霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 (しの)(なみだ)〔一一六五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻 篇:第4篇 愛縁義情 よみ:あいえんぎじょう
章:第14章 忍び涙 よみ:しのびなみだ 通し章番号:1165
口述日:1922(大正11)年11月28日(旧10月10日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年7月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:222頁 八幡書店版:第8輯 109頁 修補版: 校定版:232頁 普及版:96頁 初版: ページ備考:
001 (ほこら)(まへ)には四人(よにん)敵味方(てきみかた)(あご)(ひも)(ほど)いて他愛(たあい)もなく(わら)(きよう)じてゐる。
002五三公(いそこう)『ヤア随分(ずゐぶん)バラモン(けう)にも面白(おもしろ)(をとこ)混入(こんにふ)してゐるね。003(おれ)今日(けふ)本当(ほんたう)睾丸(きんたま)皺伸(しわのば)しをしたよ。004(たび)()ふものは愉快(ゆくわい)なものだなア』
005マツ(こう)(おれ)だつてこんな面白(おもしろ)動物(どうぶつ)出会(であ)つたのは今日(けふ)(はじ)めてだ。006チツトも戦争(せんそう)気分(きぶん)がせないわ。007まるで喜劇(きげき)をロハで()てゐるやうだつた。008一層(いつそう)(こと)009(おれ)秘書役(ひしよやく)()めて喜劇師(きげきし)となりハルナの(みやこ)大劇場(だいげきぢやう)(ひと)(うで)(ふる)つて見度(みた)くなつた』
010五三公(いそこう)『そりや貴様(きさま)のスタイルと()ひ、011饒舌(ぜうぜつ)()ひ、012気転(きてん)()(てん)から滑稽(こつけい)諧謔(かいぎやく)を、013のべつ(まく)なしに()()てる(てん)随分(ずゐぶん)見上(みあ)げたものだ。014屹度(きつと)千両(せんりやう)役者(やくしや)になれるかも()れぬよ』
015マツ(こう)『ナーニ駄目(だめ)だ。016斎苑(いそ)(やかた)千両(せんりやう)占領(せんりやう)役者(やくしや)出掛(でか)けた(ところ)017こんな(あらし)()()らされ、018(みぢ)めな敗軍(はいぐん)をやつたのだからな』
019五三公(いそこう)『さうだから貴様(きさま)軍人(ぐんじん)には(てき)しないのだ。020如何(どう)しても役者(やくしや)代物(しろもの)だよ』
021マツ(こう)『さうかな、022(なん)だか(おれ)もさう()くと役者(やくしや)志願(しぐわん)したくなつた。023こんな殺風景(さつぷうけい)な、024何時(いつ)(くび)()ぶかも()れぬ(やう)危険(きけん)千万(せんばん)商売(しやうばい)(いや)になつて(しま)つたよ』
025五三公(いそこう)『そんなら(おれ)此処(ここ)()うたのも(なに)かの因縁(いんねん)だらうから、026(ひと)奮発(ふんぱつ)して改心(かいしん)とでかけ三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)のお(とも)となつたら如何(どう)だ。027修業(しうげふ)出来(でき)(うへ)(また)宣伝使(せんでんし)となれぬとも(かぎ)らぬからな』
028マツ(こう)『ヤ、029三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)のお(とも)駄目(だめ)だ。030(さる)()(ひつ)かかれたり、031捕虜(とりこ)にせられて岩窟(いはや)(なか)()()まれる(やう)(こと)になると、032さつぱり(つま)らぬからな、033アハヽヽヽ』
034 純公(すみこう)(ひざ)をにじり()り、035グツとマツ(こう)右手(めて)(にぎ)(こゑ)(ふる)はして、
036(なに)037貴様(きさま)038(たれ)にそんな(こと)()いたのだ。039チと可笑(をか)しいぢやないか。040(なに)()此処(ここ)白状(はくじやう)しろ』
