霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 都率天(とそつてん)〔一〇七二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻 篇:第2篇 黄金清照 よみ:おうごんせいしょう
章:第7章 第39巻 よみ:とそつてん 通し章番号:1072
口述日:1922(大正11)年10月22日(旧09月3日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
イールとヨセフは、いつの間にか茫々とした大原野をさまよっていた。向こうの空から五色の雲が広がり、美しい衣装を着た二人の女神が降りてくるのが見えた。女神は一人は若く、一人は年老いていた。
よく見れば、年老いた女神は黄金姫、若い女神は清照姫であった。イールとヨセフは、女神たちを峠で襲おうとしたことを詫びた。
黄金姫は、ここは未来の夢想国で、娑婆において神様のために大活躍をすると救われる浄土だと説明した。これは神様が来るべき世界を見せてくれているのだという。
女神たちは都率天の案内をすることになった。一行は立ったまま、青空の雲の中に昇っていく。眼前には宝玉で飾られた美しい殿堂が現れた。清照姫は、これは都率天の月照彦のお宮であると説明した。
清照姫は、中に入ると一言も発してはならないと二人に気を付けた。お宮の中に入ると、四人の女神が現れて、一行四人をそれぞれ導いた。
奥殿には、紫磨黄金の肌をした神が厳然として控えていた。威厳の中になつかしみを感じる。これが月照彦命であった。月照彦命は四人を差し招いた。黄金姫が先導し、一行は殿堂の後ろにある階段を降っていく。
イールとヨセフは、いつの間にか雑草が生い茂る沼に落ち込んでいた。美しき殿堂も、女神たちの姿も見えなくなっていた。沼の岸ではタール、レーブ、ハムが現れて何か口論をしているのが見えた。
ハムは、沼の中のイールとヨセフを助けようとしたが、取り憑いている鬼が邪魔をして助けられない。どこからか宣伝歌が聞こえてくると、ハムに憑いていた鬼は消えてしまった。そしてイールとヨセフもいつの間にか沼から抜け出て、ほとりに立っていた。
二人はハムの後を追っていくと、一本の松の木に大蛇が待ち伏せているのが見えた。二人が松の木の根元を見ると、バラモン教の大黒主が首だけ出して埋められている。大黒主は、天地の神の罰を受けているのだと説明し、二人に早く三五教に改心した方がよい、と勧めた。
また宣伝歌が聞こえてきた。大黒主の体は地面から抜け出て浮き上がると、大蛇に飲まれてしまった。大蛇は雲を起こしてどこかへ去って行った。
二人が気が付くと、谷底の河原に半身が埋まっており、三五教の照国別宣伝使一行に介抱されているところであった。
イールとヨセフは、黄金姫と清照姫を襲って逆に谷底に投げ込まれた一件を物語り、宣伝使たちに付いていくことになったが、なんとなく威光に打たれて恐ろしくなり、隙を見て逃げ出してしまった。
照国別は道端の古い祠で一夜を明かすことにした。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3907
愛善世界社版:91頁 八幡書店版:第7輯 313頁 修補版: 校定版:95頁 普及版:38頁 初版: ページ備考:
