霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 焼糞(やけくそ)〔一〇八〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻 篇:第4篇 浮木の岩窟 よみ:うききのがんくつ
章:第15章 第39巻 よみ:やけくそ 通し章番号:1080
口述日:1922(大正11)年10月28日(旧09月9日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
清春山の岩窟では、大黒主の命により、大将の大足別が数百人の兵士を引き連れてデカタン高原に出陣した後であった。
大将がいなくなった後、二十人ばかりの留守番の者たちは朝から晩まで酒を飲んで酔いつぶれ、管を巻いていた。岩窟の奥には、照国別と菖蒲の両親が囚われていた。
留守番たちが宴会をしているところへ入り口の門番が慌てて入ってきて、門口に強そうな宣伝使三人と美しい女の一行が現れたと注進した。一同はあわてて右往左往する。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3915
愛善世界社版:208頁 八幡書店版:第7輯 355頁 修補版: 校定版:219頁 普及版:89頁 初版: ページ備考:
001梵天王(ぼんてんわう)自在天(じざいてん)
002バラモン(こく)()(たか)
003ハルナの(みやこ)(あら)はれし
004大黒主(おほくろぬし)片腕(かたうで)
005(えら)まれゐたる神司(かむづかさ)
006大足別(おほだるわけ)はフサの(くに)
007印度(ツキ)御国(みくに)国境(くにざかひ)
008清春山(きよはるやま)岩窟(がんくつ)
009数多(あまた)部下(ぶか)()(つど)
010暴威(ばうゐ)(ふる)(その)(うち)
011三五教(あななひけう)神司(かむづかさ)
012照国別(てるくにわけ)(いもと)なる
013菖蒲(あやめ)(かた)()をくれて
014(あさ)(ゆふ)なに諸人(もろびと)
015(かれ)(やかた)(つか)はしつ
016千言万語(せんげんばんご)(つひや)して
017口説(くど)けど()けど磐石(ばんじやく)
018(ゆる)がぬ(かた)決心(けつしん)
019流石(さすが)魔神(まがみ)辟易(へきえき)
020ここに(まつた)()()へて
021レール(四郎)セーム(清六)や
022シヤム(三六)ハール(八郎)
023ポーロ(保道)の五人(ごにん)河鹿山(かじかやま)
024(ふもと)(みち)(つか)はして
025菖蒲(あやめ)(かた)がウブスナの
026斎苑(いそ)(やかた)()(みち)
027取押(とりおさ)へむと()ちゐたる
028(とき)しもあれや三五(あななひ)
029(をしへ)(した)梅彦(うめひこ)
030(いもと)(うま)れし花菖蒲(はなあやめ)
031(をんな)繊弱(かよわ)一人旅(ひとりたび)
032()かかる(まへ)(ふさ)がりて
033有無(うむ)()はせずフン(じば)
034清春山(きよはるやま)谷間(たにあひ)
035(ひき)つれ(きた)りて各自(めいめい)
036大足別(おほだるわけ)(のぞ)みをば
037(とほ)さむものと左右(さいう)より
038(おど)しつすかしつ(つと)むれど
039信仰(しんかう)堅固(けんご)菖蒲子(あやめこ)
040(かうべ)左右(さいう)(うち)ふりて
041いつかな(うご)かぬ権幕(けんまく)
042流石(さすが)曲津(まがつ)()ちあぐみ
043(こま)りぬいたる折柄(をりから)
044(はるか)(きこ)ゆる宣伝歌(せんでんか)
045五人(ごにん)一度(いちど)肝冷(きもひや)
046()(かく)れむとする(とき)
047(あら)はれ(きた)りし宣伝使(せんでんし)
048照国別(てるくにわけ)眼力(がんりき)
