霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第二〇章 入那(いるな)(もり)〔一一〇四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻 篇:第4篇 関風沼月 よみ:かんぷうしょうげつ
章:第20章 第40巻 よみ:いるなのもり 通し章番号:1104
口述日:1922(大正11)年11月05日(旧09月17日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
黄金姫、清照姫、レーブ、カルの一行は西へを進んで行き、相当広い川辺に着いた。傍らの森には古ぼけた相当に大きな祠が建っている。一行は祝詞を奏上し、この祠で休んだ。カルとレーブは祠の床下に入り、あたりを警戒しながらウトウトと眠ってしまった。
そこへアルマ、ハム、テクの三人が黄金姫母娘を召し捕りにやってきて祠を取り巻いている。カルとレーブは目をさまし、三人の話を聞いている。
アルマが祠の階段を上って中に入ろうとすると、レーブは床下から石でもって床をガンガンをたたいた。三人は驚いて階段から落ちてしまった。
三人はひっくり返ったはずみに、口論を始めた。そのうちにカルとレーブ両人は石で床下を叩いたので、三人の捕り手は驚いて腰を抜かしてしまった。
レーブとカルは床下から階段上に現れて宣伝歌を歌った。バラモン教の捕り手三人は体が動かず、両手を合わせて命乞いをしている。黄金姫母娘は目を覚まして祠から出てきた。黄金姫は、三人の鎮魂をカルとレーブに命じた。
レーブは捕り手たちを悪者と懲らそうとしたが、黄金姫に叱責された。黄金姫が赦すと宣言すると、三人の腰は立ち、逃げるように森から逃げ出した。黄金姫一行は夜が明けるのを待ってイルナの国の都を目指した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4020
愛善世界社版:263頁 八幡書店版:第7輯 514頁 修補版: 校定版:272頁 普及版:121頁 初版: ページ備考:
001 黄金姫(わうごんひめ)照国別(てるくにわけ)一行(いつかう)葵沼(あふひぬま)(ほとり)東西(とうざい)(わか)れ、002西(にし)西(にし)へと(すす)()く。003()(やうや)黄昏(たそが)れて、004百鳥(ももどり)(ねぐら)(もと)め、005彼方(あなた)此方(こなた)(もり)(かへ)()く、006(その)羽音(はおと)(さわ)がしさ。007一行(いつかう)四人(よにん)はハタとつき(あた)つた相当(さうたう)(ひろ)川辺(かはべ)()いた。008比較的(ひかくてき)(みづ)(すくな)くて徒渉(とせふ)するにも(あま)困難(こんなん)(かん)じない(やう)()えて()る。009一行(いつかう)薄暗(うすくら)がりに(すそ)をからげて(なが)れを(わた)り、010二三丁(にさんちやう)西(にし)(あた)るコンモリとした森蔭(もりかげ)目当(めあて)辿(たど)()いた。011(のち)()(つき)はまだ姿(すがた)(あら)はさぬ宵暗(よひやみ)である。012(もり)(なか)には(ふる)ぼけた相当(さうたう)(おほ)きい(ほこら)()つてゐた。
013黄金(わうごん)(あき)()()(やす)く、014(あま)(あし)草臥(くたび)れない(うち)(また)(やす)まねばならぬ(やう)になりました。015(さいは)(この)(もり)(ほこら)(なか)一休(ひとやす)(いた)しませう』
016清照(きよてる)『お(かあ)アさま、017今晩(こんばん)斯様(かやう)(ところ)(やす)まずに、018やがて(つき)()ますから、019それまでここで月待(つきまち)をして(すす)むことにしませう。020夜半(よなか)(ごろ)(まで)(ある)けば、021余程(よほど)里程(みちのり)がはかどりませうから………』
022黄金(わうごん)(なが)道中(だうちう)のことだから、023()()けたら(ある)き、024何程(なにほど)(らく)でも()()れたら(とま)つてゆくことにしませう』