041マツ(こう)(たれ)にも()きやせぬわい。042宣伝使(せんでんし)のお(とも)して()伊太公(いたこう)捕虜(ほりよ)にして訊問(じんもん)した(ところ)043(おれ)先生(せんせい)玉国別(たまくにわけ)さまは(さる)()引掻(ひつか)かれたと白状(はくじやう)したのだよ』
044純公(すみこう)『その伊太公(いたこう)一体(いつたい)何処(どこ)()るのだ。045貴様(きさま)()つてるだらう。046サア(はや)白状(はくじやう)せぬかい』
047マツ(こう)『そりや()つてる。048(しか)(なが)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)から秘密(ひみつ)(まも)れと()はれてゐるのだから如何(どう)しても所在(ありか)()(こと)出来(でき)ないわい。049(しか)(なが)生命(いのち)には別条(べつでう)ないから安心(あんしん)するが()からう。050彼奴(あいつ)(なん)でも(たづ)ねされすればベラベラ(しやべ)るから大変(たいへん)重宝(ちようほう)だと()つてバラモン(けう)連中(れんちう)岩窟(いはや)()毎日(まいにち)(さけ)()まして()はして斎苑館(いそやかた)秘密(ひみつ)(みんな)して()(こと)にしてゐるのだ。051あんなに(くち)(かる)(やつ)本当(ほんたう)(こま)つたものだね。052(たづ)ねもせぬのに(さる)()かれた(こと)もベラベラ(しやべ)つて(しま)つたのだ。053さうだから片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)久米彦(くめひこ)将軍(しやうぐん)玉国別(たまくにわけ)負傷(ふしやう)したと()いて大安心(だいあんしん)(てい)河鹿峠(かじかたうげ)(のぼ)つて()つたのだ。054さうした(ところ)前門(ぜんもん)(おほかみ)(よわ)りよつたが後門(こうもん)(とら)出会(でくは)昨日(ゆうべ)のあの敗軍(はいぐん)だ』
055純公(すみこう)(なん)貴様(きさま)(たづ)ねもせぬ(こと)秘密(ひみつ)をベラベラ(しやべ)るぢやないか。056伊太公(いたこう)以上(いじやう)だぞ』
057マツ(こう)『ナニ、058()うして貴様等(きさまたち)兄弟(きやうだい)同様(どうやう)になつたのだから、059それ(ぐらゐ)秘密(ひみつ)(しやべ)つたつて()いぢやないか。060怪我(けが)もしとらぬ(あし)(なほ)して()れた親切(しんせつ)なお(まへ)だからな、061アハヽヽヽ』
062五三公(いそこう)『そこ(まで)打解(うちと)けた以上(いじやう)伊太公(いたこう)所在(ありか)()らしても()いぢやないか。063どつと奮発(ふんぱつ)して(ほこら)神様(かみさま)寄附(きふ)すると(おも)つて伊太公(いたこう)所在(ありか)奏上(そうじやう)せぬかい。064御神殿(ごしんでん)に……エーン』
065マツ(こう)『オイ、066タツ(こう)067如何(どう)しようかな。068(なん)だか片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)()まない(やう)()がするぢやないか』
069タツ(こう)『ウン(なん)だか不徳義(ふとくぎ)(やう)()はれないな。070秘密(ひみつ)(まも)れぬ(やう)(をとこ)男子(をとこ)でないからな』
071純公(すみこう)『そんな()(をし)みをせずに()たぬ博奕(ばくち)()けたと(おも)つてどうだ、072アツサリと()つて()れたら。073(おれ)だつて友達(ともだち)難儀(なんぎ)をジツとして見逃(みのが)(わけ)にも()かぬからな』
074マツ(こう)『ウン、075()つて()れと()ふのなら()つてやつてもいいが、076最前(さいぜん)のやうに頭抑(あたまおさ)へに白状(はくじやう)せいなどと呶鳴(どな)りつけると、077(おれ)だつて(すこ)(はら)(むし)があるから、078()()くても()へぬぢやないか』
079純公(すみこう)『いや()まなかつた。080そら、081さうぢや、082人間(にんげん)感情(かんじやう)動物(どうぶつ)だからな、083矢張(やつぱり)(おだや)かに(した)から()掛合(かけあ)ふのが利益(りえき)だな』
