霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 入那立(いるなだち)〔一一四五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻 篇:第5篇 出風陣雅 よみ:しゅっぷうじんが
章:第20章 第42巻 よみ:いるなだち 通し章番号:1145
口述日:1922(大正11)年11月25日(旧10月7日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年7月1日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
サマリー姫は、カールチンたちが夜が更けても帰ってこないので、サモア姫、ハルマンその他を引き連れてイルナ城にやってきた。東雲の空のもと、カールチンたちが霜柱の立つ庭の上にのびているのを見つけた。
揺り起こされたカールチンたちは揺り起こされて不審の念に打たれている。そこへ竜雲、レーブ、カル、テームスがやってきて、セーラン王が奥で待っていることを伝えた。
王の前に出たカールチン、ユーフテス、マンモスの三人は、どのような沙汰があるかと震えていた。セーラン王は三人に右守館で百日間の閉門を命じた。そして清照姫、セーリス姫、サモア姫には、百日の間三人の世話をするように申し付けた。
異議を唱える清照姫に対し、セーラン王は、権謀術数で三人をだました報いだと理由を告げた。しかしカールチンは、王位簒奪を企んだ自分の罪を閉門で許してくれた王の慈悲に感謝を述べ、清照姫ら三人の女性の付添は必要ないと断った。
一同はそれぞれ述懐の歌を歌った。
ヤスダラ姫は神の教えに照らされてセーラン王を恋い慕う心を転じ、宣伝使になることを誓った。そして黄金姫の一行と共にハルナの都に進むことになった。
セーラン王は今まで忌み嫌っていたサマリー姫を深く愛し、夫婦ともにイルナの城に三五の教えを布き、国家百年の基礎を固めることとなった。
カールチンは改心し、元の右守に任じられた。テーナ姫の凱旋を待って夫婦睦まじく王に仕えた。セーリス姫は王の媒酌によってユーフテスの妻となり、サモア姫もマンモスの妻となってイルナ城に仕え、子孫繁栄した。
黄金姫と清照姫は、ヤスダラ姫およびハルマンと共にハルナ城に向かった。レーブ、カル、テームス、竜雲は別に一隊を組織して各地に三五教を宣伝しながらハルナの都を指して進んだ。リーダーは王の忠実な臣下となって側近く使えることになった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4220
愛善世界社版:239頁 八幡書店版:第7輯 728頁 修補版: 校定版:245頁 普及版:103頁 初版: ページ備考:
001 サマリー(ひめ)(ちち)カールチンの()()けて(かへ)(きた)らざるに(こころ)(いた)め、002サモア(ひめ)003ハルマン(その)()二三(にさん)家僕(かぼく)(したが)へ、004イルナ(じやう)表門(おもてもん)(くぐ)つて広庭(ひろには)(まで)やつて()た。005東雲(しののめ)(そら)(やうや)(あか)く、006霜柱(しもばしら)()つてゐる(には)芝生(しばふ)(つち)(うへ)ぶつ(たふ)れて、007カールチン(はじ)十数人(じふすうにん)(いへ)()はふんのびてゐる。008サマリー(ひめ)(まゆ)をひそめながら、
009『エヽ(なさけ)ない、010(なん)として(また)斯様(かやう)(ところ)に、011(ちち)(はじ)めユーフテス、012マンモスが(たふ)れてゐるのだらう。013ハルマン、014(ひと)()(おこ)してくれないか』
015『ハイ承知(しようち)(いた)しました』
016()ふより(はや)く、017捻鉢巻(ねぢはちまき)(たすき)をかけ、018まづ第一(だいいち)にカールチンを()(おこ)した。019カールチンは()をこすりながら、020あたりをキヨロキヨロ見廻(みまは)し、