025清照(きよてる)『それでも(なん)だか()がせいてなりませぬ。026ハルナの(みやこ)にましますお(とう)さまの()(うへ)(なに)変事(へんじ)でも(おこ)つてゐるやうに(おも)はれて、027()()でなりませぬ』
028黄金(わうごん)何程(なにほど)(あせ)つた(ところ)(とほ)里程(みちのり)029何事(なにごと)神様(かみさま)にお(まか)せして、030ボツボツ()きませう。031草臥(くたび)れて(みち)(たふ)れるやうな(こと)があつては、032悪神(あくがみ)跋扈(ばつこ)する()(なか)033(こま)りますから』
034レーブ『お二人(ふたり)さま、035ここで今晩(こんばん)御一宿(ごいつしゆく)なさつたらどうです。036吾々(われわれ)両人(りやうにん)(たがひ)交代(かうたい)不寝番(ねずばん)(いた)しますから………』
037黄金(わうごん)『それなら何神様(なにがみさま)(ほこら)()らぬが()天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、038(この)(みや)拝借(はいしやく)することに(いた)しませう。039清照姫(きよてるひめ)………さうが()いぢやないか』
040清照(きよてる)『お(とう)さまの()(うへ)(こと)は、041ここでトツクリ神様(かみさま)御願(おねが)(いた)しまして、042(やす)むことに(いた)しませう』
043 黄金姫(わうごんひめ)(かる)くうなづきながら、044(かた)(ごと)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、045(ほこら)(なか)(すす)()り、046(みの)()いて母娘(おやこ)(まくら)(なら)(しん)()いた。047レーブ、048カルの両人(りやうにん)(ほこら)床下(ゆかした)(よこた)はりつつあつたが、049何時(いつ)()にか、050ウトウトと(ねむ)つて(しま)つた。
051 ここへスタスタとやつて()二三人(にさんにん)(をとこ)がある、052足音(あしおと)(しの)ばせながら(ほこら)(まへ)立寄(たちよ)り、
053アルマ『オイ、054テク、055(なん)でもここらあたりの(ほこら)(なか)らしいぞ』
056テク『オイ、057アルマ、058こんな(とこ)(なに)()るものかい』
059アルマ『それでも(なん)だか(めう)(ひびき)(きこ)えて()るぢやないか、060メツタに(ねずみ)(いびき)ぢやあるまいぞ。061イルナの刹帝利(せつていり)さまから()いたには、062キツと黄金姫(わうごんひめ)一行(いつかう)此処(ここ)(とほ)るに(ちが)ひないと仰有(おつしや)つた。063マアマア(だま)つて様子(やうす)(かんが)へたら如何(どう)だ。064彼奴(あいつ)さへ(つか)まへたなら、065結構(けつこう)御褒美(ごほうび)(いただ)けるのだからなア。066(ちひ)さい(くに)(ひと)つも(もら)つてハムとなつて威張(ゐば)らうと(まま)だよ』
067テク『(しか)(なが)黄金姫(わうごんひめ)といふ(やつ)中々(なかなか)豪傑(がうけつ)で、068俺達(おれたち)()には()はないぞ。069(ただ)所在(ありか)さへ(わか)れば(だま)つて報告(はうこく)し、070(つよ)(やつ)(つか)まへさせばいいのだ。071それが余程(よほど)利口(りこう)行方(やりかた)ぢやからなア、072おい、073テム、074貴様(きさま)はどつちにするか』
075テム『(おれ)はどつちかといへば中立(ちうりつ)だ。076(しか)(なが)(おな)じことなら生擒(いけどり)にしたいものだ。077オイオイどうやら本真物(ほんまもの)人間(にんげん)(いびき)がして()だしたぞ』
078 レーブ、079カルの両人(りやうにん)床下(ゆかした)から三人(さんにん)(はなし)(いき)をこらして()いてゐた。080三人(さんにん)床下(ゆかした)二人(ふたり)がひそんでゐるとは(ゆめ)にも()らず、081ドシドシと階段(かいだん)(のぼ)り、