001 紫色(むらさきいろ)(たけ)(みじか)芝草(しばくさ)一面(いちめん)大地(だいち)()(しげ)り、002(いは)もなければ(たか)()もない茫々(ばうばう)たる大原野(だいげんや)に、003(あか)(しろ)()などの(ちひ)さき(はな)(ほし)のやうに()()ちてゐる。004(そら)紺碧(こんぺき)(くも)(ただよ)ひ、005太陽(たいやう)(かげ)も、006太陰(たいいん)姿(すがた)()えねども、007(なん)とはなしに爽快(さうくわい)気分(きぶん)(ただよ)ふ、008(つゆ)(たま)(ひか)野原(のはら)をヒヨロリヒヨロリと(とほ)つてゐる二人(ふたり)(をとこ)009四辺(あたり)光景(くわうけい)現界(げんかい)とはどこともなく(ちが)つてゐるに不審(ふしん)(おこ)し、010茫然(ばうぜん)として(あし)(とど)め、
011イール『オイ、012ヨセフ、013何時(いつ)()にこんな(ところ)吾々(われわれ)両人(りやうにん)はやつて()たのだらうか、014河鹿峠(かじかたうげ)細谷路(ほそたにみち)母娘(おやこ)二人(ふたり)(をんな)巡礼(じゆんれい)出会(であ)ひ、015谷底(たにそこ)()つて(はう)られたと(おも)つたが、016あとは夢現(ゆめうつつ)017如何(どう)してこんな(ところ)如何(どう)いふ手続(てつづ)きをしてやつて()たのか合点(がつてん)がいかぬ。018貴様(きさま)(なに)記憶(きおく)(のこ)つてはゐはせぬかな』
019ヨセフ『(おれ)記憶(きおく)(のこ)つてゐるのは(ほか)でもない、020(ゆめ)ばかりだ。021河鹿峠(かじかたうげ)母娘(おやこ)巡礼(じゆんれい)()うたと(おも)つたのは、022あれこそ本当(ほんたう)(ゆめ)だ、023ここが本当(ほんたう)現実(げんじつ)世界(せかい)だ、024現界(げんかい)(ゆめ)浮世(うきよ)といふのだから、025現界(げんかい)にあつた(こと)(みな)(ゆめ)だよ。026(いよいよ)吾々(われわれ)(みたま)故郷(こきやう)現実(げんじつ)世界(せかい)(かへ)つて()た、027こんな結構(けつこう)(ところ)()()極楽(ごくらく)(あま)(かぜ)をソヨソヨとうけ(なが)ら、028(たれ)(はばか)(ところ)もなく気儘(きまま)旅行(りよかう)してるのは愉快(ゆくわい)ぢやないか。029現界(げんかい)のやうに此処(ここ)(たれ)領分(りやうぶん)だ、030何某(なにがし)土地(とち)だとせせつこましい区劃(くくわく)をうけてるよりも、031(なん)制縛(せいばく)もないこんな花園(はなぞの)逍遥(せうえう)するのは、032到底(たうてい)現界人(げんかいじん)(ゆめ)にだも()らざる(ところ)だ。033アヽ有難(ありがた)い、034仮令(たとへ)(ゆめ)にしても(この)(ゆめ)千年(せんねん)万年(まんねん)()らせ()くないワ』
035イール『オイあれを()よ、036(むか)ふの(そら)を、037(なん)だか(めう)(くも)()たぢやないか。038一分間(いつぷんかん)(さき)にはホンの(まり)のやうな斑点(はんてん)西北(せいほく)(そら)にパツと(あら)はれたと(おも)()もなく、039追々(おひおひ)あの(とほ)膨脹(ばうちやう)し、040五色(ごしき)(くも)(あざや)かになつて()て、041俺達(おれたち)(かほ)までに五色(ごしき)光彩(くわうさい)(かがや)(はじ)めたぢやないか』
042 五色(ごしき)(くも)()()満天(まんてん)(ひろ)がり、043(うる)はしき衣裳(いしやう)()けたる二人(ふたり)女神(めがみ)044一人(ひとり)年老(としお)一人(ひとり)(わか)く、045五色(ごしき)盛裳(せいしやう)をこらして、046(くも)()つて此方(こちら)(むか)つて(くだ)(きた)様子(やうす)であつた。047二人(ふたり)()つてゐる紫野(むらさきの)原野(げんや)はいつとはなしに(てん)浮上(うきあが)つた(ごと)(かん)ぜられ、048(くも)(さが)つたか()(あが)つたか、049区画(くくわく)のつかないやうな塩梅(あんばい)で、050いつのまにか二人(ふたり)女神(めがみ)二人(ふたり)(まへ)立現(たちあら)はれた。051よくよく()れば河鹿峠(かじかたうげ)谷底(たにそこ)()げすてて()つた、052二人(ふたり)母娘(おやこ)である。053イール、054ヨセフは不意(ふい)対面(たいめん)打驚(うちおどろ)き、055(かしら)()げ、
