霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 火事蚊(くわじか)〔一〇四四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻 篇:第1篇 千万無量 よみ(新仮名遣い):せんまんむりょう
章:第7章 火事蚊 よみ(新仮名遣い):かじか 通し章番号:1044
口述日:1922(大正11)年10月15日(旧08月25日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
このころの大本初期の神がかりは実に乱雑極まるものであった。その上邪神のたくらみで、審神者もしばしば危険に陥ることがあり、到底筆舌に尽くせる状況ではなかったが、今日の研究者のために書き表しておくものとする。
福島寅之助らの邪神の神がかりは激しく、教祖様や喜楽を忌避して奥の間にこもり、別派のごとき様相を呈していた。あまりの狂態に、忍耐強い教祖様もついに箒で福島を掃きだし、叱りつけるほどであった。
しかし福島は大音声で教祖様や自分を怒鳴り散らす有様であった。福島の邪神の言を信じきった大勢の信者たちは、福島の後を追って上谷の修行場に行ってしまった。
後には大広間に、教祖様と自分と出口澄子が残された。自分は教祖様の命によって上谷に福島たち一行を追いかけて行った。すると、一行は福島について不動山に登って行ったという。後に残っていた黒田清子に狐がついて妄言を吐いていたので、審神するとコンコンと鳴きながら不動山に行ってしまった。
自分は不動山に登って一同の様子を陰に隠れて見ていた。神がかりになった四方春蔵や黒田清子が教祖様や自分の悪口を言い、早く改心させねば、と言っている。そして夕暮れの瓦屋の竈の煙を指して、神罰のために綾部の大広間を焼いた、上田はやけどをしながら火消しにかかっている、などと出鱈目を言う。
信者たちは、神がかりの福島に赦しを乞うている。そこで喜楽は、藪の中から怒鳴りつけ、福島たちの言動がまったくの偽りであることを説諭した。一同は綾部にいると思っていた自分が突然現れたので驚き混乱し、ほうほうの体で山を下りてきた。
喜楽は福島たちの神がかりがまったくの虚言であったことを暴き立てたので、信者たちも目を覚ますであろうと一人綾部に帰ってきた。しかし相変わらず邪神の言に惑わされて、足立氏、四方春蔵氏、中村竹蔵氏の三人を、喜楽追放の全権大使として綾部に送り込んできたのであった。
審神者は骨が折れるもので、正神界の神からはたいへんに愛されるが、これに反して邪神界の神からは忌み嫌われ、陰に陽に排斥されるものである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-02 13:40:25 OBC :rm3807
愛善世界社版:65頁 八幡書店版:第7輯 181頁 修補版: 校定版:65頁 普及版:32頁 初版: ページ備考:
001 (ひと)(さかん)なれば(てん)()ち、002(てん)(さだ)まつて(ひと)(せい)すとかや、003喜楽(きらく)一身(いつしん)一家(いつか)(なげう)つて、004審神者(さには)奉仕(ほうし)全力(ぜんりよく)(つく)すと(いへど)も、005(なに)()つても廿余(にじふよ)(めい)の、006(もと)より常識(じやうしき)()けた人物(じんぶつ)修行者(しうぎやうしや)発動(はつどう)したこととて、007どうにも()うにも鎮定(ちんてい)方法(はうはふ)がつかない。008正邪(せいじや)理非(りひ)分別(ふんべつ)もなく、009金光(こんくわう)教会(けうくわい)旧信者(きうしんじや)(ばか)りで、010迷信(めいしん)盲信(まうしん)との凝結(ぎようけつ)であるから、011到底(たうてい)審神者(さには)()(こと)聞入(ききい)れないのである。012(また)神懸(かむがかり)といふ(もの)(めう)なもので、013金光教(こんくわうけう)信者(しんじや)修行(しうぎやう)すれば金光教(こんくわうけう)(かみ)(うつ)つて()る。014どれもこれも(みな)金神(こんじん)(とな)へる。015天理教(てんりけう)信者(しんじや)修行(しうぎやう)すれば、016十柱(とはしら)(かみ)()名告(なの)つて(あら)はれる。017妙霊(めうれい)教会(けうくわい)信者(しんじや)修行(しうぎやう)すれば、018(また)妙霊(めうれい)教会(けうくわい)奉斎神(ほうさいしん)()名告(なの)つて(あら)はれて()る。