脱線(だつせん)(をは)つたのだからな。128こんな(こと)(たれ)()いても(みな)唖然(あぜん)として(わら)ふにも(わら)はれない(こと)になる。129共鳴(きようめい)するものは(もり)(からす)(くらゐ)なものだ。130ケールス(ひめ)(さま)があの(うつく)しき身体(からだ)満艦飾(まんかんしよく)(ほどこ)して、131甲斐々々(かひがひ)しくも薙刀(なぎなた)小脇(こわき)にかい()み、132(あか)(すそ)をべらつかせ、133(しろ)(すね)(あら)はして……強敵(きやうてき)御座(ござ)んなれ……と立現(たちあら)はれ(たま)ひし(とき)(その)健気(けなげ)さ、134凛々(りり)しさ。135一目(ひとめ)(をが)んでも、136(むね)清涼水(せいりやうすゐ)注入(ちゆうにふ)した(やう)(かん)じがするぢやないか』
137『テールの近侍(きんじ)はそんな馬鹿(ばか)(こと)(まを)()げた以上(いじやう)は、138竜雲様(りううんさま)(いか)りに()れ、139屹度(きつと)手打(てう)ちになるだらうなア』
140『ならいでかい、141毎日(まいにち)日日(ひにち)手打(てう)ちを得意(とくい)になつて、142(ひめ)(さま)とケラケラ()(なが)続行(ぞくかう)して()られるではないか』
143(なん)(おれ)(いま)まで()らなかつた。144三十万年(さんじふまんねん)未来(みらい)(いん)紂王(ちうわう)姐己(だつき)(やう)悪逆(あくぎやく)無道(むだう)(よろこ)んで(あそ)ばすのか。145そんな暴君(ばうくん)(こころ)(やす)んじて(つか)へて()(こと)はチツと(かんが)へねばなるまいぞ。146(ひと)風向(かざなみ)(わる)ければ、147(すぐ)にお手打(てう)ちとやられちや(たま)らないからな。148オイ、149ベス、150それ(だけ)毎日(まいにち)手打(てう)ちをして(あと)如何(どう)(かた)づけて仕舞(しま)はれるのだらう。151()つから(この)(もん)(くぐ)つたお手打者(てうちもの)()(やう)だがのう』
152(なに)造作(ざうさ)があるものか、153(みな)雪隠(せつちん)(おと)して(しま)はれるのだ』
154雪隠(せついん)(なか)随分(ずゐぶん)沢山(たくさん)亡者(まうじや)だらうなア』
155(なん)()つても、156竜雲様(りううんさま)(ひめ)(さま)(はし)(さき)にひつかけて、157ツルツルと(くち)から()()んで(しま)はれるのだから(らち)()いものだ、158近侍(きんじ)奴等(やつら)()三角(さんかく)にして、159そばから(ゆび)をくはへて()()るさうだが、160(なん)()()かぬウドン代物(しろもの)ぢやないか』
161(なん)だい、162手打(てうち)とは蕎麦(そば)(こと)だつたか。163()らぬ(こと)(きつ)()()ましよつた、164ウフヽヽヽ。165(しか)しベスよ、166よく(かんが)へて()ると()(なか)()加減(かげん)なものだな。167(かみ)さま(かみ)さまと(あさ)から(ばん)まで、168下手(へた)調髪師(てうはつし)(やう)()つて御座(ござ)つたサガレン王様(わうさま)は、169大自在天(だいじざいてん)(さま)御保護(ごほご)もなく、170あんな(みぢ)めな()にお()ひなされ、171(いま)行方(ゆくへ)判然(はんぜん)せず、172何処(どこ)かの山野(さんや)()ちぶれて逍遥(さまよ)うて御座(ござ)るであらうが、173それに引換(ひきか)へ、174あんな没義道(もぎだう)(こと)をやつた竜雲(りううん)が、175ヌツケリコと王様(わうさま)気取(きど)りになつて、176(ひめ)(さま)相対(あひたい)し、177(あさ)から(ばん)まで手打(てうち)をしたり、178()()()うたり、179抱擁(はうよう)接吻(キツス)したり、180所在(あらゆる)体主霊従(たいしゆれいじう)(かぎ)りを(つく)して脂下(やにさが)つて御座(ござ)るのは、181コレは(また)(なん)とした()(なか)矛盾(むじゆん)であらうか。182(おれ)ヤもうこれを(おも)へば(この)()(なか)大自在天(だいじざいてん)もなければ、183盤古神王(ばんこしんわう)()のみあつて、184(その)(じつ)なきものと断定(だんてい)せざるを()なくなつて()たよ。185本当(ほんたう)無明暗黒(むみやうあんこく)()(なか)だ。186如何(どう)したらこれが(まこと)()(なか)になるだらうかな』