056イール『これはこれは黄金姫(わうごんひめ)さま(まこと)御無礼(ごぶれい)(いた)しました。057どうぞお(ゆる)(くだ)さいませ』
058ヨセフ『あなたは清照姫(きよてるひめ)さま、059こんな(たふと)(かみ)さまとは()らずに御無礼(ごぶれい)(いた)しました。060どうぞ(ゆる)して(くだ)さいませ』
061黄金姫(わうごんひめ)(その)(ことわ)りを()はれては(こま)ります。062(わたくし)こそ(をんな)のくせに、063あられもない荒男(あらをとこ)谷川(たにがは)()()んだり、064イヤもう御無礼(ごぶれい)ばかり(いた)しました』
065清照姫(きよてるひめ)(わたくし)(わか)(をんな)()(もつ)て、066荒男(あらをとこ)()()むなどと乱暴(らんばう)なことを(いた)しましたが、067どうぞ(ゆる)して(くだ)さい』
068イール『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います。069(しか)(なが)らここは(なん)といふ(ところ)御座(ござ)いますか、070一向(いつかう)合点(がつてん)(まゐ)りませぬが』
071黄金姫(わうごんひめ)『ここは未来(みらい)夢想国(むさうこく)ですよ。072あなたが此処(ここ)()たのは、073娑婆(しやば)(おい)(かみ)さまの(ため)大活動(だいくわつどう)をなし、074(かみ)(めぐみ)()つてかやうな天国(てんごく)浄土(じやうど)(すく)はれたのです。075(たがひ)にこんな結構(けつこう)なことはありませぬ、076(よろこ)(まを)します』
077イール『吾々(われわれ)両人(りやうにん)現界(げんかい)(おい)て、078ロクなことは(ひと)つもやらず、079何一(なにひと)(かみ)さまの(ため)にお(やく)()つた(こと)はありませぬ。080それに()やうな(ところ)(すく)はれるとは合点(がつてん)()きませぬ、081ヨモヤ人違(ひとちがひ)では御座(ござ)いますまいかな』
082黄金姫(わうごんひめ)『まだお(まへ)さまは、083今日(こんにち)(ところ)では、084これといふ手柄(てがら)(ひと)つもしてゐない。085どちらかと()へば(わる)(こと)(はう)(おほ)いので、086公平(こうへい)(かみ)さまのお(さば)きに()へば、087こんな(ところ)()身分(みぶん)ぢやない、088吾々(われわれ)だつて(その)(とほ)りです。089(しか)(なが)(かみ)さまは過去(くわこ)現在(げんざい)未来(みらい)をお見透(みとう)しだから、090(まへ)さまがこれから現界(げんかい)にをつて、091(ぜん)(おこな)ひをなし、092現界(げんかい)()つてから(あと)(きた)るべき世界(せかい)一寸(ちよつと)のぞかして(もら)うてゐるのですよ』
093ヨセフ『まだこれから(ぜん)をなす(ため)に、094()やうな(ところ)へよせて(いただ)くとは、095合点(がつてん)()きませぬ。096天晴(あつぱ)()(なか)(こう)()てた(うへ)のことなれば、097いざ()らず、098吾々(われわれ)のやうな(けが)れた(みたま)()やうな(ところ)()るとは、099如何(どう)しても合点(がつてん)がいきませぬ、100コリヤ(ゆめ)ではありますまいかな』