019(その)(ほか)宗旨(しうし)々々(しうし)奉斎(ほうさい)主神(しゆしん)(かみ)(ぶつ)()名告(なの)つて、020いろいろの(れい)(あら)はれ(きた)るものである。021上谷(うへだに)修行場(しうぎやうば)では金光教(こんくわうけう)信者(しんじや)(ばか)りであつたから、022牛人(うしうど)金神(こんじん)だとか、023(たつみ)金神(こんじん)024天地(てんち)金神(こんじん)025土戸(つちど)金神(こんじん)026射析(いさく)金神(こんじん)などと、027(いづ)れも金神(こんじん)()名告(なの)るのであつた。028(また)竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)だとか、029(その)()竜神(りうじん)()(もつ)(あら)はれる(ふく)守護神(しゆごじん)沢山(たくさん)なものであつた。
030 今日(こんにち)大本(おほもと)修行(しうぎやう)()人間(にんげん)は、031大部分(だいぶぶん)中等(ちうとう)高等(かうとう)教育(けういく)()けた(ひと)(おほ)いから、032(この)(とき)のやうな(あま)脱線(だつせん)(てき)低級(ていきふ)(れい)(かか)つて()ない。033大本(おほもと)最初(さいしよ)034(すなは)明治(めいぢ)卅二(さんじふに)(ねん)(ごろ)神懸(かむがかり)といつたら、035(じつ)乱雑(らんざつ)(きは)まつたもので、036(まる)癲狂院(てんきやうゐん)(その)(まま)状態(じやうたい)であつた。037(その)(うへ)邪神(じやしん)奸計(たくみ)で、038審神者(さには)たる(もの)(しばしば)危険(きけん)地位(ちゐ)(おちい)(こと)があつて、039到底(たうてい)(ふで)(くち)(つく)せるやうな(こと)ではなかつた。040幽界(いうかい)事情(じじやう)(すこ)しも()らない人々(ひとびと)(この)物語(ものがたり)()んでも、041到底(たうてい)(しん)じられない(やう)(こと)(ばか)りであるが、042それでも事実(じじつ)事実(じじつ)として(あら)はして()かねば、043今後(こんご)斯道(しだう)研究者(けんきうしや)参考(さんかう)にならぬから、044()りし(まま)(つつ)まず(かく)さず、045何人(なんぴと)にも遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)なく、046口述(こうじゆつ)する(こと)にしました。
047 (ころ)明治(めいぢ)卅二(さんじふに)(ねん)048秋色(しうしよく)(やうや)(こま)やかな(とき)049金明会(きんめいくわい)広間(ひろま)では、050(れい)福島(ふくしま)051村上(むらかみ)052四方(しかた)春三(はるざう)053塩見(しほみ)054黒田(くろだ)先頭(せんとう)に、055日夜(にちや)間断(かんだん)なき邪神界(じやしんかい)襲来(しふらい)で、056教祖(けうそ)のいろいろの()(さと)しも、057喜楽(きらく)審神者(さには)(すこ)しも()()れぬのみか、058(かへつ)教祖(けうそ)喜楽(きらく)忌避(きひ)して、059福島(ふくしま)()(ごと)きは別派(べつぱ)となり、060広前(ひろまへ)(おく)()占領(せんりやう)し、061四方(しかた)062塩見(しほみ)063黒田(くろだ)(さん)(にん)修行者(しうぎやうしや)(とも)に、064奇妙(きめう)神懸(かむがかり)続行(ぞくかう)して()る。
065『お(とう)サン、066(ひさ)しぶりでお()にかかりました』
067『ヤア(わが)()であつたか、068()いたかつた……()たかつた……ヤア其方(そなた)(わが)(つま)か……』
069(わが)(をつと)御座(ござ)んすか、070(うしとら)金神(こんじん)さまが()にお()(あそ)ばした(とき)に、071(わたし)一所(いつしよ)(おと)されて、072親子(おやこ)兄弟(きやうだい)がチリヂリバラバラ、073時節(じせつ)(まゐ)りて、074(うしとら)金神(こんじん)さまのおかげで、075(ひさ)()りで夫婦(ふうふ)親子(おやこ)兄弟(きやうだい)対面(たいめん)(ゆる)して(もら)ひました。076あゝ有難(ありがた)勿体(もつたい)ない、077オーイオーイオーイアンアンアン』
