霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 種明志(たねあかし)〔一〇七七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻 篇:第3篇 宿世の山道 よみ(新仮名遣い):すぐせのやまみち
章:第12章 種明志 よみ(新仮名遣い):たねあかし 通し章番号:1077
口述日:1922(大正11)年10月28日(旧09月9日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国公、タール、ハムの三人は、照国別が逗留しているはずの岩窟にたどり着いた。しかしそこには照国別一行はおらず、イールとヨセフの二人が奥で震えていた。
ハムが二人にいきさつを尋ねると、二人がここに逃げ込んで隠れていると、昨晩きつい声の宣伝歌が聞こえてきた。自分たちを助けてくれた照国別一行だとわかったが、岩の戸を突っ張って閉じてしまった。それで、照国別一行はあきらめて先に行ってしまったようだ、という。
国公は、バラモン教徒たちが谷道で襲って逆襲されたという三五教の二人の女巡礼について話を聞きだし、それが黄金姫と清照姫であることを確信した。
そして、その場でバラモン教徒四人の身の上を物語るようにと問うた。ハムは身の上を宣伝歌に乗せて歌いだした。
ハムはガランダ国の王であったが、釘彦・片彦二人がガランダ国に入ってバラモン教を広め、徒党を組んで襲ってきた。その勢いに家族も家来も散り散りになり、自分は捉えられて追放された。
あちこちをさまよううちに、鬼熊別に見出されて部下となり、鬼熊別の生き別れの妻子を探す役目を負って活動していたのだ、と歌った。
国公は、言外に黄金姫と清照姫が、ハムが探していた鬼熊別の妻子だと含ませつつ、彼女たちをもはや追ってはならないと釘をさした。ハムはその意を汲んで話を合わせている。
イールは元はウラル教徒であったが、捉えられてバラモン教に改心したと明かした。ヨセフは太玉命の家来の依彦だと言い出したが、イールから、なぜ照国別の宣伝歌を恐がっていたのかと詰め寄られると、冗談にごまかした。
タールは、アーメニヤのウラル教徒で香具耶彦の息子だったが、北光神の言霊戦でウラル教徒がアーメニヤを追われたとき、親子兄弟は散り散りばらばらになってしまったと明かした。
国公は、タールの本名が春公であることを聞くと、これからは兄弟のように仲良くしようと言い、全員そろって三五教のために尽くそうと呼び掛けた。一同は賛同し、国公について照国別宣伝使の後を追って山道を下って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-20 09:25:38 OBC :rm3912
愛善世界社版:163頁 八幡書店版:第7輯 338頁 修補版: 校定版:171頁 普及版:69頁 初版: ページ備考:
001 国公(くにこう)002ハム、003タールの(さん)(にん)夜明(よあ)けと(とも)(あさ)空気(くうき)()(なが)ら、004不思議(ふしぎ)(こと)より情意(じやうい)投合(とうがふ)して兄弟(きやうだい)(ごと)くになり、005道々(みちみち)無駄話(むだばなし)をし(なが)ら、006河鹿(かじか)(たうげ)(くだ)()く。007照国別(てるくにわけ)()つてゐるといふ岩窟(がんくつ)(いた)()れば、008照国別(てるくにわけ)一行(いつかう)姿(すがた)()えず、009(ただ)二人(ふたり)(をとこ)岩窟(がんくつ)小隅(こすみ)(ちひ)さくなつて(ふる)うて()た。010ハムは無雑作(むざふさ)(あま)(ひろ)からぬ岩窟(がんくつ)飛込(とびこ)み、011よくよく調(しら)()ればイール、012ヨセフの両人(りやうにん)であつた。
013ハム『オイ、014イール、015ヨセフの亡者(もうじや)ぢやないか。016何時(いつ)()にこんな(ところ)へふん(まよ)うて()たのだ』