101黄金姫(わうごんひめ)(ゆめ)(どころ)現実(げんじつ)です。102それでもお(まへ)さまが、103これから(さき)()くない(こと)をしようものなら、104キツとこんな結構(けつこう)(ところ)へは()られない、105これと反対(はんたい)(ところ)()かねばなりませぬ。106サアこれから(わたし)が、107都率天(とそつてん)世界(せかい)案内(あんない)して()げよう』
108両人(りやうにん)『ハイ有難(ありがた)う』
109とさしうつむく。110自分(じぶん)()つてゐた地上(ちじやう)は、111フワリフワリと何処(どこ)ともなく浮上(うきあが)るやうになつて()た。112そして四人(よにん)一行(いつかう)()つた(まま)113青雲(あをくも)(そら)()がけて(のぼ)()く。
114 ()れば、115(たちま)眼前(がんぜん)(あら)はれた朱欄碧瓦(しゆらんへきぐわ)(うる)はしき殿堂(でんだう)116まはりは紅色(べにいろ)玉垣(たまがき)をめぐらし、117金銀(きんぎん)(すな)一面(いちめん)()きつめられ、118ダイヤモンドの(すな)所々(ところどころ)(まじ)つて、119銀河(ぎんが)(ごと)(かがや)いてゐる。120二人(ふたり)(ゆめ)かとばかり(かほ)見合(みあは)せ、121呆気(あつけ)にとられて()た。
122清照姫(きよてるひめ)『コレ両人(りやうにん)さま、123ここは都率天(とそつてん)月照彦(つきてるひこ)さまのお(みや)御座(ござ)います。124これからは(なに)()ふことは出来(でき)ませぬぞえ、125吾々(われわれ)二人(ふたり)(あと)についてお()でなさい。126(かみ)さまが(なん)仰有(おつしや)つても、127返事(へんじ)をしてはなりませぬ。128(かみ)さまと人間(にんげん)とは階級(かいきふ)(ちが)ひますから、129(かみ)さまの思召(おぼしめし)()くばかりで一口(ひとくち)御返事(ごへんじ)することはなりませぬ。130(もの)()ひたくば(この)(もん)をくぐる(まで)()うておきなさい。131(この)(もん)をくぐるや(いな)や、132仮令(たとへ)如何(いか)なる(もの)()うても(ただ)(うつ)むいてお辞儀(じぎ)さへして()れば()いのだから』
133イール『ハイ(かしこ)まりました。134(なん)(おも)うても本当(ほんたう)にはしられませぬワ。135本当(ほんたう)(わたし)斯様(かやう)(ところ)へ、136未来(みらい)とやらに(すく)はれるでせうか』
137黄金姫(わうごんひめ)(ただ)(かみ)さまの(あふ)せを(うけたま)はり、138(その)(とほ)遵奉(じゆんぽう)して()りさへすれば、139未来(みらい)斯様(かやう)結構(けつこう)(ところ)へお(まゐ)りが出来(でき)ます。140何事(なにごと)()つちやなりませぬぞえ』
141イール『ハイこれ(かぎ)(まを)しませぬ。142オイ、143ヨセフお(まへ)(いま)(うち)にお(たづ)ねしておくがいいぞ。144(この)門内(もんない)這入(はい)れば最早(もはや)言論(げんろん)機関(きくわん)使用(しよう)することは出来(でき)ないから』
145 ヨセフは(かしこ)まり、146(しづか)(くび)(かたむ)けたきり、147一言(ひとこと)(はつ)しない。148黄金姫(わうごんひめ)149清照姫(きよてるひめ)無言(むごん)(まま)150門番(もんばん)目礼(もくれい)し、151(しづか)(おく)(おく)へと(すす)()る。