049(にら)まれ(おそ)れて(くも)(かすみ)
050()()(あと)菖蒲子(あやめこ)
051(なみだ)ながらの物語(ものがたり)
052よくよく()けば両親(りやうしん)
053大足別(おほだるわけ)(とら)へられ
054(あさ)(ゆふ)なの責苦(せめく)をば
055(しの)びゐますと()きしより
056照国別(てるくにわけ)(おどろ)いて
057日頃(ひごろ)(たづ)ねし父母(ちちはは)
058バラモン(けう)岩窟(がんくつ)
059(とら)はれ(たま)ふか いぢらしや
060日頃(ひごろ)(たづ)ねし(いもうと)
061(なんぢ)なりしや(うれ)しやと
062(こころ)(いさ)()(いさ)
063照公(てるこう)梅公(うめこう)諸共(もろとも)
064清春山(きよはるやま)岩窟(がんくつ)
065(のぼ)()くこそ雄々(をを)しけれ。
066 清春山(きよはるやま)岩窟(がんくつ)には大将(たいしやう)大足別(おほだるわけ)数百人(すうひやくにん)武卒(ぶそつ)(ひき)ゐ、067大黒主(おほくろぬし)(めい)によつてデカタン高原(かうげん)蟠居(ばんきよ)せるウラル(けう)集団(しふだん)勦滅(さうめつ)せむと出陣(しゆつぢん)した(あと)であつた。068()(うへ)(こぶ)(いや)がつてゐた大足別(おほだるわけ)大将(たいしやう)出陣(しゆつぢん)した(あと)は、069(こわ)(もの)なしの連中(れんちう)070(あさ)から(ばん)まで(さけ)をとり()し、071()うた(とき)(かさ)ぬげ』(しき)で、072ビールやポートワインを穴倉(あなぐら)より()()し、073(あさ)から(ばん)まで(くだ)()きつづけをやつてゐた。
074 二十人(にじふにん)ばかりの留守番(るすばん)(おのおの)八畳(はちじやう)ばかりの()胡坐(あぐら)をかき(なが)ら、075遠慮(ゑんりよ)なしに秘蔵(ひざう)(さけ)をとり()しウラル(けう)(しき)に、
076()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)
077(やみ)(あと)には(つき)()
078(うた)(なが)らヘベレケに()(つぶ)れ、079脱線(だつせん)()りを(さか)んに発揮(はつき)してゐる。
080レール『オイ、081ポーロ、082貴様(きさま)何時(いつ)御大将(おんたいしやう)(かさ)()俺達(おれたち)(あご)(さき)でコキ使(つか)ひやがつたが、083もう今日(けふ)となつては駄目(だめ)だ。084これからレールさまが留守(るす)師団長(しだんちやう)だから(その)命令(めいれい)遵奉(じゆんぽう)するのだよ。085万々一(まんまんいち)レールの御命令(ごめいれい)服従(ふくじゆう)せないと、086(この)(あひだ)のタルチン(太郎吉)の(やう)岩上(がんじやう)から深谷川(ふかたにがは)空中滑走(くうちうくわつそう)曲芸(きよくげい)(えん)じて谷底(たにそこ)伏艇(ふくてい)し、087(その)まま三途(さんづ)(かは)へタダ(ばし)りにならねばならぬから、088チツとは神妙(しんめう)にしたが()からうぞ。089貴様(きさま)何時(いつ)飲食物(いんしよくぶつ)ケチをつけゴテゴテ(ぬか)すものだから、090()()格納庫(かくなふこ)空虚(くうきよ)になり、091(ろく)(はたら)きも出来(でき)やしない。092コンパスのプロペラがチツとも()(こと)をきかないから、093それで是非(ぜひ)なく()うしてヘタばつて(さけ)()んで()るのだ。094オイ、095(みな)(やつ)096大将(たいしやう)印度(ツキ)(くに)(みやこ)まで()つて、097それから大黒主(おほくろぬし)軍隊(ぐんたい)(がつ)し、098デカタン高原(かうげん)()くのだから、099()一年(いちねん)(ぐらゐ)(かへ)つて()ない(こと)請合(うけあひ)だ。