078愁歎場(しうたんば)演出(えんしゆつ)してゐる。079(あま)りの狂態(きやうたい)に、080平素(へいそ)から忍耐(にんたい)(つよ)教祖(けうそ)も、081()むを()(はうき)(もつ)て、082福島(ふくしま)神懸(かむがかり)掃出(はきだ)し、
083教祖(けうそ)『お(まへ)金光教(こんくわうけう)守護(しゆご)する(れい)であらう。084(この)大本(おほもと)をかき(みだ)(ため)に、085福島(ふくしま)肉体(にくたい)()つて()(こと)は、086初発(しよつぱつ)から()()つて()る。087モウ()うなつては(ゆる)(こと)出来(でき)ぬから、088(いち)()(はや)退散(たいさん)せい』
089(きび)しく(しか)りつけられ、090半分(はんぶん)肉体(にくたい)(まじ)つた神懸(かむがかり)福島(ふくしま)は、091(おほ)いに立腹(りつぷく)し、
092福島(ふくしま)(この)(まこと)(うしとら)大金神(だいこんじん)さまのお(うつ)(あそ)ばした福島(ふくしま)寅之助(とらのすけ)を、093()見分(みわ)けぬやうな教祖(けうそ)(なん)になる。094勿体(もつたい)なくも(うしとら)金神(こんじん)生宮(いきみや)を、095(はうき)掃出(はきだ)したぞよ。096(また)上田(うへだ)小松林(こまつばやし)のやうなガラクタ(かみ)(うつ)つてゐるから、097(この)結構(けつこう)大神(おほかみ)()見分(みわ)けぬとは(こま)つたものであるぞよ。098(なん)(ため)審神者(さには)ぢや、099(わか)らぬといふても(ほど)があるぞよ。100サアサア(みな)神懸(かむがかり)(ども)101これから(うし)(とし)(うま)れた寅之助(とらのすけ)の、102(うしとら)大金神(だいこんじん)神力(しんりき)(つよ)いか、103出口(でぐち)上田(うへだ)神力(しんりき)(つよ)いか、104(しろ)(くろ)いを()けて()せてやるぞよ。105(この)(はう)()(とも)(いた)して上谷(うへだに)()いよ。106もし寅之助(とらのすけ)(まけ)たら(したが)うてやるが、107(この)(はう)()ちたら出口(でぐち)(なほ)上田(うへだ)も、108(まこと)(うしとら)金神(こんじん)(したが)はして、109家来(けらい)使(つか)うてやるぞよ。110今日(けふ)天晴(あつぱ)勝負(しようぶ)瀬戸際(せとぎは)であるぞよ。111(みな)神懸(かむがかり)よ、112一時(いつとき)(はや)上谷(うへだに)()けよ。113出口(でぐち)上田(うへだ)改心(かいしん)出来(でき)ぬから、114(いま)()をさまし改心(かいしん)(ため)に、115(かみ)出口(でぐち)(いへ)(はい)にして(しま)うぞよ。116それから町中(まちぢう)(その)(とほ)りぢやぞよ。117(あゝ)(まこと)()(どく)なものぢやぞよ。118人民(じんみん)(いへ)一軒(いつけん)()てるのにも、119中々(なかなか)並大抵(なみたいてい)(こと)ではないが、120(かみ)()(どく)でたまらぬぞよ。121これも出口(でぐち)(なほ)()(つよ)うて、122上田(うへだ)改心(かいしん)出来(でき)ぬからぢやぞよ』
123四辺(しへん)(ひび)大音声(だいおんじやう)にて呶鳴(どな)()らす。124喜楽(きらく)何程(なにほど)福島(ふくしま)神懸(かむがかり)正邪(せいじや)説明(せつめい)しても、125()かばこそ……、126自分(じぶん)(まこと)(うしとら)金神(こんじん)ぢや、127上田(うへだ)審神者(さには)(なに)()るものか……と、128(かた)(いか)らし、129(ひぢ)をはり、130威丈高(ゐたけだか)になつて、131神懸(かむがかり)役員(やくゐん)一統(いつとう)引連(ひきつ)れ、132韋駄天(ゐだてん)(ばし)りに(いち)()(あま)りの(みち)を、133上谷(うへだに)修行場(しうぎやうば)さして()つて(しま)つた。
