霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 (こころ)反映(はんえい)〔一〇九六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻 篇:第3篇 霊魂の遊行 よみ:れいこんのゆうこう
章:第12章 第40巻 よみ:こころのはんえい 通し章番号:1096
口述日:1922(大正11)年11月03日(旧09月15日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
二人は着衣のまま、広い川を意外にも無事に渡った。見れば美しい花が咲き匂っている花園が見えた。二人は神界へ来たのかと舞い上がったが、カルは自分の身を省みれば、決してこのような結構なところに来られる道理はないといぶかった。
いつの間にか二人が立っていた地面は持ち上がり、両側の低いところには大道が通じ、種々雑多な人や獣が往来していた。前方から悲鳴が聞こえてきた。二人が駆け寄ると、一人の男が血刀を持ち、四五才ばかりの童子の胸を突き刺そうとしているところであった。
レーブとカルは男に飛び掛かったが、びくともしない。男は童子を突き殺してしまった。カルとレーブは男を非難したが、男は自分はお前たちの心の反映だと言い、生前には童子にひとしい青人草の生血を吸い、修羅の戦場に身を置いた罪がここに顕現しているのだと嘲笑った。
レーブは、幽界旅行がさびしくて道連れがほしくてカルと打ち解けたが、その実はこのような悪人はいつかは地獄道へ突き落さなければと思っていたことを懺悔した。カルは殺された童子は自分のレーブへの恐怖心だったと悟った。
二人はお互いに自分の心を開きあい、両手を合わせて天地に祈願した。しばらくして目を開けば、あたりは紅の花が咲き匂い、美しい蝶が舞い遊んでいる。両人は初めて心の迷いをさまし、天津祝詞を奏上しながら北へと仲良く手をつないで進んで行った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4012
愛善世界社版:158頁 八幡書店版:第7輯 476頁 修補版: 校定版:164頁 普及版:73頁 初版: ページ備考:
001秋風(あきかぜ)(しき)りに()きすさぶ
002玉山峠(たまやまたうげ)谷間(たにあひ)
003バラモン(けう)大棟梁(だいとうりやう)
004イソの(やかた)征討(せいたう)
005(のぼ)りしランチ将軍(しやうぐん)
006部下(ぶか)(つか)へしカル(つかさ)
007鬼熊別(おにくまわけ)(いへ)()
008(つか)へて名高(なだか)きレーブ()
009衡突(しようとつ)したる(その)結果(けつくわ)
010(たがひ)谷間(たにま)墜落(つゐらく)
011人事不省(じんじふせい)(おちい)りて
012いつとはなしに幽界(いうかい)
013枯野ケ原(かれのがはら)(あゆ)みつつ
014野中(のなか)(いはほ)(やす)(をり)
015カルの部下(ぶか)なる八人(はちにん)
016赤黒(あかくろ)二人(ふたり)(おに)(ども)
017()()てられて枯草(かれくさ)
018莽々(ばうばう)(しげ)野原(のはら)をば
019一途(いちづ)(かは)()して()
020レーブとカルの両人(りやうにん)
021(あを)(おに)()(いざな)はれ
022三途(せうづ)(かは)渡場(わたしば)
023(やうや)辿(たど)()()れば
024(はて)しも()らぬ(ひろ)(かは)
025(きよ)(なが)れは滔々(たうたう)
026(しろ)(あわ)をば()きながら
027大蛇(をろち)のうねる(ごと)くなり
028(かは)(ほとり)(ひと)()
029金光(こんくわう)きらめく玉楼(ぎよくろう)
030(まなこ)まばゆきばかりなり
031金門(かなど)をあけて青鬼(あをおに)
032(やかた)(なか)()(かく)
033二人(ふたり)(をとこ)をやうやうと
034ここ(まで)(さそ)(まゐ)りしぞ
035受取(うけと)りめされと()(こゑ)
036(きこ)えて(しば)()(うち)
037以前(いぜん)(おに)会釈(ゑしやく)して
038何処(どこ)ともなしに()えにける
039二人(ふたり)川辺(かはべ)(たたず)みて
040(おも)はぬ(うつ)しき(この)(いへ)