187『オイ門番(もんばん)分際(ぶんざい)としてそんな(だい)それた(こと)(さへづ)つて、188()しも竜雲様(りううんさま)のお(みみ)(たつ)したら如何(どう)する(つも)りだい。189チツと(たしな)まないか。190何程(なにほど)貴様(きさま)(こころ)(いら)ち、191忙殺的(ばうさつてき)足踏(あしぶ)みをして藻掻(もが)いた(ところ)で、192(けつ)して(その)意志(いし)万分一(まんぶんいち)貫徹(くわんてつ)するものでない。193門番(もんばん)門番(もんばん)らしく(うへ)(かた)評定(ひやうぢやう)をやめて、194おとなしく(あさ)から(ばん)まで此処(ここ)沈澱(ちんでん)するのが、195それが第一(だいいち)安全弁(あんぜんべん)だよ』
196『オイ、197ベス、198(まへ)竜雲様(りううんさま)将来(しやうらい)如何(どう)なると(かんが)へるか』
199俺達(おれたち)がそんな(こと)干渉(かんせう)する()けの権能(けんのう)()い。200()(かく)喉元(のどもと)這入(はい)つて、201(ひげ)(ちり)さへ(はら)つて()れば()いぢやないか。202(そで)(した)からも(まは)()可愛(かあい)いと()ふことがあるよ。203テールの(やつ)204(ちから)(なに)もない(くせ)(すば)しこく(まは)りよつて、205アレあの(とほ)り、206竜雲様(りううんさま)(まる)懐刀(ふところがたな)(やう)地位(ちゐ)()ち、207羽振(はぶ)りを()かして()よるぢやないか。208(くだ)らぬ道徳論(だうとくろん)(とら)へられて理窟(りくつ)(しやべ)つて()ると、209彼奴(あいつ)(あたま)(ふる)い、210時代遅(じだいおく)れだ、211(ひと)頭脳(づなう)のキルクを()いて(ふる)()をぬき()り、212(あたら)しく()()へて(いま)一度(いちど)(きた)()げてやらねば、213こんな寝息(ねいき)ものは夜店(よみせ)()した(ところ)で、214乞食(こじき)()つて()れないと()つて、215親切(しんせつ)頭脳(づなう)解剖(かいばう)をやられて(しま)ふよ。216()(かく)217人間(にんげん)自己(じこ)生活(せいくわつ)安全(あんぜん)にするのが第一(だいいち)だ。218(みち)()め、219(きみ)()め、220()()め、221(ひと)()(など)(うま)雅号(ががう)(おもて)使(つか)つて、222何奴(どいつ)此奴(こいつ)羊頭(やうとう)(かか)げて狗肉(くにく)()つてるのだから、223()(なか)()堕落(だらく)して(しま)つちや、224到底(たうてい)昔気質(むかしかたぎ)馬鹿正直(ばかしやうぢき)では、225牛馬(ぎうば)にだつて()(ころ)されて(しま)ふよ。226チツとシツカリせないと社会(しやくわい)無用物(むようぶつ)となつて(しま)はねばならぬからなア。227アハヽヽヽ』
228 ()(はな)(をり)しも、229何処(いづこ)ともなく門前(もんぜん)(ちか)くに宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(きこ)(きた)る。
230(かみ)(おもて)(あら)はれて
231善悪正邪(ぜんあくせいじや)()()ける
232(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
233(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
234(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
235直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
236()(あやま)ちは()(なほ)
237(たふと)(かみ)御教(おんをしへ)
238仮令(たとへ)天地(てんち)(かは)るとも
239(まこと)(ひと)つの正道(まさみち)
240ミロクの御世(みよ)(すゑ)(まで)
241堅磐常磐(かきはときは)(かは)らまじ
242一時(いちじ)(よく)()(まよ)
243()()()びて(くさ)るてふ
244(かたち)(うへ)御宝(みたから)
245(てん)より()けたる分霊(ぶんれい)
246(こころ)(くも)らせ()(けが)
247()らず()らずに()(くに)
248(そこ)(くに)へと()()きて
249(われ)(わが)()(くる)しめる
250世人(よびと)(なや)みを(すく)はむと
251天津御神(あまつみかみ)国津神(くにつかみ)
252(この)()(すく)生神(いきがみ)
253(をしへ)をもちて四方(よも)(くに)
254(みちび)(さと)宣伝使(せんでんし)
255此処(ここ)(あら)はれ(きた)りけり