134 出口(でぐち)教祖(けうそ)喜楽(きらく)澄子(すみこ)(さん)(にん)広前(ひろまへ)(のこ)して、135役員(やくゐん)神懸(かむがかり)悉皆(すつかり)136福島(ふくしま)にうつつた邪神(じやしん)妄言(ばうげん)(かた)(しん)じて、137上谷(うへだに)()つて(しま)つた。138喜楽(きらく)教祖(けうそ)(めい)()りて、139二三(にさん)時間(じかん)(ほど)()つてから、140中村(なかむら)竹造(たけざう)霊界物語における中村竹造の名前に「竹造」と表記している場合と「竹蔵」と表記している場合があるが、霊界物語ネットでは「竹造」に統一した。詳しくはオニペディアの「霊界物語第38巻の諸本相違点」を見よ(つま)中村(なかむら)菊子(きくこ)(ただ)二人(ふたり)で、141上谷(うへだに)四方(しかた)伊左衛門(いざゑもん)といふ(ひと)(いへ)修行場(しうぎやうば)出張(しゆつちやう)して()ると、142役員(やくゐん)神懸(かむがかり)(むら)(ひと)(たち)も、143老若(らうにやく)男女(なんによ)(わか)ちなく、144悉皆(しつかい)福島(ふくしま)について、145(たか)不動山(ふどうやま)(うへ)(あが)つて(しま)ひ、146あとには黒田(くろだ)清子(きよこ)野崎(のざき)篤三郎(とくさぶらう)とが修行場(しうぎやうば)留守(るす)をしてゐた。147そして黒田(くろだ)には悪狐(あくこ)(れい)(うつ)つて、148喜楽(きらく)()つたのも()らずに、149何事(なにごと)一人(ひとり)でベラベラと(しやべ)()てつつあつた。150野崎(のざき)(その)(そば)両手(りやうて)をついて、151おとなしく高麗狗(こまいぬ)(ぜん)として(かしこ)まつてゐた。152喜楽(きらく)(かほ)()るなり、153野崎(のざき)(おどろ)いて、154黒田(くろだ)清子(きよこ)耳打(みみうち)をすると、155黒田(くろだ)(たちま)ちに仰向(あふむ)けになつて、
156黒田(くろだ)上田(うへだ)()たか、157よく()けよ。158(この)(はう)勿体(もつたい)なくも素盞嗚(すさのをの)(みこと)であるぞよ。159(まへ)改心(かいしん)出来(でき)()めに、160()(どく)(なが)綾部(あやべ)金明会(きんめいくわい)(はい)にして(しま)うぞよ。161(まへ)(なに)しに()たのぢや、162(いち)()(はや)綾部(あやべ)(かへ)つて、163火事(くわじ)消防(せうばう)にかからぬか。164グヅグヅして()(とき)ではないぞよ、165千騎(せんき)一騎(いつき)(この)場合(ばあひ)でないか』
166とベラベラと際限(さいげん)もなく(しやべ)()てる。167喜楽(きらく)はいきなり、
168喜楽(きらく)『コラ野狐(のぎつね)169(なに)(ぬか)すか。170そんな(こと)があつてたまらうか。171コリヤ野狐(のぎつね)172正体(しやうたい)をあらはせ!』
173(うしろ)から()()んで『ウン』と(れい)をかけると、174清子(きよこ)(たちま)()(ばい)になつて、
175『コーンコン』
176()(なが)ら、177(いへ)裏山(うらやま)一目散(いちもくさん)()()した。178野崎(のざき)はビツクリして、179(あと)()つかけ、180(やうや)三町(さんちやう)(ばか)りの谷間(たにま)引捉(ひつとら)()れて(かへ)つて()ると、181清子(きよこ)正気(しやうき)になつたやうに()せて、
182黒田(くろだ)『あゝ上田(うへだ)先生(せんせい)183(まこと)にすまぬ(こと)(いた)しました。184モウこれからは、185福島(ふくしま)大先生(だいせんせい)(こと)()きませぬ。186(わたし)(あま)慢心(まんしん)をしてゐましたので、187不動山(ふどうやま)(きつね)がついてゐました。188あゝ(はづ)かしい残念(ざんねん)な』
189(かほ)(たもと)()しかくす。190喜楽(きらく)は、
191喜楽(きらく)『そんな(こと)にたばかられるものか、192(いつは)りを()ふな、193(その)()(のが)れの()(わけ)だ。194審神者(さには)()(にら)んだら間違(まちが)ひはあるまい。195()(だう)古狐(ふるぎつね)()!』
196とにらみつくれば、197(また)もや、
198『コンコン』
199()(なが)ら、200一目散(いちもくさん)不動山(ふどうやま)()して()げて()く。201(しばら)くすると、202(れい)祐助(いうすけ)()イサンが、203喜楽(きらく)(まへ)()(きた)り、
