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第一八章 鞍馬山(くらまやま)(一)〔一〇五五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻 篇:第4篇 霊火山妖 よみ(新仮名遣い):れいかさんよう
章:第18章 鞍馬山(一) よみ(新仮名遣い):くらまやま 通し章番号:1055
口述日:1922(大正11)年10月18日(旧08月28日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
明治三十三年八月八日の午前一時、広前の門口を立ち出た。信者たちはお見送りを申し出たが、教祖は神様の御命令を畏んでそれを許されなかった。
途中、福林安之助が山道で随行を申し出た。教祖は固辞されたが、福林は嘆願し容易に初心を変えようとしなかった。海潮はその心を汲んで、荷物持ちとして連れて行くよう教祖に頼んだ。
教祖もその誠意に感じられ、ようやく随行が許された。途中、木崎にて信者の宅に一泊した。そこでは教祖派と四方春蔵派の信者たちが、教祖の目の前で言い争い、争論を繰り広げていた。
教祖は庭前に四頭の犬が遊んでいるところに、一片の食物を投げ与えた。すると犬たちはたちまち争奪をはじめた。教祖は微笑みながら、人心の奥底はたいていかくの如しと言ってこの家を立ち出でようとされた。
家の主人・上村氏はこの教訓に恐縮したが、上村氏に反対の一派の者たちはますます暴言をたくましくし、教祖の前で黒白をつけようと強請やまなかった。これには海潮もほとほと持て余した。
反対派は席を蹴立てて帰り、四方春蔵と福林氏も彼らに付いて出て行った。福林氏は反対派の中田氏宅に着くと、疲れた風を装って四方春蔵らと彼らの密議を残らず聞いてしまった。
戻ってきた四方春蔵は、今日は反対派の中田氏宅にもう一泊しましょうと申し出てきた。教祖は少しく怒って、たとえ野宿をしても彼らの家には泊まりたくないとご機嫌が悪かった。
一行は夜道を歩いてようやく、夜更けに八木の会合所である福島氏方に着いた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-08 17:27:04 OBC :rm3818
愛善世界社版:191頁 八幡書店版:第7輯 230頁 修補版: 校定版:195頁 普及版:102頁 初版: ページ備考:
001 ()浮薄(ふはく)(なが)れ、002(ひと)狡猾(かうくわつ)(おちい)剛毅(がうき)昂直(かうちよく)()淪滅(りんめつ)し、003勇壮(ゆうさう)快濶(くわいくわつ)(ふう)軟化(なんくわ)して因循(いんじゆん)姑息(こそく)となり、004野鄙(やひ)惰弱(だじやく)(へん)じ、005虚誕(きよたん)百出(ひやくしゆつ)詐偽(さぎ)自在(じざい)(おこな)はれ、006(あるひ)囁嚅(せつじゆ)笑談(せうだん)()()投合(とうがふ)するを(つと)め、007巧言(こうげん)令色(れいしよく)(かうべ)()(こし)()げ、008(もつ)(その)(よく)()たさむとするの卑劣(ひれつ)無節操(むせつさう)は、009社会(しやくわい)全体(ぜんたい)瀰漫(びまん)し、010(わが)神洲(しんしう)神民(しんみん)たるの高尚(かうしやう)優美(いうび)気骨(きこつ)雅量(がりやう)(そん)せず、011国民(こくみん)基礎(きそ)たるべき青年(せいねん)(おほむ)糸竹(しちく)管絃(くわんげん)(ひび)きに心耳(しんじ)(とろ)かし、012婀娜(あだ)嬋妍(せんけん)たる花顔(くわがん)柳腰(りうやう)眩惑(げんわく)せられ、013奢侈(しやし)淫逸(いんいつ)(よく)(たくまし)ふして(むな)しく有為(いうゐ)歳月(さいげつ)経過(けいくわ)する(もの)のみ。