100あるだけの(さけ)()んでパンを()(つく)し、101()くなつたら今度(こんど)はアーメニヤに長駆(ちやうく)進撃(しんげき)してウラル(ひこ)(やかた)(おそ)ひ、102ここも(また)(かひこ)(むし)(くは)()()(やう)()ひつぶしさへすれば吾々(われわれ)天下(てんか)太平(たいへい)だ。103こんな(うま)(さけ)()まずに河鹿峠(かじかたうげ)痩馬(やせうま)()(やう)(あさ)から(ばん)までハイハイと()つて()るのも()()かねい。104こんな(こと)()()ると(おも)つて()つてゐたのだ。105俺達(おれたち)大将(たいしやう)から腰抜(こしぬけ)野郎(やらう)の、106裏返(うらがへ)(もの)認識(にんしき)されてゐるのだから、107肝腎(かんじん)戦争(せんそう)にも()れて()きやがらなんだのだよ』
108ポーロ『それが(かへつ)此方(こち)とらの好都合(かうつがふ)だ。109(おれ)今迄(いままで)大将(たいしやう)命令(めいれい)威張(ゐば)つてゐたものの(こころ)(そこ)をたたいたらヤツパリお前達(まへたち)同一(どういつ)だ』
110レール『さう()けば(うし)(つめ)だ、111(さき)からよく(わか)つてる。112(しか)(わか)らぬのは(おく)岩窟(がんくつ)(かく)してある老夫婦(らうふうふ)ぢやないか。113あんな柔順(おとなし)老人(らうじん)何故(なぜ)何時(いつ)までもあんな暗室(あんしつ)()()んでおくのだらう。114第一(だいいち)それが(おれ)()()はないのだ、115………ポーロ、116貴様(きさま)(すべ)ての様子(やうす)()つてゐる(はず)だ。117キレイサツパリとここで白状(はくじやう)して(しま)へ』
118ポーロ『もう()うなる(うへ)(なに)をか(つつ)まむやだ。119(おほ)きな(こゑ)では()はれぬが此処(ここ)大将(たいしやう)天下(てんか)無類(むるゐ)のデレ(すけ)だ。120バラモン(けう)()(なが)らウラル(けう)(むすめ)にゾツコン惚込(ほれこ)んで『女房(にようばう)()れえ』と掛合(かけあ)つた(ところ)121宗旨(しうし)(ちが)ふので(いま)幽閉(いうへい)されている夫婦(ふうふ)容易(ようい)(くび)(たて)にふらない。122そこで大足別(おほだるわけ)大将(たいしやう)()()(しな)をかへ、123沢山(たくさん)贈物(おくりもの)をして夫婦(ふうふ)()きつけたけれども、124どうしても駄目(だめ)だつた。125そこで今度(こんど)焼糞(やけくそ)になつて老夫婦(らうふうふ)がコーカス(ざん)参拝(さんぱい)する途中(とちう)()()高手(たかて)小手(こて)(いま)しめ(ざう)()にフン(じば)つて(また)(うま)()にのせ到頭(たうとう)(この)岩窟(がんくつ)まで()(かへ)り、126(あさ)から(ばん)まで『(ひめ)(わた)すか、127(わた)せば(たす)けてやる、128(いや)ぢや(なん)ぞと(ぬか)すが最後(さいご)129貴様(きさま)素首(そつくび)(ひき)ぬいてやらう』と執念深(しふねんぶか)くも、130御大(おんたい)(みづか)幽閉室(いうへいしつ)(まへ)(あら)はれて口説(くど)きたてるのだから(たま)らない。131あんな大将(たいしやう)見込(みこ)まれたら、132(まる)(へび)(ねら)はれた(かへる)(やう)なものだらう』
133レール『(その)(むすめ)何処(どこ)()るのだ。134肝腎(かんじん)代物(しろもの)()いのに(ぢぢ)(ばば)(いぢ)めて()つても仕方(しかた)がないぢやないか。135大足別(おほだるわけ)大将(たいしやう)余程(よほど)(わけ)(わか)らぬケレ(また)人足(にんそく)だのう』
