霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 (しの)(こひ)〔一〇八九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻 篇:第1篇 恋雲魔風 よみ:れんうんまふう
章:第5章 第40巻 よみ:しのぶこい 通し章番号:1089
口述日:1922(大正11)年11月01日(旧09月13日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
鬼熊別と石生能姫は奥の間に端座し、向かい合いながらしばし沈黙していた。鬼熊別は内心、大黒主の寵愛を受けハルナの館を取り仕切る石生能姫が共も連れずに一人やってきたことに何か深い仔細があるものと警戒していた。
石生能姫は、鬼熊別を慕う自分の心中を明かそうという決意でやってきたのだが、いざ鬼熊別に対面するとその思いはどこかへ消えてしまったかのようであった。
鬼熊別は、大黒主が自分を信任することは決してないことを知っていたが、すでに浮世には心にかけることはないと覚悟をしていることから、石生能姫の命にしたがって左守の留守役を引き受けたことを明かした。
また鬼熊別は実際のところ、大黒主を堕落させた毒婦として石生能姫のことを見ていたことを明かし、一日も早く前非を悔いて自害し、大黒主の目を覚ますようにと厳しく責め立てた。
石生能姫は返す言葉もなく泣き伏し、自分自身も大黒主が本妻をないがしろにして職務に身を入れていないことを嘆いていることを明かした。そして自分の身の上話を始め、元は三五教の信者であったが両親に生き別れ、まだ幼少のころに大黒主に見初められて小間使いとして連れてこられたことを語った。
しかし大黒主は、長じた自分を寵愛し、恩ある鬼雲姫が自分のために大黒主から疎まれてしまう結果となった。そのことを苦にして自害しようとしたが、そのたびに中空から声が聞こえて押しとどめられたという。
そのため、大黒主に唯一忠言できる自分の立場を鑑み、バラモン教の柱石となる人物を守ることが自分の役割だと思い切って、これまで活動してきたのだと胸中を明かした。
鬼熊別は、石生能姫のバラモン教に対する赤誠を感じ、これまで毒婦と思ってきたことを詫びた。そして、大黒主の考えを改めてバラモン教の立て直しをしたいという自分の思いを石生能姫に吐露した。
石生能姫は、大黒主の我は左守の軍がウラル教徒に敗れなければ折れないことまで見通しており、その機をうかがいながら、共に協力してハルナ城内を清めようと鬼熊別に決心の内を明かした。
鬼熊別と石生能姫は志を同じくし、共にバラモン教の立て直しのために働くことを誓って別れた。鬼熊別は神殿に向かい、バラモン神に感謝の祝詞を奏上して涙を流した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4005
愛善世界社版:56頁 八幡書店版:第7輯 437頁 修補版: 校定版:58頁 普及版:27頁 初版: ページ備考:
001 鬼熊別(おにくまわけ)002石生能姫(いそのひめ)二人(ふたり)(おく)()端坐(たんざ)し、003双方(さうはう)から(たがひ)(かほ)見合(みあは)せ、004(しば)沈黙(ちんもく)(まく)がおりた。005鬼熊別(おにくまわけ)(こころ)(うち)にて……夜前(やぜん)熊彦(くまひこ)報告(はうこく)()ひ、006(また)途中(とちう)大橋(おほはし)(おと)しおきたるにも(かかは)らず、007(をんな)()として(とも)をもつれず、008身分(みぶん)をも(わきま)へず(たづ)(きた)りしは(なに)(ふか)仔細(しさい)のあるならむと、009(くち)をつぐんで石生能姫(いそのひめ)言葉(ことば)切出(きりだ)しを()つてゐた。