017イール『ヤア、018ハムさまか、019ようマア無事(ぶじ)(たす)かつてくれたなア。020(おれ)(たち)二人(ふたり)(なに)(なん)だか、021サツパリ合点(がつてん)がゆかぬのだ。022実際(じつさい)現界(げんかい)幽界(いうかい)か、023如何(どう)(かんが)へてもハツキリせぬ。024(まへ)(なん)(おも)ふか』
025ハム『(しつか)りせぬかい。026ここは河鹿山(かじかさん)(ろく)南口(みなみぐち)岩窟(いはや)(なか)だよ』
027ヨセフ『さうするとヤツパリ生復(いきかへ)つたのだなア。028夜前(やぜん)ここ(まで)()げて()て、029スツ()んで()ると、030(あたま)のわれるやうなキツい(こゑ)宣伝歌(せんでんか)(うた)つて、031(この)岩窟(いはや)(なか)這入(はい)らうとする(さん)(にん)宣伝使(せんでんし)があつた。032こんな(やつ)這入(はい)られたら大変(たいへん)だと、033二人(ふたり)(なか)から(いは)()突張(つつぱ)りをかい、034力限(ちからかぎ)りに()して()つたら、035とうとう根負(こんまけ)をして(とほ)()ぎて(しま)つた。036それから(いま)まで二人(ふたり)岩戸(いはと)力限(ちからかぎ)()してゐたのだが、037どうやら宣伝使(せんでんし)(とほ)()つたやうな塩梅(あんばい)だから、038(あま)(いき)がこむるので、039(あたら)しい空気(くうき)注入(ちうにふ)してゐた(とこ)だよ』
040ハム『オイお(まへ)救主(すくひぬし)此処(ここ)二人(ふたり)()てゐる、041(はや)()(れい)(まを)さぬか、042タールさまに国公(くにこう)さまだ』
043ヨセフ『(なに)044(おれ)(たす)けてくれた救主(すくひぬし)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)一行(いつかう)()(にん)だよ。045タールの(やつ)046(をとこ)甲斐(がひ)もない、047母娘(おやこ)巡礼(じゆんれい)(おれ)(たち)がさいなまれてゐるのを見捨(みす)て、048()()すといふ卑怯(ひけふ)千万(せんばん)不親切(ふしんせつ)(かん)だから、049そんな(こと)()つても駄目(だめ)だ。050ヘン、051(おほ)きに(はばか)りさま、052なあイール、053貴様(きさま)()つてゐるだらう、054三五教(あななひけう)照国別(てるくにわけ)とか()宣伝使(せんでんし)(ちがひ)ない。055(まへ)()記憶(きおく)(たしか)にあるだらう』
056イール『(たしか)にさうだ。057ここを(とほ)つた宣伝使(せんでんし)もヤツパリ照国別(てるくにわけ)さまに(ちがひ)ないが、058(あま)神力(しんりき)(つよ)いので、059(かへつ)(おれ)(はう)がこはくなり、060(ちか)よりさへせねばよいと(おも)うて此処迄(ここまで)(たす)けて(もら)うた宣伝使(せんでんし)にスツパ()きをくはして、061(ひそ)んで()つたのだ。062オイ、063ハム、064(まへ)如何(どう)して(たす)かつたのだい』
065ハム『(おれ)(もと)から()んでは()なかつたのだ。066きさま()二人(ふたり)真砂(まさご)(なか)半身(はんしん)(うづ)めて()をまはしてゐたのを(おれ)はよく(そば)()てゐた。067(しか)如何(どう)したものか足腰(あしこし)()たないので、068(さん)(にん)一緒(いつしよ)(あたま)(なら)べて、069(とき)()つてゐた(ところ)070レーブ、071タールの両人(りやうにん)うしやがつて、072(おれ)悪口(あくこう)散々(さんざん)(ほざ)いた(うへ)073(この)ハムさまを谷川(たにがは)水葬(すゐさう)しようなどと()からぬ(こと)(ほざ)きやがるものだから、074おのれツと()ひさま、075立上(たちあが)ると、076ここに()るタールを(はじ)めレーブの(やつ)077(くも)(かすみ)()()せ、078谷路(たにみち)にふん()びてゐやがつた。