041土地(とち)似合(にあ)はぬ不思議(ふしぎ)さと
042(ささや)(をり)しも金鈴(きんれい)
043()るよな(きよ)女声(をんなごゑ)
044(はや)(きた)れと()びかくる
045不思議(ふしぎ)(まなこ)をみはりつつ
046(ちか)づき()れば鬼婆(おにばば)
047(おも)うた(こと)間違(まちがひ)
048(はな)(はぢ)らふ優姿(やさすがた)
049(とし)二八(にはち)二九(にく)からぬ
050神妙無比(しんめうむひ)光美人(くわうびじん)
051いとニコニコと(わら)()
052二人(ふたり)(おどろ)川端(かはばた)
053(をんな)(しば)掛合(かけあ)ひつ
054一間(ひとま)(おく)へと()りみれば
055(おく)一間(ひとま)草野原(くさのはら)
056三途(せうづ)(かは)滔々(たうたう)
057以前(いぜん)(ごと)()りゐたり
058水晶館(すゐしやうやかた)(みちび)かれ
059(かがみ)(ごと)()きとほる
060(やかた)(なか)出口(でぐち)をば
061(うしな)(たがひ)辟易(へきえき)
062千言万語(せんげんばんご)(なら)べつつ
063(すく)ひを()へば川端(かはばた)
064美人(びじん)二人(ふたり)()()つて
065(しこ)けき小屋(こや)(その)(まへ)
066()ちあらはれて()ひけらく
067今迄(いままで)(なんぢ)立入(たちい)りし
068家屋(かをく)娑婆(しやば)神界(しんかい)
069住居(すまゐ)姿(すがた)模型(もけい)ぞや
070(この)茅屋(あばらや)鬼婆(おにばば)
071(いや)永久(とこしへ)(しづ)まりて
072娑婆(しやば)にて(おも)(つみ)かさね
073十万億土(じふまんおくど)旅立(たびだち)
074(いた)亡者(まうじや)(かは)()
075脱衣婆(だついば)さまの関所(せきしよ)ぞと
076いふより(はや)(たちま)ちに
077(むすめ)(みにく)(ばば)となり
078()せからびたる()()べて
079二人(ふたり)()(くび)()(つか)
080(その)いやらしさ(つめ)たさに
081三途(せうづ)(かは)(なか)()
082()(をど)らして両人(りやうにん)
083ザンブとばかり()()んで
084抜手(ぬきて)()つて(むか)(きし)
085やうやう(わた)()きにけり。
086 二人(ふたり)着衣(ちやくい)(まま)087際限(さいげん)もなき(ひろ)(かは)を、088意外(いぐわい)にも易々(やすやす)無事(ぶじ)(わた)つたのを、089非常(ひじやう)大手柄(おほてがら)をしたよな気分(きぶん)になり、090爽快(さうくわい)(ねん)()へられず、091(かは)(おも)(なが)めて、092紺青(こんぜう)(なみ)見入(みい)つてゐた。
093レーブ『鬼婆(おにば)アさまに首筋(くびすぢ)(つか)まれ、094生命(いのち)カラガラ(この)(かは)飛込(とびこ)んだものの、095これだけ(ひろ)(かは)096到底(たうてい)無事(ぶじ)には(わた)れまいと真中(まんなか)(ほど)(おも)うたが、097(この)激流(げきりう)にも似合(にあ)はず、098(ゆみ)()(とほ)つたやうに、099一直線(いつちよくせん)易々(やすやす)と、100(しか)匆急(さうきふ)(わた)られたのは(なん)とも()れぬ不思議(ふしぎ)ぢやないか』
101カル『そこが現界(げんかい)神界(しんかい)との(ことな)(てん)だ。102ヤアあれを()よ。103何時(いつ)()にか(かは)はどつかへ沈没(ちんぼつ)して(しま)ひ、104(うる)はしい(はな)百花爛漫(ひやくくわらんまん)()(にほ)うてるぢやないか。105アヽ(なん)とも()れぬ芳香(はうかう)(はな)をついて()る。106あれ()よ。107(かは)ぢやないぞ。108エデンの花園(はなぞの)みたいだ』
