霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第八章 乱舌(らんぜつ)〔一一三三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻 篇:第2篇 恋海慕湖 よみ:れんかいぼこ
章:第8章 第42巻 よみ:らんぜつ 通し章番号:1133
口述日:1922(大正11)年11月15日(旧09月27日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年7月1日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
セーリス姫は、カールチンの王位簒奪計画を防ぐためとは言いながら、心にそぐわないユーフテスに色目を使って仲を偽ってきたことに心を痛め、二弦琴を弾きながら歌っている。
そこへユーフテスがそっとやってきた。ユーフテスは、清照姫の計略が当たり、カールチンが大黒主の援軍を断って返したことを報告にやってきた。
セーリス姫は自分の心を押さえてあくまでユーフテスに気がある風を装っている。ユーフテスは、これまで自分はセーリス姫にだまされているのではないかという疑いの心があったが、セーリス姫の真心がわかったと言って感動を露わにした。
ユーフテスが有頂天になっていると、扉の外からセーリス姫が呼びかけた。ユーフテスは、自分が今ここでセーリス姫と話をしているのに、不審を抱いた。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4208
愛善世界社版:106頁 八幡書店版:第7輯 680頁 修補版: 校定版:110頁 普及版:42頁 初版: ページ備考:
001(こがらし)(すさ)(あき)(そら)
002(つま)()鹿(しか)()(こゑ)
003(ほそ)りて(はや)くも(ふゆ)(そら)
004(つめ)たき(かぜ)(まど)()
005(にしき)(かざ)りし()(やま)
006()()(きぬ)()ぎすてて
007(やうや)(はだか)となりにける
008(とき)しもあれやユーフテス
009わが()(おも)恋衣(こひぎぬ)
010いよいよ(あつ)(かさ)なりて
011百度(ひやくど)以上(いじやう)(のぼ)(かた)
012(ふゆ)(なつ)とを間違(まちが)へて
013(たけ)(くる)ふぞ浅猿(あさま)しき
014(まこと)(みち)にありながら
015右守司(うもりつかさ)(くら)ぶれば
016(やや)正直(しやうぢき)(をとこ)をば
017(いつは)(あやつ)(わが)(こころ)
018げに(はづ)かしく(おも)へども
019セーラン(わう)(くに)(ため)
020仮令(たとへ)地獄(ぢごく)()つるとも
021(だま)さにやならぬ(この)場合(ばあひ)
022天地(てんち)(かみ)もセーリスが
023(こころ)(うべな)(あそ)ばして
024曲行(まがおこな)ひを惟神(かむながら)
025直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
026()(なほ)されて(この)(たび)
027イルナの(くに)大変(たいへん)
028未発(みはつ)(ふせ)がせ(たま)へかし
029(だま)され()つたユーフテス
030さぞ今頃(いまごろ)(いさ)()
031(した)をかみ()(あご)をうち
032(くる)しい()をも打忘(うちわす)
033(わが)()(こと)一心(いつしん)
034(おも)ひこらしてスタスタと
035家路(いへぢ)()でて大道(だいだう)
036(いそ)ぎて(すす)(きた)るらむ
037(また)もや大道(だいだう)顛倒(てんたふ)
038(おほ)きな怪我(けが)のなき(やう)
039梵天(ぼんてん)帝釈(たいしやく)自在天(じざいてん)
040(あつ)(まも)らせ(たま)へかし
041ユーフもヤツパリ天地(あめつち)
042(かみ)御水火(みいき)(うま)れたる
043(かみ)御子(みこ)なり(かみ)(みや)
044(わらは)(にく)しと(おも)はねど
045セーラン(わう)(おん)(ため)
046忠義(ちうぎ)犠牲(ぎせい)心得(こころえ)
047(こころ)にもなき(いつは)りを
048図々(づうづう)しくも白昼(はくちう)
049振舞(ふるま)(きた)るぞ(かな)しけれ
050天地(てんち)(かみ)百神(ももがみ)
051セーリス(ひめ)罪業(ざいごふ)
052(とが)(たま)はず(すみや)かに
