霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一五章 焼糞(やけくそ)〔一〇八〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻 篇:第4篇 浮木の岩窟 よみ(新仮名遣い):うききのがんくつ
章:第15章 焼糞 よみ(新仮名遣い):やけくそ 通し章番号:1080
口述日:1922(大正11)年10月28日(旧09月9日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
清春山の岩窟では、大黒主の命により、大将の大足別が数百人の兵士を引き連れてデカタン高原に出陣した後であった。
大将がいなくなった後、二十人ばかりの留守番の者たちは朝から晩まで酒を飲んで酔いつぶれ、管を巻いていた。岩窟の奥には、照国別・菖蒲の両親が囚われていた。
留守番たちが宴会をしているところへ入り口の門番が慌てて入ってきて、門口に強そうな宣伝使三人と美しい女の一行が現れたと注進した。一同はあわてて右往左往する。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-21 10:16:53 OBC :rm3915
愛善世界社版:208頁 八幡書店版:第7輯 355頁 修補版: 校定版:219頁 普及版:89頁 初版: ページ備考:
001梵天王(ぼんてんわう)自在天(じざいてん)
002バラモン(こく)()(たか)
003ハルナの(みやこ)(あら)はれし
004大黒主(おほくろぬし)片腕(かたうで)
005(えら)まれゐたる神司(かむづかさ)
006大足別(おほだるわけ)はフサの(くに)
007印度(ツキ)御国(みくに)国境(くにざかひ)
008清春山(きよはるやま)岩窟(がんくつ)
009数多(あまた)部下(ぶか)()(つど)
010暴威(ばうゐ)(ふる)(その)(うち)
011三五教(あななひけう)神司(かむづかさ)
012照国別(てるくにわけ)(いもと)なる
013菖蒲(あやめ)(かた)()をくれて
014(あさ)(ゆふ)なに諸人(もろびと)
015(かれ)(やかた)(つか)はしつ
016千言(せんげん)万語(ばんご)(つひや)して
017口説(くど)けど()けど磐石(ばんじやく)
018(ゆる)がぬ(かた)決心(けつしん)
019流石(さすが)魔神(まがみ)辟易(へきえき)
020ここに(まつた)()()へて
021レール(四郎)セーム(清六)や
022シヤム(三六)ハール(八郎)
023ポーロ(保道)の()(にん)河鹿山(かじかやま)
024(ふもと)(みち)(つか)はして
025菖蒲(あやめ)(かた)がウブスナの
026斎苑(いそ)(やかた)()(みち)
027取押(とりおさ)へむと()ちゐたる
028(とき)しもあれや三五(あななひ)
029(をしへ)(した)梅彦(うめひこ)
030(いもと)(うま)れし花菖蒲(はなあやめ)
031(をんな)繊弱(かよわ)一人旅(ひとりたび)
032()かかる(まへ)(ふさ)がりて
033有無(うむ)()はせずフン(じば)
034清春山(きよはるやま)谷間(たにあひ)
035(ひき)つれ(きた)りて各自(めいめい)
036大足別(おほだるわけ)(のぞ)みをば
037(とほ)さむものと左右(さいう)より
038(おど)しつすかしつ(つと)むれど
039信仰(しんかう)堅固(けんご)菖蒲子(あやめこ)
040(かうべ)左右(さいう)(うち)ふりて
041いつかな(うご)かぬ権幕(けんまく)
042流石(さすが)曲津(まがつ)()ちあぐみ
043(こま)りぬいたる折柄(をりから)
044(はるか)(きこ)ゆる宣伝歌(せんでんか)
045()(にん)一度(いちど)肝冷(きもひや)
046()(かく)れむとする(とき)
047(あら)はれ(きた)りし宣伝使(せんでんし)