084マツ(こう)『ハヽヽヽヽ、085到頭(たうとう)(かぶと)()いでマツ(こう)さまの軍門(ぐんもん)(くだ)ると()場面(ばめん)だな。086ヨシヨシお(まへ)がさう()りや(おれ)だつてまんざら悪人(あくにん)でもない(こと)はないから人情(にんじやう)(ほだ)されて、087チツと(ぐらゐ)()らしてやつてもいいわ。088(しか)(なが)(この)マツ(こう)()はない。089(おれ)肉体(にくたい)憑依(ひようい)してゐる邪霊(じやれい)()ふのだからな。090今後(こんご)屹度(きつと)マツ(こう)()いたなんて()つちや不可(いけな)いよ。091悪神(わるがみ)守護神(しゆごじん)()いたと()つて(もら)はぬと(こま)るからな』
092五三公(いそこう)『アハヽヽヽ、093中々(なかなか)うまくやりをるわい。094流石(さすが)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)秘書役(ひしよやく)だけあるわい。095(なに)につけても巧妙(かうめう)なものだ。096いや(この)五三公(いそこう)(おほい)感服(かんぷく)(つかまつ)つた』
097マツ(こう)『オイ、098(おれ)はバラモン(けう)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)の、099やつぱり部下(ぶか)だから三五教(あななひけう)のお前達(まへたち)()(わけ)にや()かない。100何程(なにほど)邪神(じやしん)だつて(おれ)(からだ)()いてゐるのだから直接(ちよくせつ)三五教(あななひけう)には(あか)されない。101()(かく)(この)(ほこら)神様(かみさま)御祈願(ごきぐわん)するから(その)祝詞(のりと)拝聴(はいちやう)する(はう)がよからう。102一寸(ちよつと)()つて()れ、103谷川(たにがは)()りて(くち)(すす)()(あら)つて()るから』
104()(なが)(ただ)一人(ひとり)谷川(たにがは)()()ち、105(くち)()(きよ)(ふたた)(この)(ほこら)(まへ)(かへ)つて()た。106マツ(こう)二拍手(にはくしゆ)再拝(さいはい)(をは)つて祝詞(のりと)奏上(そうじやう)(はじ)めた。
107掛巻(かけまく)(かしこ)(ほこら)(もり)宮柱太敷建(みやばしらふとしきた)高天原(たかあまはら)千木(ちぎ)(たか)()りて堅磐常磐(かきはときは)(しづ)まり(たま)大自在天(だいじざいてん)大国彦(おほくにひこ)大前(おほまへ)にバラモン(けう)(いくさ)(つかさ)108千歳(ちとせ)(みどり)(さか)えに(さか)ゆマツ(こう)()(つつし)(ゐやま)(かしこ)(かしこ)みも(まを)す。109(そもそも)(あき)紅葉(もみぢ)(いろ)づき(はじ)小男鹿(さをしか)(つま)()河鹿山(かじかやま)(みづ)(きよ)谷川(たにがは)(ほとり)110十月(じふぐわつ)十六日(じふろくにち)朝日(あさひ)豊栄昇(とよさかのぼ)りに()ぎまつる。111大黒主(おほくろぬし)(かみ)大御言(おほみこと)(かかぶ)りて斎苑(いそ)(やかた)(しづ)まり(たま)神素盞嗚尊(かむすさのをのみこと)言向和(ことむけやは)(きた)めむとランチ将軍(しやうぐん)(はじ)めとし片彦(かたひこ)112久米彦(くめひこ)将軍(しやうぐん)113征討(せいたう)(もも)(いくさ)(したが)へて(のぼ)りましき。114先鋒隊(せんぽうたい)として両将軍(りやうしやうぐん)十五日(じふごにち)夕間暮(ゆふまぐれ)115(つき)(かがや)(わた)(ほこら)(まへ)(すす)みまし、116(しば)(いき)(やす)らひ兵士(つはもの)(かず)調(しら)進軍(しんぐん)御歌(みうた)(うた)(をり)しも、117(もり)木蔭(こかげ)より(あら)はれ()でたる、118三五教(あななひけう)伊太公(いたこう)()119(もの)をも()はず(いくさ)(むれ)()()縦横無尽(じうわうむじん)()(くる)ひ、120(うら)めしくも片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)()(たてまつ)りたれば(うま)(おどろ)きて()(まは)()(あが)将軍(しやうぐん)佐久奈多里(さくなだり)(みち)()()(たま)ひぬ。