053(ゆる)させ(たま)惟神(かむながら)
054(かみ)御前(みまへ)にねぎ(まつ)る』
055二絃琴(にげんきん)()はして(しと)やかに(うた)つてゐるのは、056(うた)文句(もんく)(あら)はれたセーリス(ひめ)である。
057 廊下(らうか)足音(あしおと)(しの)ばせながら、058あたりを(うかが)ひ、059ソツと這入(はい)つて()たのはユーフテスである。060痩犬(やせいぬ)(くさ)乞食(こじき)(めし)()ぎつけたやうなスタイルで、061負傷(ふしやう)した(した)五分(ごぶ)ばかりニヨツと()し、062下唇(したくちびる)(うへ)大切(だいじ)さうにチヤンと()せ、063(こし)(くび)(たがひ)ちがひに()りながら、064(すこ)しく(かが)んで、065左右(さいう)()(めう)恰好(かつかう)にパツと(ひろ)げ、066(てのひら)上向(うへむ)けにして、067乞食(こじき)(もの)(もら)(やう)()つき可笑(をか)しく、
068『モシ…………モシ…………(ひめ)さま』
069()(にく)さうに(くち)()つた。070セーリス(ひめ)は……あゝ(また)(いや)(をとこ)がやつて()た、071(しばら)(むし)(おさ)へて、072一活動(ひとくわつどう)やらねばならぬ、073(なに)ほど(いや)でも(いや)さうな(かほ)出来(でき)ない。074「いやなお(きやく)(わら)うて()せて、075ソツと()()()きの(ひざ)」といふ(こと)もある。076ここは遺憾(ゐかん)なく愛嬌(あいけう)()りまくのが孫呉(そんご)兵法(へいはふ)だ…………と(さと)くも(こころ)(けつ)し、077(ゑみ)十二分(じふにぶん)(たた)へて、
078『ユーフテス(さま)079御怪我(おけが)如何(どう)御座(ござ)いますか、080御用心(ごようじん)して(くだ)さいませや。081あたえ心配(しんぱい)(いた)しまして、082昨夜(ゆふべ)(ろく)()なかつたのですよ。083貴郎(あなた)(この)()(なか)生存(せいぞん)して()られなかつたら、084あたえも最早(もはや)社会(しやくわい)生存(せいぞん)希望(きばう)はありませぬワ。085ねえ貴郎(あなた)086可愛(かあい)いものでせう、087オホヽヽヽおゝ(はづか)し………』
088 ユーフテスは(これ)()いて(あたま)のぎりぎりまでザクザクさせ、089自由(じいう)のきかぬ(した)側面(そくめん)から()()もなく(よだれ)迸出(へいしゆつ)しながら、090(あわ)てて(たもと)()()り、
091『(()ひにくさうに()ふ)お(ひめ)さま………有難(ありがた)う………お(かげ)(さま)で………(たい)した(こと)は………ありませぬから、092マア、093安心(あんしん)して(くだ)さい………至極(しごく)………健全(けんぜん)です。094昨日(さくじつ)大変(たいへん)(いた)みましたが、095今日(こんにち)はお(かげ)(だい)ウヅキがとまり、096気分(きぶん)余程(よほど)よくなりました』
097本当(ほんたう)にそれ()いて、098あてえ(うれ)しいワ。099そらさうでせうよ、100終日(しうじつ)終夜(しゆうや)101大自在天(だいじざいてん)(さま)御祈願(ごきぐわん)をこらしてゐたのだもの、102貴郎(あなた)(ため)なら、103仮令(たとへ)あたえの(いのち)がなくなつても、104チツとも()しくないワネエ』
105『そりや………有難(ありがた)いなア………お(ひめ)さまの………御精神(ごせいしん)が………そこまで………熱誠(ねつせい)だとは………(ゆめ)にも(おも)はなかつたですよ。106(はじ)めの(うち)(なに)か、107()をひかれてゐるのぢやなからうかと、108(うたが)つてゐましたが………ヤツパリ(うたが)ふのは………(わたし)(こころ)(きたな)いからでした………どうぞ、109(ひめ)さま、110こんなつまらぬ(をとこ)でも、111ここまでも()()うたのですから、112どうぞ末永(すえなが)可愛(かあい)がつて(くだ)さい………(その)(かは)りに、113貴女(あなた)(ため)ならば(おに)巣窟(さうくつ)へでも、114獅子狼(ししおほかみ)岩窟(いはや)へでも、115飛込(とびこ)めと仰有(おつしや)れば飛込(とびこ)みます。116猛獣(まうじう)棲処(すみか)(おろ)か、117猛火(まうくわ)(なか)でも水底(みなそこ)へでも、118御命令(ごめいれい)ならば………いやお(たの)みならば………(なん)でも忠実(ちうじつ)御用(ごよう)(うけたま)はりますワ』