082アルマ『ヤア(この)縁側(えんがは)数百年来(すうひやくねんらい)風雨(ふうう)侵害(しんがい)()つて、083余程(よほど)老朽(らうきう)してると()えるワイ。084()をつけぬと(そこ)がぬけて、085(すね)でもかすつたら、086(また)(この)(あひだ)(やう)吠面(ほえづら)かわいて、087()うてくれの(なん)のとダダをこねねばならぬやうになるぞ。088()をつけたり ()をつけたり』
089 レーブは床下(ゆかした)から、090そこらの(いし)(ひろ)つて、091古板(ふるいた)(した)からガンガンと(ちから)をこめてなぐり()てた。092三人(さんにん)(この)(こゑ)(おどろ)き、093飛上(とびあ)がつた途端(とたん)に、094階段(かいだん)から真逆様(まつさかさま)(ほこら)(まへ)転落(てんらく)し、
095『アイタヽヽ、096ウンウン』
097(うな)()した。
098テク『オイ、099貴様等(きさまら)チトしつかりせぬか。100あれ(くらゐ)(こゑ)にビツクリしやがつて、101挙措(きよそ)(その)()(しつ)し、102こんな(ところ)からヒツクリ(かへ)るといふことがあるものか。103そんな臆病(おくびやう)なことで如何(どう)して吾々(われわれ)御用(ごよう)(つと)まると(おも)ふか』
104アルマ『テク、105(まへ)もヤツパリ()ちたぢやないか。106(ひと)()むること(きふ)にして、107(おのれ)失敗(しつぱい)口角(こうかく)につかねて()らぬ(かほ)半兵衛(はんべゑ)とはチツと(むし)がよすぎるぢやないか』
108テク『貴様等(きさまら)二人(ふたり)(ころ)げやがつたものだから、109(おれ)一緒(いつしよ)について(おと)されたのだ。110いはば(おれ)被害者(ひがいしや)だ。111貴様等(きさまら)両人(りやうにん)証拠(しようこ)充分(じうぶん)なる加害者(かがいしや)だから、112刹帝利様(せつていりさま)報告(はうこく)して相当(さうたう)処分(しよぶん)をやつて(もら)ふから、113さう(おも)へ』
114アルマ『アハヽヽヽ旃陀羅(せんだら)成上(なりあ)がり()115エラさうに(ぬか)すない。116(おれ)はかう()えても、117チヤキチヤキの首陀(しゆだ)家柄(いへがら)だ。118貴様等(きさまら)とは人種(じんしゆ)(ちが)ふのだからなア』
119テク『コリヤ(おれ)旃陀羅(せんだら)なんて、120無礼(ぶれい)なことを()ふな、121勿体(もつたい)なくもバラモン(ぞく)だぞ』
122アルマ『バラモンが()いて(あき)れるワイ、123のうテム、124此奴(こいつ)今日(けふ)(みち)真中(まんなか)旃陀羅(せんだら)()ひやがつて、125心安(こころやす)さうに(なん)だか(ささや)いてゐたぢやないか。126彼奴(あいつ)(ちか)よつて(もの)をいふ(やつ)矢張(やつぱり)(その)系統(けいとう)でなければ、127(けが)らはしくて()()(もの)はないからのう』
128テク『コリヤ両人(りやうにん)129上官(じやうくわん)(たい)して(なん)といふ無礼(ぶれい)なこと(まを)す。130吾々(われわれ)捕手(とりて)役人(やくにん)旃陀羅(せんだら)であらうが首陀(しゆだ)であらうが、131一々(いちいち)出会(であ)(やつ)(つら)(あらた)めねばならず、132(もの)()はして()ねば人間(にんげん)程度(ていど)(わか)らないから、133仕方(しかた)なしに職務(しよくむ)(おも)んじて(もの)()つたのだ。134そんな冷淡(れいたん)なことで(この)役目(やくめ)(つと)まるか、135万々一(まんまんいち)蜈蚣姫(むかでひめ)(この)捜索(そうさく)(きび)しいのを(さと)つて、136(ひと)のいやがる旃陀羅(せんだら)()けて(とほ)るかも()れない。137さうだから、138(この)(はう)職務(しよくむ)忠実(ちうじつ)(つと)めてゐたのだ。139馬鹿野郎(ばかやらう)だなア。140左様(さやう)不心得(ふこころえ)(やつ)只今(ただいま)(かぎ)(ひま)をくれてやるから、141さう(おも)へ』
142テム『オイ大将(たいしやう)143(くち)ばかりエラさうに()つてるが、144(まへ)(こし)()つのかい』