121スワ強者(しれもの)(あら)はれたりと、122おのれマツ(こう)(その)強者(しれもの)()みつき高手(たかて)小手(こて)(いまし)三人(みたり)軍人(いくさびと)(まも)らせて、123(をしへ)清晴(きよはる)(やま)岩窟(いはや)(かく)しおきぬ。124掛巻(かけまく)(かしこ)皇大神(すめおほかみ)125(いづ)御魂(みたま)()らさせ(たま)ひて(わが)(とら)へたる伊太公(いたこう)何処(どこ)までも(てき)()(かへ)らざる(やう)(まも)(さきは)(たま)へ。126(また)大黒主(おほくろぬし)軍人(いくさびと)(ども)一人(ひとり)(あやま)ちなく(たひら)けく(やす)らけく(まも)らせ(たま)ひて、127大黒主(おほくろぬし)御前(みまへ)復言(かへりごと)(まを)させ(たま)へと鹿児自物膝折伏(かごじものひざをりふせ)鵜自物頸根突抜天(うじものうなねつきぬきて)(かしこ)(かしこ)みも祈願奉(こひのみまつ)らくと(まを)す。128かなはぬからたまちはへませ、129ポンポン』
130純公(すみこう)『イヤ斎主(さいしゆ)御苦労(ごくらう)(ござ)いました。131あゝ貴方(あなた)熱誠(ねつせい)御祈願(ごきぐわん)(かん)純公(すみこう)大明神(だいみやうじん)(その)願事(ねがひごと)(すみ)から(すみ)までお()きなさつたでせう、132アハヽヽヽ』
133マツ(こう)『エー、134(とき)にお前等(まへたち)先生(せんせい)如何(どう)なつたのだ。135()つから其処辺(そこら)にお姿(すがた)()えぬぢやないか』
136純公(すみこう)(この)(もり)のチツと(むか)ふに治国別(はるくにわけ)宣伝使(せんでんし)137玉国別(たまくにわけ)宣伝使(せんでんし)(とも)三人(さんにん)俺達(おれたち)友達(ともだち)休息(きうそく)して()られるのだ。138(なん)なら面会(めんくわい)したら如何(どう)だ』
139マツ(こう)『イヤ、140そりや(ねが)うてもない(こと)だ、141おいタツ(こう)142どうだ。143(ひと)拝顔(はいがん)(えい)(たまは)つたら』
144タツ(こう)『そいつア有難(ありがた)いなア。145何程(なにほど)神力(しんりき)(つよ)(おそろ)しい宣伝使(せんでんし)だつて、146よもや吾々(われわれ)(あたま)から(かぶ)りもなさるまいからな』
147五三公(いそこう)(なに)148(あたま)から(すぐ)にかぶりなさるぞ』
149タツ(こう)『ヤアそりや大変(たいへん)だ。150まるで(おほかみ)(やう)宣伝使(せんでんし)だな』
151五三公(いそこう)『きまつた(こと)だよ。152大神(おほかみ)(をしへ)(つた)ふる宣伝使(せんでんし)だもの。153(あたま)からかぶらいで如何(どう)して(やく)(つと)まろかい』
154タツ(こう)『ヤアそいつア大変(たいへん)だ。155おいマツ(こう)156御免(ごめん)(かうむ)つて退却(たいきやく)しようぢやないか』
157五三公(いそこう)『アハヽヽヽ(あたま)からかぶると()ふのは宣伝使(せんでんし)必要(ひつえう)古代冠(こだいくわん)だよ』
158タツ(こう)『なんだ。159吃驚(びつくり)させやがつた。160(おれ)だつて(くち)からかぶるよ、161無花果(いちぢゆく)林檎(りんご)(くらゐ)なら、162アハヽヽヽ』
163純公(すみこう)『オイ、164前達(まへたち)二人(ふたり)何処(どこ)ともなしに(した)しみのある(をとこ)だ。165(いづ)れバラモン(けう)這入(はい)つた(くらゐ)だから一通(ひととほ)りではあるまい。166(ひと)経歴談(けいれきだん)でも()かして()れないか』
167マツ(こう)『ウン、168(おれ)(うま)れはな、169(じつ)はアーメニヤだ』
170五三公(いそこう)(なに)171アーメニヤ?』
172マツ(こう)『ウン、173(その)アーメニヤが不思議(ふしぎ)なのか』
174五三公(いそこう)(じつ)(ところ)(おれ)先生(せんせい)純公(すみこう)先生(せんせい)(うま)れはアーメニヤだからな』
175マツ(こう)『アーメニヤの(うま)れならウラル(けう)ぢやないか。176それが(また)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)になつてゐるのか。177(おれ)もアーメニヤの(うま)れだが三五教(あななひけう)(いま)におき、178一人(ひとり)()やせぬ。179チツと可怪(をか)しいな』
