霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一一章 鼻摘(はなつまみ)〔一〇七六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻 篇:第3篇 宿世の山道 よみ:すぐせのやまみち
章:第11章 第39巻 よみ:はなつまみ 通し章番号:1076
口述日:1922(大正11)年10月27日(旧09月8日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
激しい山颪が吹き荒れる中、照国別一行は宣伝歌を歌いながら山道を下ってきていた。山道に二人の男が倒れている。照国別は、国公に二人の介護を命じて先を急いだ。
国公はタールに近づいて様子を見ていた。タールはたいしたけがではなかったので、二人は軽口をたたきあって打ち解けてしまった。あたりは暗くなり、二人はいつの間にかそこに寝てしまった。
ハムは起きてきて、二人の髪の毛を結んでしまい、鼻をつまんでからかっている。ひとしきりからかって二人が起きたところで、ハムとタールは今までのことを水に流して仲直りをした。
夜が明け、三人は兄弟のように親しくなった。三人は無駄口をたたきながら照国別の後を追っていく。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3911
愛善世界社版:139頁 八幡書店版:第7輯 330頁 修補版: 校定版:147頁 普及版:58頁 初版: ページ備考:
001バラモン(こく)天地(あめつち)
002(ふさ)ぎて(くら)妖雲(えううん)
003()(はら)ひつつ三五(あななひ)
004(かみ)(をしへ)(しき)ひろめ
005(こころ)(くら)大黒主(おほくろぬし)
006言向和(ことむけやは)日月(じつげつ)
007(ひかり)をてらす(つき)(くに)
008照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)
009照国梅(てるくにうめ)三人(さんにん)
010(したが)坂路(さかみち)(くだ)()
011国公(くにこう)路々(みちみち)宣伝歌(せんでんか)
012(うた)(なが)らに(すす)むなり。
013
014(かみ)(おもて)(あら)はれて
015(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
016河鹿峠(かじかたうげ)(その)(むかし)
017言依別(ことよりわけ)宣伝使(せんでんし)
018栗毛(くりげ)(うま)打乗(うちの)りて
019(わた)らせ(たま)(とき)もあれ
020レコード(やぶ)りの烈風(れつぷう)
021()きまくられて谷底(たにそこ)
022(おちい)(たま)天国(てんごく)
023探検(たんけん)したる旧蹟地(きうせきち)
024あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
025(かみ)御霊(みたま)(さち)はひて
026(いま)吹来(ふききた)烈風(れつぷう)
027(とど)めて吾等(われら)一行(いつかう)
028(つき)(みやこ)易々(やすやす)
029(すす)ませ(たま)惟神(かむながら)
030(かみ)使(つかひ)宣伝使(せんでんし)
031御供(みとも)(つか)ふる国公(くにこう)
032真心(まごころ)こめて()ぎまつる
033(あき)(やうや)(ふか)くして
034千黄万紅(せんくわうばんこう)綾錦(あやにしき)
035(はた)()りなす佐保姫(さほひめ)
036姿(すがた)もいとど(うる)はしく
037常世(とこよ)(はる)の「ドツコイシヨ」
038(あき)紅葉(もみぢ)(ごと)くなり
039(いま)()(かぜ)曲風(まがかぜ)
040(ただし)(たふと)神風(かみかぜ)
041(まこと)(あぶ)ない(かぜ)(たま)
042ドンと(ばか)りにつき(あた)
043もろくも空中滑走(くうちうくわつそう)して
044(この)谷底(たにそこ)(おちい)らば
045天国(てんごく)浄土(じやうど)旅立(たびだち)
046出来(でき)るに(きま)つてあるならば
047チツとも(おそ)れはせぬけれど
048吾等(われら)(ごと)(つみ)(おも)
049身魂(みたま)如何(どう)して「ウントコシヨ
050ドツコイ ドツコイ ドツコイシヨ」
051ホンに(あぶな)坂路(さかみち)ぢや
052根底(ねそこ)(くに)転落(てんらく)
053八寒(はちかん)地獄(ぢごく)(おちい)りて
054万劫末代(まんごふまつだい)(くるし)みの
055(もん)(ひら)くは()れた(こと)
056(しば)(この)()(なが)らへて
057(かみ)(たい)して功績(いさをし)
058(すこ)しは()てし(のち)ならば