021『ヤア其方(そなた)はサマリー(ひめ)022サモア、023一体(いつたい)ここは何処(どこ)だ。024(おれ)(さけ)()つたと(おも)つて、025屋外(をくぐわい)(ほふ)()しよつたのだなア。026()しからぬ(こと)(いた)す、027ヨーシ、028(この)(はう)にも(かんが)へがある』
029立上(たちあが)らうとする。030何人(なんぴと)悪戯(いたづら)()らぬが、031庭先(にはさき)巨大(きよだい)なる捨石(すていし)(ひも)(もつ)(こし)から(くく)りつけられ、032(うご)(こと)出来(でき)ぬ。
033『カールチンさま、034しつかりなさいませ。035ここは入那城内(いるなじやうない)大広庭(おほひろには)(ござ)いますよ。036貴方(あなた)昨夜(さくや)よからぬ(こと)(かんが)へて、037城内(じやうない)闖入(ちんにふ)()たのでせう。038神罰(しんばつ)立所(たちどころ)(あた)つて、039こんな(ざま)(わる)乞食(こじき)のやうに野天(のてん)(たふ)れてゐたのでせう。040コレ、041ユーフテス、042(まへ)もシツカリせないか、043(なん)といふ(くろ)(かほ)をしてゐるのだ。044顔中(かほぢう)(すみ)一杯(いつぱい)ぬつてあるぢやないか』
045『ヘー、046()(かく)047旦那様(だんなさま)のお(とも)(いた)しまして、048うまく(てき)殲滅(せんめつ)し、049いよいよ刹帝利(せつていり)になられた御祝(おいはひ)にお(さけ)頂戴(ちやうだい)(いた)し、050(あま)()うた揚句(あげく)051こんな(ところ)まで、052副守護神(ふくしゆごじん)肉体(にくたい)()れて、053(よひ)ざましに出張(しゆつちやう)したと()えます。054イヤもう、055ラツチもないことで(ござ)いました。056アツハヽヽヽ』
057『ナニ、058(その)(はう)はカールチンと(とも)に、059セーラン王様(わうさま)暗殺(あんさつ)しよつたのだなア。060モウかうなる(うへ)王様(わうさま)仇敵(かたき)061覚悟(かくご)をしたがよからう』
062懐剣(くわいけん)をスラリと()いて逆手(さかて)()ち、063ユーフテスに(むか)()つてかかるを、064ハルマンは(うしろ)より(ひめ)両腕(りやううで)をグツとかかへ、
065()()づお()ちなさいませ。066これには(なに)様子(やうす)のある(こと)(ござ)いませう。067狼狽(あわて)仕損(しそん)じてはなりませぬ』
068マンモス『ヤアここは(しろ)馬場(ばば)だつた。069サツパリ(きつね)にやられたと()えるワイ。070モシモシ カールチン(さま)071陰謀(いんぼう)露顕(ろけん)(およ)んでは大変(たいへん)です、072サア(はや)()げませう。073オイ、074ユーフテス、075(まへ)(はや)()げたり()げたり』
076『コリヤコリヤ、077両人(りやうにん)078(なに)(さわ)(こと)はない。079()(おれ)(つな)をほどいて、080(おれ)()げたあとで()げるのだ。081主人(しゆじん)()てて、082貴様(きさま)ばかり自由(じいう)行動(かうどう)をとるといふ(こと)があるか、083エーン』
084サマリー『オホヽヽヽヽ、085(なん)とマア、086とぼけ人足(にんそく)ばかり()つたものだなア』
087サモア『()れば旦那様(だんなさま)にユーフテスにマンモスの三人(さんにん)088失恋党(しつれんたう)領袖連(りやうしうれん)ばかりが、089(そろ)ひで………(なん)面白(おもしろ)(ゆめ)()られたものですなア』
090 カールチンは()(かど)()て、
091『コリヤ コリヤ サモア、092失恋党(しつれんたう)とは(なん)だ。093一度(いちど)()つて()よ。094了簡(れうけん)(いた)さぬぞ』