256(いきほ)(つよ)竜雲(りううん)
257(いま)(さくら)花盛(はなざか)
258常世(とこよ)(はる)(たの)しみて
259不義(ふぎ)快楽(けらく)(ふけ)(をり)
260天津御空(あまつみそら)(たちま)ちに
261黒雲(くろくも)(おこ)りて無残(むざん)にも
262(あらし)となりて()()らす
263明日(あす)明後日(あさつて)来年(らいねん)
264百年(ひやくねん)千年(せんねん)(さき)(まで)
265(この)(まま)(さか)()くべしと
266(おも)(こころ)徒桜(あだざくら)
267(たちま)(つよ)夜嵐(よあらし)
268()ちたたかれて諸人(もろびと)
269もて(はや)されし(さくら)さへ
270(あらし)()りて老若(らうにやく)
271(あし)()まれる()(なら)
272因果応報(いんぐわおうはう)(たちま)ちに
273(めぐ)浮世(うきよ)有様(ありさま)
274()らず()らずに()(おく)
275曲津(まがつ)(わざ)(かな)しけれ
276あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
277御霊(みたま)(さち)はひましまして
278一日(ひとひ)(はや)竜雲(りううん)
279(こころ)()める曲神(まがかみ)
280(かみ)御水火(みいき)弥高(いやたか)
281(はら)はせ(たま)へケールス(ひめ)
282(きみ)(みこと)(まよ)ひをば
283科戸(しなど)(かぜ)のいと(きよ)
284(はら)(きよ)めて(もと)(ごと)
285(あか)(こころ)となさしめよ
286朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
287(つき)()つとも()くるとも
288仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
289(まこと)(ちから)()(すく)
290(まこと)(この)()(たから)ぞや
291(あく)身魂(みたま)一時(ひととき)
292(しげ)(さか)ゆる(こと)あるも
293天地(てんち)(かみ)(さと)()
294如何(いか)でか()れむ(まが)(つみ)
295(ほろ)ぼされむは()(あたり)
296(はや)(こころ)()(なほ)
297さすれば(かみ)汝等(なんぢら)
298(こころ)(ひそ)曲鬼(まがおに)
299(きた)(たま)ひて天地(あめつち)
300(かみ)御霊(みたま)になりませる
301(きよ)御霊(みたま)(さづ)けまし
302(この)()(たから)となさしめむ
303神世(かみよ)(はしら)となさしめむ
304あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
305御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
306(うた)(をは)ると(とも)に、307(はや)くも(うた)(ぬし)門前(もんぜん)姿(すがた)(あら)はしにけり。
308 シール、309ベスの両人(りやうにん)酔眼(すゐがん)朦朧(もうろう)としながら、310(この)宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(むね)()さるる(ごと)心地(ここち)して、311(おそ)(おそ)表門(おもてもん)をパツと(ひら)()れば、312白髪(はくはつ)異様(いやう)老人(らうじん)313左手(ゆんで)(ふと)(つゑ)をつき、314右手(めて)(あふぎ)(かた)(にぎ)り、315儼然(げんぜん)として仁王立(にわうだ)ちになつて()る。316シールは老人(らうじん)異様(いやう)姿(すがた)(おどろ)いて(した)(もつ)らしながら、
317『お(まへ)何処(どこ)(ぢい)さまか()らぬが、318今日(けふ)(この)(しろ)(やかた)公休日(こうきうび)だから(かへ)つて(くだ)され。319明日(あす)(また)日曜(にちえう)320明後日(あさつて)国際日(こくさいび)321(その)翌日(よくじつ)王様(わうさま)のお父様(とうさま)御命日(ごめいにち)322(その)(また)翌日(よくじつ)御誕生日(おたんじやうび)323(その)(また)翌日(よくじつ)はお(ひめ)(さま)御誕生日(おたんじやうび)だ。324さうして(その)(さき)役人(やくにん)(ども)誕生日(たんじやうび)両親(りやうしん)命日(めいにち)(つづ)くのだから、325何卒(どうぞ)(その)()(のぞ)いて()(くだ)され。326これ(だけ)機嫌(きげん)()般若湯(はんにやたう)(くら)()うて()(ところ)へ、327殺風景(さつぷうけい)独眼爺(ひとつめぢい)さまがやつて()ちや面白(おもしろ)くない。328(なん)とか竜雲様(りううんさま)悪心(あくしん)(なほ)してやらうと(おも)うて()()れたのだらうが到底(たうてい)駄目(だめ)だ。329そんな老爺心(らうやしん)(たれ)()くものはないから、330可惜口(あつたらぐち)(かぜ)()かすよりもトツトと(かへ)つた(はう)が、331(まへ)()めにお(とく)だ。332(もの)()へば(くちびる)(さむ)(あき)(かぜ)333サアサア()んだり()んだり』