079天罰(てんばつ)(おそ)ろしいものだ。080踏殺(ふみころ)してやらうと、081(おも)うたら(また)もや(おれ)(こし)(へん)になり、082谷路(たにみち)一蓮(いちれん)托生(たくしやう)(てき)にふん()びてゐた(ところ)へ、083照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)(とほ)りかかり、084(この)国公(くにこう)さまに介抱(かいほう)(めい)じて、085(この)岩窟(いはや)(まで)()くと()つて、086スタスタと(くだ)られたが、087貴様(きさま)(なか)から邪魔(じやま)をするものだから、088とうとう()かれて(しま)つたのだよ。089(その)(なか)一人(ひとり)(この)国公(くにこう)さまだ。090(はや)()(れい)(まを)さぬか』
091 イール、092ヨセフの両人(りやうにん)(うれ)しさうな(こは)さうな態度(たいど)で、093無暗(むやみ)(こし)(かが)め、094(あたま)五六遍(ごろくぺん)ペコペコ()()げし(なが)ら、
095イール、ヨセフ『モウ(なん)にも(まを)しませぬ、096有難(ありがた)(ござ)います、097どうぞ堪忍(かんにん)して(くだ)され』
098国公(くにこう)『お(まへ)(めう)(こと)()(やつ)だ、099(いのち)(たす)けてやつた宣伝使(せんでんし)玉子(たまご)如何(どう)してお(まへ)(くるし)めるものか、100マア安心(あんしん)したがよからう』
101イール『そんなら三五教(あななひけう)巡礼(じゆんれい)()無礼(ぶれい)した(こと)(ゆる)してくれますか』
102国公(くにこう)三五教(あななひけう)巡礼(じゆんれい)とはどんな(ふう)をして()つたか、103一寸(ちよつと)(みみ)よりだ。104(くは)しく()かしてくれ』
105イール『()アさまと(むすめ)二人(ふたり)巡礼(じゆんれい)だ。106中々(なかなか)(つよ)(やつ)で、107とうとうハムの大将(たいしやう)(まで)谷底(たにそこ)へとつて()られた(くらゐ)だから、108()にも(あし)にも()ふものぢやない』
109 国公(くにこう)はワザと(くち)(とが)らし、
110国公『それは()しからぬ、111おれの(はは)女房(にようばう)とが一足先(ひとあしさき)に、112巡礼姿(じゆんれいすがた)になつて此々(ここ)(とほ)つた(はず)だ。113そんなら(わが)(はは)女房(にようばう)(たい)し、114無礼(ぶれい)(くは)へた(やつ)だなア、115さう()(うへ)は、116モウ了見(れうけん)はならぬぞよ』
117イール『モシ(くに)さま、118(わたくし)ばかりぢや(ござ)いませぬ。119(げん)此処(ここ)()るハムの命令(めいれい)で、120抵抗(ていかう)しました。121ヨセフもタールもまだ(ほか)にレーブといふ(やつ)122(わたくし)例外(れいぐわい)として都合(つがふ)(しめ)()(にん)123反対(はんたい)(てき)行動(かうどう)()つたのだから、124どうぞハムから(いまし)めてやつて(くだ)さい、125(わたくし)(なに)()白状(はくじやう)した褒美(ほうび)(いのち)(だけ)(たす)けて(くだ)さい。126(その)(かは)国様(くにさま)(はな)をかめと仰有(おつしや)つたら、127(はな)でも()いて()げます。128(しり)をふけと仰有(おつしや)つたら(しり)でも()きます。129アーンアーンアーン』
130ハム『アハヽヽヽ(あく)張本人(ちやうほんにん)(この)ハムさまだ。131コレ(くに)さま、132(わたし)から(さき)成敗(せいばい)して(くだ)さい、133部下(ぶか)罪悪(ざいあく)一身(いつしん)引受(ひきう)けるのは(しう)(しやう)たるものの(まさ)(おこな)ふべき(みち)だ。134サア(はや)くお(のぞ)次第(しだい)……』
135とニユツと(くび)をつき()し、136(はや)(くび)をとれと()はぬばかりにして()る。