048照国別(てるくにわけ)眼力(がんりき)
049(にら)まれ(おそ)れて(くも)(かすみ)
050()()(あと)菖蒲子(あやめこ)
051(なみだ)ながらの物語(ものがたり)
052よくよく()けば両親(りやうしん)
053大足別(おほだるわけ)(とら)へられ
054(あさ)(ゆふ)なの責苦(せめく)をば
055(しの)びゐますと()きしより
056照国別(てるくにわけ)(おどろ)いて
057日頃(ひごろ)(たづ)ねし父母(ちちはは)
058バラモン(けう)岩窟(がんくつ)
059(とら)はれ(たま)ふか いぢらしや
060日頃(ひごろ)(たづ)ねし(いもうと)
061(なんぢ)なりしや(うれ)しやと
062(こころ)(いさ)()(いさ)
063照公(てるこう)梅公(うめこう)諸共(もろとも)
064清春山(きよはるやま)岩窟(がんくつ)
065(のぼ)()くこそ雄々(をを)しけれ。
066 清春山(きよはるやま)岩窟(がんくつ)には大将(たいしやう)大足別(おほだるわけ)数百(すうひやく)(にん)武卒(ぶそつ)(ひき)ゐ、067大黒主(おほくろぬし)(めい)によつてデカタン高原(かうげん)蟠居(ばんきよ)せるウラル(けう)集団(しふだん)勦滅(さうめつ)せむと出陣(しゆつぢん)した(あと)であつた。068()(うへ)(こぶ)(いや)がつてゐた大足別(おほだるわけ)大将(たいしやう)出陣(しゆつぢん)した(あと)は、069(こわ)(もの)なしの連中(れんちう)070(あさ)から(ばん)まで(さけ)をとり()し、071()ふた(とき)(かさ)ぬげ(しき)』で、072ビールやポートワインを穴倉(あなぐら)より()()し、073(あさ)から(ばん)まで(くだ)()きつづけをやつてゐた。
074 二十(にじふ)(にん)ばかりの留守番(るすばん)(おのおの)八畳(はちじやう)ばかりの()胡坐(あぐら)をかき(なが)ら、075遠慮(ゑんりよ)なしに秘蔵(ひざう)(さけ)をとり()しウラル(けう)(しき)に、
076()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)
077(やみ)(あと)には(つき)()
078(うた)(なが)らヘベレケに()(つぶ)れ、079脱線(だつせん)()りを(さか)んに発揮(はつき)してゐる。
080レール『オイ、081ポーロ、082貴様(きさま)何時(いつ)(おん)大将(たいしやう)(かさ)()(おれ)(たち)(あご)(さき)でコキ使(つか)ひやがつたが、083もう今日(けふ)となつては駄目(だめ)だ。084これからレールさまが留守(るす)師団長(しだんちやう)だから(その)命令(めいれい)遵奉(じゆんぽう)するのだよ。085万々一(まんまんいち)レールの()命令(めいれい)服従(ふくじゆう)せないと、086(この)(あひだ)のタルチン(太郎吉)の(やう)岩上(がんじやう)から深谷川(ふかたにがは)空中(くうちう)滑走(くわつそう)曲芸(きよくげい)(えん)じて谷底(たにそこ)伏艇(ふくてい)し、087(その)まま三途(さんづ)(かは)へタダ(ばし)りにならねばならぬから、088チツとは神妙(しんめう)にしたが()からうぞ。089貴様(きさま)何時(いつ)飲食物(いんしよくぶつ)ケチをつけゴテゴテ(ぬか)すものだから、090()()格納庫(かくなふこ)空虚(くうきよ)になり、091(ろく)(はたら)きも出来(でき)やしない。092コンパスのプロペラがチツとも()(こと)をきかないから、093それで是非(ぜひ)なく()うしてヘタばつて(さけ)()んで()るのだ。094オイ、095(みな)(やつ)096大将(たいしやう)印度(ツキ)(くに)(みやこ)まで()つて、097それから大黒主(おほくろぬし)軍隊(ぐんたい)(がつ)し、098デカタン高原(かうげん)()くのだから、099()(いち)(ねん)(ぐらゐ)(かへ)つて()ない(こと)請合(うけあひ)だ。