136ポーロ『オイ、137コラ、138そんな(こと)(ぬか)すと剣呑(けんのん)だぞ。139(この)(なか)にも矢張(やつぱり)(いぬ)(ひそ)んで()るぞ。140俺達(おれたち)行動(かうどう)密告(みつこく)する代物(しろもの)何喰(なにく)はぬ(かほ)して潜入(せんにふ)してゐるのだから、141あんまりの(こと)()はぬがよからう。142(てき)(なか)にも味方(みかた)があれば、143味方(みかた)(なか)にも(てき)がある(いま)()(なか)144チツト()をつけぬかい』
145レール『その(いぬ)()ふのはチヤンと(おれ)天眼通(てんがんつう)看破(かんぱ)してあるのだ。146大方(おほかた)エルマの(こと)だらう』
147ポーロ『それさへ(わか)つて()れば(おれ)安心(あんしん)だ。148此奴(こいつ)俺等(おれたち)(なか)()(ひく)うして(まじ)つてゐるが、149(じつ)(ところ)大足別(おほだるわけ)従弟(いとこ)(あた)(やつ)だ。150(しか)しながら()うなつた以上(いじやう)はエルマを(ゆる)しておく(わけ)には()くまい。151(さけ)()うた(まぎ)れに、152此奴(こいつ)をフン(じば)つて谷川(たにがは)へドブ()茄子(なすび)とやつてこまさうかい』
153エルマ『コリヤコリヤ、154(なに)(ぬか)すのだ。155間違(まちが)ふにも(ほど)があるぞ。156大将(たいしやう)従弟(いとこ)はポーロぢやないか』
157レール『エルマとポーロと間違(まちが)つた(ところ)でたつた一人(ひとり)(こと)だ。158もう()(さけ)がまはつては()ちらが(ぜん)(あく)(わか)らない。159一層(いつそう)(こと)二人(ふたり)ともドブンとやつて(しま)へばいいぢやないか、160一人(ひとり)(やつ)(とき)災難(さいなん)ぢやと(おも)つて(あきら)めさへすれば()いのだ。161ウフヽヽヽ』
162ポーロ『コラコラ、163味方(みかた)同志(どうし)内乱(ないらん)(おこ)しちやつまらないぞ。164ここは吾々(われわれ)一同(いちどう)腹帯(はらおび)をしめ結束(けつそく)(かた)くして()らねば、165主人(あるじ)留守(るす)(かんが)へて三五教(あななひけう)(やつ)襲撃(しふげき)して()たら如何(どう)する。166兄弟(けいてい)(かき)(せめ)ぐとも(そと)(その)(あなどり)(ふせ)ぐ」と()金言(きんげん)心得(こころえ)ぬかい』
167レール『金言(きんげん)心得(こころえ)もあつたものかい。168主人(あるじ)留守(るす)真鍋(まなべ)()き、169毎日(まいにち)日日(ひにち)無礼講(ぶれいかう)(ひら)いて各自(めいめい)(こころ)塵芥(ごもくた)(はら)()水晶魂(すゐしやうだま)となりさへすればバラモン(けう)御神慮(ごしんりよ)(かな)ふのだ。170(さけ)さへ()めば(なん)でも(かん)でも(はら)(そこ)まで打明(うちあか)すものだから(さけ)ほど(えら)いものはない。171アヽ(さけ)なる(かな)(さけ)なる(かな)だ。172さけもさけも()(なか)(さけ)ほど愛嬌(あいけう)のものあろか、173イヒヽヽヽヽ。174(なん)とうまい(さけ)だのう、175こんな(とき)喧嘩(けんくわ)をする(やう)野暮(やぼ)何処(どこ)にあるかい。176(さけ)さへ()めば(ぜん)もなければ(あく)もない。177(てき)もなければ味方(みかた)もない。178喧嘩(けんくわ)仲裁(ちうさい)する(やつ)はヤツパリ(さけ)だ。179仲裁(ちうさい)権威(けんゐ)保有(ほいう)する(さけ)(さき)()んで()(なが)喧嘩(けんくわ)をすると()(こと)があるものけえ、180アーン』