137国公(くにこう)『ヨシヨシ(くび)()れなら、138()つてもやらう。139(しか)(なが)(いま)はの(きは)貴様(きさま)()素性(すじやう)一々(いちいち)白状(はくじやう)せよ。140(その)(うへ)にて(こと)(しな)によつたら(ゆる)してやらぬ(こと)もない』
141 ハムは(わる)びれたる(いろ)もなく、142さも落着(おちつ)(はら)つた態度(たいど)物語(ものがた)る。
143ハム天津(あまつ)御空(みそら)()りわたる
144(ひかり)(つよ)(つき)(くに)
145(うま)れはデカタン高原(かうげん)
146(みなみ)(はし)青山(あをやま)
147四方(よも)にめぐらすガランダの
148テームス(わう)()(うま)
149(おや)()をつぎ民草(たみぐさ)
150(やす)(をさ)むる(をり)もあれ
151バラモン(けう)神司(かむづかさ)
152大黒主(おほくろぬし)手下(てした)なる
153釘彦(くぎひこ)片彦(かたひこ)両人(りやうにん)
154何時(いつ)()にやら国内(こくない)
155ひそみて国人(くにびと)(ことごと)
156バラモン(けう)帰順(きじゆん)させ
157徒党(とたう)()んで王城(わうじやう)
158夜陰(やいん)(じやう)じて(せま)りくる
159(その)(いきほひ)のすさまじさ
160妻子(さいし)(はじ)家来(けらい)(ども)
161(くも)(かすみ)()()りて
162(かげ)(かたち)()寝入(ねい)
163取残(とりのこ)されたハム一人(ひとり)
164刃向(はむか)(すべ)もなきままに
165(いのち)()しさに降服(かうふく)
166大黒主(おほくろぬし)(おん)(まへ)
167引出(ひきいだ)されて()むを()
168先祖(せんぞ)代々(だいだい)(つた)はりし
169(わう)(くらゐ)打棄(うちす)てて
170フサの(くに)へと()()され
171彼方(あちら)此方(こちら)をトボトボと
172さまよひ(めぐ)(つま)()
173所在(ありか)(たづ)ぬる(をり)もあれ
174バラモン(けう)副棟梁(ふくとうりやう)
175鬼熊別(おにくまわけ)神司(かむづかさ)
176タルの(みやこ)手前(てまへ)にて
177(おも)はず()らず(めぐ)()
178(きび)しく素性(すじやう)(たづ)ねられ
179大黒主(おほくろぬし)手下(てした)()
180さいなまれたる物語(ものがたり)
181申上(まをしあ)ぐれば鬼熊別(おにくまわけ)
182(かみ)(つかさ)(なみだ)ぐみ
183妻子(さいし)(たづ)ねてさまよふか
184(まへ)不憫(ふびん)(やつ)だのう
185われも妻子(さいし)行方(ゆくへ)をば
186(たづ)ねて(くら)()(うへ)
187(まへ)(こころ)(さつ)()
188大黒主(おほくろぬし)大将(たいしやう)
189如何(いか)()ふとも鬼熊別(おにくまわけ)
190(うま)()りなし(たす)けむと
191()はれし(とき)(うれ)しさよ
192(よろこ)(いさ)(この)ハムは
193鬼熊別(おにくまわけ)(したが)ひて
194ハルナの(みやこ)立向(たちむか)
195抜擢(ばつてき)されて部下(ぶか)となり
196蜈蚣(むかで)(ひめ)小糸姫(こいとひめ)
197(つづ)いてハムが妻子(さいし)をば
198(たづ)ねむものと遠近(をちこち)
199(あさ)(ゆふ)なにさまよひて
200ここまで(きた)りし(をり)もあれ
201蜈蚣(むかで)(ひめ)によく()たる
202母娘(おやこ)巡礼(じゆんれい)にめぐり()
203(じつ)()かむと声高(こわだか)
204母娘(おやこ)巡礼(じゆんれい)立向(たちむか)
205つめかけ()れば(わが)(むね)
206グツとこたへた蜈蚣姫(むかでひめ)
207小糸(こいと)(ひめ)(ちがひ)ない
208秘密(ひみつ)()れむ(おそ)ろしさ
209()(にん)(やつ)()()()らし
210(あと)(のこ)りしハム一人(ひとり)