010石生能姫(いそのひめ)(また)今更(いまさら)(ごと)鬼熊別(おにくまわけ)儼然(げんぜん)たる態度(たいど)()()まれ、011(むね)(つも)りし数々(かずかず)()()てむとしたる(こと)の、012何時(いつ)()にやら、013どこともなく()()せて、014()言葉(ことば)()らず(やや)躊躇(ちうちよ)狼狽(らうばい)(てい)にて(くび)(かたむ)け、015黙然(もくねん)として差俯(さしうつ)むいてゐる。016かくして四半時(しはんとき)ばかり沈黙(ちんもく)(うち)(とき)容赦(ようしや)なく過去(すぎさ)つた。017(おも)()つたやうに石生能姫(いそのひめ)(やや)(かほ)(あか)らめて、
018独身(どくしん)生活(せいくわつ)(あそ)ばす貴方様(あなたさま)のお(たく)(をんな)分際(ぶんざい)として(とも)をもつれず(ただ)一人(ひとり)019御訪問(ごはうもん)申上(まをしあ)げましたに(つい)ては、020貴方(あなた)(さぞ)御迷惑(ごめいわく)(ござ)いませう。021奥様(おくさま)やお嬢様(ぢやうさま)三五教(あななひけう)とやらに入信(にふしん)(あそ)ばして、022貴方(あなた)(ただ)一人(ひとり)苦節(くせつ)(まも)り、023独身(どくしん)生活(せいくわつ)をつづけて、024(みち)(ため)(くに)(ため)昼夜(ちうや)御辛労(ごしんらう)(あそ)ばす、025(その)見上(みあ)げたお(こころざし)026(じつ)感服(かんぷく)(いた)りで(ござ)います』
027 鬼熊別(おにくまわけ)(やうや)くにして(くち)(ひら)き、
028御用(ごよう)(なん)(ござ)いますか。029どうぞ手取(てつと)(ばや)仰有(おつしや)つて(くだ)さいませ。030又々(またまた)大黒主(おほくろぬし)(さま)嫌疑(けんぎ)()けては(たがひ)迷惑(めいわく)031サ、032(はや)御用(ごよう)(おもむき)を』
033とせき()てれば、034石生能姫(いそのひめ)(かな)しげに、035涙声(なみだごゑ)にて、
036『ハイ(なに)から申上(まをしあ)げて(よろ)しいやら、037只今(ただいま)(まで)()うも申上(まをしあ)げたい、038あゝも申上(まをしあ)げたいと(むね)一杯(いつぱい)になつて()りましたが、039貴方(あなた)儼然(げんぜん)たるお姿(すがた)(はい)して、040(にはか)にどつかへ(かく)れて(しま)ひました。041どうぞゆるゆると申上(まをしあ)げますから()(なが)くお聞取(ききと)(くだ)さいませ』
042(わたくし)御存(ごぞん)じの(とほ)り、043大黒主(おほくろぬし)(さま)種々雑多(しゆじゆざつた)嫌疑(けんぎ)(かうむ)り、044左守(さもり)聖職(せいしよく)まで取剥(とりは)がれ、045(なん)となく両者(りやうしや)(あひだ)には、046形容(けいよう)(がた)妖雲(えううん)(ただよ)ひ、047(いま)にも(あめ)(かぜ)雷鳴(らいめい)かといふ殺風景(さつぷうけい)空気(くうき)(つつ)んで()りましたが、048昨日(きのう)外教(ぐわいけう)征伐(せいばつ)相談(さうだん)(さい)049貴方(あなた)(さま)のお取成(とりな)しに()つて(ふたた)(もと)左守(さもり)(にん)ぜられ、050(わたくし)としては()(あま)光栄(くわうえい)(ござ)りますが、051(これ)(かへつ)(わたくし)(ため)には(だい)なる(わざはひ)とならうも()りませぬ。052大黒主(おほくろぬし)(さま)(こころ)(そこ)より御任命(ごにんめい)ならば(わたくし)(よろこ)んでお()けを(いた)しますが、053代理権(だいりけん)御執行(ごしつかう)とはいへ、054(けつ)して大黒主(おほくろぬし)(さま)(わたくし)御信任(ごしんにん)(あそ)ばして(ござ)(はず)(ござ)いませぬ。