109『ヤアほんにほんに、110(なん)とマア不思議(ふしぎ)(こと)ぢやないか。111ようよう白梅(しらうめ)(はな)(おほ)きな()(えだ)所々(ところどころ)()いてゐる。112バラの(はな)牡丹(ぼたん)(はな)113紫雲英(げんげ)白連華(しろれんげ)(その)(ほか)いろいろの草花(くさばな)(ところ)せき(まで)()いて()た。114ヤツパリ天国(てんごく)様子(やうす)(ちが)つたものだ。115モウこんな(ところ)()以上(いじやう)虚偽(きよぎ)ばかりの生活(せいくわつ)をつづけてゐる現界(げんかい)へは、116万劫末代(まんごふまつだい)(かへ)りたくないワイ。117なあカル(こう)118(まへ)(おれ)とは、119(すこ)しばかりの意地(いぢ)から、120忠義(ちうぎ)だとか義務(ぎむ)だとかいつて主人(しゆじん)(ため)(たがひ)(しのぎ)(けづ)り、121名誉(めいよ)(ほこ)らうと(おも)つて、122猟師(れふし)にケシをかけられた尨犬(むくいぬ)(やう)いが()ひ、123(うらみ)(なに)もない(もの)同士(どうし)が、124(いのち)()りやりをやつてゐたが、125竜虎(りうこ)(たがひ)(いきほひ)(まつた)からず、126とうとう玉山峠(たまやまたうげ)谷底(たにそこ)寂滅為楽(じやくめつゐらく)急転直下(きふてんちよくか)127神界(しんかい)旅立(たびだち)となつたのだ。128(これ)(おも)へば現界(げんかい)(やつ)(くらゐ)可哀相(かあいさう)(もの)はないのう』
129(しか)(なが)ら、130(まへ)(おれ)偽善(ぎぜん)()(くら)べをやつたおかげに、131(たがひ)娑婆(しやば)()(のが)れ、132こんな天国(てんごく)浄土(じやうど)()られるやうになつたのだから、133(なに)御都合(ごつがふ)になるとも(わか)らぬぢやないか。134昨日(きのふ)(てき)今日(けふ)味方(みかた)135(とら)(おほかみ)(うな)(ごゑ)極楽(ごくらく)花園(はなぞの)(わた)(はな)薫風(くんぷう)となりにけりだ。136モウ()うして神界(しんかい)()以上(いじやう)は、137名位寿福(めいゐじゆふく)必要(ひつえう)もなければ(たがひ)(あらそ)余地(よち)もない。138勝手(かつて)広大無辺(くわうだいむへん)花園(はなぞの)逍遥(せうえう)し、139自由自在(じいうじざい)()()()つて()ひ、140一切(いつさい)系累(けいるゐ)()てて単身(たんしん)天国(てんごく)(たび)をするのだから、141これ(くらゐ)愉快(ゆくわい)(こと)はないぢやないか。142(しか)(なが)善因善果(ぜんいんぜんぐわ)143悪因悪果(あくいんあくくわ)といふからは、144斯様(かやう)(ところ)()られる(やう)になるのは余程(よほど)現界(げんかい)(おい)(ぜん)(つく)したものでなければならぬ(はず)だ。145俺達(おれたち)過去(くわこ)追懐(つゐくわい)すれば、146(けつ)してかやうな(ところ)へやつて()られる道理(だうり)はない。147ヒヨツとしたら、148神様(かみさま)人違(ひとちがひ)(あそ)ばしたか、149感違(かんちがひ)をなさつたかも()れぬぞ。150モシそんな(こと)であつたなら、151俺達(おれたち)大変(たいへん)だ。152(この)(うる)はしき(たの)しき境遇(きやうぐう)(たちま)一変(いつぺん)して、153至醜(ししう)至苦(しく)地獄道(ぢごくだう)(おと)されるかも()れない。154(これ)(おも)へばヤツパリ執着心(しふちやくしん)(おこ)つて()る。155何程(なにほど)執着心(しふちやくしん)をとれと()つても、156(この)天国(てんごく)執着(しふちやく)(のこ)らいでたまらうか。157あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)158どうぞ神様(かみさま)159(ゆめ)でも(かま)ひませぬから、160どこ(まで)(この)境地(きやうち)において(くだ)さいますやうに』
161()(あは)して一生懸命(いつしやうけんめい)天地(てんち)(をが)んでゐる。162何時(いつ)()にか、163二人(ふたり)()つてゐた地面(ぢめん)二十間(にじつけん)ばかり持上(もちあが)り、164左右(さいう)(ひく)(ところ)坦々(たんたん)たる大道(だいだう)(つう)じて、165種々雑多(しゆじゆざつた)人物(じんぶつ)禽獣(きんじう)右往左往(うわうさわう)往来(わうらい)してゐるのが()えて()た。
166レーブ『ヤア(にはか)(また)様子(やうす)(かは)つて()たぞ。167オイ、168カル、169()をつけないと、170どんな(こと)になるか()れぬぞ、171チツとも油断(ゆだん)出来(でき)ないからな』