211鬼熊別(おにくまわけ)命令(めいれい)
212母娘(おやこ)(かた)(つた)へむと
213(おも)うた(こと)(みづ)(あわ)
214()つて()られた(たに)(そこ)
215折角(せつかく)()うた(おや)()
216(わか)れし(こと)残念(ざんねん)
217推量(すゐりやう)あれよ(くに)さまよ
218(わたし)(わる)(もの)でない
219素性(すじやう)をあかせば(この)(とほ)
220何卒(なにとぞ)(ゆる)(ねが)ひます
221(かみ)(おもて)(あら)はれて
222(こころ)善悪(ぜんあく)立別(たてわ)ける
223(この)()(つく)りし大神(おほかみ)
224御霊(みたま)(さち)はふ(くに)さまは
225ハムの(まこと)心根(こころね)
226(くは)しく(さと)(たま)ふらむ
227あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
228御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
229悠々(いういう)(うた)(もつ)(こた)へた。
230国公(くにこう)『さうするとハムさま、231(まへ)鬼熊別(おにくまわけ)さまの命令(めいれい)で、232蜈蚣姫(むかでひめ)233小糸姫(こいとひめ)(さま)所在(ありか)(たづ)ねがてら、234妻子(さいし)行方(ゆくへ)(さぐ)つてゐるのだな。235ソリヤ感心(かんしん)だ。236(しか)蜈蚣姫(むかでひめ)237小糸姫(こいとひめ)(けつ)して三五教(あななひけう)信者(しんじや)でも宣伝使(せんでんし)でもない、238(しか)母娘(おやこ)(とも)健全(けんぜん)にゐらせられること(だけ)大丈夫(だいぢやうぶ)だ。239そして(さき)にお(まへ)(たち)()げた母娘(おやこ)巡礼(じゆんれい)は、240あれは黄金姫(わうごんひめ)241清照姫(きよてるひめ)といふ立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)で、242(けつ)してお(まへ)()ふやうな(かた)ではないぞ』
243意味(いみ)ありげに(さん)(にん)(まへ)でワザとに言葉(ことば)(にご)してゐる。244ハムは(はや)くも国公(くにこう)腹中(ふくちう)(さと)り、245ワザと空呆(そらとぼ)けて、
246ハム『アヽさうでしたか、247さう(うけたま)はれば人相書(にんさうがき)()はない(ところ)沢山(たくさん)あります。248……オイ、249タール(ほか)二人(ふたり)250(まへ)如何(どう)(おも)ふか』
251タール『(おれ)(あま)りの(おそ)ろしさで、252()アさまと(むすめ)(ぐらゐ)(こと)承知(しようち)してゐるが、253人相(にんさう)(あらた)めるなんてそんな余裕(よゆう)があるものかい』
254ハム『イール、255ヨセフの両人(りやうにん)256貴様(きさま)如何(どう)(おも)ふか』
257ヨセフ『(おれ)()ふとすまぬが、258鬼熊別(おにくまわけ)さまの女房(にようばう)()に、259あんな立派(りつぱ)(かた)があらう(はず)がないと(おも)うてゐるのだ。260あのお(かた)身魂(みたま)は、261すでにすでに都率天(とそつてん)月照彦(つきてるひこ)(かみ)さまのお(そば)御用(ごよう)をして(ござ)結構(けつこう)(かみ)(さま)(にく)(みや)だから………』
262イール『(おれ)もさう(おも)ふ。263何程(なにほど)蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)264小糸姫(こいとひめ)(さま)豪傑(がうけつ)だと()つても、265あんな(ちから)()(はず)がない。266(また)そんな(ちから)のある(かた)なら、267母娘(おやこ)武勇(ぶゆう)天下(てんか)鳴轟(なりとどろ)いてゐる(はず)だからなア』