152 嚠喨(りうりやう)たる音楽(おんがく)(ひび)何処(いづこ)ともなく(きこ)(きた)り、153芳香(はうこう)四辺(しへん)(くん)じ、154門内(もんない)内庭(うちには)には白蓮華(しろれんげ)(はな)()きほこり、155牡丹(ぼたん)白梅(しらうめ)薔薇(ばら)(とう)(かき)(その)(えん)(きそ)ひ、156現界(げんかい)()たこともないやうな(うつく)しき(はね)小鳥(ことり)は、157(さはや)かな(こゑ)()して、158天国(てんごく)(はる)(うた)うてゐる。159黄金(わうごん)玉盃(たまもひ)()にして黄金色(わうごんしよく)衣類(いるゐ)()けた(うる)はしき女神(めがみ)160白装束(しろしやうぞく)(くれなゐ)(はかま)にて、161四人(よにん)しづしづと()(むか)玉盃(たまもひ)より(むらさき)(いろ)したる(みづ)(ゆび)にぬらして、162一人(ひとり)々々(ひとり)163(くちびる)にひたす。164(その)(あぢ)()(かほ)りと()ひ、165(なん)とも(たと)へやうのなきものである。166四柱(よはしら)女神(めがみ)四人(よにん)(みちび)いて奥深(おくふか)(すす)()る。
167 奥殿(おくでん)(ふか)(すす)()り、168正面(しやうめん)(なが)むれば、169金銀(きんぎん)(もつ)てちりばめたる須弥壇(しゆみだん)(うへ)に、170紫磨(しま)黄金(わうごん)(はだへ)をあらはし、171儼然(げんぜん)として(ひか)(たま)一柱(ひとはしら)(かみ)があつた。172やさしみのある(うち)にどこともなく威厳(ゐげん)(そな)はつて、173(おもて)()けるもまばゆいやうな心持(こころもち)がすると(とも)に、174(なん)ともいへぬ(なつ)かしみがした。175(この)(かみ)月照彦命(つきてるひこのみこと)であつた。176四人(よにん)をゆかしげに()やり、177黄金(わうごん)御手(みて)()べて、178膝元(ひざもと)()たれと(まね)かれる。179左右(さいう)(ひか)へたる沢山(たくさん)童子(どうじ)()種々(いろいろ)(はな)(たづさ)へ、180無言(むごん)のまましとやかに須弥壇(しゆみだん)(まへ)()(くる)うてゐる。181馥郁(ふくいく)たる芳香(はうかう)美妙(びめう)音楽(おんがく)はたえず鼻耳(びじ)をつき、182燦爛(さんらん)たる殿内(でんない)(ひかり)()(あたら)しく(てら)すのみである。
183 黄金姫(わうごんひめ)後振返(あとふりかへ)り、184三人(さんにん)手招(てまね)きする。185三人(さんにん)無言(むごん)のまま黄金姫(わうごんひめ)(あと)(したが)()けば(むらさき)(いろ)(ただよ)(まる)(あな)が、186殿堂(でんだう)(うら)より、187(ななめ)(ひく)穿(うが)たれ、188(むらさき)階段(かいだん)がついてゐる。189黄金姫(わうごんひめ)はつかつかと階段(かいだん)(くだ)()く。190三人(さんにん)(その)(あと)(したが)つて際限(さいげん)もなく(くだ)()けば、191そこに雑草(ざつさう)(しげ)(あし)()えた(ぬま)(よこ)たはつて()る。
192 二人(ふたり)何時(いつ)()にか(この)(ぬま)(なか)におち()んでゐた。193(あま)(ふか)からね(ども)194直立(ちよくりつ)して(くち)のあたり(まで)(みづ)がついて()る。195(すこ)しく(かぜ)()いて(なみ)(たか)くなれば、196(はな)をおそひ、197息苦(いきぐる)しくなつて()る。198黄金姫(わうごんひめ)199清照姫(きよてるひめ)如何(いか)にと、200四辺(あたり)()(ども)201(その)姿(すがた)だになく、202今迄(いままで)(うる)はしかりし殿堂(でんだう)(けむり)(ごと)()()せ、203(ただ)(あし)()(しげ)(ぬま)(うへ)秋風(あきかぜ)()きわたる(その)(さび)しさ。
204 ()かる(ところ)何処(いづこ)ともなく、205レーブ、206タールの両人(りやうにん)あわただしく(はし)(きた)り、207(ぬま)のまはりに()つて、208二人(ふたり)()()び、