095(まこと)御無礼(ごぶれい)なことを(まを)しましたなア。096(あま)可笑(をか)しいものですから、097ツイ脱線(だつせん)しました。098オホヽヽヽ』
099 かかる(ところ)竜雲(りううん)100レーブ、101カル、102テームスの四人(よにん)103(やかた)玄関(げんくわん)をパツと(ひら)(あら)はれ(きた)り、
104竜雲(りううん)『ヤア、105カールチン殿(どの)106サマリー(ひめ)(さま)107()(おく)へお()(くだ)さいませ。108王様(わうさま)がお待兼(まちかね)(ござ)います』
109 サマリー(ひめ)(うれ)しげに、
110『ハイ、111(まへ)さまは竜雲(りううん)さまとやら、112(この)カールチンの悪人(あくにん)をよく(いまし)めて(かへ)して(くだ)さい。113(わたし)一時(いちじ)(はや)王様(わうさま)御面会(ごめんくわい)(ねが)ひませう。114コレ、115ハルマン、116案内(あんない)をしておくれ』
117()ひながら、118サマリー(ひめ)(わう)居間(ゐま)をさして、119ハルマンと(とも)(すす)()く。
120カールチン『到頭(たうとう)(さけ)(くら)()うて、121()らず()らずに登城(とじやう)途中(とちう)122斯様(かやう)(ところ)くたばつたと()える。123何者(なにもの)悪戯(いたづら)をしよつて、124(それがし)(こし)(ひも)(くく)りつけよつたと()える。125()(かく)竜雲(りううん)殿(どの)126拙者(せつしや)(ひも)をほどいて(くだ)され。127()一緒(いつしよ)(くく)られてゐるやうだ』
128『アハヽヽヽ、129(ねん)()つた泥酔(よひどれ)だなア』
130()ひながら、131手早(てばや)(いまし)めをほどいた。132これはレーブが昨夜(さくや)ソツと悪戯(いたづら)をしておいたのである。133ユーフテスの(かほ)(くろ)くなつたのも、134矢張(やつぱ)りレーブの副守(ふくしゆ)悪戯(いたづら)であつた。
135カールチン『ヤア有難(ありがた)い、136サア、137(これ)から(やかた)(かへ)らう。138オイ、139ユーフテス、140マンモス、141(あと)につづけ』
142テームス『()つた()つた、143さうはなりませぬぞ。144(いま)王様(わうさま)右守司(うもりつかさ)面会(めんくわい)したいと仰有(おつしや)つて(おく)()つてゐられます。145(ひと)御礼(おれい)申上(まをしあ)げたい(こと)があると()はれますから、146サア遠慮(ゑんりよ)なしに(おく)へお(とほ)りなされませ。147ユーフテスさまも手水(てうづ)使(つか)つて一緒(いつしよ)拝謁(はいえつ)をなさいませ。148マンモスも同様(どうやう)だ』
149ユーフテス『イヤ、150滅相(めつさう)もない、151王様(わうさま)御礼(おれい)()はれるやうな(わる)(こと)(いた)して()りませぬワイ。152(この)()はこれで御見逃(おみのが)しを(ねが)ひます』
153『さう心配(しんぱい)(いた)すな、154(あん)じるより()むが(やす)い。155マア()(ところ)まで()つて()な、156(ぜん)(あく)(きち)(きよう)(わか)つたものぢやない。157(ひと)(わる)()がした(ところ)で、158たつた(ひと)つの(くび)をとられると(おも)やいゝぢやないか。159(くび)(ひと)(くらゐ)(なん)ぢやい。160アーン』
161 ユーフテスは(くび)のあたりを()(さぐ)りながら、
162『ヤア、163ヤツパリ(おれ)(くび)依然(いぜん)として密着(みつちやく)してゐるワイ、164どうぞ今日(けふ)大目(おほめ)見逃(みのが)してくれ。165(いのち)(おや)だから』
166(なん)()つても勅命(ちよくめい)だ。167綸言(りんげん)(あせ)(ごと)し。168一度(いちど)()づれば(これ)引込(ひつこ)める(わけ)には()かぬ。169サア()かう』