100あるだけの(さけ)()んでパンを()(つく)し、101()くなつたら今度(こんど)はアーメニヤに長駆(ちやうく)進撃(しんげき)してウラル(ひこ)(やかた)(おそ)ひ、102ここも(また)(かひこ)(むし)(くは)()()(やう)()ひつぶしさへすれば吾々(われわれ)天下(てんか)太平(たいへい)だ。103こんな(うま)(さけ)()まずに河鹿(かじか)(たうげ)痩馬(やせうま)()(やう)(あさ)から(ばん)までハイハイと()つて()るのも()()かねい。104こんな(こと)()()ると(おも)つて()つてゐたのだ。105(おれ)(たち)大将(たいしやう)から腰抜(こしぬけ)野郎(やらう)の、106裏返(うらがへ)(もの)認識(にんしき)されてゐるのだから、107肝腎(かんじん)戦争(せんそう)にも()れて()きやがらなんだのだよ』
108ポーロ『それが(かへつ)此方(こち)とらの好都合(かうつがふ)だ。109(おれ)今迄(いままで)大将(たいしやう)命令(めいれい)威張(ゐば)つてゐたものの(こころ)(そこ)をたたいたらヤツパリお(まへ)(たち)同一(どういつ)だ』
110レール『さう()けば(うし)(つめ)だ、111(さき)からよく(わか)つてる。112(しか)(わか)らぬのは(おく)岩窟(がんくつ)(かく)してある老夫婦(らうふうふ)ぢやないか。113あんな柔順(おとなし)老人(らうじん)何故(なぜ)何時(いつ)までもあんな暗室(あんしつ)()()んでおくのだらう。114第一(だいいち)それが(おれ)()()はないのだ、115………ポーロ、116貴様(きさま)(すべ)ての様子(やうす)()つてゐる(はず)だ。117キレイサツパリとここで白状(はくじやう)して(しま)へ』
118ポーロ『もう()うなる(うへ)(なに)をか(つつ)まむやだ。119(おほ)きな(こゑ)では()はれぬが此処(ここ)大将(たいしやう)天下(てんか)無類(むるゐ)のデレ(すけ)だ。120バラモン(けう)()(なが)らウラル(けう)(むすめ)にゾツコン惚込(ほれこ)んで『女房(にようばう)()れえ』と掛合(かけあ)つた(ところ)121宗旨(しうし)(ちが)ふので(いま)幽閉(いうへい)されている夫婦(ふうふ)容易(ようい)(くび)(たて)にふらない。122そこで大足別(おほだるわけ)大将(たいしやう)()()(しな)をかへ、123沢山(たくさん)贈物(おくりもの)をして夫婦(ふうふ)()きつけたけれども、124どうしても駄目(だめ)だつた。125そこで今度(こんど)焼糞(やけくそ)になつて老夫婦(らうふうふ)がコーカス(ざん)参拝(さんぱい)する途中(とちう)()()高手(たかて)小手(こて)(いま)しめ(ざう)()にフン(じば)つて(また)(うま)()にのせ到頭(たうとう)(この)岩窟(がんくつ)まで()(かへ)り、126(あさ)から(ばん)まで『(ひめ)(わた)すか、127(わた)せば(たす)けてやる、128(いや)ぢや(なん)ぞと(ぬか)すが最後(さいご)129貴様(きさま)素首(そつくび)(ひき)ぬいてやらう』と執念深(しふねんぶか)くも、130(おん)(たい)(みづか)幽閉室(いうへいしつ)(まへ)(あら)はれて口説(くど)きたてるのだから(たま)らない。131あんな大将(たいしやう)見込(みこ)まれたら、132(まる)(へび)(ねら)はれた(かへる)(やう)なものだらう』
133レール『(その)(むすめ)何処(どこ)()るのだ。134肝腎(かんじん)代物(しろもの)()いのに(ぢぢ)(ばば)(いぢ)めて()つても仕方(しかた)がないぢやないか。135大足別(おほだるわけ)大将(たいしやう)余程(よほど)(わけ)(わか)らぬケレ(また)人足(にんそく)だのう』