014国家(こくか)前途(ぜんと)如何(いかん)(おも)ふの志士(しし)仁人(じんじん)()く、015()(まさ)常暗(とこやみ)ならむとするを(ふか)憂慮(いうりよ)し、016神示(しんじ)のまにまに大本(おほもと)教祖(けうそ)抜山(ばつざん)蓋世(がいせい)(いう)(ふる)ひ、017百折(ひやくせつ)不撓(ふたう)(たん)発揮(はつき)し、018世道(せだう)人心(じんしん)振起(しんき)せむと、019上田(うへだ)海潮(かいてう)020出口(でぐち)澄子(すみこ)021四方(しかた)春三(はるざう)(さん)(めい)(したが)(すげ)小笠(をがさ)茣蓙(ござ)(みの)022()には(かんば)しき白梅(しらうめ)(えだ)にて(つく)りたる(つゑ)をつき草鞋(わらぢ)脚絆(きやはん)()(かた)め、023明治(めいじ)卅三(さんじふさん)(ねん)(うるふ)(はち)(ぐわつ)八日(やうか)午前(ごぜん)(いち)()024(まさ)広前(ひろまへ)門口(もんぐち)立出(たちい)でむとする(とき)025前夜(ぜんや)より(あつ)まり(きた)りし数多(あまた)役員(やくゐん)信者(しんじや)()(おのおの)教祖(けうそ)(そで)(すが)異口(いく)同音(どうおん)に『何卒(どうぞ)途中(とちう)までなりと見送(みおく)らせ(くだ)さい』と()きつつ(たの)(もの)ばかりであつた。026教祖(けうそ)役員(やくゐん)()が、027しほらしき真心(まごころ)はよく推知(すゐち)()られたけれど、028只管(ひたすら)(かみ)(さま)命令(めいれい)(かしこ)みて一人(ひとり)(ゆる)されなかつた。029生別(せいべつ)離苦(りく)(かな)しさに(いづ)れも(そで)(しぼ)りつつ、030教祖(けうそ)平素(へいそ)()ける温言(をんげん)厚諭(こうゆ)(なさけ)は、031(ひと)(うご)かし、032(ひと)(かん)ぜしめたのである。033(わか)れに(のぞ)んで、034今更(いまさら)(ごと)(その)温容(おんよう)(した)和気(わき)(なつ)(あたか)小児(せうに)慈母(じぼ)(わか)るる(ごと)(こが)(した)ふたのである。035さて教祖(けうそ)(うめ)(つゑ)036海潮(かいてう)雄松(をまつ)037澄子(すみこ)雌松(めまつ)038春三(はるざう)青竹(あをたけ)(つゑ)をつき(なが)ら、039何処(いづこ)(あて)ともなく(したが)()く。040(あき)すでに(ふか)木葉(このは)(いろ)(へん)じて四尾(よつを)神山(しんざん)(やうや)(くれない)黄雲(くわううん)十里(じふり)粛然(しゆくぜん)たるさまである。041和知(わち)清流(せいりう)淙々(そうそう)として脚下(きやくか)白布(はくふ)(さら)一行(いつかう)前途(ぜんと)(きよ)むる(ごと)くに(おも)はれた。042須知山(すちやま)(たうげ)峻坂(しゆんぱん)()もなく(のぼ)り、043(せま)山道(やまみち)辿(たど)りつつ()けば川合(かはひ)大原(おほはら)神社(じんじや)044一行(いつかう)(うやうや)しく社前(しやぜん)跪坐(きざ)し、045前途(ぜんと)幸運(かううん)祈願(きぐわん)しつつ、046枯木峠(かれきたうげ)(やうや)()()えて、047(いま)榎木峠(えのきたうげ)絶頂(ぜつちやう)()しかからむとする(とき)048前途(ぜんと)にあたつて(あや)しき火光(くわくわう)のチラチラと()ゆるを()とめた。049海潮(かいてう)盗賊(たうぞく)どもの焚火(たきび)をなして旅客(りよきやく)荷物(にもつ)(かす)めむとして()(かま)()るには(あら)ずやと(こころ)(こころ)ならず、050不安(ふあん)(ねん)(つつ)まれ(なが)(ちか)づき()れば、051(あに)(はか)らむや、052会員(くわいいん)(いち)(にん)なる福林(ふくばやし)安之助(やすのすけ)数多(あまた)役員(やくゐん)信者(しんじや)()()いてソツと旅装(りよさう)(ととの)へ、053(うめ)(つゑ)まで用意(ようい)して(さき)(まは)つて()つてゐたのである。054教祖(けうそ)一行(いつかう)姿(すがた)()るや(たちま)大地(だいち)慴伏(ひれふ)し、
055福林(ふくばやし)何卒(なにとぞ)今度(こんど)のお(とも)をさして(くだ)さい。056(わたし)猿田彦(さるたひこ)となつて此処(ここ)にお(まち)(まを)して()りました。057(ねが)はくば異例(いれい)なれども猿田彦(さるたひこ)思召(おぼしめし)058特別(とくべつ)(もつ)てお(とも)をお(ゆる)(くだ)さい』
059(しき)りに懇願(こんぐわん)して()る。060教祖(けうそ)は、