059(けつ)して()ゆる(こと)はない
060さはさり(なが)(いま)(うち)
061さやうな(こと)があつたなら
062どうして(かみ)御前(おんまへ)
063(すす)()(こと)出来(でき)やうか
064あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
065(この)(かぜ)とめて(くだ)さんせ
066(わたし)(あぶな)うてたまらない
067(さき)(すす)みし黄金姫(わうごんひめ)
068清照姫(きよてるひめ)今頃(いまごろ)
069何地(いづち)(すす)(たま)ふやら
070(さだ)めて母娘(おやこ)二人(ふたり)
071(この)難風(なんぷう)になやまされ
072(しり)をまくられスタスタと
073(あか)(かほ)して()るだらう
074(いま)()るやうに(おも)はれて
075そいつが第一(だいいち)()にかかる
076黄金姫(わうごんひめ)()(かく)
077清照姫(きよてるひめ)のあの姿(すがた)
078(あん)じすごさでおかれようか
079ホンに毒性(どくしやう)(かぜ)ぢやなア
080「ウントコドツコイ梅公(うめこう)よ」
081「ヤツトコドツコイ(てる)さまよ」
082(たがひ)()をつけ足元(あしもと)
083(かぜ)ばつかりぢやない(ほど)
084これ(ほど)キツイ坂路(さかみち)
085(とが)つた(いし)がムクムクと
086(あたま)(もた)げてゐよるぞよ
087(とら)(おほかみ)獅子(しし)(くま)
088(この)烈風(れつぷう)にあふられて
089谷間(たにま)()()()(みち)
090(かなら)ずしやがむで()るだらう
091ウツカリ相手(あひて)に「ドツコイシヨ」
092なつてはならぬぞ(てる)(うめ)
093モーシモーシ宣伝使(せんでんし)
094あなたも(もと)梅彦(うめひこ)
095()(うた)はれし神司(かむづかさ)
096四方(しはう)八方(はつぱう)国々(くにぐに)
097おまはりなさつたお(かた)なら
098烈風(れつぷう)豪雨(がうう)遭遇(さうぐう)した
099(その)経験(けいけん)はありませう
100何卒(なにとぞ)(はな)して(くだ)さんせ
101(つき)(くに)にて(へそ)()
102()つて(この)(かた)こんな()
103()うたる(ため)しは荒男(あらをとこ)
104(つよ)そに()つても(はら)(うち)
105(むね)はドキドキ早鐘(はやがね)
106つくよな(おも)ひになりました
107これこれモーシ宣伝使(せんでんし)
108これ(ほど)(わたし)(たの)むのに
109沈黙(ちんもく)するとは胴欲(どうよく)
110(なに)ほど沈黙(ちんもく)したとても
111(この)烈風(れつぷう)易々(やすやす)
112容易(ようい)沈黙(ちんもく)(いた)すまい
113「ウントコドツコイ アイタヽヽ」
114エーエー怪体(けたい)(わる)(こと)ぢや
115どうやら足許(あしもと)「ドツコイシヨ」
116(あやふ)うなつて()たわいな
117(みち)片方(かたへ)古祠(ふるほこら)
118(この)烈風(れつぷう)(あふ)られて
119バラバラ バラバラ メチヤメチヤに
120姿(すがた)もとめず()()せぬ
121(かみ)(まつ)つた(ほこら)さへ
122これ(ほど)ムゴク()るものを
123梵天王(ぼんてんわう)(しづ)まれる
124国公(くにこう)さまの(にく)(みや)
125これが()らずに()りませうか
126ホンに(おも)へば()にかかる
127「ウントコ ドツコイ ドツコイシヨ」
128アレアレ(むか)うに(ひと)(かげ)
129此奴(こいつ)(かぜ)にあふられて
130(くたば)りよつてかメソメソと
131()いたか()かぬかおれや()らぬ
132(はち)字形(じがた)にふんのびて
133(くろ)いお(しり)をむき(いだ)
134ウンウン(うめ)いてゐるやうだ
135彼処(あこ)(なん)でも風玉(かぜたま)
136(あた)難所(なんしよ)(ちがひ)ない
137照国別(てるくにわけ)神司(かむづかさ)
138一寸(ちよつと)一服(いつぷく)しませうか
139鉢植(はちうゑ)みたよな()ぢやけれど
140ヤツパリ此奴(こいつ)にや()(ござ)
141(この)()をシツカリ(つか)まへて
142四人(よにん)(たがひ)()をつなぎ
143科戸(しなど)(かぜ)(わざはひ)
144しばしのがれて(やす)まうか
145あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
146御霊(みたま)(さち)はひましまして
147照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)
148何卒(なにとぞ)一言(ひとこと)国公(くにこう)
149(やす)んで()けよと「ドツコイシヨ」