136ポーロ『オイ、137コラ、138そんな(こと)(ぬか)すと剣呑(けんのん)だぞ。139(この)(なか)にも矢張(やつぱり)(いぬ)(ひそ)んで()るぞ。140(おれ)(たち)行動(かうどう)密告(みつこく)する代物(しろもの)何喰(なにく)はぬ(かほ)して潜入(せんにふ)してゐるのだから、141あんまりの(こと)()はぬがよからう。142(てき)(なか)にも味方(みかた)があれば、143味方(みかた)(なか)にも(てき)がある(いま)()(なか)144チツト()をつけぬかい』
145レール『その(いぬ)()ふのはチヤンと(おれ)天眼通(てんがんつう)看破(かんぱ)してあるのだ。146大方(おほかた)エルマの(こと)だらう』
147ポーロ『それさへ(わか)つて()れば(おれ)安心(あんしん)だ。148此奴(こいつ)(おれ)(たち)(なか)()(ひく)うして(まじ)つてゐるが、149(じつ)(ところ)大足別(おほだるわけ)従弟(いとこ)(あた)(やつ)だ。150(しか)しながら()うなつた以上(いじやう)はエルマを(ゆる)しておく(わけ)には()くまい。151(さけ)()うた(まぎ)れに、152此奴(こいつ)をフン(じば)つて谷川(たにがは)へドブ()茄子(なすび)とやつてこまさうかい』
153エルマ『コリヤコリヤ、154(なに)(ぬか)すのだ。155間違(まちが)ふにも(ほど)があるぞ。156大将(たいしやう)従弟(いとこ)はポーロぢやないか』
157レール『エルマとポーロと間違(まちが)つた(ところ)でたつた一人(ひとり)(こと)だ。158もう()(さけ)がまはつては()ちらが(ぜん)(あく)(わか)らない。159一層(いつそう)(こと)二人(ふたり)ともドブンとやつて(しま)へばいいぢやないか、160一人(ひとり)(やつ)(とき)災難(さいなん)ぢやと(おも)つて(あきら)めさへすれば()いのだ。161ウフヽヽヽ』
162ポーロ『コラコラ、163味方(みかた)同志(どうし)内乱(ないらん)(おこ)しちやつまらないぞ。164ここは吾々(われわれ)一同(いちどう)腹帯(はらおび)をしめ結束(けつそく)(かた)くして()らねば、165主人(あるじ)留守(るす)(かんが)へて三五教(あななひけう)(やつ)襲撃(しふげき)して()たら如何(どう)する。166兄弟(けいてい)(かき)(せめ)ぐとも(そと)(その)(あなどり)(ふせ)ぐ」と()金言(きんげん)心得(こころえ)ぬかい』
167レール『金言(きんげん)心得(こころえ)もあつたものかい。168主人(あるじ)留守(るす)真鍋(まなべ)()き、169毎日(まいにち)日日(ひにち)無礼講(ぶれいかう)(ひら)いて各自(めいめい)(こころ)塵芥(ごもくた)(はら)()水晶魂(すゐしやうだま)となりさへすればバラモン(けう)()神慮(しんりよ)(かな)ふのだ。170(さけ)さへ()めば(なん)でも(かん)でも(はら)(そこ)まで打明(うちあか)すものだから(さけ)ほど(えら)いものはない。171アヽ(さけ)なる(かな)(さけ)なる(かな)だ。172さけもさけも()(なか)(さけ)ほど愛嬌(あいけう)のものあろか、173イヒヽヽヽヽ。174(なん)とうまい(さけ)だのう、175こんな(とき)喧嘩(けんくわ)をする(やう)野暮(やぼ)何処(どこ)にあるかい。176(さけ)さへ()めば(ぜん)もなければ(あく)もない。177(てき)もなければ味方(みかた)もない。178喧嘩(けんくわ)仲裁(ちうさい)する(やつ)はヤツパリ(さけ)だ。179仲裁(ちうさい)権威(けんゐ)保有(ほいう)する(さけ)(さき)()んで()(なが)喧嘩(けんくわ)をすると()(こと)があるものけえ、180アーン』