170素首(そつくび)をグツと引掴(ひつつか)んだ。171ユーフテスは弥之助人形(やのすけにんぎやう)のやうに、172ビツクリ(ごし)をぬかし、173()(あし)もブラブラになつた(まま)174テームスに引張(ひつぱ)られて、175奥殿(おくでん)(はこ)ばれた。176竜雲(りううん)はカールチンを引抱(ひつかか)へ、177これ(また)(おく)(すす)()る。178レーブ、179カルはマンモスを二人(ふたり)して引担(ひつかつ)ぎながら、180これ(また)奥殿(おくでん)(はこ)()れた。
181 失恋党(しつれんたう)三人(さんにん)(わう)(まへ)引出(ひきだ)され、182(いろ)(あを)ざめ、183(くちびる)紫色(むらさきいろ)()めてガチガチと()()らしてゐる。
184右守司殿(うもりつかさどの)185随分(ずゐぶん)昨夜(さくや)御愉快(ごゆくわい)(ござ)つたらうなア』
186『ハイ、187(ゆめ)(なか)(ゆめ)()まして、188イヤもう(なん)とも申上(まをしあ)げやうが(ござ)いませぬ』
189(わけ)(わか)らぬ(こと)(おそ)(おそ)(こた)へた。
190『アハヽヽ、191天下(てんか)をとると()(こと)は、192随分(ずゐぶん)愉快(ゆくわい)なものだらうなア。193どうだ、194(これ)から(その)(はう)刹帝利(せつていり)(あと)をついでくれる()はないか』
195『メヽ滅相(めつさう)もない、196何事(なにごと)王様(わうさま)御意(ぎよい)(まか)します。197王様(わうさま)のお言葉(ことば)とあらば、198一言(ひとこと)(そむ)きは(いた)しませぬ』
199()言葉(ことば)ならば一言(ひとこと)(そむ)かぬと(まを)したなア。200それに間違(まちがひ)はないか』
201『ハイ、202武士(ぶし)言葉(ことば)二言(にごん)(ござ)いませぬ』
203(しか)らば(なんぢ)右守司(うもりつかさ)204叛逆(はんぎやく)未遂(みすゐ)(つみ)()つて割腹(かつぷく)(あふ)()ける』
205 カールチンは(この)言葉(ことば)(きも)(つぶ)しひつくり(かへ)り「アツ」と(さけ)んだ。
206割腹(かつぷく)(あふ)()けるといふは表向(おもてむ)き、207(その)(はう)今日(けふ)(かぎ)りテーナ(ひめ)凱旋(がいせん)あるまで、208閉門(へいもん)(あふ)()ける。209有難(ありがた)(おも)へ』
210 カールチンはヤツと(むね)()(おろ)し、
211『ハイ、212割腹(かつぷく)(くら)ぶれば、213閉門(へいもん)(ぐらゐ)(なん)とも(ござ)いませぬ。214(わたくし)一人(ひとり)(ござ)いますか』
215『イヤ、216ユーフテス、217マンモスも同様(どうやう)だ。218一人(ひとり)々々(ひとり)別個(べつこ)閉門(へいもん)する(とき)は、219(めう)(こころ)()し、220悲観(ひくわん)(おちい)つては(かへつ)(ため)にならぬから、221其方等(そのはうら)三人(さんにん)右守(うもり)(やかた)同居閉門(どうきよへいもん)(めい)ずる。222勝手(かつて)(さけ)でも()んで失恋(しつれん)会議(くわいぎ)でも(ひら)いたがよからうぞ』
223ユーフテス『ハイ、224(なん)(すゐ)()いた王様(わうさま)225(まこと)(もつ)重々(ぢゆうぢゆう)御厚恩(ごこうおん)226御礼(おんれい)申上(まをしあ)げやうも(ござ)いませぬ』
227汝等(なんぢら)三人(さんにん)228(をとこ)ばかりにては炊事(すゐじ)(その)(ほか)万端(ばんたん)支障(ししやう)(きた)すであらう。229これよりヤスダラ(ひめ)230セーリス(ひめ)231サモア(ひめ)をお給仕(きふじ)として百日間(ひやくにちかん)共々(ともども)(なんぢ)(そば)(はべ)らすから、232有難(ありがた)(おも)へ』
233 カールチンは不思議(ふしぎ)さうな(かほ)をして、234(わう)面体(めんてい)打眺(うちなが)め、235呆然(ばうぜん)としてゐる。