180五三公(いそこう)(おれ)先生(せんせい)はな、181今迄(いままで)亀彦(かめひこ)さまと()つてウラル(けう)宣伝使(せんでんし)だつたのだ。182さうしてウラル(ひこ)神様(かみさま)命令(めいれい)竜宮(りうぐう)(ひと)(じま)三年(さんねん)宣伝(せんでん)()つて(ござ)つた(ところ)183さつぱり駄目(だめ)になつて(かへ)途中(とちう)フサの(うみ)難風(なんぷう)()三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)()出別(でわけ)(たす)けられ、184それから国許(くにもと)へも(かへ)らず三五教(あななひけう)になつて(しま)はれたのだ。185そりや(なん)とも神徳(しんとく)(たか)先生(せんせい)だぞ』
186マツ(こう)(なに)187ウラル(けう)宣伝使(せんでんし)竜宮(りうぐう)(ひと)(じま)宣伝(せんでん)()つて()つた? はてな、188そしてその()亀彦(かめひこ)()ふのか』
189五三公(いそこう)『ウンさうだ。190随分(ずゐぶん)以前(いぜん)面白(おもしろ)(ひと)だつたさうだ。191(いま)こそ真面目(まじめ)(くさ)つて(えら)(ひと)だがな』
192マツ(こう)『そのお()れの()()いてゐるのか』
193五三公(いそこう)『ウン、194()いてゐる。195梅彦(うめひこ)岩彦(いはひこ)196鷹彦(たかひこ)197音彦(おとひこ)198駒彦(こまひこ)199そこへ(おれ)先生(せんせい)亀彦(かめひこ)(さま)六人連(ろくにんづ)れだ。200(はん)ダース宣伝使(せんでんし)()つて随分(ずゐぶん)名高(なだか)いものだつたらしいぞ』
201マツ(こう)『その亀彦(かめひこ)宣伝使(せんでんし)(この)(もり)(なか)(やす)んでゐられるのか』
202五三公(いそこう)『ウン、203()られる』
204マツ(こう)一遍(いつぺん)()ひたいものだな』
205五三公(いそこう)『お(まへ)(また)先生(せんせい)(こと)()ふと顔色(かほいろ)まで()へて熱心(ねつしん)(たづ)ねるが(なに)縁由(ゆかり)があるのか』
206マツ(こう)()るの()いのつて、207その亀彦(かめひこ)さまなら(おれ)(なが)らく(たづ)ねてゐる(にい)さまだよ。208(いま)()うしてバラモン(けう)這入(はい)つてゐるが、209もしや(にい)さまの所在(ありか)が、210(なに)かの(はづみ)(わか)りはせぬかと、211そればつかり()にしてゐるのだ。212アヽ有難(ありがた)い、213その亀彦(かめひこ)(おれ)(にい)さまに(ちが)ひない。214アヽ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
215(こゑ)まで(くも)らせて感謝(かんしや)()(へう)するのであつた。216五三公(いそこう)(たちま)(こゑ)()()げて(うた)()した。
217(かみ)(おもて)(あら)はれて
218(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
219それのみならず三五(あななひ)
220吾等(われら)(まも)神様(かみさま)
221(おや)兄弟(きやうだい)所在(ありか)をば
222いと(つまびらか)()らします
223(もり)木蔭(こかげ)(いこ)ひたる
224(わが)()(きみ)亀彦(かめひこ)
225地異(ちい)天変(てんぺん)(ただ)ならぬ
226突発(とつぱつ)事件(じけん)出来(でき)ました
227さあさあ(はや)(こし)()げて
228(ほこら)(まへ)()でませよ
229(おも)ひもよらぬ(まつ)さまが
230トボトボ此処(ここ)(あら)はれて
231亀彦(かめひこ)さまに()()いと
232両手(りやうて)(あは)して()つてゐる
233あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
234(かみ)(めぐみ)()のあたり
235バラモン(けう)片彦(かたひこ)
236一方(いつぱう)(うで)(つか)へたる
237(かみ)(つかさ)のマツさまは
238(わが)()(きみ)(おとうと)