172 かく(はな)(をり)しも、173二三丁(にさんちやう)前方(ぜんぱう)(あた)つて(さる)をしめる(やう)悲鳴(ひめい)(きこ)えて()た。174二人(ふたり)(もの)をも()はず、175(その)(こゑ)(たづ)ねて何人(なんびと)悪魔(あくま)迫害(はくがい)され()るならむ、176(すく)うてやらねばなるまいと、177無言(むごん)のまま駆出(かけだ)した。178(ちか)よつて()れば、179白衣(びやくい)をダラリと着流(きなが)した(まる)ポチヤの青白(あをじろ)(かほ)をした(をとこ)が、180右手(めて)血刀(ちがたな)()ち、181左手(ゆんで)四五才(しごさい)ばかりの(うる)はしき童子(どうじ)首筋(くびすぢ)引掴(ひつつか)み、182(いま)胸先(むなさき)短刀(たんたう)()()さむとする間際(まぎは)であつた。
183 レーブ、184カルの二人(ふたり)(われ)(わす)れて、185(その)(をとこ)()びかかり、186血刀(ちがたな)()つたくり、187童子(どうじ)(たす)けむと、188力限(ちからかぎ)りにもがけども、189白衣(びやくい)(をとこ)()から()えた(いは)のやうに、190()せども()けどもビクとも(うご)かぬ。191みるみる(うち)(その)童子(どうじ)無残(むざん)にも()(ころ)して(しま)つた。
192レーブ『コリヤ悪魔(あくま)()193此処(ここ)何処(どこ)心得(こころえ)てゐる、194勿体(もつたい)なくもかかる(たふと)天国(てんごく)(おい)て、195左様(さやう)兇行(きやうかう)(えん)ずるといふ(こと)があるか』
196(をとこ)『アハヽヽヽ阿呆(あはう)らしいワイ。197悪魔(あくま)容物(いれもの)分際(ぶんざい)として、198(この)(はう)悪魔(あくま)()ばはりするとは(なん)(こと)だ。199糞虫(くそむし)(くそ)臭気(しうき)()らぬとは貴様(きさま)(こと)だ。200サアこれから(その)(はう)(ばん)だ、201そこ(うご)くな。202イヒヽヽヽ、203なんとマアいぢらしいものだなア、204いかさま野郎(やらう)のインチキ亡者(まうじや)()205身魂(みたま)因縁(いんねん)()つて、206(この)天来菩薩(てんらいぼさつ)(これ)から(なんぢ)制敗(せいばい)(いた)すから、207(よろこ)んで(この)(はう)(やいば)()けたがよからうぞ』
208レーブ『アハヽヽヽ天来(てんらい)菩薩(ぼさつ)とはソラ(なに)()かす、209(いやし)くも菩薩(ぼさつ)たる(もの)凶器(きやうき)をふりまはし、210天国(てんごく)街道(かいだう)(おい)殺生(せつしやう)をするといふ(こと)があるか。211()して(つみ)のない童子(どうじ)殺害(さつがい)するとは、212(もつ)ての(ほか)代物(しろもの)だ。213コリヤ悪魔(あくま)214イヤ天来(てんらい)215よつく()け、216(この)(はう)こそはバラモン(けう)にて英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)()(うた)はれた武術(ぶじゆつ)達人(たつじん)217カル、218レーブの両人(りやうにん)だ。219(なんぢ)(ごと)小童(こわつぱ)(ども)220仮令(たとへ)幾百万人(いくひやくまんにん)一団(いちだん)となつて武者(むしや)ぶりつくとも、221千引(ちびき)(いは)蚊軍(ぶんぐん)襲撃(しふげき)した(やう)なものだ。222サア(いま)(この)(はう)武勇(ぶゆう)(あら)はし、223(なんぢ)(つるぎ)をボツたくり、224寸断(すんだん)にしてくれむ、225覚悟(かくご)(いた)したがよからうぞ。226神界(しんかい)名残(なごり)神文(しんもん)でも(とな)へたがよからう』