150言霊(ことたま)()らして(くだ)さんせ
151(おし)旅行(りよかう)ぢやあるまいし
152沈黙(ちんもく)するにも(ほど)がある
153照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)
154レコード(やぶ)りの烈風(れつぷう)
155(きも)をつぶして(むね)をつめ
156(にはか)(おし)となつたのか
157「ウントコ ドツコイ ドツコイシヨ」
158如何(どう)しても()しても(わが)(あし)
159(ひざ)がキヨクキヨク(わら)()
160(こし)まで(あや)しくなつて()
161最早(もはや)一歩(いつぽ)(すす)めない
162「アイタヽタツタ アイタヽヽ」
163蜈蚣(むかで)(あし)をかんだよな
164キツイ(いた)みにふりかへり
165(なが)むる途端(とたん)(とが)(いし)
166あつかましくも(あし)()
167(うま)そな(かほ)して()うてゐる
168「ウントコ ドツコイ ドツコイシヨ」
169(おな)旅路(たびぢ)をするならば
170モウこれからは山路(やまみち)
171よけて(たひ)らな大野原(おほのはら)
172(くさ)ふみ()けて(すす)(はう)
173何程(なにほど)(らく)(わか)らない
174(いそ)がばまはれと()(こと)
175子供(こども)(とき)から()いてゐた
176照国別(てるくにわけ)()()かぬ
177コレコレもうし宣伝使(せんでんし)
178(なに)不足(ふそく)でそんな(かほ)
179コレ(ほど)(わたし)(たの)むのに
180()かぬふりしてスタスタと
181坂路(さかみち)()くとは(きよく)がない
182こんな無慈悲(むじひ)神司(かむづかさ)
183照国別(てるくにわけ)(みちび)かれ
184はるばる(つき)御国(みくに)まで
185どうしてお(とも)出来(でき)やうか
186(わたくし)前途(ぜんと)(あん)じられ
187(かな)しう(くる)しうなつて()
188あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
189御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
190(うた)ひ、191烈風(れつぷう)(あふ)られつつ(くだ)()く。
192 さしもに(はげ)しかりし山颪(やまおろし)はピタリとやんで、193木々(きぎ)(さや)ぎもおとなしく(しづ)まり(かへ)つた天地(てんち)光景(くわうけい)194(そら)紺青(こんじやう)(いろど)られ、195()一面(いちめん)(にしき)野辺(のべ)196(あま)()(かみ)(やま)()にうすづき(たま)ひ、197黄昏(たそがれ)()198追々(おひおひ)(せま)()る。199どこともなしに(ひび)()(かね)(こゑ)200諸行無常(しよぎやうむじやう)()げわたる。201(とり)(ねぐら)(もと)めて(はや)くも棲処(すみか)をさして(かへ)るものの(ごと)羽使(はづか)(いそが)がしさうに西山(せいざん)(みね)をさして、202十羽(じつぱ)二十羽(にじつぱ)三十羽(さんじつぱ)(れつ)(つく)つて(かけ)()く。203照国別(てるくにわけ)(はじ)めて(くち)(ひら)き、
204『アヽ国公(くにこう)さま、205(まへ)もこれで安心(あんしん)だらう。206(かぜ)随分(ずゐぶん)(さわ)いだが、207(まへ)中々(なかなか)()けず(おと)らず(さわ)いだねい。208余程(よほど)(こは)かつたと()える、209(きも)(ちひ)さい(をとこ)だなア。210(ひと)(こころ)はすべて言行(げんかう)(あら)はれるものだ。211モウ(すこ)沈着(ちんちやく)態度(たいど)をとらないと、212天下(てんか)宣伝使(せんでんし)到底(たうてい)駄目(だめ)だらうよ』
213国公(くにこう)滅相(めつさう)もない、214(わたし)はあの(かぜ)自分等(じぶんら)前途(ぜんと)(しゆく)するかのやうで、215(いさ)ましき気分(きぶん)(ただよ)愉快(ゆくわい)でたまらなかつたのです。216()んだか()きたか()れぬやうな閑寂(かんじやく)(あき)天地(てんち)を、217亡者然(まうじやぜん)とトボトボと(ある)くのは(あま)(をとこ)らしくありませぬ。218(わたし)(さわ)いだのは所謂(いはゆる)沈着(ちんちやく)表徴(へうちよう)です。219静中動(せいちうどう)ありといふ筆法(ひつぱふ)だから、220それに()いても照公(てるこう)221梅公(うめこう)御両人(ごりやうにん)真青(まつさを)(かほ)をして、222チウの(こゑ)(ひと)つヨウあげず、223本当(ほんたう)()(どく)でたまらなかつたので、224二人(ふたり)恐怖心(きようふしん)代表(だいへう)して一寸(ちよつと)あんな洒落(しやれ)()つてみたのです。225(こころ)から卑怯者(ひけふもの)(おも)はれてはたまりませぬからなア。226アツハヽヽヽ』