209(はや)此方(こちら)(きた)れ』
210差招(さしまね)く。211イール、212ヨセフの両人(りやうにん)()(もが)き、213二人(ふたり)(そば)(およ)()かむとすれ(ども)214如何(どう)したものか二人(ふたり)(あし)沼底(ぬまそこ)漆喰(しつくひ)(ごと)()ひつけられ、215身動(みうご)きもならず、216(かぜ)(あふ)られて、217時々(ときどき)(たか)(なみ)鼻目(びもく)のあたりをおそひ(きた)り、218(くるし)(かぎ)りなし。219二人(ふたり)(こゑ)もえ()げず、220(くるし)(もだ)えて()ると、221何処(どこ)ともなく、222ハムはレーブ、223タールの(まへ)(あら)はれて、224三人(さんにん)はここに何事(なにごと)口論(こうろん)(はじ)()した。225イール、226ヨセフの両人(りやうにん)(ぬま)(なか)にて(ものう)げに三人(さんにん)(あらそ)ひを(なが)めてゐる。227ハムの(うしろ)には(くち)(みみ)まで()けた赤裸(まつぱだか)赤鬼(あかおに)がついてゐた。228(しばら)くすると、229レーブ、230タールの両人(りやうにん)(ぬま)(つつみ)一目散(いちもくさん)東南(とうなん)さして(はし)りゆく。231ハムは二人(ふたり)(ぬま)(なか)(くるし)んでゐるのを()て、232(たす)けやらむと、233赤裸(まつぱだか)となり(ぬま)(なか)()びこまむとすれ(ども)234(うしろ)()つた赤鬼(あかおに)が、235グーツと首筋(くびすぢ)(つか)んで(はな)さないので、236ハムは一生懸命(いつしやうけんめい)()をもがいてゐる。237イール、238ヨセフの両人(りやうにん)は、239(いき)もたえだえになつて、240(はや)(たす)けてくれよ………と(さけ)ばむとすれ(ども)241如何(いか)にしけむ、242一言(ひとこと)(こゑ)()なかつた。243何処(どこ)ともなしに宣伝歌(せんでんか)(こゑ)中空(ちうくう)(きこ)えて()る。244(この)(こゑ)()くと(とも)にハムについてゐた(おに)姿(すがた)(けむり)()えた。245ハムはレーブ、246タールの()()つた(あと)()うて、247地響(ぢひびき)させ(なが)(かへ)()く。
248 二人(ふたり)(この)宣伝歌(せんでんか)(こゑ)()くと(とも)身体(しんたい)(かる)()(あが)り、249いつの()にやら(ぬま)(ほとり)についてゐた。250そして()れた着物(きもの)何時(いつ)()にか(かわ)いてゐる。251ハテ不思議(ふしぎ)なことがあるものだなア………と両人(りやうにん)(かほ)見合(みあは)せつつ、252ハムの(はし)つた(あと)()うて駆出(かけだ)すと、253一本(いつぽん)(おほ)きな(まつ)()枝振(えだぶり)よく()つてゐて、254(ぬま)(うへ)(えだ)()れてゐる。255(その)(まつ)()見上(みあ)ぐれば、256えもいはれぬ(おそ)ろしき大蛇(をろち)三間(さんげん)ばかりの(くび)()ばして樹下(じゆか)(なが)め、257大口(おほぐち)(ひら)いて何者(なにもの)()まむとしてゐる。258二人(ふたり)(はじ)めて(くち)(ひら)き、
259イール『オイ、260ヨセフ、261大変(たいへん)ぢやないか』
262ヨセフ『如何(いか)にもイールの()(とほ)り、263(この)(まつ)()には(めう)(やつ)()るではないか。264大方(おほかた)最前(さいぜん)三人(さんにん)(この)大蛇(をろち)()まれて(しま)うたのだろ。265コリヤ、266グヅグヅしてはゐられまいぞ』