227(をとこ)『ウツフヽヽヽうろたへ(もの)()が、228神界(しんかい)法則(はふそく)()つて、229(この)(はう)使命(しめい)(まつた)くする(ため)230(この)童子(どうじ)制敗(せいばい)してゐるのだ。231(なんぢ)はいつも現界(げんかい)でホザいて()るだらう、232(かみ)(おもて)(あら)はれて、233(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける、234(かみ)でなくて、235身魂(みたま)善悪(ぜんあく)(わか)るものか。236貴様(きさま)(たち)容喙(ようかい)すべき(かぎり)でない、237人間(にんげん)人間(にんげん)らしく(だま)つて自分(じぶん)()くべき(ところ)()けばいいのだ。238(わけ)()らずに(やす)つぽい慈悲心(じひしん)だとか、239義侠心(ぎけふしん)発揮(はつき)しようと(おも)つても、240そんな(こと)は、241(かがみ)(ごと)(あきら)かな神界(しんかい)(おい)ては通用(つうよう)(いた)さぬぞ』
242レーブ『仮令(たとへ)(この)童子(どうじ)如何(いか)なる(つみ)があらうとも、243神界(しんかい)(おい)ては何事(なにごと)善意(ぜんい)(かい)し、244神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)()(なほ)宣直(のりなほ)(たま)ふのが大慈(だいじ)大悲(だいひ)神様(かみさま)御恵(おめぐみ)だ。245(その)(はう)使命(しめい)だと(まを)すが、246娑婆(しやば)地獄(ぢごく)ならば()らぬこと、247天地(てんち)(かみ)分霊(ぶんれい)たる人間(にんげん)(みづか)()(くだ)して制敗(せいばい)するといふ道理(だうり)があるか』
248(をとこ)『エヘヽヽヽぬかしたりな ぬかしたりな、249それ(ほど)よく理屈(りくつ)(わか)つた(その)(はう)なれば、250(この)(はう)神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)()(なほ)宣直(のりなほ)さぬか。251娑婆(しやば)(すこ)しく(おぼ)えた武勇(ぶゆう)(はな)にかけ、252吾々(われわれ)悪魔(あくま)()ばはりになし、253(この)(はう)(かたな)掠奪(りやくだつ)して盗賊(たうぞく)(つみ)(かさ)ね、254(また)(この)(はう)寸断(すんだん)せむとは自家撞着(じかどうちやく)(はなは)だしいではないか。255そんな(こと)如何(どう)して神界(しんかい)(たび)出来(でき)るか。256テもさても(わか)らぬ(やつ)だな。257オツホヽヽヽ(おに)上前(うはまへ)貴様(きさま)はねようと(いた)すのか、258(なん)(おそ)ろしい()(つよ)代物(しろもの)だなア』
259カル『コリヤ悪魔(あくま)260ここは神界(しんかい)だぞ、261貴様(きさま)()世界(せかい)幽界(いうかい)だらう。262かやうな(ところ)へやつて()るといふ(こと)があるか、263(はや)立去(たちさ)れ。264グヅグヅ(いた)して()ると、265神界(しんかい)幽界(いうかい)国際(こくさい)談判(だんぱん)(はじ)まり、266(つひ)には談判(だんぱん)破裂(はれつ)して、267地獄(ぢごく)征伐(せいばつ)宣示(せんじ)渙発(くわんぱつ)されるやうになるかも()れぬぞ』
268(をとこ)『イツヒヽヽヽ(その)(はう)現界(げんかい)(おい)(ひと)つの善事(ぜんじ)もなさず、269まぐれ(あた)りに神界(しんかい)へふみ(まよ)うて()よつて、270一角(ひとかど)善人面(ぜんにんづら)をさらして、271ツベコベと理屈(りくつ)(さへづ)つてゐやがるが、272(この)悪魔(あくま)(この)血刀(ちがたな)も、273(みな)貴様(きさま)(こころ)反映(はんえい)だ。274貴様(きさま)八岐大蛇(やまたのをろち)悪魔(あくま)()いた大黒主(おほくろぬし)部下(ぶか)(つか)ふる鬼春別(おにはるわけ)乾児(こぶん)乾児(こぶん)(その)乾児(こぶん)たる小悪人(せうあくにん)()ながら、275三才(さんさい)童子(どうじ)(ひと)しき(あめ)(した)青人草(あをひとぐさ)生血(いきち)()ひ、276(すこ)しの武勇(ぶゆう)(はな)にかけ、277修羅(しゆら)戦場(せんぢやう)疾駆(しつく)した(その)(つみ)(いま)ここに顕現(けんげん)してゐるのだ。278(えう)するに(この)(はう)貴様(きさま)(つみ)()んだ悪魔(あくま)だから、279貴様(きさま)本当(ほんたう)神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)宣直(のりなほ)し、280(ほつ)ごん改心(かいしん)(いた)したならば、281かかる(たふと)神界(しんかい)大道(だいだう)如何(どう)して(おれ)(あら)はれる(こと)出来(でき)ようか。