204祐助(いうすけ)上田(うへだ)先生(せんせい)205あんたは(また)しても神懸(かむがかり)サンを(しか)りなさつたさうだ。206(いま)黒田(くろだ)サンに素盞嗚(すさのをの)(みこと)さまがおうつりになつて、207(やま)(のぼ)つて()大変(たいへん)(おこ)つてゐやはりますで。208大広前(おほひろまへ)()神罰(しんばつ)()けるのも、209つまり先生(せんせい)()(つよ)いからで御座(ござ)います。210()イも一生(いつしやう)懸命(けんめい)になつて、211大難(だいなん)小難(せうなん)にまつり()へて(くだ)さいと、212(わび)(いた)して、213(うしとら)金神(こんじん)さまや神懸(かむがかり)さまに()(ねがひ)(まを)して()りますのに、214先生(せんせい)とした(こと)が、215三体(さんたい)大神(おほかみ)さまのお(かか)(あそ)ばした結構(けつこう)神懸(かむがかり)サンを、216野狐(のぎつね)だなんて仰有(おつしや)るから、217大神(おほかみ)さまが(もつ)ての(ほか)()立腹(りつぷく)218どうしても今度(こんど)(ゆる)しは(いた)さぬと仰有(おつしや)ります。219先生(せんせい)220()イが一生(いつしやう)(たの)みで御座(ござ)りますから、221黒田(くろだ)サンの(かみ)さまにお(わび)を、222(いま)(すぐ)にして(くだ)さりませ。223綾部(あやべ)()広前(ひろまへ)町中(まちぢう)大難(だいなん)になつてはたまりませぬから……』
224とブルブル(ふる)(なが)ら、225()(ごゑ)(をが)んで()る。226喜楽(きらく)は、
227喜楽(きらく)祐助(いうすけ)サン、228心配(しんぱい)するな、229(けつ)してそんな馬鹿(ばか)(こと)があるものか。230(まこと)(かみ)さまなら、231そんな無茶(むちや)(こと)はなさる(はず)がない。232(みな)曲津(まがつ)(かみ)出鱈目(でたらめ)()ふて()るのだ。233万一(まんいち)綾部(あやべ)にそんな大変事(だいへんじ)があるものなら、234自分(じぶん)上谷(うへだに)()(はず)がないぢやないか。235ジツクリと(もの)(かんが)へて()よ』
236(さと)せば、237()イサンは(すこ)しは安心(あんしん)したと()え、238(はじ)めて笑顔(ゑがほ)()せた。239喜楽(きらく)(ただち)不動山(ふどうやま)(のぼ)り、240数多(あまた)神懸(かむがかり)狂態(きやうたい)(えん)じて()るのを鎮定(ちんてい)せむと、241修行場(しうぎやうば)立出(たちい)でた。242()イサン(おどろ)いて、243喜楽(きらく)(そで)(ひか)え、
244祐助(いうすけ)先生(せんせい)245どうぞ(やま)()くのはやめにして、246これから(すぐ)綾部(あやべ)(かへ)つて(くだ)さい、247(あん)じられてなりませぬ。248(いま)先生(せんせい)(やま)(のぼ)られたら、249又々(またまた)福島(ふくしま)(かみ)さまが、250()立腹(りつぷく)なさると大変(たいへん)(ござ)ります』
251無理(むり)引止(ひきと)めようとする。252喜楽(きらく)懇々(こんこん)祐助(いうすけ)をさとし、253(やうや)くの(こと)納得(なつとく)させ、254中村(なかむら)菊子(きくこ)同道(どうだう)にて、255綾部(あやべ)立帰(たちかへ)らしめ、256喜楽(きらく)(ただ)一人(ひとり)雑木(ざふき)(しげ)(くさむら)をかきわけて不動山(ふどうやま)(のぼ)り、257(まつ)木蔭(こかげ)(かく)れて、258神懸(かむがかり)初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神憑り」。連中(れんちう)様子(やうす)(うかが)つてゐた。
259 福島(ふくしま)寅之助(とらのすけ)260四方(しかた)平蔵(へいざう)261足立(あだち)正信(まさのぶ)262(その)(ほか)一統(いつとう)連中(れんちう)は、263喜楽(きらく)間近(まぢか)()てゐる(こと)(ゆめ)にも()らず、264一心(いつしん)不乱(ふらん)になつて、
265福島(ふくしま)大先生(だいせんせい)さま、266(うしとら)大金神(だいこんじん)さま、267(いち)()(はや)教祖(けうそ)さまの()()れまして、268上田(うへだ)往生(わうじやう)(いた)しまして……綾部(あやべ)(いまし)めをお(ゆる)(くだ)さいませ、269仮令(たとへ)(わたし)(いのち)はなくなりましても、270教祖(けうそ)さまが(たす)かりなさりますように』
271一同(いちどう)涙交(なみだまじ)りに(たの)んでゐる。272四方(しかた)春三(はるざう)(こゑ)で、