236『アハヽヽ、237今日(こんにち)より、238この入那城(いるなじやう)三五教(あななひけう)教理(けうり)遵奉(じゆんぽう)し、239(よろこ)ばして改心(かいしん)をさせる方針(はうしん)だから、240汝等(なんぢら)満足(まんぞく)であらう。241イヤ清照姫(きよてるひめ)殿(どの)242セーリス(ひめ)殿(どの)243サモア(ひめ)殿(どの)244御苦労(ごくらう)ながら百日間(ひやくにちかん)閉門(へいもん)(いた)す、245三人(さんにん)失恋党(しつれんたう)満足(まんぞく)させてやつて(もら)ひたい』
246清照(きよてる)王様(わうさま)247戯談(じようだん)仰有(おつしや)るも(ほど)があります。248(いやし)くも王者(わうじや)として、249戯談(じようだん)仰有(おつしや)るといふ(こと)はありますまい』
250(けつ)して戯談(じようだん)(まを)さぬ。251清照姫(きよてるひめ)殿(どの)(わう)危難(きなん)(すく)ひ、252入那城(いるなじやう)安泰(あんたい)(はか)つて(くだ)さつた殊勲者(しゆくんしや)である。253さりながら三五教(あななひけう)(みち)()りながら、254権謀術数(けんぼうじゆつすう)(もつ)(てき)籠絡(ろうらく)するは大道(だいだう)違反(ゐはん)するもの、255是非々々(ぜひぜひ)カールチン、256ユーフテス、257マンモスの仮令(たとへ)百日(ひやくにち)なりとも、258閉門中(へいもんちう)世話(せわ)をなし、259彼等(かれら)三人(さんにん)(こころ)(そこ)より満足(まんぞく)して改心(かいしん)(いた)すやうになさるのが、260そなたの罪亡(つみほろ)ぼしだ。261黄金姫(わうごんひめ)殿(どの)262左様(さやう)では(ござ)らぬか』
263『オホヽヽそれ()なさい、264(きよ)さま、265(あま)智慧(ちゑ)(はし)ると、266こんな天罰(てんばつ)()けねばなりませぬぞや。267これだから誠正直(まことしやうぢき)()かねばならぬといふのだ、268自分(じぶん)美貌(びばう)看板(かんばん)(をとこ)をチヨロまかし、269(わう)危難(きなん)(すく)ふのはよいが、270(その)権謀術数(けんぼうじゆつすう)宣伝使(せんでんし)としての(おこな)ひに(はん)してゐるのだから仕方(しかた)がありませぬ。271サア(きよ)さま、272セーリス(ひめ)さま、273サモアさまも、274(をとこ)をチヨロまかした神罰(しんばつ)(むく)うて()たのだから、275百日(ひやくにち)閉門(へいもん)(あひだ)276三人(さんにん)(かた)(むし)得心(とくしん)する(ところ)まで親切(しんせつ)(つく)すのだよ。277オツホヽヽ、278エライことになつたものだ。279王様(わうさま)のお言葉(ことば)には、280一言(ひとこと)(そむ)かうと(おも)うても、281(そむ)余地(よち)がありませぬワイ』
282清照(きよてる)『ハイ有難(ありがた)(ござ)います。283三人(さんにん)閉門(へいもん)(ところ)(また)三人(さんにん)(をんな)附添(つきそ)ふとは、284(なん)とマア都合(つがふ)()(こと)でせう。285()アさま、286百日(ひやくにち)一緒(いつしよ)()りますと、287どんな()になるかも()れませぬから(あらかじ)御承知(ごしようち)(ねが)つておきますよ。288なア、289セーリス(ひめ)さま、290貴女(あなた)だつて、291フトした(はづ)みから、292本当(ほんたう)にユーフテスさまがゾツコンお()きになられるかも()れませぬわねえ。293サモアさまだつて(その)(とほ)りでせう。294オホヽヽ』