061教祖(けうそ)何事(なにごと)(かみ)(さま)()命令(めいれい)なれば(この)(さん)(にん)(ほか)には如何(いか)なる事情(じじやう)があるとも随行(ずゐかう)して(もら)(わけ)には()きませぬ』
062固辞(こじ)して(うご)(たま)気色(けしき)だになかつた。063福林(ふくばやし)詮方(せんかた)なくなく(はら)(そこ)から()()(なみだ)(とも)嘆願(たんぐわん)し、
064福林(ふくばやし)(いま)此処(ここ)仮令(たとへ)()ぬとも(この)まま(うち)へは(かへ)らぬ』
065容易(ようい)初心(しよしん)(へん)ずべくも()えなかつた。066海潮(かいてう)(その)真心(まごころ)()(はか)りて()(どく)()()ね、067教祖(けうそ)にいろいろと(たの)んだ(うへ)
068海潮(かいてう)今度(こんど)(かぎ)つて破格(はかく)(もつ)随行(ずゐかう)()はず荷物(にもつ)()人足(にんそく)として()れて()つて()げたら如何(どう)でせうか』
069(たの)んで()た。070教祖(けうそ)()誠意(せいい)熱心(ねつしん)(かん)じられ(やうや)随行(ずゐかう)(ゆる)された。071福林(ふくばやし)(てん)にも(のぼ)るが(ごと)(よろこ)(いさ)み、072雀躍(こをどり)(なが)()(にん)荷物(にもつ)(ぼう)もて(かた)(かつ)ぎ、073一行(いつかう)(あと)()いて()(こと)となつた。074(おい)御足(みあし)(すこや)かに(はや)くも、075質志(しづし)076(さん)(みや)(いた)れば東天(とうてん)(あか)旭日(きよくじつ)燦々(さんさん)たる(ところ)なれども、077(おと)名高(なだか)丹波(たんば)船井(ふなゐ)(きり)(うみ)天地(てんち)万有(ばんいう)(つつ)まれて、078(あま)(はら)射照(いて)(とう)らす()大神(おほかみ)御影(みかげ)(はい)する(あた)はず、079前途(ぜんと)朦々(もうもう)として(なん)()(もの)(かな)しき心地(ここち)がした。080行程(かうてい)(ろく)()081檜山(ひのきやま)(たつ)会員(くわいゐん)坂原(さかはら)()(たく)暫時(ざんじ)(いき)(やす)め、082須知(すち)083蒲生野(がまふの)水戸峠(みとたうげ)(のぼ)りつ(くだ)りつ、084観音坂(くわんおんざか)頂上(ちやうじやう)辿(たど)()()れば、085丹波(たんば)名物(めいぶつ)(きり)海原(うなばら)何時(いつ)しか(ぬぐ)ふが(ごと)()(わた)り、086船井郡(ふなゐぐん)一都会(いちとくわい)087(はな)園部(そのべ)小向山(をむかやま)088天神山(てんじんやま)一眸(いちぼう)(もと)(よこ)たはり、089佐保姫(さほひめ)(にしき)()りなす(うるは)しさは、090筆舌(ひつぜつ)()(つく)(ところ)にあらず、091上村(うへむら)092浅田(あさだ)()()同居(どうきよ)する木崎(きざき)川原町(かははらまち)(たつ)した。093(たまたま)一行(いつかう)出修(しゆつしう)()りて(いそ)出迎(でむか)是非(ぜひ)一夜(いちや)(とま)りて(たび)()疲労(ひらう)(やす)められよと()(こと)()(ねんごろ)なりし()(かれ)(いへ)()る。094()もなく中田(なかだ)095辻村(つじむら)両会員(りやうくわいゐん)()(きた)り、096教祖(けうそ)()らるる(まへ)をも(はばか)らず、097(なん)挨拶(あいさつ)会釈(ゑしやく)碌々(ろくろく)せず、098開口(かいこう)一番(いちばん)上村(うへむら)()平生(へいぜい)処置(しよち)(はなは)不公平(ふこうへい)なり、099()つて吾々(われわれ)退会(たいくわい)せむなどと不平(ふへい)(うつた)ふるので、100座上(ざじやう)上村(うへむら)()(おほい)(いか)り、101これ(また)(くち)(きは)めて(かれ)不謹慎(ふきんしん)にして(かね)てより(ふか)野心(やしん)(ざう)し、102現在(げんざい)(いま)(とも)(れつ)(くは)はる四方(しかた)春三(はるざう)()気脈(きみやく)(つう)じ、103本会(ほんくわい)瓦解(ぐわかい)(くはだ)てつつありなど、104双方(さうはう)意外(いぐわい)(こと)のみ()(あらそ)ひ、105はては四方(しかた)106中田(なかだ)(すみや)かに除名(ぢよめい)せられ()し、107(しか)らざれば小子(せうし)より退会(たいくわい)すべし(など)108得手(えて)勝手(かつて)難問題(なんもんだい)提出(ていしゆつ)する。109中田(なかだ)110辻村(つじむら)両人(りやうにん)一層(いつそう)憤激(ふんげき)し、
