霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二章 懐谷(ふところだに)〔一一五三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻 篇:第1篇 狂風怪猿 よみ:きょうふうかいえん
章:第2章 第43巻 よみ:ふところだに 通し章番号:1153
口述日:1922(大正11)年11月26日(旧10月8日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年7月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
玉国別一行は烈風が静まったのであたりを見れば、すでに闇の帳に包まれていた。度胸を定めて道端にみのを布き、夜が明けるのを待つことにした。
ふと目を覚ますとほんのりあたりが明るくなっている。玉国別は、正しい言霊を使うよう、一同を諭した。一同は黒雲が風を運んでくるのを見て、急坂を下って日当たりがよい谷間へ着いた。
河鹿峠に群生するたくさんの尾長猿は暴風の襲来を前知して、この懐谷を避難所として幾千とも知れず集まってきた。玉国別一行の姿を見て、猿たちは周囲を取り巻いている。
伊太公は猿たちに言霊を聞かせてやろうと宣伝歌を歌い始めた。調子はずれな宣伝歌に、猿たちはじりじりと輪を狭めてくる。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4302
愛善世界社版:21頁 八幡書店版:第8輯 36頁 修補版: 校定版:22頁 普及版:8頁 初版: ページ備考:
001河鹿峠(かじかたうげ)岩石(がんせき)
002草木(くさき)(のこ)らず()()れと
003()はむばかりに()きまくる
004大山嵐(おほやまあらし)(すす)みかね
005玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)
006(みち)(かたへ)木々(きぎ)()
007シツカと(つか)打伏(うちふ)して
008(かぜ)()ぐるを()()たり
009一時二時(ひとときふたとき)はや三時(みとき)
010()てども()まぬ暴風(あらかぜ)
011(とら)(おほかみ)()ゆるごと
012(うな)りを()てて()きつける
013()西山(せいざん)(かたむ)いて
014黒白(あやめ)(わか)(しん)(やみ)
015(ここ)四人(よにん)一行(いつかう)
016(ほどこ)(すべ)もなきままに
017是非(ぜひ)なく一夜(ひとよ)()かしけり
018丑満(うしみつ)()ぐる(とき)もあれ
019さしもに(はげ)しき科戸辺(しなどべ)
020(かみ)(やうや)休戦(きうせん)
021喇叭(ラツバ)()いて(しづ)まりぬ
022玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)
023(はじ)めて(むね)()(おろ)
024(こころ)(さだ)めて夜明(よあ)けまで
025やすやす(ねむ)りに()きにける。
026 玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)(やうや)烈風(れつぷう)(しづ)まりしに(むね)()()ろし四辺(あたり)()れば、027真黒(しんこく)(やみ)(とばり)眼前(がんぜん)(まで)(こまやか)(つつ)んでゐる。028()むを()度胸(どきよう)(さだ)道側(みちばた)(みの)()()()くるを()つこととした。029不図(ふと)()(さま)せばホンノリとそこら(ぢう)(あかる)くなつて()る。030道公(みちこう)()(こす)(なが)ら、