267()(なが)ら、268(まつ)根元(ねもと)をよくよく()れば、269(つち)(なか)から(くび)()えてゐる。270(うへ)には大蛇(をろち)(した)には生首(なまくび)271ハテ(いや)らしやと、272()()さうとすれ(ども)273如何(どう)したものか、274身体(しんたい)強直(きやうちよく)してビクともならぬやうになつてゐる。
275 二人(ふたり)因果腰(いんぐわごし)()め、276地中(ちちう)から()えた(くび)をよく()れば、277豈計(あにはか)らむや、278バラモン(けう)大棟梁(だいとうりやう)大黒主(おほくろぬし)である。279二人(ふたり)はビツクリして顔色(かほいろ)をかへ(なが)らあわただしく、
280イール『アヽ、281あなたは大黒主(おほくろぬし)(かみ)さまぢや御座(ござ)いませぬか。282如何(どう)してマアこんな(ところ)(くび)ばかり()してゐられます。283あれ御覧(ごらん)なさいませ、284(この)(まつ)(えだ)には大蛇(をろち)(わだかま)つて、285(いま)一口(ひとくち)()まむとしてゐるぢや御座(ござ)いませぬか、286サア(はや)くここを(わたくし)一緒(いつしよ)()げませう』
287大黒主(おほくろぬし)『ヨウ其方(そなた)はイール、288ヨセフの両人(りやうにん)289こんな(ところ)()るものではない。290(いま)(うち)(あと)引返(ひつかへ)したがよからうぞ』
291ヨセフ『引返(ひつかへ)さうと(まを)して、292何処(どこ)()つてよいやら、293(わけ)(わか)りませぬ。294して(また)あなたの(くび)から()がにじんで()りますが、295コリヤまあ如何(どう)した(わけ)ですか』
296大黒主(おほくろぬし)(わし)天地(てんち)大神(おほかみ)(ばつ)をうけ、297(この)(まつ)()(もと)(おい)て、298手足(てあし)(しば)られ、299自分(じぶん)(つく)つた配下(はいか)(おに)(ども)土中(どちう)(うづ)められ、300(この)(とほ)(くび)のみ地上(ちじやう)(あら)はし、301(たか)(からす)(あたま)をこつかれ、302毒虫(どくむし)(くび)()まれ、303こんな(くる)しい()()うてゐるのだ。304(まへ)(はや)改心(かいしん)いたして、305(まこと)(みち)立返(たちかへ)つたがよからうぞ、306(わし)(ごと)くなつて(しま)へばモウ駄目(だめ)だ。307まだまだこれから沢山(たくさん)苦労(くらう)をいたして(つみ)(ゆる)して(もら)へるか(もら)へぬか(わか)らぬ(ところ)だ。308(はや)三五教(あななひけう)神文(しんもん)(とな)へて(この)急場(きふば)をのがれよ』
309イール『コレは(また)310()なることを(うけたま)はります。311あなたはバラモン(けう)大教主(だいけうしゆ)であり(なが)ら、312(なに)(もつ)三五教(あななひけう)神文(しんもん)(とな)へと(まを)されますか、313(すこ)しも合点(がつてん)(まゐ)りませぬ』
314 大黒主(おほくろぬし)(くる)しげに、
315現界(げんかい)(おい)ては(いま)(とき)めく(いきほひ)なれども、316未来(みらい)(わが)霊魂(れいこん)(この)(とほ)り、317(まつ)(した)(おい)無限(むげん)責苦(せめく)をうけねばならぬことになつてゐるのだ。318三五教(あななひけう)(かみ)より()でたる(をしへ)319(その)()(をしへ)(みな)枝神(えだがみ)人間(にんげん)(つく)つた(をしへ)であるから、320御神慮(ごしんりよ)(ほど)()からない。321否々(いやいや)神慮(しんりよ)違反(ゐはん)した(をしへ)(いた)して()るから、322バラモン(けう)代表者(だいへうしや)たる(この)(はう)()やうな責苦(せめく)()うてゐるのだ。