227(かた)をゆすつて豪傑(がうけつ)(わら)ひをしてみせる。
228 照国別(てるくにわけ)は、
229『マア(なん)でもいい、230元気(げんき)でさへあれば大丈夫(だいぢやうぶ)だ。231(けつ)して悲観(ひくわん)はせぬがよい。232随分(ずゐぶん)国公(くにこう)さまを(はじ)二人(ふたり)恐怖心(きようふしん)にかられてゐましたなア』
233照公(てるこう)『ハイ(あふ)せの(とほ)随分(ずゐぶん)荒肝(あらぎも)をとられました』
234梅公(うめこう)(わたし)一寸(ちよつと)おつ(かぜ)()きやがるなア……と(おも)ひながら、235(ふる)つてゐました。236(しか)(こは)うて(ふる)ふのではありませぬ。237薄着(うすぎ)(はだ)()きつける(かぜ)(さむ)いので、238一寸(ちよつと)景物(けいぶつ)震動(しんどう)してみたのです』
239国公(くにこう)『アハヽヽヽ(なん)負惜(まけをし)みの(つよ)(やつ)だなア。240()梅公(うめこう)(だけ)あつて、241ウメイ(こと)(ほざ)きやがる。242モシモシ照国別(てるくにわけ)さま、243あこに二人(ふたり)244(うめ)さまの(やう)豪傑(がうけつ)昼寝(ひるね)をしてゐるぢやありませぬか。245(ひと)(おこ)してやりませうか』
246照国別(てるくにわけ)『あれはどうやら怪我(けが)をしてゐるやうだ。247オイ国公(くにこう)さま、248(まへ)一任(いちにん)するから、249鎮魂(ちんこん)(ほどこ)して(たす)けてやりなさい。250これが首途(かどで)功名(こうみやう)手柄(てがら)だ。251そして照公(てるこう)252梅公(うめこう)両人(りやうにん)(われ)()いて(はや)(この)山坂(やまさか)(くだ)るのだ。253(この)谷口(たにぐち)一寸(ちよつと)した岩屋(いはや)がある、254そこで今宵(こよひ)()かす(こと)にする。255(くに)さま(はや)両人(りやうにん)(たす)けて、256あとから()(くだ)さい、257吾々(われわれ)はお(さき)失礼(しつれい)するから』
258国公(くにこう)『モシ、259そりやチと御了見(ごれうけん)(ちがひ)はしませぬか、260天下(てんか)宣伝使(せんでんし)(みち)(たふ)れてゐる旅人(たびびと)()すてて、261冷淡(れいたん)至極(しごく)にも(わたくし)一人(ひとり)介抱(かいほう)させようとは無慈悲(むじひ)にも(ほど)がある。262ヘン馬鹿(ばか)らしい、263そんな(こと)宣伝使(せんでんし)がつとまりますかい。264ナア照公(てるこう)265梅公(うめこう)266さうぢやないか』
267照公(てるこう)『ウンさうぢやない』
268梅公(うめこう)動中静(どうちうせい)ありといふお(まへ)役目(やくめ)だよ。269それで日出別(ひのでわけ)さまがお(まへ)もお(とも)をして、270道中(だうちう)せい動中静(どうちうせい))と仰有(おつしや)つたのだ。271ナア照公(てるこう)さま、272大分(だいぶん)()(くら)くなつて()たし、273グヅグヅしてゐるとそこら(ぢう)(くら)くなつて()ちや、274何程(なにほど)くらく苦楽(くらく)不二(ふじ)でもやり()れないワ。275(なん)とマア(かへる)をブツけたやうによく(くた)ばつてゐる(こと)わいのう』
276国公(くにこう)『モシ、277宣伝使(せんでんし)(さま)278一層(いつそう)のこと吾々(われわれ)四人(よにん)鎮魂(ちんこん)彼等(かれら)(あた)へて、279手早(てばや)くここを切上(きりあ)げたら如何(どう)でせう』
280照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)(げん)二言(にごん)はない。281(まへ)はあとに(のこ)つて旅人(たびびと)介抱(かいほう)(めい)ずる。282サア(てる)283(うめ)両人(りやうにん)(はや)()かう』
284二人(ふたり)をつれて、285ドシドシと坂路(さかみち)(くだ)りゆく。286あとに国公(くにこう)呆然(ばうぜん)自失(じしつ)287()(ところ)()らず、288だんだんそこらが(くら)くなつて()る。289二人(ふたり)旅人(たびびと)は、290半死半生(はんしはんしやう)(てい)(くる)しむ(こゑ)が、291ウンウンと(きこ)えて()た。
292 国公(くにこう)はタールの(そば)(たち)より、
293『オイ旅人(たびびと)294ウンウンと(なに)をきばつてゐるのだ。295(あか)(ばう)(なん)ぞのやうに()(なが)らウンコをたれる(やつ)がどこにあるか』
296(からだ)一寸(ちよつと)()でて()て、