055早速(さつそく)御辞退(ごじたい)(まう)さむかと(その)()(おも)ひましたが、056さうしては物事(ものごと)(かど)()ち、057円満(ゑんまん)解決(かいけつ)出来難(できにく)い、058(また)(そと)(むか)つて勁敵(けいてき)(ひか)へ、059兵馬(へいば)勢力(せいりよく)大部分(だいぶぶん)(そと)()で、060ハルナ(じやう)(まも)薄弱(はくじやく)となつた(この)(さい)061兄弟(けいてい)(かき)にせめぐ(ごと)()(えん)じてはお(みち)不利益(ふりえき)(ぞん)じまして、062(くち)まで()かけてゐた辞退(じたい)言葉(ことば)()みこみ、063無念(むねん)をこらへて、064左守(さもり)たることをお()(いた)したやうな次第(しだい)(ござ)います。065(じつ)(ところ)(まを)せば、066(わたくし)(こころ)最早(もはや)浮世(うきよ)(いや)になり、067地位(ちゐ)名望(めいばう)財産(ざいさん)女房(にようばう)()しくはありませぬ。068(しばら)山林(さんりん)隠遁(いんとん)して、069光風霽月(くわうふうせいげつ)(とも)とし余生(よせい)(おく)りたきは山々(やまやま)なれども、070バラモン(けう)今日(こんにち)内情(ないじやう)()ては、071左様(さやう)勝手(かつて)なことも出来(でき)ませず、072大神様(おほかみさま)(たい)(たてまつ)り、073これ(くらゐ)不孝(ふかう)(つみ)はないと(ぞん)じ、074(こころ)ならずも御用(ごよう)(うけたま)はることに(いた)しましたやうな次第(しだい)(ござ)います。075そして貴女(あなた)076途中(とちう)(なに)(かは)つたことは(ござ)りませなんだかな』
077『ハイ(べつ)(かは)りもなかつた(やう)ですが、078此方(こちら)(まゐ)途中(とちう)079九十九橋(つくもばし)何者(なにもの)にか打落(うちおと)され、080()むを()一里(いちり)ばかり下手(しもて)(まゐ)り、081百代橋(ももよばし)(わた)つて、082(やかた)(たづ)ねて(まゐ)りました。083途上(とじやう)(つた)ふる(ところ)によれば、084(なん)でも()(まを)すとお()さへられるか(ぞん)じませぬが、085貴方(あなた)(さま)身内(みうち)(もの)が、086何等(なんら)かの(かんが)へで打落(うちおと)したとか()(うはさ)(ござ)います。087どうぞ(この)(こと)大黒主(おほくろぬし)(きこ)えねばよいがと(じつ)心配(しんぱい)(いた)しつつ(まゐ)つたので(ござ)います』
088(また)(ひと)嫌疑(けんぎ)(たね)がふえましたな。089モウ(わたくし)何事(なにごと)覚悟(かくご)(いた)して()ります。090一切万事(いつさいばんじ)神様(かみさま)(まか)した()(うへ)091如何(いか)なる災難(さいなん)がふりかかつて()ようとも、092(すこ)しも(おそ)れは(いた)しませぬ。093(しか)(また)貴女(あなた)一人(ひとり)でお()しになつたに()いては合点(がてん)のゆかぬことが(ござ)います。094あれ(だけ)鬼雲彦(おにくもひこ)(さま)嫉妬心(しつとしん)(ふか)く、095(つか)()貴女(あなた)(そば)(はな)れないといふ御方(おかた)今日(けふ)(かぎ)つて、096(ただ)一人(ひとり)外出(ぐわいしゆつ)(ゆる)されるとは、097合点(がてん)のゆかぬことで(ござ)います。098大方(おほかた)夫婦喧嘩(ふうふげんくわ)でも(あそ)ばして、099貴女(あなた)城内(じやうない)をぬけ()して()られたのぢや(ござ)いませぬか』