268国公(くにこう)『そらさうだらう、269あの母娘(おやこ)蜈蚣姫(むかでひめ)小糸姫(こいとひめ)などと(おも)ふのが、270大変(たいへん)的外(まとはづ)れだ。271それさへ(わか)れば、272最早(もはや)あの母娘(おやこ)追跡(つゐせき)するのも無駄骨(むだぼね)(をり)だ。273それよりもハムさまの(やう)(ひと)素性(すじやう)()かしたら如何(どう)だい』
274イール『そんなら(なに)()棚卸(たなおろ)しをしてお()にかけませう。275(わたし)はデカタン高原(かうげん)のサワラといふ(ちひ)さい(くに)首陀(しゆだ)(いへ)(うま)れた(もの)ですが、276大黒主(おほくろぬし)部下(ぶか)なるテーグスといふ宣伝使(せんでんし)がやつて()て、277(かた)(ぱし)から国人(くにびと)をバラモン(けう)引入(ひきい)れるので、278ムカついてたまらず、279ウラル(けう)教理(けうり)真向(まつかう)にふりかざし(ふせ)(たたか)うたけれど、280(つひ)衆寡(しうくわ)(てき)せず、281サワラの牢獄(らうごく)投込(なげこ)まれ、282(ひやく)(にち)百夜(ひやくや)責苦(せめく)()ひ、283とうとう初心(しよしん)(ひるがへ)してバラモン(けう)(こころ)(そら)から帰順(きじゆん)して(たす)けて(もら)つたのだ』
284ハム『オイオイ、285(こころ)(そら)からぢやなからう、286(そこ)からぢやないか』
287イール『ソラ(そこ)(そこ)ぢや』
288ハム『大方(おほかた)貴様(きさま)(そら)使(つか)つてゐやがるのだろ』
289イール『ソラそこに(そこ)もあり(ふた)もある、290(なん)()つても(なが)(もの)には()かれ、291(つよ)(もの)には(したが)はねばならぬ現状(げんじやう)だから、292(おれ)肉体(にくたい)はバラモン(けう)だ』
293ハム『肉体(にくたい)はバラモン(けう)で、294精神(せいしん)はウラル(けう)だな。295(なん)都合(つがふ)()宣伝使(せんでんし)だなア』
296イール『ハムさま、297(まへ)だつてチヨボチヨボぢやないか』
298ハム『人間(にんげん)分際(ぶんざい)として(ひと)(こころ)奥底(おくそこ)如何(どう)して忖度(そんたく)出来(でき)るものか、299如何(いか)なる(はふ)(ちから)武力(ぶりよく)も、300圧制(あつせい)思想(しさう)(じやう)強圧(きやうあつ)到底(たうてい)出来(でき)ない。301()()えぬ世界(せかい)(こと)だから、302まして(いま)(めくら)(ども)窺知(きち)すべき(かぎ)りにあらずだ。303そんな野暮(やぼ)(こと)()ふものではないよ』
304ヨセフ『つまり(とき)天下(てんか)(したが)へといふ筆法(ひつぱふ)だな』
305イール『コリヤ、306ヨセフ、307貴様(きさま)信仰(しんかう)土台(どだい)はどこにあるか』
308ヨセフ『(おれ)本当(ほんたう)信仰(しんかう)三五教(あななひけう)だ。309三五教(あななひけう)世界(せかい)第一(だいいち)優秀教(いうしうけう)だからなア』
310イール『アハヽヽヽ現金(げんきん)(やつ)だなア、311三五教(あななひけう)国公(くにこう)さまの(まへ)だと(おも)つて、312(うま)胡麻(ごま)をすりやがつたな。313(この)胡麻摺(ごますり)坊主(ばうず)()
314とピシヤリと横面(よこづら)平手(ひらて)でなぐつた。
315ヨセフ『コリヤ、316三五教(あななひけう)信者(しんじや)(たい)して(なん)()無礼(ぶれい)(こと)(いた)すのだ。317(おれ)はモウ()うなつては(つつ)むに(よし)なし、318本当(ほんたう)(こと)(をし)へてやらう。319(じつ)(ところ)顕恩郷(けんおんきやう)にまします太玉(ふとたまの)(みこと)()家来(けらい)に、320(その)(ひと)ありと(きこ)えたる三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)依彦(よりひこ)さまとは(おれ)(こと)だぞ。321バラモン(けう)内情(ないじやう)(さぐ)るべく鬼熊別(おにくまわけ)部下(ぶか)となり、322貴様(きさま)()一緒(いつしよ)(まじ)はつて(ねこ)(かぶ)つてゐたのだ。323本当(ほんたう)(めくら)ばかりの寄合(よりあひ)だと(おも)つて、324(ひそか)にホクソ(ゑみ)をして()たのだ。325ウフヽヽヽ』