297(なん)とマア(なが)(をとこ)だなア、298ハハー此奴(こいつ)あモウ駄目(だめ)だ、299九死一生(きうしいつしやう)だ。300こんな(をとこ)(いのち)(たす)けて、301娑婆(しやば)(つら)苦労(くらう)をさすよりも一層(いつそう)(こと)一思(ひとおも)ひにやつつけてやつた(はう)が、302(おれ)手間(てま)がいらず、303当人(たうにん)もさぞ満足(まんぞく)だらう。304ウフヽヽヽ』
305タール『モシモシ(たび)のお(かた)306どうぞ(わたし)(いのち)(たす)けて(くだ)さい』
307国公(くにこう)『ヤアお(まへ)はヤツパリ人間(にんげん)かなア』
308タール『殺生(せつしやう)な、309人間(にんげん)でなくて(なん)としませう』
310国公(くにこう)『おれや(また)野狸(のだぬき)()けてゐやがるのかと早合点(はやがつてん)したから、311(ころ)してやろと()つたのだ。312人間(にんげん)さまと()くからは(たす)けにやおかれまい。313芝居(しばゐ)口調(くてう)最前(さいぜん)照国別(てるくにわけ)殿(どの)(わか)れて(かへ)(くら)まぎれ、314山越(やまこ)獅子(しし)出会(であ)ひ、315(ふた)(だま)にて(うち)とめ、316(ちか)より()れば、317(たぬき)にはあらで(たび)(ひと)318(くすり)はないかと懐中(くわいちゆう)(さぐ)りみれば、319財布(さいふ)()つたる(この)(かね)320(みち)ならぬ(こと)とは(おも)へども、321(てん)(あた)へと押頂(おしいただ)き、322亡君(ばうくん)石塔料(せきたふれう)使(つか)つてくれむ。323コリヤ旅人(たびびと)幽霊(いうれい)324(かね)所在(ありか)をハツキリ(まを)さぬか』
325タール『モシモシ泥坊(どろばう)(さま)326(かね)はここに(いく)らでも()つて()ります。327(いのち)(ばか)りはお(たす)(くだ)さいませ。328(この)(とほ)膝頭(ひざがしら)(うち)くじき、329身動(みうご)きならぬ弱味(よわみ)をつけ()んで、330(かね)(いのち)()らうとは、331(あま)(むし)がよすぎます』
332国公(くにこう)『オイ旅人(たびびと)333泥坊(どろばう)ではないぞ。334世界(せかい)(たす)けまはる宣伝使(せんでんし)……ではない、335(その)(とも)だ。336()はば宣伝使(せんでんし)(たまご)だ。337どうかして(たす)けてやりたいは山々(やまやま)なれど、338生憎(あひにく)(この)(やま)禿山(はげやま)薬草(やくさう)はなし、339谷水(たにみづ)()ましてやりたいけれど、340(たに)(ふか)く、341かう(やみ)(とばり)がおりては、342(ひと)(たす)ける(どころ)か、343自分(じぶん)(いのち)(あやふ)うなつて()た。344どうぞ(わたし)(たす)けると(おも)うて、345そんな無理(むり)をいはずに(はや)()なしてくれ、346(この)(とほ)()()はして、347泥坊(どろばう)オツトドツコイ、348こなさまが(をが)みます』
349タール『アハヽヽヽ(なん)とマア面白(おもしろ)いお(かた)ですこと、350(わたし)最前(さいぜん)烈風(れつぷう)(きも)(つぶ)した一刹那(いつせつな)351一寸(ちよつと)膝頭(ひざがしら)から()()たけれど、352(にはか)病気(びやうき)(なほ)り、353こんな坂路(さかみち)(くらゐ)()でもないのだが、354()(ついで)()(くれ)にも(ちか)いから、355(この)(まま)夜明(よあ)かししようと(おも)うてゐたのだ。356さうした(ところ)がお(まへ)さま()一行(いつかう)が、357面白(おもしろ)(さう)(うた)(うた)つて()()るので、358一寸(ちよつと)なぶつてやらうと、359半死半生人(はんしはんしやうにん)真似(まね)をしてゐた。360半鐘(はんしよう)泥棒(どろばう)だよ。361ウツフヽヽヽ』
362 国公(くにこう)(あたま)をかき(なが)ら、
363『エーいまいましい、364一杯(いつぱい)くはされたか、365今日(けふ)(かぎ)つて照国別(てるくにわけ)さまが、366なぜあんな無慈悲(むじひ)(こと)()かすのだろと、367(いささ)憤慨(ふんがい)してゐたが、368流石(さすが)照国別(てるくにわけ)さまは(えら)いワイ、369ヤツパリおれの先生(せんせい)だ。370チヤツと此奴(こいつ)狂言(きやうげん)()ぬかれた(その)天眼力(てんがんりき)天晴(あつぱれ)なものだ。371イヤもう(かん)()りました』
372タール『お(まへ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)のお(とも)をいたす三人(さんにん)(なか)でも一番(いちばん)よりぬきの、373はね代物(しろもの)だなア』