145テク『貴様(きさま)()つてゐる(とほ)り、146(こし)()ちやこそ此処(ここ)までやつて()たのぢやないかい。147(わけ)(わか)らぬことを(ぬか)すものぢやないワイ。148サア只今(ただいま)(かぎ)(ひま)をくれる、149どつこへなりと、150天下(てんか)(はな)()ひだ。151うせたがよからうぞ』
152アルマ『どこへ()けと()つても、153俺達(おれたち)両人(りやうにん)(とも)ビツクリ(ごし)()けたのだから、154(しばら)免職(めんしよく)(だけ)保留(ほりう)してゐて()れ。155(おな)免職(めんしよく)なれば、156依願(いぐわん)免職(めんしよく)といふ形式(けいしき)でやつて(もら)はねば、157今後(こんご)就職口(しうしよくぐち)()いて迷惑(めいわく)だから、158貴様(きさま)旃陀羅(せんだら)()つた(くらゐ)で、159(この)結構(けつこう)……でもない(しよく)(めん)ぜられて(たま)るものかい。160のうテム(こう)
161テク『武士(ぶし)言葉(ことば)二言(にごん)はないぞ。162いひ()したら(あと)へは()かぬテクさまの気性(きしやう)()つてゐるだらう』
163アルマ『ヘン、164テクテクと(なん)テクせの(わる)い、165泥棒(どろばう)(あが)()が、166モウ()うなつては、167(やぶ)れかぶれだ。168オイ、169テム(こう)170貴様(きさま)はテム(こう)だから、171テクの(やつ)がかぶりついて()たら、172手向(てむか)(やく)となつて格闘(かくとう)するのだ。173万々一(まんまんいち)形勢(けいせい)(あやふ)しと()たら、174(おれ)助太刀(すけだち)をする、175(しか)しモウ(すこ)()たぬと駄目(だめ)だ。176まだ()けた(こし)(もと)(さや)へ、177(すこ)しばかり(をさ)まつてゐないからのう。178(しか)しテクの(やつ)もきつく(こし)()ちやがつたに(ちがひ)ない、179あの(こゑ)(いろ)()い、180大分(だいぶ)(いた)さうだぞ。181大体(だいたい)旃陀羅(せんだら)がこんな(たふと)御神前(ごしんぜん)土足(どそく)のまま(のぼ)るものだから、182神罰(しんばつ)(あた)り、183俺達(おれたち)(まで)がマキ()ひに()うたのだ』
184 かく(はな)(とき)しも、185(また)もや床下(ゆかした)から一層(いつそう)(おほ)きな(あや)しい(こゑ)(きこ)えてきた。186(さき)のはレーブ一人(ひとり)(いし)床板(ゆかいた)をコツいたのであつたが、187今度(こんど)両人(りやうにん)(ちから)一杯(いつぱい)(いし)にて床下(ゆかした)(たた)いたのだから、188四五層倍(しごそうばい)響音(きやうおん)(きこ)えて()た。189三人(さんにん)はキヤツと悲鳴(ひめい)をあげ、190()げようとして()ばかりもがいてゐるが、191チツとも(こし)()たない。192さうかうしてゐる(うち)に、193(つき)容赦(ようしや)なく下界(げかい)()らし、194(もり)隙間(すきま)から(つよ)(ひかり)がさして、195三人(さんにん)(からだ)()らした。
196 レーブ、197カルは床下(ゆかした)よりニタリと(わら)ひながら()(いだ)し、198階段(かいだん)(うへ)にツカツカと(のぼ)り、199あたりに(ひび)大音声(だいおんぜう)にて(うた)()した。
200レーブ『(かみ)(おもて)(あら)はれて
201(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
202刹帝利(せつていり)浄行(じやうぎやう)畏舎(びしや)首陀(しゆだ)
203旃陀羅族(せんだらぞく)素性(すじやう)をば
204立別(たてわ)(たま)(とき)()
205(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
206(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