326イール『コラ、327ヨセフ、328そんな(うそ)()つても、329(つじ)つまが()はないぞ。330三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)三五教(あななひけう)黄金姫(わうごんひめ)()つて()られるといふ、331そんな矛盾(むじゆん)がどこにあるか』
332ヨセフ『そこは貴様(きさま)()(いつは)(ため)に、333八百長(やほちやう)一寸(ちよつと)()られて()たのだ』
334イール『(なん)高価(かうか)八百長(やほちやう)だのう。335(ひと)(ちが)へば(いのち)がなくなる(やう)八百長(やほちやう)(むかし)から()いた(こと)がない』
336ヨセフ『さうだから三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)照国別(てるくにわけ)さまがやつて()(いのち)(たす)けてくれたぢやないか。337(えう)するに惟神(かむながら)(てき)八百長(やほちやう)だといふ(こと)(いま)(わか)つたのだ。338アハヽヽヽ』
339イール『負惜(まけをし)みの(つよ)(こと)(ぬか)すない。340そんなら何故(なにゆゑ)照国別(てるくにわけ)さま一行(いつかう)(おそ)れてブルブル(ふる)(なが)(やみ)(まぎ)れて()げたり、341岩戸(いはと)(ちから)一杯(いつぱい)あけさせじと(ほね)()つたのだ』
342ヨセフ『マアあつて()ぎた(こと)を、343さう(こま)かく詮議(せんぎ)するものぢやない。344掃溜(はきだめ)をほぜくるとしまひにや蚯蚓(みみず)()るぞ。345アヽ今日(けふ)はマアよい天気(てんき)だな、346一寸(ちよつと)宣伝使(せんでんし)(さま)347(そと)()御覧(ごらん)348連山(れんざん)黄金色(わうごんしよく)(いろど)られ、349まるで錦絵(にしきゑ)()るやうですワ』
350イール『コリヤ、351ヨセフ、352そんな(ところ)脱線(だつせん)しやがつて、353急場(きふば)をつくらはうと(おも)うても駄目(だめ)だぞ、354ナア国公(くにこう)さま、355本当(ほんたう)油断(ゆだん)のならぬ代物(しろもの)ばかりですな』
356国公(くにこう)『どれもこれも打揃(うちそろ)うて油断(ゆだん)のならぬ人物(じんぶつ)ばかりだ。357(しか)(いま)()(なか)世界中(せかいぢう)(みな)(この)(とほ)りだ。358(まへ)(たち)現世界(げんせかい)縮図(しゆくづ)だから(いづ)れも立派(りつぱ)悪神(あくがみ)代表者(だいへうしや)だよ。359アハヽヽヽ』
360ハム『オイ、361タールの(やつ)362貴様(きさま)素性(すじやう)をここで()かさぬか、363(なん)だか物臭(ものくさ)代物(しろもの)だぞ』
364タール『(おれ)はお(まへ)(たち)(やう)人種(じんしゆ)とは元来(ぐわんらい)からして、365(たね)(ちが)ふのだ。366勿体(もつたい)なくも盤古(ばんこ)神王(しんわう)(さま)尊敬(そんけい)(あそ)ばすウラル(ひこ)ウラル(ひめ)(さま)()娘子(むすめご)367高宮姫(たかみやひめ)(さま)といふ別嬪(べつぴん)さまの情夫(いろをとこ)だ』
368ヨセフ『ヘン、369(うま)(こと)(ぬか)すない。370ウラル(けう)だと()へば、371(おれ)(たち)勝手(かつて)()らぬかと(おも)つて、372貴様(きさま)のやうなしやつ(つら)に、373仮令(たとへ)悪神(あくがみ)(むすめ)でも、374あの有名(いうめい)だつた美人(びじん)高宮姫(たかみやひめ)()れる道理(だうり)があるかい。375第一(だいいち)(とし)(ちが)ふぢやないか、376高宮姫(たかみやひめ)十七八(じふしちはち)花盛(はなざか)りには貴様(きさま)はまだ(この)()(うま)れて()()らぬ(はず)だ』