111(いや)112上村(うへむら)こそ今回(こんくわい)瓦解(ぐわかい)謀主(ぼうしゆ)にして、113(せい)()(ただ)相談(さうだん)()けたる(まで)にて(はじ)めより(かか)反逆(はんぎやく)には賛成(さんせい)(がた)し、114一言(いちごん)(もと)(はね)つけた。115それ(ゆゑ)今日(こんにち)(その)真相(しんさう)暴露(ばくろ)せむ(こと)(おそ)れ、116(さき)んずれば()(ひと)(せい)すとの兵法(へいはふ)(もつ)て、117反対(はんたい)(かれ)より(せい)()誣告(ぶこく)するのである』
118逆捻(さかねぢ)一本(いつぽん)(まゐ)る。119(たがひ)(まけ)(おと)らず、120争論(そうろん)何時(いつ)()つべしとも()えざれば、121海潮(かいてう)苦々(にがにが)しき(こと)(おも)ひ、122種々(しゆじゆ)理非(りひ)噛分(かみわ)けて(さと)せども、123(もと)より敬神(けいしん)愛民(あいみん)思想(しさう)(いう)せざる頑迷(ぐわんめい)不霊(ふれい)製糞器(せいふんき)124(ただ)(かみ)()りて糊口(ここう)()(きよう)するより(ほか)125()一片(いつぺん)希望(きばう)なきもの(ども)なれば、126済度(さいど)するには(この)(うへ)なく(ほね)()らざるべからざる、127(いと)(こま)つた厄介(やくかい)(きは)まる代物(しろもの)であつた。
128 折柄(をりから)庭前(ていぜん)嬉々(きき)として四頭(しとう)(いぬ)(あそ)び、129(その)(さま)(まこと)親睦(しんぼく)にして(うらや)ましい(ほど)である。130(なん)(おも)はれしか教祖(けうそ)懐中(くわいちゆう)より一片(いつぺん)食物(しよくもつ)取出(とりだ)し、131(いぬ)()(あた)へられしに、132(いぬ)(たちま)争奪(そうだつ)搏噬(はくぜい)(はじ)め、133(あたか)不倶(ふぐ)戴天(たいてん)(おや)(かたき)出会(でくは)せしが(ごと)くである。134教祖(けうそ)はこれを()て、135人心(じんしん)奥底(おくそこ)大抵(たいてい)()くの(ごと)しと微笑(ほほゑ)みし(なが)ら、136匆々(さうさう)(この)()立出(たちい)でむとせらるる(とき)137上村(うへむら)(おほい)恐縮(きようしゆく)して(いは)く、138(せい)()(こころ)(じつ)(この)(いぬ)のやうだと(やや)反省(はんせい)()(あら)はしたが中田(なかだ)139辻村(つじむら)却々(なかなか)承知(しようち)せず、140益々(ますます)暴言(ばうげん)(たくま)しふし、141是非(ぜひ)々々(ぜひ)教祖(けうそ)()入来(いで)(さいは)ひ、142正邪(せいじや)黒白(こくびやく)判別(はんべつ)されむ(こと)強請(がうせい)して()まなかつた。143これには海潮(かいてう)もほとほと()(あま)し、144本会(ほんくわい)主義(しゆぎ)精神(せいしん)一身(いつしん)一家(いつか)栄達(えいたつ)名聞(めいぶん)企図(きと)するに(とど)まらず、145国家(こくか)(てき)観念(かんねん)(やしな)ふにあるのに、146(なんぢ)()会員(くわいいん)たるの本旨(ほんし)(わす)れ、147教祖(けうそ)折角(せつかく)苦行(くぎやう)首途(かどで)(よう)して、148非違(ひゐ)裁断(さいだん)()はむとするは、149(じつ)(とき)(あやま)りたる非礼(ひれい)行為(かうゐ)なり、150教祖(けうそ)多年(たねん)艱苦(かんく)(じつ)(なんぢ)()(ごと)会員(くわいいん)覚醒(かくせい)正道(せいだう)(みちび)かむが()めのみ、151(いま)(また)六十(ろくじふ)有五(いうご)(さい)教祖(けうそ)梅ケ枝(うめがえ)一杖(いちぢやう)()(たく)し、152凛烈(りんれつ)(はだ)(つんざ)かむとする寒天(かんてん)をめがけ何地(いづこ)(あて)ともなく神命(しんめい)随々(まにまに)153