100『イエ(けつ)して(けつ)して、101(をつと)諒解(りやうかい)()て、102(ただ)一人(ひとり)(しの)んで(まゐ)りました』
103『ハテ、104益々(ますます)合点(がてん)()かぬ。105これには(なに)(ふか)計略(けいりやく)のあることだろう……イヤ石生能姫(いそのひめ)殿(どの)106打割(うちわ)つて(まを)さば、107貴女(あなた)(ごと)毒婦(どくふ)(もの)(まを)すのも(けが)らはしう(ござ)る』
108『エヽ(なん)(あふ)せられます。109それほど(わたし)をお(にく)みで(ござ)いますか。110そりやマア如何(どう)した(わけ)で……』
111(わけ)()はなくても、112貴女(あなた)のお(こころ)にお(たづ)ねなされば、113キツと(わか)るでせう。114よく(かんが)へて御覧(ごらん)なさい。115大切(たいせつ)奥様(おくさま)放出(ほりだ)し、116貴女(あなた)のめのめ(その)後釜(あとがま)にすわり、117平気(へいき)平座(へいざ)女王面(ぢよわうづら)をさらして(ござ)る。118そのお振舞(ふるまひ)鬼熊別(おにくまわけ)には()()りませぬ。119左様(さやう)なことをなさるものだから、120神様(かみさま)御怒(おいか)りにふれ、121三五教(あななひけう)やウラル(けう)がハルナの(みやこ)(むか)つて()()せて()るやうになつたのです。122一日(いちにち)(はや)前非(ぜんぴ)()い、123奥様(おくさま)(ひと)つはお(わび)(ため)124(ひと)つは大黒主(おほくろぬし)(さま)御改心(ごかいしん)(ため)に、125立派(りつぱ)自害(じがい)をしてお()てなされ。126それ(だけ)真心(まごころ)がなくては、127到底(たうてい)(この)神業(しんげふ)はつとまりませぬぞ』
128儼然(げんぜん)として(しか)るやうに()つてのけた。129(その)権幕(けんまく)(はげ)しさに、130石生能姫(いそのひめ)(かへ)言葉(ことば)もなく、131ワツとばかりに(その)()()(たふ)れた。
132 (しばら)くにして()をおしぬぐひ、133(かほ)をあげ、134(ほそ)(こゑ)にて、
135『あなたの御言葉(おことば)(しん)御尤(ごもつと)もで(ござ)います。136(わたし)もあなたと同感(どうかん)137(この)(こと)()いてはどれ(だけ)(むね)(いた)めて()るか(わか)りませぬ』
138『それ(ほど)(むね)(いた)めるやうなことを何故(なぜ)なさいますか。139貴女(あなた)決心(けつしん)(ひと)つで、140如何(どう)でもなるぢやありませぬか』
141(をつと)(はぢ)申上(まをしあ)げて不貞(ふてい)くされの(をんな)だとおさげすみを(かうむ)るか(ぞん)じませぬが、142モウ()うなつては一伍一什(いちぶしじふ)(まを)しあげねばなりますまい。143どうぞ(しばら)()いて(くだ)さいませ。144(わたし)(もと)三五教(あななひけう)信者(しんじや)(むすめ)145石生子(いそこ)(まを)しました。146幼少(えうせう)より両親(りやうしん)生別(いきわか)れ、147彼方(あちら)此方(こちら)彷徨(さまよ)(うち)148大黒主(おほくろぬし)(さま)(かり)散歩(さんぽ)途中(とちう)149(わたし)一目(ひとめ)()るより、150(わが)()(きた)れと仰有(おつしや)つて()(かへ)り、151奥様(おくさま)小間使(こまづかひ)として御夫婦(ごふうふ)(かた)可愛(かあい)がられ、152(つか)へて()りました(ところ)153ある()154(はづ)かしながら、155大黒主(おほくろぬし)(さま)無理難題(むりなんだい)156奥様(おくさま)にすまぬこととは()りながら(をんな)(こころ)(よわ)(ところ)から、157御機嫌(ごきげん)(そこ)ねまいと、158大黒主(おほくろぬし)(さま)要求(えうきう)(おう)じました。