207(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
208直日(なほひ)見直(みなほ)宣直(のりなほ)
209大黒主(おほくろぬし)()らずして
210(ただ)惟神(かむながら)刹帝利(せつていり)
211(なが)れのはてとあやまりつ
212旃陀羅族(せんだらぞく)のテク(こう)
213(かみ)(つかさ)供人(ともびと)
214使(つか)()たりし可笑(をか)しさよ
215かかる矛盾(むじゆん)()るにつけ
216バラモン(けう)神司(かむづかさ)
217大黒主(おほくろぬし)盲神(めくらがみ)
218ぢやといふ(こと)はハツキリと
219(いま)(くま)なく()れわたる
220三五(さんご)(つき)御光(みひかり)
221()らされ(くるし)三人連(みたりづれ)
222(なか)にも(いや)しきテク(こう)
223天地(てんち)(あひだ)(おそ)れずに
224勿体(もつたい)なくもバラモンの
225鬼熊別(おにくまわけ)(おく)さまや
226小糸(こいと)(ぢやう)をば(うま)()
227(とも)(つか)へしさへあるに
228冥加(みやうが)()らずのテク(こう)
229(あや)しき(まなこ)(ひか)らして
230(こころ)(なに)(たく)むてふ
231容子(ようす)(いろ)()えければ
232(かみ)(ひと)しき黄金(わうごん)
233(ひめ)(みこと)清照(きよてる)
234(ひめ)(つかさ)はそれとなく
235玉山峠(たまやまたうげ)(ふもと)にて
236レーブにかこつけ(ひま)やると
237()はれた(とき)天眼通(てんがんつう)
238これぞ(まこと)生神(いきがみ)
239(うやま)(した)(あと)()
240いろいろ雑多(ざつた)苦労(くらう)して
241ここ(まで)(したが)(きた)りしぞ
242(この)床下(ゆかした)にひそみ()
243汝等(なれら)三人(みたり)(ささや)きを
244(のこ)らず()いたレーブ、カル
245最早(もはや)(かな)はぬ百年目(ひやくねんめ)
246(こし)()けたを(さいは)ひに
247弱目(よわめ)をみかけて俺達(おれたち)
248つけ()むのではなけれども
249(みみ)をさらへてよつく()
250(なんぢ)鬼熊別(おにくまわけ)(かみ)
251下僕(しもべ)とならむといろいろに
252()をかへ(しな)()へながら
253(たの)()んだが明察(めいさつ)
254ほまれも(たか)神司(かむづかさ)
255鬼熊別(おにくまわけ)(たちま)ちに
256看破(かんぱ)なされて御首(おんくび)
257左右(ひだりみぎ)りとふり(たま)
258(をとこ)()げてベソをかき
259大黒主(おほくろぬし)下僕等(しもべら)
260うまく()()(やうや)くに
261下僕(しもべ)(かず)(くは)へられ
262よからぬ(こと)のみ(おこな)ひつ
263(また)もや此処(ここ)(あら)はれて
264イルナの(くに)刹帝利(せつていり)
265(こころ)(あは)奥様(おくさま)
266嬢様(ぢやうさま)たちを(とら)へむと
267(むか)(きた)るぞ可笑(をか)しけれ
268(いのち)()らずの馬鹿者(ばかもの)
269(こころ)(おに)()められて
270チヨツとの(おと)(きも)ひやし
271階段上(かいだんじやう)から転落(てんらく)
272(こし)(いた)めて吠面(ほえづら)
273かわき(くるし)(あは)れさよ
274あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
275御霊(みたま)(さち)はひましまして
276(あく)(かへ)つた旃陀羅(せんだら)
277テクの(こころ)立直(たてなほ)
278仁慈(じんじ)無限(むげん)三五(あななひ)
279(かみ)(をしへ)逸早(いちはや)
280(すす)ませ(たま)天地(あめつち)
281(たふと)(かみ)御前(おんまへ)
282(つつし)(いやま)()ぎまつる
283朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