273春三(はるざう)(みな)(もの)よ、274よく()け。275出口(でぐち)(なほ)金光(こんくわう)大神(だいじん)反対役(はんたいやく)であるぞよ。276上田(うへだ)のやうな(わる)(やつ)引張(ひつぱ)()んで、277金光(こんくわう)教会(けうくわい)(つぶ)したぞよ。278あの()広間(ひろま)(もと)金光(こんくわう)広間(ひろま)ぢやぞよ。279それに出口(でぐち)上田(うへだ)とがワヤに(いた)したぞよ。280(まこと)(うしとら)金神(こんじん)が、281今度(こんど)勘忍袋(かんにんぶくろ)()()れたから、282上田(うへだ)審神者(さには)(はう)()さねば、283何遍(なんべん)でも大広間(おほひろま)()いて(しま)ふぞよ。284四方(しかた)平蔵(へいざう)(また)同類(どうるゐ)ぢや、285出口(でぐち)(なほ)相談(さうだん)(いた)して、286上田(うへだ)をかくれて(むか)へに()きよつたぞよ。287出口(でぐち)上田(うへだ)平蔵(へいざう)(さん)(にん)(こころ)(あは)して、288金光(こんくわう)広間(ひろま)をつぶしたぞよ。289今度(こんど)改心(かいしん)して、290上田(うへだ)穴太(あなを)()ひかへせばよし、291何時(いつ)までも(その)(まま)(いた)してをるやうな(こと)なら、292(この)(かみ)(ゆる)さぬぞよ』
293などと、294もと金光教(こんくわうけう)信者(しんじや)(ばか)りが(あつ)まつて、295神懸(かむがかり)初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神憑」。(くち)攻撃(こうげき)をやる。296黒田(くろだ)きよ()(また)(くち)()つて、
297黒田(くろだ)足立(あだち)正信(まさのぶ)どの、298其方(そなた)(なん)心得(こころえ)()るのぞえ。299金光(こんくわう)教会(けうくわい)取次(とりつぎ)ではないか、300(いま)まで出口(でぐち)(かみ)(そば)二三(にさん)(ねん)もついて()(なが)ら、301上田(うへだ)のやうなガラクタ審神者(さには)に、302広間(ひろま)占領(せんりやう)しられて、303金光(こんくわう)どのへ(なん)申訳(まをしわけ)(いた)すのか。304上田(うへだ)行状(ぎやうじやう)()たかい。305彼奴(あいつ)は、306毎日(まいにち)々々(まいにち)朝寝(あさね)(いた)す、307昼前(ひるまへ)(おき)()て、308手水(てうず)もつかはぬ、309(ねこ)より(おと)つた(やつ)ぢやぞよ。310寝所(ねどこ)(なか)から(くび)(だけ)()して(めし)(くら)つたり、311(ちや)()んだり、312風呂(ふろ)這入(はい)つても(かほ)(ひと)(あら)(こと)()らず、313あんな道楽(だうらく)(やつ)を、314因縁(いんねん)身魂(みたま)ぢやから大切(たいせつ)にしてやれ、315教祖(けうそ)(まを)すのは、316チツと(もの)(わか)らぬぞよ。317教祖(けうそ)()をさますのは、318一番(いちばん)上田(うへだ)(はう)()すに(かぎ)るぞよ。319あとは金光教(こんくわうけう)足立(あだち)正信(まさのぶ)殿(どの)御用(ごよう)(いた)せば立派(りつぱ)(をしへ)()つぞよ。320あれあれ()やれよ、321(いま)綾部(あやべ)金明会(きんめいくわい)()けるぞよ。322(みな)(もの)よ、323あれを()やいのう』
324邪神(じやしん)(うつ)つて妄言(ばうげん)()いてゐる。325一同(いちどう)()(とほ)()はつて、326綾部(あやべ)(はう)(のぞ)可笑(おか)しさ。327(をり)ふし綾部(あやべ)上野(うへの)瓦屋(かはらや)があつて、328(かま)()()れて()るのが、329(ゆふ)ぐれの(やみ)(てら)して、330チヨロチヨロと()()した。331さうすると、
332黒田(くろだ)『サア大変(たいへん)ぢや大変(たいへん)ぢや、333出口(でぐち)(かみ)さまは(まこと)(もつ)てお()(どく)ぢやぞよ。334()心配(しんぱい)をして御座(ござ)るぞよ。335今頃(いまごろ)上田(うへだ)審神者(さには)一生(いつしやう)懸命(けんめい)になつて火傷(やけど)をし(なが)()()しにかかつて()るぞよ。336大分(だいぶ)にエライ火傷(やけど)(いた)して()るから、337今度(こんど)こそは神罰(しんばつ)(いのち)()られるぞよ。338(いま)出口(でぐち)(かみ)一生(いつしやう)懸命(けんめい)(いの)つてゐるぞよ、339ぢやと(まを)して(この)()中々(なかなか)()えは(いた)さぬぞよ。340綾部(あやべ)大火事(おほくわじ)となるぞよ。341(かみ)(まを)(こと)一分(いちぶ)一厘(いちりん)(ちがひ)(いた)さぬぞよ。342これが(ちが)うたら(かみ)(この)()()らぬぞよ。343慢心(まんしん)大怪我(おほけが)(もと)だぞよ。344慢心(まんしん)(いた)すと足許(あしもと)()がもえて()て……(あつ)うなるまで()がつかぬぞよ。345()けば()(ほど)(いばら)むろ、346()きも(もど)りもならぬよになるぞよ。347それそれあの()()やいのう』