181エルマ『さうともさうとも一切万事(いつさいばんじ)(さけ)解決(かいけつ)のつく()(なか)だ。182歌口調(うたくてう))「アヽ、183()(なか)豊年(ほうねん)ぢや、184万作(まんさく)ぢや、185万作(まんさく)々々(まんさく)万作(まんさく)ぢや」(都々逸(どどいつ))「(さけ)()(ひと)(しん)から可愛(かあい)い、186()うて管巻(くだま)きやなほ可愛(かあい)い」とけつかるワイ、187ウー、188ゲツプ、189ウーン、190(さけ)(やつ)191不謹慎(ふきんしん)千万(せんばん)にも俺達(おれたち)密談(みつだん)()かうと(おも)うて喉元(のどもと)から一寸(ちよつと)(のぞ)きやがつた。192エー不従順(ふじうじゆん)代物(しろもの)だなア』
193ポーロ『コラ、194レール、195ポーロ ポーロと(なみだ)をこぼしもつて(さけ)(くら)(やつ)があるかい。196(さけ)()んだら()んだらしう何故(なぜ)(いさ)まぬのか。197貴様(きさま)泣上戸(なきじやうご)だな』
198レール『あんまりの(さけ)洪水(こうずゐ)でレールが沈没(ちんぼつ)汽車(きしや)方向(はうかう)取違(とりちが)へて脱線(だつせん)したのだ。199乗客(じやうきやく)(たちま)顛覆(てんぷく)(やく)()阿鼻叫喚(あびけうくわん)(あだか)地獄(ぢごく)(ごと)しだ。200(その)惨状(さんじやう)()るに(しの)びず、201一掬(いつきく)同情(どうじやう)(なみだ)をそそいだのだ。202貴様(きさま)(やう)(やつ)英雄(えいゆう)心事(しんじ)(わか)つて(たま)るかい。203えーウーゲツプウーン、204(さけ)(やつ)205(また)しても法則(はふそく)(やぶ)つて秘密室(ひみつしつ)(のぞ)かうとしやがる。206()しからぬ(やつ)だな。207こらヤツコス、208貴様(きさま)209(なん)だ、210真面目(まじめ)(くさ)つた(かほ)しやがつて貴様(きさま)こそ剣呑(けんのん)だ。211これ()(みな)がうま(ざけ)()うて()るのに貴様(きさま)だけ真面目(まじめ)(かほ)をしやがつて、212(なん)(こと)だい、213大方(おほかた)貴様(きさま)大将(たいしやう)(かへ)つて()たら俺達(おれたち)行動(かうどう)一々(いちいち)上申(じやうしん)するつもりだらう。214アーン』
215ヤツコス『ヤイ、216レール、217そんな殺生(せつしやう)(こと)()つてくれるない。218(おれ)貴様等(きさまら)()つてる(とほ)極端(きよくたん)下戸(げこ)ぢやないか。219下戸(げこ)如何(どう)して(さけ)()めるかい』
220レール『(さけ)(この)(ひと)奈良漬(ならづけ)()はずして(さけ)()かぬ(ひと)粕汁(かすじる)(くら)ふ………と()ふことがある。221貴様(きさま)222粕汁(かすじる)ならチツとばかり()ふだらう。223粕汁(かすじる)でもあまり馬鹿(ばか)にならないぞ。224ドツサリ()めば()ふぞ。225貴様(きさま)粕汁(かすじる)でも()んで古今独歩(ここんどくぽ)珍無類(ちんむるゐ)(くだ)()いたら如何(どう)だ(歌口調(うたくてう))「(さけ)()まぬ(やつ)(しん)から(にく)い、226(くだ)()かぬ(やつ)ア、227なほ(にく)い」と()(こと)があるぞ、228ヤイ、229ヤツコス()(ひと)()んだら如何(どう)だい。230(さけ)(きつ)うて()めなけりや()でもさして(ゆる)うしてやらうか』
231ヤツコス『イヤ、232もう沢山(たくさん)だ。233(けつ)してお前等(まへら)行動(かうどう)上申(じやうしん)する(やう)不道徳(ふだうとく)(こと)はせぬから安心(あんしん)して()れえ』