374国公(くにこう)『コラ失礼(しつれい)(こと)をぬかすか。375おれには(おや)があるぞよ』
376タール『アハヽヽヽ(ひろ)世界(せかい)(おや)のない(もの)があらうか、377たわけた(こと)()ふない』
378国公(くにこう)『ヘン、379チとすまぬが、380(おれ)(おや)はチツと(ちが)ふのだ。381国治立大神(くにはるたちのおほかみ)といふ親神(おやがみ)があるのだ。382それだから国公(くにこう)さまと()ふのだよ。383オイ貴様(きさま)()(なん)といふか』
384タール『(おれ)()かい。385(おれ)はタールさまだ』
386国公(くにこう)失礼(しつれい)()もつて挨拶(あいさつ)をする(やつ)があるかい、387(なん)でも(さけ)くらひのやうなスタイルだと(おも)うてゐたら、388ヤツパリ名詮自称(めいせんじしやう)タールとぬかす代物(しろもの)か、389それでは(おや)のないのも(もつと)もだ。390(まへ)はバラモン(けう)のケレ(また)だらう。391タールといふやうな(かみ)さまはどこにあるか。392大黒主(おほくろぬし)(かみ)祖神(おやがみ)にもつならば、393(くろ)といふ()がつき(さう)なものだのに、394タールなどとは、395チツと(もの)ターランぢやないか、396(あし)がタールなつて、397大方(おほかた)ここで平太(へた)ばつてゐやがるのだらう』
398タール『コリヤ(くに)とやら、399そんな劫託(ごふたく)をほざくと(ばち)があタールぞよ』
400国公(くにこう)『エー(この)(くらゐ)ウソ気味(きみ)(わる)いのに化物然(ばけものぜん)洒落(しやれ)やがるない、401チツと()きたら如何(どう)だい』
402タール『ザワザワ(さわ)いで(たち)くらすのも一日(いちにち)なら、403安楽(あんらく)()てくらすのも一日(いちにち)だ。404(おれ)(おれ)主義(しゆぎ)がある。405(みち)()タール主義(しゆぎ)(まを)すのだよ』
406国公(くにこう)『オイ(おれ)もそこで一寸(ちよつと)添寝(そへね)をさしてくれないか。407モウ()うなつちや、408一寸(いつすん)(ある)けないぢやないか』
409タール『ヨーシ、410一緒(いつしよ)()んねをさしてやろ……ネンネンねんこの(けつ)(かに)()()んだ──いたかゆ かゆかゆ()つて()れ──ヤツトの(こと)(ひき)ずり()したら、411(また)()()んだ──いたかゆ かゆかゆとつて()れ。412……(ばう)ヤのもりはどこへいた、413(やま)をこえて(さと)へいた、414(さと)土産(みやげ)(なに)(もら)うた、415ハルナの饅頭(まんぢう)(しやう)(ふえ)416ねんねんよう ねんねんよう、417ねんねんコロリ ねんコロリ、418年中(ねんぢう)コロリとねて()れば、419これ(ほど)(らく)(こと)はない』
420国公(くにこう)『コリヤ洒落(しやれ)ない、421おれや(あか)(ばう)ぢやないぞ』
422タール『お(まへ)(あか)(ばう)(どころ)かい、423まだ(たまご)ぢやないか、424それだからコロリコロリと(うた)つたのぢやい、425大人(おとな)なら大人(おとな)らしうお(まへ)(ひと)註文(ちうもん)がある。426(なん)()いてはくれまいかなア』
427国公(くにこう)斎苑(いそ)(やかた)(その)(ひと)ありと(きこ)えたる国治立命(くにはるたちのみこと)()(たま)はつた国公(くにこう)さまだ。428何事(なにごと)なりと天地(てんち)(あひだ)(こと)ならば(かな)へてつかはす。429サア遠慮(ゑんりよ)はいらぬ、430ドシドシと申上(まをしあ)げよ』
431タール『ハヽヽヽヽ、432(なに)をぬかしやがるのだ。433けたいな法螺吹(ほらふき)だなア』
434国公(くにこう)(かぜ)でさへも大変(たいへん)()いたぢやないか。435ホラ()くの神様(かみさま)とはおれの(こと)だ。436(なん)でも(かな)(こと)なら()いてやろ。437(しか)(なが)(いま)おれに(かね)一万両(いちまんりやう)くれと()つても、438ソリヤ一寸(ちよつと)()(こと)出来(でき)ぬ。439女房(にようばう)(かは)りになれといつても、440それも(かな)はぬ。441(その)(ほか)(こと)ならば、442一切(いつさい)万事(ばんじ)(かな)へてつかはす(ほど)に、443(その)(かは)りに一生(いつしやう)火物断(ひものだ)ちを(いた)せよ』
444タール『エー(なん)でも()いワ。445(じつ)(ところ)(おれ)(かたき)が、446ソレそこにウンウン(うな)つてゐやがるのだ。447彼奴(あいつ)(ころ)さねば、448(おれ)(ころ)されるのだから、449(いま)(うち)(ころ)しておきたいのだが、450折角(せつかく)(よこ)になつたのだから(うご)くのが面倒(めんだう)(くさ)いので、451一時(いつとき)()ばしに()ばしてゐた(ところ)だ。452オイそこな(いは)でも(ひと)つグツと(かか)へて、453彼奴(あいつ)のドタマへドスンと()ててくれ。454そしたらそれで(この)タールさまは至極(しごく)安全(あんぜん)455天下(てんか)泰平(たいへい)456五穀(ごこく)成就(じやうじゆ)だ』