334『アハヽヽヽ(なん)面白(おもしろ)門番(もんばん)もあつたものだな。335門番(もんばん)にしてこれ()けの粋人(すゐじん)()以上(いじやう)は、336随分(ずゐぶん)大奥(おほおく)百花爛漫(ひやくくわらんまん)たる天国(てんごく)光景(くわうけい)展開(てんかい)されて()るだらう。337和気(わき)靄々(あいあい)として上下一致(しやうかいつち)338(その)(たの)しみを(とも)にする竜雲(りううん)のやり(かた)339(まこと)(もつ)感服(かんぷく)(いた)りだ。340イヤもう(ひと)()うなくては(かな)はぬ。341()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)よ、342(やみ)(あと)には(つき)()る。343アハヽヽヽ』
344ベス『やア此奴(こいつ)面白(おもしろ)死損(しにぞこな)ひだ。345あまり大奥(おほおく)何々(なになに)だから、346(ひと)竜雲様(りううんさま)(まを)()げて、347城内(じやうない)空気(くうき)一洗(いつせん)して(もら)(こと)取計(とりはか)らふて()ませう。348これこれ老爺(おやぢ)どの、349其処(そこ)(しばら)()つて()ておくれ』
350『アハヽヽヽ(べつ)竜雲(りううん)返答(へんたふ)()つまでもなく、351(この)独眼老爺(ひとつめおやぢ)がどしどしと侵入(しんにふ)するであらう』
352ベス『アもしもし、353そんな(こと)をして(もら)つてはタヽヽ大変(たいへん)です。354(この)門番(もんばん)(たちま)今日(けふ)から足袋屋(たびや)看板(かんばん)足上(あしあが)りになつちや(たま)りませぬ、355愚図々々(ぐづぐづ)して()れば(くび)()びます。356何卒(どうぞ)大奥(おほおく)のお返事(へんじ)()いて()(まで)暫時(ざんじ)猶予(いうよ)(ねが)ひます。357門番(もんばん)門番(もんばん)としての職務(しよくむ)(かた)(まも)らねばなりませぬからな』
358『アハヽヽヽ、359前達(まへたち)はそれだから現代(げんだい)()れられないのだ。360あまり(つつし)んで門番(もんばん)(つと)めるものだから、361到頭(たうとう)大将(たいしやう)に……彼奴(あいつ)門番(もんばん)には(もつと)適当(てきたう)人物(じんぶつ)だ……と鑑定(かんてい)されて(しま)ひ、362一生一代(いつしやういちだい)(いや)しき門番(もんばん)(つと)めて()らねばならないのだ。363常世(とこよ)(くに)常世城(とこよじやう)門番(もんばん)は、364失敗(しつぱい)結果(けつくわ)抜擢(ばつてき)されて右守(うもり)(かみ)昇進(しようしん)したことがあるぞよ。365(この)()(なか)にお(まへ)(やう)馬鹿正直(ばかしやうぢき)(もの)が、366如何(どう)して生活(せいくわつ)完全(くわんぜん)(つづ)けて()(こと)出来(でき)るか。367さてもさても可憐相(かはいさう)腰抜男(こしぬけをとこ)だなア。368アハヽヽヽ』
369(かた)(ゆす)つて(おほ)きく(わら)ふ。
370シール『ヤア此奴(こいつ)中々(なかなか)(はな)せる(ぢい)さまだ。371一々(いちいち)肯綮(こうけい)(あた)名論卓説(めいろんたくせつ)()きよる。372オイ、373ベス、374仲々(なかなか)前途有望(ぜんというばう)だ。375(はや)大奥(おほおく)報告(はうこく)して()い。376屹度(きつと)ウラル(けう)だぞ……()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)よ……と()つたらう』
377ベス『オウさうだ。378此奴(こいつ)面白(おもしろ)い!』
379とベスは(あわただ)しく大奥(おほおく)さして(すす)()る。
380大正一一・九・二三 旧八・三 北村隆光録)
   
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