282(おれ)(ほろ)ぼしたくば、283貴様(きさま)(こころ)から改心(かいしん)したがよからう。284(ひと)悪魔(あくま)だと(おも)うて()れば、285みんな自分(じぶん)(こと)だぞ。286コリヤ、287レーブ、288(その)(はう)(いま)(さき)黄金姫(わうごんひめ)出会(であ)ひ、289三五教(あななひけう)教理(けうり)()いたであらう。290(ひと)(わる)いと(おも)うてゐると(みな)われの(こと)ぢやぞよ………と玉山峠(たまやまたうげ)岩蔭(いはかげ)()かされたぢやないか』
291レーブ『成程(なるほど)さうすると、292(まへ)(おれ)()はば副守護神(ふくしゆごじん)だなア。293(なん)(わる)副守(ふくしゆ)()やがつたものだなア』
294(をとこ)『アハヽヽヽ都合(つがふ)のよい勝手(かつて)(こと)をいふな。295副守護神(ふくしゆごじん)(どころ)か、296貴様(きさま)本守護神(ほんしゆごじん)断片(だんぺん)だ。297トコトン改心(かいしん)(いた)さぬと、298まだまだ(この)(さき)貴様(きさま)()んだ(おに)貴様(きさま)肉迫(にくはく)して、299どんな()()はすか()れぬぞ。300(おの)(かたな)(おの)首切(くびき)るやうなことが出来(しゆつたい)(いた)すから、301(はや)改心(かいしん)(いた)したがよからう。302レーブばかりでない、303カルも(その)(とほ)りだ、304(この)童子(どうじ)はヤツパリ、305カルの身魂(みたま)化身(けしん)だ。306どうだ(わか)つたか』
307レーブ『ヤア(わか)つた、308()うして二人(ふたり)(なか)よくして神界(しんかい)旅行(りよかう)をやつてゐるものの、309本当(ほんたう)のことを()へば、310おれも(さび)しくて仕方(しかた)がないから、311道伴(みちづ)れにしようと(おも)ひ、312表面(へうめん)こそ親切(しんせつ)打解(うちと)けたらしくしてゐるものの、313()(ところ)まで()つたならば斯様(かやう)悪人(あくにん)(この)(した)()ゆる地獄道(ぢごくだう)へつき(おと)してやらうと、314(こころ)(はし)(おも)うてゐたのだ。315ヤア(わる)かつた、316オイ、317カル(こう)318(おれ)本当(ほんたう)()まなかつた。319(こころ)(つみ)(ゆる)してくれ』
320カル『あゝさうか、321おれも(じつ)はお(まへ)打解(うちと)けて(ある)いて()るものの、322何時(いつ)(まへ)(おれ)素首(そつくび)引抜(ひきぬ)くか()れぬと(おも)うて、323戦々兢々(せんせんきやうきやう)(こころ)(そこ)でしてゐたのだ。324さうするとあの童子(どうじ)(おれ)恐怖心(きようふしん)(かたま)つて(あら)はれたのだな。325(まへ)がさう改心(かいしん)してくれる以上(いじやう)は、326最早(もはや)(まへ)(おそ)れはせぬ。327(たがひ)打解(うちと)けて(こころ)(そこ)から(なか)よくして、328(この)天国(てんごく)遊行(いうかう)しようぢやないか。329あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
330両手(りやうて)(あは)せ、331両人(りやうにん)()をとぢて天地(てんち)祈願(きぐわん)をこめた。332(しばら)くあつて、333()(ひら)きあたりを()れば、334(をとこ)(かげ)童子(どうじ)(かげ)もなく、335大地(だいち)(なが)れた血潮(ちしほ)()えしは(くれなゐ)(はな)336紛々(ふんぷん)()(にほ)ひ、337(しろ)()(むらさき)(あを)などの(うる)はしき(はね)(てふ)翩翻(へんぽん)(はな)()がけて()(あそ)んでゐる。338両人(りやうにん)(はじ)めて(こころ)(まよ)ひを()まし、339天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)しながら、340(きた)(きた)へと()をつなぎつつ、341いと(むつま)じげに(すす)()く。
342大正一一・一一・三 旧九・一五 松村真澄録)