159それより御主人(ごしゆじん)(あさ)から(ばん)(まで)160(わたし)手許(てもと)引寄(ひきよ)せ、161奥様(おくさま)(たい)して小言(こごと)ばかり仰有(おつしや)(やう)になり、162(わたし)()つてもゐても()られないので、163いろいろと御意見(ごいけん)申上(まをしあ)げましたけれども、164()(あそ)ばさず、165とうとう奥様(おくさま)を、166あの(とほ)追出(おひだ)してお(しま)ひになりました。167(わたし)世間(せけん)からいろいろと悪評(あくひやう)()てられ()きてゐる甲斐(かひ)もなく、168(そと)(ある)くのも(はづ)かしく、169一層(いつそう)のこと自害(じがい)して(こころ)潔白(けつぱく)(しめ)し、170奥様(おくさま)にお(わび)(いた)さうかと幾度(いくたび)となく自害(じがい)覚悟(かくご)をきめましたが、171どこともなく中空(ちうくう)(こゑ)(きこ)え、172()()てと()められるので、173面白(おもしろ)からぬ月日(つきひ)今日(けふ)(まで)(なが)らへて()たので(ござ)います。174(ところ)がお(やかた)奸者侫人(かんじやねいじん)跋扈(ばつこ)し、175あなた(さま)御身(おみ)(うへ)()しきさまに大黒主(おほくろぬし)申上(まをしあ)ぐる(もの)176日々(にちにち)(その)(すう)(くは)へ、177主人(しゆじん)御存(ごぞん)じの(とほ)りの短気者(たんきもの)(ゆゑ)178あなた(さま)をふん(じば)り、179(きび)しき刑罰(けいばつ)(しよ)せむと(いき)まくこと一再(いつさい)ならず、180(これ)(おも)へば(わたし)(いま)()んでも()なれない。181主人(しゆじん)如何(いか)なる(こと)でも、182(わたし)()(こと)なら()いてくれるのを(さいは)ひ、183バラモン(けう)柱石(ちうせき)をムザムザ(うしな)つては大変(たいへん)だと、184いろいろと今日(けふ)まで諫言(かんげん)(いた)し、185(かげ)(なが)らあなたの御身辺(ごしんぺん)(まも)つて()(もの)(ござ)います。186どうぞあなたもお(みち)(おも)ひ、187(くに)(おも)真心(まごころ)をモ(ひと)発揮(はつき)して、188(わたし)(とも)(この)(をしへ)(くに)(まも)つて(くだ)さいますまいか。189(いま)(わたし)自害(じがい)して()てたならば、190あなた(さま)身辺(しんぺん)(たちま)(あやふ)くなるでせう、191否々(いないな)あなたは神力(しんりき)無双(むさう)神司(かむづかさ)192ヤミヤミ()たれはなさいますまいが、193内憂外患(ないいうぐわいくわん)(はげ)しき今日(こんにち)194両虎(りやうこ)(とも)(しのぎ)(けづ)つて(あらそ)(とき)は、195(いきほひ)(とも)(まつた)からず、196どちらか(きず)ついて(たふ)れ、197バラモン教国(けうこく)覆滅(ふくめつ)()()るよりも(あきら)かで(ござ)います。198何卒(どうぞ)ここの道理(だうり)聞分(ききわ)けて、199(わたし)精神(せいしん)をお(さと)(くだ)さいます(やう)御願(おねが)(まを)します。200(この)(こと)御相談(ごさうだん)申上(まをしあ)げたさに、201主人(しゆじん)手前(てまへ)(うま)くつくろひ、202あなたの腹中(ふくちう)(さぐ)つて()ると(まを)して(まゐ)りました』