031宣伝使(せんでんし)(さま)032どうやら()()けたやうです。033昨日(さくじつ)肝腎(かんじん)門出(かどで)()であるにも(かか)はらず、034暴風(ばうふう)襲来(しふらい)大変(たいへん)吾々(われわれ)面喰(めんくら)はせたぢやありませぬか。035あんな悪日(あくび)何卒(どうぞ)(つづ)かない(やう)にして()しいものですな。036今日(けふ)(あたら)しい日天様(につてんさま)がお()ましになつたら一同(いちどう)充分(じゆうぶん)にお(ねがひ)(いた)しませうか』
037玉国別(たまくにわけ)『どうやら今日(けふ)風模様(かぜもやう)らしい。038あんまり、039仕様(しやう)もない(こと)(しやべ)()てるものだから、040大神様(おほかみさま)のお(いまし)めに()うたのだ。041これからは各自(めいめい)(くち)(つつし)まねばならないぞ。042言霊(ことたま)(さちは)(くに)だから、043天地(てんち)(くも)るのも、044(かぜ)()くのも、045大洪水(だいこうずゐ)()るのも、046みんな人間(にんげん)(ども)言霊(ことたま)(わる)いからだ。047吾々(われわれ)言霊(ことたま)(もつ)て、048あらゆる枉津神(まがつかみ)言向和(ことむけやは)大使命(だいしめい)()つて()るのだから、049(かり)にも縁起(えんぎ)(わる)(こと)()はないが()いぞ』
050道公(みちこう)『さうですな、051伊太公(いたこう)(やつ)052しようもない脱線(だつせん)だらけの宣伝歌(せんでんか)得意(とくい)らしく大風(おほかぜ)(むか)ふを()つて吹立(ふきた)てよるものだから神罰(しんばつ)(あた)つて、053門出(かどで)血祭(ちまつ)りに向脛(むかふづね)()()き、054(あか)()()したのです。055大体(だいたい)二人(ふたり)()れとか三人連(さんにんづ)れとかなら()かつたでせうが、056一行(いつかう)四人連(しにんづ)れと()ふのですから、057あまり縁起(えんぎ)()(こと)もありませぬわい』
058玉国別(たまくにわけ)『コリヤコリヤ道公(みちこう)059(まへ)こそ言霊(ことたま)(わる)いぢやないか、060四人(しにん)なんて、061しようもない(こと)()ふな、062何是(なぜ)四人(よにん)()はぬのだ』
063道公(みちこう)四人(よにん)()へば(あま)つた(ひと)(やう)尚更(なほさら)縁起(えんぎ)(わる)いぢやありませぬか。064(わたし)だつて(けつ)して(あま)人間(にんげん)ぢやありませぬ。065やつぱり一人前(いちにんまへ)裸百貫(はだかひやくくわん)色男(いろをとこ)ですからな』
066玉国別(たまくにわけ)『あれを()よ、067丑寅(うしとら)(そら)(あや)しい黒雲(くろくも)()た、068あれは風玉(かぜだま)だ。069あいつが(ひと)()きつけて()ようものなら昨夜(さくや)烈風(れつぷう)どころぢやない。070(はや)行進(かうしん)(つづ)けて河鹿峠(かじかたうげ)懐谷(ふところだに)まで到着(たうちやく)し、071(しばら)避難(ひなん)をしようではないか。072サア()かう』
073とスツクと()(あが)(あわただ)しく(みの)(ちやく)(かさ)()にシツカと(にぎ)(つゑ)をつきながら、074急坂(きふはん)(くだ)りつつ、075(ふところ)より麺麭(パン)()してかじりつつ()く。076(やうや)くにして河鹿峠(かじかたうげ)(くだ)(ざか)(なか)(ほど)懐谷(ふところだに)()南向(みなみむ)きの、077こんもりとした日当(ひあた)りのよき谷間(たにあひ)()いた。078(この)箇所(かしよ)山道(やまみち)一丁(いつちやう)ばかり(かみ)である。079玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)(やうや)此処(ここ)到着(たうちやく)(みの)()(かぜ)通過(つうくわ)するのを()(こと)とした。