181エルマ『さうともさうとも一切(いつさい)万事(ばんじ)(さけ)解決(かいけつ)のつく()(なか)だ。182歌口調(うたくてう))「アヽ、183()(なか)豊年(ほうねん)ぢや、184万作(まんさく)ぢや、185万作(まんさく)々々(まんさく)万作(まんさく)ぢや」(都々逸(どどいつ))「(さけ)()(ひと)(しん)から可愛(かあい)い、186()うて管巻(くだま)きやなほ可愛(かあい)い」とけつかるワイ、187ウー、188ゲツプ、189ウーン、190(さけ)(やつ)191不謹慎(ふきんしん)千万(せんばん)にも(おれ)(たち)密談(みつだん)()かうと(おも)うて喉元(のどもと)から一寸(ちよつと)(のぞ)きやがつた。192エー不従順(ふじうじゆん)代物(しろもの)だなア』
193ポーロ『コラ、194レール、195ポーロ ポーロと(なみだ)をこぼしもつて(さけ)(くら)(やつ)があるかい。196(さけ)()んだら()んだらしう何故(なぜ)(いさ)まぬのか。197貴様(きさま)泣上戸(なきじやうご)だな』
198レール『あんまりの(さけ)洪水(こうずゐ)でレールが沈没(ちんぼつ)汽車(きしや)方向(はうかう)取違(とりちが)へて脱線(だつせん)したのだ。199乗客(じやうきやく)(たちま)顛覆(てんぷく)(やく)()阿鼻(あび)叫喚(けうくわん)(あだか)地獄(ぢごく)(ごと)しだ。200(その)惨状(さんじやう)()るに(しの)びず、201一掬(いつきく)同情(どうじやう)(なみだ)をそそいだのだ。202貴様(きさま)(やう)(やつ)英雄(えいゆう)心事(しんじ)(わか)つて(たま)るかい。203えーウーゲツプウーン、204(さけ)(やつ)205(また)しても法則(はふそく)(やぶ)つて秘密室(ひみつしつ)(のぞ)かうとしやがる。206()しからぬ(やつ)だな。207こらヤツコス、208貴様(きさま)209(なん)だ、210真面目(まじめ)(くさ)つた(かほ)しやがつて貴様(きさま)こそ剣呑(けんのん)だ。211これ()(みな)がうま(ざけ)()うて()るのに貴様(きさま)だけ真面目(まじめ)(かほ)をしやがつて、212(なん)(こと)だい、213大方(おほかた)貴様(きさま)大将(たいしやう)(かへ)つて()たら(おれ)(たち)行動(かうどう)一々(いちいち)上申(じやうしん)するつもりだらう。214アーン』
215ヤツコス『ヤイ、216レール、217そんな殺生(せつしやう)(こと)()つてくれるない。218(おれ)貴様(きさま)()()つてる(とほ)極端(きよくたん)下戸(げこ)ぢやないか。219下戸(げこ)如何(どう)して(さけ)()めるかい』
220レール『(さけ)(この)(ひと)奈良漬(ならづけ)()はずして(さけ)()かぬ(ひと)粕汁(かすじる)(くら)ふ………と()ふことがある。221貴様(きさま)222粕汁(かすじる)ならチツとばかり()ふだらう。223粕汁(かすじる)でもあまり馬鹿(ばか)にならないぞ。224ドツサリ()めば()ふぞ。225貴様(きさま)粕汁(かすじる)でも()んで古今(ここん)独歩(どくぽ)珍無類(ちんむるゐ)(くだ)()いたら如何(どう)だ(歌口調(うたくてう))「(さけ)()まぬ(やつ)(しん)から(にく)い、226(くだ)()かぬ(やつ)ア、227なほ(にく)い」と()(こと)があるぞ、228ヤイ、229ヤツコス()(ひと)()んだら如何(どう)だい。230(さけ)(きつ)うて()めなけりや()でもさして(ゆる)うしてやらうか』
231ヤツコス『イヤ、232もう沢山(たくさん)だ。233(けつ)してお(まへ)()行動(かうどう)上申(じやうしん)する(やう)不道徳(ふだうとく)(こと)はせぬから安心(あんしん)して()れえ』
234レール『(さけ)(せき)(さけ)()まぬ(やつ)(すわ)つてると(なん)ともなしに()がひけて、235()(しら)けて仕方(しかた)がないワ。236そして(をんな)のお給仕(きふじ)がないと()ふから殺風景(さつぷうけい)(こと)(この)(うへ)なしだ。237(とき)此処(ここ)大将(たいしやう)恋着(れんちやく)してる「アヤメ」と()ふナイスは何処(どこ)()るだらうな。238(おれ)はそのナイスの(こと)()になつて(わす)れられぬわいのう。239オヽヽヽヽ(義太夫(ぎだいふ)(おも)へば(おも)へば いぢらしいやあ、240(ちち)(はは)とは()(たか)きコーカス(ざん)のお宮詣(みやまう)での(その)(みぎり)241バラモン(けう)曲津(まがつ)(かみ)……………』