284(つき)()つとも()くるとも
285仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
286摂取不捨(せつしゆふしや)御誓(おんちか)
287人間界(にんげんかい)(まじ)こりて
288(いや)しき身分(みぶん)とさげしまれ
289排斥(はいせき)されし旃陀羅(せんだら)
290(その)(みなもと)(たづ)ぬれば
291天地(てんち)(かみ)御分霊(ごぶんれい)
292御分体(ごぶんたい)ぞと()くからは
293一切平等(いつさいびやうどう)(かみ)御子(みこ)
294大慈(だいじ)大悲(だいひ)御心(みこころ)
295見直(みなほ)しましてテクの(つみ)
296(ゆる)させ(たま)へと()ぎまつる』
297 カルはレーブの(あと)について(また)(うた)ふ。
298『おつたまげたか、たまげたか
299テクにアルマにテムの(やつ)
300(てん)(くち)あり(かべ)(みみ)
301汝等(なんぢら)三人(みたり)(わる)だくみ
302(のこ)らず()いた(ゆか)(した)
303コリヤ面白(おもしろ)面白(おもしろ)
304(ひと)つおどして胆玉(きもたま)
305(ため)してやらうとレーブさま
306カルの二人(ふたり)(ふた)つの()
307見合(みあは)しながら床下(ゆかした)
308(いし)(ひろ)ひて古板(ふるいた)
309ドヽヽヽドンと打叩(うちたた)
310おどしてみれば面白(おもしろ)
311汝等(なんぢら)三人(みたり)(きも)(つぶ)
312道路神(だうろしん)にさいなまれ
313つまみ()された(その)(ごと)
314階下(かいか)にドーツと打倒(うちたふ)
315(こし)をぬかしてウンウンと
316吠面(ほえづら)かわき愚痴(ぐち)(なら)
317旃陀羅族(せんだらぞく)刹帝利(せつていり)
318味方(みかた)同志(どうし)内乱(ないらん)
319(おこ)()るこそ馬鹿(ばか)らしい
320あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
321(かみ)神罰(しんばつ)(たち)どころ
322(あく)(たく)みの(ねん)()
323大黒主(おほくろぬし)(つか)へたる
324おれは名高(なだか)きカルさまよ
325(いま)床下(ゆかした)()()れば
326アルマやテムの両人(りやうにん)
327只今(ただいま)(かぎ)免職(めんしよく)
328エラさうにほざいて()つただろ
329おれは貴様(きさま)(くら)ぶれば
330十三四段(じふさんしだん)上役(うはやく)
331(この)カルさまが神様(かみさま)
332(かは)つてテクを免職(めんしよく)
333(いき)()とめて()(くに)
334(そこ)(くに)なる地獄道(ぢごくだう)
335派遣(はけん)してやるテクの(やつ)
336双手(もろて)(あは)感謝(かんしや)せよ
337大慈(だいじ)大悲(だいひ)のカルさまが
338(まへ)()きな(そこ)(くに)
339(あを)(あか)(くろ)(おに)(ども)
340手具脛(てぐすね)ひいて()つてゐる
341焦熱地獄(せうねつぢごく)のドン(ぞこ)
342紹介状(せうかいじやう)をつけるから
343安心(あんしん)(いた)して()くがよい
344アハヽヽハツハ オホヽヽヽ
345(まこと)(まこと)気味(きみ)がよい
346それに引替(ひきか)へテムアルマ
347二人(ふたり)(やつ)はカルさまが
348抜擢(ばつてき)(いた)して(いま)よりは
349改心(かいしん)次第(しだい)三五(あななひ)
350(つかさ)のお(とも)()けてやろ
351サア(うれ)しいか(うれ)しいか
352二人(ふたり)(やつ)らよ返答(へんたふ)せよ
353返答(へんたふ)次第(しだい)(てん)となり
354(あるひ)地獄(ぢごく)早変(はやがは)
355極楽(ごくらく)地獄(ぢごく)境目(さかひめ)ぢや
356あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