080 河鹿峠(かじかたうげ)群棲(ぐんせい)する沢山(たくさん)尾長猿(をながざる)暴風(ばうふう)襲来(しふらい)前知(ぜんち)して(いづ)れも(この)懐谷(ふところだに)屈竟(くつきやう)避難所(ひなんじよ)として幾千(いくせん)とも()れぬ(ほど)(あつま)つて()た。081さうして玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)姿(すがた)()(おどろ)いたと()え、082四五間(しごけん)ばかり近寄(ちかよ)周囲(ぐるり)をアトラス(がた)(とり)まいてキヤツキヤツと()()(きば)をならし()(さけ)んでゐる。
083 道公(みちこう)数千匹(すうせんびき)(さる)(かこ)まれたのを()て、
084(なん)とマア沢山(たくさん)庚申(かうしん)眷族(けんぞく)だのう。085何奴(どいつ)此奴(こいつ)人間(にんげん)()()姿(すがた)をして(あか)(かほ)吾々(われわれ)護衛(ごゑい)してゐる。086此奴(こいつ)もやつぱり(かぜ)(かみ)(こは)いと()えて此処(ここ)避難(ひなん)して()たと()えるわい。087庚申(かうしん)眷族(けんぞく)(さる)()(こと)だが庚申(かうしん)()(やつ)(かぜ)()かす(かみ)だ。088庚申(かうしん)(ばん)風邪(ふうじや)(かか)ると(つぎ)庚申(かうしん)()まで本復(ほんぷく)せぬと()(こと)だが、089ヤツパリ眷族(けんぞく)だけで(かぜ)(おそ)れて此処(ここ)まで(ぢん)()いたのだなア。090エー、091キヤツキヤツと八釜(やかま)しう()かすな、092(みみ)(つんぼ)になつて(しま)ふわい。093亡国的(ばうこくてき)悲調(ひてう)()びた哀音(あいおん)共唱(きようしやう)しよつてアタ縁起(えんぎ)(わる)い。094むかつく代物(しろもの)だなア』
095玉国別(たまくにわけ)『アハヽヽヽまたしても、096はつしやぎ()したな。097アヽ(こま)つた(をとこ)()れて()たものだ。098おい道公(みちこう)099(まへ)(くち)身体(からだ)より三千年(さんぜんねん)ばかり(さき)(うま)れてると()えるな』
100道公(みちこう)三千年前(さんぜんねんさき)(くち)(うま)れるから三千口(みちこう)(まを)すのです。101アハヽヽヽ三千世界(さんぜんせかい)立直(たてなほ)宣伝使(せんでんし)のお(とも)には(あつら)(むき)でせう。102それ(みち)(もつ)(みち)とすべきは(しん)(みち)(あら)ず。103(みち)とせざる(ところ)(しん)(みち)あり。104三千年(みちとせ)御艱難(ごかんなん)御苦労(ごくらう)神徳(しんとく)(あら)はれて天地(てんち)(あひだ)()()ちにけり。105奥山(おくやま)紅葉(もみぢ)()れど(みち)なくば如何(いか)でか(ひと)()(きた)るべき…と(まを)しましてな、106()(なか)(なに)大切(たいせつ)だと()つても(みち)(くらゐ)大切(たいせつ)なものはありませぬよ。107(みち)といふ()はコトバと()みませう。108(かみ)(をしへ)に「太初(はじめ)(ことば)あり。109(ことば)(かみ)なり、110(かみ)(ことば)(とも)にあり。111万物(ばんぶつ)これによつて(つく)らる。112(すべ)()(なか)(つく)られたるもの一切(いつさい)(ことば)によりて(つく)られざるはなし」とチヤンと神訓(しんくん)(あら)はれてゐませう。113それだから(この)道公(みちこう)(かみ)(みち)にはなくてはならぬ人物(じんぶつ)ですよ。114役者(やくしや)()大根(だいこん)()はぬのも(みち)(ため)115浄瑠璃家(じやうるりがたり)()根深(ねぶか)()はぬのもやつぱり(みち)のためですからな。116アハヽヽヽ』
117伊太公(いたこう)『モシ宣伝使(せんでんし)(さま)118神様(かみさま)(をしへ)には(かみ)仏事(ぶつじ)人民(じんみん)鳥類(てうるゐ)畜類(ちくるゐ)虫族(むしけら)(まで)(たす)けるとお(しめ)しになつてゐるぢやありませぬか。119これ()沢山(たくさん)庚申(かうしん)眷族(けんぞく)吾々(われわれ)(たふと)言霊(ことたま)()かして(もら)はうと(おも)つて(あつ)まつて()たのですから、120(ひと)広大無辺(くわうだいむへん)御神徳(ごしんとく)(こも)つた言霊(ことたま)振舞(ふれま)つてやつたらどんな(もの)でせうなア』