377タール『それは(おれ)親爺(おやぢ)のことだ。378(おれ)(おやぢ)随分(ずゐぶん)色男(いろをとこ)だつたよ。379アーメニヤの(みやこ)から、380ウラル(ひめの)(みこと)最愛(さいあい)(むすめ)381高宮姫(たかみやひめ)()()()つて逐電(ちくでん)し、382(ある)事情(じじやう)(ため)()をかくし、383それから(ふたた)びアーメニヤへ(かへ)つて立派(りつぱ)女房(にようばう)()つた(その)女房(にようばう)()香具耶(かぐや)(ひめ)()つて、384つまり(おれ)母親(ははおや)だ。385(ちち)()香具耶(かぐや)(ひこ)といふ(をとこ)33巻22章の高姫の回顧歌に「御伴の神を引つれて 高天原のエルサレム」云々と出てくるが、この「御伴の神」が香具耶彦か?だよ。386コーカス(ざん)から北光(きたてるの)(かみ)がやつて()て、387言霊戦(ことたません)(ひら)いたので、388父子(おやこ)兄弟(きやうだい)チリチリバラバラに()()せ、389(いま)では(おや)(わか)らな、390兄弟(きやうだい)()れないのだ。391これが(おれ)(いつは)らざる素性(すじやう)だよ』
392 国公(くにこう)はタールの言葉(ことば)()いて、393双手(もろて)()思案(しあん)にくれてゐたが、394ツツと()つてタールの首筋(くびすぢ)打眺(うちなが)め、395(おも)はず()らずアツと(さけ)んだ。396タールは(この)(さけ)(ごゑ)不審(ふしん)(おこ)し、
397タール『モシ国公(くにこう)さま、398(なん)(わたし)憑依(ひようい)して()りますかな』
399国公(くにこう)『お(まへ)(わか)(とき)春公(はるこう)とは()はなんだか』
400タール『ハイ、401(わたし)()春公(はるこう)です。402そして(わたし)(あに)はお(まへ)さまと(おな)()のついた国公(くにこう)といひました。403モウ()きて()るか()んで()るか、404(いま)にテンと(わか)りませぬ。405何分(なにぶん)エライ(さわ)ぎで、406親子(おやこ)四方(しはう)()()つて(しま)つたものだから……』
407国公(くにこう)()(かく)これからお(まへ)兄弟(きやうだい)(やう)になつて(なか)よくしよう。408オイ(みな)連中(れんちう)409これから貴様(きさま)(たち)一切(いつさい)障壁(しやうへき)()つて、410(おれ)一緒(いつしよ)三五教(あななひけう)(ため)活動(くわつどう)しようぢやないか。411キツと(おれ)照国別(てるくにわけ)(さま)にお()にかかつて、412よき(やう)取持(とりも)つてやるから』
413一同(いちどう)『ハイ有難(ありがた)う、414そんなら国公(くにこう)さま、415(よろ)しく(たの)みます』
416国公(くにこう)『サア(はや)()かう、417照国別(てるくにわけ)(さま)途中(とちう)()ちあぐんで(ござ)るだらう』
418()(なが)ら、419岩窟(がんくつ)(あと)()(にん)(ともな)ひ、420宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)ら、421崎嶇(きく)たる山路(やまぢ)足早(あしばや)(くだ)()く。
422大正一一・一〇・二八 旧九・九 松村真澄録)

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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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