孤雁(こがん)(こゑ)(かな)しく、154暮雲(ぼうん)彷徨(はうくわう)するが(ごと)(まさ)(とほ)出修(しゆつしう)されむとす、155(よろ)しく本然(ほんぜん)(わたくし)(かへ)教祖(けうそ)のお(こころ)推察(すいさつ)せば、156()くの(ごと)見苦(みぐる)しき(こと)をお(みみ)()(まを)すべき場合(ばあひ)(あら)ざるべし、157(こと)()け、158()()きて(さと)せども、159元来(ぐわんらい)(かれ)()金光教(こんくわうけう)教師(けうし)にして、160(みづか)(くはだ)(みづか)()すの(ゆう)なく、161(いたづら)()覆轍(ふくてつ)(なら)ひ、162(その)糟粕(さうはく)(ねぶ)りて(もつ)()たりと()し、163信者(しんじや)争奪(そうだつ)にのみ余念(よねん)なかりし(へき)容易(ようい)(あらた)まらず教祖(けうそ)諭示(ゆじ)海潮(かいてう)説得(せつとく)寸効(すんかう)なく、164中田(なかだ)165辻村(つじむら)両人(りやうにん)(ふくろどり)夜食(やしよく)()(はづ)せし(ごと)(ほほ)(ふく)らせ(せき)蹴立(けた)てて(かへ)り、166四方(しかた)167福林(ふくばやし)もこれに()いて()つた。
168 教祖(けうそ)上村(うへむら)()()慇懃(いんぎん)なる謝詞(しやし)()べ、169海潮(かいてう)170澄子(すみこ)()して()()でられし(ゆゑ)171上村(うへむら)()大橋(おほはし)までお見送(みおく)りの()めとて(したが)(きた)つた。172さて四方(しかた)春三(はるざう)中田(なかだ)(かた)(いた)(しき)りに何事(なにごと)()からぬ(こと)のみ(ささや)きつつ不興(ふきよう)顔色(かほいろ)物凄(ものすご)く、173(くち)(きは)めて海潮(かいてう)(ののし)是非(ぜひ)排斥(はいせき)せずむば()まずと(いき)()く。174福林(ふくばやし)()草臥(くたびれ)たりとて中田(なかだ)(いへ)()るや、175(ただち)(あが)(くち)打倒(うちたふ)れ、176熟睡(じゆくすゐ)(よそほ)ひつつ(たぬき)空寝入(そらねい)り、177素知(そし)らぬ(ふり)にて(かれ)()密談(みつだん)(のこ)らず()()つた。178少時(しばらく)ありて欠伸(あくび)(とも)()(あが)り、179(わざ)空惚(そらとぼ)けたる(おもて)(さす)(なが)教祖(けうそ)何処(いづこ)にありやと()へば、
180中田(なかだ)『あの気違(きちが)(ばば)か、181(いな)狂長殿(きやうちやうどの)か、182只今(ただいま)(しか)偉相(えらさう)上村(うへむら)()随行(ずいかう)させて()()つたから大方(おほかた)大橋(おほはし)(つめ)(あた)りに今頃(いまごろ)迂路(うろ)ついて御座(ござ)らう』
183会員(くわいいん)にあるまじき言葉(ことば)(ろう)するも、184一味(いちみ)四方(しかた)(とが)めもせず(いや)さうに福林(ふくばやし)(ともな)ひて教祖(けうそ)(あと)()つかけた。185夕陽(ゆふひ)(すで)西山(せいざん)(ぼつ)し、186黄昏(たそがれ)(きり)一行(いつかう)(つつ)まむとする。187四方(しかた)春三(はるざう)は、
188四方(しかた)(よる)(たび)危険(きけん)ですし、189さりとて旅費(りよひ)(ゆたか)ならず、190むしろ中田(なかだ)()一泊(いつぱく)しませう』
191()へば教祖(けうそ)(すこ)しく(いか)つて、
192教祖(けうそ)仮令(たとへ)野宿(のじゆく)をしても(かれ)()(いへ)(とま)るのは(いや)ぢや』
193とて気色(けしき)(あし)ければ、194一行(いつかう)不承(ふしよう)々々(ぶしよう)(したが)()く。195小山(こやま)196松原(まつばら)()()えて一里半(いちりはん)()けば鳥羽(とば)(さと)197広瀬(ひろせ)(あと)八木(やぎ)(まち)198(つき)()れども深更(しんかう)()りて(やうや)八木(やぎ)会合所(くわいがふしよ)福島(ふくしま)()(かた)()いた。
199大正一一・一〇・一八 旧八・二八 北村隆光録)

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