348(さん)(にん)神懸(かむがかり)校定版では「神がかり」(くち)()る。349数多(あまた)村人(むらびと)神懸(かむがかり)初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神憑」。()(ごゑ)になり、
350福島(ふくしま)大先生(だいせんせい)(さま)351中村(なかむら)大先生(だいせんせい)(さま)352四方(しかた)大先生(だいせんせい)さま、353足立(あだち)大先生(だいせんせい)さま、354どうぞお(わび)をして(くだ)さいませ』
355()(あは)して(をが)んでゐる。356(とき)(まさ)(いち)(くら)み、357瓦屋(かはらや)()()えなくなつた。
358四方平蔵火事(くわじ)にしては()(ちひ)(すぎ)る。359(あま)()えるのが(はや)かつた。360これは福島(ふくしま)大先生(だいせんせい)さま、361どういふ(わけ)御座(ござ)いませうか……』
362(たづ)ねて()るのは四方(しかた)平蔵(へいざう)()であつた。363福島(ふくしま)横柄(わうへい)にかまへ(なが)ら、
364福島(ふくしま)『ウン、365(かみ)()仕組(しぐみ)広前(ひろまへ)一軒(いつけん)(だけ)犠牲(いけにえ)()いたぞよ。366(みな)(もの)綾部(あやべ)(かへ)つて、367出口(でぐち)()()らして、368上田(うへだ)(はう)()して(しま)へよ。369(その)(あと)(まこと)生粋(きつすゐ)(うしとら)金神(こんじん)が、370福島(ふくしま)寅之助(とらのすけ)大明神(だいみやうじん)(あら)はれて、371三千(さんぜん)世界(せかい)立替(たてかへ)(いた)すから、372天下(てんか)太平(たいへい)()(をさ)まりて、373大難(だいなん)小難(せうなん)にまつり()へて(ゆる)してやるぞよ。374何程(なにほど)人民(じんみん)がエライと(まを)しても(かみ)には()てぬぞよ。375(うたがひ)()らせよ。376(まこと)丑寅(うしとら)金神(こんじん)(まを)(こと)は、377毛筋(けすぢ)横巾(よこはば)(ほど)間違(まちが)ひはないぞよ。378改心(かいしん)(いた)さぬと足許(あしもと)から(とり)()ちて、379ビツクリ(いた)して()まひがくるぞよ。380改心(かいしん)するのは(いま)ぢやぞよ』
381呶鳴(どな)()らしてゐる。382(やみ)(とばり)はますます(ふか)()りて()た。383(はな)をつままれても(わか)らぬやうに(くら)い。384提灯(ちやうちん)もなければ、385上谷(うへだに)まで(かへ)(こと)出来(でき)(しん)(やみ)になつた。386村中(むらぢう)(もの)(いへ)(から)にして、387(のこ)らず此処(ここ)(のぼ)つて(しま)つて()つたが、388(やま)()りるにも()りられず、389途方(とはう)()れて『惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)』と合掌(がつしやう)してゐる。390其処(そこ)(くら)がりの(なか)から、391喜楽(きらく)(こゑ)として、
392喜楽(きらく)(なんぢ)()一統(いつとう)(もの)393(あま)慢心(まんしん)(つよ)(ゆゑ)邪神(じやしん)にたぶらかされ、394上田(うへだ)審神者(さには)(げん)(もち)ひず、395極力(きよくりよく)反対(はんたい)せし結果(けつくわ)は、396(いま)(なんぢ)()()(ごと)く、397足許(あしもと)から(とり)()つても(わか)るまい。398喜楽(きらく)数時間(すうじかん)以前(いぜん)から、399(この)(まつ)木蔭(こかげ)休息(きうそく)して、400(なんぢ)()暴言(ばうげん)暴動(ばうどう)(のこ)らず目撃(もくげき)してゐた。401(なんぢ)()(うつ)つた邪神(じやしん)は、402現在(げんざい)此処(ここ)()喜楽(きらく)()とめる(こと)出来(でき)ない盲神(めくらがみ)だ。403(また)綾部(あやべ)広前(ひろまへ)(けつ)して()けてはゐないぞ。