234レール『(さけ)(せき)(さけ)()まぬ(やつ)(すわ)つてると(なん)ともなしに()がひけて、235()(しら)けて仕方(しかた)がないワ。236そして(をんな)のお給仕(きふじ)がないと()ふから殺風景(さつぷうけい)(こと)(この)(うへ)なしだ。237(とき)此処(ここ)大将(たいしやう)恋着(れんちやく)してる「アヤメ」と()ふナイスは何処(どこ)()るだらうな。238(おれ)はそのナイスの(こと)()になつて(わす)れられぬわいのう。239オヽヽヽヽ(義太夫(ぎだいふ)(おも)へば(おも)へば いぢらしいやあ、240(ちち)(はは)とは()(たか)きコーカス(ざん)のお宮詣(みやまう)での(その)(みぎり)241バラモン(けう)曲津神(まがつかみ)……………』
242ポーロ『コリヤコリヤ、243曲津神(まがつかみ)()(こと)があるかい』
244レール『(義太夫(ぎだいふ))バラモン(けう)神司(かむづかさ)245大黒主(おほくろぬし)(とら)へられ荒風(あらかぜ)すさぶ山野(さんや)(わた)りやうやうに、246(ざう)背中(せなか)()せられて、247ここまで()たのがアヽヽヽ(うん)()き、248(くら)牢屋(らうや)()()まれ、249(あさ)な、250(ゆふ)なの御飯(ごはん)さへ、251碌々(ろくろく)(あぢ)はふ(こと)()ず、252(くる)しみ(なげ)く あゝゝゝり(さま)はアヽヽ、253よその()()(あは)れなり、254一時(いちじ)(はや)(わが)(むすめ)255ここに(たづ)ねて()るなれば、256大足別(おほだるわけ)大将(たいしやう)も、257()(ほそ)うして(よだれ)こき、258(もつ)ての(ほか)御満足(ごまんぞく)259とは()(なが)(なさけ)なや、260三五教(あななひけう)(つかさ)なら、261可愛(かあい)(むすめ)女房(にようばう)に、262熨斗(のし)までつけて(たてまつ)らむと(おも)へども、263悪逆無道(あくぎやくぶだう)大黒主(おほくろぬし)がオツトドツコイヽヽヽ仁慈(じんじ)無限(むげん)大黒主(おほくろぬし)が、264左守(さもり)(かみ)にも(たと)ふべき、265清春山(きよはるやま)岩窟(がんくつ)に、266(いきほ)(なら)ぶものもなき、267大足別(おほだるわけ)()(なが)ら、268これが女房(にようばう)にやられようか、269ほんに(おも)へば(さき)()で、270如何(いか)なる(こと)(つみ)せしか、271(あは)れみ(たま)へや三五(あななひ)の、272皇大神(すめおほかみ)口説(くど)きたて、273くどき()つれエヽヽばアヽヽヽレールさま、274………と()(やう)老夫婦(らうふうふ)心情(しんじやう)だ。275オイ(ひと)脱線(だつせん)つづけに(ばば)でも(をんな)(ちが)ひないから牢屋(らうや)から引張(ひつぱ)()してお給仕(きふじ)でもさしたらどうだ。276あまり心持(こころもち)(わる)くはあるめいぞ。277アーン』
278一同(いちどう)『イヒヽヽヽ』
279()()()(あご)をシヤクつて(わら)(をり)しも、280入口(いりぐち)(ばん)をして()たキルク(喜久雄)は(ちう)をとんで()(きた)り、
281キルク『モシモシ ポーロさま、282たゝゝゝゝ大変(たいへん)大変(たいへん)だ。283立派(りつぱ)美人(びじん)()ましたぜ』
284ポーロ『ナニ、285美人(びじん)()た。286そりや大変(たいへん)面白(おもしろ)(こと)だ。287(はや)引張(ひつぱ)つて()い』
288レール『それだから時節(じせつ)()たねばならぬものだ。289別嬪(べつぴん)()いちや(おれ)(たま)らないわ。290ヤツパリ()(ふた)つあるだらうな、291アーン』
292キルク『別嬪(べつぴん)一人(ひとり)に、293(つよ)(こは)さうな宣伝使(せんでんし)三人(さんにん)です』
294『ヤア、295そりや大変(たいへん)だ』
296一同(いちどう)(にはか)(さけ)(よひ)()め、297徳利(とくり)蹴飛(けと)ばし(はち)()(なが)右往左往(うわうさわう)狼狽(うろた)へまはる。
298大正一一・一〇・二八 旧九・九 北村隆光録)