119『オホヽヽ、120貴郎(あなた)そんな叮嚀(ていねい)(こと)いつて(くだ)さると、121あたえ、122(なん)だか他人(たにん)行儀(ぎやうぎ)のやうになつて()(じゆつ)なうてなりませぬワ。123どうぞこれから、124そんな虚偽(きよぎ)辞令(じれい)()きにして、125あたえを女房(にようばう)(あつか)ひに()んで(くだ)さいねえ。126そしておくれやしたら、127あたえ、128(なん)(うれ)しいか()れませぬワ。129オホヽヽ』
130(とき)にお(ひめ)さま、131(いな)セーリス(ひめ)132(よろこ)べ、133(えら)(こと)出来(でき)たぞ。134(てん)()になり、135()(てん)になる………と()大事変(だいじへん)だ。136それもヤツパリ智謀(ちぼう)絶倫(ぜつりん)のユーフテスとセーリス(ひめ)との方寸(はうすん)から(ひね)りだした結果(けつくわ)だから、137剛勢(がうせい)なものだよ、138オツホヽヽ。139アイタヽヽ、140(あま)(わら)ふと、141ヤツパリ(した)(いた)いワイ。142アーン』
143大変(たいへん)とは(なん)ですか。144(はや)()つて(くだ)さいな。145あたえ、146()にかかつて仕様(しやう)がありませぬワ。147(きち)(きよう)か、148(ぜん)(あく)か、149(はや)()かして頂戴(ちやうだい)
150と、151()(ほそ)うし(くび)(かたむ)(あご)(まへ)()()し、152(した)(みぎ)(くちびる)縫目(ぬひめ)へニユツと()し、153色目(いろめ)使(つか)つて()せた。154ユーフテスは益々(ますます)得意(とくい)になり、155十分(じふぶん)手柄話(てがらばなし)針小棒大(しんせうぼうだい)にやつて()たいのは山々(やまやま)だが、156(おも)(やう)(した)命令(めいれい)()かぬので、157もどかしがり、158()をしばしばさせながら、
159天地(てんち)(かは)るといふのは………それ、160(まへ)心配(しんぱい)してゐた、161大黒主(おほくろぬし)(さま)御派遣(ごはけん)(あそ)ばす、162五百騎(ごひやくき)ぼつ(かへ)(やう)になつたのだ』
163『エヽいよいよ決行(けつかう)されましたかなア。164さぞ清照姫(きよてるひめ)さまも(よろこ)ばれる(こと)でせう、165清照姫(きよてるひめ)さまはヤツパリ(えら)いですなア』
166『そらさうですとも、167セーリス(ひめ)さまの………ドツコイ、168(まへ)(にせ)(あね)になるといふ腕前(うでまへ)だからなア、169(えら)いと()へば(えら)いものだが、170(しか)しながら(その)八九分(はちくぶ)(まで)功績(こうせき)は、171ヤツパリ、172ユーフテスとセーリス(ひめ)にあるのだからなア。173何程(なにほど)智慧(ちゑ)があつても、174器量(きりやう)がよくても、175一人(ひとり)芝居(しばゐ)出来(でき)ないから、176吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)千両(せんりやう)役者(やくしや)()つても………過言(くわごん)ではあるまい。177アーン』
178『オホヽヽ、179正式(せいしき)結婚(けつこん)もせない(うち)から、180夫婦(ふうふ)なんて()ふものぢやありませぬよ。181もしも(くち)さがなき京童(きやうわらべ)(みみ)へでも這入(はい)らうものなら、182ユーフテスの夫婦(ふうふ)自由(じいう)結婚(けつこん)をやつたとか、183セーリス(ひめ)はお転婆(てんば)標本(へうほん)だとか、184(あたら)しい(をんな)だとか()はれちや、185(たがひ)迷惑(めいわく)ですからなア』
186『それなら(なん)()つたらいいのだ。187夫婦(ふうふ)()はれても、188(あま)()(わる)くなる問題(もんだい)ぢやあるまい。189アーン』
190『そらさうですとも、191一刻(いつこく)(はや)く、192(たがひ)(をつと)(つま)よと意茶(いちや)ついて(くら)したいのは山々(やまやま)ですワ。193(あま)(うれ)しうて、194一寸(ちよつと)すねて()たのですよ。195オホヽヽ』
196『エヽ(はら)(わる)(をんな)だなア。197さう(をつと)をジラすものぢやないワ』