323とはいふものの、324(われ)肉体(にくたい)副守護神(ふくしゆごじん)(いきほ)中々(なかなか)猛烈(まうれつ)にして到底(たうてい)容易(ようい)改心(かいしん)(いた)さない。325改心(かいしん)さへ(いた)したらこんな苦悩(くなう)(まぬが)るるのだが、326大黒主(おほくろぬし)肉体(にくたい)がどうしても改心(かいしん)してくれぬので、327本尊(ほんぞん)(この)(はう)がこんな責苦(せめく)にあふのだ。328百年後(ひやくねんご)大黒主(おほくろぬし)行末(ゆくすゑ)は、329(すなは)(いま)有様(ありさま)であるぞ。330サア、331(はや)くここを立去(たちさ)れ』
332 ()かる(ところ)へ、333(また)もや三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)がかすかに(きこ)え、334宣伝使(せんでんし)三人(さんにん)供人(ともびと)(とも)(ぬま)(ほとり)(あら)はれて()た。335(この)(こゑ)()くと(とも)に、336大黒主(おほくろぬし)(からだ)地上(ちじやう)へガワとばかりに浮上(うきあが)つた。337樹上(じゆじやう)大蛇(をろち)大黒主(おほくろぬし)大口(おほぐち)()けて、338グツと一口(ひとくち)()んだまま、339黒雲(くろくも)呼起(よびおこ)し、340一目散(いちもくさん)中天(ちうてん)姿(すがた)をかくして(しま)つた。
341 二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)姿(すがた)()るより、342フツと()()きそこらあたりを()れば、343河鹿峠(かじかたうげ)谷底(たにそこ)(おちい)り、344舞埃(まひごみ)(すな)(なか)半身(はんしん)(うづ)めてゐたことが(わか)つた。345(たに)(なが)れはゴウゴウと四辺(あたり)(ひび)いてゐる。346()をおちつけてよくよく()れば、347照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)(はじ)め、348梅公(うめこう)349照公(てるこう)350国公(くにこう)三人(さんにん)二人(ふたり)身体(からだ)介抱(かいほう)し、351一生懸命(いつしやうけんめい)に、352魂呼(たまよ)びの神業(かむわざ)(しう)してゐたことに()()いた。
353 イール、354ヨセフの両人(りやうにん)宣伝使(せんでんし)一行(いつかう)(むか)黄金姫(わうごんひめ)一行(いつかう)無礼(ぶれい)(くは)へて、355(この)谷底(たにそこ)()()まれた一条(いちでう)より、356鬼熊別(おにくまわけ)(やと)はれて、357蜈蚣姫(むかでひめ)358小糸姫(こいとひめ)所在(ありか)(たづ)(もと)めつつあることを(つまびらか)物語(ものがた)り、359ここに翻然(ほんぜん)として(さと)り、360宣伝使(せんでんし)(したが)つて、361(たに)(くだ)り、362山路(やまぢ)()で、363トボトボと(あと)(したが)()く。364二人(ふたり)(なん)となく、365宣伝使(せんでんし)威光(ゐくわう)()たれて、366(おそ)ろしくなり、367あたり(やみ)(つつ)まれし(ころ)368(すき)(うかが)うて()()せて(しま)つた。
369 照国別(てるくにわけ)道端(みちばた)(ふる)(ほこら)(まへ)に、370三人(さんにん)供人(ともびと)(とも)一夜(いちや)()かすこととした。
371大正一一・一〇・二二 旧九・三 松村真澄録)
   
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