121玉国別(たまくにわけ)『ウン』
122道公(みちこう)『オイ、123伊太公(いたこう)124()()け。125貴様(きさま)宣伝歌(せんでんか)にはウンザリして(しま)つた。126(また)足曳(あしびき)山道(やまみち)向脛(むかふづね)()()いて(あわ)()(くらゐ)がおちだから』
127伊太公(いたこう)(むか)ふの(すね)ならチツとも(いた)くないが、128やつぱり(おれ)(すね)だから一寸(ちよつと)(こま)る。129(しか)(なが)前車(ぜんしや)(くつが)へるは後車(こうしや)(いまし)めと()聖訓(せいくん)体得(たいとく)した伊太公(いたこう)だ。130(さき)失敗(しつぱい)()りて今度(こんど)はあんなヘマな(こと)はやらぬ(つも)りだ。131今度(こんど)こそ本真剣(ほんしんけん)宣伝歌(せんでんか)(うた)ふから(つつし)んで()け。132(はじ)めから馬鹿(ばか)にしてかかられると()つから気乗(きの)りがせぬので(ろく)(うた)(うた)へぬぢやないか。133エーン』
134道公(みちこう)『さう偉相(えらさう)法螺(ほら)()くのなら、135(ひと)立派(りつぱ)宣伝歌(せんでんか)奏上(そうじやう)して()よ』
136伊太公(いたこう)(おれ)宣伝歌(せんでんか)今度(こんど)はとつときの特別(とくべつ)上等品(じやうとうひん)だ。137山河草木(さんかさうもく)(その)(こゑ)(したが)ふと()生言霊(いくことたま)発射(はつしや)だから用心(ようじん)せないと千里側(せんりわき)()()ばされて(しま)ふぞ。138かう()つても(おれ)(けつ)して法螺(ほら)でも自慢(じまん)でもないから真面目(まじめ)()かうよ。139オイ、140純公(すみこう)(こころ)(きよ)(みみ)(あら)つて拝聴(はいちやう)しろ。141(そもそ)言霊(ことたま)権威(けんゐ)()ふものは鬼神(きしん)()かしむる豪勢(がうせい)なものだ。142かうして宣伝使(せんでんし)のお(とも)(めい)ぜられたのも一方(いつぱう)より()れば言霊(ことたま)練習(れんしふ)をして将来(しやうらい)立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)になるためだ。143(しか)(なが)貴様(きさま)(やう)仕入物(しいれもの)では到底(たうてい)満足(まんぞく)宣伝使(せんでんし)にはなれないよ。144(すべ)人間(にんげん)天才(てんさい)手伝(てつだ)はねば駄目(だめ)だからな』
145道公(みちこう)天才(てんさい)()いて(あき)れるわい。146貴様(きさま)宣伝歌(せんでんか)(うた)ふと天地(てんち)大神様(おほかみさま)(いか)りを(はつ)(たま)(たちま)天災(てんさい)(くだ)(たま)ふから(こま)つた天才(てんさい)だ。147アハヽヽヽ、148エー(さる)(やつ)149キヤツ キヤツ(ぬか)しよつて()つから(おれ)言霊(ことたま)不貫徹(ふくわんてつ)(をは)りさうだ。150こんな(ところ)言霊(ことたま)発射(はつしや)する馬鹿(ばか)があるかい。151貴様(きさま)()()(こと)()らないから駄目(だめ)だ』
152伊太公(いたこう)『エヘン、153()(のぞ)(へん)(おう)ずるは天才(てんさい)智者(ちしや)(あへ)てよくする(ところ)154迂愚者(うぐしや)測知(そくち)()(かぎ)りでない。155サア(これ)から庚申(かうしん)眷族(けんぞく)(むか)つて生言霊(いくことたま)連発銃(れんぱつじう)発射(はつしや)するのだ。156いいか、157用心(ようじん)して()らぬと昨夜(ゆうべ)烈風(れつぷう)(やう)()()ばされて(しま)ふぞ』
158道公(みちこう)足曳(あしびき)山鳥(やまどり)()の、159(また)しても長々(ながなが)しい前口上(まへこうじやう)だなア。160いい加減(かげん)発射(はつしや)して()ろ』