203(なみだ)ながらに一伍一什(いちぶしじふ)物語(ものがた)つた。204鬼熊別(おにくまわけ)(やや)顔色(かほいろ)(やは)らげ、
205石生能姫(いそのひめ)殿(どの)206左様(さやう)(ござ)つたか。207かかる(きよ)(たふと)きお(こころざし)とは()らず、208(いま)まで貴女(あなた)毒婦(どくふ)209奸婦(かんぷ)()くびり(にく)んで()りましたのは(まこと)(わたくし)不明(ふめい)(いた)(ところ)210どうぞ(ゆる)して(くだ)さい。211(なに)()ふも暗黒(あんこく)()(なか)212到底(たうてい)人間(にんげん)(こころ)(そこ)(わか)るものでは(ござ)いませぬ。213(わたくし)だつて(その)(とほ)り、214数多(あまた)侫人(ねいじん)ばらに讒訴(ざんそ)され、215円満(ゑんまん)なるべき大黒主(おほくろぬし)(さま)との(なか)(かき)出来(でき)たのも(まつた)(たがひ)誤解(ごかい)からで(ござ)いませう。216大黒主(おほくろぬし)(さま)もあの(やう)(わる)(かた)ではなかつた(はず)ですが、217何時(いつ)()にやら(やや)御安心(ごあんしん)なさつた(きよ)(じやう)じ、218曲神(まがかみ)身魂(みたま)(おそ)はれ(たま)うたので(ござ)りませう。219あゝ(なん)とかして(その)悪魔(あくま)退散(たいさん)させたいもので(ござ)いますなア』
220『ハイ有難(ありがた)う、221よく()つて(くだ)さいました。222どうぞあなたはお(みち)(ため)223(くに)(ため)思召(おぼしめ)し、224不愉快(ふゆくわい)(しの)んで、225御登城(ごとじやう)(くだ)さいまして、226左守(さもり)としての職責(しよくせき)完全(くわんぜん)にお(つく)(くだ)さいませ。227(わたし)(およ)ばずながら内助(ないじよ)(らう)()りますから。228(しか)(なが)(まへ)(もつ)申上(まをしあ)げておきますが、229大黒主(おほくろぬし)(さま)中々(なかなか)容易(ようい)改心(かいしん)出来(でき)ますまい。230イソの(やかた)(むか)つた鬼春別(おにはるわけ)やカルマタ(こく)(むか)つた大足別(おほだるわけ)一敗(いつぱい)()にまみれ、231往生(わうじやう)をした(うへ)でなくては、232到底(たうてい)あのキツイ()()れますまい。233どうぞ、234あなたはお(みち)(ため)235(くに)(ため)()(てい)して(やいば)(なか)をくぐる大覚悟(だいかくご)(もつ)御出勤(ごしゆつきん)(ねが)ひます。236(さいは)(わたし)大黒主(おほくろぬし)寵愛(ちようあい)()()りますから、237(その)(だん)大変(たいへん)好都合(かうつがふ)(ござ)ります。238(をり)()鬼雲姫(おにくもひめ)(さま)(もと)奥様(おくさま)(なほ)つて(もら)ふやうに取計(とりはか)らひませう。239それに()いては到底(たうてい)(わたし)一人(ひとり)(ちから)(およ)びますまいから、240あなたと(わたし)(ちから)(あは)せて、241ハルナの城内(じやうない)()(きよ)め、242悪魔(あくま)(しりぞ)けようでは(ござ)いませぬか』
243『そこ(まで)(をんな)貴女(あなた)御決心(ごけつしん)244イヤもう(じつ)感服(かんぷく)(つかまつ)りました。245左様(さやう)なれば、246(わたし)貴女(あなた)真心(まごころ)(かん)じ、247()(てい)して大改革(だいかいかく)にかかりませう。248何卒(どうぞ)御内助(ごないじよ)(ねが)ひます(やう)249(じつ)(ところ)昨夜(さくや)あなたは御存(ごぞん)じなけれども、250大黒主(おほくろぬし)(さま)御内命(ごないめい)にて近侍(きんじ)(もの)()数十名(すうじふめい)251(わが)(やかた)襲来(しふらい)し、252夜陰(やいん)(まぎ)れて(わが)(いのち)(うば)はむと(いた)されました。