295『エヽ仕方(しかた)がない、296男女(だんぢよ)(みち)何程(なにほど)(おや)()(ひか)らして()つても、297(ふせ)ぐことは出来(でき)ない、298まして百日(ひやくにち)(はな)れて()れば、299如何(いかん)ともすることが出来(でき)ないから、300(きよ)さまの自由(じいう)意思(いし)(まか)しませう』
301右守司(うもりつかさ)殿(どの)302サア三人(さんにん)(をんな)(とも)男女(だんぢよ)六人(ろくにん)303(はや)くここをお()ちなされ』
304閉門(へいもん)(たしか)にお()(いた)しました。305(しか)しながら、306(いま)王様(わうさま)のお言葉(ことば)にて満足(まんぞく)(いた)しました以上(いじやう)は、307清照姫(きよてるひめ)(さま)のお附添(つきそ)ひは御無用(ごむよう)(ござ)います。308(わたし)(わる)いので(ござ)いますから、309清照姫(きよてるひめ)(さま)(わたし)をいろいろと(あやつ)(あそ)ばしたのも、310(けつ)して(うら)みとも無理(むり)とも(おも)ひませぬ。311かへつて清照姫(きよてるひめ)(さま)()(もら)つては迷惑(めいわく)(いた)します。312(また)百日(ひやくにち)閉門中(へいもんちう)(こころ)悪神(あくがみ)(はふ)()し、313(まこと)精神(せいしん)立復(たちかへ)りたく(ぞん)じますれば、314異性(いせい)(そば)()りましては、315満足(まんぞく)修行(しうぎやう)出来(でき)ませぬから、316何卒(なにとぞ)こればかりは御取消(おとりけし)(ねが)ひます。317ユーフテス、318マンモスも(わたし)同意見(どういけん)だと(おも)ひますから、319何卒(なにとぞ)(よろ)しくお取上(とりあ)げを(ねが)ひます』
320(しか)らば(なんぢ)(のぞ)みに(まか)す』
321『ハイ有難(ありがた)(ござ)います。322(こころ)(くも)つた吾々(われわれ)323悪逆無道(あくぎやくぶだう)をお(とが)めもなく、324閉門(へいもん)(ぐらゐ)でお(ゆる)(くだ)さるとは御礼(おんれい)(まを)(やう)(ござ)いませぬ。325今後(こんご)何処(どこ)までも(まこと)(つく)し、326王様(わうさま)御恩(ごおん)(はう)ずる(かんが)へで(ござ)いますれば、327何卒々々(なにとぞなにとぞ)御見捨(おみす)てなく、328百日後(ひやくにちご)下僕(しもべ)(はし)になりとお使(つか)(くだ)さらば有難(ありがた)(ぞん)じます』
329 サマリー(ひめ)(こゑ)(すず)しく三十一文字(みそひともじ)(うた)ふ。
330大君(おほぎみ)(めぐみ)(つゆ)にうるほひて
331()べの醜草(しこぐさ)(よみがへ)りける。
332重々(ぢゆうぢゆう)(つみ)(けが)れをもカールチン
333宣直(のりなほ)します(きみ)ぞかしこき。
334カールチン(ちち)(みこと)(いま)よりは
335二心(ふたごころ)なく(きみ)(つか)へませ』
336カールチン『有難(ありがた)しセーラン(わう)勅言(みことのり)
337千代(ちよ)八千代(やちよ)(わす)れざらまし。
338(つみ)(ふか)(われ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
339()(なほ)します三五(あななひ)(かみ)
340恋雲(こひぐも)(いま)(まつた)()れにけり
341三五(さんご)(つき)(ひかり)()しより』
342ユーフテス『いろいろと(こひ)()()にあやつられ
343よからぬ(こと)(たく)みてし(かな)
344村肝(むらきも)(こころ)()める(おに)大蛇(をろち)
345(いま)(まつた)()()せにけり』
346セーリス『ユーフテス(かみ)(つかさ)(きこ)()
347(こひ)(よく)との二道(ふたみち)()たず。
348(よく)(まよ)(こひ)(まよ)ひていろいろと
349あやつられたる(ひと)ぞいぢらしき。
350われも(また)よからぬことと()りながら
351(きみ)(まよ)はせし(こころ)(はづか)し』