457国公(くにこう)『アハヽヽヽ(なん)気楽(きらく)(やつ)だなア、458最前(さいぜん)から所在(ありか)()えたけれど、459モウ()(くら)くなつちや、460足元(あしもと)もロクに()えないワ。461()()けてから、462ゆつくり(おれ)(みづか)神占(くじ)をやつて、463タールを(ころ)すか、464ハムを(ころ)すか、465どちらを(ころ)さうかといふ(こと)(うかが)つてみて、466(その)(うへ)(こと)にしようかい。467()しタールを(ころ)せといふおみくじ()たら、468()(どく)(なが)観念(くわんねん)してくれねば、469なるまいぞ。470アーア今晩(こんばん)はかう()うて(さは)いでゐるが、471明日(あす)(あさ)になつたらヒヨツとしたら(おれ)()にかかつて()ぬかと(おも)へば、472いささか(もつ)()(どく)でも(なん)でもないワイ。473ウツフヽヽヽ』
474タール『コラ馬鹿(ばか)にすない。475よい加減(かげん)にからかつておけ』
476国公(くにこう)(から)()つても印度(いんど)(かつ)ても、477そんな(こと)にお(かま)ひがあるかい』
478 二人(ふたり)何時(いつ)()にか(だき)ついた(まま)479(みち)()(なか)でグツと()(しま)つた。480(らい)のやうな鼾声(いびきごゑ)競争的(きやうさうてき)(きこ)えて()た。481ハムはニツコと(わら)つて()(あが)四這(よつば)ひになつて(さぐ)()り、482二人(ふたり)(かみ)()(かた)(むす)(あは)せ、483息使(いきづか)ひを(かんが)へて、484タールの(はな)をむしれる(ほど)()ぢた。485タールは(いた)さに()をさまし、
486『イヽヽイツタイワイ、487コラ国公(くにこう)488しやれた(こと)をすな、489(ひと)(はな)()みやがつて、490(なん)(たこ)でも(くら)うてる(ゆめ)()やがつたのかな』
491 国公(くにこう)はウニヤ ウニヤ ウニヤと何事(なにごと)(くち)(うち)にて()(なが)ら、492(また)もやグーグーと大鼾(おほいびき)をかく。
493タール『ハハー此奴(こいつ)(ゆめ)をみやがつて、494おれの(はな)(つま)みやがつたのだな、495エー仕方(しかた)がない、496(ゆめ)()(こと)(とが)める(わけ)にも()こまい。497一樹(いちじゆ)(かげ)雨宿(あまやど)り、498一河(いちが)(なが)れを()むさへも(ふか)(えにし)()くからは、499よくよくの因縁(いんねん)だらう。500()()らずの旅人(たびびと)同士(どうし)が、501雲天井(くもてんじやう)石枕(いしまくら)502夫婦(ふうふ)(なん)ぞのやうに、503(だき)ついて()るのも、504(なに)かの因縁(いんねん)がなくてはなろまい。505あゝモウ()よう』
506独言(ひとりごと)をいひ(なが)ら、507(はや)くもグーグーと(いびき)をかき()した。508ハムは(また)もや手探(てさぐ)りに国公(くにこう)(はな)をむしる(ほど)()ぢた。
509国公(くにこう)『イヽイターい、510ハナハナハナ(はな)(はな)せ、511(はな)さぬか(はな)さぬか』
512 ハムはあわてて()(はな)す。
513国公(くにこう)『コラ、514タール、515(おれ)計略(けいりやく)にかけやがつて、516()とる()に、517(はな)をねぢて(ころ)さうとしよつたなア。518()()(はな)ねぢなら、519(おれ)(まけ)はせぬぞ。520アイタタ、521メツタ矢鱈(やたら)(ひと)(かみ)()引張(ひつぱ)りやがる。522ヤイ、523タール一寸(ちよつと)(かみ)()(はな)せ』
524ハム『コリヤ国公(くにこう)525(この)タールを(なん)心得(こころえ)てゐるか、526(あま)計略(けいりやく)にかけてやつたのだ。527(この)(かみ)()をグツと(にぎ)り、528(はな)()ぢて(ころ)してやろとの計略(けいりやく)()らないのか、529余程(よほど)()頓馬(とんま)だなア。530ウツフヽヽヽ』
531(なに)(くそ)ツ』と国公(くにこう)(ちから)一杯(いつぱい)(はな)()はず、532()といはず、533(つめ)()ててグツとかきむしつた。534よく寝込(ねこ)んでゐたタールはビツクリして()をさまし、
535『アイタヽヽコリヤ(さる)()536おれの(かほ)をかきやがつたな、537オイ国公(くにこう)貴様(きさま)()きぬかい、538(さる)()やがつたぞ。539ヤア(おれ)(かみ)()引張(ひつぱ)つてゐやがる』