242ポーロ『コリヤコリヤ、243曲津(まがつ)(かみ)()(こと)があるかい』
244レール『(義太夫(ぎだいふ))バラモン(けう)神司(かむづかさ)245大黒主(おほくろぬし)(とら)へられ荒風(あらかぜ)すさぶ山野(さんや)(わた)りやうやうに、246(ざう)背中(せなか)()せられて、247ここまで()たのがアヽヽヽ(うん)()き、248(くら)牢屋(らうや)()()まれ、249(あさ)な、250(ゆふ)なの御飯(ごはん)さへ、251碌々(ろくろく)(あぢ)はふ(こと)()ず、252(くる)しみ(なげ)く あゝゝゝり(さま)はアヽヽ、253よその()()(あは)れなり、254(いち)()(はや)(わが)(むすめ)255ここに(たづ)ねて()るなれば、256大足別(おほだるわけ)大将(たいしやう)も、257()(ほそ)うして(よだれ)こき、258(もつ)ての(ほか)()満足(まんぞく)259とは()(なが)(なさけ)なや、260三五教(あななひけう)(つかさ)なら、261可愛(かあい)(むすめ)女房(にようばう)に、262熨斗(のし)までつけて(たてまつ)らむと(おも)へども、263悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)大黒主(おほくろぬし)がオツトドツコイヽヽヽ仁慈(じんじ)無限(むげん)大黒主(おほくろぬし)が、264左守(さもり)(かみ)にも(たと)ふべき、265清春山(きよはるやま)岩窟(がんくつ)に、266(いきほ)(なら)ぶものもなき、267大足別(おほだるわけ)()(なが)ら、268これが女房(にようばう)にやられようか、269ほんに(おも)へば(さき)()で、270如何(いか)なる(こと)(つみ)せしか、271(あは)れみ(たま)へや三五(あななひ)の、272(すめ)大神(おほかみ)口説(くど)きたて、273くどき()つれエヽヽばアヽヽヽレールさま、274………と()(やう)老夫婦(らうふうふ)心情(しんじやう)だ。275オイ(ひと)脱線(だつせん)つづけに(ばば)でも(をんな)(ちが)ひないから牢屋(らうや)から引張(ひつぱ)()してお給仕(きふじ)でもさしたらどうだ。276あまり心持(こころもち)(わる)くはあるめいぞ。277アーン』
278一同(いちどう)『イヒヽヽヽ』
279()()()(あご)をシヤクつて(わら)(をり)しも、280入口(いりぐち)(ばん)をして()たキルク(喜久雄)は(ちう)をとんで()(きた)り、
281キルク『モシモシ ポーロさま、282たゝゝゝゝ大変(たいへん)大変(たいへん)だ。283立派(りつぱ)美人(びじん)()ましたぜ』
284ポーロ『ナニ、285美人(びじん)()た。286そりや大変(たいへん)面白(おもしろ)(こと)だ。287(はや)引張(ひつぱ)つて()い』
288レール『それだから時節(じせつ)()たねばならぬものだ。289別嬪(べつぴん)()いちや(おれ)(たま)らないわ。290ヤツパリ()(ふた)つあるだらうな、291アーン』
292キルク『別嬪(べつぴん)一人(ひとり)に、293(つよ)(こは)さうな宣伝使(せんでんし)(さん)(にん)です』
294一同『ヤア、295そりや大変(たいへん)だ』
296一同(いちどう)(にはか)(さけ)(よひ)()め、297徳利(とくり)蹴飛(けと)ばし(はち)()(なが)右往(うわう)左往(さわう)狼狽(うろた)へまはる。
298大正一一・一〇・二八 旧九・九 北村隆光録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→