253(その)計略(けいりやく)(ある)(もの)より(うけたま)はり、254家老(からう)熊彦(くまひこ)(はか)らひにて、255あの(はし)(おと)させておいた(やう)次第(しだい)(ござ)いますから、256(いづ)大黒主(おほくろぬし)(さま)より一問題(ひともんだい)(わたし)(たい)持上(もちあ)がるものと、257覚悟(かくご)(いた)して()ります』
258 石生能姫(いそのひめ)はこれを()いて(おどろ)(あき)れ、259()(ふる)はしながら、
260『ソリヤまあ真実(しんじつ)(ござ)いますか、261大変(たいへん)(こと)になるとこで(ござ)いました。262(わたし)がこれから(かへ)りまして、263それとはなしに(さぐ)つてみませう。264(また)あなたに難題(なんだい)のかかるやうなことは(けつ)してさせませぬから………あゝモウ(しばら)御邪魔(おじやま)(いた)したいので(ござ)いますが、265(あま)(なが)くなると(また)疑惑(ぎわく)(たね)()きますから、266名残(なごり)()しう(ござ)いますが、267これにて失礼(しつれい)(いた)します…………』
268(めう)目使(めづか)ひにて鬼熊別(おにくまわけ)見守(みまも)つた。269あゝ()くの(ごと)(こころ)(ただ)しき石生能姫(いそのひめ)(こひ)には(まよ)(こころ)(やみ)270上下(じやうげ)(へだて)なしとはよく()つたものである。271鬼熊別(おにくまわけ)石生能姫(いそのひめ)左様(さやう)(こころ)ありとは、272(ゆめ)にも()らず、273(うれ)(なみだ)(なが)しながら、274石生能姫(いそのひめ)()(かた)(にぎ)り、
275『コレ(ひめ)(さま)276随分(ずゐぶん)()()けなさいませ。277貴女(あなた)(からだ)大切(たいせつ)なお()(うへ)278(わたくし)貴女(あなた)(ちから)()はして()りさへすれば、279ハルナの(みやこ)大丈夫(だいぢやうぶ)(ござ)います』
280一層(いつそう)(つよ)()(にぎ)りしめた。281石生能姫(いそのひめ)日頃(ひごろ)(おも)()んだ鬼熊別(おにくまわけ)()(かた)(にぎ)られ、282(うれ)しさに(むね)(とどろ)かせ、283覚束(おぼつか)なげに(ほそ)()()べて、284力限(ちからかぎ)鬼熊別(おにくまわけ)()(にぎ)(かへ)し、285(なが)()(かほ)見上(みあ)げて、286ホロリと一雫(ひとしづく)(なみだ)(あめ)(とも)名残(なごり)()しげに後振返(あとふりかへ)振返(ふりかへ)り、287(やかた)をしづしづと()つて(かへ)()く。288鬼熊別(おにくまわけ)玄関口(げんくわんぐち)まで(ひめ)見送(みおく)り、289そこにて(わか)れを()げ、290午後(ごご)(かなら)参勤(さんきん)すべきことを(やく)して、291(しば)しの(わか)れを()げた。292(あと)鬼熊別(おにくまわけ)神殿(しんでん)(むか)ひ、293感謝(かんしや)祈願(きぐわん)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し………あゝ(いま)だバラモン(しん)吾等(われら)()(たま)はざるか、294有難(ありがた)勿体(もつたい)なや………と両手(りやうて)(あは)せ、295感謝(かんしや)(なみだ)(たき)(ごと)(なが)すのであつた。
296大正一一・一一・一 旧九・一三 松村真澄録)
   
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