540国公(くにこう)『コラ、541タール(おれ)()らぬかと(おも)つて、542(あたま)()引張(ひつぱ)つたり、543(はな)をやたらに()ぢやがつて、544おまけに(おれ)(ころ)さうと(たく)みやがつたなア、545サアもう()うなつた(うへ)了見(れうけん)ならぬ』
546()()ばして、547(また)タールの(かほ)をかく。
548タール『オイ国公(くにこう)549マア()て、550此奴(こいつ)あチト可怪(をか)しいぞ』
551ハム『オイ、552タール、553(くに)さまの(あたま)無性(むしやう)矢鱈(やたら)引張(ひつぱ)りやがつて如何(どう)する(つもり)だ。554コリヤ睾丸(きんたま)(にぎ)りしめてやろか』
555国公(くにこう)『ヤア、556おれの代理(だいり)をする(やつ)出来(でき)()よつたぞ。557いつの()にか副守護神(ふくしゆごじん)()()()しやがつて、558(この)(はう)さまの意思(いし)(はん)した(こと)(さへづ)りやがるものだから、559サツパリ(こと)面倒(めんだう)だ』
560ハム『コリヤ国公(くにこう)561トボケない、562そんな(こと)()ふタールぢやないぞ。563タールの(うで)には(にく)があるぞ』
564国公(くにこう)『コリヤ、565タール、566貴様(きさま)(にく)よりも(おれ)(ほね)(はう)がチツと(かた)いぞ。567大人(おとな)なぶりの(ほね)なぶり、568サア(これ)からは睾丸(きんたま)(つか)(あひ)だ。569()()()ツ、570アイタツタ、571コラ(かみ)()(はな)さぬかい』
572ハム『アツハヽヽヽ阿呆(あほう)()が、573オホヽヽヽ臆病者(おくびやうもの)()574ウツフヽヽヽうろたへ(もの)575エツヘヽヽヽエタイの()れぬ化者(ばけもの)にいらはれてゐるうつ(もの)576イツヒヽヽヽ意地(いぢ)くね(わる)いハムさまの御出現(ごしゆつげん)577サアもう()うなる(うへ)はタールを(ころ)そか、578国公(くにこう)をやつつけようか、579明日(あす)(あさ)手製(てせい)神籤(みくじ)(うかが)つて()よう。580モシ、581タールさま、582(まへ)(ころ)せと()みくじが()たら()(どく)(なが)ら、583(まへ)(いのち)()らねばならぬ。584それを(おも)へば、585おれやモウ可哀相(かあいさう)で、586()(どく)でも(なん)でもないワイ。587ウツフヽヽヽ』
588国公(くにこう)『コリヤ(おれ)受売(うけうり)をしやがる(やつ)は、589ダダ誰奴(だいつ)だい』
590ハム『最前(さいぜん)からここに()てゐたバラモン(けう)のハムさまだ。591これからタールをやつつけるのだから、592(くに)さま(ひと)加勢(かせい)をしてくれないか』
593国公(くにこう)折角(せつかく)()うして()()いて(した)しうなつたタールぢやもの、594如何(どう)して(これ)(ころ)すことが出来(でき)ようかい、595おれやそんな(こと)()くと、596貴様(きさま)(にく)らしくなつて()て、597(はら)一寸(ちよつと)()たないワ。598オツホヽヽヽ』
599 ()かる(ところ)(やま)()(のぼ)()満月(まんげつ)(ひかり)600ハムは手早(てばや)両人(りやうにん)(かみ)をほどき、
601『ヤア、602タール、603モウ(ゆる)してやらう。604以後(いご)はキツと(つつし)んであの(やう)悪戯(いたづら)(いた)すでないぞ、605そしてあのやうな水臭(みづくさ)(こと)(おも)ふと、606今度(こんど)はモウ了見(れうけん)せぬからさう(おも)へ。607今日(けふ)はこれきり(わす)れて(つか)はす』
608タール『(おれ)もお(まへ)がさう()れば、609万更(まんざら)(にく)いとは(おも)はない、610只今(ただいま)(かぎ)(わす)れタールから、611マア安心(あんしん)(いた)すがよからう。612ナア(くに)さま、613(あま)(もの)をクニクニと()にすると、614病気(びやうき)になつて、615しまひにや国替(くにがへ)をせなくてはなりませぬからなア』
616国公(くにこう)国替(くにがへ)なぞと縁起(えんぎ)(わる)(こと)をいつてくれるない』
617ハム『アツハヽヽヽ』
618タール『イツヒヽヽヽ』
619国公(くにこう)『ウツフヽヽヽ、620サアもう()があけた。621()かうぢやないか』
622三人(さんにん)兄弟(きやうだい)(ごと)(した)しくなつて、623無駄口(むだぐち)(たた)(なが)坂路(さかみち)さして(くだ)()く。
624大正一一・一〇・二七 旧九・八 松村真澄録)
   
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