198(をつと)でも(をとこ)でも、199オツトセーでも、200ナツトセーでも()いぢやありませぬか。201本当(ほんたう)(わたし)のオツトセーになるのは、202(この)(ひろ)世界(せかい)貴郎(あなた)(だけ)ですワネエ。203なつと千匹(せんびき)(をつと)一匹(いつぴき)()ひまして、204択捉島(えとろふじま)あたり沢山(たくさん)棲息(せいそく)してゐる膃肭臍(おつとせい)も、205真実(しんじつ)千匹(せんびき)(なか)(しん)のオツトセーは(ただ)一匹(いつぴき)より()ないさうです。206九百九十九匹(きうひやくきうじふきうひき)(まで)(みな)なつとせいださうですからな。207アホツホヽヽ』
208『なつとせい………なんて、209そんな(こと)初耳(はつみみ)だがなア、210オツトセーとなつとせい何処(どこ)区別(くべつ)がつくのだらうかな』
211『そりや(たしか)区別(くべつ)がありますワ。212ナツトセーといふのは、213人間(にんげん)でいへばやくざ(をとこ)(こと)ですよ。214婿(むこ)えらみをした結果(けつくわ)215どれを()ても(おび)には(みじか)(たすき)(なが)し、216意中(いちう)(をつと)()つからない、217さうかうする(うち)月日(つきひ)(こま)()(ごと)(すす)み、218(ほころ)びかけた(さくら)(はな)は、219グヅグヅしてゐると(すで)(こずゑ)()らむとするやうになつて()る。220そこで(あわ)てて()となる(ひと)(にはか)にきめます。221(その)(とき)にどれを()ても、222甲乙丙丁(かふおつへいてい)区別(くべつ)がつかぬ、223(しか)(この)(をとこ)(はな)(たか)いとか、224口元(くちもと)がしまつてるとか、225()(すず)しいとか、226(ひと)つの()()(てん)(つか)まへ()し、227コレナツと(をつと)にしようか………と()つて、228(をんな)(はう)からきめるのが、229所謂(いはゆる)ナツトセーですワ。230オツホヽヽ』
231『さうすると、232(おれ)はナツトセーの(はう)かなア。233それを()くと(あま)有難(ありがた)くもないやうだ。234アーンアーン』
235貴郎(あなた)はオツトセーですよ。236()(かは)(やはら)かいし、237(かは)むいて首巻(くびまき)にしたつて大変(たいへん)高貴(かうき)なものなり、238(かは)になつても、239(をんな)(くび)(だけ)はきつと、240ホコホコするといふ大事(だいじ)大事(だいじ)のオツトセーですワ。241どの(をとこ)婿(むこ)()たうかと、242あたえも(なが)らく調(しら)べてゐましたが、243あなたのやうな(いろ)(しろ)い、244()のパツチリとした、245鼻筋(はなすぢ)(とほ)つた、246口元(くちもと)のリリしい、247カイゼル(ひげ)()えた、248()のスラリと(たか)い、249(はだ)(やはら)かい、250しかも智謀(ちぼう)絶倫(ぜつりん)()てゐるのだから、251オツトマカセに(くは)()んだのだから、252オツト()つてましたといふ具合(ぐあひ)に、253(ねこ)のやうに(のど)をゴロゴロならして飛付(とびつ)いたのですもの、254(しん)(まこと)のオツトセーですワ。255オホヽヽ』
256『アハヽヽ、257アハヽ、258アイタヽヽ、259(なん)だか(わら)ふと(した)(いた)い、260(こま)つた(こと)だ。261有難(ありがた)いなア』
262『コレ(だけ)恋慕(こひした)うてゐる女房(にようばう)ですもの、263あなただつて、264(なに)もかも腹蔵(ふくざう)なく仰有(おつしや)つて(くだ)さいますわねえ。265夫婦(ふうふ)(あひだ)といふものは、266本当(ほんたう)(した)しいもので、267()んでくれた(おや)にも()せない(ところ)まで()せたり、268(はな)さない(こと)まで(はな)すのですもの。269夫婦(ふうふ)家庭(かてい)日月(じつげつ)天地(てんち)(はな)ですワ』