352サモア『マンモスを(した)(さき)にていろいろと
353(もてあそ)びたる(われ)ぞうたてき』
354マンモス『(はづか)しや(こひ)(とりこ)となり()てて
355(おも)はず(はぢ)をさらしける(かな)
356大君(おほぎみ)(めぐみ)(つゆ)(ふか)くして
357(おも)罪科(つみとが)(ゆる)されにけり』
358竜雲(りううん)(つき)()入那(いるな)(しろ)暗雲(やみくも)
359()れて()()御代(みよ)となりけり』
360黄金(わうごん)三五(あななひ)(かみ)(ひかり)(あら)はれて
361入那(いるな)(しろ)(あさひ)かがやく』
362セーラン『有難(ありがた)(かみ)御稜威(みいづ)(まも)られて
363入那(いるな)(しろ)(つき)(かがや)く』
364ヤスダラ『はるばるとテルマン(ごく)()()して
365(たふと)(きみ)()ひにけるかな。
366さりながら(かみ)(ひかり)()らされて
367(わが)恋雲(こひぐも)()()せにけり。
368サマリー(ひめ)(うづ)(みこと)(いま)よりは
369セーラン(わう)(つか)へましませ。
370ヤスダラ(ひめ)(うづ)(みこと)黄金姫(わうごんひめ)
371(をしへ)(したが)(かみ)(みち)()かむ』
372テームス『四方八方(よもやも)(ふか)(つつ)みし雲霧(くもきり)
373はれて(うれ)しき今日(けふ)(そら)(かな)
374カル『足曳(あしびき)山野(やまの)(きよ)()れにけり
375入那(いるな)(しろ)(かみ)伊吹(いぶき)に』
376レーブ『何事(なにごと)もなくて(をさ)まる(きみ)()
377さながら神代(かみよ)心地(ここち)せらるる。
378われも(また)黄金姫(わうごんひめ)(したが)ひて
379ハルナの(そら)(むか)(うれ)しさ』
380 (ここ)にいよいよヤスダラ(ひめ)(かみ)(をしへ)()らされて、381セーラン(わう)()(した)(こころ)(てん)じ、382天下万民(てんかばんみん)(ため)(まこと)(みち)四方(よも)宣伝(せんでん)せむことを(ちか)ひ、383黄金姫(わうごんひめ)一行(いつかう)(とも)にハルナの(みやこ)(すす)むこととなつた。384セーラン(わう)(いま)まで()(きら)うてゐたサマリー(ひめ)(ふか)(あい)し、385夫婦(ふうふ)相並(あひなら)びて入那(いるな)(しろ)三五(あななひ)(をしへ)()き、386国家(こくか)百年(ひやくねん)基礎(きそ)(かた)むる(こと)となつた。387そしてカールチンは改心(かいしん)結果(けつくわ)388右守司(うもりのかみ)(もと)(ごと)(にん)ぜられ、389テーナ(ひめ)凱旋(がいせん)()つて夫婦(ふうふ)(むつま)じく(わう)(つか)へた。390セーリス(ひめ)(わう)媒酌(ばいしやく)によつてユーフテスの(つま)となり、391(また)サモア(ひめ)(わう)媒酌(ばいしやく)()つてマンモスの(つま)となり、392入那城(いるなじやう)(つか)へて子孫(しそん)繁栄(はんゑい)した。393黄金姫(わうごんひめ)清照姫(きよてるひめ)394ヤスダラ(ひめ)(およ)びハルマンと(とも)にハルナ(じやう)(むか)つて(すす)むこととなり、395レーブ、396カル、397テームス、398竜雲(りううん)(べつ)一隊(いつたい)組織(そしき)し、399三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)(うた)つて各地(かくち)巡教(じゆんけう)しつつ、400ハルナの(みやこ)()して(すす)()くこととなつた。401リーダーは(わう)忠実(ちうじつ)なる臣下(しんか)となつて側近(そばちか)(つか)ふる(こと)となつた。402あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
403大正一一・一一・二五 旧一〇・七 松村真澄録)