404最前(さいぜん)()えた()(ひかり)は、405(やや)(だい)にして火事(くわじ)(たまご)()たれども、406あれは火事(くわじ)ではない、407上野(うへの)瓦屋(かはらや)(かま)()()れたのだ。408(なんぢ)()(いま)此処(ここ)()()まし、409()(あらた)めねば、410神罰(しんばつ)(たちま)(くだ)るであらう。411(げん)(この)山上(さんじやう)にさまようて、412帰路(きろ)暗黒(あんこく)413一寸(ちよつと)(すす)(あた)はざるは(かみ)懲戒(ちようかい)である。414(なんぢ)()一同(いちどう)(もの)415よく冷静(れいせい)(かんが)()よ。416万一(まんいち)広前(ひろまへ)()けるものと(おも)へば、417何故(なにゆゑ)大神(おほかみ)御霊(みたま)鎮座(ちんざ)ある、418広前(ひろまへ)につめきつて保護(ほご)せないのか。419なぜ面白(おもしろ)さうに火事(くわじ)見物(けんぶつ)をし、420村中(むらぢう)弁当(べんたう)(ちや)などを携帯(けいたい)して、421安閑(あんかん)見下(みお)ろそうとしてゐるその有様(ありさま)(なん)(こと)か、422これでも(まこと)(かみ)(おこな)ひか、423チツとは(むね)()(あて)(かんが)へてみよ』
424呶鳴(どな)りつけた。425サアさうすると……上田(うへだ)綾部(あやべ)()ると(かた)(しん)じてゐた一同(いちどう)(もの)は、426(やぶ)から(ぼう)をつき()したやうに、427喜楽(きらく)(あら)はれたのと、428(その)説諭(せつゆ)面食(めんくら)つて、429()(もの)430()びる(もの)431(たの)(もの)出来(でき)()た。432(くら)山路(やまぢ)(くだ)りつつ、433(つまづ)(たふ)れてカスリ(きず)をするやら、434(いばら)()つかかつて()(さけ)ぶやら、435ヤツとの(こと)不動山(ふどうやま)から、436(いのち)カラガラ上谷(うへだに)伊左衛門(いざゑもん)(かた)修行場(しうぎやうば)(かへ)つたのはその()十二(じふに)()(まへ)であつた。
437 (いづ)れの(ひと)()ても、438(かほ)手足(てあし)(いばら)がきの負傷(ふしやう)せぬ(もの)一人(ひとり)もなかつた。439四方(しかた)平蔵(へいざう)は、440喜楽(きらく)()()かれて下山(げざん)したので、441()(わる)いにも(かか)はらず、442かき(きず)(ひと)つして()なかつた。443喜楽(きらく)一同(いちどう)(もの)邪神(じやしん)神告(しんこく)全然(ぜんぜん)虚言(きよげん)であつたので、444各自(かくじ)(まよ)ふてゐた(こと)(さと)つたであらうと(おも)ひ、445(いそ)綾部(あやべ)(ただ)一人(ひとり)(かへ)つて()た。446(その)あとで又々(またまた)相変(あひかは)らず邪神(じやしん)神懸(かむがかり)初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神憑」。続行(ぞくかう)し、447(その)結果(けつくわ)一同(いちどう)鳩首(きうしゆ)会議(くわいぎ)(ひら)き、448(その)全権(ぜんけん)大使(たいし)として足立(あだち)()四方(しかた)春三(はるざう)449中村(なかむら)竹造(たけざう)(さん)(にん)(えら)まれた(わけ)である。450(えう)するに(うま)喜楽(きらく)追放(つゐはう)するといふが大問題(だいもんだい)であつた。
451 審神者(さには)(やく)といふものは仲々(なかなか)(ほね)()れるもので、452正神界(せいしんかい)(かみ)大変(たいへん)審神者(さには)(あい)されるが、453(これ)(はん)して邪神界(じやしんかい)(かみ)(おそ)れて非常(ひじやう)()(きら)ひ、454(いん)(やう)審神者(さには)排斥(はいせき)するものである。455あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
456大正一一・一〇・一五 旧八・二五 松村真澄録)

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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
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