357(ほこら)(なか)にひそみます
358黄金姫(わうごんひめ)清照(きよてる)
359(ひめ)(つかさ)御前(おんまへ)
360カルが真心(まごころ)(ささ)げつつ
361只今(ただいま)仲裁(ちうさい)(つかまつ)
362あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
363(かな)はぬならば逸早(いちはや)
364両手(りやうて)(あは)(しり)をふり
365(かしら)()げつ()()ひに
366(さん)べん(まは)つてワンワンと
367()えて改心(かいしん)したと()
368証拠(しようこ)(はや)()せてくれ
369それをばシホにカルさまが
370(かみ)(つかさ)取持(とりも)つて
371(まへ)(ゆる)結構(けつこう)
372これから役目(やくめ)にする(ほど)
373(のぼ)身魂(みたま)(また)(くだ)
374身魂(みたま)とさばく(かみ)(みち)
375テク(こう)(くだ)両人(りやうにん)
376天国(てんごく)浄土(じやうど)(のぼ)るよな
377(こころ)(ひと)つの持様(もちやう)
378ハツキリ区別(けじめ)がつく(ほど)
379メソメソ()えずに(しつ)かりと
380(はや)改心(かいしん)した(うへ)
381感謝(かんしや)(まこと)(あら)はせよ
382あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
383御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
384 三人(さんにん)(からだ)身動(みうご)きもならぬままに、385両手(りやうて)(あは)せ、
386『お(たす)け お(たす)け』
387(さけ)んでゐる。388(この)(さわ)ぎに黄金姫(わうごんひめ)389清照姫(きよてるひめ)()()まし、390何事(なにごと)ならむと(ほこら)()(ひら)いて(そと)(あら)はれ()れば、391三人(さんにん)(をとこ)(この)惨状(さんじやう)
392黄金(わうごん)『コレ、393レーブ、394カル両人(りやうにん)395ここにどうやら三人(さんにん)(をとこ)(たふ)れてゐるやうだ。396(はや)神様(かみさま)にお(わび)をしてやつて(くだ)さい。397()鎮魂(ちんこん)(ほどこ)して、398(こし)()たしてやらねばなるまいぞや』
399レーブ『ハイ、400(かしこ)まりました。401(しか)(なが)此奴(こいつ)はテームス(たうげ)(のぼ)(とき)402清照姫(きよてるひめ)(さま)(うま)(くち)()つて、403玉山峠(たまやまたうげ)(ふもと)(まで)(おく)つて()たテクといふ悪者(わるもの)(ござ)います。404(ほか)二人(ふたり)(たす)けてやつても(よろ)しいが、405此奴(こいつ)(だけ)はみせしめの(ため)(この)(まま)()ておき、406(あたま)から(くそ)でもひつかけてやつた(はう)将来(しやうらい)(ため)かも()れませぬぜ』
407テク『モシモシ、408レーブさま、409そんな殺生(せつしやう)なことをいはずに、410わしも今日(けふ)から改心(かいしん)しますから、411どうぞ(たす)けて(くだ)さいな』
412レーブ『(なん)()つても(この)レーブさまとしては(ゆる)すことが出来(でき)ないワ。413今日(けふ)こそ(おも)存分(ぞんぶん)貴様(きさま)をいぢめてやるのだ。414貴様(きさま)もチツと小手(こて)()いてる代物(しろもの)だから、415こんな(とき)仕返(しかへ)しをしてやらぬと、416千載一遇(せんざいいちぐう)機会(きくわい)(いつ)するといふものだ。417いつやら(おれ)(あたま)をなぐりやがつて、418(その)(ため)(おれ)治療(ちれう)二週間(にしうかん)(えう)する(きず)()うたのだ。419それでも(なが)いものには()かれ主義(しゆぎ)で、420今日(けふ)(まで)辛抱(しんばう)して()たのだから、421今日(けふ)仇討(かたきう)ちの時節(じせつ)到来(たうらい)したのだ。422エヘヽヽヽ、423(かみ)(かたき)をうつてやるぞよと仰有(おつしや)るのはここの(こと)だ、424こりやテク、425観念(くわんねん)(いた)せ』