161伊太公(いたこう)『かう尾長猿(をながざる)(やつ)162身辺(しんぺん)(ちか)押寄(おしよ)(きた)つてはチツとばかり面食(めんくら)はざるを()ない。163吾輩(わがはい)言霊(ことたま)(もつ)一丁(いつちやう)ばかり退却(たいきやく)をさして()せるから伊太公(いたこう)腕前(うでまへ)164(いな)言霊(ことたま)武者振(むしやぶり)拝観(はいくわん)拝聴(はいちやう)なされませ、165エヘン。
166三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
167玉国別(たまくにわけ)音彦(おとひこ)
168(したが)(きた)りし吾々(われわれ)
169(いた)つて(たふと)伊太公(いたこう)
170(かみ)(ほとけ)人民(じんみん)
171禽獣虫魚(きんじうちうぎよ)(はし)までも
172生言霊(いくことたま)神力(しんりき)
173(たす)けて(すす)宣伝使(せんでんし)
174オツトドツコイ吾々(われわれ)
175(かみ)(つかさ)候補者(こうほしや)
176庚申(かうしん)さまの眷族(けんぞく)
177貴様(きさま)(かぜ)(こは)いのか
178懐谷(ふところだに)(あつま)つて
179キヤツキヤツと()えるは(なん)(こと)
180みつともないぞ、こら畜生(ちくしやう)
181()()化物(ばけもの)やうやうと
182(えだ)から(えだ)へと()(まは)
183()()(くら)ひキヤツキヤツと
184(あさ)から(ばん)まで()(たけ)
185その有様(ありさま)面白(おもしろ)
186あんまり()()になりよると
187(ましら)()からバツサリと
188()ちて(こし)()(あし)()
189小便(せうべん)()れて斃死(くたば)つて
190非業(ひごう)最後(さいご)()げるぞよ
191(おれ)(まこと)神司(かむづかさ)
192(たふと)(かみ)生宮(いきみや)
193(おれ)言葉(ことば)をよつく()
194(おな)天地(てんち)(うま)()
195人間(にんげん)(まが)ひの(さる)となり
196(かみ)()三本(さんぼん)()らぬため
197畜生(ちくしやう)境遇(きやうぐう)(あま)んじて
198月日(つきひ)(おく)るか(なさけ)ない
199(かみ)()三本(さんぼん)()らぬのは
200(みづ)御霊(みたま)神様(かみさま)
201御恩(ごおん)(わす)れた(ばち)ぢやぞや
202(はや)(こころ)取直(とりなほ)
203天地(てんち)(かみ)御前(おんまへ)
204()()をついて拝礼(はいれい)
205生宮様(いきみやさま)言霊(ことたま)
206(みみ)をすませて拝聴(はいちやう)
207一時(いちじ)(はや)人間(にんげん)
208社会(しやくわい)(うま)れて()るがよい
209(ひと)真似(まね)をば(よろこ)んで
210(いた)した(ばち)(この)(とほ)
211(からだ)人間(にんげん)()(けもの)
212畜生道(ちくしやうだう)(くる)しみを
213(たす)けて()しいと(おも)はぬか
214こらこらキヤツキヤツ(ぬか)すなよ
215(みみ)(つんぼ)になりよるわ
216雲雀(ひばり)(つばめ)小雀(こすずめ)
217(なん)身霊(みたま)()らねども
218あんまり(くち)()ぎるぞや
219玉国別(たまくにわけ)のお言葉(ことば)
220沈黙(ちんもく)せよと仰有(おつしや)つた
221貴様(きさま)もチツとは伊太公(いたこう)
222善言美口(ぜんげんびこう)神習(かむなら)
223しばらく沈黙(ちんもく)するがよい
224伊太公(いたこう)さまが(いま)此処(ここ)
225千匹猿(せんびきざる)打向(うちむか)
226篏口令(かんこうれい)()くほどに
227(わが)憲法(けんぱふ)(まも)らねば
228天則違反(てんそくゐはん)天国(てんごく)
229畜生(ちくしやう)警察(けいさつ)(うつた)へる
230あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
231如何(いか)畜生(ちくしやう)()(なが)
232天地(てんち)(かみ)御水火(みいき)より
233(うま)(いで)たる貴様等(きさまら)
234(じつ)(あは)れな代物(しろもの)
235一言(いちげん)天地(てんち)震動(しんどう)
236一声(いつせい)風雨雷霆(ふううらいてい)
237叱咤(しつた)するてふ伊太公(いたこう)
238生言霊(いくことたま)(つつし)んで
239畜生(ちくしやう)ながらも反省(はんせい)せよ
240(われ)(すく)ひの(みち)(もの)
241(すく)ひの(かみ)()てられて
242如何(いか)にガヤガヤ(さわ)いでも
243(けつ)して(たす)かる(はず)はない
244(はや)改心(かいしん)するが()
245改心(かいしん)すれば(その)()から
246(らく)(この)()()れるぞよ
247それも()らずに何時迄(いつまで)
248キヤツキヤツ()かして山棲(やまずま)
249木実(このみ)(へた)渋柿(しぶがき)
250(くら)つて(この)()(おく)るとは
251(じつ)可憐相(かはいそ)代物(しろもの)
252とは()ふものの吾々(われわれ)
253人間界(にんげんかい)(むか)つては
254(おほ)きな(こゑ)言霊(ことたま)
255発射(はつしや)するやうな(ちから)ない
256今日(けふ)宣伝(せんでん)門出(かどいで)
257演習(えんしふ)気取(きど)りで貴様等(きさまら)
258言霊戦(ことたません)(こころ)みた
259これが()いたらお(なぐさ)
260(ひと)(たす)けるばつかりが
261(けつ)して(つかさ)(のう)ぢやない
262(とり)(けだもの)()ふも(さら)
263虫族(むしけら)までも済度(さいど)して
264(たす)けて()くのが(かみ)(みち)
265これこれもうし宣伝使(せんでんし)
266玉国別(たまくにわけ)神司(かむづかさ)
267(わし)言葉(ことば)(ちが)ひますか
268(ちが)ふなら(ちが)ふと()ひなされ
269あれあれ(みな)さま猿公(えてこう)
270両手(りやうて)(あは)(をが)みよる
271よつぽど(わし)言霊(ことたま)
272猿公(さるこう)さまの琴線(きんせん)
273よくよく()れたと()えまする
274如何(いか)畜生(ちくしやう)なればとて
275(けつ)して馬鹿(ばか)にはなりませぬ
276あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
277(かな)はないから()めませう』
278道公(みちこう)『アハヽヽヽ貴様(きさま)言霊(ことたま)はよく()くと()えて、279おひおひ吾々(われわれ)身辺(しんぺん)押寄(おしよ)せて()るぢやないか』
280伊太公(いたこう)『きまつた(こと)だ。281(あんま)有難(ありがた)うて一言(いちごん)()らさじと(おれ)言霊(ことたま)拝聴(はいちやう)してゐるのだ。282(くる)しうない、283(ちか)(ちか)う」と()ひもせぬのに身辺(しんぺん)近寄(ちかよ)つて()るのだから伊太公(いたこう)初宣伝(はつせんでん)随分(ずゐぶん)有力(いうりよく)なものだ』
284道公(みちこう)目的(もくてき)結果(けつくわ)がそれでも(ちが)ふぢやないか』
285伊太公(いたこう)『そんなら貴様(きさま)286猿公(ゑんこう)退却(たいきやく)させて()い。287もし効能(かうのう)があつたら(おれ)(くび)でも熨斗(のし)つけて貴様(きさま)献上(けんじやう)するわい』
288玉国別(たまくにわけ)(さる)(やつ)随分(ずゐぶん)八釜(やかま)しいが、289それにもいやまして貴様等(きさまら)(さわ)がしい(やつ)だな。290まるで(かみなり)同居(どうきよ)してる(やう)だ。291アハヽヽヽ』
292大正一一・一一・二六 旧一〇・八 北村隆光録)