239間違(まちが)ひないと()れました
240治国別(はるくにわけ)宣伝使(せんでんし)
241(なに)()もあれ逸早(いちはや)
242(ほこら)(まへ)(くだ)()
243(わか)れて程経(ほどへ)兄弟(きやうだい)
244目出度(めでた)対面(たいめん)なされませ
245(この)五三公(いそこう)(うれ)しうて
246()(まひ)(あし)()(ところ)
247()らぬばかりになりました
248朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
249(つき)()つとも()くるとも
250仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
251兄弟(きやうだい)二人(ふたり)(その)縁由(えにし)
252なかなか()きは(いた)すまい
253(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
254(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
255ただ何事(なにごと)(ひと)()
256直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)
257三五教(あななひけう)(かみ)(みち)
258仮令(たとへ)マツ(こう)バラモンの
259(かみ)のお(みち)にあればとて
260改心(かいしん)したれば天地(あめつち)
261(きよ)氏子(うぢこ)(ちが)ひない
262(わが)()(きみ)逸早(いちはや)
263此処(ここ)までお()(くだ)さんせ
264歓天喜地(くわんてんきち)(はな)(ひら)
265前代(ぜんだい)未聞(みもん)御慶事(ごけいじ)
266(いま)()(まへ)展開(てんかい)
267面白(おもしろ)(うれ)しうなりまする
268貴方(あなた)(つか)へし五三公(いそこう)
269真心(まごころ)()めて(ねが)ひます
270あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
271御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
272(うた)つてゐる。
273 (もり)木蔭(こかげ)(いき)(やす)めてゐた五人(ごにん)(をとこ)274五三公(いそこう)(たか)らかに(うた)(こゑ)(みみ)()ませてゐる。
275晴公(はるこう)『モシ先生(せんせい)276あの(うた)(こゑ)五三公(いそこう)でせう。277(なん)だか(めう)(こと)()ふぢやありませぬか』
278治国別(はるくにわけ)『ウン、279(なん)だか合点(がてん)()かぬ(こと)()つてゐる(やう)だ』
280晴公(はるこう)先生(せんせい)貴方(あなた)兄弟(きやうだい)がおありなさるのですか』
281治国別(はるくにわけ)『ウン、282あると()へばある、283ないと()へばないやうなものだ』
284晴公(はるこう)『それでも(いま)五三公(いそこう)(うた)先生(せんせい)(おとうと)()たから()つてやつて()れえと()つてるぢやありませぬか』
285治国別(はるくにわけ)『さう()つた(やう)だな。286如何(どう)しても合点(がてん)のゆかぬ(はなし)だ。287(しか)(なが)日頃(ひごろ)(ねん)ずる神様(かみさま)のお(かげ)兄弟(きやうだい)対面(たいめん)をさして(くだ)さるのかも()れない』
288言葉(ことば)(しづ)かに落着(おちつ)(はら)つてゐる。
289玉国別(たまくにわけ)治国別(はるくにわけ)さま、290どうも(わたし)御兄弟(ごきやうだい)()えたやうな()がしますがね。291(しか)(なが)御兄弟(ごきやうだい)とすれば如何(どう)して()んなバラモン(けう)軍隊(ぐんたい)(なか)(くぐ)つて()られたのでせうか』
292治国別(はるくにわけ)大方(おほかた)バラモン(けう)へでも()()んでゐたのでせう。293(なん)だか最前(さいぜん)から純公(すみこう)五三公(いそこう)(わら)(ごゑ)(きこ)え、294(また)(ほか)二人(ふたり)ばかりも(わら)(ごゑ)(きこ)えてゐた(やう)です。295どうもあの(こゑ)(なん)だか()(おぼ)えがある(やう)(おも)ひましたよ』