426黄金(わうごん)『コレ、427レーブ、428(まへ)無抵抗主義(むていかうしゆぎ)忍耐(にんたい)慈悲(じひ)との三五教(あななひけう)(はい)つたのだから、429(いま)までの(うら)みはサラリと(かは)(なが)(ゆる)してやりなさい』
430奥様(おくさま)御言葉(おことば)なれど此奴(こいつ)(かぎ)つて(ゆる)すことは出来(でき)ませぬ。431(うら)骨髄(こつずゐ)(とほ)してる不倶戴天(ふぐたいてん)仇敵(きうてき)ですから、432どうぞ(かたき)()たして(くだ)さいませ』
433『お(まへ)神様(かみさま)御言葉(おことば)(わす)れたのかな』
434『イエイエどうして、435(わす)れてなりますものか、436片時(かたとき)()も、437(たふと)三五(あななひ)(をしへ)忘却(ばうきやく)(いた)しませぬ』
438『それなら何故(なぜ)(かたき)(ゆる)してやらないのか、439チツとお(まへ)信仰(しんかう)と、440矛盾(むじゆん)しては()ないかなア』
441矛盾(むじゆん)撞着(どうちやく)()りませぬが、442此奴(こいつ)ばかりは(ゆる)(こと)出来(でき)ませぬ。443普通(ふつう)人間(にんげん)(なぐ)られたのなら辛抱(しんばう)(いた)しますが、444こんな旃陀羅(せんだら)にやられたと(おも)へば残念(ざんねん)(たま)りませぬ。445こんな(やつ)(なぐ)られて(その)(まま)にしておいては出世(しゆつせ)時節(じせつ)がありませぬから、446どうぞ(あたま)(ひと)つカチ()らせて(くだ)さいませ。447(なん)仰有(おつしや)つてもこれ(だけ)(おも)ひとまる(わけ)には(まゐ)りませぬ』
448手頃(てごろ)(いし)(ひろ)ひ、449そこに(たふ)れて()るテクの(あたま)打割(うちわ)らうとするのを、450黄金姫(わうごんひめ)大喝(たいかつ)一声(いつせい)
451『レーブ、452(しばら)()てツ。453これ(ほど)(こと)()けて(まを)すのに、454女宣伝使(をんなせんでんし)(あなど)つて、455(わが)(げん)(もち)ひないのか。456只今(ただいま)(かぎ)免職(めんしよく)(いた)すから、457さう(おも)うたがよからうぞや』
458 レーブは(あたま)()きながら、
459『あゝ(また)免職(めんしよく)伝染(でんせん)したと()えますわい。460エヽ仕方(しかた)がない、461それなら(おく)さまの御命令(ごめいれい)(したが)ひませう』
462テク『コレ、463レーブ、464さうしたがよいぞや。465(ひと)免職(めんしよく)させると、466(また)自分(じぶん)免職(めんしよく)になるぞや』
467レーブ『エヽ貴様(きさま)まで(ひと)馬鹿(ばか)にするない、468アタ忌々(いまいま)しい』
469黄金(わうごん)『オホヽヽヽ』
470清照(きよてる)『ウフヽヽヽあのマア、471レーブさまの悄気(せうげ)(かほ)わいのう』
472カル『エツヘヽヽヽ、473コリヤ面白(おもしろ)面白(おもしろ)い』
474黄金(わうごん)三人(さんにん)(もの)(ども)475黄金姫(わうごんひめ)(ゆる)すから、476何処(どこ)へなと勝手(かつて)()つたがよからう。477今度(こんど)(けつ)してこんな(わり)のわるい商売(しやうばい)(いた)(こと)はなりませぬぞ』
478三人(さんにん)『ハイ有難(ありがた)う』
479涙声(なみだごゑ)感謝(かんしや)してゐる。480不思議(ふしぎ)三人(さんにん)(こし)(たちま)(もと)(ふく)し、481(よろこ)(いさ)んで匆々(さうさう)(この)(もり)(あと)()ぐるが(ごと)姿(すがた)(かく)した。
482 黄金姫(わうごんひめ)一行(いつかう)()()くるを()ち、483悠々(いういう)として(この)()立出(たちい)で、484イルナの(くに)(みやこ)()して(すす)()く。
485大正一一・一一・五 旧九・一七 松村真澄録)