270(おれ)はお(まへ)(こと)なら、271(なん)でも(みな)秘密(ひみつ)()かしてやる覚悟(かくご)だ。272(とき)(なん)だよ………五百騎(ごひやくき)差止(さしと)めたばかりでなく、273テーナ(ひめ)さまが三百余騎(さんびやくよき)強者(つはもの)(みな)引率(いんそつ)して、274ハルナの(くに)まで()つて(しま)つたのだから、275カールチンの部下(ぶか)最早(もはや)一人(ひとり)(のこ)つてゐないのだ。276もう()うなつちや、277何程(なにほど)謀叛(むほん)(たく)まうたつて、278駄目(だめ)だからなア。279(あと)(のこ)つてる(やつ)ア、280()ツかちや、281(びつこ)(つんぼ)282()しやくに()はぬ(やつ)ばかりウヨウヨしてるのだ。283屈強(くつきやう)(ざか)りの豪傑連(がうけつれん)は、284(みな)テーナ(ひめ)従軍(じゆうぐん)したのだから、285(これ)一時(いちじ)(はや)く、286清照(きよてる)さまに………報告(はうこく)して(よろこ)ばしたいものだ。287アーン』
288『ホヽヽ、289そんな(こと)ですかい。290それなら夜前(やぜん)(わたし)(もと)へチヤンと無言霊話(むげんれいわ)がかかりましたワ。291清照姫(きよてるひめ)(さま)(すで)(すで)御存(ごぞん)じですよ。292そんな(おそ)報告(はうこく)駄目(だめ)です。293モチツト(はや)報告(はうこく)して(もら)はぬと、294女房(にようばう)のあてえが清照姫(きよてるひめ)(さま)申上(まをしあ)げて手柄(てがら)にする(わけ)には()かぬぢやありませぬか』
295何分(なにぶん)(した)怪我(けが)したものだから、296(した)(おく)れたのだよ。297それは()しい(こと)したものだ。298ウツフヽヽヽ、299此奴(こいつ)(ひと)つガツカリした
300『オツホヽヽヽ(とき)右守(うもり)如何(どう)して()られますか、301随分(ずゐぶん)御機嫌(ごきげん)()いでせうなア』
302 ユーフテスは最前(さいぜん)から(あま)(した)無暗(むやみ)使(つか)つたので、303チツとばかり()れて()たと()え、
304『アヽヽ』
305()ひながら、306()(ひろ)げて不恰好(ぶかつかう)仕方(しかた)をして()せて()る。
307『オホヽヽまるで蟷螂(かまきり)(をど)つとる(やう)だワ。308モウ(ひと)(ちが)うたら米搗(こめつき)バツタの手踊(てをどり)みたやうですワ。309あたえ、310そんなスタイル()るの、311(いや)になつたワ。312オツホヽヽヽ』
313『アーンアーンアーン、314ウーウーウー、315シシ(した)が、316オオ(おも)ふよに、317きけなくなつた』
318 セーリス(ひめ)両手(りやうて)()み、319鎮魂(ちんこん)姿勢(しせい)()り、320(こころ)(しづ)かにユーフテスの(した)(むか)つて、
321(ひと)(ふた)()()(いつ)(むゆ)(なな)()(ここの)(たり)(もも)()(よろづ)
322(あま)数歌(かずうた)三四回(さんしくわい)繰返(くりかへ)祈願(きぐわん)をこらした。323不思議(ふしぎ)やユーフテスの(した)(その)()(はれ)()き、324(いた)みもとまり、325(また)もや水車(みづぐるま)(ごと)運転(うんてん)(はじ)めた。
326『ヤア有難(ありがた)う、327不思議(ふしぎ)御神徳(ごしんとく)輪転機(りんてんき)破損(はそん)全部(ぜんぶ)修繕(しうぜん)したと()え、328運転(うんてん)自由自在(じいうじざい)になつて()ました。329サア(これ)から三寸(さんずん)舌鋒(ぜつぽう)縦横無尽(じうわうむじん)にふりまはし、330懸河(けんが)弁舌(べんぜつ)滔々(たうたう)神算秘策(しんさんひさく)陳述(ちんじゆつ)する(こと)としよう。331女房(にようばう)(よろこ)べ、332(あま)瓊矛(ぬぼこ)恢復(くわいふく)したぞや、333アハヽヽヽ』
334『オホヽヽヽあの元気(げんき)(こと)335わたしも(これ)一安心(ひとあんしん)しました336イヒヽヽ』
337 かく()(ところ)へやさしい(をんな)(こゑ)で、338(ふすま)(そと)から、
339『モシモシ、340ユーフテス(さま)341あてえはセーリスで(ござ)います、342どうぞ()けて(くだ)さいな』
343『ハテ合点(がてん)()かぬ(やう)になつて()たワイ。344(おれ)(いま)セーリス(ひめ)(はなし)をしてゐるに、345なアんだ。346(また)チツトも(ちが)はぬ(こゑ)()しよつて………ユーフテスさま、347()けて(くだ)さい………と(ぬか)しよる、348ウーン、349此奴(こいつ)はチツト(へん)だぞ』
350(くび)をかたげ、351眉毛(まゆげ)(つば)をぬりつけ(はじ)めた。
352セーリス『オホヽヽ』
353 (ふすま)(そと)から、354(おな)声色(こわいろ)で、
355『オホヽヽ』
356大正一一・一一・一五 旧九・二七 松村真澄録)