296 かく(はな)()(ところ)へスタスタとやつて()たのは狼狽者(あわてもの)五三公(いそこう)であつた。297五三公(いそこう)(のぼ)(ざか)(くる)しかつた(いき)(はづ)ませ(なが)ら、
298『セヽヽ先生(せんせい)299最前(さいぜん)から……(わたし)があの(とほ)(おほ)きな(こゑ)で……(うた)つて()らしてゐるのに、300(なに)愚図々々(ぐづぐづ)して()られるのだ。301サア(はや)()(くだ)さいな。302(えら)(こと)になりましたぞ。303それはそれは吃驚虫(びつくりむし)洋行(やうかう)する(やう)突発(とつぱつ)事件(じけん)ですわ。304サア(はや)()りて(くだ)さい。305そして(また)伊太公(いたこう)所在(ありか)(わか)りました』
306 玉国別(たまくにわけ)(あわ)てて、
307(なに)? 伊太公(いたこう)所在(ありか)(わか)りましたか。308ヤアそれは有難(ありがた)い』
309治国別(はるくにわけ)(おれ)(おとうと)(わか)つたと()ふのか』
310五三公(いそこう)(わか)つたも(わか)らぬもあつたものですかい。311最前(さいぜん)からあれ(ほど)八釜(やかま)しう(さわ)いでゐるのに貴方(あなた)(なに)愚図々々(ぐづぐづ)してゐるのですか。312サア(はや)()てマツ(こう)さまに(よろこ)ばしてやつて(くだ)さい』
313 治国別(はるくにわけ)平然(へいぜん)として(すこ)しも(さわ)がず、314(わら)ひもせず、315(べつ)(よろこ)びもせずと()態度(たいど)で、
316『ウン、317(おとうと)(わか)つたら、318それで()い。319やつぱり(この)()()きて()つたかな』
320五三公(いそこう)(なん)先生(せんせい)兄弟(きやうだい)水臭(みづくさ)(ひと)ですな。321兄弟(きやうだい)他人(たにん)(はじ)まりとか()きますが如何(いか)にも古人(こじん)(うそ)()ひませぬな。322あれだけ(こが)(した)うて(ひさ)()りに(にい)さまの所在(ありか)(わか)()びつき武者振(むしやぶ)りつきし()(やう)(おも)つて(ござ)るのに、323旃陀羅(せんだら)(えのき)(はな)(こす)つた(やう)(こと)仰有(おつしや)つちやマツ(こう)さまの折角(せつかく)期待(きたい)裏切(うらぎ)ると()ふものだ。324(すこ)(やさ)しく()つて(くだ)さいな。325エー(わたし)までが(かな)しくなつて()た』
326治国別(はるくにわけ)(なに)()もあれ(ほこら)(まへ)(まで)(くだ)(こと)としよう。327ヤア玉国別(たまくにわけ)さま、328三人(さんにん)(もの)(ども)ボツボツ(この)天然(てんねん)別荘(べつさう)出立(しゆつたつ)する(こと)にしようかなア、329アハヽヽヽ』
330 玉国別(たまくにわけ)331治国別(はるくにわけ)悠々(いういう)として四人(よにん)(とも)(もり)坂道(さかみち)(くだ)(ほこら)(まへ)()いた。
332純公(すみこう)『ヤア、333治国別(はるくにわけ)(さま)334目出度(めでた)(ござ)います。335貴方(あなた)御兄弟(ごきやうだい)(わか)りました。336サア何卒(どうぞ)名乗(なの)りをなさいませ』
337 治国別(はるくにわけ)以前(いぜん)(ごと)冷然(れいぜん)として、
338『アヽ左様(さやう)か、339大変(たいへん)御看病(ごかんびやう)(あづ)かつたさうだな。340マツ(こう)さまの仮病(けびやう)全快(ぜんくわい)しただらう。341白十字(はくじふじ)病院(びやうゐん)余程(よほど)繁昌(はんじやう)してゐたさうですな』
342純公(すみこう)『モシ先生(せんせい)343そんな洒落(しやれ)はどうでも(よろ)しい、344(おとうと)さまですよ。345(はや)くお名乗(なのり)なさらぬか』
346治国別(はるくにわけ)左様(さやう)347(おとうと)間違(まちが)ひはあるまい。348(べつ)名乗(なの)必要(ひつえう)もないから』
349玉国別(たまくにわけ)『ウフヽヽヽ』
350道公(みちこう)此奴(こいつ)ア、351(めう)なコントラストだ、352アハヽヽヽ』
353大正一一・一一・二八 旧一〇・一〇 北村隆光録)